(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20221202BHJP
B65D 19/38 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G06K19/077 156
B65D19/38 Z
G06K19/077 220
(21)【出願番号】P 2018233710
(22)【出願日】2018-12-13
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】500352063
【氏名又は名称】株式会社デンソーエスアイ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】仲木 健
(72)【発明者】
【氏名】山内 雅広
(72)【発明者】
【氏名】松本 頼明
(72)【発明者】
【氏名】山鍬 靖
(72)【発明者】
【氏名】赤松 慎也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 純司
(72)【発明者】
【氏名】清水 博長
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-072737(JP,A)
【文献】実開平03-019836(JP,U)
【文献】特開2007-026047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
B65D 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品への個体識別体の取り付け方法であって、
前記個体識別体は、取付体に固定されており、
前記取付体は、前記物品の側面に設けられた前記取付体の装着部に、
前記個体識別体に加わる物理的衝撃を逃す又は吸収するように、前記装着部と前記取付体との接続箇所を支点として折れ曲がり可能に取り付けられて
おり、
前記個体識別体は、前記物品の外周面より内部に納まるように前記装着部に配置される
ことを特徴とする物品への個体識別体取り付け方法。
【請求項2】
前記個体識別体は、前記物品の少なくとも一つの側面から視認可能に前記装着部に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の物品への個体識別体取り付け方法。
【請求項3】
前記個体識別体は、RFタグ,バーコード,二次元コードのいずれか一つ、又は2種以上の組み合わせである
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の物品への個体識別体取り付け方法。
【請求項4】
取付体を介して個体識別体が装着される装着部を側面に備えた物品であって、
前記個体識別体を固定した前記取付体が、前記装着部に対して、前記請求項1~
3記載の方法により取り付けられてなる
ことを特徴とする個体識別体を備える物品。
【請求項5】
取付体を介して個体識別体が装着される装着部を側面に備えた物品であって、
前記個体識別体を固定した前記取付体が、前記装着部に対して、前記個体識別体に加わる物理的衝撃を逃す又は吸収するように、前記装着部と前記取付体との接続箇所を支点として折れ曲がり可能に取り付けられてな
り、
前記個体識別体が、前記物品の外周面より内部に納まるように前記装着部に配置されてなる
ことを特徴とする個体識別体を備える物品。
【請求項6】
前記物品はパレットである
ことを特徴とする請求項
4又は
5に記載の個体識別体を備える物品。
【請求項7】
前記物品は金属製パレットである
ことを特徴とする請求項5~
6のいずれか一項に記載の個体識別体を備える物品。
【請求項8】
前記取付体が透明体からなる
ことを特徴とする請求項5~
7のいずれか一項に記載の個体識別体を備える物品。
【請求項9】
前記取付体が剛性体又は弾性体からなる
ことを特徴とする請求項5~
8のいずれか一項に記載の個体識別体を備える物品。
【請求項10】
前記取付体が、弾性体又はヒンジ構造を介して、前記装着部に対して折れ曲がり可能に取り付けられてなる
ことを特徴とする請求項5~
9のいずれか一項に記載の個体識別体を備える物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRFタグやバーコード,二次元コードなどの個体識別体を所定の物品に取り付けるための方法及び構造に関し、特に、個体識別体に外部から加わる物理的衝撃を緩和・抑制するための個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、任意の物品や対象物に対して、当該物品や対象物に関する所定情報(個体識別情報)を読み書き可能に記憶したICチップを内蔵した所謂RFタグが広く使用されている。
RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ,ICタグ,非接触タグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを備えた電子回路が樹脂フィルム等の基材によって封止・コーティングされた所謂インレイ(インレット)が、タグ(荷札)状に形成されてなる超小型の通信端末であり、読取・書込装置(リーダ・ライタ)によってタグ内のICチップに所定の情報が無線で読み取りや書き込み,読み書き(リードオンリー,ライトワンス,リード・ライト)が行えるようになっている。
【0003】
そして、このようなRFタグに所定の情報を書き込んで任意の物品,対象物等に取り付けることにより、RFタグに記録された情報がリーダ・ライタによりピックアップされ、タグに記録された情報を、当該物品に関する所定情報、例えば、当該物品の名称や識別記号,内容物,成分,管理者,使用者,使用状態,使用状況などの種々の情報を、個体識別情報として認識,出力,表示,更新等させることができる。
このようなRFタグは、ICチップのメモリに数百ビット~数キロビットのデータが記録可能であり、物品等に関する情報としては十分な情報量を記録でき、また、読取・書込装置側とは非接触で通信が行えるため接点の磨耗や傷、汚れ等の心配もなく、さらに、タグ自体は無電源にすることができるため対象物に合わせた加工や小型化・薄型化が可能となる。このため、RFタグは、どのような対象物にも場所を取らずに容易に装着でき、対象物品の個体識別体として使用できることから、近年広く普及している。
【0004】
ところが、このようRFタグは、ICチップとアンテナをフィルムコーティングしたインレイそのものや、インレイを薄型の筐体やホルダなどに収納しただけの構造であるため、そのままの状態では、外部から加わる衝撃等によって故障や誤動作,破損などが生じる原因となる。
例えば、貨物用のパレットやスキッドなどに取り付けられるRFタグは、運搬用のフォークリフトの爪や他のパレット,構造物などが接触・衝突等することによって、恒常的に物理的,機械的な外力・衝撃が加わるおそれのある状態にあり、そのようなパレット等の対象物に取り付けられて用いられるRFタグの場合、外力が加わることによって容易に脱落や損傷・破壊等してしまうおそれがあった。
【0005】
このため、このような外力が加わり易い環境下で使用されるRFタグについては、より強固なカバーやケース,筐体などに収納することで、RFタグを物理的・機械的な衝撃等から保護することが行われている。
例えば、特許文献1-3には、例えばパレットやスキッドに取り付けられるRFタグについて、RFタグをパレットの搭載面(デッキ)の上面又は下面からパレット内部に格納・埋設することで、RFタグに物理的衝撃等が直接加わらないようにする提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-018830号公報
【文献】特開2009-208787号公報
【文献】特開2014-034402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に提案されているような、RFタグをパレット内部に格納・埋設等してしまう構造では、RFタグをパレットの外部から視認することが困難乃至不可能となり、RFタグの存在自体が確認できなくなるという問題が生じる。
例えば、RFタグをパレットの搭載面(デッキ)に埋設等した場合、パレットの側面からはRFタグの存在を視認できず、確認できるのは、非運搬時・非使用時のパレットの上面(又は下面)からのみであり、パレットの運搬中にRFタグを視認・確認することはできなかった。
RFタグは、必要に応じて表面にバックアップ用のバーコードや二次元コードなどが付される場合があり、取り付けられた物品等の外部から視認できなくなると、そのようなバーコード等の読み取りもできなくなってしまう。
【0008】
また、RFタグをパレット内部に埋設等する構造では、パレットに外力が加わると、パレットに接触しているRFタグには逃げがなくなり、特に大きな力が加わることで故障・破壊等が生じるおそれがあった。
また、RFタグをパレットの内部に格納等してしまうと、タグの交換や再度取り付けるのにも手間がかかるという問題もあった。
さらに、パレットが金属製パレットの場合には、RFタグをパレット内部に埋め込むと、RFタグの通信自体が行えなくなるという根本的な問題が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、特殊な保護構造や物品内部への格納・埋設構造等を必要とすることなく、物品に加わる外力がRFタグ等の個体識別体に影響を及ぼすことを可能な限り回避・低減することができ、個体識別体の物品外部からの視認性や通信性能を損なうこともない物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、物品への個体識別体の取り付け方法であって、前記個体識別体は、取付体に固定されており、前記取付体は、前記物品の側面に設けられた前記取付体の装着部に、前記個体識別体に加わる物理的衝撃を逃す又は吸収するように、前記装着部と前記取付体との接続箇所を支点として折れ曲がり可能に取り付けられており、前記個体識別体は、前記物品の外周面より内部に納まるように前記装着部に配置される
構成としてある。
また、本発明に係る物品は、取付体を介して個体識別体が装着される装着部を側面に備えた物品であって、前記個体識別体を固定した前記取付体が、前記装着部に対して、上記本発明に係る方法により取り付けられてなる構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特殊な保護構造や物品内部への格納・埋設構造等を必要とすることなく、物品に加わる外力がRFタグ等の個体識別体に影響を及ぼすことを可能な限り回避・低減することができる。また、個体識別体の物品外部からの視認性や通信性能を損なうこともなくなる。
したがって、本発明によれば、外部から物理的な力や衝撃が加わることの多いパレットやスキッド等に用いられるRFタグ等に好適な個体識別体の取り付け方法及び個体識別体を備える物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1(a)(b)】本発明の一実施形態に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品について、(a)は対象物品となるパレットの使用状態を示す説明図、(b)はパレットの外観斜図である。
【
図1(c)(d)】本発明の一実施形態に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品について、(c)はパレットの装着部に装着された個体識別体の外観図、(d)は対象製品となるカゴ付きの金属製パレットの外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る個体識別体取り付け方法によりパレットに取り付けられた個体識別体の取り付け構造を模式的に示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る個体識別体取り付け方法によりパレットに取り付けられた個体識別体に外力が加わった場合の動作を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品について、(a)は対象物品となるパレットの使用状態を示す説明図、(b)はパレットの外観斜図、(c)はパレットの装着部に装着された個体識別体の外観図である。
また、
図2は、本実施形態に係る個体識別体取り付け方法によりパレットに取り付けられた個体識別体の取り付け構造を模式的に示す側面図である。
【0014】
これらの図に示すように、本実施形態に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品は、対象物品となるパレット10に対して、個体識別体となるRFタグ20を取り付けるための方法及び構造となっている。
具体的には、個体識別体となるRFタグ20は、取付体30に固定されており、RFタグ20を固定した取付体30が、パレット10の側面に設けられた装着部11に装着されるようになっており、これによって、RFタグ20は、外部から加わる物理的衝撃を逃す又は吸収するように、装着部11と取付体30との接続箇所を支点として折れ曲がり可能となるようにパレット10に取り付けられるようになる。
以下、各部を詳細に説明する。
【0015】
[パレット]
パレット10は、スキッドとも呼ばれる、運搬対象となる物や荷物を搭載して運搬・搬送される際に使用される荷役台であり、本発明の適用対象となる個体識別体が取り付けられる物品を構成している。
具体的には、パレット10は、
図1(a)及び(b)に示すように、運搬対象物を搭載可能な搭載面となる矩形状の上面デッキ10a及び下面デッキ10bと、上下面デッキ10a,10bの間にフォークリフト100の爪100a(
図3参照)が挿入される空間を形成する複数の桁10cを備えており、複数の各桁10cの間にフォークリフト100の爪100aが挿入されて、使用・運搬されるようになっている。
【0016】
上下面デッキ10a,10bは、いずれを搭載面として使用できるように同形・同大に形成され、また、パレット10を上下方向に重ねて積層できるようになっている。
桁10cは、パレット10の側面の二方向又は四方向からフォークリフト100の爪100aが挿入可能な空間を形成している。
このようなパレット10は、木製,合成樹脂製,金属製などがあり、耐久性などの面からは金属製パレットが好適に使用される。本実施形態のパレット10も、金属製パレットが用いられることを想定している。また、
図1(d)に示すような、搭載物の転落防止などのためのカゴ付きの金属製パレット200が用いられることもある。
そして、本実施形態では、パレット10(200)の側面の所定位置に、RFタグ20を取り付けるための装着部11が備えられるようになっている。
【0017】
[装着部]
装着部11は、後述する取付体30を介してRFタグ20が装着される装着領域であり、本実施形態では、
図1(b)に示すように、フォークリフト100の爪100aが挿入されることを想定していない(挿入される可能性の低い)、パレット10の側面のほぼ中心において、上下面デッキ10a,10bの間の空間を利用して構成されるようになっている。
ここで、装着部11は、パレット10の4方向の側面の少なくとも一つの側面に設けることができ(
図1(b)参照)、必要に応じて、パレット10の任意の複数の側面に設けることもできる。また、パレット10の同一側面において、複数の装着部11を設けることも可能である。
【0018】
このような装着部11を備えることによって、RFタグ20は、パレット10の上下面デッキ10a,10bの内部に格納,埋設等されることなく、また、特別な保護構造等を必要とすることなく、パレット10に装着・取り付けすることができる。
そして、このような装着部11に装着されたRFタグ20は、
図1(b)及び(c)に示すように、パレット10の側面から視認可能な状態で装着部11に配置されるようになる。これによって、RFタグ20は、パレット10の外部から一目でその存在を視認・確認できるように、RFタグ20にバックアップ用のバーコードや二次元コード等がある場合にもそれらを容易かつ確実に読み取り等することができ、さらに、RFタグ20の着脱・交換等も容易に行えるようになる。
【0019】
また、装着部11に装着・配置されるRFタグ20は、パレット10の外周面より内部に納まるように装着部11に配置されるようになっている(
図2参照)。
このような構成により、装着部11に装着されたRFタグは、パレット10の上下面デッキ10a,10bの外縁よりもパレット内側に位置することになり、パレット10の上下方向からRFタグ20に対して他の物体等が接触したり衝突したりすることがなくなり、RFタグ20は装着部11の内部において確実に保護・ガードされることになる。
なお、装着部11に装着されるRFタグ20の配置位置は、パレット10の上下面デッキ10a,10bの外縁よりもパレット内側であって、上述したように、パレット10の外部からのRFタグ20の視認性や着脱性,バーコード等の読取性等が損なわれない適切な位置に配置される。例えば、パレット10の外周から約2~3cm程度パレット内側の位置にRFタグ20が配置されるようにすることが好ましい。
【0020】
[RFタグ]
上記のような装着部11に装着されるRFタグ20は、リーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、RFタグ20は、ICチップと、ICチップが搭載されるループ回路アンテナと、ループ回路アンテナの両側に伸びるダイポールアンテナを備えたインレイと、インレイを収納するケース・筐体などで構成されている。
【0021】
ここで、RFタグ20が備えるICチップは、メモリ等の半導体チップからなり、例えば数百ビット~数キロビットのデータが記録可能となっている。
ICチップには、アンテナが接続され、アンテナの一部がチップ周囲を囲むようにループ状の回路導体として接続されてループ回路部を構成しており、ループ回路部を経由して、ICチップの左右両側や片側にアンテナが接続されている。
そして、ループ回路部によってICチップのインピーダンス整合が図られつつ、アンテナを介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップに記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップに記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
【0022】
また、RFタグ20で使用される通信周波数帯としては、例えば所謂UHF帯に属する860~960MHz帯を対象とすることができる。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860~960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
【0023】
例えば、取付対象となるパレット10の邪魔とならず、大きな設置スペース(装着部11)も必要ないよう小型化されたRFタグ20であれば、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とすることができ、例えば860MHz帯や920MHz帯を対象とすることができ、これらの周波数帯において良好な通信特性が得られるような取り付け構造を採用することが可能となる。
但し、RFタグ20の大きさの制約等がなければ、本発明に係る技術思想自体は、RFタグ20の通信周波数は、特定の周波数帯に限定されるものではなく、例えばUHF帯以外の任意の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
【0024】
なお、以上のようなRFタグ20は、具体的な構成や構造・機能等については、特に限定されるものではない。
例えば、既存の汎用タグや、特定の製品・用途などにカスタマイズされた専用タグなど、任意のものを対象とすることができ、その構成や形状・大きさ・機能などはどのようなものであっても、本実施形態に係るRFタグ20として採用することができる。
すなわち、無線通信可能なRFタグとして動作・機能するものであれば、本実施形態のRFタグ20として適用することができる。
【0025】
また、RFタグ20には、例えばインレイを収納した筐体の表面などに、バックアップ用のバーコードや二次元コードが付されることがある。このようなバーコード,二次元コードについても、本発明の個体識別体を構成することができる。
また、RFタグ20に代えて、バーコード又は二次元コードを、単独又は組み合わせて装着部11に取り付けることも可能である。
したがって、本発明に係る個体識別体は、RFタグ,バーコード,二次元コードのいずれか一つ、又は2種以上の組み合わせによって構成することができるものである。
【0026】
[取付体]
取付体30は、RFタグ20をパレット10の装着部11に装着するための介在部材であって、RFタグ20が固定された取付体30が装着部11に取り付けられることによって、装着部11の内部に装着・配置される。
そして、取付体30は、外部から例えばフォークリフト100の爪100aが進入してRFタグ20に物理的衝撃が加わると、その物理的衝撃を逃す又は吸収するように、装着部11との接続箇所を支点として折れ曲がるようになる。
これによって、RFタグ20に物理的な外力が加わったとしても、取付体30が折れ曲がることによって、その物理的な外力が逃がされ又は吸収されて、RFタグ20に衝撃が加わることが回避乃至低減されるようになる。
【0027】
具体的には、取付体30は、RFタグ20に加わる外力によって折れ曲がり可能な弾性力を有する弾性体、例えばゴムや合成樹脂等によって形成することができる。
また、取付体30は、RFタグ20に加わる外力によって折れ曲がり可能な折れ曲がり・折り畳み構造体、例えばヒンジ構造・蝶番等によって形成することもできる。
また、このような弾性体やヒンジ構造からなる取付体30は、その一部に折れ曲がり不能な剛性体を含むこともできる。
【0028】
また、取付体30は、装着部11に取り付けられた状態において、取付体30の表面(又は裏面)に固定されているRFタグ20が、パレット10の外周面より内部に納まるように、例えば、パレット10の外周から約2~3cm程度パレット内側の位置にRFタグ20が配置されるように、装着部11に取り付け・固定される(
図2参照)。
これによって、取付体30を介して装着部11に装着されたRFタグは、パレット10の上下面デッキ10a,10bの外縁よりもパレット内側に位置するようになり、パレット10の上下方向からRFタグ20に対して他の物体等が接触したり衝突したりすることが防止される。
この取付体30の装着部11の取り付け位置は、パレット10の上下面デッキ10a,10bの外縁よりもパレット内側であって、上述したように、パレット10の外部からのRFタグ20の視認性や着脱性,バーコード等の読取性等が損なわれない適切な位置に設定される。
【0029】
[取り付け構造]
次に、以上のような取付体30とその取り付け構造の具体的な内容について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2(a)に示す取付体30aは、例えば金属製のL字金具(治具)31aと、弾性体32aとで構成されている。この場合、L字金具31aは剛性体であり、弾性体32aのみが上述した弾性体材料によって形成されている。
この取付体30aは、パレット10の装着部11を構成する上面デッキ10aのパレット内部底面側の所定位置(例えばパレット10の外縁から数cm程度内側の位置)に、L字金具31aが例えばボルト止めや溶接等によって接続・固定され、装着部11内に垂下された状態で配置される。また、弾性体32aの表面には、RFタグ20が例えば接着剤やボルト止め等によって固定される。
【0030】
そして、装着部11に固定されたL字金具31aに対して、RFタグ20が固定された弾性体32aが、RFタグ20が装着部11(パレット10)の外側(側面前方)を向くようにして配置され、例えばボルト止めや接着剤等によって取り付け・固定される。
これによって、RFタグ20は、弾性体32a及びL字金具31aを介してパレット10の装着部11(上面デッキ10a)に装着・固定される。
このような取り付け構造において、パレット10の外部(装着部11の前方)から例えばフォークリフト100の爪100aが進入してRFタグ20に外力が加わると、
図3に示すように、弾性体32aがL字金具31aとの接続箇所を支点として折れ曲がる。
これによって、RFタグ20に加わる物理的な衝撃は後方(パレット内側方向)に吸収・緩和されることになり、RFタグ20が衝撃によって脱落・破壊等されることが回避されるようになる。
【0031】
図2(b)に示す取付体30bは、例えばL字形状に形成された弾性体32bのみによって構成されている。この場合、取付体30bの全体が上述した弾性体材料によって形成されることになる。
この取付体30bは、装着部11を構成する上面デッキ10aのパレット内部底面側の所定位置に、L字形状の弾性体32bが、RFタグ20が装着部11(パレット10)の外側を向くようにして配置され、例えばボルト止め等によって接続・固定される。
これによって、RFタグ20は、弾性体32bを介してパレット10の装着部11(上面デッキ10a)に装着・固定される。
【0032】
このような取り付け構造において、パレット10の外部からRFタグ20に外力が加わると、上述した
図2(a)の場合と同様に、弾性体32bが装着部11(上面デッキ10a)との接続箇所を支点として折れ曲がり、RFタグ20に加わる物理的な衝撃が吸収・緩和されるようになる(
図3参照)。
また、この
図2(b)に示す取り付け構造の場合、
図2(a)の取り付け構造と比較して、取付体30bを弾性体32bのみで構成できることから、部品点数を少なくすることができ、取り付け作業の容易化やコスト低減を図ることができるようになる。
【0033】
図2(c)に示す取付体30cは、
図2(a)の場合とほぼ同様の構成となっており、金属製等のL字金具(治具)31cと、弾性体32cとで構成されており、
図2(a)と同様にボルト等によって装着部11に取り付けられるようになっている。
そして、この取り付け構造では、
図2(a)の場合と異なり、RFタグ20は、弾性体32cの裏面側(パレット内側)に配置され、装着部11(パレット10)の外側からは、弾性体32cによって隠されるようになる。
【0034】
これによって、パレット10の外部からフォークリフト100の爪100aが進入しても、RFタグ20には爪100aが直接接触,当接することがなく、弾性体32cを介して間接的に外力が加わることになり、RFタグ20の表面が爪100aなどによって傷付くことを防止できるようになる。
また、この場合には、RFタグ20が弾性体32cの裏面側に配置されることから、弾性体32cは透明体によって構成することが望ましい。
これによって、RFタグ20は透明な弾性体32cを介してパレット10の外部から視認・確認することができ、バックアップ用のバーコード等も透明な弾性体32cを介して読み取りが行えるようになる。
【0035】
図2(d)に示す取付体30dは、
図2(a)の場合とほぼ同様に、金属製等のL字金具(治具)31dと、弾性体32dを備え、さらに、RFタグ20を固定するための剛体33dを備えており、剛体33dが弾性体32dに固定されることで、RFタグ20が装着部11に取り付けられるようになっている。
ここで、剛体33dとしては、例えば金属製や合成樹脂製のプレートなどで構成することができる。
この場合には、RFタグ20は予め剛体33dと一体的に取り付け,固定しておくことができ、剛体33dとともに弾性体32dに対して着脱することで、装着部11への取り付けや交換をより容易にすることができるようになる。
【0036】
図2(e)に示す取付体30eは、
図2(d)の場合とほぼ同様の構成となっており、L字金具(治具)31eと、RFタグ20を固定した剛体33eを備えているが、弾性体32dに代えて、ヒンジ32eを備える点が異なっている。
このように弾性体に代えてヒンジ構造を備えた取付体30によっても、パレット10の外部からRFタグ20に外力が加わると、
図2(a)-(d)に示した弾性体の場合と同様に、ヒンジ32eがL字金具31eとの接続箇所を支点として折れ曲がり、RFタグ20に加わる物理的な衝撃が吸収・緩和されることになる(
図3参照)。
このように、外力によって折れ曲がることが可能であれば、弾性変形する弾性体であっても、折れ曲がり構造を有するヒンジ・蝶番であっても、取付体30の構成要素とすることができ、コスト等に応じて好適な部品等を選択・採用することができる。
【0037】
[取り付け方法]
次に、以上のような構造を有する本実施形態に係るRFタグ20を固定した取付体30のパレット10への取り付け方法について説明する。
まず、RFタグ20は、予め取付体30の一部に対して取り付けて固定しておく。
具体的には、上述した
図2(a)-(c)に示す構造の場合には、弾性体32a-32cに対して、RFタグ20を例えば接着剤やボルト止め等によって固定する。
また、
図2(d)及び(e)に示す構造の場合には、剛体33d,33eに対して、RFタグ20を固定しておく。
【0038】
次に、RFタグ20を固定した取付体30の弾性体32又は剛体33に対して、取付体30の他の構成要素を取り付けて、取付体30の組み立てを完成させる。
なお、
図2(b)に示す構造では、取付体30bが弾性体32b単体で構成されているので、以下のような組み立て作業は不要である。
具体的には、
図2(a)又は(c)に示す構造の場合には、RFタグ20を固定した弾性体32a又は32cと、L字金具31とを、例えばボルト止めや接着剤等によって接続・固定する。
この場合、
図2(a)と
図2(c)とでは、RFタグ20の向きが、それぞれパレット外側又は内側となるように、L字金具31と弾性体32とを固定する。
【0039】
また、
図2(d)に示す構造の場合には、RFタグ20を固定した剛体33dを、間に弾性体32dを挟んだ状態で、L字金具31に対してボルト止め等によって固定する。この場合、剛体33dと弾性体32d、弾性体32dとL字金具31dを、それぞれ別々に固定することもでき、また、剛体33dと弾性体32dとL字金具31dとを、例えば一つのボルト止めによって一体的に固定することもできる。
また、
図2(e)に示す構造の場合には、RFタグ20を固定した剛体33dを、ヒンジ32eの一方の蝶番に、また、L字金具31dをヒンジ32eのもう一方の蝶番に、それぞれボルト止め等によって固定する。
【0040】
次に、組み立てが完成した取付体30を、パレット10の装着部11に取り付けて固定する。
具体的には、取付体30aを、パレット10の装着部11を構成する上面デッキ10aのパレット内部底面側の所定位置(例えばパレット10の外縁から数cm程度内側の位置)に、L字金具31(
図2(a),(c)-(d)の場合)又は弾性体32(
図2(b)の場合)を、例えばボルト止めや溶接等によって接続・固定する。
なお、取付体30のL字金具31(
図2(a),(c)-(d)の場合)を、先に装着部11に接続・固定し、その後に、RFタグ20を固定してある弾性体32a,32c,32d、ヒンジ32eをL字金具31に対して接続・固定することもできる。
以上により、RFタグ20を固定した取付体30のパレット10への取り付けが完了する。
【0041】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品によれば、まず、パレット10の装着部11に取り付けられた取付体30は、弾性体32a-32d又はヒンジ32eによって、RFタグ20に加わる物理的衝撃を逃す又は吸収するように、装着部11と取付体30との接続箇所を支点として折れ曲がり可能な状態で装着・配置されるようになる。
したがって、RFタグ20に物理的な外力が加わったとしても、取付体30が折れ曲がることによって、その物理的な外力が逃がされ又は吸収されて、RFタグ20に衝撃が加わることを回避乃至低減させることができるようになる。
【0042】
また、RFタグ20は、パレット10の少なくとも一つの側面から視認可能に装着部11に配置されるため、パレット10の外部から一目でその存在を視認・確認でき、RFタグ20にバックアップ用のバーコード等が備えられる場合にも読み取り等が簡単に行え、さらに、RFタグ20の着脱・交換等も容易に行えるようになる。また、パレット10の外周面近傍に配置されるRFタグ20は、パレット10が金属製の場合であっても、通信特性が阻害されることはなく、円滑・良好な無線通信が行えるようになる。
さらに、取付体30を介して装着部11内に装着・配置されたRFタグ20は、パレット10の外周面より内部に納まるように装着部11に配置されるため、パレット10の上下方向からRFタグ20に物体等が接触・衝突することが防止され、RFタグ20は装着部11の内部において確実にガードされるようになる。
【0043】
このように、本発明によれば、特殊な保護構造や物品内部への格納・埋設構造等を必要とすることなく、物品に加わる外力がRFタグ等の個体識別体に影響を及ぼすことを可能な限り回避・低減することができる。また、個体識別体の物品外部からの視認性や通信性能を損なうこともなくなる。
したがって、例えば運搬用のパレットやスキッド、貨物用のコンテナ,カゴ台車,カートラックなどのように、特に外部から物理的な力や衝撃が加わることの多い対象物等に装着されるRFタグ等の個体識別体の取り付け方法・取り付け構造に好適に適用することができる。
【0044】
以上、本発明の物品への個体識別体取り付け方法及び個体識別体を備える物品について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る個体識別体(RFタグ)を使用する物品として、運搬用,貨物用などに使用されるパレットを例示しているが、本発明を適用できる物品,対象物としては、パレットに限定されるものではない。
すなわち、RFタグ等の個体識別体が装着されて、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされて管理等される物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係る取り付け方法や取り付け構造を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば貨物用のパレットやコンテナなど、任意の物品や対象物に取り付けられて使用される、耐久性や耐衝撃性等を高めるためにRFタグ等の個体識別体の取り付け方法・取り付け構造として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 パレット
11 装着部
20 RFタグ
30 取付体
100 フォークリフト
200 カゴ付き金属製パレット