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特許7186614熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的効果を低減するように構成されたバイオマスベースの燃料及びその製造方法
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  • 特許-熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的効果を低減するように構成されたバイオマスベースの燃料及びその製造方法 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的効果を低減するように構成されたバイオマスベースの燃料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20221202BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20221202BHJP
   C10L 10/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
C10L5/44
B09B3/40
C10L10/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018526652
(86)(22)【出願日】2016-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 FI2016050792
(87)【国際公開番号】W WO2017089648
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】20155876
(32)【優先日】2015-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヨロネン,テロ
【合議体】
【審判長】蔵野 雅昭
【審判官】木村 敏康
【審判官】亀ヶ谷 明久
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスベースの燃料を製造する方法であって、
-リグニンを含むバイオマスを反応器に供給するステップと、
-前記反応器に蒸気を供給するステップと、
-少なくとも10バール(a)の圧力及び180℃~250℃の温度で、少なくとも2分間、前記バイオマス及び前記蒸気を同時に前記反応器中に維持するステップと、
-前記バイオマスの環境の圧力が5バール(a)未満に低下するように、前記反応器内の圧力を低下させ、及び/又は前記反応器から前記バイオマスを移送して、蒸気爆発バイオマスを生成させるステップと、
-前記蒸気爆発バイオマスを前記蒸気から分離するための手段において、前記蒸気爆発バイオマスから前記蒸気を分離するステップと、かつ、
-前記バイオマス及び/又は前記蒸気爆発バイオマスにいくらかの燃焼添加剤を添加するステップと、
を含み、
-前記燃焼添加剤は、ケイ酸アルミニウム、チョーク、粘土、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、石炭フライアッシュ、硫酸アルミニウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、方解石、ボーキサイト、ベントナイト、エマルサイト、ギブサイト、ヘクトライト、および、ハロイサイトからなる群から選択され、又は前記燃焼添加剤は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、およびリン(P)のうちの少なくとも1つを、場合によっては他の元素と結合して含み、ここで、
〔A〕 -前記燃焼添加剤の少なくともいくつかは、前記反応器の後であって、前記蒸気爆発バイオマスから前記蒸気を分離するステップの前に、90℃から250℃の温度の前記蒸気爆発バイオマスに添加され、及び/又は、
〔B〕 -前記燃焼添加剤の少なくともいくつかは、前記反応器に添加される、
方法。
【請求項2】
前記バイオマスの種類に基づいて、バイオマスベースの燃料の燃焼添加剤の総量及び/又は材料を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃焼添加剤は、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、カオリナイト、メタカオリナイト、ムライトからなる群由来のケイ酸アルミニウムを含み、及び/又は
前記燃焼添加剤は、チョークとしての石灰石(CaCO)を含み、及び/又は
前記燃焼添加剤は、カオリン、ローロバイト、ベントナイトからなる群から選択される粘土を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃焼添加剤は、他の元素と結合したカルシウム(Ca)、他の元素と結合したマグネシウム(Mg)、及び他の元素と結合したリン(P)の少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記燃焼添加剤は、カオリン、石灰石(CaCO)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、粘土、石炭フライアッシュ、カオリナイト(AlSi(OH))、エマルサイト(emalthite)、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、及びボーキサイトのうちの少なくとも1つを含む、汚れ低減添加剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記汚れ低減添加剤は、燃焼すると、バイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する添加剤の群から選択されるか又は、
前記汚れ低減添加剤は、汚れの原因となるバイオマス又は蒸気爆発バイオマスの化合物と化学反応することができる添加剤の群から選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記燃焼添加剤の量は、バイオマスベースの燃料の量の少なくとも0.1質量%かつ多くて16質量%である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスからのエネルギーの生産に関する。本発明は、ブリケット(briquettes)又はペレットなどの可燃性固体バイオマスベースの燃料、及びそのような固体バイオマスベースの燃料の燃焼に関する。本発明は、熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成された固体バイオマスベースの燃料に関する。一実施形態は、炉内で燃焼されたときに汚れ挙動が改善された固体バイオマスベースの燃料に関する。実施形態は、炉内で燃焼されると、腐食電位(corrosion potential)が低下した固体バイオマスベースの燃料に関する。本発明は、このような固体バイオマスベースの燃料を製造する方法に関する。本発明は、このような固体バイオマスベースの燃料を製造するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭は、通常、発電所で燃焼して熱及び/又は電気を発生させる。石炭は化石燃料であり、典型的には黒又は褐色の黒い堆積岩である。燃焼前に、石炭は一般に粉砕される。環境問題のために、石炭の少なくとも一部を木材、木材残渣、農業残留物などのようなバイオマスで置き換えることに興味がある。石炭とバイオマスを同時燃焼させる場合、バイオマスは通常、小さなサイズに粉砕される。バイオマス又はバイオマスベースの燃料は、燃焼前に粉砕されるペレット又はブリケットの形態で発電所に供給されてもよい。
【0003】
しかしながら、このプロセスにはいくつかの欠点がある。十分に細かい粉末へのバイオマスベースの燃料の粉砕は問題となる可能性がある。さらに、同時焼成の場合、炉のスラグ化(slagging)及び熱交換器の汚れ(fouling)は、石炭のみが使用される場合よりもはるかに広範囲である。スラグ化及び汚れは、排ガスから熱伝達媒体への熱伝達を低減する。さらに、煙道ガスのアルカリ塩化物などのいくつかの化合物は腐食性であり、及びしたがって熱伝達表面を腐食する。さらに、熱伝達表面上の余分な固体層も腐食の傾向に影響する。このようにして、一般に、バイオマスの使用は、熱伝達表面に幾らかの望ましくない化学的及び/又は機械的作用を有する煙道ガスを生成する。上記のように、このような望ましくない影響には、腐食(化学的プロセス)及び汚れ(機械的プロセス)が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイオマスは、石炭と同時燃焼したとき、使用前に蒸気爆発する可能性があることが発見されている。これは、発電所における固体バイオマスベースの燃料の粉砕プロセスを単純化することが分かっている。さらに、適切な燃焼添加剤を固体バイオマスベースの燃料に添加することによって、その全ての成分を包含する煙道ガスの熱伝達表面への化学的及び/又は機械的影響を低減することができることが分かった。特に、熱伝達表面の汚染挙動及び/又は腐食傾向を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は主に、独立請求項によって特徴付けられる。本発明はまた、添付の実施例に要約される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】蒸気爆発バイオマスをバッチプロセスで製造するための装置(device)を示し、
図1b】蒸気爆発されたバイオマスを連続プロセスで製造するための装置を示し、
図1c】バイオマス及び適切な添加剤からペレットを形成するように構成されたペレット化装置を示し、
図2】灰がバイオマスと石炭との混合物を燃焼させることによって形成されるとき、酸化還元条件下での灰の初期変形温度を示し、
図3a】減少した汚れ又は腐食挙動を有する固体バイオマスベース燃料を製造するための装置(apparatus)を示し、
図3b】蒸気爆発されたバイオマスから、又は汚れ又は腐食性挙動が低減された固体バイオマスベースの燃料からペレットを形成するための装置を示し、
図3c】蒸気爆発されたバイオマスから、又は汚れ又は腐食性挙動が低減されたバイオマスベースの燃料からブリケットを形成するための装置を示し、
図4】汚れ又は腐食挙動が低減された固体バイオマスベースの燃料を製造するための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書において、用語「バイオマス」は、植物に由来するバイオマスを指す。バイオマスは、典型的には、未処理(virgin)木材、木材残渣、森林残渣、産業廃棄物又は副産物、農産廃棄物又は副産物、木材加工産業の副産物などの植物起源の未使用(virgin)及び/又は廃棄材料、都市固形廃棄物(municipal solid waste,MSW)の有機成分、及びそれらの任意の組み合わせを含む。適切には、前記バイオマスは、スラッシュ(slash)、都市の木材廃棄物、木材(lumber)廃棄物、木材チップ、木材廃棄物、おがくず、わら、薪、又は木材などの木材加工産業の廃棄物及び副産物を含む。好ましくは、バイオマスは、おがくず、チップ(chips)、破片(splinters)、切り粉(chippings)、削り屑、又は切り粉(cuttings)のような木材加工産業のいくらかの残留物を含む。好ましくは、バイオマスは、木材、竹、バガス(bagasse)、わら、及び草のうちの少なくとも1つを含む。したがって、バイオマスは、少なくとも前処理の前に、セルロース繊維を含む。しかしながら、明らかになるように、バイオマスの前処理は、セルロース繊維の破壊及び/又は脱繊維化(defibrillation)をもたらす可能性がある。さらに、バイオマスは、少なくとも前処理の前に、リグニンを含む。前処理の後、処理されたバイオマスが熱いとき、リグニンは少なくともある程度軟化することがある。したがって、バイオマスはセルロースを含む。一実施形態では、バイオマスは、少なくとも蒸気処理の前に、ヘミセルロースを含む。一実施形態では、少なくとも蒸気処理の前のバイオマスは、リグニンを含む。
【0008】
バイオマスベースの燃料という用語は、少なくともバイオマスから得られた可燃性物質を指す。バイオマスは、工業プロセスによって処理された可能性がある。本発明は、固体形態のバイオマスベースの燃料に関する。用語「固体」は、圧力1気圧及び温度30℃において気体でも液体でもない状態を指す。しかしながら、バイオマスベースの燃料は、粒状又は粉末状(この温度/圧力において)であってもよい。好ましくは、バイオマスベースの燃料は、圧力が1気圧であり、温度が60℃未満であるような環境において固体形態である。例えば-35℃~60℃の範囲である。一実施形態では、バイオマスベース燃料の温度は、最大150℃又は最大90℃である。
【0009】
バイオマスを炉内で石炭と同時燃焼させる場合、それらの両方を燃焼前に微粉末に粉砕するのが典型的である。さらに、粉砕前にバイオマスをペレット化してもよい。当技術分野で知られているように、ペレットのバイオマスは、ペレット化前に十分に小さな粒度に粉砕されてもよく、及び/又はバイオマスが熱処理されてもよい。バイオマスが熱処理されていない場合、得られるペレットは、明るい茶色のために、白色のペレットと呼ばれる。しかしながら、バイオマスは熱処理されてもよく、これは通常、バイオマス及び得られたペレットを暗くする。そのようなペレットは、それらの暗褐色のため、一般に「黒色」ペレットと呼ばれる。熱処理方法には、焙焼(torrefaction)及び蒸気爆発が含まれる。上述したように、バイオマスベースの燃料は、ペレット以外の形態も指す。
【0010】
これらの様々なタイプのバイオマスのうち、蒸気爆発されたバイオマスは、細かい粒子サイズに粉砕するのが最も容易であることが分かっている。これはおそらく、蒸気爆発がセルロース繊維の一部を破壊し、及び/又はバイオマスのセルロース繊維の一部を脱繊維化する(defibrillates)ためである。さらに、蒸気爆発は、バイオマスのヘミセルロースの一部を分解する。且つ、ヘミセルロースの分解はまた、バイオマスの脆弱性に影響し得る。例えば、同様のプロセスパラメータ(研削(grinding)羽根、速度及び時間)で研削した(ground)場合、白いペレットは400μmのメジアン粒径を有する粉末となり、且つ、黒いペレット(蒸気爆発されたバイオマスを含む)は、サイズはわずか200μmのメジアン粒径となる。粉砕プロセスは、同時により少ないエネルギーを使用するものであるして行われる。テストでは、電気消費量は34%減少した。
【0011】
蒸気爆発は、まずバイオマスを適度に高圧で処理した後、圧力を急速に下げ、それによって蒸気処理したバイオマスを蒸気爆発させるプロセスである。
【0012】
蒸気処理の前に、バイオマスの水分含有量は、例えば、0w%~70w%、好ましくは0w%~60w%、及び最も好ましくは0w%~30w%の範囲である。これは、妥当な量の蒸気が蒸気処理においてバイオマスに浸透することを確実にするためである。蒸気処理の前にバイオマスを乾燥させることができる。バイオマスの蒸気処理時間を短縮するために、蒸気処理前のバイオマス片のサイズは、好ましくは3cm未満、2cm未満、例えば1cm未満又は5mm未満である。サイズはふるいサイズを指す。適切なサイズは、必要に応じて、鋸引き、チッピング、研削、又は他の適切な手段によって得られてもよい。
【0013】
蒸気爆発では、蒸気でバイオマスを処理するために、バイオマスと蒸気の両方を反応器に供給する。バイオマス及び蒸気は、少なくとも10バール(a)の圧力及び180℃~250℃の温度で少なくとも2分間、反応器内で同時に維持される。この説明の全体にわたって、単位バール(a)は絶対圧力(absolute pressure)をバールで表したものである。その後、バイオマスは、最大5バール(a)のようなより低い圧力、好ましくは大気圧の環境に、又はさらには真空にさらされる環境に曝される。適切な程度の爆発を達成するために、圧力の減少は急速に行われる。典型的には、バイオマス及び蒸気は、反応器110から出され、それにより、圧力は、瞬時に、又はより正確には、5秒未満、又はより典型的には、1秒未満で、より低いレベルに低下する。
【0014】
爆発前の蒸気処理では、バイオマス及び蒸気は、好ましくは、少なくとも10分間又は少なくとも15分間、反応器110内で同時に維持される。一実施形態では、反応器内の圧力及び温度は、水蒸気飽和温度及び圧力に対応する。一実施形態では、バイオマス及び蒸気は、最大1時間又は最大30分間、反応器内で同時に維持される。これにより、機器の効率的な使用が保証される。さらに、投資コストを低減するために、反応器内の圧力を35バール(a)未満又は25バール(a)未満に保つことが好ましい。反応器内の圧力は、例えば、スチーム処理時間を短縮するために、15バール(a)~25バール(a)の範囲である。したがって、適切な圧力は、10バール(a)~35バール(a)又は15バール(a)~25バール(a)の範囲に属することができる。
【0015】
装置(equipment)によっては、バッチプロセスでも連続プロセスでもよい。バッチプロセスでは、バイオマスの環境の圧力が前述のより低い圧力まで低下するように、反応器内の圧力が低下する。図1aを参照すると、バッチプロセスにおいて、反応器110は圧力容器であってもよい。バイオマスは、供給スクリュー121などのバイオマスを供給するための手段121によって反応器110に供給される。バルブ122は、バイオマスを供給している間は開いていてもよく、且つ、バイオマスの蒸気処理中は閉じていてもよい。これに対応して、蒸気は、パイプライン123のような蒸気を供給するための手段123によって反応器110に供給される。バルブ124は、蒸気を供給している間は開いていてもよく、バイオマスの蒸気処理中は閉じていてもよい。
【0016】
反応器110は、蒸気処理されたバイオマスを流出させるための出口140を含む。出口にバルブ142を配置することができる。バルブ142は、蒸気及び蒸気処理されたバイオマスを容器150に流出させるために開かれてもよく、且つ、バイオマスを蒸気処理しながら閉じていてもよい。容器150は、反応器110から蒸気処理されたバイオマスを受け取るように構成されている。容器150は、容器から蒸気を出すためのパイプライン152などの出口152を備える。このようにして、容器150の圧力は、反応器110よりも著しく低い。低圧容器150に入ると、蒸気処理されたバイオマスが爆発し、蒸気爆発されたバイオマスになる。当該装置(arrangement)は、蒸気から熱を回収するための凝縮器154を含むことができる。当該装置は、パイプライン156などの凝縮液を利用するための手段156を含むことができる。また、凝縮器154なしで蒸気を利用することも可能である。容器150は、蒸気爆発されたバイオマスを容器150から出すための出口160をさらに含む。バルブ162は、蒸気爆発されたバイオマスを流出させるために開くことができる。
【0017】
バッチ式反応器は、図1aのように2つの容器(110,150)、又は蒸気爆発のために圧力が低下する1つの反応器110のみを含むことができる。
【0018】
連続プロセスでは、バイオマスは、バイオマスの環境の圧力が前述のより低い圧力まで低下するように、反応器から搬出される。連続プロセスの図1bを参照すると、供給スクリュー121などのバイオマスを供給するための手段121を用いてバイオマスが反応器110に供給される。バイオマスは容器120から供給されてもよい。これに対応して、蒸気は、パイプライン123のような蒸気を供給するための手段123によって反応器110に供給される。蒸気及びバイオマスは、反応器110の入口端部112に供給され得る。反応器は、入口端部112から反応器110の出口端部116に流れる。バイオマスを移動させるための手段114は、例えば、スクリューコンベヤ114又は別のコンベヤを含む。
【0019】
反応器110は、蒸気処理されたバイオマスを流出させるための出口140を含む。出口にバルブ142を配置することができる。バルブ142の開放は、反応器110内の圧力が前述の圧力レベルにとどまるように構成することができる。スクリューコンベヤ114は、上述のようにバイオマスが十分長い時間蒸気で処理されるような速度でバイオマスを輸送するように構成されてもよい。
【0020】
バルブ142の後、パイプライン144において、圧力は前述のより低いレベルにあり、それによって、バイオマスは、バルブ142を通過する際に蒸気爆発される。蒸気は、蒸気爆発されたバイオマスから分離され、サイクロン170のような蒸気からバイオマスを爆発させる。サイクロンは、蒸気を放出するための出口152と、蒸気爆発されたバイオマスを放出させるための出口160とを含み得る。サイクロン170の代替物として、任意の分離方法、例えば、フィルター又はふるいを用いてもよい。
【0021】
典型的には、蒸気爆発処理はバイオマスの繊維の少なくとも一部を開放する。蒸気爆発の前に、バイオマスは、リグニンのマトリックスに埋め込まれ、且つ、ヘミセルロースと交差結合したセルロースを含む繊維を含む。セルロースは、部分的に非晶質であり、部分的に結晶質である。このバイオマスの複合構造(例えば、木の細胞壁)は蒸気爆発の間に破壊され、繊維の個々の成分が放出される。
【0022】
蒸気爆発処理は、木の細胞壁からのヘミセルロースを放出し、それらを化学的及び生化学的分解に利用可能にする。蒸気爆発の間にバイオマスから放出される蒸気及び酢酸の両方が、ヘミセルロースの加水分解を引き起こす。ポリマー鎖は切断され、C糖、主にキシロースが放出され、さらにフルフラールに分解される。
【0023】
木材におけるヘミセルロースの主な役割は、粘弾性を付与することである。ヘミセルロースの分解は、未処理の木材と比較して、木材をより脆く硬直させる。OH基の除去(脱水反応)は、未処理のバイオマスの表面の疎水性と比較して、より疎水性の表面をもたらす。脆性(より良好な研削性(grindability))及びより高い耐湿性は、蒸気爆発バイオマスの使用にとって重要な特性である。蒸気爆発バイオマスの使用は、発電所における少なくとも一部の石炭の置換を含むことができる。蒸気爆発バイオマスの使用は、蒸気爆発バイオマスからのペレットの形成を含み得る。セルロース及びリグニンはまた、蒸気爆発条件の影響を受ける。高圧では、セルロース分子は分解され、フルフラール(5ヒドロキシメチルフルフラール)に分解される。リグニンは、酸不溶性(高分子量)のリグニンの開裂反応を受け、且つ、縮合反応により低分子量のリグニンが形成される。蒸気爆発では、リグニンが溶融し、流動し、セルロースミクロフィブリルの表面上にビーズの形で凝縮し、それによって多孔性が増加することも示唆されている。さらに、リグニンは解重合及び再重合を経る可能性がある。
【0024】
蒸気爆発では、バイオマスのセルロース繊維のいくつかが破裂し、及び/又は脱繊維化(defibrillation)を受ける。したがって、一実施形態では、固形バイオマスベース燃料300は、脱繊維化セルロースを含む蒸気爆発バイオマスを含む。一実施形態では、固体バイオマスベースの燃料300は、破損したセルロース繊維を含む蒸気爆発バイオマスを含む。固体バイオマスベースの燃料300は、ペレット310を形成するために使用され得る。蒸気爆発されたバイオマスを含むペレットの密度は、典型的には合理的に大きい。例えば630kg/m~1200kg/m又は630kg/m~750kg/mのオーダーである。しかし、添加剤を添加すると、密度はさらに高くなり、例えば1300kg/mまで、又は1000kg/m(すなわち、1.0×103kg/m)になる可能性がある。
【0025】
さらに、蒸気爆発では、バイオマスの一部のヘミセルロースが分解してモノマーになる。さらに、バイオマスの一部のリグニンが軟化する。リグニンと糖は蒸気爆発時に偽リグニンを形成する。ヘミセルロース及びセルロースの分解のために、蒸気爆発バイオマスは生バ(raw)イオマスよりも脆弱である。脆性は、蒸気爆発されたバイオマスの研削性を改善するための要因とみなされ得る。加えて、リグニン(ligning)の軟化のために、セルロース繊維の少なくともいくつかは、以下に述べるような添加剤により容易にアクセス可能であり得る。
【0026】
バイオマス及びバイオマスベースの燃料は、ペレット又はブリケットの形態でより容易に取り扱うことができる。ここでのペレットという用語は、長手方向に延びる輪郭の形状を有する中実の(solid)材料片を指す。ペレットは、典型的には微細粒状固体材料からプレスされる。長手方向に垂直な方向(例えば、円形のペレットの直径)のピースのサイズは、例えば5mmから15mm、例えば6mmから12mmである。ペレットの長さは、典型的には、例えば、5mmから30mmまでの範囲である。ペレットは、通常、細い材料を穴に押し付けることによって生成され、それによって穴のサイズがペレットの横方向のサイズを画定する。ブリケットはまた、中実の材料片である。ブリケットのサイズは、典型的には、ペレットのサイズよりも大きい。ブリケットは、例えば、結晶粒材料(grained material)を使用してフォームにプレスします。
【0027】
ペレット化は、材料の密度を増加させる。さらに、ペレットは、バイオマス又はバイオマスベースの燃料よりも、元々の形態で処理するのがより容易であり、これは典型的には、粒度の小さな粉末である。さらに、ペレット化を使用して、輸送中の粉塵形成を低減することができる。ブリケットについても同様の利点が見られる。要するに、物流の観点から、ペレット(又はブリケット)は、ペレットより小さな顆粒サイズを有する粉末バイオマス、粒状バイオマス、粉末バイオマスベース燃料、又は粒状バイオマスベース燃料に比べて優れている。蒸気爆発バイオマス160は、ペレット又はブリケットの製造に使用されてもよい。
【0028】
図1cは、ペレット化のプロセスを示す。ペレット化前に、蒸気爆発プロセスの前に既に研削されていない限り、蒸気爆発バイオマスは十分に小さいサイズに研削されてもよい。ペレット化では、バイオマス(例えば蒸気爆発されたバイオマス)がペレットの形態に圧縮される。図1cを参照すると、蒸気爆発されたバイオマスは、出口160からペレット化装置200に搬送されてもよい。ペレット化装置200は、蒸気爆発されたバイオマスをオリフィス222に向かって押圧する手段230を含む。手段230は圧力プレート231及びピストン233を含むことができる。代替的に、手段230は、ねじを備えてもよい。オリフィス222は、複数のオリフィス222を有するプレート220内に配置することができる。圧縮されると、蒸気爆発されたバイオマスは、オリフィス222を通過してペレットを形成する。圧縮は、圧力板の動きを示す矢印232によって図1cに示されている。澱粉又はその他の可燃性ポリマー材料は、ペレットを強化するための接着剤として使用することができる。ペレット化装置200は、ペレットを製造する前に蒸気爆発されたバイオマスにポリマー添加剤を添加するための手段210を含むことができる。
【0029】
上記のように、蒸気爆発したバイオマスを有するペレットは、容易に研削可能であっても、熱伝達表面上に望ましくない化学的及び/又は機械的影響を有する煙道ガスを生じ得る。ここで、煙道ガスは、炉の使用中に煙道ガスダクトを通って流れる煙道ガスの全ての成分を意味する。特に、煙道ガスは気体化合物を含む。典型的には、煙道ガスは、固体又は少なくとも部分的に溶融されたフライアッシュをさらに含む。煙道ガスは、他の液体化合物、例えば、前記ガス状化合物の凝縮により生じる。さらに、煙道ガスは、蒸気爆発されたバイオマス又はバイオマスベースの燃料を燃焼させることによって得られる煙道ガスを指す。
【0030】
特に、蒸気爆発されたバイオマス、例えば、ペレット及び/又はブリケットの形態で、石炭と同時燃焼した場合、又は石炭なしで燃焼した場合にかなりの汚損及び/又は腐食を生じる可能性がある。様々な実施形態では、いくらかの燃焼添加剤がバイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスに添加される。一実施形態では、燃焼添加剤は、熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的効果を低減することができる添加剤の群から選択される。一実施形態では、燃焼添加剤は、熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的効果を低減するように構成される。熱伝達表面は、蒸気爆発されたバイオマス又はバイオマスベースの燃料の燃焼によって生成された煙道ガスと接触するように構成された、すなわち使用中の表面を指す。熱伝達表面は、例えば、炉の内側表面又は煙道ガス流路、又は熱交換器の表面である。
【0031】
一実施形態では、燃焼添加剤は、汚れ低減添加剤を含む。汚損(fouling)は、熱伝達表面上の煙道ガスの機械的効果である。一実施形態では、燃焼添加剤は、バイオマスの腐食電位を低下させる添加剤を含む。腐食は、煙道ガスが熱伝達表面上に有する化学的効果である。一実施形態では、燃焼添加剤は、汚れ低減添加剤と、バイオマスの腐食電位を低下させる添加剤の両方を含む。さらに、燃焼添加剤は、栄養素として使用するのに適した1以上物質を含むことができる。
【0032】
バイオマスが燃料として使用されるときの熱伝達表面上の集中的な汚れは、バイオマスの灰分の融点が低いことから、又は、石炭とバイオマスとの組み合わせを燃焼させることから生じる灰分の低融点温度から、生じるようである。灰の融点は、初期変形温度、すなわち灰が変形し始める温度によって特徴付けられる。典型的には、灰の初期変形温度は試験によって決定される。このような試験は、実験室において、及び灰を含む燃料の試料について行われる。図2は、実験室で分析した蒸気爆発バイオマスと石炭からなる燃料中の蒸気爆発バイオマスの含有量の関数としての灰の初期変形温度を示す。左側には石炭のみが燃料として使用され、右側には蒸気爆発されたバイオマスが使用される。初期変形温度は、燃料の燃焼のために十分な量の酸素が利用可能な酸化条件で、及び準化学量論的量の酸素のみが利用可能な還元条件で、示されている。図に示すように、石炭の量が100w%から0w%に変化すると、融点は約150K低下する。灰の融点が低いほど、炉内の灰が融解すると考えられる。溶融灰は、固体灰よりも容易に熱伝達表面に付着し、このことは実際のボイラー条件での汚れの増加によって証明される。
【0033】
汚れの挙動を改善することができることが判明している。例えば、供給原料(すなわち、バイオマス又は蒸気爆発バイオマス)に適切な汚れ低減添加剤を添加することによって、熱伝達表面上の汚れの形成が低減される。汚れ低減添加剤は、例えば、スチーム処理中、蒸気爆発後、又はペレット化もしくはブリケット化中に添加することができる。汚れ低減添加剤は、炉内のスラグ化を減少させることもできる。
【0034】
そのような好適な汚れ低減添加剤は、灰溶融温度を上昇させることができることが判明した。灰溶融温度は、ペレットを燃焼させた後に残った灰の初期変形温度を指す。ペレットを燃焼させた後に残る灰は、バイオマスからの灰と、汚れ低減添加剤から生じる灰とを含む。典型的には、汚れ低減添加剤は、わずかな可燃性材料のみを含む。これは、灰の融点を上昇させるのに十分な量の灰を残しておくためである。汚れ低減添加剤は、例えば、30w%未満又は10w%未満の可燃性材料を含む。
【0035】
これに対応して、汚れ低減添加剤は、少なくとも1650Kまでの耐熱性であってもよい。汚れ低減添加剤は、最大20mol%の酸素の存在下で1650Kまで加熱される場合、最大30mol%の%又は最大10%の汚れ低減添加剤が酸化される。一実施形態では、汚れ低減添加剤の材料は、汚れ低減添加剤が燃焼されたときに、汚れ低減添加剤が酸化条件下で少なくとも1650Kの融点を有する灰を形成するように選択される。これは、バイオマスからの灰が融解すると、その一部が汚れ低減添加剤の灰に付着するという効果を有し得る。添加物は前記汚れを有する炉から流れ出る。代替的に又は追加的に、汚れ低減添加剤は、炉から流出する際に、熱伝達表面から溶融灰を付着させることによって炉の熱伝達表面を浄化することができる。
【0036】
代替的又は付加的に、汚れ低減添加剤は、汚れの原因となる灰のそのような成分と化学的に反応し得る。添加剤と蒸気爆発されたバイオマスとの組み合わせの灰の融点が、蒸気爆発されたバイオマスの灰の融点より高いように、汚れ低減添加剤は、蒸気爆発されたバイオマスと化学的に反応することができる。汚れの原因となる化合物には、アルカリ金属、特にナトリウム及びカリウムのような軽質アルカリ金属が含まれる。例えば、ケイ酸アルミニウムは、熱伝達表面上に付着して腐食を引き起こすことが知られているカリウムと反応することがある。アルミニウムシリケートには、化学式x(Al)・y(SiO)・z(HO)(式中、x及びyは整数少なくとも1であり、zは少なくとも0である)を有する様斬な物質、アンダルサイト、カヤナイト、シリマナイト、カオリナイト、メタカオリナイト、ムライトなど、が含まれる。
【0037】
様々なタイプの耐熱材料が、ペレットのような燃焼したバイオマスの灰の融点に影響を及ぼすことがある。そのような材料は、砂(十分に小さい、例えば0.1mm~0.2mmのふるいサイズ)、チョーク(すなわち石灰石、CaCO)、クレー(一般的に)、カオリン(クレーのタイプ)、ケイ酸アルミニウム(任意のタイプ)、ロロバイト(rolovite)(クレー分画)、ベントナイト(クレー分画)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、石炭フライアッシュ、硫酸アルミニウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、方解石、ボーキサイト、ベントナイト、ボーキサイト、エマルタイト(emulthite)、ギブサイト、ヘクトライト、ハロイサイトを包含する。これらの材料は、炭素のような可燃性材料を実質的に含まない。これに対応して、これらは上記のように耐熱性である。
【0038】
好ましくは、汚れ低減添加剤は、カオリン、石灰石(CaCO)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、クレー及び石炭フライアッシュのうちの少なくとも1つを含む。これらの材料は良好な性能を示しており、一般に入手可能である。
【0039】
燃焼添加物の物質は、土及び農業用の栄養素として灰を利用するという観点からも選択することができる。したがって、好ましくは、燃焼添加剤は、場合によっては他の元素に結合される、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)及びリン(P)の少なくとも1つを含む。
【0040】
固体バイオマスベースの燃料300が燃焼される炉又はシステムの他の部分の腐食は、バイオマスの腐食ポテンシャルに影響するいくらかの添加剤を添加することによって減少させることができることも判明した。バイオマスの腐食電位に影響を及ぼす添加剤は、燃焼添加剤を構成することができる。腐食は、燃料の塩素含有量に基づいている可能性がある。そのような添加剤の例は硫黄である。
【0041】
これに対応して、一実施形態では、燃焼添加剤は、腐食電位に影響を及ぼす添加剤を含む。これに対応して、固体バイオマスベースの燃料300の一実施形態は、硫黄を含む。そのような固体バイオマスベースの燃料300は、0.1w%~1w%の硫黄を含むことができる。改良された耐食性に加えて、硫黄はまた、燃焼効率を改善し得る。
【0042】
熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成された固体バイオマスベース燃料300の製造方法の一実施形態は、いくらかの燃焼添加剤をバイオマス又は蒸気爆発バイオマスに添加することを含み、その場合、熱伝達表面、例えばボイラーの熱伝達表面、の上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減することが可能である。また、ここでは煙道ガスはすべての成分を含むと考えられている(上記参照)。一実施形態では、燃焼添加剤は、灰溶融温度を上昇させることができる汚れ低減添加剤を含む。このような添加剤は、燃焼すると、バイオマスの灰分よりも高い融点を有する灰を形成する。バイオマスの灰とは、燃焼したときのバイオマスの残留物をいう。これに対応して、低減された汚れ挙動を有する固体バイオマスベース燃料300の一実施形態は、蒸気爆発バイオマス及びいくらかの汚れ低減添加剤を含み、その場合、汚れ低減添加剤は蒸気爆発バイオマスの灰溶融温度を上昇させることができる。熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成された固体バイオマスベースの燃料300の一実施形態は、蒸気爆発されたバイオマス及びいくらかの燃焼添加剤を含み、その場合、燃焼添加剤は、熱伝達表面、例えばボイラーの熱伝導表面の上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的作用を低減することができる添加剤の群から選択される。また、ここでは煙道ガスはすべての成分を含むと考えられている(上記参照)。固体バイオマスベースの燃料300の一実施形態は、蒸気爆発されたバイオマス及びいくらかの汚れ低減添加剤を含み、その場合、汚れ提言添加剤は、燃焼したときにバイオマスの灰分よりも高い融点を有する灰を形成する添加物群から選択される。熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成されたそのような固体バイオマスベースの燃料300は、図3aに示すように、ペレット310又はブリケット320を製造するために使用することができる。あるいは、固体バイオマスベースの燃料300は、ブリケット320又はペレット310をそこから製造することなく燃焼させることができる(図3a参照)。
【0043】
図3aを参照すると、ペレットを製造するためのシステム400は、熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成された蒸気爆発バイオマスを生成するための装置100と、ペレット化装置200とを含む。蒸気爆発されたバイオマスを製造するための装置100は、上に示した反応器110を含む。反応器はバッチ式反応器又は連続式反応器であってもよい。固体バイオマスベースの燃料300の使用に応じて、システムは、ペレット化装置200(図3b参照)又はブリケット化装置250(図3c参照)をさらに含むことができる。しかしながら、固体バイオマスベースの燃料300をそのまま使用してもよい。図3bに示すように、システム400(又は装置100)は、燃焼添加剤をペレット化装置200に直接供給するように構成された第2の供給手段180fを備えていてもよい。プレート260は、(a)蒸気爆発されたバイオマス及び添加剤、又は(b)固体バイオマスベース燃料300をブリケットに圧縮するために使用され得る。示されるように、第2の供給手段180gは、添加剤をブリケット化装置250に直接供給するように構成されてもよい。
【0044】
装置100は、反応器110にバイオマスを供給するように構成された第1供給装置121を含む。一実施形態では、装置100は、バイオマス又は蒸気爆発バイオマスに少なくともある程度の燃焼添加剤を供給するように構成された第2の供給装置180(すなわち、180a、180b、180c、180d、180e)を含む。一実施形態において、システム400は、ペレット化装置200又はブリケット化装置250に少なくともいくらかの燃焼添加剤を供給するように構成された第2の供給装置180(すなわち、180f、180g)を含む。システムは、図3及び図4の第2の供給装置180a、180b、180c、180d、180e、180f、180gのうちから1つだけ、又はそれらの適切な複数を含むことができる。さらに、第2の供給装置180は、燃焼添加物を、反応器にバイオマスを供給するための手段121に、又はバイオマスのために容器120に供給するように構成することができる。そのような場所に供給される場合、燃焼添加剤は、バイオマスと共に反応器110に導入される。
【0045】
しかしながら、燃焼添加剤は、反応器110に供給される場合、反応器110の侵食を増加させることがある。したがって、一実施形態では、燃焼添加剤(又は複数の添加剤)は、蒸気爆発されたバイオマス、すなわち反応器110の後に添加される。蒸気爆発におけるリグニンの軟化のために、添加剤/添加剤は、リグニンが依然として柔らかいときに蒸気爆発されたバイオマスに供給される。好ましくは、燃焼添加剤(又は燃焼添加剤の少なくともいくつか)は、蒸気爆発バイオマスの温度が90℃以上であるような蒸気爆発バイオマスに添加される。一実施形態では、蒸気爆発されたバイオマスの温度が90℃~250℃又は90℃~180℃であるような、又は後で定義される限度内にある、燃焼添加剤(又は少なくともいくらかの燃焼添加剤)が蒸気爆発バイオマスに添加される。一実施形態では、燃焼添加剤(又は燃焼添加剤の少なくともいくつか)は、蒸気爆発バイオマスの温度が最大250℃又は最大180℃であるような蒸気爆発バイオマスに添加される。特に、軟化したリグニンを含むバイオマスに燃焼添加剤を添加すると、添加物は軟化したリグニンと混合される。リグニンが硬化すると、すなわちバイオマスの温度が低下すると、添加物はバイオマスに結合するようになる。バイオマスに結合されると、添加物は、ペレット化装置200又はブリケット化装置250のような後続の処理装置に対してより少ない侵食を引き起こす。さらに、蒸気爆発では、少なくともいくつかの粒子が断片に引き裂かれるので、バイオマスの粒子サイズが減少する。これは、バイオマスの表面積を増加させ、燃焼添加剤/複数の添加剤がバイオマスの中に及び/又は上に付着するのを助ける。
【0046】
上述したように、好ましくは、装置100は、サイクロン等の熱交換器170によって蒸気爆発されたバイオマスが蒸気から分離された後、好ましくは実質的に直後に、燃焼添加剤を蒸気爆発バイオマスに供給するように構成された第2の供給装置180aを含む。この用語は実質的に直ぐに、サイクロン170の後の場所を指し、その場合、使用中、蒸気爆発されたバイオマスの温度は、少なくとも90℃、又は上記の限界内である。燃焼添加剤が添加される蒸気爆発バイオマスの温度は、90℃~110℃、例えば95℃~105℃であり得る。第2の供給装置180aは、例えば、図3aに示すように、好ましくは、燃焼添加剤及び蒸気爆発バイオマスの両方を含む固体バイオマスベースの燃料300は、例えば貯蔵又は使用のためのスクリューコンベヤ185により、搬送される。これは、スクリューコンベヤが蒸気爆発バイオマスと燃焼添加剤とをよく混合するという効果を有する。好ましくは、スクリューコンベヤ185は、構成要素をさらに効果的に混合するパドルスクリューコンベヤ185である。パドルスクリューコンベヤでは、スクリューは連続的ではなく、それによって、スクリューの部分は、コンベヤ内の材料を推進するように構成されたパドルを構成する。
【0047】
図4を参照すると、装置100の実施形態は、少なくとも一部の燃焼添加剤を蒸気爆発されたバイオマスに、但し蒸気の分離前に供給するように構成された第2の供給装置180bを含む。一実施形態では、装置100は、少なくともいくらかの燃焼添加剤を反応器110に直接供給するように構成された第2の供給装置180cを含む。装置100の一実施形態は、少なくともいくらかの燃焼添加剤を、反応器110にバイオマスを供給するための手段121に供給するように構成された、第2の供給装置180dを含む。従って第2の供給装置180dは、手段121を介して反応器110に燃焼添加剤を供給するように構成されている。装置100の一実施形態は、少なくとも一部の燃焼添加剤を、バイオマスを貯蔵するための容器120に供給するよう構成された第2の供給装置180eを含む。したがって、装置180eは、容器120及び手段121を介して反応器110にいくらかの燃焼添加剤を搬送するように構成されている。第2の供給装置180はコンベヤ、例えばスクリューコンベヤ又はベルトコンベヤであり得る。
【0048】
手段180は、燃焼添加剤の一部のみ、例えば汚れ低減添加剤のみをバイオマス又は蒸気爆発バイオマスに供給するように構成することができる。さらに、システムは、腐食電位に影響を及ぼす添加剤などの燃焼添加剤の別の部分を供給するように構成された別個の供給装置190(190a、190b)を備えることができる。他の部分に供給するのに適した位置には、手段180に関連して既に説明したものが含まれる。別個の供給装置190,190a、190bは、コンベヤ、例えばスクリューコンベヤ又はベルトコンベヤであってもよい。
【0049】
さらに、少なくとも汚れ低減添加剤が、バイオマスが蒸気処理されている反応器110に供給されるとき、添加剤はバイオマスによく含浸し、且つ、灰分は均一に形成されることが見出された。その結果、汚れ低減添加剤の量が少なくて済む。したがって、汚れ低減添加剤は、反応器110に直接又はバイオマスと共に、供給されてもよい。
【0050】
このような固体バイオマスベースの燃料は、多くの実用上の利点を有する。固体バイオマスベースの燃料は、石炭の少なくとも一部を置換するために使用され、それによってエネルギー生産のCO効果に影響を及ぼす。例えば、70wt%までの石炭を置換することができる。固体バイオマスベースの燃料は、固体バイオマスベースの燃料内に添加剤が含まれているので、別個の添加剤及び特別な添加装置なしで使用することができる。これにより、石炭の置換が、添加物を別々に使用する場合よりも容易になる。特に、追加設備への発電所での投資は必要ない。さらに、添加剤の量は、適用されるバイオマスの種類に応じて選択できるので、添加剤の量の制御がより正確である。さらに、添加剤のタイプは、適用されるバイオマスのタイプに従って選択することができるので、添加剤のタイプの制御がより正確である。例えば、いくらかのバイオマスについて、燃焼添加剤は汚れ低減添加剤のみを含むことができ、さらに別のタイプのバイオマスについては、硫黄を使用することができる。さらに、その量は、例えば、バイオマスの灰分含有量に応じて選択することができる。したがって、制御不能の場合には、最悪のシナリオによって添加剤の量を選択しなければならないので、添加剤の総量を減らすことができる。
【0051】
燃焼添加剤の結果として、熱伝達表面上の煙道ガスの化学的及び/又は機械的影響が低減される。汚れが低減され、その結果、スートブローの必要性が低減され得る。腐食の傾向が低下し、装置の予想寿命が長くなる可能性がある。さらに、汚れの減少はまた、より広い範囲のバイオマスの適用性に影響を与える。選択された添加剤を使用することにより、乾草及び/又はわらに由来するバイオマスも固体バイオマスベースの燃料として利用することができる。炉及び熱交換面の腐食が低減される。固体バイオマスベースの燃料は、蒸気爆発されたバイオマスを含むので、固体バイオマスベースの燃料は、小さなサイズに容易に研削することができる。これにより研削能力が向上し、運転コストが低減される。さらに、灰の品質を向上させることができ、それによって肥料としての利用が可能となる。これは、灰の堆積コストを削減するか、又は正の収益をもたらす。
【0052】
典型的には、バイオマスの種類にかかわらず、蒸気爆発されたバイオマスの質量と比較して燃焼添加剤(特に汚れ低減添加剤)の量(すなわち質量)は0.1%~15%である。したがって、一実施形態では、固体バイオマスベースの燃料300は、合計で0.1w%~15w%の汚れ低減添加剤を含む。燃焼添加剤は、腐食電位に影響を及ぼす硫黄又は他の添加剤をさらに含んでもよい。そのような添加剤の量は、例えば、上述したように、多くとも1w%である。したがって、一実施形態では、固形バイオマスベースの燃料300は、合計で0.1w%~16wt%の燃焼添加剤を含む。これに対応して、固体バイオマスベースの燃料の実施形態は、蒸気爆発されたバイオマスのような少なくとも70wt%の可燃性物質、好ましくは少なくとも74wt%又は少なくとも79wt%の可燃性物質を含む。
【0053】
バイオマスの灰分の量は、バイオマスの種類に依存する。典型的には、木材由来のバイオマスは、0.3w%~1w%のようなわずかな灰分のみを含む。干し草又はわら又はいくらかの廃棄物画分から由来するバイオマスは、2w%から10w%のような灰をより多く含むことができる。これに対応して、灰の融点を高めるために、バイオマスの種類に応じて、異なる量の汚れ低減添加剤が必要とされ得る。一実施形態では、固体バイオマスベースの燃料の汚れ低減添加剤の総含有量は、バイオマスのタイプに基づいて選択される。一実施形態では、固体バイオマスベースの燃料の燃焼添加剤の総含有量は、バイオマスのタイプに基づいて選択される。
【0054】
木質系バイオマスを主に使用する場合、蒸気爆発されるバイオマスは、少なくとも50w%の木質バイオマスを含み、固体バイオマス系燃料は、燃焼添加剤/複数の添加剤によって含まれる2w%までの汚れ低減添加剤を含み得る。さらに、燃焼添加剤は、腐食電位を低下させる添加剤を含むことができる。バイオマスとして乾草又はわら又はいくらかの廃棄物の組み合わせを使用する場合、蒸気爆発されるバイオマスは、干草と藁の組合せの少なくとも50w%を含み、固体バイオマスベースの燃料は、燃焼添加剤/複数の添加剤によって構成された1w%~15w%の汚れ低減添加剤を含むことができる。さらに、燃焼添加剤は、腐食電位を低下させる添加剤を含むことができる。
【0055】
典型的には、燃焼添加剤は固体形態で供給される。適切な供給の場所は上述した。典型的には、燃焼添加剤は、粉末化された固体形態で供給される。粉末化された燃焼添加剤の平均粒径は、例えば、多くとも100μmである。粒子のサイズはふるいサイズを指す。平均サイズは平均篩サイズを意味し、平均は重量平均として計算される(すなわち、平均は[Σm]/[Σm]であり、式中、mは粒子の質量であり、dは篩サイズである)。
【実施例
【0056】
実施形態の例
1.熱伝達表面上の煙道ガス成分の化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成されたバイオマスベース燃料300の製造方法であって、当該方法は、
-反応器110にバイオマスを供給するステップと、
-反応器110に蒸気を供給するステップと、
-少なくとも10バール(a)の圧力及び180℃~250℃の温度で少なくとも2分間、前記バイオマス及び前記蒸気を同時に反応器110内に維持するステップと、
-バイオマスの環境の圧力が5バール(a)未満に低下するように、反応器110内の圧力を低下させ、及び/又は反応器110からバイオマスを移送して蒸気爆発バイオマスを生成するステップと、及び
-バイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスにいくらかの燃焼添加剤を添加するステップと、
を含み、
-燃焼添加物は、熱伝達表面、例えばボイラーの熱伝達表面、の上の煙道ガスの成分の化学的及び/又は機械的効果を低減することができ、その場合、前記蒸気爆発されたバイオマスを燃焼させることによって煙道ガスを得る、方法。
【0057】
2.実施例1の方法であって、
燃焼添加剤は、いくらかの汚れ低減添加剤を含む、方法。
【0058】
3.実施例2の方法であって、
汚れ低減添加剤は、燃焼すると、バイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する、方法。
【0059】
4.実施例2又は3の方法であって、
-汚れ低減添加剤は、汚れを引き起こすバイオマス又は蒸気爆発バイオマスのそのような化合物と化学的に反応することができる添加剤の群から選択される、
好ましくは、
-汚れ低減添加剤は、添加剤と蒸気爆発されたバイオマスとの組み合わせの灰の融点は、蒸気爆発されたバイオマスの灰の融点よりも高いような方法で、汚れの原因となるバイオマス又は蒸気爆発バイオマスの化合物と化学的に反応することができる添加剤の群から選択される、方法。
【0060】
5.実施例1~4のいずれかの方法であって、
燃焼添加剤は、カオリン、石灰石(CaCO)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、クレー(clay)、石炭フライアッシュ、カオリナイト(AlSi(OH))のようなケイ酸アルミニウム、エマルサイト、ベントナイト、及びボーキサイトの少なくとも1つを含む、方法。
【0061】
6.実施例1~5のいずれかに記載の方法であって、
燃焼添加剤は、場合によって他の元素に結合される、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)及びリン(P)の少なくとも1つを含む、方法。
【0062】
7.実施例1~6のいずれかの方法であって、
最大35バール(a)の圧力で、反応器110内で前記バイオマスと前記蒸気を同時に維持するステップ、
を含む方法。
【0063】
8.実施例1~7のいずれかの方法であって、
少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間、場合によっては多くとも1時間、前記バイオマスと前記蒸気を同時に反応器110内に維持するステップ、
を含む方法。
【0064】
9.実施例1~8のいずれかに記載の方法であって、
バイオマスベースの燃料300の燃焼添加剤の合計含有量が、バイオマスベースの燃料300の量の少なくとも0.1wt%かつ最大20wt%であるような方法で燃焼添加剤を添加するステップ、好ましくは、
バイオマスベースの燃料の汚れ低減添加剤の総含有量300は、バイオマスベース燃料300の量の少なくとも0.1wt%、且つ、多くとも15wt%であるような方法で、燃焼したときに、バイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する汚れ低減添加剤を含む燃焼添加剤を添加するステップ、
を含む方法。
【0065】
10.実施例1~9の方法であって、
-バイオマスの種類に基づいて、バイオマスベースの燃料の燃焼添加剤の総含有量を選択するステップ、
を含む方法。
【0066】
11.実施例1~10のいずれかの方法であって、
-バイオマスは、少なくとも50w%の木質バイオマスを含み、
-バイオマスベースの燃料は、燃焼したときにバイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する2wt%までの汚れ低減添加剤を含、場合によってはバイオマスベースの燃料は、2w%までの燃焼添加剤を含む、
方法。
【0067】
12.実施例1~11のいずれかの方法であって、
-バイオマスは、干し草、わら又は一部の廃棄物のいくつかの組み合わせの少なくとも50重量%を含み、
-バイオマスベースの燃料は、燃焼するとバイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する、汚損低減添加剤を少なくとも1w%~15w%まで含み、;場合により、バイオマスベースの燃料は、燃焼添加剤を少なくとも1w%~15w%まで含む、
方法。
【0068】
13.実施例1~12のいずれかの方法であって、
-燃焼添加剤の少なくとも一部が反応器110に添加される、方法。
【0069】
14.実施例1~13のいずれかの方法であって、
-燃焼添加剤の少なくとも一部が、反応器110の後に蒸気爆発されたバイオマスに添加される、方法。
【0070】
15.実施例1~14のいずれかの方法であって、
-蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離するための手段170で、例えばサイクロン170において、蒸気爆発されたバイオマスから蒸気を分離するステップ、
を含み、その場合、
-蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離するための手段170の後で、燃焼添加剤の少なくとも一部が蒸気爆発バイオマスに添加される、方法。
【0071】
16.実施例14又は15の方法であって、
-蒸気爆発バイオマスの温度が少なくとも90℃である場合、燃焼添加剤の少なくとも一部が蒸気爆発バイオマスに添加され、;好ましくは
-蒸気爆発バイオマスの温度が90℃~250℃である場合、燃焼添加剤の全て又は一部が蒸気爆発バイオマスに添加される、方法。
【0072】
17.実施例1~16のいずれかの方法であって、
燃焼添加剤が固体形態で添加される、方法。
【0073】
18.実施例1~17のいずれかの方法であって、
燃焼添加剤は粉末形態で添加される、方法。
【0074】
19.実施例1~18のいずれかの方法であって、
燃焼添加剤は、100μm以下の平均粒径を有する粉末形態で添加される、方法。
【0075】
20.実施例1~19のいずれかの方法であって、
-燃焼添加剤は、バイオマスベースの燃料300の腐食電位に影響を及ぼす添加剤を含み、及び/又は
-バイオマスベースの燃料300の腐食電位に影響を及ぼすさらなる添加剤が、バイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスに添加される、方法。
【0076】
21.実施例20の方法であって、
-腐食電位に影響を及ぼす添加剤は硫黄を含む、方法。
【0077】
22.実施例1~21のいずれかの方法であって、
-バイオマスの種類に基づいて、燃焼添加剤の材料及び/又は燃焼添加剤の機能を選択する、方法。
【0078】
23.実施例1~22のいずれかの方法であって、
-蒸気爆発されたバイオマスと燃焼添加剤とを含むペレット310を形成するステップ、
を含む方法。
【0079】
24.実施例23の方法であって、
-蒸気爆発されたバイオマスと燃焼添加剤との混合物からペレット310を形成するステップ、
を含む方法。
【0080】
25.実施例23の方法であって、
-ペレット化中に燃焼添加剤を、蒸気爆発されたバイオマスに添加することにより、蒸気爆発されたバイオマスからペレット310を形成するステップ、
を含む方法。
【0081】
26.実施例1~22のいずれかの方法であって、
-蒸気爆発されたバイオマスと燃焼添加剤とを含むブリケット320を形成するステップ、
を含む方法。
【0082】
30.熱伝達表面(例えば、ボイラの熱伝達表面)上の煙道ガス成分の化学的及び/又は機械的影響を低減するように構成されたバイオマスベースの燃料を生成するための装置100であって、
-反応器110と、
-装置100反応器110にバイオマスを供給するように構成された第1の供給装置121と、
-反応器110に蒸気を供給するように構成されたパイプライン123と、
-場合によって、容器150と、容器150にバイオマスを運ぶための手段と、
-反応器110又は容器150から蒸気爆発されたバイオマスを排出するための手段160と、
-少なくともいくらかの燃焼添加剤をバイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスに供給するように構成された、1つの第2の供給装置180又は少なくとも2つの第2の供給装置180と、
を含む装置100。
【0083】
31.実施例30の装置100であって、
第2の供給装置180、又は第2の供給装置180のうちの1つは、燃焼添加剤の少なくとも一部を反応器110に供給する、装置100。
【0084】
32.実施例30又は31の装置100であって、
-第2の供給装置180、又は第2の供給装置180のうちの1つは、反応器110の後で、燃焼添加剤の少なくとも一部を蒸気爆発されたバイオマスに供給するように構成された、装置100。
【0085】
33.実施例32の装置100であって、
-装置100は、蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離する手段170を含み、
-第2の供給装置180又は第2の供給装置180のうちの1つは、蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離する手段170の後に、燃焼添加剤の少なくとも一部を蒸気爆発されたバイオマスに供給するように構成された、
好ましくは
-第2の供給装置180又は第2の供給装置180のうちの1つは、燃焼添加剤の少なくともいくつかを、蒸気爆発されたバイオマスに、使用中に少なくとも90℃の;好ましくは多くとも250℃の温度を有する蒸気爆発されたバイオマスを含む場所に供給するように構成された、
装置100。
【0086】
34.実施例30~33のいずれかの装置100であって、
-バイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスに他の添加剤300を供給するように構成された第3の供給装置190、
を含む装置100。
【0087】
35.実施例30~34のいずれかに記載の装置100であって、
-第2供給装置180は、少なくとも汚れ低減添加剤を供給するために使用できるように構成されている、装置100。
汚れ低減添加剤は、
(a)燃焼すると、バイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を生成する、及び/又は
(b)は、汚れを引き起こすバイオマス又は蒸気爆発バイオマスのそのような化合物と化学的に反応することができる、
添加剤の群からの1種以上の添加剤を含むことができる。
【0088】
36.実施例30~35のいずれかの装置100であって、
-第2の供給装置180は、カオリン、石灰石(CaCO)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、クレー、石炭フライアッシュ、カオリナイト(AlSi(OH))、エマルサイト(emalthite)、ベントナイト、及びボーキサイトの少なくとも1つを含む汚れ低減添加剤を少なくとも供給するように構成されている、装置100。
【0089】
37.実施例30~36のいずれかの装置100において、
第2の供給装置180は、それのみ又はバイオマスベースの燃料の腐食電位に影響を及ぼす添加剤を供給するために使用できるように構成されている、装置100。
【0090】
38.実施例30~37の装置100において、
第2の供給装置180は、それのみ又は硫黄を又は他の腐食電位低減薬品を供給するために使用できるように構成されている、装置100。
【0091】
39.実施例34~38の装置100において、
(A)
-第3の供給装置190,190a、190bは、硫黄又は他の腐食電位を低減する化学薬品を供給するために使用できるように構成され、
-第2の供給装置180は、少なくとも汚れ低減添加剤を供給するために使用できるように構成されているか、又は
(B)
-第2の供給装置180は、硫黄又は他の腐食電位低減薬品を供給するために使用できるように構成されている、且つ、
-第3の供給装置190,190a、190bは、少なくとも汚損低減するものを供給するために使用できるように構成されている、装置100。
【0092】
40.実施例30~39のいずれかに記載の装置100であって、
-第2の供給装置180は、燃焼添加剤を固体形態で供給するために使用できるように構成されている、装置100。
【0093】
41.実施例30~40のいずれかの装置100であって、
-第2の供給装置180は、粉末形態の燃焼添加剤を供給するために使用できるように構成されている、装置100。
【0094】
42.実施例30~41のいずれかの装置100において、
-第2の供給装置180,180a、180bは、多くとも100μmの平均粒径を有する粉末形態の燃焼添加剤を供給するために使用されるように構成されている、装置100。
【0095】
43.システム400であって、
-バイオマスベースの燃料を製造するための実施例30~42のいずれかの装置100と、
-少なくとも蒸気爆発されたバイオマスからペレット310を形成するように構成されたペレット化装置200と、を含み、
-第2の供給装置180は、燃焼添加剤を、
・バイオマス又は蒸気爆発バイオマスに、及び
・ペレット化装置200の前又は中へ、
供給するように構成された、
システム400。
【0096】
44.
-バイオマスベースの燃料を製造するための実施例30~42のいずれかの装置(apparatus)100と、
-少なくとも蒸気爆発されたバイオマスからブリケットを形成するように構成された装置(device)250と、
を含むシステムであって、
-第2の供給装置180は、燃焼添加剤を、
・バイオマス又は蒸気爆発バイオマスに、及び
・少なくとも蒸気爆発されたバイオマスからブリケットを形成するように構成された装置250の前又は中に、
供給するように構成された、システム。
【0097】
47.熱伝達表面上の煙道ガス成分の化学的及び/又は機械的効果を低減するように構成されたバイオマスベースの燃料300であって、バイオマスベース燃料300は、
-蒸気爆発バイオマスと、
-いくらかの燃焼添加剤と、
を含み、その場合、
-燃焼添加剤は、ボイラーの熱伝達表面などの熱伝達表面上の煙道ガス成分の化学的及び/又は機械的効果を低減することができる添加剤の群から選択され、その場合、
-煙道ガスは、蒸気爆発されたバイオマスを燃焼させることによって得られる、
バイオマスベースの燃料300。
【0098】
48.実施例47のバイオマスベースの燃料300であって、燃焼添加剤が、
-いくらかの汚れ低減添加剤、
を含む、バイオマスベースの燃料300。
【0099】
49.実施例48のバイオマスベースの燃料300であって、
-汚れ低減添加剤は、燃焼すると、バイオマスの灰よりも高い融点を有する灰を形成する添加剤の群から選択される、
バイオマスベースの燃料300。
【0100】
50.実施例48又は49のバイオマスベースの燃料300であって、
-汚れ低減添加剤は、汚れを引き起こすバイオマス又は蒸気爆発バイオマスのそのような化合物と化学的に反応することができる添加剤の群から選択される、
好ましくは
-添加剤及び蒸気爆発バイオマスの組み合わせの灰の融点は、蒸気爆発バイオマスの灰の融点よりも高いように、汚れ低減添加剤は、ファウリングの原因となるバイオマス又は蒸気爆発バイオマスの化合物と化学的に反応することができる添加剤の群から選択される、
バイオマスベースの燃料300。
【0101】
51.実施例48~50のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-汚れ低減添加剤は、カオリン、石灰石(CaCO)、ドロマイト(CaMg(CO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、クレー、石炭フライアッシュ、カオリナイト(AlSiO(OH))、エマルサイト、ベントナイト、及びボーキサイトの少なくとも1つを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0102】
52.実施例47~51のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-燃焼添加剤は、場合によって他の元素に結合される、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)及びリン(P)の少なくとも1つを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0103】
53.実施例47~52のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-汚れ低減添加剤の0.1w%~15w%又は
-燃焼添加剤の0.1w%~20w%、
を含む、バイオマスベースの燃料300。
【0104】
54.蒸気爆発されたバイオマスが、脱繊維化(defibrillated)セルロースを含む、実施例47~53のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0105】
55.蒸気爆発されたバイオマスが破損したセルロース繊維を含む、実施例47~54のいずれかに記載のバイオマスベースの燃料300。
【0106】
56.蒸気爆発されたバイオマスがリグニンを含む、実施例47~55のいずれかに記載のバイオマスベースの燃料300。
【0107】
57.暗褐色である、実施例47~56のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0108】
58.実施例47~57のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-蒸気爆発されたバイオマスは、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はフルフラールを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0109】
59.実施例47~58のいずれかのバイオマスベース燃料300であって、
-蒸気爆発されたバイオマスは偽リグニンを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0110】
60.実施例47~59のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-蒸気爆発されたバイオマスは、バイオマスの細胞壁から放出されるそのようなヘミセルロースを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0111】
61.実施例47~60のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-蒸気爆発されたバイオマスは、セルロースミクロフィブリルを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0112】
62.実施例61のバイオマスベースの燃料300であって、
-蒸気爆発されたバイオマスは、セルロースミクロフィブリルの表面上にリグニンのビーズを含む、
バイオマスベースの燃料300。
【0113】
63.実施例49~62のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、
-木材由来の蒸気爆発されたバイオマス少なくとも50w%と、
-汚れ低減添加剤を2w%まで、又は燃焼添加剤を3w%と、
を含む、バイオマスベースの燃料300。
【0114】
64.実施例49~63のいずれかのバイオマスベースの燃料300であって、

・乾草に由来するこのような蒸気爆発バイオマス、
・藁に由来するこのような蒸気爆発バイオマス、
・いくらかの廃棄物に由来するこのような蒸気爆発バイオマス、
を合計で少なくとも50w%と、
-汚れ低減添加剤を2w%~15w%、又は燃焼添加剤を2w%~20w%と、
含む、バイオマスベースの燃料300。
【0115】
65.バイオマスの腐食電位に影響を及ぼすいくらかの添加剤を含む、実施例49~64のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0116】
66.硫黄を含む、実施例49~65のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0117】
67.少なくとも0.1重量%の硫黄を含む実施例49~66のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0118】
68.多くとも1w%の硫黄を含む、実施例49~67のいずれかのバイオマスベースの燃料300。
【0119】
69.実施例49~68のいずれかのバイオマスベースの燃料であって、
-バイオマスベースの燃料300は、固体の形態、例えば粒状又は粉末状である、
バイオマスベースの燃料300。
【0120】
70.実施例49~69のいずれかの固体バイオマスベースの燃料を含むペレット310。
【0121】
71.630kg/m~1300kg/mの密度を有する、実施例70のペレット310。
【0122】
72.実施例49~69のいずれかの固体バイオマスベースの燃料を含むブリケット320。
【0123】
81.バイオマスベースの燃料を製造するための装置であって、
-反応器と、
-反応器にバイオマスを供給するように構成された第1の供給装置と、
-蒸気を反応器に供給するように構成されたパイプラインと、
-蒸気爆発されたバイオマスを放出するための出口と、及び
-少なくともいくらかの燃焼添加剤をバイオマス及び/又は蒸気爆発バイオマスに供給するように構成された第2の供給装置と、
を含む装置。
【0124】
82.実施例81の装置であって、
-第2の供給装置は、燃焼添加剤の少なくともいくらかを蒸気爆発バイオマスに供給するように構成されている、装置。
【0125】
83.実施例82の装置であって、
-蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離するための手段、
を含み、
-第2の供給装置は、蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離する手段の後に、燃焼添加剤の少なくとも一部を蒸気爆発されたバイオマスに供給するように構成される、装置。
【0126】
84.実施例82又は83の装置であって、
-蒸気爆発されたバイオマスを蒸気から分離するための手段、
を含み、
-第2の供給装置は、使用中に少なくとも90℃の温度を有する蒸気爆発バイオマスを含むような場所に燃焼添加剤の少なくとも一部を供給するように構成される、装置。
【0127】
85.実施例81~84のいずれかに記載の装置であって、
-第2の供給装置は、多くとも100μmの平均粒径を有する粉末形態の燃焼添加剤を供給するために使用することができるように構成されている、装置。
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図3c
図4