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特許7186704分析装置、分析システム、分析装置の制御方法及び分析装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】分析装置、分析システム、分析装置の制御方法及び分析装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221202BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20221202BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61M1/14 110
A61M1/16 111
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019534501
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2018028462
(87)【国際公開番号】W WO2019026846
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2017148719
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 強
(72)【発明者】
【氏名】勝木 亮平
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080066(WO,A1)
【文献】特表2009-532072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0094996(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61M 1/14
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示する表示部と、を有し、
前記表示部には、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報が、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示され
前記各種情報は、特別な計算で求める特別情報を含み、前記特別情報を生成するための計算式情報を備え、
前記計算式情報は、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含めることができる構成となっており、
前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示され、
前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記時刻特定部の画面上の移動及び/又は固定が可能な構成となっており、
前記時刻特定部がイベント表示軸であり、前記イベント表示軸に対し、「ワンクリック」入力があると、前記イベント表示軸は、移動可能な移動モードとなり、前記移動モード中に「ワンクリック」入力があると、前記イベント表示軸は固定状態となっていることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記時刻特定部は、当該時刻特定部の時刻に発生したイベント情報と関連付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記時刻特定部に関連付けて、メモ情報も併せて表示可能な構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記同一画面で表示する特定の時間範囲を変更可能な構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
医療装置を備え、
前記医療装置と通信可能な請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の分析装置を有することを特徴とする分システム
【請求項7】
少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示部に表示し、
前記表示部には、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報が、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示され、
前記各種情報は、特別な計算で求める特別情報を含み、前記特別情報を生成するための計算式情報を備えると共に、前記計算式情報は、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含めることができる構成となっており、
前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示され、
前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行することを特徴とする分析装置の制御方法
【請求項8】
分析装置の記憶部に、少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶させる機能、
前記分析装置の表示部に、前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示する機能、
前記表示部に、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報を、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示させる機能、
前記各種情報に、特別な計算で求める特別情報を含ませ、前記特別情報を生成するための計算式情報を備えさせると共に、前記計算式情報には、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含ませる機能、
前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示される機能、
前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行する機能を実現させることを特徴とする分析装置の制御プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者等が手術中等に使用する体外循環装置等から得られる情報を分析する分析装置、分析システム、分析装置の制御方法及び分析装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば、手術中等において患者に対する血液の供給が必要なとき、患者の血液を体外で循環させるため人工心肺装置等を有する体外循環装置が用いられている。
このような体外循環装置は、流量センサ、圧力センサ、ドライブモータの回転数検出部等を有しているため、これらの値等を管理することで、患者の状態や機器自体の状態を管理することができる構成となっている(例えば、特許文献1)。
また、このような体外循環装置等の流量センサ等の値は、手術後、医師等が薬剤の効果等を研究するためにも使用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006―122111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、手術後、体外循環装置等で得られた情報を用いて、各種の分析をするときは、事前に、種類の多い各種の得られたデータ等を準備することが必要であり、かかる準備には多くの労力がかかり、実際上、困難な場合が多いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、体外循環装置等で得られた情報を用いて容易に各種の分析をすることができる分析装置、分析システム、分析装置の制御方法及び分析装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示する表示部と、を有し、前記表示部には、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報が、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示され、前記各種情報は、特別な計算で求める特別情報を含み、前記特別情報を生成するための計算式情報を備え、前記計算式情報は、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含めることができる構成となっており、前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示され、前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行することを特徴とする分析装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、医療機器からの各種情報は、記憶部に記憶され、この記憶部に記憶されている各種情報を特定の時間範囲(例えば、24時間)に同一画面で表示するので、医師等にとって各種情報の推移が把握し易い構成となっている。
また、特定の時刻の各種情報の値等も併せて表示され、その特定の時刻は、画面上で示されているので、各時刻の各種情報の値等も全体と共に、同一の画面で把握できる。
したがって、医師等の研究がし易い構成となっている。
また、前記構成によれば、各種情報は、特別な計算で求める特別情報(例えば、酸素運搬量等)を含み、特別情報を生成するための計算式情報を備えているので、医師等が必要な情報を画面に表示できるように、入力等することができ、使い勝手の良い装置となっている。
前記構成によれば、記憶部に記憶されている各種情報を計算式に含めることができるので、記憶部に記憶されている情報を利用した計算式を容易に生成でき、かかる計算式で求められる特別情報も容易に画面上に表示させることができる。
【0008】
好ましくは、前記分析装置の前記時刻特定部の画面上の移動及び/又は固定が可能な構成となっており、前記時刻特定部がイベント表示軸であり、前記イベント表示軸に対し、「ワンクリック」入力があると、前記イベント表示軸は、移動可能な移動モードとなり、前記移動モード中に「ワンクリック」入力があると、前記イベント表示軸は固定状態となっていることを特徴とする。
【0009】
時刻特定部の画面上の移動及び/又は固定が可能な構成なので、患者の各種情報の任意の時刻に時刻特定部を移動等させることができ、移動先等の時刻の各種情報を画面に表示させることができる。
【0010】
好ましくは、前記時刻特定部は、当該時刻特定部の時刻に発生したイベント情報と関連付けられていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、時刻特定部は、当該時刻特定部の時刻に発生したイベント情報(例えば、投薬時刻情報等)と関連付けられているので、医師等は、画面上の時刻特定部を中心に観察することで、投薬等の効果等を容易に把握することができる。
【0012】
好ましくは、前記時刻特定部に関連付けて、メモ情報も併せて表示可能な構成となっていることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、時刻特定部に関連付けて、メモ情報も併せて表示可能な構成となっているので、医師等が時刻特定部に関するメモを入力すれば、画面上に、当該時刻特定部と関連付けてメモを残すことができる。
【0018】
好ましくは、前記同一画面で表示する特定の時間範囲を変更可能な構成となっていることを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、同一画面で表示する特定の時間範囲(例えば、24時間から12時間等)を変更可能となっているため、患者の必要な時間範囲のデータを適切に表示することができる。
【0020】
好ましくは、医療装置を備え、前記医療装置と通信可能な分析装置を有する分析システムであることを特徴とする。
【0021】
上記目的は、本発明にあっては、少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示部に表示し、前記表示部には、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報が、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示され、前記各種情報は、特別な計算で求める特別情報を含み、前記特別情報を生成するための計算式情報を備える共に、前記計算式情報は、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含めることができる構成となっており、前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示され、前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行することを特徴とする分析装置の制御方法により達成される。
【0022】
上記目的は、本発明にあっては、分析装置の記憶部に、少なくとも医療装置から取得した各種情報を記憶させる機能、前記分析装置の表示部に、前記記憶部に記憶されている前記各種情報のうち、特定の時間範囲における情報を同時に同一画面で表示すると共に、前記同一画面に特定の時刻を示す時刻特定部を併せて表示する機能、前記表示部、前記時刻特定部で特定された時刻の前記各種情報、前記特定の時間範囲における情報と共に併せて表示させる機能、前記各種情報に、特別な計算で求める特別情報を含ませ、前記特別情報を生成するための計算式情報を備えさせると共に、前記計算式情報には、前記記憶部に記憶されている前記各種情報を計算式に含ませる機能、前記表示部には、操作者の求めに応じて前記計算式に含めるための各種情報名及び計算用テンキーが表示される機能、前記表示部に表示させる前記計算式に前記各種情報名を含めると、入力された前記各種情報名に対応する前記各種情報を前記記憶部から自動的に抽出して、計算を実行する機能を実現させることを特徴とする分析装置の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、体外循環装置等で得られた情報を用いて容易に各種の分析をすることができる分析装置、分析システム、分析装置の制御方法及び分析装置の制御プログラムを提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の分析装置である例えば、データ分析用PC、データ蓄積PC、そして医療機器である例えば、体外循環装置等を含む体外循環システムの主な構成を示す概略図である。
図2図1の「データ分析用PC」、「コントローラ」、「データ蓄積PC」等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図3】第1の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4】第2の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5】第3の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6】第4の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7】本実施の形態にかかる体外循環システムの主な動作例を示す概略フローチャートである。
図8】基本画面表示を示すフローチャートである。
図9】時間軸(表示する時間範囲)を変更する工程を示す概略フローチャートである。
図10図16のイベント表示軸を時間に流れに沿って移動する場合や固定する場合等の動作例を示す概略フローチャートである。
図11】画面上に表示されている流量等のデータ数を減少等させる動作例を示す概略フローチャートである。
図12】イベント表示軸の位置を薬剤投与の時刻等とする場合の動作例を示す概略フローチャートである。
図13】イベント表示軸Sに関連して「メモ」を表示させる工程を示す概略フローチャートである。
図14】各種データを計算等して求める計算後データを画面に表示させる主な工程を示す概略フローチャートである。
図15】データの閾値等を画面上で確認する工程を示す概略フローチャートである。
図16】バイタルデータ等の各種の情報が、図1のデータ分析用PCのディスプレイに表示された状態を示す概略説明図である。
図17】イベント表示軸内容選択用画面の一例を示す概略図である。
図18】画面に表示された「計算式」を示す概略図である。
図19】閾値情報が表示された画面例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0026】
図1の体外循環システムの説明について)
図1は,本発明の分析装置である例えば、データ分析用PC100、データ蓄積PC2、そして医療機器である例えば、体外循環装置IR等を含む体外循環システム1の主な構成を示す概略図である。
図1に示す体外循環装置IR等は、図1に示すように、患者Pの血液の体外循環を行う装置であるが、この「体外循環」には「体外循環動作」と「補助循環動作」が含まれる。
「体外循環動作」は、体外循環装置IR等の適用対象である患者(被術者)Pの心臓に血液が循環しないため患者Pの体内でガス交換ができない場合に、この体外循環装置IR等により、血液の循環動作と、この血液に対するガス交換動作(酸素付加及び/又は二酸化炭素除去)を行うことである。
【0027】
また、「補助循環動作」とは、体外循環装置IR等の適用対象である患者(被術者)Pの心臓に血液が循環し、患者Pの肺でガス交換を行える場合で、体外循環装置IR等によっても血液の循環動作の補助を行うことである。装置によっては血液に対するガス交換動作を行う機能を持つものもある。
【0028】
ところで、本実施の形態に係る図1に示す体外循環装置IR等は、例えば患者Pの心臓外科手術を行う場合やその後のICU(Intensive Care Unit、集中治療室)における治療等で用いられる。
具体的には、体外循環装置IR等の「遠心ポンプ3」を作動させ、患者Pの静脈(大静脈)から脱血して、人工肺4により血液中のガス交換を行って血液の酸素化を行った後に、この血液を再び患者Pの動脈(大動脈)に戻す「人工肺体外血液循環」を行う。すなわち、体外循環装置IR等は、心臓と肺の代行を行う装置となる。
【0029】
また、体外循環装置IR等は、以下のような構成となっている。
すなわち、図1に示すように、体外循環装置IR等は、血液を循環させる「循環回路1R」を有し、循環回路1Rは、「人工肺4」、「遠心ポンプ3」、「モータ5」、「静脈側カニューレ(脱血側カニューレ)6」と、「動脈側カニューレ(送血側カニューレ)7」と、体外循環装置IR等を管理する例えば、コントローラ3を有している。
なお、遠心ポンプ3は、血液ポンプとも称し、遠心式以外のポンプも利用できる。
【0030】
そして、図1の静脈側カニューレ(脱血側カニューレ)6は、大腿静脈より挿入され、静脈側カニューレ6の先端が右心房に留置される。
動脈側カニューレ(送血側カニューレ)7は、大腿動脈より挿入される。静脈側カニューレ6は、脱血チューブ8を用いて遠心ポンプ3に接続されている。
また、脱血チューブ8には、脱血チューブ8内の血液の圧力を測定する圧力センサ9が配置されている。
この圧力センサ9はコントローラ16と通信可能に接続され、圧力センサ9の値はコントローラ16へ送信される構成となっている。
【0031】
モータ5は、コントローラ16と通信可能に接続されており、コントローラ16からの指令により遠心ポンプ3を操作させると、遠心ポンプ3は、脱血チューブ8から脱血して人工肺4に通した血液を、送血チューブ10を介して患者Pに戻す構成となっている。
【0032】
人工肺4は、遠心ポンプ3と送血チューブ10の間に配置されている。
人工肺4は、この血液に対するガス交換動作(酸素付加及び/又は二酸化炭素除去)を行う。人工肺4は、例えば、膜型人工肺であるが、特に好ましくは中空糸膜型人工肺を用いる。送血チューブ10は、人工肺4と動脈側カテーテル7を接続している管路である。
【0033】
また、送血チューブ10には、流量センサ11が配置され、流量センサ11は、コントローラ16と通信可能に接続されている。
したがって、流量センサ11は、患者Pから脱血チューブ8を介して流れてくる血液の流量の値を検知し、その値をコントローラ16へ送信する構成となっている。
また、送血チューブ10には、送血チューブ10内の血液の温度を測定する温度センサ15が配置されている。
この温度センサ15はコントローラ16と通信可能に接続され、温度センサ15の値はコントローラ16へ送信される構成となっている。
【0034】
脱血チューブ8と送血チューブ10は、例えば、塩化ビニル樹脂やシリコーンゴム等の透明性が高く、可撓性を有する合成樹脂製の管路が使用できる。
脱血チューブ8内では、血液は図1のV方向に流れ、送血チューブ10内では、血液は図1のW方向に流れる。
【0035】
また、本実施の形態の体外循環システム1には、図1に示すように、送血チューブ10に、血液ガスモニタのセンサ12aが配置され、この血液ガスモニタのセンサ12aは、図1に示すように、血液ガスモニタ12に接続されている。
このように、送血チューブ10内の血液ガスのデータは、血液ガスモニタ12に表示される構成となっている。
【0036】
一方、図1に示すように、患者Pには、飽和酸素計測センサ13aが装着され、飽和酸素のデータが図1の酸素飽和度モニタ13に表示される構成となっている。
また、本実施の形態の体外循環システム1は、データ蓄積PC2を有し、このデータ蓄積PC2が、コントローラ16,血液ガスモニタ12及び酸素飽和度モニタ13等と通信可能に接続されている。
【0037】
さらに、図1に示すように患者Pには、薬液等を投与するための輸液ポンプ14が留置針等を介して配置され、この輸液ポンプ14には、薬液バッグ14aが接続されている。
そして、この輸液ポンプ14は、図1等に示すように、データ蓄積PC2に接続されている。
【0038】
このため、データ蓄積PC2は、酸素飽和度、血液ガスのデータのみならず、コントローラ16が取得する流量、圧力等のデータも取得し、蓄積する構成となっている。
さらに、データ蓄積PC2は、図1の輸液ポンプ14の薬液投与のデータも取得する構成となっている。
【0039】
ところで、体外循環システム1は、データ蓄積PC2が蓄積したデータを分析する「データ分析用PC100」が、データ蓄積PC2と接続されている。
【0040】
本実施の形態では、分析装置として例えば、データ分析用PC100を例に以下、説明するが、本発明はこれに限らず、データ分析用PC100がデータ蓄積PC2を兼ねる構成となっていても構わない。
【0041】
また,本実施の形態では、データ蓄積PC2に蓄えられたデータが有線又は無線のLAN等でデータ分析用PC100へ送信される場合のみならず、USB等の媒体を介して、データがデータ分析用PC100へ移行されても構わない。
【0042】
図1に示す体外循環システム1のデータ分析用PC100、データ蓄積用PC2及びコントローラ16等は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バスを介して接続されている。
【0043】
図2等のブロック図について)
図2は、図1の「データ分析用PC100」、「コントローラ16」、「データ蓄積PC2」等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、データ分析用PC100は、「分析用PC制御部101」を有し、分析用PC制御部101は、データ分析用PC100が、データ蓄積PC2等と通信するための「通信装置102」、時刻情報を生成する「計時装置103」、各種情報を表示する「表示部」である例えば、「ディスプレイ104」及び「各種情報入力装置(キーボード等)105」等を制御する。
【0044】
また、図2のコントローラ16は、図1に示すモータ5,流量センサ11、圧力センサ9及び温度センサ15と接続されている。
一方、酸素飽和度モニタ13、血液ガスモニタ12及び輸液ポンプ14は、コントローラ3を介することなく、データ蓄積PC2に直接、接続されている。
【0045】
そして、分析用PC制御部101は、図2に示す「第1の各種情報記憶部110」、「第2の各種情報記憶部120」、「第3の各種情報記憶部130」及び「第4の各種情報記憶部140」も制御する。
【0046】
図3乃至図6は、それぞれ「第1の各種情報記憶部110」、「第2の各種情報記憶部120」、「第3の各種情報記憶部130」及び「第4の各種情報記憶部140」の主な構成を示す概略ブロック図である。これらの具体的な内容は後述する。
【0047】
(体外循環システム1の動作例について)
図7乃至図15は、本実施の形態にかかる体外循環システム1の主な動作例を示す概略フローチャートである。
すなわち、本実施の形態では、図1に示す体外循環システム1により、患者P等の手術等において得られた各種の情報が「データ蓄積PC2」を介して「データ分析用PC100」に記憶される。
そして、このように蓄積された各種の情報に基づいて、手術後、医師等が研究等を行い易いように、各種の情報等が、データ分析用PC100のディスプレイ104に表示される構成となっている。
【0048】
そこで、以下、データ分析用PC100のディスプレイ104に表示される主な各種情報の表示例を説明するが、その前に、図7を用いてデータ分析用PC100に記憶される各種情報の取得工程を説明する。
【0049】
(患者P等の手術中等に記憶等する各種情報の取得工程等について)
図7のステップ(以下「ST」とする。)1に示すように、図1の体外循環システム1では、例えば、患者Pの手術中に、「モータ5」「流量センサ11」「圧力センサ9」「温度センサ15」「酸素飽和度モニタ13」及び「血液ガスモニタ12」等から「回転数」「流量」「温度」「圧力」等のバイタルデータ等の各種情報を取得する。
そして、それぞれの情報を対応する「時刻情報」と関連付けて、「回転数情報記憶部111」、「流量情報記憶部112」、「温度情報記憶部113」及び「圧力情報記憶部114」等に記憶する。
【0050】
具体的には、例えば、以下の各種情報を記憶する。
●「モータ5」から「回転数(Arterial)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「回転数情報記憶部111」に記憶。
●「流量センサ11」から「流量(Flow)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「流量情報記憶部112」に記憶。
●「温度センサ15」から「温度(Temp)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「温度情報記憶部113」に記憶。
●「圧力センサ9」から「圧力(Press)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「圧力情報記憶部114」に記憶。
●「酸素飽和度モニタ13」から「局所組織酸素飽和度(rSO2)情報」を取得し、「計時装置103」から対応時刻を取得し、関連付けて、図3の「局所組織酸素飽和度情報記憶部115」に記憶。
【0051】
●「酸素飽和度モニタ13」から「経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「経皮的動脈血酸素飽和度情報記憶部116」に記憶。
●「酸素飽和度モニタ13」から「脈拍数情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「脈拍数情報記憶部117」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「pH情報」を記憶し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「pH情報記憶部118」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「炭酸ガス分圧(PCO2)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「炭酸ガス分圧情報記憶部119」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「酸素分圧(PO2)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「酸素分圧情報記憶部225」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「酸素飽和度(SO2)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「酸素飽和度情報情報億部221」に記憶。
【0052】
●「血液ガスモニタ12」から「ヘマトクリット(HCT)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「ヘマトクリット情報記憶部222」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「ヘモグロビン(Hgb)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図3の「ヘモグロビン情報記憶部223」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「重炭酸イオン(HCO3)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「重炭酸イオン情報情報億部121」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「酸素消費量情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「酸素消費量情報記憶部122」に記憶。
●「血液ガスモニタ12」から「カリウム値(K+)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「カリウム値情報記憶部123」に記憶。
【0053】
●「血液ガスモニタ12」から「ベースエクセス値(BE)情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「ベースエクセス値情報記憶部124」に記憶。
●「輸液ポンプ14」から「投薬注入情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「投薬注入情報記憶部125」に記憶。
●「人工肺4」から「人工肺交換情報」を取得し、「計時装置103」から対応する時刻情報を取得し、関連付けて、図4の「人工肺交換情報記憶部126」に記憶。
【0054】
尚、上記した各種情報を記憶する際、併せてイベント情報(例えば、投薬時刻情報等)を関連付けて記憶させることができる。
【0055】
また、データ分析用PC100は,予め患者Pの体表面積情報を取得し、図4の「体表面積情報記憶部127」に記憶させる。
【0056】
次いで、図7のST2へ進み、上述の取得した情報に基づいて計算により求める情報を取得する。
具体的には、図4の「インデックス情報生成処理部(プログラム)128」が動作し、図3の「流量情報記憶部112」の「流量情報」と、図4の「体表面積情報記憶部127」の体表面積情報に基づいて、「カーディアンインデックス情報」を生成し、関連する時刻情報と共に、図4の「カーディアンインデックス情報記憶部129」に記憶させる。
【0057】
以上で、必要な情報の取得及び生成という準備段階が終了する。
そして、医師等の研究者等は、かかる情報を図1の「データ分析用PC100」に表示させて、各種の研究を行う。
本実施の形態では、研究に適した情報の表示が研究者等である操作者の操作で可能な構成となっている。
以下、具体的に説明する。
【0058】
(同じ時間帯で各種情報を表示)
図8は、基本画面表示を示すフローチャートである。
同フローチャートで示すように、図1のデータ分析用PC100のディスプレイ104に以下の情報が表示される。
具体的には、図8のST11のフローチャートで示すように、図5の「基本画面表示処理部(プログラム)131」が動作し、上述の各記憶部に記憶されているバイタルデータ等の各種情報に基づき、前回設定した時間軸である例えば、24時間(2017年5月31日 8時から6月1日 8時までの24時間)のバイタルデータ等を表示する。
この24時間が所定の時間範囲の一例となっている。
【0059】
また、同時に、画面上に、時刻特定部である例えば、イベント表示軸Sを任意の時刻(例えば、中間の時刻)に表示する。
更に、イベント表示軸Sの時刻における各種記憶部の各データも画面に表示される。
【0060】
図16は、バイタルデータ等の各種の情報が、図1のデータ分析用PC100のディスプレイ104に表示された状態を示す概略説明図である。
図16に示すように、画面の右下には時間軸として24時間が指定されているため、画面の中央の左から右に時間の流れに従って、データ分析用PC100が取得した情報、図16の場合は、温度情報(Temp)、モータ5の回転数(Arterial)情報、圧力(Press)の情報等が表示されている。
そして、中央に縦長の軸状のイベント表示軸Sが表示されている。そして、このイベント表示軸Sが配置された時刻に対応する情報が画面の上部の枠内及び下部の枠内等に表示される。例えば、図16の場合の時刻は、「5/31 20:33:04」である。
【0061】
例えば、図16の画面の上部の左端の枠は「流量(Flow)であり、イベント表示軸Sの時刻「5/31 20:33:04」における数値が表示されている。
同様に、「流量」の右隣には「モータの回転数(Arterial)」の数値が表示されている。
【0062】
また、下部の左端の枠には「pH」の値が表示され、この値はイベント表示軸Sの時刻「5/31 20:33:04」における数値である。
【0063】
したがって、研究者等は、ディスプレイ104を視認することで、各情報の例えば、24時間における変化のみならず、イベント表示軸Sで示す時刻の各情報も同時に把握することができるため、研究ツールとして、極めて使い易いものとなる。
【0064】
(時間軸(例えば、24時間)を変更する場合)
ここで、研究者等が、図16の画面の時間軸(例えば、24時間)ではデータ量が多すぎるため例えば、12時間や1時間、若しくは20分等に変更する場合について、以下説明する。
図9は、時間軸(表示する時間範囲)を変更する工程を示す概略フローチャートである。
【0065】
図9のST21で、研究者が時間軸(表示する時間範囲)変更信号を入力すると、ST22で、図5の「時間軸変更入力処理部(プログラム)132」が動作し、画面に「時間軸変更入力画面」を表示させる。
次いで、ST23で、「時間軸変更情報」が入力されたか否かが判断される。
ここで、例えば、研究者が、「2017年5月31日の8時から20時」までの「12時間」と入力すると、ST24へ進む。
【0066】
ST24では、同処理部(プログラム)132が動作し、表示データの時間軸を「2017年5月31日の8時から20時」の12時間として、対応するデータを上述の各記憶部から抽出して、表示する。
なお、この時間は自由に選択でき、10分等とすることもできる。
【0067】
(イベント表示軸Sを移動又は固定等する場合)
図10は、図16のイベント表示軸Sを時間に流れに沿って移動する場合や固定する場合等の動作例を示す概略フローチャートである。
以下、研究者がイベント表示軸の移動を希望する場合の動作について、図10を用いて説明する。
【0068】
先ず、図10のST31で、図5の「イベント表示軸動作処理部(プログラム)133」が動作し、イベント表示軸Sの移動指示又は固定指示が入力されたか否かを判断する。
具体的には、図16の画面上で、イベント表示軸Sを移動させるための「ワンクリック」の入力があったか否かを判断する。
「ワンクリック」された場合はイベント表示軸Sを移動可能な「移動モード」の状態とする。
【0069】
次いで、ST32で移動指示の入力があったときは、ST33へ進む。具体的には、ST33では、図16のイベント表示軸Sが画面上のポイント操作等で移動されたか否かを判断する。
ST34で、イベント表示軸Sの移動があったと判断されたときは、ST35へ進む。
ST35では、移動先の時刻に対応する情報の値、例えば、流量等の数値等を表示する。
【0070】
一方、ST32で、移動指示が入力されてないと判断されたときは、ST36へ進む。
ST36では、イベント表示軸Sに固定入力指示があったか否かを判断する。
具体的には、イベント表示軸S上に、「ワンクリック」入力があったか否かを判断する。
次いで、ST37で、固定指示の入力がされたときは、ST38でイベント表示軸Sの移動を不可とする。
【0071】
このように、本実施の形態では、研究者が画面上のイベント表示軸Sに移動指示等の入力を行うことで、画面上の時間の流れに沿った任意の位置にイベント表示軸Sを移動させることができる。そして、この移動先の時刻における各種情報の値を、図16の上部や下部の枠内に変更表示することができる。
【0072】
したがって、研究者は、自己が調べたい時刻の各種情報(流量等)の値等を、イベント表示軸Sを操作移動するだけで、迅速に画面上に表示させることができる。
【0073】
(画面上に表示されているデータ数を減少等させる場合)
図11は、画面上に表示されている流量等のデータ数を減少等させる動作例を示す概略フローチャートである。
研究者等が、画面上に表示されているデータ数(流量等)を例えば、減少表示させたいときは、先ず、図11のST41に示すように、研究者がデータ選択画面に信号を入力すると、図5の「表示情報選択処理部(プログラム)134」が動作し、「表示データの選択」が終了したか否かを判断する。
【0074】
ここで、研究者は、必要なデータの選択を実行する。
次いで、ST42で、選択が終了したと判断されると、ST43へ進み、選択されたデータ(流量等)のみを画面上に表示させることができる。
このように、本実施の形態では、研究者は、必要な種類のデータ(流量等)のみを表示させることができる。
【0075】
(イベント表示軸Sの表示内容を変更する場合)
研究者(操作者)が、イベント情報である例えば、ある薬剤の投与の前後におけるデータ(流量等)の変化を研究したい場合は、既に記憶されたイベント情報を利用する他に、以下のようにイベント表示軸Sの位置を薬剤投与の時刻と関連付ける操作を行うことも可能である。
【0076】
図12は、イベント表示軸Sの位置を薬剤投与の時刻等とする場合の動作例を示す概略フローチャートである。
先ず、図12のST51に示すように、研究者が、イベント表示軸Sの内容の選択用画面の表示入力をすると、図5の「イベント表示軸内容選択処理部(プログラム)135」が動作し、イベント表示軸内容選択用画面が画面上に、別のウインドウとして表示される。
【0077】
図17は、イベント表示軸内容選択用画面の一例を示す概略図である。
このイベント表示軸内容選択用画面には、手術中のイベント、例えば、投薬時刻、人工肺交換時刻等のデータが表示される。
また、このデータは、図4の「投薬注入情報記憶部125」や「人工肺交換情報記憶部126」から、現在の表示画面の時間軸の範囲に対応するデータが抽出され、表示されたデータである。
【0078】
次いで、例えば、研究者は、図17の2017年5月31日 20時42分30秒の投薬(薬AAA)を選択する。
この例では、研究者が、薬AAAの投薬前後におけるデータ(流量等)の変化を研究するために選択する。
【0079】
すると、図12のST32で、イベント表示軸Sの内容データを選択したと判断され、ST53で、同処理部(プログラム)135が動作し、イベント表示軸Sが、2017年5月31日20時42分30秒に合わせて画面上に表示される。
【0080】
図16のイベント表示軸Sは、2017年5月31日20時42分30秒に合わせて画面上に表示された状態を示している。
したがって、研究者は、図16のイベント表示軸Sの前後を観察することで、薬AAAの投薬前後におけるデータ(流量等)の変化、すなわち、投薬等の効果等を容易に把握することができる。
【0081】
なお,本実施の形態では、イベント表示軸Sとして「薬剤の投与時刻」を選択したが、本発明はこれに限らず、他の人工肺交換等のイベントを選択することもできる。
【0082】
(イベント表示軸Sに関連して「メモ」を表示させる場合)
図13は、イベント表示軸Sに関連して「メモ」を表示させる工程を示す概略フローチャートである。
先ず、研究者が、イベント表示軸Sに関連して「メモ」を画面に表示させたい場合、例えば、研究者が、薬AAAの投薬前後のデータの変化についてメモを表示させたいときは、先ず、図13のST61で、「メモ入力画面」を表示させる。
【0083】
具体的には、図6の「メモ入力処理部(プログラム)141」が動作し、「メモ入力画面」が表示される。
ここで、研究者は、例えば、「投薬、薬AAA」等のメモを「メモ入力画面」入力する。
次いで、ST62へ進み、メモ入力が完了したか否かを判断する。
【0084】
ST62で、メモ入力が完了したときは、ST63へ進む。ST63では、当該時刻のイベント表示軸Sとの関連つけて「メモ情報」を図6の「メモ情報記憶部142」に記憶し、画面上に当該イベント表示軸Sと関連付けて表示する。
図16のMで示した吹き出しが、表示された「メモ情報」となる。
このように。画面上に、イベント表示軸Sと関連して「メモ情報」を表示することにより、研究者にとって使い易いツールとなる。
【0085】
(各種データを計算等して求める計算後データを画面に表示させたい場合)
図14は、各種データを計算等して求める計算後データを画面に表示させる主な工程を示す概略フローチャートである。
先ず、研究者が、流量等の各種データを計算等して求める特別情報である例えば、計算後データ、例えば、酸素運搬量等をデータとして画面に表示させたい場合は、図14のST71へ進む。
ST71では、研究者が計算式の表示を求めると、図6の「計算式入力計算処理部(プログラム)143」が動作し、計算式入力画面が表示される。
【0086】
図18は、画面に表示された「計算式」を示す概略図である。
図18に示すように、計算式入力画面には、式の一部として利用可能な、各データ名(流量(Flow)等の項目名)と計算用テンキー等が表示されている。
そして、これら各データ名とテンキーを用いて、計算式を作成することができる構成となっている。
【0087】
この各データ名(流量等)の項目を式に取り込むと、当該データ名の部分には、対応する記憶部、例えば、流量情報記憶部112等から必要なデータを抽出して、計算を行う構成となっている。
【0088】
本実施の形態では、例えば、研究者は、酸素運搬量を画面に表示させたい希望があるため、図18の数式の部分に以下の式を入力する。
「((1.36×SO×Hgb)+(0.0031×PO))×Flow」
このうち「SO」「Hgb」「PO」「Flow」の部分は、図18で予め用意されている同じ名称のキーを選択して、入力する。数字は、図18のテンキーを用いて入力する。
【0089】
このように入力することで「SO」は、図3の「酸素飽和度情報記憶部221」からデータを抽出して,計算を行うこととなる。
同様に、「Hgb」は、図3の「ヘモグロビン情報記憶部223」、「PO」は、図3の「酸素分圧情報記憶部225」、そして「Flow」は、図3の「流量情報記憶部112」からデータを抽出して計算を行う。
【0090】
したがって、本実施の形態では,計算式を特別な画面で入力することで、実際に体外循環装置10から取得した流量等のデータの値を用いて、酸素運搬量等の値を求めることができるので、研究者にとって極めて使い易い装置となっている。
【0091】
また、本実施の形態では、酸素運搬量を例に計算式を説明したが、他に「差圧」の場合は、「Press2-Press1」の式を入力することで、求めることができる。
【0092】
次いで、ST72へ進み、計算式の入力があったか否かを判断し、計算式の入力があったときは、ST73へ進む。
ST73では、入力された計算式、本実施の形態の場合は、酸素運搬量の式「((1.36×SO×Hgb)+(0.0031×PO))×Flow」を図6の「計算式データ記憶部144」に記憶する。
【0093】
次いで、ST74へ進む。ST74では、同計算処理部(プログラム)143が動作し、「計算式データ記憶部144」の計算式のデータ名に、各記憶部のデータ、本実施の形態では、図3の「酸素飽和度情報記憶部221」、「ヘモグロビン情報記憶部223」、「酸素分圧情報記憶部225」、そして「流量情報記憶部112」のデータを代入し、計算し、その結果を図6の「計算後データ記憶部145」に記憶する。
【0094】
次いで、ST75へ進む。ST75では、図6の「計算後データ記憶部145」の計算後データ、例えば、酸素運搬量を、対応する時刻情報に基づいて、画面上に表示する。
例えば、図16の上部の枠のうち右端の枠内に示すように、「DO2」(酸素運搬量)の数値が表示される。
【0095】
このように、本実施の形態では、研究者は、研究の際に必要なデータを自己で計算せずに、画面上に表示させ、これを迅速に他のデータと比較することができる。
このため、研究者は、その研究に必要なデータを計算式で生成し、かつ、そのデータを画面上に表示させることができるので、極めて使い易い装置となる。
【0096】
(データの閾値等を画面上で確認する場合)
図15は、データの閾値等を画面上で確認する工程を示す概略フローチャートである。
研究者が、有るデータの推移を観察しているときに、当該データ、例えば、流量等の閾値を確認したい場合がある。
その場合、先ず、図15のST81で、研究者から閾値表示希望の入力があると、図6の「閾値表示希望表示処理部(プログラム)146」が動作し、閾値表示希望データ入力画面を表示する。
【0097】
ここで、本実施の形態では、研修者は、例えば、「流量(Flow)」と入力する。
すると、ST82に進み、同処理部(プログラム)146が、「閾値表示希望データ」の入力があったと判断し、ST83で、入力されたデータ名を「閾値表示希望情報記憶部147」に記憶させる。
【0098】
次いで、ST84では、同処理部(プログラム)146が動作し、図6の「閾値表示希望情報記憶部147」の閾値表示希望情報、例えば、「流量(Flow)」に基づき、該当データの閾値範囲を画面に表示する。
【0099】
図19は、閾値情報が表示された画面例を示す概略図である。図19では、流量(Flow)の閾値の数値範囲は、斜線で示されている。
このように本実施の形態では、研修者は、特定の流量データ等の許容範囲である閾値範囲が画面に示されるので、当該データ、例えば、流量と許容範囲との相関関係を容易に把握することができる。
【0100】
以上のように、本実施の形態にかかる体外循環システム1を利用することで研究者は、円滑に体外循環装置IR等や他の機器等から各種情報を取得できると共に、効率良く、取得した情報をディスプレイに表示させ、研究等を行うことができる。
【0101】
なお、本発明おいて、上述の実施の形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0102】
1・・・体外循環システム、2・・・データ蓄積PC、3・・・遠心ポンプ、4・・・人工肺、5・・・モータ、6・・・静脈側カニューレ、7・・・動脈側カニューレ、8・・・脱血チューブ、9・・・圧力センサ、10・・・送血チューブ、11・・・流量センサ、12・・・血液ガスモニタ、12a・・・血液ガスモニタのセンサ、13・・・酸素飽和度モニタ、13a・・・飽和酸素計測センサ、14・・・輸液ポンプ、14a・・・薬液バッグ、15・・・温度センサ、16・・・コントローラ、100・・・データ分析用PC、101・・・分析用PC制御部、102・・・通信装置、103・・・計時装置、104・・・ディスプレイ、105・・・各種情報入力装置(キーボード等)、110・・・第1の各種情報記憶部、111・・・回転数情報記憶部、112・・・流量情報記憶部、113・・・温度情報記憶部、114・・・圧力情報記憶部、115・・・局所組織酸素飽和度情報記憶部、116・・・経皮的動脈血酸素飽和度情報記憶部、117・・・脈拍数情報記憶部、118・・・pH情報記憶部、119・・・炭酸ガス分圧情報記憶部、120・・・第2の各種情報記憶部、121・・・重炭酸イオン情報情報億部、122・・・酸素消費量情報記憶部、123・・カリウム値情報記憶部、124・・・ベースエクセス値情報記憶部、125・・・投薬注入情報記憶部、126・・・人工肺交換情報記憶部、127・・・体表面積情報記憶部、128・・・インデックス情報生成処理部(プログラム)、129・・・カーディアンインデックス情報記憶部、130・・・第3の各種情報記憶部、131・・・基本画面表示処理部(プログラム)、132・・・時間軸変更入力処理部(プログラム)、133・・・イベント表示軸動作処理部(プログラム)、134・・・表示情報選択処理部(プログラム)、135・・・イベント表示軸内容選択処理部(プログラム)、140・・・第4の各種情報記憶部、141・・・メモ入力処理部(プログラム)、142・・・メモ情報記憶部、143・・・計算式入力計算処理部(プログラム)、144・・・計算式データ記憶部、145・・・計算後データ記憶部、146・・・閾値表示希望表示処理部(プログラム)、147・・・閾値表示希望情報記憶部、M・・・メモ情報、221・・・酸素飽和度情報記億部、222・・・ヘマトクリット情報記憶部、223・・・ヘモグロビン情報記憶部、225・・・酸素分圧情報記憶部、P・・・患者、S・・・イベント表示軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19