(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】修復物の構築方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/38 20060101AFI20221202BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61C13/38
A61C19/04 Z
(21)【出願番号】P 2019543925
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2018055145
(87)【国際公開番号】W WO2018158411
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】102017203475.0
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ペーター
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006658(JP,A)
【文献】特表2010-503437(JP,A)
【文献】特表2016-528020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256035(US,A1)
【文献】特開2012-166030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0086939(US,A1)
【文献】国際公開第2016/153830(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/143022(WO,A1)
【文献】特開昭64-052455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/38
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の状況(3)が歯科カメラ(2)によって測定され、前記歯の状況(3)の3Dモデル(4)が生成される、修復物(1)を構築するための方法であって、コンピュータ支援検出アルゴリズムが前記歯の状況(3)の前記3Dモデル(4)に適用され、修復物タイプ(17)および/または少なくとも歯番号(18)および/または挿入される前記修復物(1)の位置が自動的に決定されることを特徴とし、
前記歯の状況(3)が、製造される前記修復物(1)の挿入のための、少なくとも一つの調製物(13、14)またはインプラント支持中間構造体を含み、
前記コンピュータ支援検出アルゴリズムが、畳み込みニューラルネットワーク:CNNのための人工ニューラルネットワークを含み、
前記歯の状況(3)の前記3Dモデル(4)の高度
場が、前記CNNの入力として使用され、
前記調製物(13、14)の形状または前記インプラント支持中間構造体が、前記歯の状況(3)の前記3Dモデル(4)を使用して分析され、適切な前記修復物タイプ(17)が選択される、
方法。
【請求項2】
前記修復物タイプ(17)は、インレー、クラウン、ブリッジ、支持ポスト、架工歯またはベニアであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの残留歯の表面を使用して、前記歯番号および/または歯の位置が、挿入される前記修復物(1)および/または隣接する歯(21、22)に対し、追加的に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータ支援検出アルゴリズムが、咬頭先端、切端縁または唇表面などの画定された幾何学的形状を持つテンプレート整合手順を含み、少なくとも一つの前記残留歯の表面を使用し、前記歯番号(18)および/または前記歯の位置が、挿入される前記修復物(1)および/または前記隣接する歯(21、22)に対して決定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
決定された前記修復物タイプ(17)および/または前記歯番号(18)が、表示装置(6)の支援を受けてユーザに表示されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
決定された前記修復物タイプ(17)および/または前記歯番号(18)が、前記修復物(1)を構築するために使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
挿入される前記修復物の色を指定するために、前記残留歯の色情報が、挿入される前記修復物(1)に使用される、請求項3
または4に記載の方法。
【請求項8】
決定された前記修復物タイプ(17)および/または前記歯番号(18)が、製造される前記修復物のための材料を指定するために使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯の状況が歯科カメラによって測定され、歯の状況の3Dモデルが生成される修復物を構築するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
修復物を計画するための多数の方法は当技術分野の状態から知られており、ユーザは修復物のタイプを手動で決定し、製造される修復物の歯番号を示す必要がある。
【0003】
前述の方法の一つの不利益は、ユーザが、製造される修復物のための間違ったタイプの歯または間違った歯番号を選択し、故に不良の修復物が結果的に生じることである。
【0004】
したがって、本発明の目的は、歯のタイプおよび/または自動的に製造される修復物の歯番号を決定できる方法を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、歯の状況が歯科カメラによって測定され、歯の状況の3Dモデルが生成される修復物を構築するための方法に関する。コンピュータ支援検出アルゴリズムは、歯の状況の3Dモデルに適用され、修復物タイプおよび/または少なくとも歯番号および/または挿入される修復物の位置が自動的に決定される。
【0006】
修復物は、例えば、CAD/CAM方法によって製造されうる任意の修復物とすることができる。歯科カメラは、例えば、フリンジ投影方法または共焦点測定法に基づいて、任意の三次元歯科カメラとすることができる。歯の状況には、挿入される修復物の間近の周囲や、挿入される修復物の周囲の大きな領域を含みうる。歯科カメラを使用する測定は、咬合方向、舌方向、頬方向、または唇方向など、様々な方向から実施されうる。歯の状況の3Dモデルは、歯科カメラによる測定に続いて生成される。その後、検出アルゴリズムは、歯の状況の3Dモデルに適用される。検出アルゴリズムは、例えば、機械学習の人工ニューラルネットワークまたはテンプレート整合手順に基づくことができる。検出アルゴリズムによる3Dモデルの分析後、修復物のタイプおよび/または少なくとも一つの歯の歯番号が、挿入される修復物のために自動的に決定される。
【0007】
この方法の一つの利点は、ユーザの相互作用なしに、修復物のタイプおよび歯番号の決定が自動的に起こることである。これにより、ユーザによる潜在的な操作エラーが防止され、修復物の計画に必要な時間が短縮される。
【0008】
修復物のタイプは、有利なことに、インレー、クラウン、ブリッジ、人工歯根、架工歯またはベニアでありうる。
【0009】
ブリッジは、インプラントおよび人工歯根を使用して顎骨に貼り付けることも、例えば、隣接する健康な歯の歯茎に貼り付けることもできる。ブリッジは固定または取り外し可能である。ブリッジはまた、金属合金ベースおよびセラミックまたはプラスチックの上部部分からなるベースブリッジであってもよい。
【0010】
人工歯根は、歯科インプラントとクラウンなどの修復物の間の接続部品としての役割を果たす支持ポストである。人工歯根は、インプラントに取り外し可能にまたは固定して取り付けられうる。インプラント人工歯根は、製造方法に従って分類することができる。あらかじめ作成されたカスタムのキャスティングまたは加圧可能であり、CAD/CAMのインプラント人工歯根の間で区別される。あらかじめ作成された人工歯根は、異なるサイズ、形状および角度、およびグラインド可能またはグラインド不可能の多様性の中で利用できる。一体成形のインプラントは統合された人工歯根を持つ。CAD/CAM方法を使用して製造された人工歯根は、軸傾斜に対して、および設計に関して、特定の歯の状況にカスタマイズすることができる。歯カラーの人工歯根は、特に前歯の領域において、できる限り天然の歯の光学印象を模倣するために、審美的修復物で使用される。人工歯根は通常、チタンまたはセラミックで作製される。
【0011】
ベニアは、特に前歯に対し、薄い透明なセラミックシェルの層である。
【0012】
インレーは、歯の調製物に入れられるインレー充填物である。成形補助剤を介して柔らかい一貫性のある状態で歯に導入され、その後硬化するプラスチック充填材とは異なり、インレーは歯の調製物に接着剤接合されたカスタムメードのワークピースである。
【0013】
架工歯は、健康的な隣接する歯の歯茎またはインプラント人工歯根上に接着剤接着されたブリッジである。
【0014】
したがって、歯の状況の3Dモデルは、前述の種類の修復物のうちの一つを選択するために、検出アルゴリズムによって分析される。
【0015】
歯の状況は、有利なことに、製造される修復物を置くための少なくとも一つの調製物または人工歯根などのインプラント支持メソ構造体を含むことができる。
【0016】
人工歯根などのメソ構造体は、例えば歯クラウンなどのインプラントと修復物の間の接続要素としての役割を果たす。調製物の形状に基づいて、インレー、クラウン、架工歯、またはベニアなどの適切な修復物が構築されうる。製造される修復物は、正確に適合する方法で調製物に接着剤結合される。したがって、歯の状況の3Dモデルは調製物または人工歯根を含むことができる。
【0017】
コンピュータ支援検出アルゴリズムは有利なことに、機械学習の人工ニューラルネットワーク(畳み込みニューラルネットワーク:CNN)を備えることができ、調製物またはインプラント支持メソ構造体の形状が歯の状況の3Dモデルを使用して分析され、適切なタイプの修復物が選択される。
【0018】
機械学習の人工ニューラルネットワーク(CNN)は、修復物のタイプを自動的に識別できるコンピュータアルゴリズムである。CNNを使用する方法は、以下に記載される。
【0019】
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、フィードフォワード人工ニューラルネットワークである。これは、生物学的プロセスによってインスピレーションされた機械学習の分野での概念である。畳み込みニューラルネットワークは、特に画像または音声データの機械処理において、多数の現代的な人工知能技術で使用されている。
【0020】
伝統的なCNNの構造は、一般的にプーリング層が続く畳み込み層から成る。原則として、この単位は必要に応じて頻繁に繰り返すことができる。十分な数の繰り返しで、これらは、深層学習領域に当てはまる深層畳み込みニューラルネットワークと呼ばれる。
【0021】
CNNは、層あたりのコンボリューションカーネルの自由パラメータまたは分類子よび次の層に対するオフセットのための重み付けを学習することによって、学習する。
【0022】
第一の工程では、歯の状況の3Dモデルは、歯科カメラの助けで記録される。記録は、咬合方向、舌方向および/または唇方向から行うことができる。挿入される修復物の位置は、第二の工程で決定される。これは、例えば、ユーザが歯の状況の3Dモデルのグラフィカルディスプレイに挿入される修復物の位置を選択するという点で、ユーザによって手動で行うことができる。挿入される修復物の位置は、記録方向および記録領域の中心を識別することによって自動的に決定することもできる。挿入される修復物の位置は、測定中に歯科カメラが示す位置に対応する。
【0023】
さらなる工程では、分析は、調製物を含む、挿入される修復物の領域で実行され、これにより、咬合方向、近心方向、舌方向、頬方向および/または唇方向などの様々な方向から、歯の状況の3Dモデルが、複数の層、いわゆる高度場に切断される。
【0024】
3Dモデルの複数の層の形成に代わり、3Dモデルの高度場は、高度場の各ピクセルの輝度が、3Dモデルのそれぞれの表面点と仮想カメラの定義された位置との間の距離に対応するという事実によって形成されてもよい。こうした咬合方向からの高度場は、例えば、カメラからさらに離れて配置された3Dモデルの表面領域に対応する暗い領域を含み、カメラに近接して配置される3Dモデルの表面領域に対応する明るい領域を含む。
【0025】
3Dモデルの高度場は、機械学習システムの入力として使用され、これは異なる歯の状況の多数の3Dモデルの集合を使用してトレーニングされている。
【0026】
さらなる工程では、歯の状況の3Dモデルは、機械学習システムによって分析され、適切なタイプの修復物および/または挿入される修復物の歯番号が出力として提案される。
【0027】
方法のその後、挿入される修復物の3Dモデルは、決定されたタイプの修復物、および使用される修復物の決定された歯番号に基づいて、調製物の形状を含む歯の状況の既知の3Dモデルに基づき計算される。そうする際、調製物の縁は、自動的に識別され、隣接する歯、対向する歯および調製物の形状などの構造を考慮に入れることができる。修復物の構築は、完全に自動的に実行できる。
【0028】
次の工程では、修復物は、構成された3Dモデルの修復物を使用して、CAMグラインダーによってブランクから完全に自動的に製造されうる。したがって、検討された方法は、修復物がユーザの相互作用なしに完全に自動的に製造できるという利点を有する。
【0029】
機械学習システムは一つまたは複数のCNNから構成できる。
【0030】
歯の状況の色情報は、CNNの入力として使用できる。次に、色情報は、歯の状況の3Dモデルの表面点に割り当てられる。
【0031】
一つまたは複数のCNNから構成される機械学習システムのトレーニングまたはパラメータ化方法については、以下に説明する。既知のタイプの修復物および既知の歯番号を有する歯の状況の多数の既知の3Dモデルが、第一の工程で分析される。潜在的な入力データが生成される。入力データは、可能なすべての自由度が入力データに存在するような方法で生成される。これは、データ増大を使用することによって達成される。これを行うために、歯の状況の3Dモデルは、定義された自由度の周りに回転し、および/または自由度に沿ってスケールされる。
【0032】
次いで、個別のCNNは、CNNをトレーニングするために、歯の状況の個別の3Dデータの個々の3Dデータに適用される。
【0033】
したがって、この方法では、CNNは、訓練セットの助けで、既知のタイプの修復物および歯番号を持つ歯の状況のいくつかの3Dモデルを自動的に学習する。
【0034】
CNNの使用に関する代替として、高度場が同様に入力データとして使用される、深層信念ネットワークに基づく機械学習/深層学習フィールドからの代替的な方法を、同様に使用することができる。
【0035】
さらなる代替とは、歯の状況の3Dモデルを解析するためのハイブリッド方法の使用であってもよく、それにより、分類子はユーザによって手動で定義され、定義された分類子のパラメータは、いくつかの歯の状況の多数の周知の3Dモデルからなる訓練セットによってトレーニングされる。
【0036】
しかしながら、CNNの利点は、内部畳み込みフィルタのパラメータ値およびフィルタ出力のさらなる処理が、訓練セットの分析中に学習され、その結果、さらなるユーザ仕様が必要ないことである。
【0037】
こうして、分類子または特性は、訓練セットの分析中に自動的に定義されおよび精錬される。歯の状況の3Dモデルの自動的に識別された分類子は、例えば、調製物の全表面または調製物の縁のプロファイルとすることができる。
【0038】
CNNは、例えば、縁、平坦な表面、または同じ輝度の領域などの単純な分類子が第一の層内で自動的に識別されうる複数の層から成ることができる。第二の層では、分類子は自動的に精製される。第二の層の分類子は、例えば、お互いの縁の相対的配置、縁の相対的方向または縁の輪郭でありうる。分類子はさらなる層ではますます精製されており、その結果としてそれらがこれまでより複雑になる。このように、入力パラメータとしての3Dモデルに基づき、CNNは、出力パラメータとしての適切なタイプの修復物および/または歯番号を自動的に決定するために自動的に学習する。
【0039】
それぞれの歯の少なくとも一つの残留歯の表面を使用して、歯番号および/または歯の位置は、有利なことに、挿入される修復物および/またはそれぞれの歯に対して隣接する歯に対して追加的に決定されうる。
【0040】
歯番号または歯の位置は、残留歯および/または隣接する歯の表面に基づき自動的に決定される。これは、検出アルゴリズムが、製造される修復物の歯番号が隣接する歯の形状、寸法および方向に基づいていることを自動的に識別するからである。
【0041】
コンピュータ支援検出アルゴリズムは有利なことに、咬頭先端、切端縁または唇表面などの画定された幾何学的形状を持つテンプレート整合手順を含むことができ、ここでそれぞれの歯の少なくとも一つの残留歯の表面を使用し、歯番号および/または歯の位置が、挿入される修復物および/またはそれぞれの歯に対して隣接する歯に対して決定する。
【0042】
この実施形態は、少なくとも一つのCNNからなる完全自動機械学習システムの代替例を表す。歯の状況の3Dモデルの幾何学的形状または特性は、ユーザによって手動で定義され、パラメータ化される。したがって、テンプレート整合手順では、分析される歯の状況の3Dモデルについて前記画定された幾何学的形態を検索する。咬頭先端の検索アルゴリズムは、例えば、勾配方法に基づいてもよい。したがって、検索アルゴリズムは、咬頭先端、切端縁または唇表面などの独特の幾何学的形状を特定および分割できる。このようにして、歯番号が決定される。これは、犬歯が特徴的な咬頭先端に基づき特定できるためである。
【0043】
決定されたタイプの修復物および/または歯番号は、有利なことに、表示装置の助けを借りてユーザに表示されうる。
【0044】
したがって、歯の状況の記録された3Dモデルは、モニタなどの表示装置の助けで表示され、修復物および/または歯番号などの決定された情報を重ね合わせることができる。修復物はまた、歯の状況の測定された3Dモデル内に構築およびグラフィカルに表示されうる。
【0045】
決定されたタイプの修復物および/または歯番号は、有利なことに修復物を構築するために使用されうる。
【0046】
修復物は、歯の状況の測定された3Dモデル、決定されたタイプの修復物および歯番号を使用して完全に自動的に構成され、それにより、調製物の縁、調製物の形状、隣接する歯の形状、および対向する歯の形状などの特徴的な構造が考慮される。
【0047】
したがって、ユーザの相互作用なしに修復物を完全に自動的に構築することが可能である。
【0048】
それぞれの歯の残留歯の色情報は、有利なことに、挿入される修復物の色を定義するために、挿入される修復物および/または隣接する歯のために使用することができる。
【0049】
挿入される修復物の色は、ユーザの相互作用なしに、コンピュータによって自動的に定義される。その結果、修復物の構築に必要な時間が短縮される。また、これにより、色の手動選択によって修復物不良につながる可能性がある操作エラーが防止される。
【0050】
修復物および/または歯番号の決定されたタイプは、有利には、製造される修復物のための材料を定義するために使用されうる。
【0051】
したがって、製造される修復物のための材料は、コンピュータによって自動的に定義される。修復物がCAD/CAM製造方法によって生成される場合、適切な材料で作製された適切なブランクが自動的に選択されうる。修復物の製造に必要な時間は減少される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面を参照して本発明を説明する。図面は以下を示す。
【
図1】
図1は、修復物を構築するための方法を図示するためのスケッチである。
【
図2】
図2は、咬合方向の高度場を説明するためのスケッチである。
【
図3】
図3は、唇および近心方向の高度場を説明するためのスケッチである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、歯の状況3が歯科カメラ2の手段によって測定され、歯の状況3の3Dモデル4が生成される、ブリッジなどの修復物1を構築するための方法を示すスケッチを示す。歯科カメラ2によって矩形で表示される歯の状況3の測定は、破線5で示されている。歯の状況3の3Dモデル4は、コンピュータ7に接続されるモニタなどの表示装置6によって表示される。三次元カメラ2の画像データは、コンピュータ7に転送される。マウス8およびキーボード9などの入力デバイスが、ユーザがカーソル10の支援で3Dモデル4のグラフィカルディスプレイ内に操作できるように、コンピュータ7に接続されている。歯の状況3は、歯科チャートに従って、歯番号11を有する上顎12の欠落した切歯11を含む。歯科チャートに従って、歯番号12を有する隣接する歯の第一の調製物13は、その隣に配置される。歯番号21を有する隣接する歯の歯茎の形態の第二の調製物14は、右側に配置される。構成され製造される修復物1は、第一の凹部15が第一の調製物13に嵌合し、第二の凹部16が第二の調製物14に嵌合するように、形成される。こうして、修復物1は、二つの調製物13および14上に配置され、接着剤接着される。コンピュータ支援検出アルゴリズムを使用して、歯の状況3の3Dモデル4を分析し、修復物17のタイプおよび歯番号18が自動的に決定され、それによって修復物17のタイプおよび歯番号18が表示装置6によってメニュー19に表示される。製造される修復物1の3Dモデル20は、歯の状況3の測定された3Dモデル4、決定されたタイプの修復物17および決定された歯番号または挿入される修復物18の位置に基づき、自動的に生成され、それによって、調製物15および調製物16の形状、第一の隣接する歯21,第二の隣接する歯22の形状などの重要な構造が考慮される。第一の隣接する歯21は、歯番号13を有する犬歯であり、第二の隣接する歯22は、歯科チャートに従って、歯番号22を有する歯である。構成された3Dモデル20を使用すると、修復物1は、CAM処理機械によって完全に自動的にブランクからカーブアウトされうる。したがって、論じた方法の利点は、修復物1が歯科カメラ2による測定後、ユーザの相互作用を必要とせずに完全に自動的に製造できることである。
【0054】
図2は、CNNの入力データとしての役割を果たす高度場30を説明するためのスケッチを示し、CNNは
図1のコンピュータ7上で実行されるコンピュータアルゴリズムである。3Dモデル4は、断面画像または高度場30が生成されるように、咬合方向31と直角をなす等しい間隔で切断される。CNNをトレーニングすると、異なる歯の状況の多数の異なる3Dモデルが分析される。
【0055】
図3では、3Dモデル4は、高度場41または唇方向40に垂直な断面画像が製造されるように、唇方向40に対して垂直に切断される。3Dモデル4はまた、近心方向42に垂直な高さ画像43が生成されるように、近心方向42に対して垂直に切断される。断面画像または高さ画像30、41および43は、CNNの入力データとして機能し、これによって、例えば、
図1の挿入される修復物1の、修復物17のタイプおよび歯番号18がCNNの出力データとして決定される。
【符号の説明】
【0056】
1 修復物
2 カメラ
3 歯の状況
4 3Dモデル
5 記録領域の線
6 表示装置
7 コンピュータ
8 マウス
9 キーボード
10 カーソル
11 切歯
12 上顎
13 調製物
14 第二の調製物
15 凹部
16 第二の凹部
17 修復物のタイプ
18 挿入される修復物の歯番号
19 メニュー
20 3Dモデル
21 隣接する歯
22 第二の隣接する歯
30 高度場
31 咬合方向
40 唇方向
41 高度場
42 近心方向
43 高さ画像