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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221202BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 129
B41J2/21
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019092542
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020185737
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】岸田 雄太郎
【審査官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-188962(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03028861(EP,A1)
【文献】特開2018-158520(JP,A)
【文献】特開2012-106473(JP,A)
【文献】特開2010-149516(JP,A)
【文献】特開2012-206324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズル列が形成されるインクジェットヘッド部と、前記インクジェットヘッド部から吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッド部および前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、
前記インクジェットヘッド部と前記紫外線照射器とは、主走査方向で隣り合っており、
前記ノズル列は、主走査方向と上下方向とに直交する副走査方向に配列される複数のノズルによって構成され、
前記インクジェットヘッド部には、紫外線硬化型のカラーインクを吐出する前記ノズル列であるカラーインクノズル列と、紫外線硬化型の白色インクを吐出する前記ノズル列である白色インクノズル列と、紫外線硬化型の透明なクリアインクを吐出する前記ノズル列であるクリアインクノズル列とが形成され、
前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とは、副走査方向において同じ位置に配置され、
前記インクジェットヘッド部は、複数の前記カラーインクノズル列が形成される第1のインクジェットヘッドと、前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とが形成される第2のインクジェットヘッドとを備え、
前記第1のインクジェットヘッドは、副走査方向において前記第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置されるとともに、主走査方向において前記第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置され、
主走査方向において、前記クリアインクノズル列と前記紫外線照射器との間には、少なくとも前記カラーインクノズル列または前記白色インクノズル列が配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記紫外線照射器は、主走査方向における前記インクジェットヘッド部の両側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とは、主走査方向で隣接配置され、
前記白色インクノズル列および前記クリアインクノズル列の主走査方向における両側に前記カラーインクノズル列が配置されていることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズル列が形成されるインクジェットヘッド部と、前記インクジェットヘッド部から吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッド部および前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、
前記紫外線照射器は、主走査方向における前記インクジェットヘッド部の両側に配置され、
前記ノズル列は、主走査方向と上下方向とに直交する副走査方向に配列される複数のノズルによって構成され、
前記インクジェットヘッド部には、紫外線硬化型のカラーインクを吐出する前記ノズル列であるカラーインクノズル列と、紫外線硬化型の白色インクを吐出する前記ノズル列である白色インクノズル列と、紫外線硬化型の透明なクリアインクを吐出する前記ノズル列であるクリアインクノズル列とが形成され、
前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とは、副走査方向において同じ位置に配置され、
前記インクジェットヘッド部は、複数の前記カラーインクノズル列が形成される第1のインクジェットヘッドと、前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とが形成される第2のインクジェットヘッドとを備え、
前記第1のインクジェットヘッドは、副走査方向において前記第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置されるとともに、主走査方向において前記第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置され、
主走査方向において、前記クリアインクノズル列と前記紫外線照射器との間には、少なくとも前記カラーインクノズル列が配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記白色インクノズル列と前記クリアインクノズル列とは、主走査方向で隣接配置され、
前記白色インクノズル列および前記クリアインクノズル列の主走査方向における両側に前記カラーインクノズル列が配置されていることを特徴とする請求項記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化型のインクを印刷媒体に向かって吐出する複数のインクジェットヘッドと、印刷媒体に付着したインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドと紫外線照射器とが搭載されるとともに主走査方向に移動するキャリッジとを備えるインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドとして、着色用のカラーインクを吐出する着色用インクジェットヘッドと、下地用の白色インクを吐出する下地用インクジェットヘッドと、オーバーコート用のクリアインクを吐出するオーバーコート用インクジェットヘッドとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される下地用インクジェットヘッド、着色用インクジェットヘッドおよびオーバーコート用インクジェットヘッドは、主走査方向においてこの順番で配置されている。紫外線照射器は、主走査方向におけるキャリッジの両端側のそれぞれに搭載されている。すなわち、主走査方向における複数のインクジェットヘッドの両側には紫外線照射器が配置されており、主走査方向における複数のインクジェットヘッドの一端側に配置される紫外線照射器は、オーバーコート用インクジェットヘッドと隣り合うように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-168980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタのように、紫外線硬化型のインクを使用するインクジェットプリンタでは、紫外線照射器から射出された紫外線が印刷媒体の表面等で反射してインクジェットヘッドのノズル(インクの吐出口)に到達すると、ノズル内のインクが硬化して目詰まりを起こすおそれがある。すなわち、紫外線硬化型のインクを使用するインクジェットプリンタの場合、印刷媒体の表面等で反射した紫外線がインクジェットヘッドのノズルに到達するいわゆる迷光の影響で、インクジェットヘッドのノズルが目詰まりするおそれがある。
【0006】
また、本願発明者の検討によると、クリアインクが硬化する際に必要な紫外線の積算光量(積算照度)は、カラーインクが硬化する際に必要な紫外線の積算光量および白色インクが硬化する際に必要な紫外線の積算光量よりも少ないことが明らかになった。また、そのために、迷光の影響によって、オーバーコート用インクジェットヘッドのノズルの目詰まりが最も発生しやすくなっていることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、紫外線硬化型のクリアインクを使用するインクジェットプリンタにおいて、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドのノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズル列が形成されるインクジェットヘッド部と、インクジェットヘッド部から吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッド部および紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、インクジェットヘッド部と紫外線照射器とは、主走査方向で隣り合っており、ノズル列は、主走査方向と上下方向とに直交する副走査方向に配列される複数のノズルによって構成され、インクジェットヘッド部には、紫外線硬化型のカラーインクを吐出するノズル列であるカラーインクノズル列と、紫外線硬化型の白色インクを吐出するノズル列である白色インクノズル列と、紫外線硬化型の透明なクリアインクを吐出するノズル列であるクリアインクノズル列とが形成され、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とは、副走査方向において同じ位置に配置され、インクジェットヘッド部は、複数のカラーインクノズル列が形成される第1のインクジェットヘッドと、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とが形成される第2のインクジェットヘッドとを備え、第1のインクジェットヘッドは、副走査方向において第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置されるとともに、主走査方向において第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置され、主走査方向において、クリアインクノズル列と紫外線照射器との間には、少なくともカラーインクノズル列または白色インクノズル列が配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のインクジェットプリンタでは、主走査方向において、クリアインクノズル列と紫外線照射器との間に、少なくともカラーインクノズル列または白色インクノズル列が配置されている。そのため、本発明では、主走査方向における紫外線照射器とクリアインクノズル列との距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、紫外線照射器は、たとえば、主走査方向におけるインクジェットヘッド部の両側に配置されている。この場合には、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とは、主走査方向で隣接配置され、白色インクノズル列およびクリアインクノズル列の主走査方向における両側にカラーインクノズル列が配置されていることが好ましい。このように構成すると、主走査方向におけるインクジェットヘッド部の両側に紫外線照射器が配置されていても、主走査方向における紫外線照射器とクリアインクノズル列との距離を長くすることが可能になる。したがって、主走査方向におけるインクジェットヘッド部の両側に紫外線照射器が配置されていても、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズル列が形成されるインクジェットヘッド部と、インクジェットヘッド部から吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッド部および紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、紫外線照射器は、主走査方向におけるインクジェットヘッド部の両側に配置され、ノズル列は、主走査方向と上下方向とに直交する副走査方向に配列される複数のノズルによって構成され、インクジェットヘッド部には、紫外線硬化型のカラーインクを吐出するノズル列であるカラーインクノズル列と、紫外線硬化型の白色インクを吐出するノズル列である白色インクノズル列と、紫外線硬化型の透明なクリアインクを吐出するノズル列であるクリアインクノズル列とが形成され、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とは、副走査方向において同じ位置に配置され、インクジェットヘッド部は、複数のカラーインクノズル列が形成される第1のインクジェットヘッドと、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とが形成される第2のインクジェットヘッドとを備え、第1のインクジェットヘッドは、副走査方向において第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置されるとともに、主走査方向において第2のインクジェットヘッドとずれた位置に配置され、主走査方向において、クリアインクノズル列と紫外線照射器との間には、少なくともカラーインクノズル列が配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のインクジェットプリンタでは、主走査方向において、クリアインクノズル列と紫外線照射器との間に、少なくともカラーインクノズル列が配置されている。そのため、本発明では、主走査方向における紫外線照射器とクリアインクノズル列との距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、白色インクノズル列とクリアインクノズル列とは、主走査方向で隣接配置され、白色インクノズル列およびクリアインクノズル列の主走査方向における両側にカラーインクノズル列が配置されている
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、紫外線硬化型のクリアインクを使用するインクジェットプリンタにおいて、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドのノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すインクジェットヘッド部および紫外線照射器の配置を説明するための底面図である。
図3】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットヘッド部の構成を説明するための図である。
図4】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットヘッド部の構成を説明するための図である。
図5】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための図である。
図6】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(インクジェットプリンタの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すインクジェットヘッド部3および紫外線照射器7の配置を説明するための底面図である。
【0019】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、印刷媒体2に印刷を行う。印刷媒体2は、たとえば、印刷用紙、布帛または樹脂製のフィルム等である。プリンタ1は、紫外線硬化型のインク(UVインク)を吐出するインクジェットヘッド部3を備えている。インクジェットヘッド部3は、複数のインクジェットヘッド4、5を備えている。本形態のインクジェットヘッド部3は、2個のインクジェットヘッド4(以下、「ヘッド4」とする。)と1個のインクジェットヘッド5(以下、「ヘッド5」とする。)とによって構成されている。
【0020】
また、プリンタ1は、印刷媒体2が載置されるテーブル6と、インクジェットヘッド部3から吐出されたインク(すなわち、ヘッド4、5から吐出されたインク)に紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器7と、インクジェットヘッド部3および紫外線照射器7が搭載されるキャリッジ8と、キャリッジ8を主走査方向(図1等のY方向)に移動させるキャリッジ駆動機構9と、キャリッジ8を主走査方向に案内するガイドレール10とを備えている。キャリッジ8は、テーブル6の上側に配置されている。キャリッジ駆動機構9は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ8に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。
【0021】
さらに、プリンタ1は、ガイドレール10が固定されるYバー(図示省略)と、上下方向(図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(図1等のX方向)にYバーを移動させるYバー移動機構(図示省略)とを備えている。以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、副走査方向(X方向)を「前後方向」とする。また、左右方向の一方側である図1等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「左」側とする。
【0022】
なお、プリンタ1は、Yバー移動機構に代えて、テーブル6を前後方向(副走査方向)に移動させるテーブル移動機構を備えていても良い。また、プリンタ1は、Yバー移動機構およびテーブル6に代えて、印刷時の印刷媒体2が載置されるプラテンと、副走査方向に印刷媒体2を送る媒体送り機構とを備えていても良い。
【0023】
紫外線照射器7は、左右方向におけるインクジェットヘッド部3の両側でキャリッジ8に搭載されている。すなわち、キャリッジ8には、2個の紫外線照射器7が搭載されており、紫外線照射器7は、左右方向におけるインクジェットヘッド部3の両側に配置されている。また、インクジェットヘッド部3と紫外線照射器7とは、左右方向で隣り合っている。紫外線照射器7は、たとえば、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装される基板とによって構成されている。発光素子は、たとえば、紫外線を射出するUVLEDチップである。
【0024】
キャリッジ8に搭載されるヘッド4、5は、テーブル6に載置される印刷媒体2の上面に向かってインクを吐出する。すなわち、ヘッド4、5は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド4の下面には、着色用のカラーインクを吐出するノズル列14が形成されている。ヘッド5の下面には、下地用の白色インクを吐出するノズル列15と、オーバーコート用の透明なクリアインクを吐出するノズル列16とが形成されている。
【0025】
すなわち、インクジェットヘッド部3には、紫外線硬化型のカラーインクを吐出するノズル列14と、紫外線硬化型の白色インクを吐出するノズル列15と、紫外線硬化型の透明なクリアインクを吐出するノズル列16とが形成されている。ノズル列14~16は、前後方向に配列される複数のノズルによって構成されている。本形態のノズル列14は、カラーインクノズル列であり、ノズル列15は、白色インクノズル列であり、ノズル列16は、クリアインクノズル列である。また、本形態のヘッド4は、第1のインクジェットヘッドであり、ヘッド5は、第2のインクジェットヘッドである。
【0026】
ヘッド4には、4個のノズル列14が形成されている。4個のノズル列14は、左右方向で隣接配置されている。4個のノズル列14のそれぞれは、ブラック(K)のカラーインク、イエロー(Y)のカラーインク、シアン(C)のカラーインクおよびマゼンタ(M)のカラーインクを吐出する。
【0027】
ヘッド5には、2個のノズル列15と2個のノズル列16とが形成されている。ノズル列15とノズル列16とは、前後方向において同じ位置に配置されている。また、2個のノズル列15と2個のノズル列16とは、左右方向で隣接配置されている。本形態では、2個のノズル列15が左側に配置され、2個のノズル列16が右側に配置されている。なお、2個のノズル列15が右側に配置され、2個のノズル列16が左側に配置されていても良い。
【0028】
2個のヘッド4は、前後方向において同じ位置に配置されている。2個のヘッド4とヘッド5とは、前後方向においてずれた位置に配置されている。すなわち、ノズル列14は、前後方向においてノズル列15、16とずれた位置に配置されている。また、ヘッド5は、左右方向において2個のヘッド4の間に配置されている。すなわち、ノズル列15、16の左右方向の両側には、ノズル列14が配置されており、左右方向において、ノズル列16と紫外線照射器7との間には、少なくともノズル列14が配置されている。具体的には、ノズル列16の右側では、左右方向において、ノズル列16と紫外線照射器7との間に4個のノズル列14が配置され、ノズル列16の左側では、左右方向において、ノズル列16と紫外線照射器7との間に4個のノズル列14と2個のノズル列15とが配置されている。
【0029】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、左右方向において、ノズル列16と紫外線照射器7との間に少なくともノズル列14が配置されている。そのため、本形態では、クリアインクを吐出するノズル列16と紫外線照射器7との左右方向の距離を長くすることが可能になる。したがって、本形態では、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。また、本形態では、ノズル列16の左右方向の両側において、ノズル列16と紫外線照射器7との間に少なくともノズル列14が配置されているため、インクジェットヘッド部3の左右方向の両側に紫外線照射器7が配置されていても、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0030】
本形態では、白色インクを吐出するノズル列15と、クリアインクを吐出するノズル列16とが共通のヘッド5に形成されている。そのため、本形態では、ノズル列15が形成されるヘッドと、ノズル列16が形成されるヘッドとが別々に設けられている場合と比較して、インクジェットヘッド部3の構成を簡素化することが可能になる。
【0031】
(インクジェットヘッド部の変形例)
図3図4は、本発明の他の実施の形態にかかるインクジェットヘッド部3の構成を説明するための図である。
【0032】
上述した形態において、インクジェットヘッド部3が有するヘッド4の数は1個であっても良い。この場合、ヘッド5では、図3に示すように、左右方向においてヘッド4が配置される側にノズル列16が配置されている。たとえば、ヘッド4がヘッド5の左側に配置されている場合には、ヘッド5において、ノズル列16が左側に配置され、ノズル列15が右側に配置されている。
【0033】
すなわち、ノズル列16の右側では、ノズル列16と紫外線照射器7との間に2個のノズル列15が配置され、ノズル列16の左側では、ノズル列16と紫外線照射器7との間に4個のノズル列14が配置されている。この場合であっても、クリアインクを吐出するノズル列16と紫外線照射器7との左右方向の距離を長くすることが可能になるため、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0034】
また、上述した形態において、インクジェットヘッド部3が有するヘッド5の数は2個であっても良い。この場合には、たとえば、図4に示すように、2個のヘッド5は、前後方向において同じ位置に配置されている。また、2個のヘッド5は、左右方向において2個のヘッド4の間に配置されている。この場合であっても、クリアインクを吐出するノズル列16と紫外線照射器7との左右方向の距離を長くすることが可能になるため、クリアインクを吐出するノズルが迷光の影響で目詰まりするのを抑制することが可能になる。
【0035】
また、上述した形態において、インクジェットヘッド部3が有するヘッド4の数は3個以上であっても良いし、インクジェットヘッド部3が有するヘッド5の数は3個以上でも良い。この場合であっても、左右方向において、ノズル列16と紫外線照射器7との間には、少なくともノズル列14が配置されている。
【0036】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0037】
上述した形態において、キャリッジ8に搭載される紫外線照射器7は1個であっても良い。また、キャリッジ8に搭載される紫外線照射器7が1個であって、かつ、インクジェットヘッド部3が有するヘッド4の数が1個である場合には、クリアインクを吐出するノズル列16と紫外線照射器7との左右方向の距離を長くするために、左右方向においてヘッド5と紫外線照射器7との間にヘッド4が配置されていることが好ましい(図5参照)。また、この場合には、クリアインクを吐出するノズル列16と紫外線照射器7との左右方向の距離をより長くするために、ヘッド5では、図5に示すように、左右方向においてヘッド4が配置される側にノズル列15が配置され、ヘッド4が配置される側と反対側にノズル列16が配置されていることが好ましい。
【0038】
ただし、左右方向においてヘッド4が配置される側にノズル列16が配置され、ヘッド4が配置される側と反対側にノズル列15が配置されていても良い。また、図6に示すように、左右方向においてヘッド4と紫外線照射器7との間にヘッド5が配置されていても良い。この場合には、左右方向において紫外線照射器7が配置される側にノズル列15が配置され、紫外線照射器7が配置される側と反対側にノズル列16が配置されている。すなわち、左右方向におけるノズル列16と紫外線照射器7との間には、ノズル列15が配置されている。
【0039】
上述した形態および図3図6に示す変形例において、インクジェットヘッド部3は、ノズル列15が形成されるヘッドとノズル列16が形成されるヘッドとを別々に備えていても良い。この場合には、ノズル列15が形成されるヘッドと、ノズル列16が形成されるヘッドとが前後方向においてずれた位置に配置されていても良い。また、たとえば、上述した形態において、インクジェットヘッド部3が、ノズル列15が形成されるヘッドとノズル列16が形成されるヘッドとを別々に備えている場合には、左側に配置されるヘッド4の左側、または、右側に配置されるヘッド4の右側に、ノズル列15が形成されるヘッドが配置されていても良い。
【0040】
上述した形態および図4図5に示す変形例において、ヘッド4とヘッド5とが前後方向において同じ位置に配置されていても良い。また、上述した形態および図3図6に示す変形例において、ノズル列14~16が1個のヘッドに形成されていても良い。さらに、上述した形態および図3図6に示す変形例において、ヘッド4に形成されるノズル列14の数は、3個以下であっても良いし、5個以上であっても良い。また、上述した形態および図3図6に示す変形例において、ヘッド5に、1個のノズル列15と1個のノズル列16とが形成されていても良い。
【0041】
上述した形態および図3図6に示す変形例において、キャリッジ8の下面の、左右方向におけるヘッド5と紫外線照射器7との間に、紫外線を反射するリフレクタや紫外線吸収材が取り付けられていても良い。また、上述した形態において、プリンタ1は、三次元造形物を造形する3Dプリンタであっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
3 インクジェットヘッド部
4 ヘッド(インクジェットヘッド、第1のインクジェットヘッド)
5 ヘッド(インクジェットヘッド、第2のインクジェットヘッド)
7 紫外線照射器
8 キャリッジ
9 キャリッジ駆動機構
14 ノズル列(カラーインクノズル列)
15 ノズル列(白色インクノズル列)
16 ノズル列(クリアインクノズル列)
X 副走査方向
Y 主走査方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6