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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20221202BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20221202BHJP
   G01L 1/14 20060101ALI20221202BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01L1/20 B
G01L5/00 101Z
G01L1/14 J
G01L1/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019172075
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021050926
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6769313(US,B2)
【文献】特表2019-522182(JP,A)
【文献】特公平7-65943(JP,B2)
【文献】特公平7-99644(JP,B2)
【文献】特公平6-60856(JP,B2)
【文献】特開2007-10482(JP,A)
【文献】特許第6322555(JP,B2)
【文献】特許第6619540(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L1/14
G01L1/16
G01L1/20
G01L5/00
-----------------------------------
本件出願を優先基礎とする国際特許出願PCT/JP2020/029521
の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有するセンサシートと、
前記第1面と対向する基板と、
前記基板と前記センサシートとの間に介在する、異方性導電材料の第1接着層と、
前記基板と前記第1接着層との間に介在し、互いに離隔する複数のアレイ電極と、
を備え、
前記センサシートの第1面は、前記第1接着層と接着し、
前記第1接着層は、厚み方向に導電性を有し、かつ面に沿った面方向に絶縁性を有し
前記第1接着層は、前記厚み方向に導通する導通部と、前記厚み方向に絶縁する絶縁部と、を有し、
前記第1接着層と前記センサシートとの間には、前記厚み方向から視た面積が前記導通部よりも大きい、複数の導電膜が介在し、
前記センサシートは、前記導電膜により、前記導通部と導通する部分が拡大している
圧力センサ。
【請求項2】
前記第2面と対向する保護層と、
前記センサシートと前記保護層との間に介在する第2接着層と、
前記保護層と前記第2接着層との間に介在する対向電極と、
を備え、
前記センサシートの第2面は、前記第2接着層と接着している
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記対向電極は、複数設けられ、
複数の前記対向電極は、互いに離隔しており、
前記第2接着層は、厚み方向に導電性を有し、かつ面に沿った面方向に絶縁性を有している
請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第2面と対向する保護層と、
前記センサシートと前記保護層との間に介在し、前記センサシートの第2面に接する対向電極と、
を備える請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記基板には、前記アレイ電極とは重ならない位置に対向電極を備える
請求項1に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサでは、アレイ電極が設けられた基板上にセンサ層が積層されている(下記特許文献1参照)。このような圧力センサにおいて、センサ層を基板上に直接パターン加工する場合と、別途製造したセンサシート(センサ層)を基板上に張り付ける場合がある。従来、センサシートのようなシート状のものを貼り付ける場合、全体でなく、シートの縁部のみを接着している。言い換えると、センサシートと基板とを接着する接着部がいわゆる額縁状(枠状)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-281516号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサシートの接着される部位が縁部のみの場合、センサシートの中央部にしわが発生する可能性がある。また、センサシートに対向電極が設けられる場合がある。よって、センサシートにしわが発生すると、アレイ電極に対して対向電極が位置ずれし、押圧された箇所(座標)を正確に把握できない。また、センサシートの接着される部位が縁部のみの場合、センサシートと基板との間に異物が侵入する可能性がある。さらに、センサシートの縁部のみが接着されると、応力が縁部に集中し、センサシートが基板から剥離する可能性がある。一方で、センサシートの全体を接着すると、接着層を介して、対向電極と、本来この対向電極に対向していないアレイ電極と、が導通する可能性がある。つまり、クロストークが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、センサシートの全体を接着しつつ、クロストークを回避できる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る圧力センサは、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有するセンサシートと、前記第1面と対向する基板と、前記基板と前記センサシートとの間に介在する、異方性導電材料の第1接着層と、前記基板と前記第1接着層との間に介在し、互いに離隔する複数のアレイ電極と、を備え、前記センサシートの第1面は、前記第1接着層と接着し、前記第1接着層は、厚み方向に導電性を有し、かつ面に沿った面方向に絶縁性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。
図2図2は、実施形態1の基板に形成された回路構成を説明するための回路図である。
図3図3は、実施形態1のアレイ電極を説明するための平面図である。
図4図4は、実施形態1に係る圧力センサの使用状態を示した断面図である。
図5図5は、実施形態2に係る圧力センサをX方向と積層方向とを含む平面で切った場合の断面構造を表す断面図である。
図6図6は、実施形態2に係る圧力センサをY方向と積層方向とを含む平面で切った場合の断面構造を表す断面図である。
図7図7は、実施形態2におけるアレイ電極と対向電極との関係を説明する斜視図である。
図8図8は、実施形態3に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。
図9図9は、実施形態4に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。
図10図10は、実施形態4の圧力センサにおいて電極と対向電極との位置関係を示す平面図である。
図11図11は、実施形態5に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。
図12図12は、実施形態6に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の圧力センサを実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。図2は、実施形態1の基板に形成された回路構成を説明するための回路図である。図3は、実施形態1のアレイ電極を説明するための平面図である。図4は、実施形態1に係る圧力センサの使用状態を示した断面図である。実施形態1に係る圧力センサ1は、基板2と、第1接着層3と、センサ層4と、第2接着層5と、対向電極6と、保護層7と、を備える。また、圧力センサ1に加えられた圧力を測定するため、基板2と対向電極6とに、制御部40が接続している。なお、説明の都合上、基板2と、第1接着層3と、センサ層4と、第2接着層5と、対向電極6と、保護層7が積層されている方向を積層方向という。また、センサ層4から視て基板2が配置された方向を第1方向A1とし、センサ層4から視て保護層7が配置された方向を第2方向A2という。
【0010】
基板2は、絶縁性基板である。基板2は、センサ層4と対向する対向面2aを有している。対向面2aには、複数のアレイ電極10が設けられている。また、図2に示すように、基板2は、複数のトランジスタTrと、トランジスタTrのゲート電極に接続する走査線8と、トランジスタTrのソース電極と接続する信号線9と、を備える。トランジスタTrのドレイン電極には、各アレイ電極10が接続している。図3に示すように、基板2は、積層方向から視て長方形に形成されている。よって、基板2は、X方向に延びる一対の長辺と、Y方向に延びる一対の短辺と、を有している。また、基板2上において、各アレイ電極10がマトリックス状に配置されている。
【0011】
図1に示すように、第1接着層3は、積層方向から視て基板2と同形状に形成されたシート部材である。第1接着層3は、第1方向A1の第1面3aと、第2方向A2の第2面3bと、を有している。第1接着層3は、絶縁性の樹脂又はゴムを母材とし、その母材の内部に導体性の微粒子が分散している。第1接着層3において、導電性の微粒子は、厚み方向に接触するように母材の内部に配置されている。よって、第1接着層3は、厚み方向へ略直線状に電気が流れる複数の経路を有している。以上から、第1接着層3は、厚み方向(積層方向)に導電性を有し、面方向に絶縁性を有する、異方性導電材料を原材料としている。また、第1接着層3の第1面3aと第2面3bとには、図示しない接着剤が塗布されている。つまり、第1接着層3は、両面接着テープである。第1接着層3の第1面3aの全体が基板2と接着している。一方、第1接着層3の第2面3bの全体がセンサ層4の第1面(対向面)4aの全体と接着している。なお、実施形態1の第1接着層3は両面接着テープを使用した例を挙げているが、溶融した樹脂を硬化させて第1接着層3としてもよい。この場合、樹脂には、導体性の微粒子を分散した光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0012】
センサ層4は、積層方向から視て基板2と同形状に形成されたシート部材である。また、センサ層4は、基板2とは別途に製造されたセンサシートを使用している。そして、センサシートは、第1接着層3の第2面3bに接着し、基板2と一体化している。センサ層4は、絶縁性が高いゴム材料に導電性の微粒子を分散して成る感圧導電性エマストラーを原材料としている。センサ層4において、母材の内部に配置された導電性の微粒子は、互いに離隔している。また、センサ層4の母材には、剛性が低いゴムが選択されている。よって、通常時(変形していない場合)のセンサ層4は、非常に高い抵抗値を示し、厚み方向にも面方向にも絶縁性を有している。一方で、センサ層4は、指80により押圧され場合、押圧された箇所の母材が第1方向A1に窪む(図4参照)。これにより、変形する母材に含まれる導電性の微粒子同士が互いに接触し、厚み方向に導電性を有するになる。以上から、実施形態1のセンサ層4は、厚み方向からの加圧により抵抗値が変化する感圧材料により形成されている。
【0013】
また、第1接着層3の母材は、センサ層4の母材よりも剛性が高い絶縁性の樹脂又はゴムが選択されている。つまり、指80により押圧された場合、センサ層4が変形し、第1接着層は変形しないようになっている。ここで、仮に、センサ層4の方が第1接着層3よりも剛性が高い場合、保護層7の押圧により第1接着層3が第1方向A1方向に窪み、センサ層4の厚みが小さくならない可能性がある。つまり、センサ層4の抵抗値が小さくならず押圧を検出できない可能性がある。このような理由から、第1接着層3の母材は、センサ層4の母材よりも剛性が高い絶縁性の樹脂又はゴムが選択されている。
【0014】
第2接着層5は、積層方向から視て基板2と同形状に形成されたシート部材である。第2接着層5は、第1方向A1の第1面5aと、第2方向A2の第2面5bと、を有している。第2接着層5は、導電性を有する樹脂を原材料としている。第2接着層5には、剛性が低い樹脂が選択されている。これにより、指80により押圧された場合、押圧された箇所の母材が第1方向A1に窪み、センサ層4がこれに対応して窪む(図4参照)。第2接着層5は、両面接着テープであり、第1面5aと第2面5bとには、図示しない接着剤が塗布されている。そして、第2接着層5の第1面5aの全体は、センサ層4の第2面4bの全体と接着している。
【0015】
対向電極6は、保護層7の第1面7aにパターン加工された電極である。対向電極6は、積層方向から視て基板2と長方形に形成され、基板2と同じ大きさに形成されている。つまり、対向電極6は、保護層7の全面に成膜されたベタ電極である。また、対向電極6には、制御部40から基準電圧が印加されている。
【0016】
保護層7は、積層方向から視て基板2と同形状に形成されたシート部材である。保護層7は、絶縁性が高く、かつ剛性が低いゴム又は樹脂により製造されている。保護層7は、センサ層(センサシート)4とは別途に製造されている。保護層7は、第2接着層5に接着される前に、第1面7aに対向電極6が成膜されている。そして、保護層7の第1面7aの全体が第2接着層5の第2面5bに接着している。保護層7の第2面7bは、指80やペンなどで押圧される面となっている。なお、対向電極6と保護層7は、センサ層4及び第2接着層5と同程度の剛性を有し、指80により押圧された部分だけが窪むようになっている。
【0017】
制御部40は、アレイ電極10を順次選択するため、走査線8に接続するゲートドライバ(不図示)と、信号線9に接続するソースドライバ(不図示)と、を備える。また、制御部40は、アレイ電極10に流れた電流値を測定している。これにより、センサ層4のうち押圧により変形した箇所(座標)と、その押圧力(圧力)と、を測定している。
【0018】
次に図4を参照しながら圧力センサ1の動作例を説明する。保護層7の第2面7bが押圧されていない場合、センサ層4の厚みが小さくなっていない。よって、センサ層4は、厚み方向に絶縁性を有し、対向電極6からセンサ層4に電流(信号)が流れない。指80により保護層7の第2面7bが第1方向A1に押圧されると、第1接着層3よりも剛性が低いセンサ層4、第2接着層5、対向電極6、及び保護層7が第1方向A1に窪む。これにより、センサ層4において第1方向A1に窪んだ変形部分B1(図4の矢印で指した箇所を参照)は、抵抗値が低くなる。よって、対向電極6からセンサ層4の変形部分B1に電流が流れる。
【0019】
複数のアレイ電極10のうち、アレイ電極10aは、センサ層4の変形部分B1に対して積層方向に重なっている。また、図3に示すように、アレイ電極10aの周囲には、アレイ電極10aとX方向に隣り合うアレイ電極10b、10cと、アレイ電極10aとY方向に隣り合うアレイ電極10d、10eと、が配置されている。ここで、第1接着層3は、厚み方向(積層方向)に導電性を有し、面方向に絶縁性を有している。よって、センサ層4の変形部分B1は、第1接着層3を介してアレイ電極10aのみと電気的に接続している。言い換えると、センサ層4の変形部分B1は、アレイ電極10b、10c、10d、10eのそれぞれとは電気的に接続していない。
【0020】
以上から、センサ層4の変形部分B1からアレイ電極10aに電流が流れ(図4の矢印B2参照)、そのほかのアレイ電極10b、10c、10d、10eに電流が流れない。この結果、制御部40は、アレイ電極10aに信号(電流)が入力されたことを検出し、その押圧された箇所(座標)と圧力値を算出することができる。
【0021】
以上、実施形態1の圧力センサ1によれば、センサ層(センサシート)4の第1面4aの全体が第1接着層3を介して基板2の固定されている。よって、センサ層(センサシート)4にしわが発生する可能性が低い。また、第1接着層3が異方性導電材料を原材料としているため、第1接着層3の内部でクロストークが発生し難い。
【0022】
また、実施形態1において、センサ層(センサシート)4の第2面4bの全体が第2接着層5を介して保護層7の固定されている。よって、より一層、センサ層(センサシート)4にしわが発生する可能性が低くなっている。
【0023】
次に他の実施形態について説明する。他の実施形態は、特筆する事項を除いて実施形態1と同様の構成である。
【0024】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る圧力センサをX方向と積層方向とを含む平面で切った場合の断面構造を表す断面図である。図6は、実施形態2に係る圧力センサをY方向と積層方向とを含む平面で切った場合の断面構造を表す断面図である。図7は、実施形態2におけるアレイ電極と対向電極との関係を説明する斜視図である。図5図6に示すように、実施形態2の圧力センサ1Aは、基板2と第2接着層5と対向電極6とに代えて、基板2Aと第2接着層5Aと対向電極6Aとを備えている点において、実施形態1の圧力センサ1と相違する。
【0025】
基板2Aは、複数のトランジスタTrと、複数の走査線8と、複数の信号線9と、を備えていない。図7に示すように、基板2Aに設けられたアレイ電極10Aは、帯状に形成され、Y方向に延在している。各アレイ電極10Aは、X方向に互いに離隔しながら配置されている。一方で、対向電極6Aは、帯状に形成されてX方向に延在している。よって、積層方向から視ると、対向電極6Aとアレイ電極10Aとは交差している。各対向電極6Aは、Y方向に互いに離隔しながら配置されている。
【0026】
図5に示すように、第2接着層5は、シート状である。第2接着層5は、第1方向A1の第1面5aと、第2方向A2の第2面5bと、を有している。第2接着層5は、絶縁性の樹脂又はゴムを母材とし、その母材の内部に導体性の微粒子が分散しており、異方性導電材料を原材料としている。第2接着層5導電性の微粒子は、厚み方向に接触するように母材内に配置されている。よって、第2接着層5は、厚み方向へ略直線状に電気が流れる複数の経路を有している。以上から、第2接着層5は、厚み方向(積層方向)に導電性を有し、面方向に絶縁性を有している。
【0027】
また、第2接着層5の母材には、剛性が低い絶縁性の樹脂又はゴムが選択されている。これにより、指80により押圧された場合、押圧された箇所の母材が第1方向A1に窪み、センサ層4がこれに対応して窪む。なお、第2接着層5Aは、同じ接着層でありながら、第1接着層3よりも剛性が低い。このように、2つの接着層の剛性を異なるようにする方法として、母材となる樹脂又はゴムを変える方法が挙げられる。一般的に、剛性が高い樹脂としてエポキシ系、アクリル系が挙げられ、一方で、剛性が低い樹脂としてはシロキサン変性エポキシ系、シリコン系が挙げられる。よって、第1接着層3の母材としてエポキシ系、アクリル系の樹脂を使用し、第2接着層5の母材として、シロキサン変性エポキシ系、シリコン系の樹脂を使用してもよい。なお、上記は一例であり、第1接着層3と第2接着層5Aがこれに限定されるものではない。
【0028】
実施形態2の制御部40は、対向電極6Aを順次選択し、対向電極6Aに基準電圧を印加している。そして、押圧によりセンサ層4の一部(図6の矢印Cで指す箇所)の抵抗値が低くなると、そのセンサ層4の一部を積層方向から挟むアレイ電極10Aと対向電極6Aとの間で電流(図5図6の矢印C1、C2を参照)が流れ、押圧された箇所(座標)を特定できる。
【0029】
また、実施形態2では、第2接着層5Aが面方向に絶縁性を有している。このため、押圧により窪んだセンサ層4の変形部分(図6の矢印Cで指す箇所)に対し、積層方向に重ならない対向電極6Aに基準電圧を印加しても、この対向電極6Aからセンサ層4の変形部分(図6の矢印Cで指す箇所)に電流が流れない。つまり、押圧により窪んだセンサ層4の変形部分(図6の矢印Cで指す箇所)に対し、積層方向に重なっている対向電極6Aに基準電圧を印加した場合にのみ、この対向電極6Aからセンサ層4の変形部分(図6の矢印Cで指す箇所)に電流が流れる(図6の矢印C1参照)。
【0030】
以上、実施形態2によれば、第1接着層3及び第2接着層5Aの内部でクロストークが発生し難い。
【0031】
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。図8に示すように、実施形態3の圧力センサ1Bは、第2接着層5を備えていない点で、実施形態1の圧力センサ1と異なる。このため、センサ層4の第2面4bには、対向電極6が接した状態となっている。また、圧力センサ1Bの製造方法は、センサシート(センサ層)を第1接着層3に接着する前段階で、センサ層4の第2面4bに対向電極6B及び保護層7Bをパターン加工する。そして、その後、センサシートを第1接着層3に接着し、圧力センサ1Bが製造される。
【0032】
このような構成であっても、センサ層(センサシート)4の第1面4aの全体が第1接着層3に接着されているため、センサ層(センサシート)4にしわが発生する可能性が低い。また、第1接着層3が異方性導電材料により形成されているため、第1接着層3の内部でクロストークが発生し難い。
【0033】
(実施形態4)
図9は、実施形態4に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。図10は、実施形態4の基板を平面視した平面図である。図9に示すように、実施形態4の圧力センサ1Cは、第2接着層5を備えていない点において、実施形態1の圧力センサ1と異なる。また、実施形態4の圧力センサ1Cは、対向電極6Cが基板2に設けられている点で実施形態1の圧力センサ1と異なる。
【0034】
保護層7Cは、センサシートを第1接着層3に接着する前段階で、センサ層4の第2面4bにパターン加工されている。そして、センサシートが第1接着層3に接着されることで保護層7Cが基板2と一体化している。
【0035】
図10に示すように、基板2C上には、複数の対向電極6Cと複数のアレイ電極10Cとが設けられている。また、複数の対向電極6Cは、複数のアレイ電極10Cとは重ならない位置に配置されている。詳細には、基板2上のX方向に、対向電極6Cとアレイ電極10Cとが交互に配置されている。対向電極6CのY方向には、複数の対向電極6Cが等間隔で配置されている。また、アレイ電極10CのY方向には、複数のアレイ電極10Cが等間隔で配置されている。
【0036】
このような構成によれば、図9に示すように、積層方向から視て対向電極6Cとアレイ電極10との間が窪むように保護層7を押圧した場合、センサ層4の一部(図9の矢印D2で指した箇所)が第1方向A1に窪み、センサ層4の一部(図9の矢印D2で指した箇所)の抵抗率が低くなる。この結果、対向電極6Cから出力される信号(電流)は、矢印D3に示すように、第1接着層3を第2方向A2に流れ、センサ層4の一部(図9の矢印D2で指した箇所)に流れる。そして、センサ層4の一部(図9の矢印D2で指した箇所)を面方向に流れる。その後、電流は、第1接着層3を第1方向A1に流れ、アレイ電極10Cに流れる。つまり、実施形態4では、X方向に隣り合う一組の対向電極とアレイ電極10Cとは(図10の破線Fで囲まれた範囲を参照)、押圧されたことを検出するための電極となっている。
【0037】
以上から、実施形態4によれば、センサ層4の第1面4aの全体が第1接着層3に接着されているため、センサ層4にしわが発生する可能性が低い。また、第1接着層3が異方性導電材料により形成されているため、クロストークが発生する可能性も低い。
【0038】
(実施形態5)
図11は、実施形態5に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。実施形態5の圧力センサ1Dは、第1接着層3とセンサ層4との間に介在する複数の導電膜20を備えている点において、実施形態1の圧力センサ1と異なる。なお、第1接着層3は、導電性の微粒子によって積層方向に導通するようになっているが、本実施形態では、この導通する部位と絶縁されている部位を抽象化して説明する。つまり、図11に示すように、第1接着層3において、導電性の微粒子によって積層方向に導通する部分を導通部31と称し、母材により形成され絶縁している部分を絶縁部32と称して説明する。
【0039】
導電膜20は、導電性材料を原材料としている。導電膜20は、センサシートを第1接着層3に接着する前段階で、センサシートの第1面4aにパターン加工している。また、導電膜20は、特に図示しないが、積層方向から視て円形状に形成されている。導電膜20を積層方向から視た場合の面積は、導通部31を面方向に切った場合の断面積(積層方向から視た大きさ)よりも大きい。
【0040】
この導電膜20によれば、センサ層4のうち導通部31に対して第2方向A2方向に位置する箇所(図11の破線E1で囲まれる範囲)が変形した場合、アレイ電極10から対向電極6に電流が流れる(矢印E2参照)。また、センサ層4のうち絶縁部32の第2方向A2方向に位置する箇所(図11の破線F1で囲まれる範囲)が変形した場合、導電膜20を介してアレイ電極10から対向電極6に電流が流れる(矢印F2参照)。以上から、導電膜20によれば、導通部31とセンサ層4との接触面積が拡大し、押圧を検出できる範囲が拡大する。
【0041】
また、導電膜20の直径L1は、アレイ電極10の間の距離L2よりも小さく形成されている。これにより、導電膜20が隣り合うアレイ電極10同士を電気的に接続することを回避できる。なお、本実施形態の導電膜20は、円形状となっているが、矩形状であってもよく、特に限定されない。また、導通部31は、第1接着層3において不規則に配置されていることから、導電膜20においても不規則的にセンサシート(センサ層4)に形成されていてもよい。
【0042】
実施形態1から実施形態5のセンサ層4は、加圧により抵抗値が変化する抵抗変化型の感圧材料により製造されているが、圧力センサの材料はこれに限定されない。よって、実施形態6では、異なる感圧材料により製造されたセンサ層について説明する。
【0043】
(実施形態6)
図12は、実施形態6に係る圧力センサの断面構造を表す断面図である。実施形態6の圧力センサ1Eは、センサ層4に代えてセンサ層4Eを備えている点において、実施形態1の圧力センサ1と異なる。実施形態6において、センサ層4Eを形成する感圧材料として、圧電型又は容量型の感圧材料が挙げられる。具体的に、圧電型の感圧材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などが挙げられる。これによれば、センサ層4Eが加圧により変化した場合、対向電極6とアレイ電極10との間に生じる電圧が増加し、保護層7が押圧されたことを検出できる。また、容量型の感圧材料として、弾性変形が可能であり絶縁性を有するゴム又は高分子化合物などが挙げられる。これによれば、センサ層4Eが加圧により膜厚が変化した場合、対向電極6とアレイ電極10との間に溜まる電荷が変化し、保護層7が押圧されたことを検出できる。
【符号の説明】
【0044】
1、1A、1B、1C、1D、1E 圧力センサ
2 基板
3 第1接着層
3a 第1面
3b 第2面
4、4E センサ層
4a 第1面(対向面)
5、5A 第2接着層
5a 第1面
5b 第2面
6、6A、6B 対向電極
7、7B、7C 保護層
8 走査線
9 信号線
10 アレイ電極
20 導電膜
31 導通部
32 絶縁部
Tr トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12