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特許7186619ウインドスクリーンワイパーフレーム用ワイパーブレード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ウインドスクリーンワイパーフレーム用ワイパーブレード
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20221202BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20221202BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20221202BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B60S1/38 B
C08L7/00
C08L91/00
C08K3/34
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018559746
(86)(22)【出願日】2017-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017061534
(87)【国際公開番号】W WO2017194776
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】1654299
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、アシュイド
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-034599(JP,A)
【文献】特開2011-020619(JP,A)
【文献】特開2012-111110(JP,A)
【文献】特開2001-251975(JP,A)
【文献】特開2008-296634(JP,A)
【文献】特開2007-176225(JP,A)
【文献】特開2014-129509(JP,A)
【文献】特開2009-084564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/38
C08L 7/00
C08L 91/00
C08K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドシールドワイパー用のワイパーブレード(1)であって、前記ブレード(1)の少なくとも一部は、天然ゴムおよび少なくとも1種の添加剤に基づく材料を含み、前記少なくとも1種の添加剤は、少なくとも1種のバイオソース可塑剤およびバイオソース補強充填剤を含み、前記ブレードは、唯一のゴムとして、加硫状態の前記天然ゴムを含み、前記加硫ゴムは、非官能化天然ゴムの加硫により得られ、前記材料は、前記天然ゴムを30~45質量%、前記バイオソース可塑剤を1~10質量%、前記バイオソース補強充填剤を35~55質量%含み、前記材料の90質量%超はバイオソース由来であり、前記バイオソース補強充填剤は、鉱物充填剤であり、前記鉱物充填剤は、ケイ酸アルミニウムである、ワイパーブレード(1)(但し、天然ゴムと、エポキシ化された天然ゴムと、鉱物系補強材とを含むワイパーブレードを除く)。
【請求項2】
前記可塑剤は、バイオソース油である、請求項1に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項3】
前記バイオソース油の溶解度パラメータと、前記天然ゴムの溶解度パラメータとの差は、(cal/cm 1/2 で測定される場合、2(cal/cm 1/2 以下である、請求項2に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項4】
前記バイオソース油の溶解度パラメータは、7~10(cal/cm 1/2 、好ましくは8~9(cal/cm 1/2 、より好ましくは8.2~8.4(cal/cm 1/2 である、請求項3に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項5】
前記バイオソース油は、植物油および/または植物脂、動物油および/または動物脂、またはそれらの混合物から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項6】
前記材料を含んでなる前記ブレードの部分は、前記ブレードの基体である、請求項1~のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1種の添加剤は、UV照射に対するバイオソース保護剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1種の添加剤は、非バイオソース抗酸化剤および/または非バイオソース加硫剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項9】
前記ブレードは、シングルグレードの天然ゴムを、前記材料に含まれる前記天然ゴムとして含んでなる、請求項1~のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載のワイパーブレード(1)を含んでなる、ウインドシールドワイパー。
【請求項11】
請求項10に記載のウインドシールドワイパーを含んでなる、ワイピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドシールドワイパー用ワイパーブレード、特にバイオソース(biosourced)由来のワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には通常、ウインドシールドの洗浄および/または拭き取りを行うことにより、ドライバーの環境視野を妨げないようにするための、ウインドシールドワイパーシステムが装備されている。そのようなシステムのワイパーブレードは、従来は、往復角運動を行うアームにより駆動されている。これらのブレードは、例えばウインドシールドなどのガラスの外表面を擦って、水をドライバーの視野の外側へ水を移動させて排除する。従来品では、ワイパーは、数カ所でワイパーブレードを保持する丁番で結合されたアームの形態で製造されている。より最近の「フラットブレード」と呼ばれるものは、ワイパーは、その全体長にワイパーブレードを保持する半固定された組立品の形態で製造されている。
【0003】
通常、ワイパーブレードは、特にその機械特性、弾性、耐摩耗性、外的攻撃因子に対する耐性を改善するために、あるいは製造工程の実施を促進するために、添加剤が補充されたエラストマーに基づく弾性的に変形可能な材料から製造される。これらは、例えば、補強充填剤、加硫剤、UV照射、酸化、オゾンおよび/または摩耗に対する保護剤などとすることができる。
【0004】
殆どの場合、エラストマーおよび添加剤のいずれも石油化学工業製品である。しかしながら、環境保護およびCO排出量の削減に対する懸念の増加により、石油化学工業製品の使用を制限しようとする傾向がある。
【0005】
ゴム産業において、基礎となるエラストマーとして天然ゴムを使用することが可能であり、これは、その弾性および固有機械特性の観点から良好な性能を有している。天然ゴムは、樹木栽培を由来とする製品であるため、バイオソース材料である。
【0006】
しかしながら、最終製品中のエラストマー/添加剤比率は、通常、50質量%-50質量%のオーダーであり、石油化学工業によるものではない最終製品のレベルはかなり低い。ワイパーブレードの製造のための自動車産業に使用できるように、特に機械特性の観点からの適切な特性と、過剰な雑音を生じることない摺動特性とを有する材料を得るために、これらの添加剤は依然として必要である。更に、現在の解決法は共通して、ゴムの加硫および硬化操作の上流工程で官能化されたゴムを使用しているため、ワイパーブレードの製造プロセスをより長くより複雑なものにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、これらの不利益を生じさせない材料から、全体的にまたは部分的に製造されたワイパーブレードに対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、ブレードの少なくとも一部が天然ゴムおよび少なくとも1種の添加剤に基づく材料を含んでなり、前記添加剤は、少なくとも1種のバイオソース可塑剤であり、前記ブレードは、唯一のゴムとして加硫状態の前記天然ゴムを含んでなり、前記加硫ゴムは、非官能化天然ゴムの加硫により得られる、ウインドシールドワイパー用のワイパーブレードを提案する。
【0009】
本発明の意味において、用語「バイオソース」とは、化石由来の製品ではなく、特に植物、動物または鉱物由来の製品を指す。「化石由来の」とは、石油もしくは石炭、または石油もしくは石炭の誘導体から得られた製品、特に石油化学工業製品を意味する。
【0010】
可塑剤としてのバイオソース製品の使用によって、材料中のバイオソース製品の割合を増加させながら、天然ゴムの特性を改善することができる。可塑剤は、特に材料をより扱いやすくし、その産業的製造工程における適用を促進することができる。
【0011】
本発明の意味において、用語「非官能化」とは、ポリマー鎖に化学的作用を加えることによるかまたは官能基を共有結合的に加えることにより、化学的に修飾されていない前記天然ゴムを形成するポリマー鎖を意味するとして理解されなければならない。
【0012】
しかしながら、本発明で使用される天然ゴムは、加硫および硬化操作の前に、有機(特に植物性の)不純物および鉱物不純物を天然ゴムから除去することを目的とする1種以上の精製工程を受けるが、そのような不純物の殆どの部分は天然ゴムが得られる植物の樹液に由来している。
【0013】
本発明によると、バイオソース可塑剤と組み合わせた、ワイパーブレードの唯一のゴムとしての非官能化天然ゴムの使用によって、より環境に優しく、製造が容易であり、その機械的および物理的特性は自動車の窓ガラスを拭き取るのに適したワイパーブレードを得ることができる。
【0014】
したがって、本発明は、その製造のために天然および合成ゴムの混合物に頼る必要も、ゴムの加硫および硬化の前においてワイパーブレードを形成するために使用されるゴムの官能処理に頼る必要もなく、適切な機械特性および物理特性を得ることができる。
【0015】
本発明の様々な実施形態によると、以下を同時にまたは別々に実現することができる。
前記ブレードは、例えば、ゴムTSR10または20、好ましくはゴムTSR20などの、シングルグレードの天然ゴムを含んでなり、
前記可塑剤は、バイオソース油であり、
前記バイオソース油の溶解度パラメータと、前記天然ゴムの溶解度パラメータとの差は、(cal/cm1/2で測定した場合、2(cal/cm1/2以下であり、またはさらに1.5(cal/cm1/2以下であり、またはさらに1(cal/cm1/2以下であり、またはさらに0.5(cal/cm1/2以下であり、
前記バイオソース油の溶解度パラメータは、前記天然ゴムの溶解度パラメータと近く、
前記バイオソース油の溶解度パラメータは、7~10(cal/cm1/ あり、好ましくは8~9(cal/cm1/ あり、
前記バイオソース油は、植物油および/または植物脂、動物油および/または動物脂、またはそれらの混合物から選択され、
前記バイオソース油は、ヒマワリ油、オリーブ油、菜種油、亜麻仁油、やし油、ひまし油、大豆油から選択され、好ましくは、ヒマワリ油および菜種油の混合物であり、
前記ワイパーブレードは、唯一の油として、前記ヒマワリ油を含んでなり、
前記油は、魚油であり、
前記添加剤は、さらに、バイオソース補強充填剤であり、
前記バイオソース補強充填剤は、鉱物充填剤、木質繊維、セルロース、珪藻植物、またはそれらの混合物から選択され、好ましくは鉱物充填剤および木質繊維の混合物であり、
前記鉱物充填剤は、カオリンなどのケイ酸アルミニウムであり、
前記材料の90質量%、好ましくは95質量%、またはさらには96質量%が、バイオソース由来であり、
前記材料の10質量%未満、好ましくは5質量%未満、またはさらには4質量%未満が、非バイオソース由来であり、
前記材料を含むブレードの部分は、前記ブレードの基体であり、
前記添加剤は、UV照射に対する、バイオソース保護剤であり、
前記保護剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛またはそれらの混合物から選択された金属酸化物であり、
前記添加剤は、非バイオソース抗酸化剤であり、
前記抗酸化剤は、ジフェニルアミン、パラフェニレンジアミン、またはそれらの混合物であり、
前記添加剤は、非バイオソース加硫剤であり、
前記加硫剤は、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、またはそれらの混合物から選択され、好ましくはチウラム、チアゾールおよびスルフェンアミドの混合物である。
【0016】
本発明はまた、本発明によるワイパーブレードを含んでなる、ウインドシールドワイパーに関する。
【0017】
本発明は、最終的に、本発明によるウインドシールドワイパーを含んでなるワイピングシステムに関する。
【0018】
本発明の一実施形態のワイパーブレードの概略断面図である添付の図1を参照しながら、例示のみを目的とする非限定的な例を示す本発明の一実施例の以下に記載する詳細な例示的説明から、本発明をより理解することができ、さらに本発明の他の目的、詳細、特徴および利点がより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による、ワイパーブレードの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<詳細な説明>
本発明によるワイパーブレード1は、
天然ゴム、および
少なくとも1種の添加剤
に基づく材料を含んでなる。
該添加剤は、例えば、バイオソース可塑剤である。
【0021】
可塑剤は、ワイパーブレードを製造するための材料をより柔軟に、および/またはより扱いやすくするための成分である。一般的に、可塑剤は多くの場合には油である。本明細書においては、本発明による可塑剤はバイオソース油である。
【0022】
バイオソース油は、(cal/cm1/2で測定される場合、バイオソース油の溶解度パラメータと、天然ゴムの溶解度パラメータとの差は、2(cal/cm1/2以下、またはさらに1.5(cal/cm1/2以下、またはさらに1(cal/cm1/2以下、またはさらに0.5(cal/cm1/2以下であるように選択される。
【0023】
天然ゴムの溶解度パラメータは、8.3(cal/cm1/2である。
【0024】
換言すれば、バイオソース油の溶解度パラメータは、天然ゴムの溶解度パラメータに近い。これによって、確実に、選択されたバイオソース油(または複数のバイオソース油の混合物)は、天然ゴムと相溶性があり、良好な親和性を有し、すなわち油はしっかりと天然ゴムと混合することとなる。
【0025】
したがって、バイオソース油の溶解度パラメータは、7~10(cal/cm1/2、好ましくは8~9(cal/cm1/2である。
【0026】
バイオソース油は、例えば、植物油および/または植物脂から選択されるが、動物油および/または動物脂、またはそれらの混合物からも選択される。
【0027】
有利には、植物油および/または植物脂は、ヒマワリ油、オリーブ油、菜種油、亜麻仁油、やし油、ひまし油、大豆油から選択される。好ましくは、ヒマワリ油および菜種油の混合物である。
【0028】
動物油および/または脂は、魚油から選択される。
【0029】
これらのバイオソース油は、8.2~8.4(cal/cm1/2の溶解度パラメータを有することが知られている。例として、油を選択するための溶解度パラメータを以下の表に記載する。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明によると、ワイパーブレードの唯一のゴムとして、非官能化天然ゴムを、溶解度パラメータが8.2~8.4(cal/cm1/2である1種以上のバイオソース油と組み合わせて使用することにより、環境に優しく、製造が容易であり、その機械的特性および物理的特性が、自動車の窓ガラスを拭き取るのに非常に適している、ワイパーブレードを得ることができる。
【0032】
好ましくは、材料は、添加剤として、バイオソース補強充填剤を更に含んでなる。
【0033】
補強充填剤により、ゴムの機械的特性を改善することができる。特に、ワイパーブレード1の破壊強度および/または摩擦特性を改善することができる。
【0034】
バイオソース補強充填剤は、例えば、鉱物充填剤、木質繊維、セルロース、珪藻植物、またはそれらの混合物から選択される。好ましくは、バイオソース補強充填剤は、鉱物充填剤および木質繊維の混合物である。
【0035】
これらの種類の補強充填剤によって、自動車部門においてエラストマーの補強充填剤として従来使用されている非バイオソース由来のカーボンブラックの使用を制限しながら、天然ゴムの機械的特性を改善することができる。
【0036】
鉱物充填剤は、好ましくは、カオリンなどのケイ酸アルミニウムである。カオリンは、ケイ酸アルミニウムリッチな鉱物種を意味し、特にカオリナイトなどの含水ケイ酸アルミニウムリッチな鉱物種を意味する。これはまた、焼成カオリンであってもよい。
【0037】
有利には、材料は、
30~45質量%、好ましくは35~40質量%の天然ゴム、
35~55質量%、好ましくは40~50質量%のバイオソース補強充填剤、
1~10質量%、好ましくは4~7質量%のバイオソース可塑剤、
を含んでなる。
【0038】
材料は、特に、機械特性、弾性、耐摩耗性、外的攻撃因子への耐性またはその他を改善して本発明の方法の実施の改善をするために、当業者に一般に知られている1種以上の添加剤を更に含んでいてもよい。
【0039】
それは、例えば、加硫剤、またはUV照射、酸化、オゾンおよび/または摩耗に対する保護剤などとすることができる。添加剤は、材料の90質量%、好ましくは95質量%、またはさらに96質量%がバイオソース由来であるような、バイオソース由来の添加剤である。
【0040】
換言すると、材料の10質量%未満、好ましくは5質量%未満、またはさらに4質量%未満が、非バイオソース由来である。
【0041】
有利には、「非バイオソース」製品は、化石由来、特に石油化学由来の製品である。
【0042】
したがって、材料は、添加剤としてUV照射に対する少なくとも1種のバイオソース保護剤を含んでなる。この保護剤は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、またはそれらの混合物から選択される、金属酸化物である。
【0043】
金属酸化物は、ステアリン酸および/またはパルミチン酸などの酸と組み合わせてもよい。金属酸化物と反応させると、酸は塩を形成し、それによって混合物中に金属酸化物を溶解させることができる。
【0044】
材料は、非バイオソース添加剤を更に含んでなる。それらは、少なくとも1種の非バイオソース添加剤および/または少なくとも1種の非バイオソース加硫剤とすることができる。
【0045】
抗酸化剤は、例えば、ジフェニルアミン、パラフェニレンジアミン、またはそれらの混合物から選択される。
【0046】
加硫剤は、例えば、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、またはそれらの混合物から選択される。好ましくは、加硫剤は、チウラム、チアゾールおよびスルフェンアミドの混合物である。当業者に知られている、任意の他の抗酸化剤および/または任意の他の加硫剤も想定され得る。
【0047】
図1によると、本発明によるウインドシールドワイパーのワイパーブレード1は、細長い形状を有し、ワイパー本体(図示せず)により支えられている。ブレード1は、リップ3およびヒール5を含んでなり、それらはヒンジ7により結合されている。リップ3、ヒール5およびヒンジ7は合わせて、ブレード1の基体を形成する。
【0048】
ヒール5により、ワイパーの本体内にブレード1を留めることができる。リップ3は、ウインドシールドなどの窓ガラスを拭き取るために、該窓ガラスの外表面と接触することを意図している。
【0049】
ヒンジ7は薄い材料片により形成され、ブレードにある程度の柔軟性を付与し、ワイパーの動く方向の変化の間に、ブレードがぱたぱたと動くようにすることができるようにし、換言すると、リップが往復式に反転するように動くようにするものである。
【0050】
ブレード1は、当業者に知られている従来の製造方法により得られる。
【0051】
有利には、ブレード1の少なくとも一部は上記の材料を含んでなり、特にブレードの基体はこの材料を含んでなる。発明者らは、したがって、例えば以下の実施形態を想定している。
リップ3のみが該材料を含んでなる実施形態と、
ヒール5のみが該材料を含んでなる実施形態と、
ブレード1全体が該材料を含んでなる実施形態。
【0052】
また所望により、例えば、黒鉛化、プラズマ処理、ハロゲン化、イオン注入および/またはコーティングの蒸着により、ブレード1の表面の全体または一部を改質するように処理されていてもよい。この処理によって、ブレードの機械特性、ワイピング特性および/または耐摩耗性を強化することができる。
【0053】
ワイパーブレード1は、したがって、単層構造または多層構造のコーティングを含んでいてもよい。コーティングは、ブレード1の基体を被覆する。
【実施例
【0054】
本発明によるワイパーブレード1を製造するために使用される材料の配合例を、例示のみを目的として以下に示すが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。単位は、phr(ゴムに対する百分率)で示す。
【0055】
【表2】
【0056】
この例の材料の加硫動力学を調べた。ISO3417規格に従って、測定を行った。結果は以下のとおりである。
【0057】
【表3】
【0058】
加硫は、165℃で5分間かかった。
【0059】
この材料のムーニー粘度もまた、ISO289規格に従って測定した。この材料のムーニー粘度は、54ムーニー単位である。適用の観点から、材料を、4~8分のオーダーの短いサイクル時間で、混合処理をしながら成形または押出をすることによる産業プロセスに使用することができる。
【0060】
また、この材料の特性、特に機械特性を検査するための試験も行った。
【0061】
材料の初期硬度は、64IRHD(国際ゴム硬度)である。硬度測定を、ISO48規格およびISO188規格に従って行った。
【0062】
引張強度の測定すなわち引張試験を、500mm/分で、ISO37規格に従って行った。結果を下表にまとめる。
【0063】
【表4】
【0064】
70℃で22時間、50%伸び(50%伸び設定)へ供した材料の伸びは、9%である。これを、ISO2285規格に従って測定した。
【0065】
弾性は67%であり、28%のヒステリシス効果が付随する。弾性はDIN53512規格に従って測定し、ヒステリシス効果はNF-T46002規格に従って決定した。
【0066】
これらの特性は、非バイオソース由来の従来の化合物、特に、補強充填剤としてカーボンブラックおよび非バイオソース可塑剤に基づく化合物の特性と同じレベルである。
【0067】
したがって、この例において、二つのバイオソース補強充填剤であるカオリンおよび木質繊維の組合せを、従来のカーボンブラックの代わりに使用した。補強充填剤のこの組合せを、二つのバイオソース可塑剤であるヒマワリ油および菜種油の組合せとともに使用した。この二重の組合せにより、ワイパーブレード製造における使用に必要な機械特性を有しながら、5質量%未満の非バイオソース添加剤を含んでなる材料を得ることができる。
【0068】
様々な変化形の実施形態が当然に可能であり、本発明は、例示された配合の材料を含んでなるワイパーブレードのみに限定されないことに留意されたい。
図1