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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】避難扉
(51)【国際特許分類】
   E21F 11/00 20060101AFI20221202BHJP
   E05D 15/48 20060101ALI20221202BHJP
   E06B 3/50 20060101ALI20221202BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20221202BHJP
   E05C 9/04 20060101ALI20221202BHJP
   E21F 17/103 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
E21F11/00
E05D15/48 B
E06B3/50
E06B7/16 Z
E05C9/04
E21F17/103
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018246730
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020105844
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】平垣 駿
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-138774(JP,A)
【文献】実開昭61-187892(JP,U)
【文献】特開2017-002618(JP,A)
【文献】実開昭63-042779(JP,U)
【文献】登録実用新案第3119781(JP,U)
【文献】特開平11-247521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 11/00
E05D 15/48
E06B 3/50
E06B 7/16
E05C 9/04
E21F 17/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難連絡坑と車道トンネルを連通する車両用開口部を開閉する開き扉と、前記開き扉に形成された人道用開口部を開閉する引き戸と、を備えた避難扉において、
前記開き扉は、第1扉体と第2扉体とからなる両開き扉であり、前記開き扉の閉鎖姿勢時には、前記第1扉体に形成された第1開口半部と前記第2扉体に形成された第2開口半部とが連続して前記人道用開口部を形成しており、
前記引き戸は、前記第1開口半部を開閉する第1スライド扉と前記第2開口半部を開閉する第2スライド扉とからなる両引き戸であ
前記第1扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第1開口半部の上側に位置する第1戸先側端面、前記第1開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面を備え、
前記第2扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第2開口半部の上側に位置する第1戸先側端面、前記第2開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面を備え、
閉鎖姿勢時には、前記第1扉体の前記第1戸先側端面と前記第2扉体の前記第1戸先側端面が近接対向しており、前記第1扉体の前記第2戸先側端面と前記第2扉体の前記第2戸先側端面の間に前記人道用開口部が形成されており、前記第1開口半部を閉鎖する前記第1スライド扉の戸先側端面と前記第2開口半部を閉鎖する前記第2スライド扉の戸先側端面が当接もしくは近接している、
避難扉。
【請求項2】
前記第1扉体の前記第1開口半部の上側に位置する第1戸先側部位、前記第2扉体の前記第2開口半部の上側に位置する第1戸先側部位のいずれか一方には、車道トンネル側に位置して目板部が設けられ、
前記目板部は、閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の前記第1戸先側端面と、前記第2扉体の前記第1戸先側端面の間の隙間を、車道トンネル側から覆う、
請求項に記載の避難扉。
【請求項3】
前記第1扉体の避難連絡坑側には、前記第1開口半部の戸尻側に位置して、前記第1見付面から離間して高さ方向に延びる第1縦枠が設けられ、前記第1縦枠と前記第1見付面の間の空間を第1スライド扉が移動するようになっており、前記第1縦枠の見付面には前記第1扉体の操作部が設けてあり、
前記第2扉体の避難連絡坑側には、前記第2開口半部の戸尻側に位置して、前記第1見付面から離間して高さ方向に延びる第2縦枠が設けられ、前記第2縦枠と前記第1見付面の間の空間を第2スライド扉が移動するようになっており、前記第2縦枠の見付面には前記第2扉体の操作部が設けてある、
請求項1、2いずれか1項に記載の避難扉。
【請求項4】
前記第1扉体の前記第2戸先側端面の下方部位には、当該第1扉体の開放姿勢固定に用いる係止ロッドが設けてあり、
前記第2扉体の前記第2戸先側端面の下方部位には、当該第2扉体の開放姿勢固定に用いる係止ロッドが設けてある、
請求項1~3いずれか1項に記載の避難扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部に設置される避難扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上り道と下り道が間隔を存して並行して走る高速道路等において、上り道と下り道のトンネル同士を連結する避難連絡坑が設けられる。避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部には避難扉が設けてある。
【0003】
避難扉として、特許文献1に開示された避難連絡トンネル用の防災ドアは、該トンネルの開口部を開閉する開き扉と、該開き扉に設けた引き戸とから構成し、該開き扉を開放することで車両用避難開口部を形成し、該引き戸を開放することで人道用避難開口部を形成することを特徴としている。
【0004】
このような避難扉においては、車道トンネル内の風圧力によって、扉の開放力が重くなる場合があるが、災害時等に車道用開口部を迅速に確保するためには、扉に風圧力が作用している場合であっても、扉の開放力を軽減する工夫を施すことが望ましい。また、災害時等に人が避難する際に、人道用開口部を迅速に確保することも重要である。
【文献】特開2002-138774
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1に開示された防災ドアを、操作性の観点から改良するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
避難連絡坑と車道トンネルを連通する車両用開口部を開閉する開き扉と、前記開き扉に形成された人道用開口部を開閉する引き戸と、を備えた避難扉において、
前記開き扉は、第1扉体と第2扉体とからなる両開き扉であり、前記開き扉の閉鎖姿勢時には、前記第1扉体に形成された第1開口半部と前記第2扉体に形成された第2開口半部とが連続して前記人道用開口部を形成しており、
前記引き戸は、前記第1開口半部を開閉する第1スライド扉と前記第2開口半部を開閉する第2スライド扉とからなる両引き戸である、
避難扉、である。
1つの態様では、第1扉体と第2扉体は左右対称の同一形状・同一寸法を備え、第1スライド扉と第2スライド扉は左右対称の同一形状・同一寸法を備えている。
【0007】
1つの態様では、前記第1扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第1開口半部の上側に位置する第1戸先側端面、前記第1開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面を備え、
前記第2扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第2開口半部の上側に位置する第1戸先側端面、前記第2開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面を備え、
閉鎖姿勢時には、前記第1扉体の前記第1戸先側端面と前記第2扉体の前記第1戸先側端面が近接対向しており、前記第1扉体の前記第2戸先側端面と前記第2扉体の前記第2戸先側端面の間に前記人道用開口部が形成されており、前記第1開口半部を閉鎖する前記第1スライド扉の戸先側端面と前記第2開口半部を閉鎖する前記第2スライド扉の戸先側端面が当接もしくは近接している。
【0008】
1つの態様では、前記第1扉体の前記第1開口半部の上側に位置する第1戸先側部位、前記第2扉体の前記第2開口半部の上側に位置する第1戸先側部位のいずれか一方には、車道トンネル側に位置して目板部が設けられ、
前記目板部は、閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の前記第1戸先側端面と、前記第2扉体の前記第1戸先側端面の間の隙間を、車道トンネル側から覆う。
【0009】
1つの態様では、前記第1扉体の避難連絡坑側には、前記第1開口半部の戸尻側に位置して、前記第1見付面から離間して高さ方向に延びる第1縦枠が設けられ、前記第1縦枠と前記第1見付面の間の空間を第1スライド扉が移動するようになっており(前記第1スライド扉は、前記第1開口半部の避難連絡坑側を閉鎖する)、前記第1縦枠の見付面には前記第1扉体の操作部が設けてあり、
前記第2扉体の避難連絡坑側には、前記第2開口半部の戸尻側に位置して、前記第1見付面から離間して高さ方向に延びる第2縦枠が設けられ、前記第2縦枠と前記第1見付面の間の空間を第2スライド扉が移動するようになっており(前記第2スライド扉は、前記第2開口半部の避難連絡坑側を閉鎖する)、前記第2縦枠の見付面には前記第2扉体の操作部が設けてある。
1つの態様では、前記操作部は、グレモンハンドルである。
【0010】
1つの態様では、開き扉の閉鎖姿勢時に、前記第1扉体は上端、下端において躯体(後述する実施形態では枠体、床面)に係止し、前記第2扉体は上端、下端において躯体(後述する実施形態では枠体、床面)に係止し、前記第1扉体の前記第1開口半部の上側の第1戸先側部位と前記第2扉体の前記第2開口半部の上側の第1戸先側部位とを係止することで、開き扉の閉鎖姿勢が固定される。
1つの態様では、前記開き扉は、前記操作部の第1操作によって、躯体(例えば、上枠や床面)に対して係止状態となって閉鎖姿勢が維持され、前記操作部の第2操作によって、躯体に対する係止状態が解除されることで開放可能となる。
1つの態様では、前記第1扉体の前記第2戸先側端面の下方部位には、当該第1扉体の開放姿勢固定に用いる係止ロッドが設けてあり、
前記第2扉体の前記第2戸先側端面の下方部位には、当該第2扉体の開放姿勢固定に用いる係止ロッドが設けてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、第1扉体と第2扉体からなる両開き扉で車両用開口部を開閉し、第1扉体、第2扉体のそれぞれに設けた第1スライド扉、第2スライド扉によって人道用開口部を開閉するようにしたので、第1扉体と第2扉体の大きさを同じにすることができ、同じ開口幅を備えた車両用開口部を幅広の親扉と幅狭の子扉からなる両開き扉を用いて開閉する場合と比較して、第1扉体、第2扉体の面部の面積を、幅広の親扉の面部の面積よりも小さくすることができる。したがって、最初に開放する第1扉体あるいは第2扉体の面部に作用する風圧力は、幅広の親扉の面部に作用するであろう風圧力よりも小さいので、最初に幅広の親扉を開放する場合に比べて、操作力が軽くなる。
本発明に係る引き戸は引き分け式の両引き戸であるので、引き戸を片引きの引き違い引き戸から形成する場合に比べて、災害時に人が避難する際に、左右どちらの方向から人が来ても引き戸の開放の操作性が良く、また、第1スライド扉と第2スライド扉を同時に開放させることで迅速に人道用開口部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】避難連絡坑側から見た避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の正面図である。
図2】車道トンネル側から見た避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の正面図である。
図3】避難連絡坑ドアの縦断面図(図1の左側の扉体の戸先側部位から右側を見た縦断面図)である。
図4】避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の下側部位(人道用開口部)の横断面である。
図5】避難連絡坑ドア(開き扉が開放姿勢)の横断面図である。
図6】閉鎖姿勢にある両引き戸の戸先側部位を示す横断面図である。
図6A】閉鎖姿勢にある両引き戸の戸先側部位の他の実施形態を示す横断面図である。
図7】閉鎖姿勢にある両開き扉の戸先側部位を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る避難連絡坑ドアは、避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部1に設置される。図中、Aは車道トンネル側、Bは避難連絡坑側を表しており、避難連絡坑の壁面をWで表している。
【0014】
開口部1は躯体に設けられた四周状の枠体2に囲まれた領域に形成されており、枠体2は、左右の縦枠20、21と、上枠22と、下枠23と、からなり、開口部1は、枠体2に取り付けられた開き扉によって開閉されるようになっている。本実施形態では、開き扉は、第1扉体3と第2扉体4を備えた両開き扉であって、第1扉体3と第2扉体4は、同じ全幅寸法を備えている。
【0015】
第1扉体3の戸尻側部位は、枠体2の縦枠20の上下に位置して設けた回動支持部3aに回動可能に装着されており、第2扉体4の戸尻側部位は、枠体2の縦枠21の上下に位置して設けた回動支持部4aに回動可能に装着されている。第1扉体3、第2扉体4は、それぞれドアクローザDC1、DC2を備えており、第1扉体3、第2扉体4は、それぞれドアクローザDC1、DC2によって開放姿勢から閉鎖方向に回動して閉鎖姿勢となる。
【0016】
第1扉体3の第1の幅寸法、第2扉体4の第2の幅寸法は、これらの合計が、開口部1の開口幅と略同じとなるような寸法を有しており、閉鎖姿勢にある第1扉体3及び第2扉体4によって、開口部1が閉鎖される(図1図2図4)。第1扉体3及び第2扉体4は、閉鎖姿勢から避難連絡坑側Bに回動することで、開口部1を開放するようになっている。開口部1は、車両の通行が可能な車両用開口部であり、図5に示すように、第1扉体3及び第2扉体4が閉鎖姿勢から略90度回動して開放姿勢となることで車道有効開口幅が得られる。
【0017】
図1図2図4に示すように、閉鎖姿勢にある第1扉体3、第2扉体4において、第1扉体3の戸先側半部、第2扉体4の戸先側半部に跨るように人道用開口部としての開口部5が形成されている。開口部5の一方の半部(第1開口半部50)が第1扉体3に形成されており、第1開口半部50は第1扉体3に設けた第1スライド扉6によって開閉され、閉鎖姿勢の第1スライド扉6が第1扉体3の戸尻側に向かってスライド移動することで、第1開口半部50を開放する。開口部5の他方の半部(第2開口半部51)が第2扉体4に形成されており、第2開口半部51は第2扉体4に設けた第2スライド扉7によって開閉され、閉鎖姿勢の第2スライド扉7が第2扉体4の戸尻側に向かってスライド移動することで、第2開口半部51を開放する。
【0018】
本実施形態では、開き扉は、第1扉体3と第2扉体4からなる両開き扉であり、引き戸は、第1スライド扉6と第2スライド扉7からなる両引き戸であり、第1扉体3と第2扉体4は、左右対称であることを除いて、基本的な形状や寸法(扉体の高さ、幅、厚さ等、開口部の高さ・幅)は同じであり、第1スライド扉6と第2スライド扉7は、左右対称であることを除いて、基本的な形状や寸法(扉体の高さ、幅、厚さ等)は同じである。
【0019】
第1扉体3は、第1扉体3の閉鎖姿勢時において避難連絡坑側Bに位置する第1見付面30と、第1扉体3の閉鎖姿勢時において車道トンネル側Aに位置する第2見付面31と、戸尻側端面32と、上側の第1戸先側端面33と、第1戸先側端面33に対して戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面34と、第1戸先側端面33の下端と第2戸先側端面34の上端を連結する中間水平面35と、第1扉体3の全幅に亘って延びる上面36と、第1扉体3の戸尻側の半幅の下端に位置する下面37と、を有する。第1扉体3の中間水平面35、第2戸先側端面34が、それぞれ、開口部5の第1開口半部50の上面、戸尻側側面となっている。第1扉体3の戸先側部位は、開口部5の第1開口半部50の戸先側の上側に位置する上側の第1戸先側部位(第1戸先側端面33及びその近傍部位)と、開口部5の第1開口半部50の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位(第2戸先側端面34及びその近傍部位)と、からなる。
【0020】
第2扉体4は、第2扉体4の閉鎖姿勢時において避難連絡坑側Bに位置する第1見付面40と、第2扉体4の閉鎖姿勢時において車道トンネル側Aに位置する第2見付面41と、戸尻側端面42と、上側の第1戸先側端面43と、第1戸先側端面43に対して戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面44と、第1戸先側端面43の下端と第2戸先側端面44の上端を連結する中間水平面45と、第2扉体4の全幅に亘って延びる上面46と、第2扉体4の戸尻側の半幅の下端に位置する下面47と、を有する。第2扉体4の中間水平面45、第2戸先側端面44が、それぞれ、開口部5の第2開口半部51の上面、戸尻側側面となっている。第2扉体4の戸先側部位は、開口部5の第2開口半部51の戸先側の上側に位置する上側の第1戸先側部位(第1戸先側端面43及びその近傍部位)と、開口部5の第2開口半部51の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位(第2戸先側端面44及びその近傍部位)と、からなる。
【0021】
第1扉体3、第2扉体4の閉鎖姿勢時には、第1扉体3の第1見付面30と第2扉体4の第1見付面40は面一であり(同一垂直面内に位置しており)、第1扉体3の第2見付面31と第2扉体4の第2見付面41は面一である(同一垂直面内に位置している)、第1扉体3の上側の第1戸先側端面33と第2扉体4の上側の第1戸先側端面43は隙間を存して近接対向している。
【0022】
第2扉体4の第2見付面41には、上側の第1戸先側端面43から突出するように目板部48が設けてある。開き扉の閉鎖姿勢時において、第2扉体4の第2見付面41の上側の第1戸先側部位に設けた目板部48の気密部材480が、第1扉体3の第2見付面31の上側の第1戸先側部位に当接しており、目板部48によって、第1扉体3の第1戸先側端面33と第2扉体4の第1戸先側端面43の間の隙間を車道トンネル側Aから塞いでいる(図2図7参照)。
【0023】
第1扉体3の第2戸先側端面34の下方部位には第1扉体3の開放姿勢固定に用いる係止ロッドR1が上下動可能に設けてあり(図2参照)、係止ロッドR1は上動位置では係止ロッドR1の下端は第1扉体3の下面37と同面あるいは上側に位置しており、下動位置では、係止ロッドR1の下端は第1扉体3の下面37から下方に突出する。第1扉体3を開放姿勢まで回動した時に係止ロッドR1を下動させて床面の所定位置C1に設けた係止孔に係止させることで、第1扉体3の開放姿勢が固定される(図5参照)。係止ロッドR1を上動させて第1扉体3の開放姿勢固定を解除することで、第1扉体3はドアクローザDC1によって閉鎖姿勢まで回動する。第1扉体3の下端に、第1扉体3の回動時に戸先側を支持する補助ローラ(図示せず)を設けてもよい。
【0024】
第2扉体4の第2戸先側端面44の下方部位には第2扉体4の開放姿勢固定に用いる係止ロッドR2が上下動可能に設けてあり(図2参照)、係止ロッドR2は上動位置では係止ロッドR2の下端は第2扉体4の下面47と同面あるいは上側に位置しており、下動位置では、係止ロッドR2の下端は第2扉体4の下面47から下方に突出する。第2扉体4を開放姿勢まで回動した時に係止ロッドR2を下動させて床面の所定位置C2に設けた係止孔に係止させることで、第2扉体4の開放姿勢が固定される(図5参照)。係止ロッドR2を上動させて第2扉体4の開放姿勢固定を解除することで、第2扉体4はドアクローザDC2によって閉鎖姿勢まで回動する。第2扉体4の下端に、第2扉体4の回動時に戸先側を支持する補助ローラ(図示せず)を設けてもよい。
【0025】
引戸装置の第1スライド扉6は正面視長方形状のパネルであり、避難連絡坑側Bに位置する第1見付面60と、車道トンネル側Aに位置する第2見付面61と、戸先側端面62と、戸尻側端面63と、を備えており、上端にはハンガーローラHR1が設けてあり、下端にはガイドローラGR1が設けてあり、第1見付面60及び第2見付面61の戸先側部位には取手H3が設けてある。開放姿勢となった第1スライド扉6は、自閉装置DC3によって閉鎖方向にスライド移動して閉鎖姿勢となる。第1スライド扉6は、第1扉体3の開口部5の第1開口半部50の避難連絡坑側Bに位置して開口部5の第1開口半部50を開閉するようになっており、第1扉体3には、避難連絡坑側Bに位置して引戸枠が設けてある。
【0026】
第1扉体3に設けた引戸枠は、開口部5の第1開口半部50を三方から囲むように、第1見付面30に突設した戸尻側縦枠9と、上枠10と、下枠11と、からなる三方枠である(図1参照)。引戸枠の戸尻側縦枠9は、上枠10と下枠11間に亘って、第1見付面30に対して持ち出し状に固定されており、内側見込面が、開放姿勢にある第1スライド扉6の戸尻側端面63の戸当たりとなっている。引戸枠の上枠10の内部には、ハンガーレール100と、自閉装置DC3が設けてあり、上枠10の下方部位には、引戸の第1スライド扉6の上端部が受け入れられている。引戸枠の下枠11は、第1見付面30の下端に位置して避難連絡坑側Bに持ち出し状に支持されている。下枠11には、ハンガーレール100の直下に位置して凸状のガイドレール101が設けてある。第1スライド扉6は、上端のハンガーローラHR1がハンガーレール100上を転動し、下端のガイドローラGR1がガイドレール101上を転動することで、左右方向にスライド移動可能となっている。下枠11の下面110を、下枠23の上面よりも下方に位置させることで、下枠11の上面の高さと下枠23の上面の高さを略一致させて実質的な段差を無くすようにしている。
【0027】
引戸装置の第2スライド扉7は正面視長方形状のパネルであり、避難連絡坑側Bに位置する第1見付面70と、車道トンネル側Aに位置する第2見付面71と、戸先側端面72と、戸尻側端面73と、を備えており、上端にはハンガーローラHR2が設けてあり、下端にはガイドローラGR2が設けてあり、第1見付面70及び第2見付面71の戸先側部位には取手H4が設けてある。本実施形態では、第1スライド扉6と第2スライド扉7の基本的な形状や寸法は、左右対称であることを除いて同じである。開放姿勢となった第2スライド扉7は、自閉装置DC4によって閉鎖方向にスライド移動して閉鎖姿勢となる。第2スライド扉7は、第2扉体4の開口部5の第2開口半部51の避難連絡坑側Bに位置して開口部5の第2開口半部51を開閉するようになっており、第2扉体4には、避難連絡坑側Bに位置して引戸枠が設けてある。
【0028】
第2扉体4に設けた引戸枠は、開口部5の第2開口半部51を三方から囲むように、第1見付面40に突設した戸尻側縦枠9と、上枠10と、下枠11と、からなる三方枠である(図1参照)。引戸枠の戸尻側縦枠9は、上枠10と下枠11間に亘って、第1見付面40に対して持ち出し状に固定されており、内側見込面が、開放姿勢にある第2スライド扉7の戸尻側端面73の戸当たりとなっている。引戸枠の上枠10の内部には、ハンガーレール100と、自閉装置DC4が設けてあり、上枠10の下方部位には、引戸の第2スライド扉7の上端部が受け入れられている。引戸枠の下枠11は、第1見付面40の下端に位置して避難連絡坑側Bに持ち出し状に支持されている。下枠11には、ハンガーレール100の直下に位置して凸状のガイドレール101が設けてある。第2スライド扉7は、上端のハンガーローラHR2がハンガーレール100上を転動し、下端のガイドローラGR2がガイドレール101上を転動することで、左右方向にスライド移動可能となっている。下枠11の下面110を、下枠23の上面よりも下方に位置させることで、下枠11の上面の高さと下枠23の上面の高さを略一致させて実質的な段差を無くすようにしている。
【0029】
引戸装置は、手動で開放した第1スライド扉6、第2スライド扉7を自動で閉鎖させる自動閉鎖機構を備えている。第1スライド扉6の自動閉鎖機構は、第1スライド扉6の移動方向に水平に延びるワイヤαと、上枠10の戸先側部位に設けてあり、ワイヤαの戸先側を巻き取る自閉装置DC3と、上枠10の戸尻側部位に設けてあり、ワイヤαの戸尻側を巻き取る巻取装置102と、を備え、ワイヤαは、自閉装置DCによって、戸先側(閉鎖方向)に付勢されている。第1スライド扉6の上端に固定したハンガーローラHR1は、ワイヤαを挿通させる部位を備えると共に、ワイヤαには、挿通部位の戸尻側に位置して当接体(金具)が固定されている。第1スライド扉6の戸尻側(開放方向)への移動時には、前記挿通部位がワイヤα上の当接体を押すことで、ワイヤαは戸尻側(開放方向)へ引き出され、巻取装置102に巻かれていく。ワイヤαの戸先側(閉鎖方向)への移動に伴ってワイヤαに固定した当接体がハンガーローラHR1の挿通部位に当接して、ハンガーローラHR1を戸尻側から戸先側に向かって押すことで、第1スライド扉6が戸先側(閉鎖方向)に移動するようになっている。閉鎖姿勢にある第1スライド扉6を自閉装置DC3の付勢力に抗して手動で戸尻側(開放方向)にスライド移動させると、ワイヤαが自閉装置DC3から引き出されながら戸尻側へ移動して、第1スライド扉6が開放姿勢となる。第1スライド扉6は、例えばタイマーによって、開放姿勢を所定時間維持した後に、自閉装置DC3の閉鎖力によって、ワイヤαが閉鎖方向へ移動することに伴って戸先側へスライド移動して、第1開口半部50を閉鎖する。
【0030】
第2スライド扉7の自動閉鎖機構は、第2スライド扉7の移動方向に水平に延びるワイヤαと、上枠10の戸先側部位に設けてあり、ワイヤαの戸先側を巻き取る自閉装置DC4と、上枠10の戸尻側部位に設けてあり、ワイヤαの戸尻側を巻き取る巻取装置102と、を備え、ワイヤαは、自閉装置DCによって、戸先側(閉鎖方向)に付勢されている。第2スライド扉7の上端に固定したハンガーローラHR2は、ワイヤαを挿通させる部位を備えると共に、ワイヤαには、挿通部位の戸尻側に位置して当接体(金具)が固定されている。第2スライド扉7の戸尻側(開放方向)への移動時には、前記挿通部位がワイヤα上の当接体を押すことで、ワイヤαは戸尻側(開放方向)へ引き出され、巻取装置102に巻かれていく。ワイヤαの戸先側(閉鎖方向)への移動に伴ってワイヤαに固定した当接体がハンガーローラHR2の挿通部位に当接して、ハンガーローラHR2を戸尻側から戸先側に向かって押すことで、第2スライド扉7が戸先側(閉鎖方向)に移動するようになっている。閉鎖姿勢にある第2スライド扉7を自閉装置DC4の付勢力に抗して手動で戸尻側(開放方向)にスライド移動させると、ワイヤαが自閉装置DC4から引き出されながら戸尻側へ移動して、第2スライド扉7が開放姿勢となる。第2スライド扉7は、例えばタイマーによって、開放姿勢を所定時間維持した後に、自閉装置DC4の閉鎖力によって、ワイヤαが閉鎖方向へ移動することに伴って戸先側へスライド移動して、第2開口半部51を閉鎖する。
【0031】
第1スライド扉6の第1見付面60と第2スライド扉7の第1見付面70は面一であり(同一垂直面内に位置しており)、第1スライド扉6の第2見付面61と第2スライド扉7の第2見付面71は面一である(同一垂直面内に位置している)。図6に示すように、第1スライド扉6の戸先側端面62には凹部620が形成されており、第2スライド扉7の戸先側端面72には凸部720が形成されている(凹部、凸部が形成される側を入れ替えてもよい)。
【0032】
閉鎖姿勢時には、第1扉体3の第2戸先側端面34と第2扉体4の第2戸先側端面44の間に開口部5が形成されており、第1開口半部50を閉鎖する第1スライド扉6の戸先側端面62と第2開口半部51を閉鎖する第2スライド扉7の戸先側端面72が当接している。図6に示す態様では、第1スライド扉6、第2スライド扉7の閉鎖姿勢時には、第1スライド扉6の戸先側端面62と第2スライド扉7の戸先側端面72は、凹部620と凸部720が嵌り合った状態で当接している。第1スライド扉6の第2見付面61の戸尻側部位には係止片610が設けてあり、閉鎖姿勢時において、係止片610は、第1扉体3の第1見付面30において、下側の第2戸先側端面34に隣接して形成した係止片340に係合している。第2スライド扉7の第2見付面71の戸尻側部位には係止片710が設けてあり、閉鎖姿勢時において、係止片710は、第2扉体4の第1見付面40において、下側の第2戸先側端面44に隣接して形成した係止片440に係合している。開き扉の閉鎖姿勢時において、第1扉体3の第2見付面31の戸尻側端部は縦枠20に設けた気密部材Sに圧接されており、第2見付面31の上端部は上枠22に設けた気密部材Sに圧接されており、第2扉体4の第2見付面41の戸尻側端部は縦枠21に設けた気密部材Sに圧接されており、第2見付面41の上端部は上枠22に設けた気密部材Sに圧接されている。
【0033】
図6Aには、第1スライド扉6、第2スライド扉7の戸先側端面の他の態様を示す。第1スライド扉6の戸先側端面は、第1見付面60寄りの第1面62Aと第2見付面61寄りの第2面62Bから段部状に形成されており、第2面62Bが第1面62Aに対して凹んでおり、第2面62Bには湾曲凸面62C(緩衝材等)が形成されている。第2スライド扉7の戸先側端面は、第2見付面71寄りの第1面72Aと第1見付面70寄りの第2面72Bから段部状に形成されており、第2面72Bが第1面72Aに対して凹んでおり、第2面72Bには湾曲凸面72C(緩衝材等)が形成されている。第1スライド扉6、第2スライド扉7の閉鎖姿勢時には、第1スライド扉6の第1面62Aと第2スライド扉7の湾曲凸面72Cが当接しており、第2スライド扉7の第1面72Aと第1スライド扉6の湾曲凸面62Cが当接している。図6Aに示すように、第1スライド扉6と第2スライド扉7の戸先側端面の段部同士が隙間を存して噛み合うようにしたことで、閉鎖姿勢にある開き扉の第1扉体3、第2扉体4を開放させる時に、第1スライド扉6の戸先側端面と第2スライド扉7の戸先側端面が当接している状態から第1扉体3、第2扉体4を開放させることを可能とする。図6の態様では、閉鎖姿勢にある開き扉の第1扉体3、第2扉体4を開放させる時に、第1スライド扉6の戸先側端面62と第2スライド扉7の戸先側端面72を離間させる必要がある。
【0034】
第1扉体3の避難連絡坑側Bには、第1開口半部50の戸尻側に位置して、第1見付面30から離間して高さ方向に延びる柱状の縦枠8が設けられ、縦枠8と第1見付面30の間の空間を第1スライド扉6が移動するようになっている。縦枠8の見付面80の所定高さ位置には、第1扉体3の操作部であるグレモンハンドルH1が設けてある。本実施形態では、縦枠8は第1扉体3の全高に亘って延びており、縦枠8の下端は、引戸枠の下枠11の先端側部位(避難連絡坑側Bの端部)に固定されており、縦枠8の上端は、第1見付面30に突設した支持部材(図示せず)に固定されている。
【0035】
第2扉体4の避難連絡坑側Bには、第2開口半部51の戸尻側に位置して、第1見付面40から離間して高さ方向に延びる柱状の縦枠8が設けられ、縦枠8と第1見付面40の間の空間を第2スライド扉7が移動するようになっている。縦枠8の見付面80の所定高さ位置には、第2扉体4の操作部であるグレモンハンドルH2が設けてある。本実施形態では、縦枠8は第2扉体4の全高に亘って延びており、縦枠8の下端は、引戸枠の下枠11の先端側部位(避難連絡坑側Bの端部)に固定されており、縦枠8の上端は、第1見付面40に突設した支持部材(図示せず)に固定されている。
【0036】
第1扉体3の上側の第1戸先側部位の避難連絡坑側Bには、第1開口半部50の戸先側の上側に位置して、第1見付面30から離間して高さ方向に延びる戸先側縦枠8´が設けてある。戸先側縦枠8´は第1扉体3の第1見付面30に固定され、戸先側縦枠8´の見付面80´は、縦枠8の見付面80と同一垂直面に位置している。1つの態様では、戸先側縦枠8´は第1見付面30から離間させて取り付けられるが、戸先側縦枠8´を肉厚にして第1見付面30に面接触させて固定してもよい。
【0037】
第2扉体4の上側の第1戸先側部位の避難連絡坑側Bには、第2開口半部51の戸先側の上側に位置して、第1見付面40から離間して高さ方向に延びる戸先側縦枠8´が設けてある。戸先側縦枠8´は第2扉体4の第1見付面40に固定され、戸先側縦枠8´の見付面80´は、縦枠8の見付面80と同一垂直面に位置している。1つの態様では、戸先側縦枠8´は第1見付面40から離間させて取り付けられるが、戸先側縦枠8´を肉厚にして第1見付面40に面接触させて固定してもよい。
【0038】
本実施形態では、第1扉体3、第2扉体4の閉鎖姿勢は、グレモン錠によってロックされることで固定される。図1に示すように、本実施形態では、第1扉体3は、下端係止部L1において床面FLに固定され、上端係止部L2、L3において上枠22に固定され、第2扉体4は、下端係止部L5において床面FLに固定され、上端係止部L6、L7において上枠22に固定される。さらに、係止部L4において、第1扉体3の上側の第1戸先側部位と第2扉体4の上側の第1戸先側部位が固定される。
【0039】
第1扉体3において、下端係止部L1は、下側垂直ロッド12の下端に設けてあり、上側係止部L2は、上側垂直ロッド13の上端に設けてあり、上側係止部L3は、上側水平ロッド14の戸先側端部に設けてあり、係止部L4は、戸先側垂直ロッド15の下端に設けてある。本実施形態では、下側垂直ロッド12の下端部、上側垂直ロッド13の上端部は縦枠8の見付面80に支持されており、上側水平ロッド14の戸先側端部、戸先側垂直ロッド15の上端部、下端部は戸先側縦枠8´の見付面80´に支持されている。下側垂直ロッド12、上側垂直ロッド13、上側水平ロッド14、戸先側垂直ロッド15は、グレモンハンドルH1の回動操作に連動して軸方向に移動するようになっており、グレモンハンドルH1の回動操作(第1操作による係止、第2操作による係止状態解除)によって、下端係止部L1、上端係止部L2、L3、係止部L4が施錠姿勢(係止姿勢)と解除姿勢を取るようになっている。
【0040】
第2扉体4において、下端係止部L5は、下側垂直ロッド16の下端に設けてあり、上側係止部L6は、上側垂直ロッド17の上端に設けてあり、上側係止部L7は、上側水平ロッド18の戸先側端部に設けてある。本実施形態では、下側垂直ロッド16の下端部、上側垂直ロッド17の上端部は縦枠8の見付面80に支持されており、上側水平ロッド18の戸先側端部は戸先側縦枠8´の見付面80´に支持されている。下側垂直ロッド16、上側垂直ロッド17、上側水平ロッド18は、グレモンハンドルH2の回動操作に連動して軸方向に移動するようになっており、グレモンハンドルH2の回動操作(第1操作による係止、第2操作による係止状態解除)によって、下端係止部L5、上端係止部L6、L7が施錠姿勢(係止姿勢)と解除姿勢を取るようになっている。
【0041】
図3を例にとって説明すると、グレモン錠は、グレモンハンドルと、グレモンハンドルの回動操作によって軸方向に移動するロッドと、ロッドの端部に設けられ、ロッドの軸方向の移動に連動して施錠姿勢と解錠姿勢をとる係止部材(図3に140、160で例示)と、躯体側に設けた受孔(図3に141、161で例示)とを備え、グレモンハンドルを施錠方向に回動することで、軸方向に移動するロッドを介して、係止部材(140、160)が施錠姿勢となって受孔(141、161)に係止して施錠状態となる。さらに、本実施形態では、第2扉体4の戸先側縦枠8´の見付面80´には受け部8´´が設けてあり、戸先側垂直ロッド15の軸方向の移動に連動して、下端の係止部材150が、受け部8´´の受孔151に係止して施錠状態となり、第1扉体3の上側の第1戸先側部位と第2扉体4の上側の第1戸先側部位とが固定される。
【0042】
本実施形態では、縦枠8は第1扉体3、第2扉体4の全高に亘って延びているが、例えば、引戸枠の上枠10までの高さとしてもよい。本実施形態において、グレモンハンドルH1、H2は、第1扉体3、第2扉体4の開放操作のための取手とロック機構の要素を兼用しているが、ロック機構と独立して取手を設けてもよい。
【0043】
このように構成された避難連絡坑ドアにおいて、通常時には、閉鎖姿勢にある開き扉によって開口部1が閉鎖され、閉鎖姿勢にある引き戸によって開口部5が閉鎖されている。災害時等に車両用開口部を形成したい場合には、第1スライド扉6の戸先側端面62と第2スライド扉7の戸先側端面72とを少し離間させて(図6Aに示す態様では、必ずしも第1スライド扉6と第2スライド扉7の戸先側端面を離間させなくてもよい)、もしくは、第1スライド扉6または第2スライド扉7を開放して、グレモンハンドルH1を回動して第1扉体3の閉鎖姿勢のロックを解除し、第1扉体3を避難連絡坑側Bに開放して、係止ロッドR1を下動して第1扉体3の開放姿勢を維持し、グレモンハンドルH2を回動して第2扉体4の閉鎖姿勢のロックを解除し、第2扉体4を避難連絡坑B側に開放して、係止ロッドR2を下動して第1扉体3の開放姿勢を維持することで、車両用開口部を形成する。
【0044】
本実施形態では、第1扉体3と第2扉体4の全幅寸法は同じなので、同じ開口幅を備えた車両用開口部を幅広の親扉と幅狭の子扉からなる両開き扉を用いて開閉する場合と比較して、第1扉体3の面部(第1開口半部50が閉鎖状態)の面積は、幅広の親扉の面部(人道用開口部が閉鎖状態)の面積よりも小さい。したがって、最初に開放する第1扉体3の面部に作用する風圧力は、幅広の親扉の面部に作用するであろう風圧力よりも小さいので、最初に幅広の親扉を開放する場合に比べて、操作力が軽くなる。第1扉体3の開放時に、第1スライド扉6を開放し、第1扉体3の面部に作用する圧力を軽減してから第1扉体3を開放してもよく、第2扉体4の開放時に、第2スライド扉7を開放し、第2扉体4の面部に作用する圧力を軽減してから第2扉体4を開放してもよい。
【0045】
災害時等に人道用開口部を形成したい場合には、取手H3を掴んで第1スライド扉6を開放し、あるいは/および、取手H4を掴んで第2スライド扉7を開放することで、開き扉の閉鎖姿勢を維持したままで、人道用開口部を形成することができる。本実施形態に係る引き戸は引き分け式の両引き戸であるので、引き戸を片引きの引き違い引き戸から形成する場合に比べて、災害時に人が避難する際に、左右どちらの方向から人が来ても引き戸の開放の操作性が良く、また、第1スライド扉6と第2スライド扉7を同時に開放させることで迅速に人道用開口部を形成することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 開口部(車両用開口部)
3 第1扉体(開き扉)
30 第1見付面
31 第2見付面
33 上側の第1戸先側端面
34 下側の第2戸先側端面
4 第2扉体(開き扉)
40 第1見付面
41 第2見付面
43 上側の第1戸先側端面
44 下側の第2戸先側端面
48 目板部
5 開口部(人道用開口部)
50 第1開口半部
51 第2開口半部
6 第1スライド扉(引き戸)
62 戸先側端面
7 第2スライド扉(引き戸)
72 戸先側端面
8 縦枠
80 見付面
A 車道トンネル側
B 避難連絡坑側
R1 係止ロッド
R2 係止ロッド
H1 グレモンハンドル(操作部)
H2 グレモンハンドル(操作部)
L1~L7 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7