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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】骨板
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20221202BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61B17/80
A61B17/86
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019539169
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018056022
(87)【国際公開番号】W WO2018172113
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】102017000030628
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516023685
【氏名又は名称】オーソフィックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリーニ,ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】マンニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリーア,アンドレア
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0000482(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0165933(US,A1)
【文献】米国特許第04683878(US,A)
【文献】中国実用新案第201814645(CN,U)
【文献】特表2009-511122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児患者の変形した長骨の端に対して行われる骨端固定術において使用される骨板式の内部固定デバイスであって、
中央連結部分によって連結される一対の葉状部分を含む二葉又は8字形状の骨板を含み、前記一対の葉状部分の各々には、前記変形した長骨の骨端又は骨幹端に対して前記一対の葉状部分の各々を締め付けるように構成される対応する骨固定ネジを受け入れるために、少なくとも1つの貫通穴が形成され、
前記骨板の前記一対の葉状部分の各々は、前記骨板の前記中央連結部分の第2の上面と一致する基準平面に対して所定の第1の角度で傾斜させられる上面と、前記骨と接触するように構成される部分を有し、同じ基準平面に対して所定の第2の角度で傾斜させられる、下面とを有し、該下面の前記第2の角度の前記傾斜は、前記上面の前記第1の角度の前記傾斜よりも小さいことを特徴とする、
内部固定デバイス。
【請求項2】
前記上面の前記第1の角度の傾斜は、6°~15°の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の内部固定デバイス。
【請求項3】
前記上面の前記第1の角度の傾斜は、12°に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の内部固定デバイス。
【請求項4】
前記下面の前記第2の角度の傾斜は、5°に等しいことを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の内部固定デバイス。
【請求項5】
前記骨板の両端は、前記骨板の中心から離れる方向において徐々に先細ることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の内部固定デバイス。
【請求項6】
前記下面は、前記両端で前記基準平面に対して平行で平坦な部分を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の内部固定デバイス。
【請求項7】
前記骨板は、2つの葉を有し、8字形状であることを特徴とする、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の内部固定デバイス。
【請求項8】
当該内部固定デバイスは、前記骨板の長手軸に対して横方向にあり、前記中央連結部分の下面に形成される、凹部又は空洞を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の内部固定デバイス。
【請求項9】
前記骨板は、当該内部固定デバイスの長手方向に対して垂直な方向において対向する前記下面及び前記上面のアーチ状の断面プロファイルを有することを特徴とする、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載の内部固定デバイス。
【請求項10】
前記対向する前記下面及び前記上面の前記アーチ状の断面プロファイルの曲率半径は、互いに異なることを特徴とする、請求項9に記載の内部固定デバイス。
【請求項11】
前記下面の曲率半径は、前記上面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする、請求項9に記載の内部固定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する骨固定ネジを受け入れる2つの貫通穴が形成された骨板(bone plate)を含むタイプの、軟組織の不十分な被膜を有する解剖学的領域において合成手段として使用されることが意図されるタイプの、骨板の改良された内部固定デバイス(internal fixator device)に関する。
【0002】
本発明は、骨折の合成治療の患者のための又は骨変形の矯正のための耐容性(tolerability)を改善することが意図された、並びに軟組織で不十分に覆われた解剖学的領域の骨端での皮膚の下のこの骨板の適用を想定する、骨板タイプの内部固定デバイスに特に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
本発明は、特に、小児整形外科の分野において、例えば、小児患者の変形した長骨の端に対して施術される骨端固定術において有用な用途を有し、後続の記述には、この分野における使用への非限定的な言及が提供される。
【0004】
本発明の特定の技術分野においては、多くの問題が存在することが知られており、これらの問題は、膝、肘、及び背骨を含む、特定の解剖学的領域における骨固定板の低い耐容性に起因しており、それは軟組織の適切な厚さを有さない。
【0005】
例えば、これらの骨板を関節付近に位置する骨端で使用することは、骨固定ネジの頭部が板から突出することに起因する局所的な炎症を引き起こすことがある。
【0006】
骨板は、骨変形の凸状領域において、骨板を骨端及び骨幹端にそれぞれ締め付ける2つの固定ネジによって位置決めされる。骨板の骨端部分及び骨幹端部分の両方は、実際には、対応する固定ネジを受け入れるように設計された少なくとも1つの貫通穴を有する。
【0007】
この技術分野では、「8」のように成形される特定の骨板が知られており、これらは、成長軟骨の圧縮を防いで、より侵襲的な截骨術の入を必要とせずに骨端軟骨(physis)及び骨の自然な成長プロセスをきめ細かく助けるよう、発散することができる固定ネジによって、骨に締め付けられる。
【0008】
固定ネジは、それらの傾斜角を変えることができるよう、骨板のそれぞれの貫通穴の内側に緩く締め付けられて、骨成長プロセスに徐々に順応する。実際には、骨端軟骨組織の成長の間に、固定ネジは、その角度発散を徐々に引き起こす引張作用に曝される。即ち、2つのネジは、骨端軟骨を通過する中心平面に対して互いに離れる方向に傾斜させられるようになる。
【0009】
先行技術によって現在採用されている解決策は、骨成長を制御するための、具体的には骨変形を矯正するための、骨板タイプの固定デバイスに関する、米国特許第8,273,111号に記載されている。このデバイスは、第1のレベルと、第2のレベルと、それらを接続する中間ランプとによって画定される、階段状のプロファイルを有する骨板を含み、各レベルは、骨固定ネジを受け入れるためのネジ穴を備える。米国特許第8,273,111号の図3は、特定の患者の解剖学的形状に依存して或いは骨に依存して使用される、アーチ(arch)又はハンプ(hump)の形態の中間部分を有する、この骨板の変形も示している。このようにして、米国特許第8,273,111号は、非対称的な成長又は解剖学的変形を矯正するために、例えば、骨板が小児年齢の患者に移植されなければならないときに、骨の骨端軟骨に過負荷をかけて、矯正中に骨を損傷することを避けることを提案している。
【0010】
更に、軟組織の不十分な被覆がある解剖学的領域におけるこれらの骨板の耐容性を向上させるために、「一体型ワッシャ(integrated washer)」と呼び得る従来技術の解決策が知られており、この解決策は、固定ネジを受け入れる貫通穴の領域における骨に向かう骨板の厚さを局所的に増加させる。このようにして、板の上方プロファイルからのネジ頭部の突出を部分的に減少させることが可能であるが、移植中にのみ可能である。
【0011】
多くの観点から有利であり、その目的を実質的に満たしているが、この従来技術における上述の骨板は、多数の欠点も有し、例えば、骨板内の全く同一の一体型ワッシャは、その下面において、骨との接触領域を制限する。
【0012】
更に、成長軟骨の粉砕(crashing)を回避するために従来技術で用いられる骨板構成は、ある場合には、骨板自体の強度に影響を及ぼし、それを比較的脆弱にすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の下に横たわる技術的課題は、軟組織によって不十分に被覆された解剖学的領域に適用されるときに、耐容性を向上させる改良された構造を有する骨板タイプの内部固定デバイスを含む、改良された合成手段を考案することの問題である。本発明に従った骨板は、成長軟骨の側方粉砕を防止して、その存在がもはや必要とさないときに骨板の除去を助けるような、構造的及び機能的な特性を想定する。
【0014】
本発明の他の目的は、単純で低コストの構造を備える固定デバイスを提供することであり、それはその移植期間の全持続時間に亘って特定の強度も保証する。
【0015】
本発明の更なる目的は、対応する骨板が筋肉又は軟組織の薄い層によってのみ被覆された骨端に位置付けられるときにも、骨固定ネジの頭部のあらゆる程度の突出についての患者の耐容性を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の提案される解決策は、丸みを帯びたプロファイルを有し、それぞれの端に向かって先細るよう、それらの連結中央部分の基準平面に対して僅かに傾斜させられたそれぞれの上面及び下面を有する、2つの対向する葉状部分を備える骨板を提供することである。
【0017】
この提案される解決策に基づいて、技術的課題は、中央連結部分によって連結される一対の葉状部分を含む二葉又は8字形状の骨板を含む種類の、軟組織の不十分な被膜を備える解剖学的領域又は骨端において合成手段として使用される種類の、骨板の内部固定デバイスであって、対応する骨固定ネジを受け入れるよう、一対の葉状部分の各々に少なくとも1つの貫通穴が形成され、骨板の一対の葉状部分の各々は、骨板の連結中央部分の第2の上面と一致する基準平面に対して傾斜させられる上面と、より小さい傾斜で同じ基準平面に対して傾斜させられ、骨と接触するように構成される、下面とを有する、内部固定デバイスによって解決される。
【0018】
より具体的には、上面は、同じ基準平面に対して第1の所定の角度で傾斜させられ、下面は、第2の所定の角度で傾斜させられ、下面の第2の角度は、上面の第1の角度の傾斜よりも小さい。
【0019】
上面の傾斜角は、6°~5°の値の範囲内で可変である。しかしながら、好ましくは、上面の傾斜角は、12°に等しい
【0020】
逆に、下面の第2の傾斜角は、好ましくは、一定であり、5°に等しい。
【0021】
葉状部分の表面の異なる傾斜の結果として、骨板の両端は、骨板の中心から離れる方向において徐々に先細る(テーパ状である)。
【0022】
骨板を取り除くための器具の挿入を可能にするために、下面は、骨板の両端で、基準平面に対して傾斜させられていない平坦な構成に戻る。
【0023】
本発明に従った骨板は、2つの葉を有し、実質的に8字形状である。
【0024】
骨板の長手軸に対して横方向にあり、連結中央部分の領域において下面にのみ形成される、凹部又は空洞を提供することも想定される。
【0025】
本発明に従った骨板は、対向する下面及び上面の僅かにアーチ状の断面プロファイルも有する。
【0026】
より具体的には、これらの対向する面のアーチ状のプロファイルの曲率半径は、互いに僅かに異なる。
【0027】
より具体的には、下面の曲率半径は、骨との接着を向上させるために、上面の曲率半径よりも大きい。
【0028】
本発明に従った骨板タイプの内部固定デバイスの構成及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として提供される好ましい実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に従って提供される骨板タイプの内部固定デバイスの側面図を示している。
図2図1に従った骨板タイプの内部固定デバイスの側断面図を示している。
図3図1に示す骨板の頂面図を示している。
図4図1に従った固定デバイスと共に使用される固定ネジの側断面図示している。
図5】本発明に従った内部固定デバイスの適用の概略的な斜視図を示している。
図6図1に従った骨板の断面図を示している。
図7】本発明に従った骨板タイプの内部固定デバイスの適用例の部分斜視断面図を示している。
図8】本発明に従った骨板の更なる適用例の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
これらの図、特に図1の例を参照すると、参照番号1は、軟組織の不十分な又は限定的な被膜がある解剖学的領域においてこの骨板(骨プレート)(bone plate)の耐容性(tolerability)を向上させるための骨板2を含む内部固定デバイス(internal fixator device)を、全体的に概略的な形態で示している。
【0031】
本発明に従った固定デバイス1は、たとえ排他的でないとしても、骨片及び長骨の骨端軟骨(physis)に跨る固定デバイスの適用で、小児及び/又は青年患者における骨片の骨折を解決するために或いは長骨の変形を矯正するための、整形外科用途における使用に特に適している。
【0032】
この骨板2は、好ましくは、剛性の生体適合性材料(例えば、チタン)で作られ、横方向よりも長手方向に大きな伸張を有する、二葉(two-lobe)及び/又は8字形状の形態(8-shaped form)を有する。
【0033】
骨板2は、均一な厚さを有さず、2つの対向する表面6及び7を有し、表面6は、骨表面と接触して配置されるように設けられる。より単純な例示のために、この記述の後に、第1の表面は、下面6(lower surface)として示され、その反対側に位置する第2の表面は、骨板2の上面7(upper surface)として示される。
【0034】
有利には、凹部8又は空洞が、骨板2の長手軸に対して横方向に設けられ、下面6にのみ形成される。
【0035】
本明細書において使用する、並びに「下方(lower)」若しくは「上方(upper)」、「下(below)」若しくは「上(above)」、又は類似の用語のような用語を含む、任意の位置について言及は、常に、上述の表面6及び7の向きに関係する。
【0036】
二葉の8字形状の骨板2は、小児患者の長骨、例えば、本発明に従った内部固定デバイス1の適用で矯正される角変形を有する骨の骨端及び骨幹端(metaphysis)とそれぞれ関連付けられるように設計される、第1の部分23及び第2の部分24を含む。
【0037】
特に図3に見ることができるように、「8」形状の2つの部分は、連結中央部分15(linking center portion)によって相互接続され、連結中央部分15には、骨板2の唯一の局所化された狭窄(localized narrowing)が存在する、
【0038】
下面6にある前述の凹部8は、骨板2のこの連結中央部分15に設けられる。この凹部8は、骨板2の横軸に対してアーチ形状を有し、骨板が移植されるときに骨端軟骨の成長を可能にするように設けられる。
【0039】
中央連結部分15(central linking portion)は、ガイドワイヤ(図示せず)によって骨板2の初期移植を容易にするように設計された案内貫通穴9を有するので、中央連結部分15は、骨端と骨幹端との間で成長する骨端に跨って配置される。
【0040】
骨板2は、連結部分15の中心を通過する横断平面に対して本質的に対称な形状を有する。
【0041】
中央連結部分15の中心を通過する横断平面から最大距離に配置される第1の部分23のゾーン及び第2の部分24のゾーンは、それぞれ、骨板2の第1の端20及び第2の端21を定める。
【0042】
第1の部分23は、それを通過して、固定ネジ5(図示せず)を受け入れるように設計された第1の貫通穴3を有する。
【0043】
第2の部分24も、それを通過して、対応する固定ネジ5(図示せず)を受け入れるように設計された第2の貫通穴4を有する。
【0044】
骨板2は、下面6及び上面7の両方に沿って平滑化され且つ丸められた、周囲エッジ25(perimetral edges)を有する。
【0045】
好ましい実施形態において、図4にその全体を見ることができる各固定ネジ5は、長手軸Yに沿って方向付けられるステムの端に配置される、好ましくは回転楕円体のヘッド10を含み。ステムは、ヘッド10に隣接するネジ山なし部分18と、好ましくは三角形の形状のネジ山を備える後続のネジ山付き部分19とを有し、最後にヘッド10の反対側に位置する自己タッピング先端27(self-tapping tip)を有する。ヘッド10の内側の六角形の空洞26の内側に開口する内部ガイドパイプ17がステムを貫通する。
【0046】
骨板2の前述の対称性の故に、第1の部分23の貫通穴3及び第2の部分24の貫通穴4は等しく、互いに対向する。より簡単な記述のために、孔4のみの内部形態を以下に記載するが、この記述は、穴3、4の両方に対称的に適用可能である。
【0047】
穴4は、固定ネジ5のヘッド10を枢動可能に据え付けるためのカップ形状のシート12、好ましくは、半球形のシート12を含む。
【0048】
カップ形状のシート12の底に開口する円筒形ボア22は、固定ネジ5のステム18を受け入れることを意図する。
【0049】
カップ形状のシート12に通じ、更に、円筒形ボア22に通じる、少なくとも1つの陥凹ゾーン14(recessed zone)が、下面6の側面にある骨板2の端21に向かって、カップ形シート12の底に設けられる。
【0050】
カップ形状のシート12は、その内側に位置付けられるヘッド10との係合のための球形ゾーンを定めて、ネジ5のステム18の完全な移動の自由を可能にする。よって、具体的には、固定ネジ5は、移動端(end-of-travel)又は停止点(stop point)に到達するまで、骨端軟骨を通過する中心平面から離れる方向に、骨板2に対して長手方向平面において傾斜させられてよい。
【0051】
カップ形状のシート12は、具体的には、穴4の内側に固定ネジ5のヘッド10を導入することを可能にするように設計された、好ましくは円形の、入口区画11と、カップ形状のシート12の内側で固定ネジ5のヘッド10を保持することを可能にするために、入口区画11よりも少なくとも局所的に小さいサイズを有する、出口区画122とを含む。
【0052】
既述のように、カップ形状のシート12は、好ましくは、半球形状を有し、その軸は、骨板2に対して垂直であり、入口区画11の中心を実質的に通過する。
【0053】
円筒形ボア22は、カップ形状のシート12と同軸に延び、出口区画122の直径と同じ直径を有する。
【0054】
陥凹ゾーン14は、カップ形状のシート12に通じ、連結中央部分15から離れる方向において、底で、出口区画122の拡径(widening)をもたらす。
【0055】
陥凹ゾーン14は、例えば、カップ形状のシート12の内側に至る傾斜した円筒形又は円錐形の穴によって形成されてよい。円筒形又は円錐形の穴の形態のこの陥凹ゾーン14は、固定ネジ5のステムのネジ山なし上方部分18の直径よりも大きいか或いは少なくとも等しい寸法を有する主直径を有してよく、貫通穴4の軸に対して所定の角度で傾斜させられた軸を有してよい。
【0056】
陥凹ゾーン14は、カップ形状のシート12の外側外周(outer lateral periphery)で開き、骨板の下面6に出るまで、下向き及び外向きに、即ち、それぞれの端20又は21に向かって延びる。陥凹ゾーン14は、その延伸全体に沿って円筒形ボア22と連通したままである。
【0057】
有利には、本発明によれば、骨板2は、従来技術の解決策と比較して、その両側の表面6及び7の特定の形状を有する。
【0058】
より具体的には、骨板2は、二葉部分23及び24を互いに連結する連結中央部分15の頂部においてだけ平坦である。
【0059】
この連結中央部分15が位置する平面Xを基準として取ると、二葉部分の対向する頂面は、所定の角度αで傾斜させられる。
【0060】
好ましくは、この角度αは、12度(12°)に等しいように選択される。
【0061】
しかしながら、この角度αは、骨板2の幾何学的寸法の増加に伴って変化する場合があることに留意することが重要である。実際には、用途の必要性に依存して、実質的に増大する寸法の板を提供することが便利であるが、その全ての区画において比例的な増加を伴い或いは如何なる場合にも均質であり、角度αは、6~15度(6°~15°)の範囲内で変化してよい。
【0062】
また、2つの対向する葉状部分23及び24(two opposite lobed portions)の下面は、同じ上方基準面Xに対して傾斜させられる。下面は、図8に示すように、骨に付着するように意図されている。
【0063】
しかしながら、これらの下面は、より小さい角度βで傾斜させられる。好ましくは、この角度βは、5度(5°)に等しいように選択される。
【0064】
骨板の寸法が増加しても、下面6の傾斜角βは、好ましくは、一定のままである。
【0065】
換言すれば、骨板2の二葉部分23及び24のそれぞれは、骨板2の連結中央部分15の表面と一致する基準平面Xに対して傾斜せられた上面7と、同じ基準平面Xに対して、より小さな傾きで傾斜させられた下面6とを有する。
【0066】
即ち、上面7が所定の角度で傾斜させられ、下面6が所定の角度βで傾斜させられるならば、下面の傾斜角βは、上面7の傾斜角αよりも小さい。
【0067】
骨板2の葉状部分の上面及び下面のこれらの異なる傾斜の結果、骨板の両端20、21は、中心9から離れる方向に徐々にテーパ状になる(先細る)。
【0068】
下面6の傾斜は、部分23及び24の両方で、端20及び21までほぼ継続するが、エッジ(縁)から所定の距離で中断され、次に、再び平坦になり、連結中央部分15が位置する平面Xに平行になることに留意のこと。
【0069】
骨端82に亘る骨板2と骨81との間の接触は底部中央凹部8に隣接して下面6で起こることが更に留意されるべきである。図8は、この形状の効果を非常に明確に示しており、この形状は、両端20、21での骨板2の接着を実質的に中断し、また、表面6が平坦な構成に戻る結果として、これは、骨板を取り除くために、少なくとも1つの側で又は1つの端で、器具83のためのアクセスを可能にする。
【0070】
有利には、その上、本発明に従った骨板2は、対向する下面6及び上面7の僅かにアーチ状の断面プロファイルも有する。
【0071】
図6の断面に明確に示すように、これらの表面6及び7のアーチ状のプロファイルの曲率半径は、互いに僅かに異なる。
【0072】
下面6の曲率半径R2は、上面7の曲率半径Rlよりも大きい。
【0073】
骨板2の主長手軸に対して垂直な方向におけるこのアーチ状の形状は、骨へのより良い接着又は嵌合を可能にし、通常、それは完全に平坦な骨板よりも湾曲したプロファイルを有する。結果的に、より良い安定性が得られる。
【0074】
図7では、骨板2の適用例を見ることが可能であり、固定ネジ5が骨の内側に完全に挿入された状態で、骨81と接触する骨板2の断面を示している。
【0075】
この図7から、骨板2のより低いプロファイルと関連付けられる更なる利点を理解することも可能であり、それは骨81に対する骨板2の長手軸のより容易な位置決めを可能にする。
【0076】
記述の完全性のために、骨板2の最大厚さ「s」は、好ましくは、端20から端21までの最大長手方向延伸「L」よりも8分の1小さいことが指摘される。最大厚さ「s」は、連結中央部分15に対する2つの部分23及び24の上面7の傾斜の変化がある骨板2上の点の厚さに関する。
【0077】
最大厚さ「s」は、最大長手方向延伸「L」の8分の1~12分の1の範囲で選択されてよい。
【0078】
好ましい実施形態において、この最大厚さ「s」は、少なくとも5%の機械加工公差を伴って、1.5~2.3mmの範囲内で選択されてよい。
【0079】
より具体的には、最大厚さ「s」は、2.1mmに等しいものとして選択される。
【0080】
その上、空洞8の領域における骨板2の厚さ「s」は、1.3mm~1.7mmの範囲内で可変であり、この場合も、少なくとも5%の機械加工公差を伴う。
【0081】
好ましい実施形態において、この厚さ「s」は、骨板2の厚さが2.1mmに等しいときに、1.5mmに等しいものとして選択される。
【0082】
本発明に従った骨板固定デバイス1の使用を次に記載する。
【0083】
比較的非侵襲的な切開が患者の皮膚及び肉にひとたび行われると、二葉部分23及び24が処置されるべき骨81の骨端及び骨幹端にそれぞれ接触して配置されるように、骨端82に跨って配置されてよい。
【0084】
有利には、傾斜した端20又は21は、組織の下への挿入及び滑りを容易にし、これは、患者、特に小児年齢の患者にとって不快感のより少ない、より小さい長さの切開が行われることを可能にする。
【0085】
骨板2の連結中央部分15の貫通穴9を通じて骨端の軟骨に挿入される固定ワイヤは、たとえ一時的であるとしても、骨板2が所定の位置に固定されることを可能にする。
【0086】
固定ネジ5は、頭部10がカップ形状のシート12に達して、カップ形状のシート12と接触するようになり、カップ形状の区画12の軸が固定ネジ5の軸と一致するまで、骨81の対応する骨端部分及び骨幹端部分に貫入するように、穴3、4の内側に初期的に挿入される。
【0087】
骨板2の適切な厚さ「s」は、図5に示すように、ネジ5の頭部が、それぞれの受けシート12(receiving seats)の内側に初期的に殆ど隠されて(concealingly)位置付けられることを可能にする。
【0088】
骨端組織の成長の間に、固定ネジ5は、全処理の過程中に、その角度発散(angular diverging)、即ち、中央連結部分15から離れる方向における並びに骨板2に対する長手方向平面内の固定ネジ5の回転を引き起こす、引張り作用(pulling action)に曝される。
【0089】
陥凹ゾーン14の存在は、中央連結部分15から離れる方向における、即ち、それぞれの端20又は21での、固定ネジ5のステムと穴3、4の底縁との間の移動端接触(end-of-travel contact)の提供を保証する。
【0090】
このようにして、陥凹ゾーン14がない場合に得られるよりも大きい固定ネジ5の角度発散があることを達成し且つ保証することが可能であり、固定デバイス1のアセンブリ全体、即ち、骨板2及び固定ネジ5が、処置の全期間に亘って骨成長に追従することを可能にする。
【0091】
骨板の端部20又は21よりも大きい、連結中央部分15の近傍における骨板の厚さ「s」は、骨が骨端組織の成長に起因する最大角度偏向(maximum angular deviation)に曝されるときにも、固定ネジ5の頭部10が隠蔽された方法に(concealed manner)おいてより容易に位置付けられることを可能にする。
【0092】
有利には、移植場所を取り囲む軟組織との摩擦が生じる地点を回避するために、上述の骨板2は、丸いプロファイルを備える形状を有し、突起を有さない。
【0093】
やはり、有利には、骨板2の上述の形状は、複雑でコストのかかる製造方法を必要とせず、完全に機械加工によって行われることがある。
【0094】
本発明に従った骨板は、技術的課題を解決し、固定ネジの破損を防止するという利点及び単一の外科手術による骨変形の完全な矯正を保証するという利点も含む、数多くの利点を達成する。
図1
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