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特許7186693ポリマーコンクリート組成物用接着促進剤でコートされた粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ポリマーコンクリート組成物用接着促進剤でコートされた粒子
(51)【国際特許分類】
   C04B 20/10 20060101AFI20221202BHJP
   C04B 26/16 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
C04B20/10
C04B26/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019510694
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017051759
(87)【国際公開番号】W WO2018053250
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/395,460
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】粟生 薫
(72)【発明者】
【氏名】サチット・ゴヤール
(72)【発明者】
【氏名】アダム・シー・コルソン
(72)【発明者】
【氏名】フアン・カルロス・メディナ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-342906(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103849371(CN,A)
【文献】特開昭57-153044(JP,A)
【文献】特開2007-009592(JP,A)
【文献】特表2010-538954(JP,A)
【文献】特開2001-139801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0235781(US,A1)
【文献】特表2005-538274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-32/02
C04B 40/00-40/06
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーコンクリート組成物を調製する方法であって、
1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材であって、それぞれがベース基材および前記ベース基材上の最外層である1つ以上のシラン系接着促進剤を含む接着促進剤コーティングを有する、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を調製する工程と、
イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含むベース組成物であって、95~300のイソシアネート指数で調製されたポリウレタン系結合剤を形成するために硬化可能であるベース組成物を提供する工程と、
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合して、前記ポリマーコンクリート組成物を形成する工程と、を含み、
前記ベース基材が、前記ベース基材上に前記接着促進剤コーティングを形成する前に、50℃から140℃の温度に加熱される、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のシラン系接着促進剤が、アミノシランおよびエポキシシランから選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリウレタン系結合剤が、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材の存在下で前記イソシアネート成分と前記イソシアネート反応性成分との反応生成物として調製される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材が、前記ベース組成物を提供する前に調製され、かつ硬化される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、
第1の位置で、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材が、調製され、
前記第1の位置とは異なる第2の位置で、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合して、前記ポリマーコンクリート組成物を形成し、
さらに前記ポリマーコンクリート組成物を前記第2の位置で硬化させることを含む、方法。
【請求項6】
コンクリート基材を修復する方法であって、
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を容器に提供し、前記イソシアネート成分および前記イソシアネート反応性成分を前記容器に添加し、前記容器中の前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合することによって、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマーコンクリート組成物を調製する工程と、
前記ポリマーコンクリート組成物を前記コンクリート基材に塗布する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ポリマーコンクリート組成物用接着促進剤でプレコートされた骨材、プレコートされた骨材を含むポリマーコンクリート組成物、プレコートされた骨材の製造方法、およびコーティング物品を含むポリマーコンクリート組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーコンクリートは、古いコンクリートの新しい構築または修復(コンクリート基材の修復)に使用され得る。例えば、ポリマーコンクリートは、道路用途(例えば、自動車交通、空港滑走路など)ならびに/または構造およびインフラ用途(例えば、建物、プール、下水道など)に使用され得る。ポリマーコンクリートは、骨材とポリマーとを混合し、次いで混合物を硬化させて、その中に骨材が埋め込まれたポリマーマトリックスを形成することによって調製され得る。ポリマーは、熱硬化性ポリマーおよび/または熱可塑性ポリマーであり得る。ポリマーは、例えば修復用途に使用するために、硬化ポリマーコンクリートに接着特性を付与し得る。例えば、ポリマーは、硬化したときに高い熱安定性、高い圧縮強度、ならびに/または腐食種および/もしくは汚染物に対する耐性を提供する熱硬化性ポリマーを含み得る。
【発明の概要】
【0003】
実施形態は、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材であって、それぞれがベース基材およびそのベース基材上の最外層である接着促進剤コーティングを有する、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を調製することと、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含むベース組成物を提供することと、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、イソシアネート成分、およびイソシアネート反応性成分を混合してポリマーコンクリート組成物を形成することとを含む、ポリマーコンクリート組成物を調製する方法によって実現され得る。
【発明を実施するための形態】
【0004】
例えば、米国特許第5,219,901号に記載されているように、アスファルトコンクリート組成物中にエマルジョンで薄くコートされた砂をさらに含むことが提案されている。国際公開第WO2002/072499号では、水硬性結合剤および骨材を含むセメント複合材料に化学処理された繊維を添加することが提案されている。アルカリ-シリカ反応に対するコンクリートの安定性を改善するためにポリマー分散液を使用して骨材をコートすることが米国特許第8,653,163号に提案されているが、ポリマー分散液を使用して形成された骨材上の薄膜は、骨材への官能基の付加を可能にするためのものである。さらに、例えばソーラーパネルに使用するための裏側複合材料として、米国特許出願公開第2012/0110932号に記載されているように、ポリマーコンクリート組成物に充填剤または添加剤として接着促進剤を添加することが提案されている。しかしながら、実施形態は、接着促進剤でプレコートされた骨材を使用して調製されるポリマーコンクリート組成物に関する。プレコートとは、(ポリウレタン系結合剤などの)いかなる結合剤も存在せずに、骨材を混合し、接着促進剤でコートすることを意味する。接着促進剤によるプレコーティングは、例えば接着促進剤と骨材との間の反応を促進するために、周囲温度よりも高い温度で行われてもよい。
【0005】
特に、ポリマーコンクリートに使用される骨材を接着促進剤コーティングでコートすることが提案されている。骨材は、シリカ、セラミック、石英、花崗岩、および/または石灰石を含む骨材などの、高融点を有する固体粒子であり得る。接着促進剤コーティングは、例えば、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%を含んでもよく、かつ/または重量により本質的に1つ以上の接着促進剤からなり得る。1つ以上の接着促進剤はそれぞれ、アミノシラン化合物および/またはエポキシシラン化合物などのシラン系化合物であり得る。接着促進剤コーティングは、米国仮特許出願第62/395,452号(2016年9月16日に同時に出願された)に記載されているように、ポリウレタン系コーティング、エポキシ系コーティング、フェノール樹脂系コーティング、予備形成されたイソシアヌレート系コーティング、および/またはアミド系コーティングなどの骨材上に形成された1つ以上の他の下地コーティングの上部に形成され得る。下地コーティングを形成するのに使用可能であり得る他の例示的なポリマーコーティングとしては、ラジカルまたは光硬化アクリルポリマーコーティングおよび不飽和ポリエステル樹脂系コーティングが挙げられる。
【0006】
ポリマーコンクリート組成物は、異なるコーティングおよび/またはコーティングの組み合わせを有する1つ以上の骨材を含み得る。ポリマーコンクリート組成物は、プレコートされた骨材とノンコート骨材との混合物を(例えば、互いに対して、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、4:6、3:7、8:2、9:1の重量比で)含み得る。骨材に加えて、ポリマーコンクリート組成物は、硬化ポリマーコンクリートのポリマーマトリックスを形成するためのポリウレタンベース組成物を含む。ポリマーコンクリート組成物は、液体または半固体の組成物として表面に塗布してもよく、ポリマーコンクリートを形成するために適所で硬化し得る。硬化とは、材料が液体状態から固体/半固体状態に変換するように、組成物が(例えばポリマー鎖の架橋によって)十分に強化または硬化されていることを意味する。
【0007】
接着促進剤でプレコートされた骨材は、接着促進剤コーティングの下に、1つ以上の他の機能コーティングを可能にする1つ以上のコーティングを含み得る。コーティングの総量は、プレコートされた骨材の総重量の0.1重量%~10.0重量%(例えば、0.3重量%~5.0重量%、0.3重量%~4.0重量%、0.3重量%~3.5重量%など)を含み得る。例示的な実施形態では、プレコートされた骨材は、(例えば、包含および/または実質的に包含するように直接的に)ベース基材上に形成されたコーティングを含む。ベース基材は、ケイ砂などの粒子であり得る。例えば、例示的な実施形態は、砂などのベース基材の外面上にコートされた下地コーティングと、その下地コーティング上にコートされた上地接着促進剤コーティングとを含む。別の実施形態は、その中に埋め込まれた1つ以上の添加剤を任意に含む単一の接着促進剤コーティングを含む。1つ以上の添加剤が存在する場合、単一の接着促進剤コーティングは、少なくとも主要重量の1つ以上の接着促進剤を含み得る。1つ以上の添加剤は、プレコートされた骨材を形成するプロセス中に添加されてもよく、かつ/または添加剤系コーティングと組み合わせてコーティングを形成するために予めコートされた骨材上に振りかけられてもよい。例示的な添加剤は、顔料および汚染物質除去/回収物質を含む。
【0008】
接着促進剤でプレコートされた骨材、具体的には最も外側の接着促進剤コーティングは、プレコートされた骨材となるように、ポリマーコンクリート組成物を形成する前に形成される。プレコートされた骨材は、ポリマーコンクリート組成物を形成する前に部分的および/または完全に硬化させてもよい。硬化するとは、骨材上に固体/半固体のコーティングが形成されるように材料が十分に強化または硬化されていることを意味する。例えば、接着促進剤でプレコートされた骨材は、ポリマーコンクリート組成物を形成する前に、少なくとも1時間、少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも1年間などで形成され得る。ポリマーコンクリート組成物は、使用目的の場所で形成されてもよく、言い換えれば、接着促進剤でプレコートされた骨材とポリマーマトリックスを形成するために使用される成分とを使用直前に現場で混合してもよい。例えば、接着促進剤コーティングは、(例えば、プレコートされた骨材を使用現場に輸送する前に)骨材上にプレコートされて、実地での用途のためのポリマーコンクリート組成物におけるその使用を単純化し得る。そのような実地での用途では、接着促進剤でプレコートされた骨材とポリマーコンクリート用ベース組成物とは、使用現場で混合し得る。
【0009】
実施形態はさらに、ベース組成物および1つ以上のプレコートされた骨材を使用して調製されたポリマーコンクリート組成物を含む硬化ポリマーコンクリートに関する。実施形態はまた、ポリマーコンクリート組成物を調製する方法であって、1つ以上のプレコートされた骨材を容器中に提供することと、第1のイソシアネート成分および第1のイソシアネート反応性成分を容器に添加することと、1つ以上のプレコートされた骨材とベース組成物とを混合することとを含む、方法に関する。実施形態はさらに、ポリマーコンクリート組成物を使用してコンクリート基材を修復する方法であって、1つ以上のプレコートされた骨材を容器中に提供することと、第1のイソシアネート成分および第1のイソシアネート反応性成分を容器に添加することと、1つ以上のプレコートされた骨材とベース組成物とを混合して、混合されたポリマーコンクリート組成物を形成することと、混合されたポリマーコンクリート組成物をコンクリート基材に塗布することとを含む、方法に関する。容器は、例えば、コンクリート基材の小さな面積を修復するのに使用される小さな容器であってもよく、または例えば大きなコンクリート基材を調製するか、またはコンクリート基材の大きな面積を修復するのに使用される大きな容器であってもよい。コンクリート基材は、道路用途ならびに/または構造用途およびインフラ用途(例えば、建物、スイミングプール、下水道など)において、またはそれらを形成するために使用可能であり得る。
【0010】
ベース組成物
ポリマーコンクリート用結合剤とも呼ばれるベース組成物は、一成分系または二成分系として調製され得る。一方、一成分系は、プレコートされた骨材と単一成分として混合され、硬化させてポリマーコンクリートを形成する予備形成(予備反応)された硬化性ポリウレタン系組成物であり得る。例えば、一成分系は、湿気硬化系であり得る。二成分系は、プレコートされた骨材と混合する直前、途中、または直後に別々の成分を混合し、得られた反応混合物を硬化させてポリマーコンクリートを形成する組成物であってもよい。得られた結合剤は、ポリウレタン、ポリウレア、および/またはポリ(ウレタン-イソシアヌレート)系ポリマーを含み得る。例えば、得られた結合剤は、プレコートされた骨材を囲むエラストマーマトリックスを形成するポリウレタン系結合剤であり得る。
【0011】
得られた結合剤は、例えば、5%のたわみで少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、少なくとも94%など)の弾性を有し得る。得られた結合剤は、ASTM D240に従って、少なくとも75(少なくとも80、80~100、80~90など)のショアA硬度を有し得る。得られた結合剤は、適切な実地での使用を可能にするために(例えば、プレコートされた骨材との十分な混合時間を可能にするため、および/または適所の十分な硬化時間を可能にするため)、25℃で少なくとも3分(例えば、3~10分、4~8分など)のゲル化時間を有し得る。得られた結合剤は、ASTM D412に従って、少なくとも1000psi(例えば、1000psi~5000psi、1000psi~3000psi、1000psi~2000psiなど)の引張強度を有し得る。得られた結合剤は、ASTM C579Bに従って、少なくとも1000psi(例えば、1000psi~5000psi、2000psi~4000psi、2000psi~3000psi)の圧縮強度を有し得る。
【0012】
例えば、ポリマーコンクリートのポリマーマトリックス(すなわち硬化結合剤)を形成するためのベース組成物は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含んでもよく、それらは一成分または二成分系の一部として導入され得る。ポリウレタン系マトリックスは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物として形成され得る。イソシアネート系成分は、少なくとも1つのイソシアネート、例えば少なくとも1つのポリイソシアネート、少なくとも1つのポリイソシアネートから誘導される少なくとも1つのイソシアネート末端プレポリマー、および/またはポリイソシアネートから誘導される少なくとも1つの準プレポリマーを含む。イソシアネート反応性成分は、1つ以上のポリオールを含む。例示的な実施形態では、イソシアネート成分および/またはイソシアネート反応性成分は、1つ以上の追加の添加剤を含み得る。
【0013】
ベース組成物用イソシアネート成分に関して、例示的なポリイソシアネートとしては、芳香族、脂環式、および脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。例示的なイソシアネートとしては、当業者に既知のトルエンジイソシアネート(TDI)およびその変形形態、ならびに当業者に既知のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその変形形態が挙げられる。ポリウレタン業界で既知の他のイソシアネート、例えばポリウレタン系コーティングのために業界で既知のものを使用し得る。例としては、ビウレット、尿素、カルボジイミド、アロファネート、および/またはイソシアヌレート基を含有する誘導体などの変性イソシアネートが挙げられ、また使用され得る。例示的な入手可能なイソシアネート系製品としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なHYPERLAST(商標)製品、PAPI(商標)製品、ISONATE(商標)製品およびVORANATE(商標)製品、VORASTAR(商標)製品、HYPOL(商標)製品、TERAFORCE(商標)イソシアネート製品が挙げられる。
【0014】
含まれる場合、イソシアネート末端プレポリマーは、プレポリマーの総重量に基づいて、1重量%~35重量%(例えば、5重量%~30重量%、10重量%~30重量%、15重量%~25重量%、15重量%~20重量%など)の遊離イソシアネート基(NCO)含有量を有し得る。存在する場合、1つ以上のイソシアネート末端プレポリマーは、イソシアネート成分の20重量%~100重量%(例えば、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、45重量%~55重量%など)を占めてもよく、イソシアネート成分の残り(存在する場合)は、1つ以上のポリイソシアネートおよび/または少なくとも1つの添加剤であり得る。存在する場合、1つ以上のイソシアネート末端プレポリマーは、硬化組成物を形成するための反応混合物の総重量の5重量%~70重量%(例えば、20重量%~65重量%および/または35重量%~60重量%)を占めてもよい。
【0015】
イソシアネート末端プレポリマーは、イソシアネート成分が化学量論的に過剰に存在する別のイソシアネート成分と別のイソシアネート反応性成分(硬化組成物を形成するためのイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分とは異なり別個のもの)との反応によって形成され得る。例えば、ポリオールが活性ヒドロキシル基を含有する場合、プレポリマーは、ウレタン結合およびイソシアネート末端基の両方を含み得るので、活性ヒドロキシル基とイソシアネート部分との反応は、ウレタン結合の形成をもたらす。例えば、プレポリマーは、少なくとも1つのポリエーテルポリオールを使用してワンポット法で調製され得る。一例として、プレポリマーを調製するのに使用されるポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、および/またはブチレンオキシドから誘導される。
【0016】
ベース組成物のイソシアネート指数は、95~300(例えば、101~200、110~150など)であり得る。イソシアネート指数とは、硬化組成物を形成するための反応混合物中のイソシアネート基とポリウレタンポリマーを形成するための硬化組成物を形成するための反応混合物中の活性水素原子との当量比を100倍したものを意味する。言い換えれば、イソシアネート指数は、配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子の総モル当量で割ったイソシアネート(NCO)基のモル当量を100倍したものである。当業者によって理解されるように、硬化組成物を形成するための反応混合物中のイソシアネート基は、イソシアネート成分を通して提供されてもよく、活性水素原子は、イソシアネート反応性成分を通して提供されてもよい。イソシアネート末端プレポリマーを形成するためのイソシアネート指数は、200超であってもよい。
【0017】
ポリウレタン系マトリックス(ポリウレタン/エポキシハイブリッド系マトリックスを含む)を含む結合剤を形成するためのイソシアネート反応性成分は、1つ以上のポリオールを含む。1つ以上のポリオールは、60g/mol~6000g/mol(例えば、150g/mol~3000g/mol、150g/mol~2000g/mol、150g/mol~1500g/mol、150g/mol~1000g/mol、200g/mol~900g/mol、300g/mol~800g/mol、400g/mol~700g/mol、500g/mol~700g/molなど)の数平均分子量を有し得る。1つ以上のポリオールは、1分子当たり平均1~8つのヒドロキシル基、例えば1分子当たり2~4つのヒドロキシル基を有する。例えば、1つ以上のポリオールは、独立してジオールまたはトリオールであり得る。イソシアネート反応性成分は、少なくとも80重量%および/または少なくとも90重量%の1つ以上のポリオールを含み得る。
【0018】
1つ以上のポリオールは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、および/またはブチレンオキシドと開始剤との反応から誘導されるアルコキシレートであり得る。ポリウレタンポリマーを形成するためのポリオールを調製するのに使用するための当技術分野において既知の開始剤を使用してもよい。例えば、1つ以上のポリオールは、以下の分子、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、スクロース、およびグリセリンのいずれかのアルコキシレートであり得る。例示的な実施形態によれば、1つ以上のポリオールは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドから誘導されてもよく、アルコキシレートの総重量に基づいて、そのうちの20重量%未満(例えば、5重量%超)のポリオールは、エチレンオキシドから誘導される。ポリオールを形成するための例示的な触媒としては、例えば、水酸化カリウム(KOH)、CsOH、三フッ化ホウ素、および亜鉛ヘキサシアノコバルテートまたは四級ホスファゼニウム化合物などの複金属シアン化物錯体(DMC)触媒が挙げられる。
【0019】
例えば、ポリオールは、エチレンオキシドブロックから誘導された末端ブロックを含有し得る。別の例示的な実施形態によれば、ポリオールは、ブチレンオキシド、またはブチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせから誘導される。例えば、ポリオールは、ブチレンオキシドから誘導された末端ブロックを含有し得る。他の例示的な実施形態によれば、ポリオールは、アルキレンオキシドと反応することなく、上に列挙したようにそれ自体が開始剤であり得る。
【0020】
例示的な実施形態では、ブチレンオキシド系ポリオールは、ブチレンオキシド系ポリオールの全アルキレンオキシド含有量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、および/または少なくとも90重量%のブチレンオキシド、ならびに少なくとも5重量%のプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドの残部を含むポリオキシブチレン-ポリオキシプロピレンポリオールであり得る。他の例示的な実施形態では、ブチレンオキシド系ポリオールは、全てのブチレンオキシドポリオール、すなわちアルキレンオキシド含有量の100重量%がブチレンオキシドであり得る。
【0021】
例示的な実施形態では、1つ以上のポリオールは、400g/mol~4000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリ(プロピレングリコール)系ジオールを含み得る。疎水性(撥水性コンクリートにとって望ましくあり得る)のために、1つ以上のポリオールは、400g/mol~4000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール(ブチレングリコール)系ジオールを含み得る。1つ以上のポリオールは、末端基としてより高い割合の第一級ヒドロキシル基を有するようにEOキャップされてもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、イソシアネート反応性成分は、アンモニアのアルコキシレート、または一級もしくは二級アミン化合物、例えばアニリン、トルエンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、および/またはアミノエチルピペラジンを含み得る。例えば、イソシアネート反応性成分は、ポリウレタン-ポリウレアポリマーを形成するのに使用するための当技術分野において既知のポリアミンを含み得る。イソシアネート反応性成分は、少なくとも500、少なくとも800、および/または少なくとも1,000のヒドロキシル当量を有する1つ以上のポリエステルポリオールを含み得る。例えば、ポリウレタンポリマーを形成するための当技術分野において既知のポリエステルポリオールを使用し得る。イソシアネート反応性成分は、例えばヒドロキシル当量が少なくとも500、少なくとも800、および/または少なくとも1,000である、充填剤を有するポリオール(充填剤入りポリオール)を含み得る。充填剤入りポリオールは、コポリマーポリオール内に分散された充填剤としてポリマー粒子を有する1つ以上のコポリマーポリオールを含有してもよい。例示的な充填剤入りポリオールとしては、スチレン/アクリロニトリル(SAN)系充填剤入りポリオール、ポリハーストオフ分散(PHD)充填剤入りポリオール、およびポリイソシアネート重付加生成物(PIPA)系充填剤入りポリオールが挙げられる。イソシアネート反応性成分は、ポリブタジエン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシプロピレン、および/またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンなどの第一級ヒドロキシル含有アルコールを含み得る。
【0023】
例示的な入手可能なポリオールベースの製品としては、Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)製品、TERAFORCE(商標)ポリオール製品、VORAPEL(商標)製品、SPECFLEX(商標)製品、VORALUX(商標)製品、PARALOID(商標)製品、VORARAD(商標)製品、HYPERLAST(商標)製品、VORANOL(商標)、VORACTIV(商標)製品、およびSPECFLEX(商標)ACTIVが挙げられる。
【0024】
ポリウレタン系マトリックスを形成するためのイソシアネート反応性成分は、触媒成分をさらに含み得る。触媒成分は、1つ以上の触媒を含み得る。ポリイソシアネートトリマーを形成するための当技術分野で既知の三量化触媒ならびに/またはポリウレタンポリマーおよび/もしくはコーティングを形成するための当技術分野で既知のウレタン触媒などの当技術分野で既知の触媒を使用し得る。例示的な実施形態では、触媒成分は、コーティング(例えば、アンダーコートまたは硫化物回収外側コーティング)を形成する前に、イソシアネート反応性成分と予めブレンドしてもよい。
【0025】
例示的な三量化触媒としては、例えば、アミン(例えば、三級アミン)、アルカリ金属フェノレート、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボン酸塩、および四級アンモニウムカルボン酸塩が挙げられる。三量化触媒は、例えば、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在してもよい。例示的なウレタン触媒としては、様々なアミン、スズ含有触媒(カルボン酸スズおよび有機スズ化合物など)、三級ホスフィン、様々な金属キレート、ならびに強酸の金属塩(塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、および塩化ビスマスなど)が挙げられる。例示的なスズ含有触媒としては、例えば、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジアルキルスズジアルキルメルカプト酸、およびジブチルスズオキシドが挙げられる。存在する場合、ウレタン触媒は、三量化触媒と同様の量で、例えば、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在し得る。三量化触媒の量は、ウレタン触媒の量より多くてもよい。例えば、触媒成分は、アミン系三量化触媒およびスズ系ウレタン触媒を含み得る。
【0026】
接着促進剤コーティング
接着促進剤コーティングは、プレコートされた骨材上に最外層を形成する。接着促進剤コーティングは、1つ以上の層を含み、1つ以上の接着促進剤を含む。1つ以上の接着促進剤はそれぞれ、シラン系化合物であり得る。シラン系接着促進剤の例としては、アミノシランおよび/またはエポキシシランが挙げられる。
【0027】
例えば、一級アミノ官能性シラン、二級アミノ官能性シラン、一級エポキシ官能性シラン、および/または二級エポキシ官能性シランを使用してコーティングを形成し得る(コーティングに使用可能な特定のシランは、記述子のうちの1つ以上によって覆われ得る)。エポキシ官能性シランは、グリシドールエポキシ官能性シランであり得る。アミノ官能性およびエポキシ官能性シランをメトキシシランと組み合わせて、アミノシラン化合物および/またはエポキシシラン化合物を形成し得る。
【0028】
例示的な接着促進剤としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なXIAMETER(登録商標)製品、およびMomentive Performance Materialsから入手可能なSilquest(商標)が挙げられる。例示的な接着促進剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および/またはグリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン系接着促進剤が挙げられる。
【0029】
添加剤
ベース組成物、結合剤、および/またはコーティングの特性を調整するために様々な添加剤を添加してもよく、例えば、当業者に既知の添加剤を使用してもよい。添加剤は、イソシアネート成分および/またはイソシアネート反応性成分の一部として添加し得る。添加剤は、1つ以上の接着促進剤と組み合わせて添加し得る。例示的な添加剤としては、触媒、追加の接着促進剤(プレコートされた骨材の接着促進剤コーティングとは別個)、水分捕捉剤、硬化剤、pH中和剤、可塑剤、相溶化剤、充填剤(機能性充填剤、シリカ系充填剤、および鉱物系充填剤など)、顔料/染料、ならびに/または架橋剤が挙げられる。
【0030】
少なくとも1つの触媒を含む触媒成分を添加してもよく、例えばイソシアネート反応性成分に添加してもよい。例えば、触媒成分は、例えば、イソシアネート反応性成分の総重量の5重量%未満を占めるスズおよび/またはアミン系触媒を有し得る。例えば、市販の触媒を使用してもよい。触媒は、少量で、例えば0.0015重量%~5重量%(例えば、0.01重量%~1.0重量%など)で使用してもよい。触媒の例としては、三級アミン、カルボン酸スズ、有機スズ化合物、三級ホスフィン、様々な金属キレート、ならびに/または強酸の金属塩(塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、および塩化ビスマス)が挙げられる。
【0031】
少なくとも1つの接着促進剤を含む追加の接着促進剤成分を添加してもよく、例えば、イソシアネート反応性成分に添加してもよい。例えば、接着促進剤成分は、少なくとも1つのシラン系接着促進剤を含み得る。含まれる場合、任意の接着促進剤は、イソシアネート反応性成分の総重量の5重量%未満を占め得る。
【0032】
少なくとも1つの水分捕捉剤を含む水分捕捉剤成分を添加してもよく、例えば、イソシアネート反応性成分に添加してもよい。含まれる場合、水分捕捉成分は、イソシアネート反応性成分の総重量の1重量%~20重量%(例えば、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、1重量%~5重量%、2重量%~5重量%など)を占めてもよい。例示的な水分捕捉剤としては、ゼオライトまたはモレキュラーシーブ、反応性シラン(ビニルトリアルコキシシランなど)、および鉱物(酸化カルシウムなど)が挙げられる。
【0033】
充填剤は、所望の流動学的特性、機械的強化、耐薬品性を提供するため、かつ/またはコストを下げるために存在してもよい。充填剤は、イソシアネート反応性成分および/またはイソシアネート成分に添加してもよい。充填剤の例としては、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、フライアッシュ、金属粒子、カーボンブラック、グラファイト、高融点有機ポリマー、および/または強化剤などの無機粒状材料が挙げられる。充填剤としてはまた、ある種の特性を付与するために使用され得る、補強タイプの充填剤、例えばフレーク状ガラスもしくは粉砕ガラス、および/またはヒュームドシリカが挙げられる。充填剤は、硬化組成物を形成するために混合物の最大90重量%を構成してもよい。
【0034】
可塑剤が存在してもよい。存在する場合、可塑剤は、例えば、より低い粘度を有し得るイソシアネート成分との混合を促進するためにその粘度を低下させるために、イソシアネート反応性成分と混合され得る。可塑剤は、より高い充填剤添加量を可能にし、コストを下げ、かつ/または弾性率を下げ得る。好適な可塑剤の例としては、最大約300の分子量を有するモノカルボン酸の液体(25℃)エステルおよびジカルボン酸のジエステルが挙げられる。
【0035】
顔料および/または染料が存在してもよく、例えば、二酸化チタンおよび/またはカーボンブラックを使用して色特性を付与してもよい。他の添加剤としては、例えば、UV安定剤、酸化防止剤、および空気放出剤が挙げられ、これらは所望の特徴に応じて独立して使用され得る。
【0036】
1つ以上の硬化剤(すなわち硬化薬剤)は、ポリアミンなどのアミン系硬化剤および/またはポリオールなどのヒドロキシル系硬化剤を含み得る。例えば、1つ以上の硬化剤は、1つ以上のポリオール、1つ以上のポリアミン、またはそれらの組み合わせを含み得る。コーティングを形成するのに使用するための当技術分野において既知の硬化剤を使用してもよい。硬化剤は、最初にプロパントを予備形成された脂肪族または脂環式イソシアヌレートトリイソシアネートでコーティングした後に添加し得る。硬化剤は、トップコートおよびアンダーコートの両方のためのキュアリング剤として作用し得る。トップコート中に予備形成された脂肪族または脂環式イソシアヌレートトリイソシアネートを添加した後の最初のコーティング後に硬化剤も添加し得る。
【0037】
制御放出ポリマー樹脂系コーティング、添加剤系コーティング、および/または上述の追加のコーティング/層を形成するために、様々な任意の成分を反応混合物中に含めてもよい。例えば、少なくとも5のアスペクト比(最大直交寸法対最小直交寸法の比)を有する繊維およびフレークなどの強化剤を使用してもよい。これらの繊維およびフレークは、例えば、ガラス、マイカ、他のセラミック繊維およびフレーク、炭素繊維、最終使用用途で適用される温度で非溶融性であり、かつ熱的に安定である有機ポリマー繊維などの無機材料であり得る。別の任意成分は、プロッパントとは別個の低アスペクト比の粒子状充填剤である。そのような充填剤は、例えば、粘土、他の鉱物、またはプロセスの段階(a)および(b)で遭遇する温度で非溶融性であり、かつ熱的に安定である有機ポリマーであり得る。そのような粒状充填剤は、100μm未満の粒度(ふるい分け法で測定)を有してもよい。溶媒に関して、アンダーコートは、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて、20重量%未満の溶媒を使用して形成され得る。
【0038】
骨材
例示的な骨材としては、砂、ケイ酸質チョーク、砂利、グレイワッケ、砂岩、石灰岩、ならびにセラミック粒子(例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、二酸化マンガン、酸化鉄、酸化カルシウム、および/またはボーキサイト)が挙げられる。骨材をポリマーでコートして、例えばメッシュ有効強度を改善し(例えば、圧力負荷をより均一に分散させることにより)、破砕片を表面下に閉じ込め(例えば、破砕がコンクリートの上面を損傷する可能性を減らすため)、かつ/または強い圧力下のときに個々の粒子を互いに結合させる。コートされる骨材は、50μm~3000μm(例えば、100μm~2000μm)の平均粒径を有してもよい。骨材はまた、様々な平均粒径の骨材を含むポリマーコンクリート組成物を提供するために、様々な平均粒径を有するようにコートされてもよい。
【0039】
骨材(粒子またはビード)の大きさは、得られるポリマーコンクリートの性能に関連している可能性がある。粒径は、メッシュサイズ範囲で測定され、例えば、プロパントの90%が収まるサイズ範囲として定義され得る。例示的な実施形態では、骨材は、20/40のメッシュサイズを有する砂である。低いメッシュサイズ数は、比較的粗い(より大きい)粒子サイズに対応する。
【0040】
プレコートされた骨材のコーティングプロセス
骨材をプレコートするために、骨材および/または任意の下地のアンダーコート上に(例えば、直接その上に)1つ以上のコーティングを形成してもよい。コートされた骨材を形成する第1の段階では、(例えば、その上に予め形成された樹脂層を有しない)固体コア骨材粒子を高温に加熱し得る。例えば、骨材粒子は、例えば塗布されたコーティング中の架橋を加速するために、50℃~250℃の温度に加熱され得る。例えば、コーティング温度は、80℃~140℃および/または100℃~120℃であり得る。固体コア骨材粒子の予熱温度は、その後に形成されるコーティングのためのコーティング温度未満であり得る。プレコートされた骨材を形成するための温度は、結合剤を形成するための温度超(例えば、少なくとも25℃および/または少なくとも50℃高く、任意に150℃未満で高い)であってもよい(すなわち、ベース組成物のイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とが反応する温度)。例えば、結合剤は、周囲条件(温度および圧力)で調製され得るが、プレコートされた骨材は、より高いコーティング温度でコートされ得る。
【0041】
次に、加熱された骨材粒子を、所望の順序で、1つ以上のコーティングを形成するための所望の成分と順次ブレンド(例えば、接触)され得る。例えば、骨材粒子は、1つ以上の接着促進剤を含む配合物とブレンドされ得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコーティングを形成するプロセスは、骨材粒子を予熱する段階の後で、ミキサーを停止する段階の直後まで10分未満かかり得る。
【0042】
コーティングプロセスに使用されるミキサーは、制限されない。例えば、当業者には理解されるように、ミキサーは、特定分野で既知のミキサーから選択され得る。例えば、パグミルミキサーまたは撹拌ミキサーを使用することができる。ミキサーは、ドラムミキサー、プレート型ミキサー、チューブラーミキサー、トラフミキサー、またはコニカルミキサーであり得る。ホバートミキサーを使用することができる。混合は、連続的または不連続的に実施され得る。いくつかのミキサーを直列に配置すること、または1つのミキサーにおいて数回に分けて骨材をコートすることも可能である。例示的なミキサーでは、加熱された骨材に成分を連続的に添加することが可能である。例えば、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を1つ以上のステップで連続ミキサー中で骨材粒子と混合して、1つ以上の硬化性コーティング層を作製してもよい。
【0043】
骨材上に形成された任意のコーティングは、2つ以上の層に塗布され得る。例えば、所望のコーティング厚さを得るために、コーティングプロセスを必要に応じて(例えば、1~5回、2~4回、および/または2~3回)繰り返してもよい。骨材のそれぞれのコーティングの厚さは、調整し得る。例えば、コートされた骨材は、比較的狭い範囲の骨材サイズを有するものとして、または他のサイズおよび/もしくはタイプの骨材を有するブレンドとして使用され得る。例えば、ブレンドは、2つ以上の範囲のサイズおよび/またはタイプの分布を有する骨材ブレンドを形成するように、異なる数のコーティング層を有する骨材の混合物を含み得る。コーティングは、(骨材などの)予め形成されたポリマー樹脂でコートされた物品上に形成され得る。
【0044】
コートされた骨材は、タルカムパウダーまたはステアタイトなどの界面活性剤または助剤で処理されてもよい(例えば、流動性を高めるために)。コートされた骨材は、硬化剤の添加とは別にコーティング後硬化に曝されてもよい。例えば、コーティング後硬化は、コーティングを形成するために使用される利用可能な反応性成分の少なくとも実質的に全部を実質的に反応させるのに十分な時間にわたって焼成または加熱されるコートされた骨材を含み得る。そのようなコーティング後硬化は、触媒とのさらなる接触時間が第1のコーティング層の後または層間に使用されたとしても起こり得る。コーティング後硬化ステップは、100℃~250℃の温度で焼成ステップとして行われ得る。コーティング後硬化は、10分~48時間の期間にわたって起こり得る。
【0045】
コーティングは、ポリマー樹脂マトリックスの上および/または内に埋め込まれた少なくとも添加剤を含み得る。1つ以上の添加剤は、アミド系コーティングを形成するプロセス中に添加されてもよく、かつ/または予めコートされた固体コア骨材上に振りかけられてもよい。任意で、1つ以上の添加剤を担体ポリマー中に提供してもよい。当業者に既知の添加剤を使用してもよい。例示的な添加剤としては、水分捕捉剤、UV安定剤、離型剤、消泡剤、発泡剤、硬化剤、pH中和剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤、炎抑制剤、発煙抑制剤、および/または顔料/染料が挙げられる。
【0046】
ポリマーコンクリート組成物
ポリマーコンクリート組成物は、使用現場で調製され得る。例えば、ポリマーコンクリート組成物は、ベース組成物のイソシアネート成分、ベース組成物のイソシアネート反応性成分、およびプレコートされた骨材を意図する用途の現場で(様々な順序で)混合することによって調製され得る。混合は、周囲温度で行われ得る。例えば、第1の場所(高温のミキサー中など)で、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を調製してもよい。第2の場所(用途の現場でなど)で、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、イソシアネート成分、およびイソシアネート反応性成分を(例えば周囲温度で)混合してポリマーコンクリート組成物を形成してもよい。第2の位置は、第1の位置とは異なってもよい。ポリマーコンクリート組成物は、第2の位置でさらに硬化させてもよい。
【0047】
ポリマーコンクリート組成物は、十分に大きな容器(バケットなど)および高トルクパドルミキサーを使用して混合され得る。しぶきを回避/最小化するために、可変速ミキサーを使用してもよい。例示的なプロセスでは、骨材(プレコートされた骨材および/または非コート骨材)の撹拌は、ベース組成物が骨材上に注がれる前に、まずミキサーで開始される。このプロセスは、液体として動き出すベース組成物のしぶきを回避/最小化し得る。別の例示的なプロセスでは、ベース組成物を容器に添加し、その後骨材を添加してもよい。
【0048】
全ての部およびパーセンテージは、他に指示がない限り重量による。特に明記しない限り、全ての分子量情報は、数平均分子量に基づく。
【実施例
【0049】
様々な実施例、比較例、ならびに実施例および比較例で使用される材料に関して、おおよその特性、特性、パラメータなどを以下に提供する。
【0050】
[表]
【0051】
接着促進剤でプレコートされた骨材を2000グラムの砂をオーブン内で最大120℃の温度に加熱するプロセスを使用することによって調製する。次いで、加熱砂を加熱ジャケット(約70℃の温度用に構成されている)を備えたKitchenAid(登録商標)ミキサーに導入して混合プロセスを開始する。上記プロセスの間、加熱ジャケットを60%の最大電圧(加熱ジャケットについて、最大電圧は120ボルトであり、定格出力は425Wであり、定格電圧は240Vである)に維持し、ミキサーを中速に設定する(1~10までの設定に基づいて、5の速度設定)。ミキサーにおいて、加熱された砂を約110℃の温度に到達させる。次に、1.6mLの接着促進剤を混合物に添加する。次に、混合物をさらに60秒間流し、得られた接着促進剤処理骨材を冷却し、ふるいにかけて、収集する。
【0052】
[表]
【0053】
実施例1、2、および3、ならびに比較例Aのポリマーコンクリートを表1の配合に従って調製する。実施例1~3を追加の触媒(ジブチルスズジラウレート系触媒など)を添加することなく調製し、実施例Aを0.1重量%未満の触媒1を使用して調製する。試料を調製するために、成分1および2をプラスチック製のバケツに注ぎ入れ、メイソンのこてで1分間手動で混合する。次に、骨材(すなわち、砂、ポリウレタンでプレコートされた骨材、またはそれらの混合物)を添加し、得られた混合物を絶えず混合して骨材をポリマーで湿潤させる。続いて、得られた混合物を2インチ×2インチ×2インチの立方体ギャング型に流し込み、室温で24時間硬化させる。
【0054】
【表1】
【0055】
上記を参照すると、生砂とコートされた砂とが異なる割合で一緒に混合されるにつれて、圧縮強度が増加する傾向が観察される。100%の生砂を含む系(すなわち、砂)は、最も低い圧縮強度をもたらし、100%コートされた砂を含む系(すなわち、ポリウレタンでプレコートされた骨材)は、最大の圧縮強度をもたらした。さらに、コートされた砂を使用すると、この段階での触媒の必要性がなくなることが分かった。
【0056】
例示的な実施形態では、ポリマーコンクリート組成物は、1200psi超(例えば、1500psi超および/または2000psi超)であるピーク圧縮応力を有し得る。ピーク圧縮応力は、最大5000psiであり得る。ポリオールコンクリート組成物は、8.0%超(例えば、11.0%超)であるピーク応力でのパーセント圧縮歪みを有し得る。ピーク応力でのパーセント圧縮歪みは、最大30.0%(例えば最大20.0%)であり得る。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
ポリマーコンクリート組成物を調製する方法であって、
1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材であって、それぞれがベース基材および前記ベース基材上の最外層である接着促進剤コーティングを有する、1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を調製することと、
イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含むベース組成物を提供することと、
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合して、前記ポリマーコンクリート組成物を形成することと、を含む、方法。
項2.
前記ベース基材が、前記ベース基材上に前記接着促進剤コーティングを形成する前に、少なくとも50℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
項3.
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を調製することが、1つ以上のシラン系接着促進剤を前記ベース基材上にコーティングして、前記接着促進剤コーティングを形成することを含む、項1または項2に記載の方法。
項4.
前記1つ以上のシラン系接着促進剤が、アミノシランおよびエポキシシランから選択される少なくとも1つである、項3に記載の方法。
項5.
前記ベース組成物が、95~300のイソシアネート指数で調製されたポリウレタン系結合剤を形成するために硬化可能である、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記ポリウレタン系結合剤が、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材の存在下で前記イソシアネート成分と前記イソシアネート反応性成分との反応生成物として調製される、項5に記載の方法。
項7.
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材が、前記ベース組成物を提供する前に調製され、かつ硬化される、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
第1の位置で、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材が、調製され、
前記第1の位置とは異なる第2の位置で、前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合して、前記ポリマーコンクリート組成物を形成する、項1~7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ポリマーコンクリート組成物を前記第2の位置で硬化させることをさらに含む、方法。
項9.
項1~8のいずれか一項に記載の方法に従って調製された前記ポリマーコンクリート組成物を含む、硬化ポリマーコンクリート。
項10.
コンクリート基材を修復する方法であって、
前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材を容器に提供することと、前記イソシアネート成分および前記イソシアネート反応性成分を前記容器に添加することと、前記容器中の前記1つ以上の接着促進剤でプレコートされた骨材、前記イソシアネート成分、および前記イソシアネート反応性成分を混合することと、
前記ポリマーコンクリート組成物を前記コンクリート基材に塗布することと、によって、項1~8のいずれか一項に記載のポリマーコンクリート組成物を調製することを含む、方法。