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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ミッドラインカテーテル配置装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221202BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M25/092 510
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019550716
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018022780
(87)【国際公開番号】W WO2018170349
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】62/472,984
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン フィンチ ハーディング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エム.スティーペ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヴァイマー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ディー.シャーマー
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-529111(JP,A)
【文献】特表2003-512903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部、末端部、および前記末端部と前記基端部との間に延在するキャビティを備えた長手方向寸法を有するハウジングであって、前記末端部が開口部を有する、ハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部を通って延在するカテーテルであって、前記カテーテルが、前記ハウジングの前記キャビティに受容されるカテーテルハブに連結された基端部と末端部とを有し、かつ、前記ハウジングに対して第1戻り位置から第2伸長位置まで移動可能であり、前記カテーテルが前記ハウジングの前記末端部から延在している、カテーテルと、
前記ハウジング内に配置された導入針であって、前記導入針は、前記ハウジングに連結された基端部と、前記カテーテルを通って延在する末端部とを有する、導入針と、
前記ハウジング内の本体に操作可能に接続された作動装置本体を含む作動アセンブリであって、前記作動装置本体が前記本体前記ハウジングの長手方向に移動させるために構成され、かつ、前記本体が前記カテーテルおよびカテーテルハブに操作可能に接続され、前記本体が、前記ハウジングの前記末端部に向けて第1位置から第2位置へ、前記カテーテルハブおよびカテーテルを前記導入針上で前記ハウジングの前記末端部および前記導入針の前記末端部に向けて移動させるように移動可能である、作動アセンブリと、
を含み、前記作動装置本体が前記ハウジングの前記基端部に向けて移動するとき、前記カテーテルハブおよびカテーテルが前記ハウジングの前記基端部に向けて移動することを防ぐように前記作動アセンブリが構成されている、カテーテル挿入装置。
【請求項2】
前記作動アセンブリが、前記ハウジング内で前記本体をスライドさせるための作動ボタンを含む、請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項3】
前記本体が、前記カテーテルハブに連結され、かつ、前記カテーテルハブから分離可能であ、請求項2に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項4】
前記作動装置本体が、前記ハウジングの前記基端部に向かう方向に、前記本体上をスライドするための少なくとも1つのタブを含み、前記少なくとも1つのタブが前記本体に係合して前記本体を前記ハウジングの前記末端部に向けてスライドさせる、請求項3に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項5】
前記作動装置本体が、前記本体を前記ハウジングの前記末端部に向けて移動させるように構成されるとともに前記ハウジングの前記基端部に向けた前記本体のスライド移動を防止するための割り出しアセンブリを含む、請求項3に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記本体の前記ハウジングの前記末端部に向けた移動を可能にするように構成されるとともに前記ハウジングの前記基端部に向けた前記本体のスライド移動を防止するための割り出しアセンブリを含む、請求項5に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項7】
前記作動装置本体が、複数の離間した可撓性タブを含んでいて前記本体の相互補完する表面に係合し、前記作動装置本体の前記ハウジングの末端部へ向けたスライド移動により前記ハウジングの前記末端部へ向けて前記本体をスライドさせる、請求項3に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項8】
前記ハウジングが、複数の離間した可撓性タブを含んでいて前記本体の相互補完する表面に係合し、前記ハウジングの前記末端部へ向けた前記本体のスライドを可能にするとともに前記ハウジングの前記基端部へ向けた前記本体のスライドを防止する、請求項7に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項9】
前記本体が、前記導入針が前記カテーテルから引き抜かれたときに前記本体の末端部開口部を塞ぐためのばねクリップと、前記本体からの前記導入針の分離を防ぐワッシャーとを有する針安全アセンブリである、請求項3に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項10】
基端部、末端部、および前記末端部および基端部の間に延びるキャビティを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記キャビティに受容され、前記ハウジングに対して第1戻り位置から第2伸長位置まで移動可能なカテーテルハブを有するカテーテルであって、前記カテーテルが前記ハウジングの前記末端部から延在している、カテーテルと、
前記ハウジング内に位置付けられた導入針であって、前記導入針が前記ハウジングに連結された基端部と前記カテーテルを通って延在する末端部とを有する、導入針と、
基端部と、前記カテーテルハブに結合された末端部とを有する本体であって、前記本体が、前記ハウジングの前記末端部に向けて前記ハウジングの長手方向に移動可能であり、かつ、前記ハウジングの前記基端部に向けて前記本体が移動することを防止するように構成されている、本体と、
前記ハウジングおよび前記本体に連結された作動装置本体であって、前記作動装置本体が、第1位置から第2位置に移動可能であって前記本体およびカテーテルハブを前記ハウジングの前記末端部に向けて移動させ、かつ、前記第2位置から前記ハウジングの前記基端部に向けて移動可能である、作動装置本体と、
を含む、カテーテル挿入装置。
【請求項11】
前記作動装置本体が、前記本体の前記末端部へ向けたスライド移動と前記本体の前記基端部へ向けた移動に抵抗することを可能にするように構成された割り出し機構を含む、請求項10に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記ハウジングの前記末端部へ向けた前記本体のスライド移動と、前記基端部へ向けた前記本体の移動に抵抗することとを可能にするように構成された割り出し機構を含む、請求項10に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項13】
前記作動装置本体が、前記ハウジング内で前記作動装置本体をスライドさせるための作動ボタンに接続されている、請求項11に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項14】
前記本体が、前記カテーテルハブおよび前記カテーテルから分離可能である、請求項10に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項15】
前記作動装置本体が、前記ハウジングの前記基端部に向かう方向に、前記本体上をスライドするための少なくとも1つの第1タブを含み、前記作動装置本体が前記ハウジングの前記末端部に向けてスライドするとき、前記少なくとも1つのタブが前記本体に係合して前記本体を前記ハウジングの前記末端部へ向けた方向にスライドさせる、請求項10に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項16】
前記本体と係合し、前記ハウジングの前記基端部へ向けた前記本体のスライド移動に抵抗するための少なくとも1つの第2タブをさらに含む、請求項15に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第2タブが前記ハウジングに結合されている、請求項16に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項18】
前記作動装置本体が、複数の前記第1タブを含んでいて前記本体上の相互補完する表面と係合し、前記ハウジングの末端部へ向けた前記作動装置本体のスライド移動によって段階的に前記ハウジングの前記末端部へ向けて前記本体をスライドさせる、請求項16に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項19】
前記本体に係合し、前記本体を前記ハウジングの前記末端部に向けてスライドさせ、前記本体の前記基端部に向けてのスライドを防止するための、前記ハウジングから延在する複数の前記第2タブをさらに含む、請求項18に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項20】
前記本体が、前記導入針が前記カテーテルから引き抜かれたときに前記本体の開口部を塞ぐばねクリップと、前記本体からの前記導入針の分離を防ぐワッシャーとを含む、請求項10に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項21】
基端部、末端部、および前記末端部と基端部との間に延びるキャビティを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記キャビティ内に受容され、前記ハウジングに対して第1戻り位置から第2伸長位置まで移動可能なカテーテルハブを有するカテーテルであって、前記カテーテルが前記ハウジングの前記末端部から延在している、カテーテルと、
前記ハウジングの前記キャビティ内に配置された導入針であって、前記導入針が前記ハウジングに結合された基端部と前記カテーテルを通って延在する末端部とを有する、導入針と、
基端部と、前記カテーテルハブに連結された末端部とを有する本体であって、前記本体が、前記ハウジングの前記末端部に向けて前記ハウジングの長手方向に移動可能であり、かつ、前記ハウジングの前記基端部に向けて移動すること防止するように構成されている、本体と、
前記ハウジングに連結され、前記ハウジング内をスライドするために第1位置から第2位置に移動可能な作動装置本体であって、前記作動装置本体が、前記本体と係合して前記本体およびカテーテルハブを前記ハウジングの前記末端部に移動させるラチェット機構を有する、作動装置本体と、を含み、
前記ハウジングが、前記本体と係合するためのラチェット機構を有していて、前記ハウジングの前記末端部へ向けた前記本体の移動を可能にするとともに、前記作動装置本体が前記ハウジングの前記基端部に向けて移動するとき、前記ハウジングの前記基端部へ向けた前記本体の移動に抵抗する、カテーテル挿入装置。
【請求項22】
前記作動装置本体の前記ラチェット機構が、前記ハウジングの前記末端部に向けて傾斜して突出する前記作動装置本体上の複数の柔軟な第1タブを含み、前記作動装置本体が前記末端部に向けてスライドするとき前記本体の前記末端部に向けて記本体を移動させる、請求項21に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項23】
前記ハウジングの前記ラチェット機構が、前記ハウジングの前記末端部に向けて傾斜して突出する前記ハウジング上の複数の可撓性の第2タブを含み、前記複数の可撓性の第2タブが、前記本体が前記ハウジングの前記末端部に向けて移動して前記ハウジングの前記基端部に向かう前記本体の移動に抵抗することを可能にする、請求項22に記載のカテーテル挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月17日に出願された米国仮特許出願第62/472,984号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、患者に薬剤または薬物を配送するためのカテーテル装置の分野に属する。具体的には、本発明は、患者へのカテーテル挿入の効率を改善する方式で操作され得るカテーテル挿入装置に関する。本発明は、片手で操作できるカテーテル挿入装置に特に向けられている。
【0003】
関連技術の説明
ミッドラインカテーテルは、一般的に、非経口栄養、静脈輸液、および鎮痛薬と抗生物質の投与に使用される。ミッドラインカテーテルは、滅菌技術を使用して臨床で挿入され、数週間その場に留置することがある。挿入(静脈穿刺)は、頭蓋静脈、脳底静脈、または上腕静脈の前肘窩の上下で行われる。カテーテルの先端は7.62センチメートル(3インチ)から20.32センチメートル(8インチ)前進し、先端は腋窩と基端中央静脈の下で終了する。
【0004】
ミッドラインカテーテルの潜在的な利点は、実験室/再開のための反復静脈穿刺の頻度の減少、カテーテル関連感染の発生率の低下、インプラント/留置期間の延長、臨床結果の改善、患者満足度、および関連するコスト削減である。カテーテルの先端を上腕の大静脈に配置すると、小静脈よりも薬物配送療法と血液希釈が向上する。ミッドラインカテーテルは、造影剤を高流量で注入するために使用でき、これはPICCアプリケーションなどのCVカテーテルによって典型的に行われる。
【0005】
従来のミッドラインカテーテル装置は、典型的には一体型のガイドワイヤを含む。ガイドワイヤは、針が静脈にアクセスした後、針の内腔を通って静脈内に進められる。しばしば超音波プローブまたはイメージング装置が使用されて、針を目的の場所に配置する。カテーテルは次にガイドワイヤ上で静脈内に進められる。針とガイドワイヤは次に取り外されて、静脈内の所定の位置に留まるカテーテルから分離される。
【0006】
従来の装置では、一般に、スライド部材をロック/戻り止め位置に移動させることにより、ガイドワイヤは完全に配備される必要がある。カテーテルを進めるには、臨床医は超音波プローブを下ろし、両手を使ってカテーテルを進め、手順の最終ステップを完了させる必要がある。これにより、静脈の可視化および静脈に対するカテーテルの配置が失われる。
【0007】
カテーテルの配置と前進は、カテーテルの適切な配置を支援する超音波イメージングを使用せずに、カテーテル前進機構を操作しながら片方の手で装置を静止位置に保持することに依存する。カテーテルが完全に前進すると、臨床医は超音波プローブを再配置して画像を再確立し、カテーテルの適切な配置を確認する必要がある。操作は、特別なトレーニングを伴う一連の連続した手順を必要とする。超音波プローブから装置へ、そしてプローブへ戻る、手の位置の追加的な交換が、手順を複雑化し、カテーテルの適切な配置の成功を危険にさらす。
【0008】
ミッドラインカテーテルを配置するための初期の方法は、PICC配置と同様であった。セルディンガー法は、針、拡張器、ガイドワイヤ、シースまたはカテーテルを使用して血管にアクセスし、最終的に血管内にカテーテルを配置していた。修正されたセルディンガー技術は、拡張器とシースの要素を結合していた。いくつかの利点はあるが、血管の後壁の穿刺、要素交換中の空気塞栓、要素の汚染、血流感染、過度の出血、血しぶきの汚染、針刺し損傷、ガイドワイヤの損失のカニューレ挿入アクセスの喪失など、潜在的なリスクが残る。
【0009】
加速セルディンガー法は、4つの要素を1つのユニットに組み合わせる最新の方法である。要素交換の回数と大気開放事象が減少した結果、潜在的な汚染が減少し、手順を完了するのに必要な時間が短縮されている。
【0010】
従来の装置は意図された用途に広く適しているが、薬剤または薬物を配送するためのカニューレの貫通を制御するための改良された装置が引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2015/161296号
【文献】国際公開第2015/161294号
【発明の概要】
【0012】
本発明は、患者の選択された位置にIVカテーテルを配置するための、患者の選択された位置に対して挿入中の装置の移動のリスクを低減した、カテーテル挿入装置に関する。一実施形態では、患者の静脈または動脈へのカテーテルの挿入および配置のために、ミッドラインカテーテルおよびカテーテル挿入装置が提供される。カテーテル挿入装置は、プロセス中のカテーテルの移動のリスクを低減した状態で、カテーテルを選択された場所に配置し、導入針の取り外しを可能にすることができる。カテーテルの本発明のカテーテル挿入装置は、カテーテルを挿入する前にガイドワイヤを患者に挿入することは必要とされない。
【0013】
ミッドラインカテーテル挿入装置は、改善された人間工学と片手での機能を提供する。本発明のカテーテル挿入装置は、カテーテルを片手で前進させながら、臨床医が超音波プローブを操作して標的血管の画像を取得できるようにする。カテーテル挿入装置の片手操作により、一方の手で超音波プローブを保持し、他方の手で挿入装置を保持しながらカテーテルの前進を視覚化することができる。
【0014】
一実施形態におけるカテーテル挿入装置は、カテーテルを支持するためのハウジングと、患者内の選択された位置にカテーテルを配置するための導入針とを含む。挿入装置は、静止した導入針上でカテーテルを前方にスライドさせてカテーテルを静脈または動脈内に配置し、その後、カテーテルから導入針を戻すことができる。挿入装置は、従来の装置のようにガイドワイヤの必要性を回避する。
【0015】
一実施形態におけるカテーテル挿入装置は、ハブの一端から延在するとともにハウジングの末端部から延在するカテーテルを有するカテーテルハブを受容するハウジングを含む。導入針は、ハウジング内に固定され、カテーテルを通って延在し、カテーテルの末端部から延在して、患者へのカテーテルの挿入を支援する。導入針の端部の上をスライドさせるために、作動装置がハウジングに操作可能に接続されていて、カテーテルを前方に移動させる。カテーテルおよびカテーテルハブをハウジングから解放し、導入針をカテーテルおよびハブの基端部から戻して、挿入後に挿入装置をカテーテルから分離することができる。
【0016】
一実施形態における挿入装置は、スライド作動装置を有するハウジングを含み、これはユーザーによって操作されてハウジングの長手方向寸法に対して長手方向に作動装置をスライドさせることが可能である。可動カテーテルと固定導入針がハウジング内に提供される。作動装置がカテーテルに操作可能に接続されることにより、ハウジングの末端部に向かう長手方向の作動装置のスライド移動は、導入針上でカテーテルを前方にスライドさせる。作動装置は、作動装置を元の位置にスライドさせて戻してその後再び前方にスライドさせることにより、段階的にカテーテルを前進させることができるように構成されている。作動装置は、片手を使用する操作者により快適で使いやすい。
【0017】
本発明のカテーテル挿入装置は、片手で保持および操作されて片手操作により導入針上でカテーテルを前進させるように構成される。カテーテル挿入装置は、ユーザーの片手が超音波プローブを持って選択された位置にカテーテルを配置するとともにもう一方の手がカテーテル挿入装置を保持して操作するのに適している。
【0018】
一実施形態によるカテーテル挿入装置は、カテーテルを受容するハウジング、カテーテル用の導入針、および導入針に対してカテーテルを配備するためのシャトルまたは割り出しアセンブリおよび機構を含む。シャトル機構は、挿入装置を患者に対して安定した位置に保持しながら、片手を使用して手動で操作される。シャトル機構は、カテーテルを戻り位置から伸長位置まで段階的に配備することができる。カテーテルが配備されると、カテーテルとカテーテルハブがハウジングの末端部から解放されて、導入針がカテーテルから引き抜かれ得るようになっている。針シールドまたはカバーは、引き込まれた導入針の端部上に配備されて、誤って針が刺さらないようにされ得る。
【0019】
本発明の様々な態様および特徴は、ハウジング、カテーテルおよびカテーテルハブ、導入針および作動装置を含むカテーテル挿入装置を提供することにより達成される。ハウジングは、末端部と基端部を備えた縦軸を有する。カテーテルハブとカテーテルはハウジングに受容され、カテーテルがハウジングの末端部から延在している。導入針は、ハウジングに対して固定され、カテーテル内に受容され、カテーテルの末端部から突出する。作動装置は、作動装置の移動によってカテーテルをハウジングおよび導入針に対して前進させるために、ハウジングに結合されている。
【0020】
本発明の特徴は、末端部および基端部を有する長手方向軸を有するハウジング、カテーテルおよびカテーテルハブ、導入針、および作動アセンブリを備えるカテーテル挿入装置を提供することによりさらに達成される。カテーテルは、カテーテルハブに接続された基端部と、患者に挿入するための末端部を持っている。カテーテルおよびカテーテルハブは、ハウジングの長手方向通路に位置付けられ、ハウジングの基端部に対する戻り位置からハウジングの末端部に向かう第2位置まで移動可能である。導入針は、ハウジングに固定され、カテーテルのルーメンを通って延在し、カテーテルが第1位置にあるとき、導入針はカテーテルの末端部から突き出る。一実施形態における作動アセンブリは、ハウジングに連結された可動の作動装置を含み、ハウジングに対して長手方向に移動可能であり、針ハブに操作可能に接続される。可動の作動装置は、導入針に対してカテーテルを段階的に配備することができる。
【0021】
本発明の特徴は、カテーテル挿入装置のための作動装置によってさらに提供され、作動装置は、ハウジングの末端部から前方にカテーテルを前進させるシャトル機構または割り出し機構を含む。カテーテルとカテーテルハブはハウジングから解放でき、導入針は引き抜いて廃棄できる。
【0022】
本発明の様々な特徴は、カテーテル挿入装置の使用により患者にカテーテルを挿入する方法を提供することによりさらに達成される。カテーテルの末端部から突出する導入針を備えたカテーテルは、所望の位置で患者に挿入される。挿入装置の作動装置を手動で操作して、装置と導入針に対してカテーテルを末端方向にスライドさせ、導入針の末端部をカテーテル内に配置して、カテーテルの末端部を患者に配置する。カテーテルとカテーテルハブは、装置のハウジングとカテーテルから引き込まれた導入針から分離されている。
【0023】
様々な実施形態の好ましいまたは任意の特徴のそれぞれが他の特徴と組み合わされてもよく、1つまたは複数の特定の特徴と組み合わせて説明された特徴が他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わされてもよいことが理解されるであろう。
【0024】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の様々な実施形態を開示する図面と併せて、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下は、図面の簡単な説明である。
【0026】
図1図1は、開始位置にある作動装置を示すカテーテル挿入装置の斜視図である。
図2図2は、前方作動位置にある作動装置を示す図1のカテーテル挿入装置の斜視図である。
図3図3は、図1のカテーテル挿入装置の一方のハウジングの側面図であり、カテーテルの末端部から延在している導入針を備えた元の開始位置にあるカテーテルおよびハブを示している。
図4図4は、図3のカテーテル挿入装置のハウジング半体の側面図であり、作動装置が作動位置に移動してカテーテルがハウジング内を前進していることを示している。
図5図5は、図3のカテーテル挿入装置の側面図であり、カテーテルが前進位置に留まっている間に作動装置が元の位置に戻された状態を示している。
図6図6は、ハウジングから分離されたカテーテルおよび針シールドを示す分解斜視図である。
図7図7は、一実施形態における針挿入装置の安全アセンブリの断面側面図である。
図8図8は、安全アセンブリのクリップの斜視図である。
図9図9は、部分的に引き込まれた導入針を示す側面断面図である。
図10図10は、血液制御弁から引き出された導入針を示す側面断面図である。
図11図11は、ばねクリップを作動させるために引き込まれた導入針を示す断面斜視図である。そして
図12図12は、安全アセンブリから分離されたカテーテルハブを示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
患者に薬物または他の物質を配送するために、患者にカテーテルを配置するためのカテーテル挿入装置が提供される。本明細書では、用語「針」および「カニューレ」は、対象の注射部位に挿入するための鋭利なまたは斜めの端部を有する部材を指すために互換的に使用することができる。一実施形態では、針は細い中空管状部材であり得る。末端部は、患者に向かう装置の端を指し、基端部は、患者から離れた反対側の端を指す。本明細書で使用される場合、「末端」方向は、患者および注射部位に向かう方向であり、「基端」方向は反対の方向である。「軸方向」とは、針の縦軸に沿って、または平行であることを意味し、「半径方向」は軸方向に垂直な方向である。前方向とは、装置の末端部に向かう方向である。
【0028】
本発明は、そうではないと明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形を想定することができる。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置は、本発明の例示的な実施形態であることも理解されたい。本明細書で開示される実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定と見なされるべきではない。実施形態は、互いに矛盾しない限り、一実施形態の特徴を他の実施形態と組み合わせることができるように、相互に排他的であることを意図していない。
【0029】
本実施形態は、患者にカテーテルを挿入し位置決めするためのカテーテル挿入装置に関する。実施形態は、ミッドラインカテーテルでの使用に特に適しており、これは患者の選択された位置および選択された深さに装置を配置するのを支援するための超音波撮像装置と併用できる。カテーテルは、一般的に使用される長さおよび一般的に使用される直径であり得る。本発明のカテーテル挿入装置10は、基本的に、本体またはハウジング12、カテーテルハブ16を有するカテーテル14、導入針18、および作動アセンブリ20を含む。作動アセンブリ20は、往復または割り出しアセンブリおよび機構を形成し、針18の端部上でカテーテル14を割り出し前進させる。
【0030】
図1および図2に示されるように、挿入装置10のハウジング12は末端部22および基端部24を備えた長手方向寸法を有する。示されている実施形態では、ハウジング12は、適切な取り付け機構によって共に組み合わされた2つのハウジング半体から形成されている。図3に示すように、半体は、第1半体から突出しているピンと他の半体の対応する凹部13とによって整列されている。ハウジング12は、使用中に導入針18およびカテーテル14を支持してユーザーがカテーテルを位置決めする際に装置を操作できる寸法を有する。ハウジングは、長手方向の通路を形成するキャビティ50を有する。図示の実施形態では、ハウジング12は、湾曲した側壁26、平坦な上壁28および平坦な底壁30を有する。平坦な底壁は、一般に、安定した位置で装置を平らな表面に配置してその表面から落下するリスクを減らすことを可能にするために設けられている。装置の形状は、特定の用途に応じて変更させて、操作者による快適で便利な使用を提供できる。
【0031】
示されている実施形態では、細長い開口部32が作動アセンブリ20を受容するために上壁28に形成されている。収束する側面を有する先端部34は、ハウジングの末端部22を画定している。図6に示すように、先端部34の2つのヒンジ付き壁36は、それぞれのヒンジ38によって壁26にピボット移動可能に接続されていて、以下でさらに説明するように、ハウジングの内部へアクセスして、ハウジングからカテーテルを取り外すことを可能にしている。先端部34の出口開口部40は、使用中に、カテーテルと導入針がハウジングの末端部から延在することを可能にしている。先端部34の収束した表面は、患者の皮膚に対して低角度で装置を位置付けて、カテーテル14のよじれまたは折り畳みのリスクを低減しながら、患者へのカテーテル14および導入針18の挿入を支援することを可能にする。
【0032】
図3、7、および8~12を参照すると、ハウジング12内にフィットしてスライドするカテーテルハブ16から、カテーテル14が延在することが示されている。ハブ16はカテーテル14に接続された末端部42と、カラー45を有する基端部44とを有する。基端部44は、針安全アセンブリ46の本体47に連結される。本体47は、可動な本体すなわちハウジング12内でスライド可能な本体であり、本明細書では本体47と交換可能で呼ぶことができる。図6に示す実施形態では、ハブ16は、基端部で半径方向に延びるカラー45を有していて、使用中にルアーフィッティングと結合する。弁を形成する図7に示す可撓性シール48は、ハブ16に末端部で設けられていて、導入針がハブから取り外されたときに端部を閉じて漏れを防ぐ。可撓性シール48は、導入針18が除去されたときに通過して閉じることを可能にするスリットを備えたゴム部材またはセプタムであり得る。標準的なルアーフィッティングがハブ16の基端部に結合され得るようになっていて、作動装置がバルブを開いて、物質の配送または患者からの流体の抜き取りを可能にするようになっている。
【0033】
カテーテル14は、一般的に使用されるカテーテルであり得、当該技術分野で一般的に使用される寸法を有する。例として、カテーテルは18ゲージ以下、20ゲージ、22ゲージ、24ゲージまたは26ゲージであり得る。一実施形態では、カテーテルは約3インチの長さを有することができるが、他の長さを使用することもできる。
【0034】
図3~6に示される実施形態の導入針18は、中空であり、ポスト54または他の支持部によってハウジング12のキャビティ50内に固定される基端部52と、図3および図7に示されていてハウジングの末端部から開口部40を通って延在する末端部56とを有する。図1に示されるように、導入針18は、患者への適切な挿入を可能にする距離だけハウジングの末端部から延在している。初期位置にあるカテーテル14の末端部は、基端部に向けて導入針18の末端部から間隔を空けていて、図7に示すように、導入針18がカテーテル14の末端部を越えて延在するようになっている。示された実施形態の導入針18の末端部56は、皮膚を穿刺して患者に挿入するための当技術分野で知られている傾斜した鋭利な先端を有する。
【0035】
示された実施形態の安全アセンブリ46の本体47は、ハウジング12のキャビティ50の長手方向通路に受容され、使用中にハブ16に連結され、患者へのカテーテル14の挿入後に分離される。図3~5に示される実施形態では、安全アセンブリ46は、使用後に導入針の末端部を覆うシールドを画定する。安全アセンブリ46および本体47は、導入針18に関してカテーテル14を配備する間に、ハウジング12内で移動またはスライドすることができる。
【0036】
示される実施形態において、ハウジング12の壁30は少なくとも1つのタブ60を含み、これは安全アセンブリ46およびカテーテルが、ハウジング12の末端部22に向けて移動またはスライドし、安全アセンブリ46がハウジング12の基端部24に向けて移動またはスライドバックするのを防ぐことを可能にしている。一実施形態では、図3~5に示されるような複数のタブ60が設けられ、そこでは各タブが傾斜して形成され、ハウジングの開口中心内に突出するとともにハウジング12の末端部22に向けて突出する。一実施形態におけるタブ60は、壁30と一体的に形成される。示された実施形態では、タブ60は、ハウジング12の中心軸に向けて内向きに付勢され、安全アセンブリ46の本体47がタブ上を前方に移動することにより屈曲または変形するとともに元の位置に戻ってハウジング12の末端部に向けたスライドとハウジング12の基端部に向けた戻りに抗することとを支援することができる。一実施形態では、可撓性タブ60は、安全アセンブリ46の本体47が安全アセンブリ46の本体47上をスライドすることを可能にする。他の実施形態では、タブ60は剛性であり得る。ハウジング12は、タブ60に弾性特性を提供して曲がって元の位置に戻るために成形プラスチック材料で作成され得る。
【0037】
本発明の一実施形態では、図3~5に示すように、一連または複数のタブ60が壁30に設けられ、ハウジングの末端部に向けて傾斜して角度が付けられている。タブ60は、ハウジングの長さに沿って実質的に均一な距離だけ離間していて、ハウジング12内の安全アセンブリ46の本体47およびカテーテル14の移動の長さを画定している。離間したタブ60は、ラチェット、シャトルまたは割り出しアセンブリまたは機構の一部を形成し、図3に示す第1開始位置から図5に示す第2伸長位置までハウジング14の末端部に向けてカテーテル14を前進させる。タブ60は末端部62を有し、これは安全アセンブリ46の本体47がハウジングの基端部に向けて移動またはスライドすることを防止する安全アセンブリ46の表面64と係合する。本体47は、本体の前進移動によりタブ60上をスライドすることができ、そこでタブが元の位置に跳ね返ってハウジングの基端部に向けた本体の移動に抵抗する。
【0038】
作動アセンブリ20がハウジング12内に設けられて安全アセンブリ46の本体47に係合し、導入針18およびカテーテル14が患者の選択された位置に配置された後、本体47およびカテーテル14をハウジング12の末端部22に向けて前進させる。作動アセンブリ20は、針18に対してカテーテルを前進または割り出しするためのラチェット、シャトルまたは割り出しアセンブリを形成する。示された実施形態では、作動アセンブリ20は、ハウジング12内の壁28と安全アセンブリ46の本体47との間に位置する作動装置本体66を含む。指操作ボタン68は、壁28の細長い開口部32を通って延在してスライドする接続部材70によって作動装置本体66に接続される。ボタン68は、操作者によるアクセスのために上壁28の外面に向けられている。
【0039】
図面に示されるように、作動装置本体66は、ハウジング12のキャビティ内でスライドおよび往復移動するために、ハウジング12の長手方向長さと相互補完する長手方向長さを有する。作動装置本体66は、基端部72および末端部74を有する示された実施形態では、実質的に平坦な平面構成を有する。末端部74は、壁26のスロット77をスライドするガイドピン75を有する。示された実施形態では、ボタン68は、操作者による使用を容易にするために、作動装置本体66の末端部74に接続されている。他の実施形態では、ボタン68は、作動装置本体66およびハウジング12の長さの他の適切な位置に配置され得る。
【0040】
作動アセンブリ20の作動装置本体66は、本体47と係合するための少なくとも1つ、通常は複数のタブ76を含み、本体47の往復移動により本体47とカテーテル14をハウジングの末端部に向けて段階的に前進させる。タブ76は、本体47をハウジングの末端部に向けて前進および割り出しするためのラチェット機構を形成する。作動装置本体は、適切なプラスチック材料で作ることができる。示された実施形態では、タブには、作動装置本体66の面に取り付けられたベースプレート79が形成されている。一実施形態では、ベースプレート79およびタブ76は、金属またはプラスチックで作ることができる。他の実施形態では、タブ76は、作動装置本体66と一体に形成することができる。一実施形態では、作動装置本体66は、プラスチックで作ることができる。
【0041】
示された実施形態では、タブ76は、タブ60と相互補完するように傾斜して形成されている。タブ76は、作動装置本体66から延在しており、ハウジング12の中心軸に向けて突出し、ハウジング12の末端部22に向けて突出している。図示された実施形態のタブ76は、一般に可撓性であり、安全アセンブリ46の本体47上をスライドすることができる。タブ76の末端部78は、ハウジングの中心軸に向けて内向きに付勢されていて、安全アセンブリ46の本体47上をスライドした後、元の向きに跳ね返る。複数のタブ76は、ラチェット、シャトル、および割り出し機構を形成し、カテーテル14および安全アセンブリ46をハウジングの末端部に向けて移動させるように配向されている。他の実施形態において、タブ60は、1つ以上の構成要素として製造され得る。ボタン68と作動装置66は、1つまたは複数の要素として作成することもできる。
【0042】
使用時には、図3に示すように、導入針18の56の末端部がカテーテル14から延在し、カテーテル14が開始位置に位置付けられてハウジングの基端部に向けられる。導入針18およびカテーテル14は、意図された使用のために患者の選択された位置に挿入される。挿入装置10は、片手で使いやすいように構成されており、皮膚を穿刺してカテーテルと導入針を患者内に配置する一方で、ユーザーのもう一方の手を自由に使用して、患者のカテーテルの適切な配置を確保するために一般的に使用される超音波撮像装置などの他の装置を保持する。作動アセンブリ20のボタン68は、最初は図3に示されている戻り位置にある。1本の指あるいは親指を使用して、ユーザーはボタン68を前方にスライドさせて図4に示す第2位置に移動できる。作動装置本体66の基端部に向かうタブ76が本体47に係合して、作動ボタンの移動距離に対応する距離だけ前方に本体47およびカテーテル14をスライドさせる。ハウジング12の底壁30のタブ60は、タブ76の間隔および位置と相互補完するように位置づけられていて、ハウジング47の末端部に向かう本体47の前方への移動が、対応するタブ60を係合させて本体47を前進位置で保持して本体47がハウジングの基端部に向けてスライドするのを防ぐようになっている。本体47の前進移動は、固定された導入針18上でカテーテルを前方に前進させる。
【0043】
ボタン68は、次にハウジング12の基端部に向けて戻ることができ、図5に示されるように、タブ76が本体47上をスライドして本体47上の接触点と係合する。ボタン68は、ユーザーによる手動操作によりスライドすることができ、またはハウジングと本体との間のハウジング内のバネ部材によりスライドすることができる。ボタン68は次に再び前方にスライドして、本体47およびカテーテル14を前方にスライドさせ、カテーテルの末端部を導入針の末端部を越えてスライドさせることができる。ボタンのスライド移動が段階的に繰り返されて、カテーテルを導入針18およびハウジング12に対しての伸長位置まで前進させることができる。本発明の一実施形態では、ボタン68は、前方および後方への繰り返しのスライド移動により、ユーザーによる手動操作でスライドし、ボタンおよび作動装置本体の各前進ストロークによって、カテーテル、カテーテルハブ、および安全アセンブリを患者に向けて末端方向に押す。各前進ストロークが完了すると、ボタンが引き戻され、作動装置本体の次のタブが次の前進ストロークのため準備される。各前進ストロークでハウジングのタブが本体47と係合し、ハウジングの基端部への移動を防ぐ。
【0044】
本体47およびカテーテルハブ16がハウジング12の末端部22で前方位置に前進させられると、ヒンジ付き壁36が図5に示す開放位置にピボット移動して、カテーテルハブ16および本体47および安全アセンブリ46をハウジング12から解放する。カテーテルハブ16が前進させられて、ドア36の内面上のカム面81に接触し、ドア36を押して開く。ハウジング12がカテーテルハブ16から引き離されて、カテーテル14から導入針18を引き抜くことができる。本体47は、導入針18の末端部56上をスライドして、鋭い先端を囲み、偶発的な針刺しを防止する。安全アセンブリ46の本体47が導入針18の引き抜きによって作動されると、カテーテルハブ16は解放され安全アセンブリ46から分離される。導入針18および本体47が取り付けられたハウジング12は、鋭利物容器に廃棄される。シール48は閉じる弁を形成して、血液の逆流を制御し、拡張セットまたは他の装置の取り付けを可能にする。
【0045】
示された作動アセンブリ20は、導入針上でカテーテルを前進させるために使用できる機構の一例である。他の実施形態では、針に対してカテーテルを前進させることができる様々な機構が使用され得る。例示的な一実施形態では、ホイールまたは回転可能部材がハウジングに取り付けられて本体と係合し、カテーテルハブを前進させることができる。ホイールは、ユーザーの親指または指により手動で回転させて、本体およびカテーテルを導入針の端部上でハウジングの末端部に向けてスライドさせることができる。
【0046】
本発明の様々な実施形態では、作動アセンブリ20は、単一の操作またはユーザーによる一連の繰り返し操作によって針の端部上でカテーテルを前進させることができる他の適切な構造および機構を有することができる。示された実施形態では、タブは可撓性であり、安全アセンブリの本体と係合するハウジングの対向する壁の内面に形成されるが、部品および要素の他の配置が効果的に使用され得る。一代替実施形態では、タブ、戻り止めまたは他の部材が安全機構の本体に形成されまたは取り付けられ得るが、これは作動装置本体および/またはハウジング上の相互補完するタブ、戻り止めまたは部材と係合して、カテーテルへの端部を超えた針の前進を提供する。ハウジングの内面は、1つまたは複数の戻り止め、隆起、くぼみ、または安全アセンブリ上の戻り止めまたは部材に係合する他の構造で形成することができる。例えば、戻り止めが安全アセンブリの本体の1つまたは複数の表面に形成され得るが、これはハウジング内の相互補完する戻り止めまたは凹部と係合することができ、これは安全アセンブリとカテーテルがハウジングの末端部に向かう方向に移動してカテーテルを針の先にスライドさせることを可能にする。戻り止めまたは他の部材が安全アセンブリの本体に形成されて、可動な作動装置の相互補完する部材と係合させることができ、これは安全アセンブリを、針の端部上でカテーテルを前進させるようにして、ハウジングの末端部に向けてスライドまたは移動させることができる。
【0047】
本体47は、安全針アセンブリ46を画定しており、これは導入針18の先端を覆うように配備することができる受動針シールドである。安全針アセンブリ46は、特許文献1(国際公開第2015/161296号)および特許文献2(国際公開第2015/161294号)に開示された装置に類似しており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
図7~12は、安全アセンブリ46が基端部82および末端部84を備えた本体47を含む一実施形態を示す。示された実施形態では、末端部84は、図7に示されるようにカテーテルハブ16の基端部44と結合するための環状リングを形成する内側突起86および外側リング88を有する。導入針18の基端部52は、ハウジング12の基端部24に固定されており、本体47の長手方向通路を通っておよびシール48およびカテーテル14を通って延在している。
【0049】
カテーテルハブの基端部は、カラー45に隣接するハブの直径の部分よりも大きい外径を有する。カラーは、ハブの一部の周りに延在していて開口部が形成されている。
【0050】
安全アセンブリ46は、弾性クリップ100およびワッシャー102を含む。アセンブリの本体47は、導入針18を受容する開口部を有する。本体47の末端部は、カテーテルハブ16の基端部と連結するように構成されている。図8に示される弾性クリップ100は、実質的にV字形を有し、ヒンジ部分110によって接続された第1脚部104および第2脚部106を有する。示された実施形態では、第1脚部104は、本体47に連結するための角度付き部分を有する鋤112を含む。第1フラグ114は、第2脚部106から第1脚部104に向けて延在し、第2フラグ116は、第1脚部104から第2脚部106に向けて延在している。足部118は、第1および第2脚部104、106から離れて、第1フラグ114から外向きに延在している。ラッチ120は、足部118から上方に延在し、脚部104、106の間に位置付けられている。
【0051】
装置の操作中、安全アセンブリ46の本体47はカテーテルハブ16に接続され、導入針18はカテーテルハブ16および本体47を通過する。導入針18は、クリップの脚部104、106を互いに向けて押圧してクリップをロック位置に付勢することにより、クリップ100と協働する。導入針18は、図7に示すように、脚部106の外面に接触して、脚部106を第1脚部に対して圧縮状態に保持する。ロック位置では、ラッチ120はカテーテルハブ16のカラー45と係合し、安全アセンブリ46からのカテーテルハブ16が外れることを防ぐ。クリップ100は、導入針18が装置内でスライドできる位置にある。
【0052】
針がカテーテルハブから安全アセンブリ内に引き込まれると、針18の先端がクリップ100を通過し、クリップ100の脚部106が外側に拡張することが可能となり、そこでは第2脚部106が第1脚部106から離れている。クリップ100が拡張すると、第1および第2フラグ114、116は、本体47の開口部を塞ぎ、導入針18の先端が本体47の末端部から出るのを防ぐ。
【0053】
第2脚部106の移動は、ラッチ120を、カテーテルハブ16のカラー45との係合状態から、カラーの開口部と整列された位置へと移動させる。これにより、ハブ16が本体47から外れるようになる。針18が基端方向にさらに引っ張られると、針18は、本体47を通って、針18の末端付近に形成されたワッシャー102に係合するひだまたは変形部122までスライドする。ワッシャー102は、ひだまたは変形部122ではなく針シャフトの通過を可能にする開口部を有する。開口部は、ひだまたは変形部122の外寸よりも小さい内寸を有する。ワッシャーは、針が引っ込められたときに、針18の末端の先端およびひだまたは変形部122がアセンブリから出るのを防ぐ。クリップ100とワッシャー102の組み合わせは、針先保護機構として機能し、針先を覆うとともに針刺損傷を防止する。他の実施形態では、他の周辺IVカテーテルで使用される異なる形状および特徴を有する他のタイプの安全機構を使用することができる。
【0054】
示された実施形態では、カテーテル装置に血液フラッシュバック機能が提供される。フラッシュバックは、針先が静脈へ入ることを確認する血液の可視性である。最初のフラッシュバックは、図7に示すように、血液が中空針18の開口末端部に移動して針先端付近の針18のノッチまたは開口部126から出るとき、カテーテルチューブ14を通して見ることができる。血液は、針18とカテーテル14の内部との間の内部環状空間を通って上昇する。一実施形態では、第2のフラッシュバックが、血液がカテーテル14の背部から出て針ハブ内のフラッシュチャンバに入るときに、針ハブ内に見られる。空気は、針ハブの背面またはハウジングの内側にあるプラグにより、多孔質膜またはマイクロ溝により、通気され得る。第3のフラッシュバックは、第1のフラッシュバックからの血液がハブに流れ込んで血液制御セプタム48で止まるとき、カテーテルハブに見られる。空気は、血液制御セプタム48の周辺にある微小溝によって排出される。この実施形態で説明された特徴は、本発明で説明される特徴と組み合わせて使用することができる。
【0055】
好ましい実施形態の上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものと見なされるべきではない。本開示は、当業者が本発明の範囲から逸脱することなく、記載された本発明の変形を実施できるようにすることを意図している。ここでの、明細書および特許請求の範囲における数値の制限は、「約」という修飾語によって制限されると理解され、同等の結果をもたらすわずかな逸脱は本発明の範囲内である。一実施形態または独立請求項に関連して開示された特徴または従属請求項の制限は、本発明の範囲から逸脱することなく、別の実施形態または異なる独立請求項と組み合わせることができる。
図1
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図12