(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】アンテナシステム、レーダシステム及び信号処理方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20221202BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20221202BHJP
H01Q 25/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01S7/02 216
H01Q21/06
H01Q25/04
(21)【出願番号】P 2018230342
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 晋一
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-251986(JP,A)
【文献】特開2003-018074(JP,A)
【文献】特開2005-295201(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107167785(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
H01Q 3/00- 3/46
H01Q 21/00-25/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは2以上)個のアンテナ素子
それぞれで受信する受信信号を用いて観測空間に対してN本の直交受信ビームを形成するマルチビーム合成部と、
前記直交受信ビームそれぞれで得られる信号に対する逆フーリエ変換によりN個の信号を得る逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部により得られた前記N個の信号に対する拡張アレイ処理によりN個以上の拡張信号を算出する演算部と、
前記観測空間内の領域に向けた受信ビームに応じた出力信号を前記N個以上の拡張信号から合成するビーム形成部と、
を備えるアンテナシステム。
【請求項2】
逆フーリエ変換により得られた前記N個の信号に対して不要波抑圧を行う信号処理部を更に備え、
前記演算部は、前記信号処理部により不要波抑圧が行われた信号に対して前記拡張アレイ処理を行う、
請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記マルチビーム合成部は、前記観測空間をP(Pは2以上)分割した分割観測空間ごとに(N/P)本の前記直交受信ビームを形成し、
前記逆フーリエ変換部は、前記分割観測空間ごとの前記直交受信ビームそれぞれで得られる(N/P)個の信号と(N-(N/P))個のゼロ信号との組み合わせに対する逆フーリエ変換により前記N個の信号を取得する、
請求項1又は請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナシステムと、
前記観測空間に対して送信ビームを順に形成し、前記送信ビームごとに一定の周波数の送信信号を送信する送信部と、
を備え、
前記アンテナシステムは、前記逆フーリエ変換部により得られた前記N個の信号に対して、前記送信信号の周波数に基づいて前記N個の信号間における位相ずれを補正する補正部を更に備え、
前記マルチビーム合成部は、前記送信部により形成される前記送信ビームと同じ向きに前記直交受信ビームを順に形成する、
レーダシステム。
【請求項5】
アンテナシステムにおける信号処理方法であって、
N(Nは2以上)個のアンテナ素子
それぞれで受信する受信信号を用いて観測空間に対してN本の直交受信ビームを形成するマルチビーム合成ステップと、
前記直交受信ビームそれぞれで得られる信号に対する逆フーリエ変換によりN個の信号を得る逆フーリエ変換ステップと、
前記逆フーリエ変換ステップにより得られた前記N個の信号に対する拡張アレイ処理によりN個以上の拡張信号を算出する演算ステップと、
前記観測空間内の領域に向けた受信ビームに応じた出力信号を前記N個以上の拡張信号から合成するビーム形成ステップと、
を有する信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンテナシステム、レーダシステム及び信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナを用いたレーダにおいて、目標検知方向の分解能を高める手法としてKhatri-Rao(KR)積拡張アレイ処理を用いる手法がある(非特許文献1)。この手法を用いる場合、クラッタや干渉波等の不要波が受信信号に含まれると、目標検知が困難になったり、偽目標が発生したりして、目標検知の精度が低下してしまう課題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Wing-Kin Ma, et al., "DOA Estimation of Quasi-Stationary Signals With Less Sensors Than Sources and Unknown Spatial Noise Covariance: A Khatri-Rao Subspace Approach", IEEE Transactions on Signal Processing, Vol. 58, No. 4, April 2010, pp. 2168-2180
【文献】菊間信良、「アレーアンテナによる適応信号処理」、科学技術出版社、2004、pp.17-21
【文献】吉田、「改訂 レーダ技術」、電子情報通信学会、1996年、pp.289-291
【文献】吉田、「改訂 レーダ技術」、電子情報通信学会、1996年、pp.134-135
【文献】Richard Klemm, "Applications of Space-Time Adaptive Processing", The Institution of Electrical Engineers, Radar, Sonar and Navigation Series 14, 2004, pp.720-724
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、目標検知方向の分解能を高めつつ、不要波の影響を抑えることができるアンテナシステム、レーダシステム及び信号処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のアンテナシステムは、マルチビーム合成部と、逆フーリエ変換部と、演算部と、ビーム形成部と、を持つ。マルチビーム合成部は、N(Nは2以上)個のアンテナ素子それぞれで受信する受信信号を用いて観測空間に対してN本の直交受信ビームを形成する。逆フーリエ変換部は、直交受信ビームそれぞれで得られる信号に対する逆フーリエ変換によりN個の信号を得る。演算部は、逆フーリエ変換部により得られたN個の信号に対する拡張アレイ処理によりN個以上の拡張信号を算出する。ビーム形成部は、観測空間内の領域に向けた受信ビームに応じた出力信号をN個以上の拡張信号から合成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態によるアンテナ装置の構成例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態のアンテナ装置において行われる処理の概要を示す図。
【
図3】第1の実施形態のアレイアンテナにおける座標系を示す図。
【
図4】第1の実施形態の拡張アレイにより得られる信号の概要を示す図。
【
図5】第2の実施形態におけるレーダシステムの構成例を示す図。
【
図6】第2の実施形態のレーダシステムが観測対象とする観測空間を説明する図。
【
図7】第2の実施形態におけるAD変換器のサンプリング周波数を説明する図。
【
図8】第2の実施形態における分割観測空間で形成される直交受信ビームの一例を示す図。
【
図9】第2の実施形態におけるスペース変換部が行う処理の概要を示す図。
【
図10】第3の実施形態におけるレーダシステムの構成例を示す図。
【
図11】第3の実施形態におけるレーダシステムが行う処理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のアンテナシステム、レーダシステム及び信号処理方法を、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、同一の符号を付した構成要素は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態によるアンテナ装置10の構成例を示すブロック図である。アンテナ装置10が1つの装置として構成される場合について説明するが、アンテナ装置10の各機能を実現する複数の装置を含むアンテナシステムを構成してもよい。アンテナ装置10は、複数のアンテナ素子11、複数の周波数変換器12、複数のAD(Analog-to-Digital)変換器13、マルチビーム合成部14、複数の信号処理部15、スペース変換部16、拡張アレイ処理部17及びビーム形成部18を備える。第1の実施形態では、アンテナ装置10における信号を受信する機能について説明するが、複数のアンテナ素子11を用いて信号を送信してもよい。複数のアンテナ素子11を用いて送信及び受信を行う場合、アンテナ装置10はレーダ装置として動作してもよい。
【0009】
複数のアンテナ素子11は、それぞれが予め定められた間隔で配列され、アレイアンテナを構成する。複数のアンテナ素子11の配列は、一次元の配列であってもよいし、二次元の配列であってもよい。また、アンテナ素子11の数をN(Nは2以上の整数)個として説明する。
【0010】
周波数変換器12及びAD変換器13は、アンテナ素子11ごとに対応して設けられている。周波数変換器12は、接続されたアンテナ素子11で得られる信号を周波数変換し、変換により得られるベースバンドの受信信号をAD変換器13へ供給する。周波数変換器12による周波数変換に用いられるローカル信号(局部発信信号)の周波数は、受信対象の信号の周波数に応じて定められる。AD変換器13は、ベースバンドに応じて定まるサンプリング周波数でベースバンドの受信信号をサンプリングし、ディジタル信号へ変換する。アンテナ素子11ごとに設けられる周波数変換器12及びAD変換器13により、N個のディジタル信号が得られ、マルチビーム合成部14に供給される。
【0011】
マルチビーム合成部14は、N個のディジタル信号に基づいて、観測空間において指向方向が異なるN本の直交受信ビームを形成する。N本の直交受信ビームは、観測空間においてsinΘ軸に対して等間隔に形成される。なお、Θは、アンテナ素子11の配列方向に応じて定まる。例えば、アンテナ素子11が水平方向に沿って配置される場合にはΘは方位角(Azimuth)軸であり、アンテナ素子11が鉛直方向に沿って配置される場合にはΘは仰角(Elevation)軸である。マルチビーム合成部14は、N個のディジタル信号に対応するN本のアンテナ素子11の位置に応じたウェイトを用いて信号を合成し、直交受信ビームごとの合成信号を生成する。生成される合成信号それぞれは、信号処理部15に供給される。
【0012】
信号処理部15は、供給される合成信号に対して所定の信号処理を行い、信号処理を施した信号をスペース変換部16へ供給する。信号処理部15により行われる信号処理は、合成信号に含まれる不要波を抑圧する処理が含まれる。不要波としてクラッタが合成信号に含まれる場合にはドップラフィルタ処理によりクラッタの成分が抑圧される。不要波として干渉波が合成信号に含まれる場合にはサイドローブキャンセラ(非特許文献2)を用いて干渉波が抑圧される。また、クラッタ及び干渉波が合成信号に含まれる場合には時空間適応処理(STAP:Space-Time Adaptive Processing)(非特許文献5)を用いてクラッタ及び干渉波が抑圧される。
【0013】
スペース変換部16は、信号処理部15それぞれから供給される信号から、アンテナ素子11それぞれに対応する素子信号を生成する。スペース変換部16は、信号処理部15それぞれから供給されるN個の信号に対して逆フーリエ変換を行い、N個のアンテナ素子11に対応するN個の素子信号を得る。スペース変換部16は、得られたN個の素子信号を拡張アレイ処理部17へ供給する。
【0014】
拡張アレイ処理部17は、KR積拡張アレイ処理をN個の素子信号に対して行い、Ne(Ne=2N-1)個の拡張信号を得る。拡張アレイ処理部17は、得られたNe個の拡張信号をビーム形成部18へ供給する。ビーム形成部18は、観測空間内の所望の領域に向けた受信ビームに応じたビーム出力信号をNe個の拡張信号から生成し、ビーム出力信号を出力する。ビーム形成部18が、アンテナ装置10に備えられるアンテナ素子11で得られる受信信号よりも多いNe個の拡張信号を用いて、受信ビームに応じたビーム出力信号を合成することにより、sinΘ軸で高分解能なビーム合成を行う。
【0015】
図2は、第1の実施形態のアンテナ装置10において行われる処理の概要を示す図である。マルチビーム合成部14が、N個のアンテナ素子11で受信された受信信号に基づいて、N本の直交受信ビームそれぞれの合成信号を生成する。生成された合成信号に対する、信号処理部15における信号処理(不要波抑圧)と、スペース変換部16における逆フーリエ変換とにより、N本の全アンテナ素子の素子信号が生成される。拡張アレイ処理部17が、全アンテナ素子の素子信号に拡張アレイ処理を行い、拡張アレイの素子信号(拡張信号)を得る。
【0016】
以下、第1の実施形態のアンテナ装置10における、受信信号、合成信号、素子信号及び拡張信号について説明する。なお、受信信号はアンテナ素子11で受信した信号をベースバンドに周波数変換した信号であり、合成信号は直交受信ビームに応じて合成された信号であり、拡張信号は拡張アレイ処理により得られる信号である。これらの信号の関係を明確にするために定式化を行う。
【0017】
マルチビーム合成部14による直交受信ビームごとの合成は、ビーム指向方向を制御する複素ウェイトの乗算及び加算による合成、すなわちディジタル・ビーム・フォーミング(DBF:Digital Beam Forming)として式(1)で表される(非特許文献3)。
【0018】
【数1】
式(1)において、Y(AZp,ELp)は、p(p=1,2,…,N)番目の直交受信ビームを用いた指向方向に対応する合成信号を表す。AZp及びELpは、直交受信ビームの指向方向を表す。Xnは、n(n=1,2,…,N)番目のアンテナ素子11の受信信号を表す。Wnは、n番目のアンテナ素子11に対応するサイドローブ低減用のウェイトを表す。サイドローブ低減用のウェイトWnとして、例えば、非特許文献4に記載されているテーラーウェイトを用いてもよい。Wpnは、n番目のアンテナ素子11に対応する直交受信ビームの指向方向を制御する複素ウェイトを表す。
【0019】
直交受信ビームの指向方向を制御する複素ウェイトは式(2)で表され、式(2)に含まれるkpx,kpy,kpzは、式(3)で表される。
【0020】
【数2】
【数3】
式(3)において、λは、受信対象の信号の波長である。AZp及びELpは、複数のアンテナ素子11で形成されるアレイアンテナの位相中心からみた方位角(Azimuth)軸及び仰角(Elevation)軸それぞれの直交受信ビームのビーム指向角である。xn、yn及びznは、アレイアンテナにおけるn番目のアンテナ素子11の位置座標を表す。位置座標の基準位置は、アレイアンテナの位相中心である。
【0021】
N本の直交受信ビームに応じたN個の合成信号Y(AZp,ELp)に対して逆フーリエ変換を行うことにより、アンテナ素子11それぞれの位置に応じた素子信号X’nが得られる。素子信号X’nは式(4)で表される。
【0022】
【数4】
式(4)において、IFFT[・]はΘ軸の逆フーリエ変換を表す。
【0023】
この素子信号X’nを用いて、拡張アレイ処理を定式化する。観測方向(AZ,EL)を含めた入力信号をXaで表すと、
図3で表される座標系に基づいて式(5)及び(6)が得られる。
【0024】
【数5】
【数6】
ここで、anは、kaとdanとの内積<ka,dan>である。n=1,2,…,Naであり、Naはアンテナ素子11が配列される方向(軸)におけるアンテナ素子11の数である。アンテナ素子11の配列が一次元である場合、N=Naである。ベクトルka、danは式(7)で表される。
【0025】
【数7】
式(7)において、AZ及びELはアレイアンテナの位相中心からみた方位角(Azimuth)軸及び仰角(Elevation)軸それぞれの観測角である。xan、yan及びzanは、アレイアンテナにおけるn番目のアンテナ素子11の位置座標を表す。位置座標の基準位置は、アレイアンテナの位相中心である。Xinは波源信号を表す。
【0026】
以上より、アレイアンテナの位相中心に入力される信号Xinとして、信号Xaは式(8)となる。
【0027】
【数8】
式(8)において、Xan(n=1,2,…,Na)は、n番目のアンテナ素子の受信信号を表す。拡張アレイ処理部17は、信号Xaを用いて、KR積拡張アレイ処理を行う。
【0028】
【数9】
式(9)において、Xinは波源信号を表し、Xin
*は波源信号Xinの複素共役を表す。wは2πd/λであり、dはアンテナ素子11間の距離(間隔)を表す。
【0029】
ここで、式(9)における行列の第1列と第1行との要素をベクトル化すると、式(10)が得られる。
【0030】
【数10】
式(10)において、Xkraは、(2×Na-1)個の素子による拡張アレイを表す。
【0031】
このXkraを新しい拡張アレイの素子信号Xaとして、受信ビームを形成すればよい。
図4は、拡張アレイにより得られる信号の概要を示す図である。
図4には、一次元に配列された4個のアンテナ素子の信号[X1,X2,X3,X4]が得られる場合(N=Na=4)に得られる拡張アレイの概要が示されている。4個のアンテナ素子で得られる信号に対してKR積拡張アレイ処理を行うことにより、拡張アレイの7個の拡張素子に対応する信号[X4’,X3’,X2’,X1’,(X1’・X1),(X1’・X2),(X1’・X3),(X1’・X4),]が得られる。なお、X1’、X2’、X3’、X4’は、X1、X2、X3、X4それぞれの複素共役である。
【0032】
KR積拡張アレイ処理により得られる拡張アレイの素子信号Xaを拡張信号として、受信ビームを形成する。形成される受信ビームで得られるビーム出力信号Ya(AZp,ELp)は、ビーム指向方向を制御する複素ウェイトの乗算及び加算による合成、すなわちDBFとして式(11)で表される。
【0033】
【数11】
式(11)において、Xanは拡張アレイのn(n=1,2,…,2Na-1)番目の拡張信号であり、Wanはn番目の拡張信号に対するサイドローブ低減用のウェイトである。ウェイトWanとして、例えばテーラーウェイトを用いてもよい。Wapnは、n番目の拡張信号に対応する受信ビームの指向方向を制御する複素ウェイトを表す。
【0034】
受信ビームの指向方向を制御する複素ウェイトは式(12)で表され、式(12)に含まれるkpx,kpy,kpzは、前述の式(3)で表される。
【0035】
【数12】
式(12)において、xan、yan及びzanは、アレイアンテナにおけるn番目のアンテナ素子11の位置座標を表す。位置座標の基準位置は、アレイアンテナの位相中心である。
【0036】
第1の実施形態のアンテナ装置10において、マルチビーム合成部14が、アレイアンテナが有するN個のアンテナ素子11で受信された受信信号から、N本の直交受信ビームに対応する合成信号を生成する。マルチビーム合成部14は、例えば、上述の式(1)~(3)で表される演算を行うことにより、N本の直交受信ビームごとの合成信号を生成する。スペース変換部16は、マルチビーム合成部14により生成されるN個の合成信号に対して逆フーリエ変換により、N本の直交受信ビームに対応する合成信号を、N個のアンテナ素子11の位置に対応するN個の素子信号に変換する。スペース変換部16により変換されたN個の素子信号は、直交受信ビームが形成された指向方向以外の信号成分が抑圧された信号である。すなわち、アンテナ装置10は、形成した各直交受信ビームに応じた合成信号に対して逆フーリエ変換を用いた直交受信ビームからアンテナ素子の位置へのスペース変換により、直交受信ビームの指向方向以外から到来する不要波が抑圧された素子信号を得ることができる。アンテナ装置10は、N個の素子信号に拡張アレイ処理を行うことにより、目標検知方向の分解能を高めつつ、不要波の影響を抑えることができる。
【0037】
また、第1の実施形態のアンテナ装置10において、信号処理部15がクラッタ又は干渉波を含む不要波を更に抑圧するので、目標検知方向の分解能を高めつつ、目標検知精度の低下を防ぐことができる。なお、信号処理部15はアンテナ装置10の必須の構成ではなく、アンテナ装置10は信号処理部15を備えずともよい。
【0038】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、マルチビーム合成部14がN本の直交受信ビームを形成し、直交受信ビームそれぞれに対応する合成信号を生成する。N個の合成信号を同時に生成する場合、マルチビーム合成部14における演算量が増加し、増加した演算を所定時間内に処理するために、マルチビーム合成部14の回路の規模が大きくなる。第2の実施形態では、アンテナ装置における信号処理の演算負荷を低減する構成について説明する。
【0039】
図5は、第2の実施形態におけるレーダシステム100の構成例を示す図である。レーダシステム100は、送信装置20と受信装置10aとを備える。なお、受信装置10aが、1つの装置として構成される場合について説明するが、第1の実施形態と同様に、受信装置10aの各機能を実現する複数の装置を含むアンテナシステムを構成してもよい。このアンテナシステムと送信装置20とを組み合わせて、レーダシステム100を構成してもよい。
【0040】
送信装置20は、信号生成器21、変調器22、周波数変換器23、送信給電回路24及びM(Mは2以上の整数)本のアンテナ素子25を備える。M本のアンテナ素子25により送信アレイアンテナが構成される。信号生成器21は、複数のパルスを含む信号を生成し、生成した信号を変調器22へ供給する。変調器22は、供給される信号に含まれるパルをM系列などのランダム符号を用いて変調し、変調により得られた変調信号を周波数変換器23へ供給する。周波数変換器23は、予め定められたキャリア周波数で変調信号を周波数変換し、周波数変換により得られた所定周波数帯の送信信号を送信給電回路24へ供給する。
【0041】
送信給電回路24は、送信信号をM個の信号に分岐させ、分岐された送信信号それぞれに位相シフトを行う。位相シフトにおいて各送信信号に加えられる位相量は、送信信号が供給されるアンテナ素子25ごとに異なり、送信ビームの指向方向及び送信アレイアンテナにおけるアンテナ素子25の位置に応じて定まる。送信給電回路24は、位相シフトされた送信信号を増幅し、増幅した送信信号を各アンテナ素子25へ供給する。各アンテナ素子25に供給される送信信号は、各アンテナ素子25から送出される。
【0042】
受信装置10aは、N本のアンテナ素子11、N個の周波数変換器12、N個のAD変換器13a、マルチビーム合成部14a、(N/P)個の信号処理部15、スペース変換部16a、拡張アレイ処理部17及びビーム形成部18を備える。Pは1以上の整数であり、(N/P)が整数になる値である。受信装置10aは、第1の実施形態におけるアンテナ装置10の変形例であり、AD変換器13、マルチビーム合成部14及びスペース変換部16に代えて、AD変換器13a、マルチビーム合成部14a及びスペース変換部16aを備える。
【0043】
AD変換器13aは、受信対象の信号の帯域に応じたサンプリング周波数に、分割観測空間において形成する直交受信ビーム数を乗じた周波数で受信信号をサンプリングし、ディジタル信号へ変換する。マルチビーム合成部14aは、観測空間をP分割した分割観測空間ごとに(N/P)本の直交受信ビームを形成する。マルチビーム合成部14aは、形成する直交受信ビームに対応する合成信号を信号処理部15にそれぞれ供給する。スペース変換部16aは、(N/P)個の信号処理部15それぞれから信号から、アンテナ素子11それぞれに対応する素子信号を生成する。
【0044】
図6は、第2の実施形態のレーダシステム100が観測対象とする観測空間を説明する図である。送信装置20は、観測空間をP分割した分割観測空間ごとに、送信ビームを形成する。受信装置10aも分割空間ごとに直交受信ビームを形成する。
図6に示すように、sinΘ軸で表される観測空間は、P個の分割観測空間に分割される。各分割観測空間内を空間周波数sinΘ(AZ,EL)で等間隔に分割した(N/P)の直交ビーム方向が、受信装置10aにおいて形成される直交受信ビームの方向である。空間周波数sinΘで2次元(AZ,EL)をあらわす場合、方位角軸方向及び仰角軸方向それぞれを等間隔にメッシュ分割した(PAZ×PEL)が分割数となるが、説明を簡単にするためにP(=PAZ×PEL)分割と表現する。
【0045】
図7は、第2の実施形態におけるAD変換器13aのサンプリング周波数を説明する図である。
図7において、横軸は時間を表し、縦軸は送信信号及び受信信号の振幅を表す。通常は、直交受信ビームが形成された際に、直交受信ビームで受信された信号に対して受信対象の信号の帯域に応じたサンプリング周波数で信号のサンプリングが行われる。第2の実施形態におけるAD変換器13aは、受信対象の信号の帯域に応じたサンプリング周波数を(N/P)倍した周波数にて、受信信号をサンプリングし、ディジタル信号へ変換する。マルチビーム合成部14aは、分割観測空間ごとに、指向方向が異なる(N/P)本の直交受信ビームを形成する。サンプリング期間は、送信装置20が送信信号を送信するときを開始時点とし、観測空間の距離に応じて定まる期間である。
【0046】
図8は、第2の実施形態における分割観測空間で形成される直交受信ビームの一例を示す図である。分割観測空間で形成される直交受信ビームは、sinΘ軸において互いに直交する受信ビームである。マルチビーム合成部14aは、分割観測空間の領域すべて覆うように、直交受信ビームを時分割で形成する。sinΘ軸における直交受信ビームは、式(13)で与えられる。
【0047】
【数13】
式(13)において、θpは直交受信ビームの指向方向を表し、p(p=1,2,…,N/P)は分割観測空間において直交受信ビームで覆われる領域(又は直交受信ビーム自体)を表す。Pは観測空間の分割数であり、Nは、観測空間における直交受信ビーム数及びアンテナ素子11の数である。なお、sinΘ軸における2次元(AZp,ELp)をpにて表現している。Ωは方位角軸及び仰角軸の2次元での観測空間を表す。
【0048】
マルチビーム合成部14aは、分割観測空間ごとに、(N/P)方向の直交受信ビームによる(N/P)個の合成信号を生成する。(N/P)個の合成信号は、信号処理部15を介して、スペース変換部16aに供給される。スペース変換部16aは、直交受信ビームごとに得られた合成信号から、アンテナ素子11ごとの信号を逆フーリエ変換で得るために、式(14)で表されるゼロ埋め(zero padding)を行う。
【0049】
【数14】
式(14)において、Y(AZp,ELp)は、p(p=1,2,…,N/P)番目の直交受信ビームを用いた合成信号を表し、直交受信ビームの指向方向に対応する配列である。[・,・]はデータの連結を表す。zeros(n)は、nが示す数のゼロ信号を表す。
【0050】
スペース変換部16aは、式(14)で表されるゼロ埋めが施された信号Y(AZp,ELp)を用いて、ポイント数Nの逆フーリエ変換を行う。アレイアンテナを構成するN個のアンテナ素子11それぞれに対応する素子信号が、逆フーリエ変換により得られる。N個の素子信号Xは、式(15)で表される。
【0051】
【数15】
式(15)において、IFFT[・]は逆フーリエ変換を表す。Y(AZp,ELp)は、式(14)で得られたゼロ埋め後のデータを表す。Xは、アンテナ素子11ごとの素子信号を要素とする配列である。配列Xは、アンテナアレイにおけるアンテナ素子11の配置に対応する。配列Xは、大きさ[Xaz,Xel]の2次元配列であってもよい。Xazは方位角軸方向のアンテナ素子11の数であり、Xelは仰角軸方向のアンテナ素子11の数である。
【0052】
図9は、第2の実施形態におけるスペース変換部16aが行う処理の概要を示す図である。スペース変換部16aは、上述のように、(N/P)本の直交受信ビーム(b1,b2,…,bN/P)ごとに得られる合成信号に対してゼロ埋めを行った後に逆フーリエ変換を行う。スペース変換部16aは、逆フーリエ変換により、アンテナ素子11に対応する素子信号X=[X1,X2,…,XN]を取得する。
【0053】
スペース変換部16aにより取得される素子信号Xは、拡張アレイ処理部17へ供給される。拡張アレイ処理部17及びビーム形成部18が行う動作及び処理は、第1の実施形態における動作及び処理と同様であり、受信装置10aは、N本のアンテナ素子11で得られる素子信号の数よりも多いNe個の拡張信号を用いたDBFにより、高い分解能で目標を検知できる。
【0054】
第2の実施形態における受信装置10aでは、観測空間に対して形成するN本の直交受信ビームに対応する合成信号を同時に生成せずに、(N/P)本の直交受信ビームに対応する合成信号を同時に生成する処理をP回に分けて行う。マルチビーム合成部14aが同時に生成する合成信号の数を減らすことにより、所定時間内に完了すべき演算処理を減らすとともに、マルチビーム合成部14aの処理規模の増大を抑えることができる。マルチビーム合成部14aの処理規模を抑えることにより、マルチビーム合成部14aのハードウェア構成及びソフトウェア構成の規模が抑えられ、受信装置10aの実装が容易になる。
【0055】
第2の実施形態のレーダシステム100が送信装置20を備える構成について説明したが、レーダシステム100が送信装置20を備えずともよい。レーダシステム100が送信装置20を備えない場合、受信装置10aは、所望の観測空間を分割した複数の分割観測空間ごとに、上述の信号処理を所望の順序で行う。
【0056】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、観測空間をP分割した分割観測空間ごとに複数の直交受信ビームを形成する時分割処理を行う構成について説明した。第2の実施形態における時分割処理では、AD変換器13におけるサンプリング周波数を高くしているため、AD変換器13における処理が増加している。第3の実施形態では、サンプリング周波数を高くせずに、時分割で直交受信ビームを形成して、AD変換器13における処理の増加を抑える構成について説明する。
【0057】
図10は、第3の実施形態におけるレーダシステム100bの構成例を示す図である。レーダシステム100bは、送信装置20と受信装置10bとを備える。なお、受信装置10bが1つの装置として構成される場合について説明するが、第1の実施形態と同様に、受信装置10bの各機能を実現する複数の装置を含むアンテナシステムを構成してもよい。このアンテナシステムと送信装置20とを組み合わせて、レーダシステム100bを構成してもよい。
【0058】
受信装置10bは、N本のアンテナ素子11、N個の周波数変換器12、N個のAD変換器13、マルチビーム合成部14a、(N/P)個の信号処理部15、(N/P)個の補正部15b、スペース変換部16a、拡張アレイ処理部17及びビーム形成部18を備える。受信装置10bは、第1の実施形態におけるアンテナ装置10の変形例であり、マルチビーム合成部14及びスペース変換部16に代えてマルチビーム合成部14a及びスペース変換部16aを備え、補正部15bを更に備える。補正部15bは、信号処理部15ごとに設けられ、合成信号に含まれる周波数成分と、送信装置20により送信された送信信号の周波数成分とから、目標において送信信号が反射した際に生じた周波数変化量(波長変化量)を算出する。補正部15bは、時分割に形成される直交受信ビームでの周波数変化量に基づいて、直交受信ビームそれぞれの合成信号間における位相ズレを補正する。補正部15bが時分割に得られる合成信号間の位相ズレを補正することにより、スペース変換部16aが、異なるタイミングで得られる合成信号からN個のアンテナ素子11の素子信号を得ることができる。
【0059】
図11は、第3の実施形態におけるレーダシステム100bが行う処理を説明する図である。送信装置20は、分割観測空間ごとに送信ビームを向けて、送信信号を時分割で送信する。送信信号は所定数のパルスを含み、各パルスの周波数が同一である。マルチビーム合成部14aは、送信ビーム(b1,b2,…,bN/P)が向けられた分割観測空間ごとに、(N/P)本の直交受信ビームに対応する合成信号を生成する。補正部15bそれぞれは、接続された信号処理部15から出力される合成信号に含まれる所定数のパルスを検出する。補正部15bは、検出したパルスの信号に対してフーリエ変換を行い、ドップラ成分を抽出する。
【0060】
時分割に形成される直交受信ビームそれぞれの合成信号間では、送信装置20のアンテナ素子25と、受信装置10bのアンテナ素子11と、検知対象の目標との相対位置の変化に応じて生じる位相を考慮する必要がある。しかし、抽出されるドップラ成分(ドップラ周波数)を用いることにより、補正部15bは、異なるタイミングの受信信号から取得される合成信号間の位相ずれを補正できる。マルチビーム合成部14aが形成する(N/P)本の直交受信ビームごとの合成信号bn(n=1,2,…,N/P)を式(16)で表す場合、補正部15bによる補正で得られる補正信号bn_calは式(17)で表される。
【0061】
【数16】
【数17】
式(16)における、Wpn、Wn及びXnは、式(1)と同様に、複素ウェイト、サイドローブ低減用のウェイト及びアンテナ素子11の受信信号を表す。式(17)における、fdはドップラ周波数を表し、tは直交受信ビーム形成の時間間隔を表す。
【0062】
ドップラ周波数fdと、直交受信ビームそれぞれが形成される時間間隔tとに基づいて、補正部15bは、合成信号それぞれの位相回転量を算出し、位相回転量を補正する。補正部15bが、直交受信ビームを形成する時間差により生じる位相ずれを抑圧することにより、同時に直交受信ビームを形成する場合と同様の処理を行うことができる。すなわち、AD変換器13におけるサンプリング周波数を高くせずとも、時分割で直交受信ビームを形成して不要波の影響を抑えた補正信号を得ることができる。
【0063】
スペース変換部16aは、各補正部15bにより位相ずれが抑圧された(N/P)個の補正信号に対するゼロ埋めと逆フーリエ変換とにより、N個のアンテナ素子11の素子信号を取得する。スペース変換部16aにより取得される素子信号は、拡張アレイ処理部17へ供給される。拡張アレイ処理部17及びビーム形成部18が行う動作及び処理は、第1の実施形態における動作及び処理と同様であり、受信装置10bは、N本のアンテナ素子11で得られる素子信号の数よりも多いNe個の拡張信号を用いたDBFにより、高い角度軸分解能で目標を検知できる。
【0064】
第3の実施形態における受信装置10bでは、分割観測空間において形成する(N/P)本の直交受信ビームに対応する合成信号を同時に生成せずに、直交受信ビームを時分割で形成して合成信号を得る。合成信号間におけるドップラ成分の差が生じるが、補正部15bが各合成信号のドップラ成分を抑圧する補正を行う。受信装置10bは、補正部15bを備えることにより、AD変換器13のサンプリング周波数を高くすることなく、時分割で直交受信ビームを形成できる。AD変換器13及びマルチビーム合成部14aの処理規模の増大を抑えることにより、AD変換器13及びマルチビーム合成部14aのハードウェア構成及びソフトウェア構成の規模を抑え、受信装置10bの実装が容易になる。
【0065】
なお、第3の実施形態における送信装置20が所定数のパルスを含む送信信号を送信する構成について説明したが、送信装置20は一定の周波数の連続波を含む送信信号を送信してもよい。また、受信装置10bが(N/P)本の直交受信ビームに対応する合成信号からN個の素子信号を取得する構成について説明したが、受信装置10bがN本の直交受信ビームそれぞれに対応する合成信号を時分割で取得し、N個の合成信号からN個の素子信号を取得するようにしてもよい。
【0066】
上記の実施形態におけるアンテナ装置、送信装置及び受信装置は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、CPUがプログラムを実行することにより、ディジタル信号に対する信号処理を行ってもよい。例えば、CPUは、補助記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、マルチビーム合成部、信号処理部、スペース変換部、拡張アレイ処理部、ビーム形成部及び補正部が行う信号処理の一部又はすべてを行ってもよい。
また、アンテナ装置、送信装置及び受信装置における動作のすべて又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。CPUが実行するプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0067】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数のアンテナ素子ぞれぞれで受信する受信信号を用いて観測空間に対してアンテナ素子と同数の直交受信ビームを形成するマルチビーム合成部と、直交受信ビームそれぞれで得られる信号に対する逆フーリエ変換によりアンテナ素子と同数の信号を得る逆フーリエ変換部(スペース変換部)と、逆フーリエ変換部により得られたアンテナ素子と同数の信号に対する拡張アレイ処理によりアンテナ素子数以上の拡張信号を算出する拡張アレイ処理部(演算部)とを持つことにより、目標検知方向の分解能を高めつつ、直交受信ビームの指向方向以外から到来する不要波の影響を抑えることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
10…アンテナ装置、10a,10b…受信装置、11…アンテナ素子、12…周波数変換器、13,13a…AD変換器、14,14a…マルチビーム合成部、15…信号処理部、15b…補正部、16,16a…スペース変換部、17…拡張アレイ処理部、18…ビーム形成部、20…送信装置、21…信号生成器、22…変調器、23…周波数変換器、24…送信給電回路、25…アンテナ素子、100…レーダシステム