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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】スリップ剤を含む多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221202BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20221202BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20221202BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20221202BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221202BHJP
   B65D 75/26 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/18 Z
B32B27/08
B29C48/18
B65D65/40 D
B65D75/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019554617
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018026704
(87)【国際公開番号】W WO2018191165
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】62/484,527
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/564,633
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/517,305
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスト、シルヴィーナ ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】メッツォーラ、ニコラス カルドソ
(72)【発明者】
【氏名】カントゥ、マルセロ デルマール
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス、ジョルジ カミネロ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-506050(JP,A)
【文献】特表2001-526981(JP,A)
【文献】特開平03-255137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0048303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C48/00-48/96
55/00-55/30
61/00-61/10
B65D65/00-65/46
67/00-79/02
81/18-81/30
81/38
85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、前記少なくとも3つの層が、
(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むコア層と、
(B)前記コア層の対向する側面上のスキン層であって、各スキン層が、
(i)プロピレンホモポリマー、
(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、および
(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤を含む、スキン層と、を含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記多層フィルムが15μm~100μmの厚さを有する、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記多層フィルムが0.05~0.38の摩擦係数(COF)を有する、請求項1または2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記多層フィルムの40体積%~90体積%が前記コア層であり、前記スキン層の合計体積が前記多層フィルムの10体積%~60体積%であり、前記多層フィルムが、66%~100%の7日後のひねり保持率および5MPa~15.5MPaの降伏張力を有する、請求項1~3のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記多層フィルムが3つの層からなる、請求項1~4のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記多層フィルムがキャストフィルムである、請求項1~5のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記HDPEが、0.1g/10分~1g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1~6のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項8】
前記プロピレンホモポリマーが、2g/10分~15.0g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~7のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記スリップ剤が、脂肪酸アミド、シリコーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項10】
前記粘着防止剤が、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項11】
前記多層フィルムの40体積%~90体積%が前記コア層であり、前記スキン層の合計体積が前記多層フィルムの10体積%~60体積%であり、前記多層フィルムが、0.05~0.38の摩擦係数(COF)、66%~100%の7日後のひねり保持率、および5MPa~15.5MPaの降伏張力を有し、各スキン層が、
(i)2g/10分~15.0g/10分のメルトフローレートを有する前記プロピレンホモポリマーと、
(ii)エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ポリジメチルシロキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される前記スリップ剤と、
(iii)シリカと、を含む、請求項1~10のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項12】
物品であって、
菓子と、
前記菓子と接触している多層フィルムであって、前記多層フィルムが、
(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むコア層と、
(B)前記コア層の対向する側面上のスキン層であって、各スキン層が、
(i)プロピレンホモポリマー、
(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、および
(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤を含む、スキン層と、を含む、少なくとも3つの層を含む、多層フィルムと、を含む、物品。
【請求項13】
前記多層フィルムが前記菓子と直接接触している、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記多層フィルムが前記菓子の周りでひねられている、請求項12または13に記載の物品。
【請求項15】
前記多層フィルムの40体積%~90体積%が前記コア層であり、前記スキン層の合計体積が前記多層フィルムの10体積%~60体積%であり、前記多層フィルムが、0.05~0.38の摩擦係数(COF)、66%~100%の7日後のひねり保持率、および5MPa~15.5MPaの降伏張力を有する、請求項12~14のいずれかに記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スリップ剤を含む多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンから形成されたフィルム層は、菓子包装用、特に菓子を包装するためのひねり包装用の多層フィルムに使用される。多層フィルムひねり包装は、(i)包装された形態を保持するための高いひねり保持率、(ii)多層フィルムの機械加工を改善するための低い摩擦係数(COF)(例えば、0.38以下)、および(iii)多層フィルムの永久的な変形と、多層フィルムに加えられるより低い張力での折り畳み/ひねり保持とを可能にするための低い降伏張力(例えば、16MPa未満)のバランスを必要とする。しかしながら、ポリオレフィンフィルム層は、典型的には、低いひねり保持率、高いCOF、および高い降伏張力のうちの1つ以上を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該技術分野は、低いCOF、高ひねり保持率、および低い降伏張力を示すポリオレフィンを含むスキン層を備えた多層フィルムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、少なくとも3つの層が、
(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むコア層と、
(B)コア層の対向する側面上のスキン層であって、各スキン層が、
(i)プロピレンホモポリマー、
(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、および
(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤を含む、スキン層と、を含む、多層フィルムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本開示の実施形態による、ひねり包装された菓子の斜視図である。
図2図2は、ほどかれた菓子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
元素周期表へのいずれの参照も、CRC Press,Inc.によって1990~1991年に出版された周期表への参照である。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付与の新しい表記法による。
【0007】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度において)および当該技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(またはその米国版に相当するものが、参照により同様に組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値までのすべての値を含む。明確な数値を含む範囲(例えば、1または2、または3から5、または6、または7)については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0009】
相反する記載がない、あるいは文脈から暗に示されていない、あるいは当該技術分野において慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0011】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。このようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から判定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0012】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成要素、工程、または手順の存在を除外することを意図しない。いかなる疑義も回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して主張されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含んでもよい。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の後続の列挙の範囲から任意の他の構成要素、工程、または手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成要素、工程、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々にならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用には複数形の使用が含まれ、その逆もまた然りである。
【0013】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含み、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含み得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマー由来の単位を有する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、互換的に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0014】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含み、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含み得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーを含む。
【0015】
「ポリマー」は、同一の種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、重合形態でポリマーを構成する複数のおよび/または反復する「単位」もしくは「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、ポリマーという一般的な用語は、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指す際に用いられるホモポリマーという用語と、通常、少なくとも2種類のモノマーから調製されたポリマーを指す際に用いられるコポリマーという用語とを包含する。これはまた、例えば、ランダム、ブロック等のすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとの重合から調製される、上に説明されるコポリマーを示す。ポリマーはしばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含んでいる」等として言及されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していると理解されることに留意されたい。一般的に、本明細書においてポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものとして言及される。
【0016】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含むポリマーであり、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含んでもよい。プロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマー(プロピレン由来の単位を有し、コモノマー由来の単位を有しない)、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマー由来の単位を有する)を含む。「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は、互換的に使用され得る。プロピレン系ポリマー(ポリプロピレン)の非限定的な例は、少なくとも1つのCもしくはC~C10α‐オレフィンコモノマーまたはCα‐オレフィンコモノマーを備える、プロピレン/α‐オレフィンコポリマーである。
【0017】
試験方法
ASTM D1894に従って、摩擦係数(COF)を測定する。COF判定に用いられる基質は、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている高密度ポリエチレンである、DOW HDPE DGDB-2480 NTである。
【0018】
ASTM D792、方法Bに従って、密度を測定する。結果をg/ccで記録する。
【0019】
ASTM D-1238-04(190℃/2.16kg)を使用して、エチレン系ポリマーのg/10分のメルトインデックス(MI)(I2)を測定する。
【0020】
ASTM D-1238-04(230℃/2.16kg)を使用して、プロピレン系ポリマーのg/10分のメルトフローレート(MFR)を測定する。
【0021】
7日間のエージング後のひねり保持率を、以下の手順で判定する。フィルムを80mm×80mmの試料に切断する。次いで、人が、フィルム試料を1粒のArcor(商標)Butter Toffee(ハードキャンディー)の周りで折り畳む。次いで、人が、フィルムの両端をハードキャンディー片の周りで固くひねり、図1に示されるようなひねり包装されたハードキャンディー単体と似た状態にする。各フィルム試料を押出に沿って同一の方向に切断し、ひねり手順を同一の人物によって行い、試料間のばらつきを最小限に抑える。5つか6つの包装されたキャンディーを製造する。包装された各キャンディーを、周囲条件(23℃、760mmHg、相対湿度50%)で保管し、多層フィルムが折り畳み/ひねりを保持しているかどうか、またはフィルムがほどけるかどうかを判定するために、7日間の期間にわたって毎日視覚的に観察する。ほどかれたハードキャンディーは、図2に示すように、フィルムが元のひねり包装されたハードキャンディーの形態からずれ動き、折り畳み/ひねりが保持されていないものである。折り畳み/ひねりを保持する試料の数を毎日記録する。7日間のエージング後のひねり保持率を、7日後に折り畳み/ひねりを保持する試料の百分率として報告する。
【0022】
ASTM D882に従って、降伏張力を測定する。フィルムの縦方向で降伏張力を測定する。
【0023】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの融解、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を行う。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を190℃で薄いフィルムに融解プレス加工し、次いで、融解された試料を室温(25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試料片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(50mg)内に置いて、圧着閉鎖する。次いで、その熱的特性を判定するために分析を行う。
【0024】
試料温度に上下の勾配を付けて熱流対温度プロファイルを作成することによって、試料の熱挙動を判定する。熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-80℃まで冷却し、3分間-80℃で等温保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱する(これが「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。判定された値は、外挿された融解開始点Tm、および外挿された結晶化開始点Tcである。(1グラム当たりのジュール単位の)融解熱(Hf)、ポリエチレン試料の結晶化度%の計算には以下の等式:結晶化度%=((Hf)/292J/g)×100を使用、ポリプロピレン試料の結晶化度%の計算には以下の等式:結晶化度%=((Hf)/165J/g)×100を使用。
【0025】
第2の加熱曲線から融解熱(Hf)および融解ピーク温度を報告する。冷却曲線から結晶化ピーク温度を決定する。
【0026】
まず、融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から融点Tmを決定する。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線がベースラインと交差する場所が、外挿された融解開始点(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に説明されている通りである。
【0027】
プロピレン系ポリマーのための13C NMR実験手順
エチレン含有量には13C NMRを使用し、以下のように実行する。
【0028】
試料調製(プロピレン系ポリマー)-0.025M Cr(AcAc)を含むおよそ2.7gのテトラクロロエタン-d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を、Norell 1001-7の10mmのNMR管内の0.20~0.30gの試料に添加することによって、試料を調製する。加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、管およびその中身を150℃に加熱することにより、試料を溶解して均質化する。各試料を視覚的に検査して、均質性を確実にする。
【0029】
データ取得パラメータ(プロピレン系ポリマー)-Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用してデータを収集する。1データファイル当たり320回のトランジェント、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、および逆ゲート付きデカップリングを使用して、120℃の試料温度でデータを取得する。ロックモードの非回転試料ですべての測定を行う。データ取得前に7分間試料を熱平衡化させる。次いで、立体規則性mmパーセントおよびエチレン重量%を、当該技術分野において一般的に使用される方法に従って決定する。*
*参照文献:組成物(エチレン重量%)についてはS.Di Martino and M.Kelchtermans;J.Appl.Polym.Sci.,V56,1781-1787(1995)、立体規則性の詳細な割当てについてはV.Busico,R.Cipullo;Prog.Polym.Sci.V26,443-533(2001)。
【0030】
詳細な説明
本開示は、多層フィルムを提供する。一実施形態では、多層フィルムは、(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層とを含む、少なくとも3つの層を含む。各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、および(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤を含む。
【0031】
A.コア層
多層フィルムはコア層を含む。コア層は、0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。
【0032】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC4~C10α-オレフィンコモノマーもしくはC8α-オレフィンコモノマーを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、または0.945g/cc、または0.950g/cc、または0.955g/cc、または0.958g/ccから0.960g/cc、または0.962g/cc、または0.965g/cc、または0.970g/cc、または0.975g/cc、または0.980g/ccの密度を有する。一実施形態では、HDPEは、0.940g超/cc、または0.945g/cc、または0.950g/cc、または0.955g/cc、または0.958g/ccから0.960g/cc、または0.962g/cc、または0.965g/cc、または0.970g/cc、または0.975g/cc、または0.980g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。好適な単峰性HDPEの非限定的な例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なAXELERON(商標)FO 6318 BK CPDである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有する(二峰性)コポリマーならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。好適な多峰性HDPEの非限定的な例には、DOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、CONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasellから入手可能)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が含まれる。
【0033】
一実施形態では、HDPEは、HDPEの総重量に基づいて、50重量%超、もしくは55重量%、もしくは60重量%、もしくは65重量%から70重量%、もしくは75重量%、もしくは80重量%、もしくは85重量%、もしくは90重量%、もしくは95重量%、もしくは97重量%、もしくは99重量%、もしくは100重量%のエチレン由来の単位および相当量、または0重量%、もしくは1重量%、もしくは3重量%、もしくは5重量%、もしくは10重量%、もしくは15重量%、もしくは20重量%、もしくは25重量%、もしくは30重量%から35重量%、もしくは40重量%、もしくは45重量%、もしくは50重量%未満のコモノマー由来の単位を含む。
【0034】
一実施形態では、HDPEは、0.1g/10分、または0.5g/10分から1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。別の実施形態では、HDPEは、0.1g/10分から2.0g/10分未満のメルトインデックス(MI)を有する。
【0035】
一実施形態では、HDPEは、以下の特性:
(i)0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、もしくは0.955g/cc、もしくは0.958g/ccから0.960g/cc、もしくは0.962g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度、および/または
(ii)0.1g/10分、もしくは0.5g/10分から1.0g/10分、もしくは1.5g/10分、もしくは2.0g/10分のメルトインデックス(MI)、および/または
(iii)HDPEの総重量に基づいて、50重量%超、もしくは55重量%、もしくは60重量%、もしくは65重量%から70重量%、もしくは75重量%、もしくは80重量%、もしくは85重量%、もしくは90重量%、もしくは95重量%、もしくは97重量%、もしくは99重量%、もしくは100重量%のエチレン由来の単位および相当量、または0重量%、もしくは1重量%、もしくは3重量%、もしくは5重量%、もしくは10重量%、もしくは15重量%、もしくは20重量%、もしくは25重量%、もしくは30重量%から35重量%、もしくは40重量%、もしくは45重量%、もしくは50重量%未満のコモノマー由来の単位、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0036】
一実施形態では、HDPEは、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0037】
一実施形態では、HDPEはエチレンホモポリマーである。別の実施形態では、HDPEは、0.962g/ccの密度および0.85g/10分のメルトインデックスを有するエチレンホモポリマーである。さらなる実施形態では、HDPEは、The Dow Chemical Companyから入手可能なELITE(商標)5960Gである。
【0038】
一実施形態では、コア層は、コア層の総重量に基づいて、80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%から97重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%のHDPEを含む。
【0039】
一実施形態では、コア層は、任意選択の添加剤を含む。好適な添加剤の非限定的な例には、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、核剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、架橋剤(例えば、過酸化物)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0040】
一実施形態では、コア層は、粘着防止剤および/またはスリップ剤を除外する。
【0041】
一実施形態では、コア層は、コア層の総重量に基づいて、80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%から97重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%のHDPE、および0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤を含む。
【0042】
一実施形態では、コア層は、コア層の総重量に基づいて、80重量%、もしくは85重量%、もしくは90重量%、もしくは95重量%から97重量%、もしくは98重量%、もしくは99重量%、もしくは100重量%のHDPE、および0重量%、もしくは0.01重量%、もしくは0.05重量%、もしくは0.1重量%、もしくは0.2重量%から0.3重量%、もしくは0.4重量%、もしくは0.5重量%、もしくは1.0重量%、もしくは2.0重量%、もしくは3.0重量%の添加剤から本質的になる、またはそれからなる。
【0043】
HDPEは、コア層中の唯一のポリマー成分であってもよく、HDPEは、HDPEと組み合わせて1つ以上のポリマー成分とのブレンドで存在してもよい。好適なポリマー成分の非限定的な例は、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーなどのポリオレフィンである。任意選択のポリオレフィンはHDPEとは異なる。しかしながら、コア層は、2つ以上の異なるHDPEのブレンドを含み得ることが理解される。一実施形態では、コア層は、任意選択のポリオレフィンを除外する。別の実施形態では、コア層は、プロピレン系ポリマーを除外する。
【0044】
コア層は2つの対向する表面を有する。一実施形態では、コア層は、2つの対向する表面を備えた連続する層である。
【0045】
一実施形態では、コア層は、6.0μm、または7.0μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または16.0μm、または17.0μm、または18.0μm、または19.0μm、または19.8μmから22.2μm、または23.0μm、または25μm、または30μm、または35μm、または40μm、または45μm、または50μm、または65μm、または70μm、または75μm、または80μm、または85μm、または90μmの厚さを有する。
【0046】
コア層は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0047】
B.スキン層
多層フィルムは、コア層の対向する側面上にスキン層を含む。各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤、および、任意選択で、(iv)添加剤を含む。
【0048】
一実施形態では、各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤、および、任意選択で、(iv)添加剤から本質的になる、またはそれらからなる。
【0049】
一実施形態では、各スキン層は、0.75μm、または1.0μm、または1.5μm、または2.0μm、または3.0μm、または4.0μm、または5.0μm、または6.0μm、または6.5μmから7.0μmまたは7.5μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または20.0μm、または25.0μm、または30μmの厚さを有する。各スキン層は、同一の厚さを有しても異なる厚さを有してもよい。
【0050】
スキン層は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0051】
i.プロピレンホモポリマー
各スキン層は、プロピレンホモポリマーを含む。プロピレンホモポリマーは、100重量%のプロピレン由来の単位を含む。
【0052】
プロピレンホモポリマーは、コモノマー(例えば、エチレン)を含まない。一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、プロピレンおよび任意の添加剤からなる。
【0053】
好適なプロピレンホモポリマーの非限定的な例は、Petroquimica Cuyo S.A.I.C.から入手可能なCUYOLEN(商標)1102Lである。
【0054】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、2.0g/10分、または3.0g/10分、または4.0g/10分から5.0g/10分、または6.0g/10分、または7.0g/10分、または8.0g/10分、または9.0g/10分、または10.0g/10分、または15.0g/10分、または20.0g/10分、または25.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、2.0g超/10分から25g/10分、または2.0g超/10分から15.0g/10分、または2.5g/10分から6.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0055】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、0.900g/cc、または0.902g/cc、または0.903g/cc、または0.904g/ccから0.906g/cc、または0.908g/ccの密度を有する。
【0056】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、155℃、または157℃、または159℃から161℃、または163℃、または165℃の融解温度(Tm)を有する。
【0057】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、以下の特性:
(i)2.0g/10分、もしくは3.0g/10分、もしくは4.0g/10分から5.0g/10分、もしくは6.0g/10分、もしくは7.0g/10分、もしくは8.0g/10分、もしくは9.0g/10分、もしくは10.0g/10分、もしくは15.0g/10分、もしくは20.0g/10分、もしくは25.0g/10分のMFR、および/または
(ii)0.900g/cc、もしくは0.902g/cc、もしくは0.903g/cc、もしくは0.904g/ccから0.906g/cc、もしくは0.908g/ccの密度、および/または
(iii)155℃、もしくは157℃、もしくは159℃から161℃、もしくは163℃、もしくは165℃の融解温度、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0058】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、またはすべてを有する。
【0059】
一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、5.0g/10分のメルトフローレート(MFR)、0.903g/ccの密度、および/または161℃の融点を有する。さらなる実施形態では、プロピレンホモポリマーは、Petroquimica Cuyo S.A.I.C.から入手可能なCUYOLEN(商標)1102Lである。
【0060】
一実施形態では、各スキン層は、各スキン層の総重量に基づいて、70重量%、または75重量%、または77重量%から80重量%、または83重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%、または99重量%、または99.3重量%、または99.4%、または100重量%未満のホモポリマーを含む。
【0061】
プロピレンホモポリマーは、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含み得る。
【0062】
ii.スリップ剤
各スキン層は、スリップ剤を含む。「スリップ剤」は、0.02~0.15の摩擦係数(COF)を有する化合物である。一実施形態では、スリップ剤は、0.02、または0.04、または0.06、または0.07、または0.08、または0.09、または0.10から0.15のCOFを有する。
【0063】
好適なスリップ剤の非限定的な例には、脂肪酸アミド、シリコーン、可塑剤、有機アミン、二塩基酸エステル、ステアリン酸塩、硫酸塩、脂肪酸、鉱油、植物油、フッ素化有機樹脂、グラファイト、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0064】
一実施形態では、スリップ剤は、脂肪酸アミドである。「脂肪酸アミド」は、構造(I)を有する分子であり、
【化1】
式中、Rは、C~C27のアルキル部分である。一実施形態では、Rは、C11~C25、またはC15~C23のアルキル部分である。別の実施形態では、Rは、C21のアルキル部分である。Rは、飽和、一価不飽和、または多価不飽和であり得る。一実施形態では、Rは、一価不飽和である。好適な脂肪酸アミドの非限定的な例には、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、およびベヘン酸アミドが含まれる。加えて、脂肪酸アミドは、2つ以上の脂肪酸アミドの混合物であり得る。一実施形態では、脂肪酸アミドは、エルカ酸アミドである。
【0065】
一実施形態では、スリップ剤は、シリコーンである。「シリコーン」は、一般に、シロキサン系モノマー残基反復単位を含むポリマーである。「シロキサン」は、構造(II)を有するモノマー残基反復単位であり、
【化2】
式中、RおよびRは、各々独立して、水素またはヒドロカルビル基である。「ヒドロカルビル基」は、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される一価の基(例えば、エチル等のアルキル基、またはフェニル等のアリール基)である。シロキサンモノマー残基は、同一または異なるアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル部分を有する、任意のジアルキル、ジアリール、ジアルカリール、またはジアラルキルシロキサンであり得る。一実施形態では、RおよびRの各々は、独立して、C~C20、またはC~C12、またはC~Cのアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル部分である。RおよびRは、同一または異なる数の炭素原子を有し得る。一実施形態では、RおよびRの各々に対するヒドロカルビル基は、飽和かつ任意選択で直鎖状のアルキル基である。アルキル基は、RおよびRの各々に対して同一であっても異なっていてもよい。RおよびRでの使用に好適なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、イソブチル、t-ブチル、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。好適なシリコーンの非限定的な例には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリ(エチル-メチルシロキサン)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0066】
一実施形態では、スリップ剤は、脂肪酸アミド、シリコーン、およびそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、PDMS、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0067】
一実施形態では、スリップ剤はシリコーンを除外する。さらなる実施形態では、スリップ剤はポリジメチルシロキサン(PDMS)を除外する。
【0068】
一実施形態では、スリップ剤は、ステアリン酸塩である。好適なステアリン酸塩の非限定的な例には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
一実施形態では、スリップ剤は、硫酸塩である。好適な硫酸塩の非限定的な例は、硫酸亜鉛である。
【0070】
一実施形態では、スリップ剤は脂肪酸である。好適な脂肪酸の非限定的な例には、パルミチン酸、ステアリン酸、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0071】
一実施形態では、スリップ剤は、フッ素化有機樹脂である。「フッ素化有機樹脂」は、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、およびクロロトリフルオロエチレンから選択される1つ以上のフッ素化モノマーのポリマーである。
【0072】
一実施形態では、各スキン層は、2,000ppm、または2,500ppm、または3,000ppm、または3,100ppm、または3,200ppmから3,300ppmまたは3,400ppmまたは3,500ppmのスリップ剤を含む。
【0073】
一実施形態では、各スキン層は、各スキン層の総重量に基づいて、0.20重量%、または0.25重量%、または0.30重量%、または0.31重量%、または0.32重量%から0.33重量%、または0.34重量%、または0.35重量%のスリップ剤を含む。
【0074】
スリップ剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0075】
iii.粘着防止剤
各スキン層は粘着防止剤を含む。「粘着防止剤」は、フィルム層の表面を微視的に粗くすることにより、隣接する層間の接触可能な面積を減らし、フィルムの2つの隣接する層間の粘着(例えば、接着)を最小限に抑える、あるいは防ぐ、化合物である。
【0076】
好適な粘着防止剤の非限定的な例には、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、粘着防止剤はシリカ(SiO)である。シリカは、有機シリカでも合成シリカでもよい。
【0077】
一実施形態では、各スキン層は、4,000ppm、または4,500ppm、または5,000ppm、または5,500ppm、または6,000ppmから6,500ppm、または7,000ppm、または7,500ppm、または8,000ppm、または8,500ppm、または9,000ppm、または9,500ppm、または10,000ppmの粘着防止剤を含む。
【0078】
一実施形態では、各スキン層は、それぞれのスキン層の総重量に基づいて、0.40重量%、または0.45重量%、または0.50重量%、または0.55重量%、または0.60重量%から0.65重量%、または0.70重量%、または0.75重量%、または0.80重量%、または0.85重量%、または0.90重量%、または0.95重量%、または1.00重量%の粘着防止剤を含む。
【0079】
粘着防止剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0080】
iv.任意選択の添加剤
一実施形態では、各スキン層は任意選択の添加剤を含む。任意選択の添加剤は、本明細書で示される任意の添加剤であってよい。一実施形態において、各スキン層は、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、核剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、架橋剤(例えば、過酸化物)、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含む。
【0081】
一実施形態では、各スキン層は、各スキン層の総重量に基づいて、0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤を含む。
【0082】
プロピレンホモポリマーは、各スキン層の唯一のポリマー成分であってもよく、またはプロピレンホモポリマーは、プロピレンホモポリマーと組み合わせて1つ以上のポリマー成分とのブレンド中に存在してもよい。好適なポリマー成分の非限定的な例は、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーなどのポリオレフィンである。任意選択のポリオレフィンは、プロピレンホモポリマーとは異なる。しかしながら、各スキン層は、2つ以上の異なるプロピレンホモポリマーのブレンドを含み得ることが理解される。一実施形態では、各スキン層は任意選択のポリオレフィンを除外する。別の実施形態では、各スキン層はエチレン系ポリマーを除外する。一実施形態では、各スキン層は、各スキン層の総重量に基づいて、15重量%、または16重量%から18重量%、または20重量%、または22重量%、または25重量%、または30重量%のエチレン系ポリマーを含む。
【0083】
一実施形態では、各スキン層は、
(i)70重量%、または75重量%、または77重量%から80重量%、または83重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%、または99重量%、または99.3重量%、または99.4重量%のプロピレンホモポリマーであって、以下の特性:
(a)2.0g/10分、もしくは3.0g/10分、もしくは4.0g/10分から5.0g/10分、もしくは6.0g/10分、もしくは7.0g/10分、もしくは8.0g/10分、もしくは9.0g/10分、もしくは10.0g/10分、もしくは15.0g/10分、もしくは20.0g/10分、もしくは25.0g/10分のMFR、および/または
(b)0.900g/cc、もしくは0.902g/cc、もしくは0.903g/cc、もしくは0.904g/ccから0.906g/cc、もしくは0.908g/ccの密度、および/または
(c)155℃、もしくは157℃、もしくは159℃から161℃、もしくは163℃、もしくは165℃の融解温度(Tm)、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するプロピレンホモポリマーと、
(ii)2,000ppm、または2,500ppm、または3,000ppm、または3,100ppm、または3,200ppmから3,300ppm、または3,400ppm、または3,500ppmの、脂肪酸アミド(例えば、エルカ酸アミド)などのスリップ剤と、
(iii)4,000ppm、または4,500ppm、または5,000ppm、または5,500ppm、または6,000ppmから6,500ppm、または7,000ppm、または7,500ppm、または8,000ppm、または8,500ppm、または9,000ppm、または9,500ppm、または10,000ppmの、シリカなどの粘着防止剤と、
(iv)0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤と、
(v)各スキン層の総重量に基づいて、0重量%、または15重量%、または16重量%から18重量%、または20重量%、または22重量%、または25重量%、または30重量%のエチレン系ポリマーと、を含み、
各スキン層は、0.75μm、または1.0μm、または1.5μm、または2.0μm、または3.0μm、または4.0μm、または5.0μm、または6.0μm、または6.5μmから7.0μm、または7.5μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または20.0μm、または25.0μm、または30μmの厚さを有する。
【0084】
一実施形態では、各スキン層は、
(i)70重量%、または75重量%、または77重量%から80重量%、または83重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%、または99重量%、または99.3重量%、または99.4重量%のプロピレンホモポリマーであって、以下の特性:
(a)2.0g/10分、もしくは3.0g/10分、もしくは4.0g/10分から5.0g/10分、もしくは6.0g/10分、もしくは7.0g/10分、もしくは8.0g/10分、もしくは9.0g/10分、もしくは10.0g/10分、もしくは15.0g/10分、もしくは20.0g/10分、もしくは25.0g/10分のMFR、および/または
(b)0.900g/cc、もしくは0.902g/cc、もしくは0.903g/cc、もしくは0.904g/ccから0.906g/cc、もしくは0.908g/ccの密度、および/または
(c)155℃、もしくは157℃、もしくは159℃から161℃、もしくは163℃、もしくは165℃の融解温度(Tm)、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するプロピレンホモポリマーと、
(ii)0.20重量%、または0.25重量%、または0.30重量%、または0.31重量%、または0.32重量%から0.33重量%、または0.34重量%、または0.35重量%の、脂肪酸アミド(例えば、エルカ酸アミド)などのスリップ剤と、
(iii)0.40重量%、または0.45重量%、または0.50重量%、または0.55重量%、または0.60重量%から0.65重量%、または0.70重量%、または0.75重量%、または0.80重量%、または0.85重量%、または0.90重量%、または0.95重量%、または1.00重量%の量の、シリカなどの粘着防止剤と、
(iv)0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤と、
(v)各スキン層の総重量に基づいて、0重量%、または15重量%、または16重量%から18重量%、または20重量%、または22重量%、または25重量%、または30重量%のエチレン系ポリマーと、を含み、
各スキン層は、0.75μm、または1.0μm、または1.5μm、または2.0μm、または3.0μm、または4.0μm、または5.0μm、または6.0μm、または6.5μmから7.0μm、または7.5μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または20.0μm、または25.0μm、または30μmの厚さを有する。
【0085】
前述の層を含む、本明細書に開示される各スキン層の構成要素の合計は、それぞれのスキン層の総重量に基づいて100重量パーセント(wt%)をもたらすことが理解される。
【0086】
各スキン層は、同一の組成物を有しても異なる組成物を有してもよい。一実施形態では、各スキン層は同一の組成物を有する。
【0087】
各スキン層は、2つの対向する表面を有する。一実施形態では、各スキン層は、2つの対向する表面を備えた連続する層である。
【0088】
スキン層は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0089】
C.多層フィルム
多層フィルムは、(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)および任意選択で添加剤を含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層と、を含む少なくとも3つの層を含む。各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤、および、任意選択で(iv)添加剤を含む。コア層およびスキン層は、本明細書に開示される任意のコア層およびスキン層であり得る。
【0090】
多層フィルムは、3つの層、または4つ以上の層を含む。例えば、多層フィルムは、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、またはそれ以上の層を有することができる。一実施形態では、多層フィルムは3つの層のみを含む。
【0091】
一実施形態において、多層フィルムは、(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有するHDPEおよび任意選択で添加剤を含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層と、を含む少なくとも3つの層から本質的になるか、またはそれからなる。各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤、および、任意選択で(iv)添加剤を含む。
【0092】
スキン層は、コア層と直接接触していても間接的に接触していてもよい。一実施形態では、スキン層はコア層に直接接触する。本明細書で使用される「直接接触する」という用語は、コア層が各スキン層に直ぐ隣接して位置し、コア層と各スキン層との間に介在層または介在構造体が存在しない層構成である。別の実施形態では、スキン層はコア層に間接的に接触する。本明細書で使用される「間接的に接触する」という用語は、コア層と各スキン層との間に介在層または介在構造体が存在する層構成である。
【0093】
一実施形態において、多層フィルムは、15μm、または20μm、または25μm、または30μm、または33μmから37μm、または40μm、または45μm、または50μm、または55μm、または60μm、または65μm、または70μm、または75μm、または80μm、または85μm、または90μm、または95μm、または100μmの厚さを有する。
【0094】
一実施形態では、コア層は、多層フィルムの総体積の40体積%、または45体積%、または50体積%、または55体積%から60体積%、または65体積%、または70体積%、または75体積%、または80体積%、または85体積%、または90体積%である。
【0095】
一実施形態では、スキン層の合計体積は、多層フィルムの総体積の10体積%、または15体積%、または20体積%、または25体積%、または30体積%、または35体積%、または40体積%から45体積%、または50体積%、または55体積%、または60体積%である。一実施形態では、個々のスキン層の体積は、多層フィルムの総体積の5体積%、または7.5体積%、または10体積%、または12.5体積%、または15体積%、または20体積%から22.5体積%、または25体積%、または27.5体積%、または30体積%である。
【0096】
一実施形態では、コア層は、6.0μm、または7.0μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または16.0μm、または17.0μm、または18.0μm、または19.0μm、または19.8μmから22.2μm、または23.0μm、または25μm、または30μm、または35μm、または40μm、または45μm、または50μm、または65μm、または70μm、または75μm、または80μm、または85μm、または90μmの厚さを有し、各スキン層は、0.75μm、または1.0μm、または1.5μm、または2.0μm、または3.0μm、または4.0μm、または5.0μm、または6.0μm、または6.5μmから7.0μm、または7.5μm、または8.0μm、または9.0μm、または10.0μm、または11.0μm、または12.0μm、または13.0μm、または14.0μm、または15.0μm、または20.0μm、または25.0μm、または30μmの厚さを有する。
【0097】
一実施形態では、多層フィルムは、25,000、または26,000、または30,000、または35,000、または39,000から40,000、または45,000、または49,000、または50,000、または52,000、または55,000、または60,000のスリップ係数を有する。多層フィルムの「スリップ係数」は、以下の式(I)に従って計算される。
【数1】
式(I)において、各層の重量パーセント(「wt%」)は、フィルムの総重量に基づいている。
【0098】
一実施形態では、多層フィルムは、0.05、または0.10、または0.15、または0.19、または0.20、または0.24から0.25、または0.26、または0.27、または0.28、または0.29、または0.30、または0.31、または0.32、または0.33、または0.34、または0.35、または0.36、または0.37、または0.38の摩擦係数(COF)を有する。
【0099】
一実施形態では、多層フィルムは、7日間のエージング後、66%、または70%~75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%のひねり保持率を有する。7日間のエージング後のより高いひねり保持率(66%以上)は、多層フィルムがエージング後に折り畳まれた/ひねられた構造を維持することを示す。その結果、本多層フィルムは、ひねり包装に好適である。
【0100】
一実施形態では、多層フィルムは、5MPa、または8MPa、または10MPa、または13MPaから14MPa、または15MPa、または15.5MPa、または16MPa未満の降伏張力を有する。多層フィルムの折り畳みおよび/またはひねり中に、張力が多層フィルムに加えられ、加えられる張力が「降伏張力」であり多層フィルムが伸びるものの変形が永続的である(多層フィルムが折り畳まれた/ひねられた構造を維持することを示す)時点までは、張力が取り除かれるとフィルムが伸びて元の寸法に戻る。5MPaから15.5MPa、または16MPa未満の低い降伏張力は、より低い張力を多層フィルムに加えることで多層フィルムの永続的な変形と折り畳み/ひねり保持とを可能にするため、有利である。
【0101】
一実施形態において、多層フィルムは少なくとも3つの層を有し、少なくとも3つの層は、
(A)コア層の総重量に基づいて、80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%から97重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%のHDPE、および0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤を含むコア層であって、HDPEが以下の特性:
(i)0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、もしくは0.955g/cc、もしくは0.958g/ccから0.960g/cc、もしくは0.962g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度、および/または
(i)0.1g/10分、もしくは0.5g/10分から1.0g/10分、もしくは1.5g/10分、もしくは2.0g/10分のメルトインデックス(MI)、および/または
(iii)HDPEの総重量に基づいて、50重量%超、もしくは55重量%、もしくは60重量%、もしくは65重量%から75重量%、もしくは80重量%、もしくは85重量%、もしくは90重量%、もしくは95重量%、もしくは97重量%、もしくは99重量%、もしくは100重量%のエチレン由来の単位および相当量、または0重量%、もしくは1重量%、もしくは3重量%、もしくは5重量%、もしくは10重量%、もしくは15重量%、もしくは20重量%、もしくは25重量%、もしくは30重量%から35重量%、もしくは40重量%、もしくは45重量%、もしくは50重量%未満のコモノマー由来の単位、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するコア層と、
(B)コア層の対向する側面上のスキン層であって、各スキン層が、
(i)70重量%、または75重量%、または77重量%から80重量%、または83重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%、または99重量%、または99.3重量%、または99.4重量%のプロピレンホモポリマーであって、以下の特性:
(a)2.0g/10分、もしくは3.0g/10分、もしくは4.0g/10分から5.0g/10分、もしくは6.0g/10分、もしくは7.0g/10分、もしくは8.0g/10分、もしくは9.0g/10分、もしくは10.0g/10分、もしくは15.0g/10分、もしくは20.0g/10分、もしくは25.0g/10分のMFR、および/または
(b)0.900g/cc、もしくは0.902g/cc、もしくは0.903g/cc、もしくは0.904g/ccから0.906g/cc、もしくは0.908g/ccの密度、および/または
(c)155℃、もしくは157℃、もしくは159℃から161℃、もしくは163℃、もしくは165℃の融解温度(Tm)、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するプロピレンホモポリマーと、
(ii)脂肪酸アミド(例えば、エルカ酸アミド)などの、0.20重量%、または0.25重量%、または0.30重量%、または0.31重量%、または0.32重量%から0.33重量%、または0.34重量%、または0.35重量%のスリップ剤と、
(iii)シリカなどの、0.40重量%、または0.45重量%、または0.50重量%、または0.55重量%、または0.60重量%から0.65重量%、または0.70重量%、または0.75重量%、または0.80重量%、または0.85重量%、または0.90重量%、または0.95重量%、または1.00重量%の粘着防止剤と、
(iv)0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%から0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%の添加剤と、
(v)各スキン層の総重量に基づいて、0重量%、または15重量%、または16重量%から18重量%、または20重量%、または22重量%、または25重量%、または30重量%のエチレン系ポリマーと、を含むスキン層と、を含み、
多層フィルムは以下の特性:
(1)15μm、もしくは20μm、もしくは25μm、もしくは30μm、もしくは33μmから37μm、もしくは40μm、もしくは45μm、もしくは50μm、もしくは55μm、もしくは60μm、もしくは65μm、もしくは70μm、もしくは75μm、もしくは80μm、もしくは85μm、もしくは90μm、もしくは95μm、もしくは100μmの総厚さ、および/または
(2)コア層が、多層フィルムの総体積の40体積%、もしくは45体積%、もしくは50体積%、もしくは55体積%から60体積%、もしくは65体積%、もしくは70体積%、もしくは75体積%、もしくは80体積%、もしくは85体積%、もしくは90体積%であること、および/または
(3)コア層が、6.0μm、もしくは7.0μm、もしくは8.0μm、もしくは9.0μm、もしくは10.0μm、もしくは11.0μm、もしくは12.0μm、もしくは13.0μm、もしくは14.0μm、もしくは15.0μm、もしくは16.0μm、もしくは17.0μm、もしくは18.0μm、もしくは19.0μm、もしくは19.8μmから22.2μm、もしくは23.0μm、もしくは25μm、もしくは30μm、もしくは35μm、もしくは40μm、もしくは45μm、もしくは50μm、もしくは65μm、もしくは70μm、もしくは75μm、もしくは80μm、もしくは85μm、もしくは90μmの厚さを有すること、および/または
(4)スキン層の合計体積が、多層フィルムの総体積の10体積%、もしくは15体積%、もしくは20体積%、もしくは25体積%、もしくは30体積%、もしくは35体積%、もしくは40体積%から45体積%、もしくは50体積%、もしくは55体積%、もしくは60体積%であること、および/または
(5)各スキン層が、0.75μm、もしくは1.0μm、もしくは1.5μm、もしくは2.0μm、もしくは3.0μm、もしくは4.0μm、もしくは5.0μm、もしくは6.0μm、もしくは6.5μmから7.0μm、もしくは7.5μm、もしくは8.0μm、もしくは9.0μm、もしくは10.0μm、もしくは11.0μm、もしくは12.0μm、もしくは13.0μm、もしくは14.0μm、もしくは15.0μm、もしくは20.0μm、もしくは25.0μm、もしくは30μmの厚さを有すること、および/または
(6)25,000、もしくは26,000、もしくは30,000、もしくは35,000、もしくは39,000から40,000、もしくは45,000、もしくは49,000、もしくは50,000、もしくは52,000、もしくは55,000、もしくは60,000のスリップ係数、および/または
(7)0.05、もしくは0.10、もしくは0.15、もしくは0.19、もしくは0.20、もしくは0.24から0.25、もしくは0.26、もしくは0.27、もしくは0.28、もしくは0.29、もしくは0.30、もしくは0.31、もしくは0.32、もしくは0.33、もしくは0.34、もしくは0.35、もしくは0.36、もしくは0.37、もしくは0.38の摩擦係数(COF)、および/または
(8)66%、もしくは70%から75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは100%の、7日間のエージング後のひねり保持率、および/または
(9)5MPa、もしくは8MPa、もしくは10MPa、もしくは13MPaから14MPa、もしくは15MPa、もしくは15.5MPaの降伏張力、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0102】
一実施形態において、多層フィルムは、少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つ、または少なくとも7つ、または少なくとも8つ、または9つすべての特性(1)~(9)を有する。
【0103】
本明細書に開示された各層の構成要素の合計が、前述の層を含んで、それぞれの層の総重量に基づいて、100重量パーセント(wt%)をもたらすことが理解される。
【0104】
一実施形態では、多層フィルムは、キャストプロセスを介して製造された共押出フィルムである。キャストプロセスを介して製造された多層フィルムは、インフレーションプロセスを介して製造された多層フィルムを除外する。特定の理論に縛られることは望まないが、出願人は、キャストプロセスが多層フィルムにより高い剛性をもたらし、その結果、改善された(すなわち、より高い)ひねり保持率をもたらすと考えている。
【0105】
一実施形態では、多層フィルムは配向フィルムではない。さらなる実施形態では、多層フィルムは二軸配向されていない。換言すれば、多層フィルムは押出後に引き伸ばされない。
【0106】
一実施形態では、多層フィルムは共押出され、積層されない。
【0107】
多層フィルムは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0108】
D.物品
本開示はまた、多層フィルムを含む物品も提供する。多層フィルムは、本明細書に開示される任意の多層フィルムであり得る。
【0109】
一実施形態では、物品は、菓子および菓子に接触している多層フィルムを含む。一実施形態では、多層フィルムは、(A)0.940g/cc~0.980g/ccの密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)および任意選択で添加剤を含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層と、を含む少なくとも3つの層を含む。各スキン層は、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤、および、任意選択で、(iv)添加剤を含む。
【0110】
この物品は菓子を含む。好適な菓子の非限定的な例には、砂糖菓子、チョコレート菓子、およびそれらの組み合わせが含まれる。砂糖菓子の非限定的な例には、ロリポップ、ハードキャンディー、ソフトキャンディー、甘草、キャラメル、ガム、砂糖漬けのナッツ、砂糖漬けの果物、ファッジ、タフィー、マジパン、タフィー、ブリトル、マシュマロ、ミント、およびそれらの組み合わせが含まれる。チョコレート菓子の非限定的な例には、ファッジ、チョコレート片、チョコレートバー、チョコレートで覆われたナッツ、チョコレートで覆われた果物、チョコレートミント、トリュフが含まれる。
【0111】
多層フィルムは菓子と直接または間接的に接触していてもよい。一実施形態では、多層フィルムは菓子と直接接触している。
【0112】
多層フィルムは、菓子の周りでひねられ、および/または折り畳まれてもよい。一実施形態では、多層フィルムは折り畳まれ、続いて菓子の両端でひねられる。
【0113】
物品は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0114】
例として、これに限定されるものではないが、ここで本開示のいくつかの実施形態が以下の実施例において詳細に説明されるであろう。
【実施例
【0115】
実施例で使用される材料を、以下の表1Aに示す。
【表1】
【0116】
多層フィルム試料は、表1Bに示す条件で、Collinsキャストラインで製造される。
【表2】
【0117】
層構成および多層フィルム構造を以下の表2に示す。各多層フィルム構造は、多層フィルムの60体積%の体積を有するコア層(A)と、2つのスキン層(B1およびB2)とで形成される。各スキン層(B1およびB2)は、多層フィルムの20体積%の体積を有する。換言すれば、組み合わされたスキン層(B1およびB2)は、多層フィルムの40体積%を占める。表2において、スリップ剤および粘着防止剤の量は、(層に含まれるスリップ剤マスターバッチおよび/または粘着防止剤マスターバッチの量というよりは)層に含まれるスリップ剤および粘着防止剤のそれぞれの量を指す。表2において、各層の含有量は、それぞれの層の総重量に基づいて、重量パーセント(wt%)および/またはppm(百万分率)で示される。例えば、実施例3のスキン層(B1)は、スキン層(B1)の総重量に基づいて、78.5wt%のCUYOLEN(商標)1102L、3,500ppmのスリップ剤(すなわち、0.35wt%のスリップ剤)、8,000ppmの粘着防止剤(すなわち、0.8重量%の粘着防止剤)、および20.35wt%のマスターバッチポリエチレン担体(「MB PE」)(すなわち、(i)スリップ剤マスターバッチからの17.15wt%のポリエチレン担体と(ii)粘着防止剤マスターバッチからの3.2wt%のポリエチレン担体との合計量)を含む。
【0118】
多層フィルム試料は、COF、ひねり保持率、および降伏張力について試験される。結果を以下の表2に示す。
【表3】
【0119】
(A)0.940~0.980g/ccの密度を有するHDPEを含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層であって、(i)プロピレン/エチレンコポリマーを含み、プロピレンホモポリマーを含まない、(ii)スリップ剤を含まない、および(iii)粘着防止剤を含まない、スキン層と、を含む3つの層を含む比較試料フィルム(CS3~5)が、高いCOF(0.38超)を示し、多層フィルムが0.38超のCOFを有する場合、多層フィルムの機械加工が阻害されるため、多層フィルムがひねり包装に適していないことを示している。
【0120】
出願人は、驚くべきことに、(A)0.940~0.980g/ccの密度を有するHDPEを含むコア層と、(B)コア層の対向する側面上のスキン層であって、各スキン層が、(i)プロピレンホモポリマー、(ii)2,000~3,500ppmのスリップ剤、および(iii)4,000~10,000ppmの粘着防止剤を含む、スキン層と、を含む3つの層を含む多層フィルム(実施例1、実施例2、実施例3)が、包装された形態を保持するための高いひねり保持率(66%~100%)と、多層フィルムの機械加工を改善するための低いCOF(0.05~0.38)と、多層フィルムの永続的な変形および多層フィルムに適用されるより低い張力での折り畳み/ひねり保持率を可能にするための低い降伏張力(15.5MPa以下)との特異なバランスを有利に示し、多層フィルムがひねり包装に適していることを示していることを発見した。
【0121】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、それらの実施形態の改変された形態を含むことを特に意図している。
図1
図2