(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】所定種類の放射線の強度の表示
(51)【国際特許分類】
G01T 1/04 20060101AFI20221202BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20221202BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20221202BHJP
G01J 1/50 20060101ALI20221202BHJP
C09K 9/00 20060101ALI20221202BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01T1/04
G01T7/00 A
G01J1/42 B
G01J1/50
C09K9/00 D
G01J1/04 B
(21)【出願番号】P 2019568173
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 FI2018050762
(87)【国際公開番号】W WO2019092309
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513323128
【氏名又は名称】トゥルン イリオピスト
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラストゥサーリ ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ノッルボ イザベラ
(72)【発明者】
【氏名】ラウッカネン ペッカ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-501881(JP,A)
【文献】特開昭62-212629(JP,A)
【文献】特開2006-072001(JP,A)
【文献】Isabella Norrbo etal.,Persistent Luminescence of Tenebrescent Na8Al6Si6O24(Cl,S)2:Multifunctional Optical Markers,Inorganic chemistry,米国,ACS publications,2015年08月06日,vol.54, no.16,pp.7717-7724
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/04
G01T 7/00
G01J 1/02
G01J 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための検出装置(1)であって、前記検出装置は、
-入射電磁放射線をフィルタリングするためのフィルタ要素(2)であって、入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去するように構成された、フィルタ要素(2)と、
-入射電磁放射線に存在する前記所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成された収束要素(3)と、
-前記フィルタ要素および前記収束要素を通過した入射電磁放射線を受光するように配置される材料のセンサ要素(4)であって、前記材料のセンサ要素の色の変化によって入射電磁放射線に存在する前記所定種類の放射線の強度を表示するための、材料のセンサ要素(4)と、を備え、前記材料は、以下の式(I)によって表され、
(M’)
8(M’’M’’’)
6O
24(X,S)
2:M’’’’・・・式(I)
式中、
M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
M’’は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の三価単原子カチオン、IUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の三価単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
M’’’は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
Xは、IUPAC元素周期表の第16族もしくはIUPAC元素周期表の第17族から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表し、
M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属もしくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素のドーパントカチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表すか、または、M’’’’は存在しない、検出装置。
【請求項2】
前記フィルタ要素(2)は、入射電磁放射線から400nm超、または300nm超の波長を有する電磁放射線をフィルタリング除去するように構成されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記フィルタ要素(2)は、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、0.01~590nm、または0.01~560nm、または0.01~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.01~400nm、または0.01~300nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する入射電磁放射線を通過させるように構成されている、請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記フィルタ要素(2)および前記収束要素(3)は、入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去し、かつ入射電磁放射線に存在する前記所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成された一つの同じ要素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
入射電磁放射線は、人工放射線源からまたは太陽光から生じる、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、前記組み合わせは、0~98モル%、または0~95モル%、または0~90モル%、または0~85モル%、または0~80モル%、または0~70モル%のNaの単原子カチオンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
M’’は、AlおよびGaからなる群から選択される金属の三価単原子カチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項10】
M’’は、Bの三価単原子カチオンを表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項11】
M’’’は、SiおよびGeからなる群から選択される元素の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す、請求項1~10のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項12】
Xは、O、S、Se、およびTeからなる群から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~11のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項13】
Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~11のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項14】
M’’’’は、EuおよびTbからなる群から選択される元素のカチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項15】
M’’’’は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群から選択される元素のカチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項16】
入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示する方法であって、
i)入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去するステップと、
ii)入射電磁放射線に存在する前記所定種類の放射線の光子密度を増加させるために入射電磁放射線を収束させるステップと、
iii)材料のセンサ要素を、前記ステップi)および前記ステップii)でそれぞれフィルタリングされおよび収束した入射電磁放射線に曝すステップであって、前記材料は、請求項1~15のいずれか一項で定義された前記式(I)によって表される、ステップと、
iv)前記ステップiii)で入射電磁放射線に曝された結果としての前記材料のセンサ要素の色の変化について決定するステップと、
v)前記材料のセンサ要素の色を、前記所定種類の放射線の強度と前記材料のセンサ要素の色との相関を示す基準と比較するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記ステップi)および前記ステップii)は、任意の順序で一方が他方の後に実行されるか、または前記ステップi)および前記ステップii)は、同時に実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の検出装置の使用。
【請求項19】
前記検出装置は、電磁放射線に曝される、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための検出装置および方法、ならびに検出装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
日光によるものであれ、日焼け紫外線装置によるものであれ、紫外線(UV)照射レベルが上昇すると、皮膚がん、皮膚の他の病気、および皮膚の老化の可能性を高めるという悪影響がある。したがって、いつ紫外線からの保護を求めるか、またはいつ日焼け止めローションを塗布または再塗布するかを知ることは重要である。
【0003】
UV暴露により色が変化するUV応答性フォトクロミック有機分子を使用することができる。現在、太陽紫外線のレベルを表示するために使用できるUVインジケータブレスレットやカードなどの装置がある。これらは、スピロオキサジン、スピロピラン、フルギド、フルギミド、ビスイミダゾール、ビオロゲン誘導体などの有機分子系に基づく。通常、これらの材料の色は、UV曝露をやめると薄くなるので再利用可能なインジケータとなるが、それらのいくつかは単回使用のものである。ただし、再利用可能なフォトクロミック分子の多くは寿命が短いため、UV曝露が長すぎるか強すぎるとその機能性を失う場合がある。ただし、スピロオキサジンは2~3年持続する場合がある。スピロオキサジンの欠点は、高価であることである。高価で寿命が短いことは、フォトクロミックUVインジケータ装置でのこれらの材料の使いやすさを低下させる。また、ハックマナイトも、紫外線に曝されると色が変化する能力がある。しかしながら、太陽光照射は、約3%の紫外線A(UVA)と約0.1%の紫外線B(UVB)としか含まないため、このように使用すると、その色強度はかなり弱くなる場合がある。
【0004】
そこで、本発明者らは、再利用可能であり、かつ長期間にわたって確実に使用できる低コストの放射線表示装置の必要性を認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新しい種類の検出装置とその使用を提供することを目的とする。また、所定種類の放射線の強度を決定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願に係る検出装置は、請求項1に記載されていることを特徴とする。
【0007】
本出願に係る方法は、請求項16に記載されていることを特徴とする。
【0008】
本出願に係る使用は、請求項18に記載されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
検出装置および方法のさらなる理解を提供し、本明細書の一部を構成するように含まれる添付図面は、実施形態を示し、その説明とともに上記の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、入射する電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための検出装置に関し、この検出装置は、
-入射電磁放射線をフィルタリングするためのフィルタ要素であって、入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去するように構成された、フィルタ要素と、
-入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成された収束要素と、
-フィルタ要素および収束要素を通過した入射電磁放射線を受光するように配置される材料のセンサ要素であって、材料のセンサ要素の色の変化によって入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための、材料のセンサ要素と、を備え、当該材料は、以下の式(I)によって表され、
(M’)8(M’’M’’’)6O24(X,S)2:M’’’’・・・式(I)
式中、
M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
M’’は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の三価単原子カチオン、IUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の三価単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
M’’’は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表し、
Xは、IUPAC元素周期表の第16族もしくはIUPAC元素周期表の第17族から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表し、
M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属もしくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素のドーパントカチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表すか、または、M’’’’は存在しない。
【0011】
本出願はさらに、入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示する方法に関し、本方法は、
i)入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去するステップと、
ii)入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の光子密度を増加させるために入射電磁放射線を収束させるステップと、
iii)材料のセンサ要素を、ステップi)およびステップii)でそれぞれフィルタリングされおよび収束した入射電磁放射線に曝すステップであって、材料は、本出願で定義された式(I)によって表される、ステップと、
iv)材料のセンサ要素の色の変化について決定するステップと、
v)材料のセンサ要素の色を、所定種類の放射線の強度と材料のセンサ要素の色との相関を示す基準と比較するステップと、を含む。
【0012】
本出願はさらに、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための本出願で定義された検出装置の使用に関する。一実施形態では、検出装置は、例えば紫外線感受性材料の品質および/または寿命を監視するために使用される。一実施形態では、検出装置は、光線療法中に例えば紫外線の強度を監視するために使用される。
【0013】
一実施形態では、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示することは、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を測定および/または決定することを含むかまたは指す。一実施形態では、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の事前未知の強度が表示され、測定され、および/または決定される。
【0014】
一実施形態では、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度は、電磁放射線に存在する所定種類の放射線の線量および/または量を指す。
【0015】
一実施形態では、所定種類の放射線は、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する放射線である。一実施形態では、所定種類の放射線は、紫外線および/またはX線である。一実施形態では、所定種類の放射線は、紫外線である。一実施形態では、所定種類の放射線は、X線である。一実施形態では、所定種類の放射線は、ガンマ線である。
【0016】
本明細書では、特に明記しない限り、電磁放射線に対する「入射」という表現は、検出装置の周囲から検出装置に入射する電磁放射線として理解されるべきである。電磁放射線は、例えば、入ってくる太陽放射であってもよい。
【0017】
一実施形態では、ステップi)およびステップii)は、任意の順序で一方が他方の後に実行されるか、またはステップi)およびステップii)は、同時に実行される。一実施形態では、ステップi)およびステップii)は、ステップiii)が実行される前に、任意の順序で一方が他方の後にまたは同時に実行される。一実施形態では、ステップi)は、ステップii)の前に実行される。一実施形態では、ステップii)は、ステップi)の前に実行される。一実施形態では、ステップi)およびステップii)は、同時に実行される。
【0018】
一実施形態では、ステップiv)は、材料の色の変化について視覚的に決定することを含む。
【0019】
基準は、例えば、所定種類の放射線の強度と材料のセンサ要素の色の強度との間の相関を示すカードなどであってもよい。
【0020】
一実施形態では、材料のセンサ要素の色の強度は、UV指数の値を示すために使用される。一実施形態では、材料のセンサ要素の色の強度と紫外線の強度との間の相関は、以下の数式1に基づいて計算される。
y=A1*e(x/t1)+y0・・・数式1
数式1において、パラメータの意味は次のとおりである。
y=色の強度[黒のパーセント]
A1=色の振幅
x=日光のUV指数値、またはUVA、UVB、および/もしくはUVCのUVランプパワー[%]
t1=色の成長定数
y0=色の初期オフセット
【0021】
一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、検出装置に入射する電磁放射線の方向から見たときに、入射電磁放射線が最初にフィルタ要素を通過し、次に収束要素を通過するように、一方が他方の後に配置される。一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、検出装置に入射する電磁放射線の方向から見たときに、入射電磁放射線が最初に収束要素を通過し、次にフィルタ要素を通過するように、一方が他方の後に配置される。
【0022】
一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、一つの同じ要素である。一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、単一の要素である。一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、入射電磁放射線から590nm超の波長の電磁放射線をフィルタリング除去し、かつ入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成される一つの同じ要素である。フィルタ要素および収束要素が一つの同じ要素である場合、入射電磁放射線は、ステップi)およびステップii)の両方が同時に施される。
【0023】
一実施形態では、フィルタ要素は、ガラス、プラスチック、ガラスセラミック、またはそれらの組み合わせでできている。一実施形態では、フィルタ要素は、液体、気体、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、フィルタ要素は、電気素子および/または半透明要素である。
【0024】
一実施形態では、フィルタ要素は、入射電磁放射線から400nm超、または300nm超の波長を有する電磁放射線をフィルタリング除去するように構成される。
【0025】
一実施形態では、フィルタ要素(2)は、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または0.01~590nm、または0.01~560nm、または0.01~500nm、または0.01~400nm、または0.01~300nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する入射電磁放射線を通過させるように構成される。
【0026】
検出装置でのフィルタ要素の使用には、材料のセンサ要素に到達する可視光および/または近赤色赤外線の量を減少させることを可能にする追加の有用性があり、それにより、入射電磁放射線に存在する紫外線などの所定種類の放射線に曝されている材料の色変化の強度が増加し得る。驚くべきことに、発明者らは、入射電磁放射線を、可視光および/または近赤外線をブロック、またはその量を減らすためにフィルタリングした場合、所定種類の放射線に曝されたときの材料のセンサ要素によって示される色変化の強度を増加させることが可能であることを見出した。本発明者らは、検出装置により、材料のセンサ要素の色を消去する可視光の影響を低減することができ、より強い色変化を達成できることに気付いた。
【0027】
収束要素は、材料のセンサ要素のより強いまたはより際立った色変化効果を達成するために、エネルギーの強度または所定種類の放射線の光子密度を増加させるために使用されてもよい。一実施形態では、収束要素は、所定種類の放射線の光子束密度を増加させるために使用される。一実施形態では、収束要素の使用により、材料のセンサ要素に当たる所定種類の放射線の光子の数が増加する。したがって、収束要素を使用して、所定種類の放射線ビームをより小さい領域に収束させることができる。一実施形態では、収束要素は、1.00001~10000、または1.0001~10000、または1.001~10000、または1.01~10000、または1.1~10000、または1.00001~2500、または1.0001~2500、または1.001~2500、または1.01~2500、または1.1~2500、または1.00001~1200、または1.0001~1200、または1.001~1200、または1.01~1200、または1.1~1200、または1.00001~1000、または1.0001~1000、または1.001~1000、または1.01~1000、または1.1~1000、または1.00001~800、または1.0001~800、または1.001~800、または1.01~800、または1.1~800、または1.00001~550、または1.0001~550、または1.001~550、または1.01~550、または1.1~550、または1.00001~500、または1.0001~500、または1.001~500、または1.01~500、または1.1~500、または1.00001~100、または1.0001~100、または1.001~100、または1.01~100、または1.1~100の高密度化係数で入射電磁放射線のビームを収束するように構成される。本明細書では、特に明記しない限り、「高密度化係数」という表現は、収束要素を通って伝達される前の電磁放射線のビームのサイズと、収束要素を通って伝達された後の電磁放射線のビームのサイズとの比として理解されるべきである。収束要素には、入射電磁放射線をより小さな領域に集束させるという追加の有用性があり、それにより光子密度が増加する。材料のセンサ要素の色変化の強度は、光子密度が増加するように収束要素で入射電磁放射線、例えばそのフィルタリングされた部分を集束するときにさらに増加し得る。一実施形態では、収束要素は、レンズ、ミラー、プリズム、格子、回折格子、半透明ミラー、電気フィルタ、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0028】
一実施形態では、検出装置は、電磁放射線に曝される。一実施形態では、入射電磁放射線は、太陽光である。一実施形態では、入射電磁放射線は、人工放射線源からまたは太陽光から生じる。一実施形態では、人工放射線は、UV光、LED光、ハロゲン光、ソーラーシミュレータ光、蛍光灯、X線、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0029】
一実施形態では、センサ要素の材料は、合成材料である。すなわち、一実施形態では、材料は、合成的に調製される。
【0030】
一実施形態では、センサ要素は、式(I)で表される材料を含む。一実施形態では、センサ要素は、式(I)で表される材料からなる。一実施形態では、センサ要素は、式(I)で表される材料でできている。
【0031】
本明細書では、特に明記しない限り、「単原子イオン」という表現は、単一の原子からなるイオンとして理解されるべきである。イオンが複数の原子を含む場合、これらの原子が同じ元素であっても、それは多原子イオンとして理解されるべきである。したがって、本明細書では、特に明記しない限り、「単原子カチオン」という表現は、単一の原子からなるカチオンとして理解されるべきである。
【0032】
さまざまなソーダライト材料であるハックマナイトは、Na8Al6Si6O24(Cl,S)2の化学式を有する天然鉱物である。紫外線の検出を可能にする合成ハックマナイト系の材料を調製することができる。式(I)の合成材料は、紫外線に曝された結果として、検知または検出された放射線の放射照度に比例する色の強度を示す技術的効果を有する。したがって、この材料は、例えば日焼けを引き起こす紫外線Bの放射線および紫外線Cの放射線の量を検出および表示するために使用されてもよい。
【0033】
紫外線は、10nm(30PHz)~400nm(750THz)の波長の電磁放射線である。紫外線(UVR)の電磁スペクトルは、紫外線A(UVA)、紫外線B(UVB)、紫外線C(UVC)など、ISO規格ISO-21348で推奨されているいくつかの範囲に細分化できる。UVAの波長は一般に315~400nm、UVBの波長は一般に280~320nm、UVCの波長は一般に100~290nmとみなされる。
【0034】
一実施形態では、紫外線は、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線および/または紫外線Cの放射線を含む。一実施形態では、紫外線は、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線および/または紫外線Cの放射線からなる。一実施形態では、紫外線は、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線および/または紫外線Cの放射線である。
【0035】
一実施形態では、M’は、Na、Li、K、およびRbからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、K、およびRbからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す。
【0036】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す。ただし、M’は、Naの単原子カチオンのみを表すものではない。
【0037】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表す。
【0038】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、最大で66モルパーセント(モル%)のNaの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、最大で50モル%のNaの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、最大で40モル%のNaの単原子カチオン、または最大で30モル%のNaの単原子カチオン、または最大で20モル%のNaの単原子カチオンを含む。
【0039】
一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、0~98モル%のNaの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、0~98モル%、または0~95モル%、または0~90モル%、または0~85モル%、または0~80モル%、または0~70モル%のNaの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、0~100モル%のKの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、0~100モル%のRbの単原子カチオンを含む。一実施形態では、M’は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、0~100モル%のLiの単原子カチオンを含む。
【0040】
一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される異なるアルカリ金属の2つの単原子カチオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される異なるアルカリ金属のうちの3つの単原子カチオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbの単原子カチオンの組み合わせを表す。
【0041】
一実施形態では、M’は、Naの単原子カチオンと、Liの単原子カチオン、Kの単原子カチオンおよび/またはRbの単原子カチオンとの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Naの単原子カチオンと、Kの単原子カチオンまたはRbの単原子カチオンとの組み合わせを表す。一実施形態において、M’は、Naの単原子カチオンと、Kの単原子カチオンおよびRbの単原子カチオンとの組み合わせを表す。
【0042】
一実施形態では、M’は、Naの単原子カチオンとKの単原子カチオンとの組み合わせ、またはNaの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせ、またはKの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせ、またはNaの単原子カチオンとKの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせ、またはKの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせを表す。
【0043】
一実施形態では、M’は、Liの単原子カチオンとNaの単原子カチオンとの組み合わせ、またはLiの単原子カチオンとKの単原子カチオンとの組み合わせ、またはLiの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせ、またはLiの単原子カチオンとKの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせ、または、Liの単原子カチオンとNaの単原子カチオンとKの単原子カチオンとRbの単原子カチオンとの組み合わせを表す。
【0044】
一実施形態では、M’は、Liの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’は、Kの単原子カチオンを表す。一実施形態では、M’は、Rbの単原子カチオンを表す。
【0045】
IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせは、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線および/または紫外線Cの放射線に感受性のある材料の調製を可能にする効果がある。この組み合わせには、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線、および紫外線Cの放射線のうちの少なくとも1つの存在、または紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線、および紫外線Cの放射線のすべての存在を示すことができる材料の調製を可能にする効果がある。
【0046】
一実施形態では、M’’は、AlおよびGaからなる群から選択される金属の三価単原子カチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す。
【0047】
一実施形態では、M’’は、Bの三価単原子カチオンを表す。
【0048】
一実施形態では、M’’’は、SiおよびGeからなる群から選択される元素の単原子カチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す。
【0049】
一実施形態では、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表す。
【0050】
一実施形態では、Xは、O、S、Se、およびTeからなる群から選択される元素のアニオン、またはそのようなアニオンの任意の組み合わせを表す。
【0051】
一実施形態では、材料は、式(I)で表され、M’’’’は存在しない。この実施形態では、材料はドープされない。
【0052】
一実施形態では、材料は、少なくとも1つの希土類金属イオンおよび/または少なくとも1つの遷移金属イオンでドープされる。一実施形態では、材料は、少なくとも1つの希土類金属イオンおよび少なくとも1つの遷移金属イオンでドープされる。一実施形態では、材料は、少なくとも1つの希土類金属イオンまたは少なくとも1つの遷移金属イオンでドープされる。
【0053】
一実施形態では、材料は、式(I)で表され、M’’’’は、IUPAC元素周期表の希土類金属もしくはIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素のカチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す。
【0054】
一実施形態では、M’’’’は、EuおよびTbからなる群から選択される元素のカチオン、またはそのようなカチオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’’’’は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群から選択される元素のカチオン、またはそのようなカチオンの任意の組み合わせを表す。
【0055】
一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせを表し、その組み合わせは、材料に対して所定の吸収端を提供するために選択される。本明細書では、特に明記しない限り、「吸収端」という表現は、材料の色が変化するエネルギー閾値として理解されるべきである。
【0056】
一実施形態では、材料は、紫外線への曝露で色が変化してもよく、材料の色の強度と紫外線の強度との間の相関は、以下の数式1に基づいて計算される。
y=A1*e(x/t1)+y0・・・数式1
数式1において、パラメータの意味は次のとおりである。
y=色の強度[黒のパーセント]
A1=色の振幅
x=日光のUV指数値、またはUVA、UVB、および/もしくはUVCのUVランプパワー[%]
t1=色の成長定数
y0=色の初期オフセット
【0057】
上記の数式1に基づいて、放射線強度は、色強度から次のように計算できる。
x=t1*[ln(y-y0)-lnA1]
【0058】
一実施形態では、太陽光UVI検出の場合、A1=-1~-15、t1=-30~-5、およびy0=5~20である。
【0059】
一実施形態では、UVA検出の場合、A1=-1.5~-0.1、t1=-30~-10、およびy0=9.5~10.5である。
【0060】
一実施形態では、UVB検出の場合、A1=-3.0~-1.8、t1=-450~-20、およびy0=11~13である。
【0061】
一実施形態では、UVC検出の場合、A1=-3.0~-1.8、t1=-200~-15、およびy0=12~13である。
【0062】
IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属のうちの少なくとも2つの単原子カチオンの組み合わせの変更により、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線、および/または紫外線Cの放射線を検出するように調整できる材料を調製することが可能になる。
【0063】
一実施形態では、材料は、(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2、(Na,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2、(Na,K,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2、(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Eu、(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Tb、(Li,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2、(Li,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2、(Li,K,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2、および(Li,Na,K,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2からなる群から選択される。
【0064】
一実施形態では、材料は、(Na,K)8Al6Si6O24(Cl0.8S0.05)2である。上記材料は、紫外線を感知するために使用されてもよい。
【0065】
一実施形態では、材料は、(Na,K)8Al6Si6O24(F0.7S0.1)2である。上記材料は、X線を検知するために使用されてもよい。
【0066】
一実施形態では、材料は、Norrbo他(Norrbo,I.、Gluchowski,P.、Paturi,P.、Sinkkonen,J.、Lastusaari,M.、Persistent Luminescence of Tenebrescent Na8Al6Si6O24(Cl,S)2:Multifunctional Optical Markers.Inorg.Chem.2015、54、7717-7724)に従った反応により合成される。この参照文献は、Armstrong&Weller(Armstrong,JA、Weller,JA、Structural Observation of Photochromism.Chem.Commun.2006、1094-1096)に基づいており、そこでは、出発物質としてゼオライトAおよびNa2SO4ならびにLiCl、NaCl、KClおよび/またはRbClの化学量論量を使用している。使用される可能性のある少なくとも1つのドーパントは、Eu2O3またはTb4O7などの酸化物として添加される。材料は、次のように調製できる。ゼオライトAを、最初に500℃で1時間乾燥させる。その後、初期混合物を空気中で850℃で48時間加熱する。その後、生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕する。最後に、生成物を、12%H2+88%N2の流動雰囲気下で850℃で2時間再加熱する。調製したままの材料を水で洗浄して、過剰なLiCl/NaCl/KCl/RbCl不純物を除去する。純度は、粉末X線回折測定で確認できる。
【0067】
一実施形態では、検出装置は、紫外線センサ、紫外線検出器、または紫外線インジケータである。一実施形態では、検出装置は、X線センサ、X線検出器、またはX線インジケータである。一実施形態では、検出装置は、ガンマ線センサ、ガンマ線検出器、またはガンマ線インジケータである。
【0068】
外出する前の居住者に紫外線強度について警告するために、検出装置は、例えば窓の外側に適用することができる。検出装置は、例えば、プラスチックボトル、ステッカー、ガラス、およびUVインジケータを備えた同様の製品の一部であってもよい。これにより、製品自体にUVインジケータが提供される。検出装置は、宝石として考えてもよい。検出装置は、陰に従って較正されるメーターの表示部分の一部であってもよい。一実施形態では、検出装置は、セキュリティ装置またはその一部である。一実施形態では、セキュリティ装置は、糸、箔、およびホログラムからなる群から選択される。一実施形態では、セキュリティ装置は、紙幣、パスポート、または身分証明書で使用される。
【0069】
一実施形態では、検出装置は、紫外線の強度を表示するために使用される。一実施形態では、紫外線は、紫外線Aの放射線、紫外線Bの放射線および/または紫外線Cの放射線である。一実施形態では、検出装置は、0.01~400nm、または10~400nm、または0.01~10nmの波長を有する電磁放射線の強度を表示するために使用される。一実施形態では、検出装置は、X線の強度を表示するために使用される。X線は、0.01nm~10nmの波長の電磁放射線である。
【0070】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されるであろう。実施形態は、述べられた問題のいずれかもしくはすべてを解決するもの、または述べられた利益および利点のいずれかもしくはすべてを有するものに限定されない。
【0071】
上述の実施形態は、互いに任意に組み合わせて使用してもよい。いくつかの実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を形成してもよい。本出願が関連する検出装置、使用、または方法は、上述の実施形態のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0072】
検出装置には、例えば太陽光に存在する紫外線の強度を効率的に推定できるという追加の有用性がある。検出装置には、日光からの保護の必要性を推定したり、例えば、日差しの中で外で過ごすときに日焼け止めローションを塗り直す必要性を推定するための高速で信頼性の高い方法を可能にする追加の有用性がある。
【0073】
センサ要素の材料には、高UVレベルでも安定性を提供する低コストの材料であるという追加の有用性があり、白色光および/または加熱下での脱色もある。この材料には、可視光または加熱により色を無色(白)に戻す、つまり脱色できるという追加の有用性があり、再利用が可能である。この材料には、紅斑の作用スペクトルによく従い、特に日焼けの原因となるUVBおよびUVCを監視できるという追加の有用性がある。この材料には、太陽光に対し、UV指数値を表示するために色の強度を使用できるという追加の有用性がある。
【実施例】
【0074】
次に、説明した実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。
【0075】
以下の説明は、当業者が本開示に基づく検出装置および方法を利用することができるように詳細にいくつかの実施形態を開示する。多くのステップは本明細書に基づいて当業者に明らかであるため、実施形態のすべてのステップが詳細に議論されるわけではない。
【0076】
単純化の理由のために、構成要素を繰り返す場合、以下の例示的な実施形態ではアイテム番号を維持する。
【0077】
図1は、検出装置に入射する電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するための検出装置の一実施形態を概略的に示す。
図1の太線の矢印は、装置に入射する電磁放射線と、電磁放射線がフィルタ要素および収束要素を通って材料のセンサ要素に伝搬する様子を示す。
図1に示す検出装置1は、入射電磁放射線をフィルタリングするためのフィルタ要素2を備える。フィルタ要素2は、入射電磁放射線から590nm超の波長を有する電磁放射線をフィルタリング除去するように構成される。さらに、検出装置1は、入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成された収束要素3を備える。また、
図1に示す検出装置は、フィルタ要素および収束要素を通過した入射電磁放射線を受光するように配置された材料のセンサ要素4であって、材料のセンサ要素の色の変化により入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の強度を表示するためのセンサ要素4を備える。この材料は、本出願で定義する式(I)で表される。
【0078】
図1では、フィルタ要素および収束要素は、入射電磁放射線が最初にフィルタ要素を通過し、その後収束要素を通過できるように配置されている。この順番は逆でもよく、すなわち、これらの要素を、入射電磁放射線が最初に収束要素を通過し、その後にのみフィルタ要素を通過するように配置することも同様に好ましい。一実施形態では、フィルタ要素および収束要素は、一つの同じ要素、すなわち、入射電磁放射線から590nm超の波長を有する電磁放射線をフィルタリング除去し、入射電磁放射線に存在する所定種類の放射線の光子密度を増加させるように構成された単一の要素であってもよい。
【0079】
以下の実施例では、式(I)の材料をどのように調製できるかを示す。
【0080】
実施例1-(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2の調製
式(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2で表される材料は、以下の方法で調製した。0.7000gの乾燥した(500℃で1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.3067gのKClの粉末を混合した。混合物を空気中で850℃で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、生成物を、12%H2+88%N2の流動雰囲気下で850℃で2時間再加熱した。
【0081】
実施例2-(Na,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2の調製
式(Na,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2で表される材料は、以下の方法で調製した。0.7000gの乾燥した(500℃で1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.4957gのRbClの粉末を混合した。混合物を空気中で850℃で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、生成物を、12%H2+88%N2の流動雰囲気下で850℃で2時間再加熱した。
【0082】
実施例3-(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2の調製(以下、「Na,K組成2」として示す)
式(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2で表される材料は、以下の方法で調製した。0.7000gの乾燥した(500℃で1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4、0.1800gのNaClおよび0.0675gのKClの粉末を混合した。混合物を空気中で850℃で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、生成物を、12%H2+88%N2の流動雰囲気下で850℃で2時間再加熱した。
【0083】
実施例4-(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Euの調製
式(NaK)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Euで表される材料は、以下の方法で調製した。0.7000gの乾燥した(500℃で1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4、0.1800gのNaClおよび0.0675gのKClの粉末を0.002gのEu2O3の粉末と混合した。混合物を空気中で850℃で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、生成物を、12%H2+88%N2の流動雰囲気下で850℃で2時間再加熱した。
【0084】
実施例5-実施例1で調製された材料のサンプルのテスト
実施例1で調製した材料のサンプルを、UVI6で10秒間ソーラーシミュレータランプからの放射線に曝すことにより試験した。ランプからの放射線を、400nm超のすべての光をブロックする可視光ブロックフィルタでフィルタリングし、レンズで収束させた。焦点のサイズを変化させ、携帯電話のカメラを使用して対応する色強度を記録した。色強度は、非露光の白色材料と着色材料の赤緑青(RGB)比を計算することにより決定した。その結果を
図2に示す。結果は、高密度化係数を大きくすると、ビームサイズが小さくなりすぎるまで色強度が増加することを示す。
【0085】
実施例6-実施例1で調製した材料のサンプルのテスト
実施例1で調製した材料のサンプルを、最初に10秒間の302nmの放射線に曝し、次いでUVI6で10秒間のソーラーシミュレータランプに曝すことにより試験した。ソーラーシミュレータからの光を、高密度化係数235のレンズで収束し、フィルタを通して材料に向けた。基準材料は、10秒間の302nmの放射線のみに曝された。携帯電話のカメラを使用して色強度を記録し、302nmのみに曝した基準と、302nmおよびフィルタリングされたソーラーシミュレータランプに曝したサンプルとのRGB比を各フィルタについて計算した。その結果を
図3に示す。結果は、材料に到達する可視光の量が多いほど、色が弱くなることを示す。
【0086】
実施例7-実施例1で調製した材料のサンプルのテスト
実施例1で調製された材料のサンプルを、異なる紫外線指数(UVI)値で10秒間材料を照射することによって、1)フィルタ要素または収束要素を使用することなく、2)400nm超のすべての放射線をブロックするフィルタ要素を使用して、および3)400nm超のすべての放射線をブロックするフィルタ要素と、収束要素として高密度化係数22を有するレンズとを使用して、テストした。色強度は、携帯電話のカメラを使用して記録した。色強度は、非露光の白色材料と着色材料のRGB比を計算することにより決定した。その結果を
図4に示す。
【0087】
特許請求の範囲の実施形態は、上述したものに限定されず、特許請求の範囲内にさらなる実施形態が存在し得ることに留意されたい。