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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】3次元モデリング・システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/118 20170101AFI20221202BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20221202BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221202BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221202BHJP
   B29C 64/30 20170101ALI20221202BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/30
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019568812
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018055199
(87)【国際公開番号】W WO2018158439
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】2018455
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】17171475.1
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519316357
【氏名又は名称】ボンド ハイ パフォーマンス スリーディー テクノロジー ベーフェー
【氏名又は名称原語表記】BOND HIGH PERFORMANCE 3D TECHNOLOGY B.V.
【住所又は居所原語表記】Institutenweg 25A 7521 PH Enschede Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】ブルーグマン トーマス ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーグマン アドリアナス
(72)【発明者】
【氏名】ウォーバース マーティン ジョアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ケヴィン ヘンドリック ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】カイパー ボウイ
(72)【発明者】
【氏名】バルテルツ ジャン テューン
(72)【発明者】
【氏名】カイト コエンデルト ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】グルーン クラース
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-500709(JP,A)
【文献】特開2017-025187(JP,A)
【文献】特表2009-525207(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129733(WO,A1)
【文献】特表2010-517830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元オブジェクトを生成させるための3次元モデリング・システム(400、500)であって、
〇 3次元モデリング・プリントヘッド(121)を含み、
〇 前記プリントヘッド(121)は、位置決め手段に取り付けられており(106、107、502)、前記位置決め手段は、前記プリントヘッド(121)を空間的に移動させるためのものであり、
〇 前記プリントヘッド(121)は、
・ チューブ状給送部材(101)と、
・ 前記チューブ状給送部材(101)の一方の端部に配置されているノズル(102)であって、前記ノズル(102)は、ノズル出口部(102a)およびノズル先端部(102b)を有しており、前記ノズル先端部(102b)は、生成される前記オブジェクトの上のモデリング材料(108)の以前に堆積されたトラック(109)にインタフェース接続するためのものである、ノズル(102)と
を含み、
・ 前記チューブ状給送部材(101)は、モデリング材料(108)を前記ノズル出口部(102a)へ給送するための給送チャネル(120a、120b)を含み、
〇 前記システム(400、500)は、モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)をさらに含み、前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)は、前記ノズル(102)の反対側の前記チューブ状給送部材(101)の端部に配置されており、前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)は、前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に、前記ノズル(102)に向けて圧力を働かせるように配置されており、
〇 前記システム(400、500)は、前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す第1のパラメーター(P)を決定するための圧力決定手段(401、501、601~604)をさらに含み、
〇 前記システム(400、500)は、制御システム(412)をさらに含み、前記制御システム(412)は、前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す決定された前記第1のパラメーター(P)に基づいて、前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)を制御するように配置されており、
〇 前記制御システムは、前記位置決め手段および前記プリントヘッド(121)を制御するように配置されており、
・ 2つの第1のトラック(701、702)を堆積させるようになっており、ここで、前記2つの第1のトラック(701、702)は、間隔を離して配置されており、また、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を使用して、前記モデリング材料に働かされる前記圧力を制御しながら、前記2つの第1のトラック(701、702)の間に中間トラック(703、110d、110e)を堆積させるようになっており、
前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)は、制御可能なドライブ(104)と、前記ドライブ(104)によって発生する駆動力を前記モデリング材料(108)に伝達するためのトランスミッション手段(105a、105b、103)とを含み、
前記制御可能なドライブ(104)は、ロータリー・ドライブを含み、前記第1のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を示す第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段(401、601~604)を含み、前記第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、前記ロータリー・ドライブ(104)および/またはトランスミッション・システム(105a、105b)によって働かされるトルクを決定するためのトルク決定手段(401)を含む、
3次元モデリング・システム(400、500)。
【請求項2】
前記制御システム(412)は、前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を、所定の最小圧力値と所定の最大圧力値との間に維持するために、前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)を制御するように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御システム(412)は、前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を一定の値に維持するように配置されている、請求項1に記載のシステム(400、500)。
【請求項4】
前記制御可能なドライブ(104)は、電気モーター(104)を含み、前記トルク決定手段(401)は、モーター電流測定手段を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(400)。
【請求項5】
前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)は、モデリング材料ロッドを前記チューブ状給送部材(101)の中へ給送するためのプランジャー(103)を含み、前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(401、601~603)は、圧力センサーを含み、前記圧力センサーは、前記プランジャー(103)によって前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を測定するために、前記プランジャー(103)に配置されている、請求項に記載のシステム(400)。
【請求項6】
前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(401、601~603)は、前記チューブ状給送部材(101)の前記給送チャネル(120a)に接続されている圧力センサー(601)を含む、請求項に記載のシステム(400)。
【請求項7】
前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(401、601~603)は、前記ノズル(102)における給送チャネル(120b)に接続されている圧力センサー(602)を含む、請求項に記載のシステム(400)。
【請求項8】
前記圧力決定手段(601~603)は、ノズル変形センサー(603)を含む、請求項に記載のシステム(400)。
【請求項9】
前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を決定するための前記圧力決定手段(401、501、601~604)は、堆積されている前記中間トラック(703、110d、110e)の中の前記モデリング材料に働かされる圧力を示す第3のパラメーターを決定するための圧力決定手段(501、604)を含む、請求項に記載のシステム(500)。
【請求項10】
堆積されている前記中間トラック(703、110d、110e)の中の前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(501、604)は、圧力センサー(604)を含み、前記圧力センサー(604)は、前記ノズル先端部(102b)において堆積されている前記モデリング材料(110)の中の圧力を測定するために、前記ノズル先端部(102b)における流体チャネルを有している、請求項に記載のシステム(500)。
【請求項11】
堆積されている前記中間トラック(703、110d、110e)の中の前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(501、604)は、前記プリントヘッド(121)と前記位置決め手段との間に配置されている力センサー(501)を含む、請求項に記載のシステム(500)。
【請求項12】
前記力センサー(501)は、前記プリントヘッドおよび前記位置決め手段の相互接続部(107)に配置されている、請求項11に記載のシステム(500)。
【請求項13】
堆積されている前記中間トラック(703、110d、110e)の中の前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための前記圧力決定手段(501、604)は、ベース(504)の上に配置されている力センサーを含み、前記ベース(504)は、生成される前記オブジェクトを受け入れるように配置されている、請求項に記載のシステム(500)。
【請求項14】
モデリング材料フロー決定手段をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム(400、500)。
【請求項15】
前記フロー決定手段は、前記モデリング材料給送手段(103、104、105a、105b)の変位を決定するための変位センサーを含み、前記制御システムは、単位時間当たりの変位を決定することによってフローを決定するように配置されている、請求項14に記載のシステム(400、500)。
【請求項16】
前記フロー決定手段は、前記モデリング材料のフローを決定するためのフロー・センサーを含む、請求項14に記載のシステム(400、500)。
【請求項17】
前記フロー決定手段は、前記ドライブ(104、105a、105b)の回転速度を決定するためのセンサーを含む、請求項14に記載のシステム(400、500)。
【請求項18】
前記制御システム(412)は、代替的に、決定された前記モデリング材料フローを使用して、前記モデリング材料(108)のフローを制御するようにさらに配置されている、請求項14~17のいずれか一項に記載のシステム(400、500)。
【請求項19】
前記制御システム(412)は、前記モデリング材料の前記フローを制御しながら、2つの前記第1のトラック(701、702)を堆積させるために、前記位置決め手段および前記プリントヘッドを制御するようにさらに配置されている、請求項18に記載のシステム(400、500)。
【請求項20】
3次元オブジェクトを生成させるための3次元モデリングの方法であって、
・ 前記請求項1~19のいずれか一項に記載の3次元モデリングのためのシステム(400、500)を使用して、前記3次元オブジェクトの3次元モデリングを実施するステップを含み、3次元モデリングを実施する前記ステップは、
・ 前記モデリング材料給送手段(104、105a、105b、103)を使用して前記モデリング材料(108)を給送するステップと、
・ 前記モデリング材料に働かされる圧力を示す第1のパラメーター(P)を決定するステップと、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)に応じて、前記モデリング材料給送手段(104、105a、105b、103)を制御(412)するステップと、
・ 3次元モデリング材料の2つの第1のトラック(701、702)を堆積させるステップであって、2つの前記第1のトラック(701、702)は、間隔を離して配置されている、ステップと、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を使用して、前記モデリング材料に働かされる前記圧力を制御しながら、2つの前記第1のトラック(701、702)の間に中間トラック(703、110d、110e)を堆積させるステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)に応じて、前記モデリング材料給送手段(104、105a、105b、103)を制御(412)する前記ステップは、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を基準値(P)と比較(403)するステップを含み、
・ 制御する前記ステップは、前記第1のパラメーター(P)と前記基準値(P)との間の差に基づいている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記モデリング材料(108)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)に応じて、前記モデリング材料給送手段(104、105a、105b、103)を制御(412)するステップは、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を、以前に決定された最小圧力値と以前に決定された最大圧力値との間に維持するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)に応じて、前記モデリング材料給送手段(104、105a、105b、103)を制御(412)する前記ステップは、
・ 前記モデリング材料(108、110)に働かされる前記圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を、以前に決定された一定の値に維持するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を決定する前記ステップは、前記チューブ状給送部材(101)および/またはノズル(102)の前記給送チャネル(120a、120b)の中の前記モデリング材料(108)に働かされる圧力を示す第2のパラメーターを決定するステップを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーター(P)を決定する前記ステップは、堆積されている前記トラック(110、703)の中の前記モデリング材料に働かされる圧力を示す第3のパラメーターを決定するステップを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
・ モデリング材料フローを決定するステップと、
・ 代替的に、前記モデリング材料フローを使用して、前記モデリング材料(108)のフローを制御するステップと
をさらに含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
・ 前記モデリング材料の前記フローを制御しながら、2つの前記第1のトラック(701、702)を堆積させるステップ
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元オブジェクトを生成させるための3次元モデリング・システム、および、3次元オブジェクトを3次元モデリングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元モデリングでは、オブジェクトが、制御された様式でモデリング材料を積層することによって形成され、所望の3次元形状のオブジェクトが生成され得るようになっている。また、オブジェクトを形成するこの方式は、アディティブ・マニュファクチャリングと称され得る。3次元モデリングに関して非常に多くの場合、3次元モデリング・プリンターが使用され得る。プリンターは、3次元に移動可能なプリントヘッドを有しており、プリントヘッドがモデリング材料の以前に堆積されたトラックの上方を移動している間に、プリントヘッドは、モデリング材料をディスペンスする。
【0003】
プリントされるオブジェクトは、ベースの上に設置され得る。プリントヘッドは、モデリングもしくはプリントされているオブジェクトに対して、3次元空間の中で移動可能であり、または、その逆も同様である。いくつかのケースでは、オブジェクトは、プリントヘッドに対して、1次元または複数次元で移動可能である。オブジェクトがその上にモデリングされているオブジェクトをプリントヘッドに対して移動させることに関して、さまざまな組み合わせが可能であり、また、その逆も同様である。
【0004】
プリントヘッドの運動は、制御システムによって制御され、制御システムは、3次元的に制御可能な位置決めシステムを制御し、プリントヘッドが、位置決めシステムに取り付けられている。ソフトウェアによって、トラックのパターンが設計され得、そのパターンが、プリントヘッドを移動させるために、および、トラックを堆積させるために使用される。
【0005】
オブジェクトは、移動可能なプリントヘッドに対して基準場所において、ベース構造体の上で生成される。モデリング材料は、以前に形成されたトラックと融合され得る。3次元モデリング材料は、たとえば、フィラメント、粒状物、ロッド、液体、または懸濁液の形態で、プリントヘッドの中に給送され得る。プリントヘッドは、プリントヘッドからノズルを通してモデリング材料をディスペンスし、トラックの形態でベースの上にそれを堆積させ、トラックの層を形成し、または、生成されるオブジェクトの以前の層が堆積されているときには、以前に堆積されたトラックの上のオブジェクトの上にそれを堆積させ、そこで、それを固化させる。モデリング材料は、熱的にもしくは化学的にまたはその他の方法で、以前に堆積されたトラックと融合され得る。化学的なモデリング材料が、プリントヘッドからディスペンスされ得、以前に堆積されたトラックの上に堆積され得、堆積の直後に固化するように硬化され得る。
【0006】
トラックの中でのプリントヘッドに対するベースおよびオブジェクトの相対運動、ならびに、プリントヘッドからのモデリング材料の同時の堆積は、熱溶解積層されたオブジェクトがそれぞれの堆積されたトラックとともに成長することを可能にし、その所望の形状を徐々に獲得する。
【0007】
現在の材料押出プリンター(粒状物押出機、ラム押出機、およびシリンジ押出機を含む)では、材料が、フィード・フォワードのフロー制御された方式で堆積される。モデリング材料のフローは、堆積されるトラックの厚さおよびプリント速度に応じて、一定に維持される。マシン・キャリブレーションの一部として、材料フローがキャリブレートされる。
【0008】
そのうえ、X-Y-Z位置決めシステムは、生成されているオブジェクトの以前に堆積されたトラックの上方をプリントヘッドに移動させ、X-Y-Z位置決めシステムは、生成されるオブジェクトの正確な寸法を維持するために、および、特に、堆積されているトラックの制御された厚さを維持するために、キャリブレートされなければならない。
【0009】
キャリブレーションが正しいときには、固体オブジェクトが、フロー制御を使用して正確にプリントされ得る。プリントヘッド・ノズルと以前に堆積された層との間のギャップが、たとえば、キャリブレーションの欠如に起因して増加するときには、モデリング材料のフローは、ギャップを充填するには小さくなり過ぎる可能性があり、それによって、プリントされたトラック同士の間にスペースを発生させ、プリントされたオブジェクトの中にキャビティーを結果として生じさせる。これは、押出不足(under-extrusion)と呼ばれる。
【0010】
他方では、プリントヘッド・ノズルと以前に堆積されたトラックとの間のギャップが、キャリブレーションの欠如に起因して減少するときには、モデリング材料のフローは、堆積されているトラックに対して高くなり過ぎる可能性があり、したがって、あまりに多くの材料が押し出される。これは、押出過剰(over-extrusion)と呼ばれる。また、トラックが2つの以前に堆積されたトラックの間に存在し、それらの間のスペースが狭くなっているときに、押出過剰が起こる可能性がある。これは、オブジェクトとプリントヘッドとの間に過度の力を結果として生じさせる可能性があり、また、モデリング材料のオーバーフローに起因して、オブジェクトの粗い表面を結果として生じさせる可能性がある。モデリング材料のオーバーフローは、プリントヘッドのノズル先端部の上の破片または残留物につながる可能性があり、それは、ノズル先端部から脱落し、プリントされているオブジェクトと融合し、オブジェクトの潜在的な損失を引き起こす可能性がある。
【0011】
また、キャリブレーションの喪失は、熱膨張によって、およびプリンティングの間に、および、その後の、熱融合された材料のプリンティングの後の収縮の間に、引き起こされ得る。熱膨張および熱収縮が不十分に補償されるときには、ノズルと以前に堆積されたトラックとの間のギャップは、一定の寸法を有しない可能性がある。同様に、プリントヘッドまたはノズルによる堆積方向に対して垂直の方向への寸法も、熱影響に起因して変化する可能性がある。
【0012】
押出不足または押出過剰の別の原因は、モデリング材料の原材料寸法の変動にある可能性がある。たとえば、モデリング材料のフィラメントが使用されるときには、その直径は、変化する可能性があり、プリンティングのときに堆積されるモデリング材料の量の変動を引き起こし、堆積されているモデリング材料の一定フロー制御を使用するときに、押出不足または押出過剰への原因を与える。
【0013】
X-Y-Zシステムのキャリブレーション、および、モデリング材料の給送手段のキャリブレーションを実施するときに、最も高い優先事項は、押出過剰を防止することである。その理由は、これがプロセスを信頼できないものにするからである。したがって、3次元モデリング押出プリンターは、通常、オープン・スペースまたはキャビティーの形成を引き起こすある程度の押出不足を有している。副作用として、パーツは、リーク・タイトまたは耐圧性にならず、パーツの強度は、準最適になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、上記に説明されている問題および不利益を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、3次元オブジェクトを生成させるための3次元モデリング・システムであって、3次元モデリング・システムは、3次元モデリング・プリントヘッドを含み、プリントヘッドは、位置決め手段に取り付けられており、位置決め手段は、プリントヘッドおよびプリントされているオブジェクトのうちの少なくとも1つを互いに空間的に移動させる、3次元モデリング・システムにおいて実現される。
【0016】
プリントヘッドは、チューブ状給送部材と、チューブ状給送部材の一方の端部に配置されているノズルとを含み、ノズルは、モデリング材料をディスペンスするための出口部と、生成されるオブジェクトの上のモデリング材料の以前に堆積されたトラックに面するためのノズル先端部を有している。
【0017】
チューブ状給送部材は、モデリング材料をノズル出口部へ給送するための給送チャネルを含む。
【0018】
システムは、ノズルの反対側のチューブ状給送部材の端部に配置されているモデリング材料給送手段をさらに含み、モデリング材料給送手段は、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力をノズルに向けて働かせるように配置されている。
【0019】
システムは、モデリング材料に働かされる圧力を示す第1のパラメーターを決定するための圧力決定手段をさらに含む。
【0020】
システムは、制御システムをさらに含み、制御システムは、モデリング材料に働かされる圧力を示す決定された前記第1のパラメーターに基づいて、モデリング材料給送手段を制御するように配置されている。
【0021】
制御システムは、位置決め手段およびプリントヘッドを制御するように配置されており、2つの第1のトラックを堆積させるようになっており、ここで、前記2つの第1のトラックは、間隔を離して配置されており、また、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを使用して、モデリング材料に働かされる圧力を制御しながら、前記2つの第1のトラックの間に中間トラックを堆積させるようになっている。
【0022】
圧力を制御することによって、たとえば、圧力が特定のレベルを下回って降下するときに押出不足が起こるということが、圧力決定手段を使用する制御システムによってセンシングされ得る。チューブ状給送部材の中のモデリング材料に働かされる圧力を増加させることによって、この押出不足は補償され得る。たとえば、現在のトラックを堆積させている間に以前に堆積された隣接するトラック同士の間のスペースが広がっているときに、これが起こる可能性がある。
【0023】
他方では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターが、特定のレベルを上回って増加するときに、押出過剰が起こるということがセンシングされ得る。チューブ状給送部材の中のモデリング材料に働かされる圧力を減少させることによって、この押出過剰が補償され得る。たとえば、以前に堆積された隣接するトラック同士の間のスペースが狭まっているときに、これが起こる可能性がある。モデリング材料の圧力を制御することによって、プリントされたオブジェクトの中の残りのスペースは、残りのスペースの体積から独立して、良好に充填される。これは、堆積されている中間トラックを、以前に堆積された隣接するトラックと融合することを結果として生じさせ、キャビティーの完全な充填、および、隣接するトラック同士の間の改善された結合を引き起こす。したがって、パーツは、最適なリーク・タイトネスおよび強度を有することとなる。
【0024】
ノズルと以前に堆積された層との間のギャップによって決定されるトラック厚さは、通常、非常に小さい。これは、このギャップにわたる圧力降下が、モデリング材料の粘度に起因して大きくなるということを暗示している。ノズル先端部の中におけるまたはノズル先端部における圧力のレベルからの圧力降下が大気圧力に到達するために、ミリメートルの大きさのオーダーの距離だけを必要とする。ノズルへの距離が大きくなるにつれて、ギャップにわたる圧力降下が増加する。圧力降下がノズルの中の超過圧力に等しいときには、フローが停止し、トラックは幅広くならない。プリントヘッドがオブジェクトの上方を移動するとき、これは、安定したトラック幅になるようにバランスする。
【0025】
フロー制御されたプリンティングとの主な相違は、堆積されている中間トラックの幅が、すべてのギャップを上手く充填しながら、一定の線の幅とバランスするが、一方、フロー・ベースのプリンティングは、システマティックな押出不足または押出過剰を結果としてすぐに生じさせるということである。
【0026】
モデリング材料に働かされる圧力を制御することによって、ノズルと以前に堆積されたトラックとの間のギャップ・サイズの変動が補償される。
【0027】
本発明によるシステムの実施形態では、制御システムは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを所定の最小圧力値と所定の最大圧力値との間に維持するために、モデリング材料給送手段を制御するように配置されている。これは、位置決め手段のアライメントまたはキャリブレーションの非完璧性にかかわらず、モデリング材料に働かされる圧力が、押出過剰または押出不足が起こらないことを保証する範囲内になることを可能にする。
【0028】
本発明によるシステムの実施形態では、制御システムは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを一定の値に維持するように配置されている。これは、以前に堆積されたトラック同士の間にまたは以前に堆積されたトラックに隣接して堆積される中間トラックをさらに改善し、破片および残留物の形成を防止しながら、オープン・スペースまたはキャビティーを残すことなく、十分に充填されるようにする。そのうえ、一定の圧力は、プリントヘッドおよびモデリング材料給送手段の摩耗を低減させる。
【0029】
本発明によるシステムの実施形態では、モデリング材料給送手段は、制御可能なドライブと、トランスミッション手段とを含み、トランスミッション手段は、ドライブによって発生する力をモデリング材料に伝達するために、ドライブに接続されている。制御可能なドライブは、制御システムが制御可能な力を発生させることを可能にし、制御可能な力は、チューブ状の給送手段(すなわち、給送チャネル)の中のモデリング材料に働かされる圧力、および、ノズル先端部におけるモデリング材料に働かされる圧力を結果として生じさせる。
【0030】
本発明によるシステムの実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段を含む。これは、たとえば、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターが、制御可能なドライブおよびトランスミッション手段によってモデリング材料に働かされる力によって決定されることを可能にする。このように決定される第2のパラメーターは、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す尺度を構成する。
【0031】
モデリング材料に応じて、適当なドライブおよび力トランスミッション手段が選ばれ得る。制御可能なドライブは、制御システムによって制御可能である。ノズル先端部における力、ならびに、ドライブおよびトランスミッション・システムの中のトルクは、モデリング材料に働かされる圧力を示していると考えられ得る。
【0032】
本発明によるシステムの実施形態では、制御可能なドライブは、ロータリー・ドライブを含み、また、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、ロータリー・ドライブおよび/またはトランスミッションによって働かされるトルクを決定するためのトルク決定手段を含む。これは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターが、ロータリー・ドライブおよびトランスミッションのうちの少なくとも1つによって働かされるトルクから導出されることを可能にする。
【0033】
本発明によるシステムの実施形態では、制御可能なドライブは、電気モーターを含み、トルク決定手段は、モーター電流測定手段を含む。これは、任意のさらなるトルク・センサーなしのトルク決定を可能にする。
【0034】
本発明によるシステムの実施形態では、モデリング材料給送手段は、モデリング材料をモデリング材料フィーダーの中へ給送するためのプランジャーを含む。プランジャーは、ロッドの形態のモデリング材料がチューブ状給送部材の中へ給送されることを可能にする。
【0035】
給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターは、プランジャーによってモデリング材料に働かされる圧力によって決定され、また、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、力センサーを含み、力センサーは、プランジャーによってモデリング材料に働かされる圧力を測定するためのプランジャーに配置されている。
【0036】
働かされる力から、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターが導出され得る。これは、ドライブ・システムからのモーター電流またはトルクを測定することに対する代替的な方式であり、チューブ状給送部材の給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターを容易に決定する。
【0037】
本発明によるシステムの実施形態では、給送チャネルのモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、圧力センサーを含み、圧力センサーは、チューブ状給送部材の給送チャネルに接続されている。したがって、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターは、圧力センサーによって直接的に決定され得る。
【0038】
本発明によるシステムの実施形態では、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、圧力センサーを含み、圧力センサーは、ノズルにおける給送チャネルに接続されている。したがって、給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第2のパラメーターは、代替的に、ノズルの中の圧力センサーによって直接的に決定され得る。
【0039】
本発明によるシステムの実施形態では、ノズルに配置されている圧力センサーは、ノズル変形センサーを含む。これは、センサーがノズルの給送チャネルの中のモデリング材料のフローとの直接的な接触を必要としないという利点を有している。
【0040】
本発明によるシステムの実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す第3のパラメーターを決定するための圧力決定手段を含む。これは、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料の直接的な測定および制御を可能にし、したがって、モデリング材料の滑らかな堆積を確保し、横方向に以前に堆積されたトラックとの最適な融合を可能にする。
【0041】
本発明によるシステムの実施形態では、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、圧力センサーを含み、圧力センサーは、ノズル先端部において堆積されているモデリング材料の中の圧力を測定するために、ノズル先端部における流体チャネルを有している。ノズル先端部における流体チャネルは、ノズル出口部の近くのノズルの外側に堆積されている中間トラックの中の圧力を測定することを可能にする。これは、堆積されているモデリング材料の中のノズル先端部における圧力の直接的な測定を可能にし、高速で正確な圧力測定を確保する。
【0042】
本発明によるシステムの実施形態では、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、力センサーを含み、力センサーは、プリントヘッドと位置決め手段との間に配置されている。プリントヘッド(すなわち、ノズル先端部)によって、堆積されている中間トラックのモデリング材料に働かされる力は、プリントヘッドから、ガントリーおよび位置決めシステム、ベースを介して、生成されるオブジェクトへの機械的な経路の中の異なる場所において、反作用力を測定することによって測定され得、機械的な経路は、プリントヘッドによって堆積されている中間トラックに働かされる力を伝える。決定された力から、先端部においてモデリング材料に働かされる圧力が導出され得る。
【0043】
本発明によるシステムの実施形態では、力センサーは、プリントヘッドおよび位置決め手段の相互接続部に配置されている。このケースでは、力が、プリントヘッドと位置決め手段(より具体的には、プリントヘッドが装着されるガントリー)との間で測定され得る。
【0044】
本発明によるシステムの実施形態では、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す前記第3のパラメーターを決定するための圧力決定手段は、力センサーを含み、力センサーは、位置決め手段のベースの上に配置されており、ベースは、生成されるオブジェクトを受け入れるように配置されている。生成されるオブジェクトは、基準場所に位置付けされている。それは、ベースの上に装着され得る。ビルド・プレートにかかる力が測定され得、または、代替的に、ビルド・プレートと位置決め手段との間の力が測定され得、圧力を示すパラメーターがそれから導出され得る。
【0045】
決定された圧力は、プリントされているオブジェクトの重量によって補償され得る。この重量は、たとえば、プリントヘッドがアクティブでないかまたは引っ込められているときに、力センサーによって決定され得る。これは、トラックの堆積が実施されるプリンティング・プロセスの間の時間間隔において実施され得る。
【0046】
本発明によるシステムの実施形態では、システムは、モデリング材料フロー決定手段をさらに含む。これは、トラックを堆積させる際に使用されるモデリング材料の量の決定を可能にする。モデリング材料フローおよびプリンティング速度から、堆積されているトラックの厚さが決定され得る。
【0047】
本発明によるシステムの実施形態では、フロー決定手段は、モデリング材料給送手段の変位を決定するための変位センサーを含み、制御システムは、単位時間当たりの変位を決定することによってフローを決定するように配置されている。モデリング材料給送手段は、モデリング材料をチューブ状給送部材の中へ押し込む。単位時間当たりの給送手段の変位を測定することによって、モデリング材料フローが、時間当たりの変位、および、チューブ状の給送部材の断面積から決定され得る。
【0048】
本発明によるシステムの実施形態では、フロー決定手段は、モデリング材料のフローを決定するためのフロー・センサーを含む。
【0049】
本発明によるシステムの実施形態では、フロー決定手段は、ロータリー・ドライブの回転速度を決定するためのセンサーを含む。ロータリー・ドライブは、モデリング材料給送手段を駆動する。チューブ状給送部材の中のモデリング材料の変位は、それによって、ロータリー・ドライブの回転速度にリンク付けされる。したがって、ロータリー・ドライブの回転速度から、チューブ状の給送部材の中のモデリング材料フローが導出され得る。これは、電気モーターがロータリー・ドライブとして利用されているときに、回転速度が、モーターの駆動と関連付けられる電気パラメーターから容易に決定され得るという利点を有している。したがって、別個の変位センサーは必要とされない。
【0050】
本発明によるシステムの実施形態では、制御システムは、代替的に、決定されたモデリング材料フローを使用して、モデリング材料のフローを制御するようにさらに配置されている。
【0051】
本発明によるシステムの実施形態では、制御システムは、モデリング材料の前記フローを制御しながら、2つの前記第1のトラックを堆積させるために、位置決め手段およびプリントヘッドを制御するようにさらに配置されている。このスキームにおいて、2つの第1のトラックは、以前に堆積されたトラックから独立して堆積され得る。そのようなトラックは、スペースおよびキャビティーを防止するための高い充填グレードを必要とせず、したがって、フロー制御が使用され得る。しかし、2つの第1のトラックの間に堆積される中間トラックは、キャビティーを残さない高い充填グレードを必要とする。したがって、この中間トラックは、圧力制御を使用して堆積され得る。
【0052】
チューブ状給送部材は、加熱エレメントによって加熱可能であり得、加熱エレメントは、ノズルに隣接して、チューブ状給送部材の少なくとも下側部分の周りに配置されている。これは、加熱可能なモデリング材料が熱溶解積層法システムによって加工されることを可能にする。モデリング材料は、それがチューブ状給送部材の中へ押し込まれている間に加熱される。モデリング材料が到達するときには、ノズルは、モデリング材料溶融温度まで加熱される。加熱エレメントは、必要とされる溶融温度に到達するように寸法決めおよび制御され得る。
【0053】
ノズルは、ノズルの周りにまたはノズルの中に配置されている加熱エレメントによって加熱可能である。これは、チューブ状給送部材の加熱エレメントがより低い温度に調節されることを可能にし、モデリング材料が熱的に劣化することを防止する。その理由は、いくらかの材料が、高い温度、すなわち、溶融温度に、限られた時間だけ維持され得るからである。ノズルの近くの給送チャネルの最後の部分のみにおいて、モデリング材料は、その溶融温度まで加熱され、したがって、モデリング材料が良好な条件に維持されながら、十分なプリンティングが提供され、すなわち、劣化が防止される。
【0054】
本目的は、3次元モデリングの方法であって、方法は、上記に説明されているような3次元モデリングのためのシステムを使用して3次元モデリングを実施するステップを含み、方法は、モデリング材料給送手段を使用してモデリング材料を給送するステップと、モデリング材料に働かされる圧力を示す第1のパラメーターを決定するステップと、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターに応じて、モデリング材料給送手段を制御するステップと、3次元モデリング材料の2つの第1のトラックを堆積させるステップであって、2つの前記第1のトラックは、間隔を離して配置されている、ステップと、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを使用して、モデリング材料に働かされる圧力を制御しながら、2つの前記第1のトラックの間に中間トラックを堆積させるステップとをさらに含む、方法においてさらに実現される。
【0055】
本発明による方法の実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターに応じて、モデリング材料給送手段を制御するステップは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを基準値と比較するステップを含み、制御するステップは、前記第1のパラメーターと基準値との間の差に基づいている。
【0056】
本発明による方法の実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターに応じて、モデリング材料給送手段を制御するステップは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを、以前に決定された最小圧力値と以前に決定された最大圧力値との間に維持するステップを含む。
【0057】
本発明による方法の実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターに応じて、モデリング材料給送手段を制御するステップは、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを、以前に決定された一定の値に維持するステップを含む。
【0058】
本発明による方法の実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを決定するステップは、チューブ状給送部材および/またはノズルの給送チャネルの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す第2のパラメーターを決定するステップを含む。
【0059】
本発明による方法の実施形態では、モデリング材料に働かされる圧力を示す前記第1のパラメーターを決定するステップは、堆積されている中間トラックの中のモデリング材料に働かされる圧力を示す第3のパラメーターを決定するステップを含む。
【0060】
本発明による方法の実施形態では、方法は、モデリング材料フローを決定するステップと、代替的に、モデリング材料フローを使用して、モデリング材料のフローを制御するステップとをさらに含む。
【0061】
本発明による方法の実施形態では、方法は、モデリング材料の前記フローを制御しながら、2つの前記第1のトラックを堆積させるステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1a】従来技術による3次元モデリングのためのシステムのダイアグラムである。
図1b】従来技術による3次元モデリングのためのシステムを制御するための制御システムのブロック図である。
図2a】従来技術による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図2b】従来技術による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図2c】従来技術による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図3a】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図3b】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図4a】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムのダイアグラムを示す図である。
図4b】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムを制御するための制御システムのブロック図を示す図である。
図5】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムのダイアグラムを示す図である。
図6a】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図6b】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図6c】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図6d】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図7a】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図7b】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図7c】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図8a】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
図8b】本発明の実施形態による3次元モデリングのためのシステムの態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1aでは、3次元モデリングのためのシステム100が、簡単化された形態で示されている。システム100は、3次元モデリング・プリントヘッド121を含み、プリントヘッド121は、接続部107を介してガントリー106に取り付けられており、ガントリー106は、X-Y-Z位置決めシステム(図1aには示されていない)の中に含まれており、それは、モデリング材料のトラック110を堆積させている間に、プリントヘッド121およびプリントされるオブジェクトが互いに対して相対的に移動することを可能にする。トラック110は、層になって堆積され得る。プリントヘッド121は、チューブ状給送部材101を含み、チューブ状給送部材101は、押出機チューブとして作用し、チューブ状給送部材101は、チューブ状給送部材101の一方の端部から、チューブ状給送部材101の反対側端部に接続されているノズル102へ、モデリング材料108を給送するように配置されている。チューブ状給送部材101は、たとえば、ステンレス鋼などのような金属から作製され得る。
【0064】
チューブ状給送部材101およびノズル102は、それぞれ、セクション120a、120bを有する給送チャネルを含む。給送チャネル・セクション120aは、モデリング材料108が導入されることおよびノズルに向けて押されることを可能にし、一方、給送チャネル・セクション120bは、ノズル102の中に位置決めされており、給送チャネル・セクション120bは、ノズル先端部102bにおけるノズル出口部102aにつながっている。プリンティングの間に、ノズル先端部102bは、堆積されているトラック110のモデリング材料と接触している。
【0065】
3次元モデリング材料108は、熱可塑性ポリマー、たとえば、ポリ乳酸(PLA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを含むことが可能である。これらの材料は、チューブ状給送部材101の中で溶融され得、生成されるオブジェクトを形成するために、ノズル102からトラック109、110の中にディスペンスされ得る。
【0066】
また、チューブ状給送部材101およびノズル102は、1つまたは複数の加熱エレメントを設けられ得、1つまたは複数の加熱エレメントは、チューブ状給送部材101の周りに配置され、モデリング材料原材料を加熱および溶融することが可能であり、プリントヘッド121が溶融状態のモデリング材料を堆積および融合することを可能にするようになっている。
【0067】
3次元モデリングのための他の材料は、ペースト、懸濁液、または樹脂を含むことが可能であり、それは、トラック109、110の中に堆積され得、たとえば、紫外光、空気、熱、または他の硬化剤への露出によって硬化され得る。
【0068】
モデリング材料108は、X-Y-Z位置決めシステムによって実行される連続的な堆積動作で、第1のトラックの中でベースの上に、および、以前に堆積されたトラック109の上に堆積される。ベースは、ベースプレートであるか、グランドであるか、または、トラックの堆積を開始させるのに適切な、ならびに、プリントされるオブジェクトを構築および担持するのに適切な任意の他の構造体であることが可能である。ベースは、固定され得るか、または、移動可能であり得る。いくつかのケースでは、ベースは、水平方向のX-Y方向に移動可能であり、一方、プリントヘッド121は、垂直方向のZ方向に移動可能である。他のケースでは、ベースが、プリントヘッド121に対して、X-Y-Zの水平方向および垂直方向に移動可能である。繰り返しになるが他のケースでは、プリントヘッドが、ベースに対して、X-Y-Zの水平方向および垂直方向に移動可能である。この説明では、後者のケースが、例として提供される。
【0069】
プリントヘッド121が、以前に堆積されたトラック109の上方を移動している間に、ドライブ・システム113は、ロータリー・ドライブ104、トランスミッション・ギヤ105a、105bを含み、トランスミッション・ギヤ105a、105bは、ロータリー・ドライブ104の回転運動をプランジャー103の長手方向の運動へ伝達するためのものであり、プランジャー103は、チューブ状給送部材101の給送チャネル・セクション120aの中のモデリング材料をノズル102に向けて押す。ドライブ104の回転移動は、トランスミッション・ギヤ105a、105b、および、プランジャー103へのスピンドル・トランスミッションを介して、プランジャー103の並進へ変換され得る。
【0070】
回転から並進へのトランスミッションによってモデリング材料108に働かされる圧力は、モーター軸棒の角度変位およびプランジャー103(トランスミッション・ギヤ105a、105bへの回転のスピンドルに取り付けられている)の長手方向変位の伝達比を使用して、決定されたトルクから導出され得る。ロータリー・ドライブ104は、ステッパー・モーターであることが可能であり、ステッパー・モーターは、離散的な数のステップを選ばれた方向に進行させるように、デジタルで制御され得る。また、ロータリー・ドライブ104は、電気モーター、DCもしくはAC、またはサーボモーターであることが可能であり、それは、モーターに供給される電圧および/または電流によって制御可能である。後者のケースでは、モーター軸棒に接続されているエンコーダーが、モーターの位置情報を提供することが可能である。
【0071】
熱溶解積層法システムの中で使用される非ロータリー・ドライブおよびトランスミッション・ギヤを利用するプリントヘッドの中のモデリング材料に働かされる圧力の制御は、ロータリー・タイプ・ドライブおよびトランスミッションと同様であるということを、当業者は理解する。
【0072】
プランジャー103は、変位センサー111を設けられ得、変位センサー111は、チューブ状給送部材101に対するプランジャー103の変位Xを測定するように配置され得る。図1aに示されているような従来技術が、例として示されており、たとえば、チューブ状給送部材101の中のモデリング材料ロッドをノズル102へ給送する。当技術分野では、モデリング材料をノズル102へ給送する代替的な例も利用可能であり、それは、たとえば、フィラメント・パンチ・ローラーを使用して、モデリング材料フィラメントをチューブ状給送部材101の中へ給送するものなどであり、フィラメント・パンチ・ローラーは、電気モーターによって駆動され得る。以前に堆積されたトラック109の上のトラック110の堆積は、モデリング材料フィラメントがチューブ状給送部材101の中へ給送されている間に、X-Y-Z位置決めシステムを使用して、同様の方式で実施される。
【0073】
図1aによるシステム100は、制御システムによって制御され得、制御システムは、必要とされるトラック厚さおよびプリンティング速度に比例するレートで、3次元モデリング材料をディスペンスするように配置されている。これを実現するために、モデリング材料108の所定のフローが、実現される。制御システムは、ロータリー・ドライブ104を制御し、変位センサー111は、プランジャー103の変位Xを測定する。単位時間当たりのプランジャー103の変位は、モデリング材料108のフローを提供し、それによって、トラック110の中にディスペンスされるモデリング材料108の必要とされる量を制御システムが調整することを可能にする。
【0074】
図1bでは、フロー制御システム112の例のブロック図が示されており、そこでは、必要とされるフローに関する設定値Sが、減算ユニット115に提供され、減算ユニット115は、計算された単位時間当たりの変位Xを設定値Sから減算するように配置されており、それによって、エラー信号を与え、エラー信号は、制御システムの調整器モジュール114に供給され得る。
【0075】
フロー調整器モジュール114は、適当な伝達関数H1を提供され得、伝達関数H1は、比例制御関数、比例積分制御関数、または、比例積分微分制御関数を有している。フロー制御システム112は、ロータリー・ドライブ104およびトランスミッション・ギヤ105a、105b、ならびに、ドライブ・システム113の中のギヤ・ホイール105bからプランジャー103へのスピンドル・トランスミッションのトランスミッション(図1bの中のブロックとして象徴的に示されている)を制御し得る。
【0076】
説明されているように、プランジャー103の変位は、変位センサー111から取得され得るが、しかし、当業者は、プランジャー103の変位を確立するための代替例を見出すことが可能である。
【0077】
図2aでは、従来技術による、モデリング材料の堆積による3次元モデリングが図示されている。モデリング材料の新しいトラック110aが、以前に堆積されたトラック109の上に堆積されている。理想的な状況では、堆積されるトラックは、連続的に堆積されている。水平方向にも、垂直方向にも、以前に堆積されたトラックとトラックとの間にギャップは存在していない。これは、必要とされるトラック厚さおよびプリントヘッド121の堆積速度に対して、モデリング材料のフローが正確に制御されるときに実現され得る。堆積しているモデリング材料の程度およびタイトネスは、システムまたはプリンターのキャリブレーションに高度に依存する。
【0078】
図2bでは、押出不足と呼ばれる、フロー制御される3次元モデリングの一般的な欠陥が示されている。押出不足では、キャビティーまたはギャップ201が、モデリング材料の堆積の間に生じる。以前に堆積されたトラックの上にプリンティングする間に不完全にディスペンスされているトラック110bが示されている。そのようなギャップ201は、3次元モデリング・システムが適正にキャリブレートされていないときに生じる可能性がある。キャリブレーションを実施するときに、目標は、通常、押出過剰を防止することである。その理由は、これが、プロセスを信頼できないものにするからである。しかし、完璧なキャリブレーションは、ランダムなエラーに起因して可能ではなく、したがって、3次元モデリング・システムまたはプリンターは、通常は、ある程度の押出不足を有している。副作用として、パーツは、リーク・タイトまたは耐圧性にならず、パーツの強度は、準最適になる。
【0079】
図2cでは、押出過剰が表されている。押出過剰では、過剰押出されているトラック110cの中へのモデリング材料のフローが高くなり過ぎている。結果として、モデリング材料のクレスト202が生じる可能性があり、それは、ノズル先端部102bがモデリング材料を蓄積させ、過剰なモデリング材料を、側方へ、堆積またはプリンティング方向に対して横断方向に押すことによって、引き起こされる。
【0080】
図3aでは、モデリング材料のトラック110dは、以前に堆積されたトラック109同士の間に、これらのトラック同士の間の残りのスペースの体積から独立して、理想的にぴったり嵌まって堆積されている。同様に、図3aでは、以前に堆積されたトラック109同士の間のスペースは、それらトラック自身よりも狭くなっている。
【0081】
図3bの例では、ぴったり嵌まって堆積されているトラック110eは、以前に堆積されたトラックよりも幅広くなっている。これは、キャビティーの完全な充填、ならびに、隣接するプリント・トラックおよび下側のプリント・トラックへの改善された結合を結果として生じさせる。したがって、このようにプリントされたパーツは、最適なリーク・タイトネスおよび強度を有し、それは、下記に説明されているような堆積モデリング・システムの中で実現され得る。
【0082】
図4aでは、熱溶解積層法の3次元モデリング・システム400が、図1aと同様に示されている。トルク・センサー401が、トルクを測定するために提供され得、トルクは、ロータリー・ドライブ104およびトランスミッション・ギヤ105a、105bによって、プランジャー103に働かされ、それによって、モデリング材料108に働かされる。測定されたトルクから、チューブ状給送部材101の中のモデリング材料108に働かされる圧力が導出され得る。
【0083】
代替的に、圧力センサーが、プランジャー103に取り付けられ得る。圧力センサーは、プランジャー103によってモデリング材料108に働かされる圧力を測定するために配置されている。プランジャー圧力センサーは、プランジャー103の先端部に取り付けられ、モデリング材料108に働かされる圧力を直接的に測定することが可能である。また、プランジャー圧力センサーは、プランジャー103とロータリー・ドライブ104および/またはトランスミッション・システム105a、105bとの係合のポイントに取り付けられた力センサーであることが可能である。そのうえ、圧力センサーは、プランジャー・ステムに取り付けられた歪みゲージであることが可能である。圧力または力がプランジャー103に印加されるときには、この圧力または力が、モデリング材料108に伝達される。印加される圧力または力に起因して、プランジャー・ステムが変形する可能性があり、その変形は、歪みゲージによって測定され得る。プランジャー103によって、チューブ状給送部材101のより高い端部にあるモデリング材料108に働かされる圧力は、最終的に、ノズル102の中のモデリング材料108の圧力を結果として生じさせる。
【0084】
図4bでは、システム400によって圧力制御された3次元モデリングを実施するための制御システム412の例のブロック図が示されている。例として、トルク・センサー401は、モデリング材料給送手段を駆動するモーターの測定トルクを提供することが可能であり、それは、モデリング材料108に働かされる圧力を示す測定パラメーターPとして使用され得、測定トルクは、チューブ状給送部材101の給送チャネル120a、120bの中の圧力の代表的パラメーターである。代替的に、モーター電流が、モデリング材料108に働かされる圧力を示すパラメーターPとして使用され得、モーター電流は、給送チャネル120a、120bの中の圧力の代表的パラメーターである。モーター電流は、モーターによってトランスミッション・ギヤ105a、105bへそしてプランジャー103へ送達されるトルクに比例している。そのうえ、プランジャー圧力は、モデリング材料108に働かされる圧力を示す第1のパラメーターPとして使用され得る。
【0085】
制御システム412は、減算器403によって、測定される第1のパラメーターPを基準パラメーター値Pと比較するように配置され得る。測定される第1のパラメーターPは、減算器403の中で基準パラメーター値Pから減算され、エラー信号または差を作り出し、それは、伝達関数Hを有する圧力調整モジュール402に供給される。伝達関数Hは、比例(P)、比例積分(PI)、または、比例積分微分(PID)であることが可能である。圧力調整モジュール402が、ドライブ・システム113を制御する。
【0086】
ロータリー・ドライブ104を制御することによって、トルクが、トランスミッション・ギヤ105a、105bを介してプランジャー103に働かされ、給送チャネル120a、120bの中のモデリング原材料に働かされる圧力を表すそのトルクは、トルク・センサー401を使用して測定され得る。したがって、チューブ状給送部材101の中のモデリング材料108に対する圧力制御が実現され得る。
【0087】
基準値または設定ポイントPは、プリントヘッド・トラベル速度、ギャップ・サイズ、温度、モデリング材料特性に応じて、変化することが可能である。
【0088】
図5では、ノズル先端部における圧力制御のための3次元モデリング・システム500が、図4aのシステムに対応するように示されており、モデリング材料108に働かされる圧力を示す第1のパラメーターPを確立するための代替的な方式を有している。図4aのシステムでは、パラメーターは、プリントヘッド121の中の、すなわち、チューブ状給送部材101の中のモデリング材料108に働かされる圧力を示している。図5のシステムでは、モデリング材料に働かされる圧力を示すパラメーターは、ノズル102の先端部102bにおいてトラック110の中に堆積されているモデリング材料に働かされる圧力によって決定される。プリントヘッド121の中のモデリング材料108に圧力を働かせることによって押し出している間に、ノズル先端部102bにおける圧力が、堆積されている層110の中で引き起こされ、それは、以前に堆積されたトラック109から離れるようにノズル先端部102bを押す力を結果として生じさせ、その力は、モデリング材料に働かされる圧力の代表的パラメーターである。この力は、プリントヘッド121からガントリー106およびX-Y-Z位置決めシステム503を介して伝播され、X-Y-Z位置決めシステム503は、ベース504に接続されており、モデリングされるオブジェクトが、ベース504の上に設置されている。
【0089】
代替的に、X-Y-Zシステムおよびガントリー106は、グランドに接続され得る。したがって、プリントされるオブジェクトは、グランドの上にあることが可能であり、グランドは、プリントされるオブジェクトのためのベースとしての役割を果たす。次いで、モデリング材料に働かされる力は、オブジェクトとグランドとの間で測定可能である。
【0090】
したがって、力は、また、ガントリー106とプリントヘッド121との間で伝播されており、たとえば、相互接続部107において測定され得る。図4aのガントリー106へのプリントヘッド121の相互接続部107は、少なくとも1つの弾性接続部材502によって形成され得る。変位センサー501が、プリントヘッド121から生成されるオブジェクトへX-Y-Zシステムおよびベースを介した伝播経路を通して伝えられる力の尺度として、弾性接続部材502の変形を測定することが可能であり、それによって、堆積されたトラック110の中の給送に働かされる圧力を測定することが可能である。代替的に、力の測定は、また、図4aによるシステムにおいて実現され得、そこでは、プリントヘッド121とガントリー106との間の相互接続部107は、ロード・セルまたは歪みゲージを設けられており、ロード・セルまたは歪みゲージは、プリントヘッド121および堆積されているトラック110によって働かされる圧力を測定する。
【0091】
そのうえ、堆積されている層110の中のモデリング材料に働かされる力は、たとえば、重量計または圧力パッドを使用することによって、オブジェクトとベース504との間で測定され得る。そのように測定される力は、堆積されている層の中のモデリング材料に働かされる圧力を示す。
【0092】
図6a~図6dに示されているように、図4aに関連して説明されているようなプリントヘッド121の中のモデリング材料108に働かされる圧力を測定することの代替として、すなわち、ロータリー・ドライブ104およびトランスミッション・システム105a、105bのトルク、または、プランジャー103における力が測定され得、そのトルクおよび力は、第2のパラメーターとして、チューブ状給送部材101の中のモデリング材料108に働かされる圧力を表している。そのうえ、チューブ状給送部材101の中の(すなわち、給送チャネル・セクション120aの中の)モデリング材料108に働かされる圧力が、図6aに示されているように、直接的に測定され得る。堆積されるトラック110の中へモデリング材料をプリントするのに適切な圧力を取得するために、圧力センサー601によって測定される圧力は、ロータリー・ドライブ104を制御するために使用され得る。
【0093】
圧力センサー602の代替的な設置が、図6bに示されており、そこでは、圧力センサー602は、ノズル102の中に設置されており、ノズル102の中の給送チャネル・セクション120bの圧力がセンシングされる。給送チャネル120bの中の圧力を測定するための代替例は、たとえば、給送チャネル・セクション120bの周りに配設されている歪みゲージ603を使用して、ノズル102またはノズル先端部102bの変形を測定することである。
【0094】
給送チャネル120a、120bの中の圧力を測定することの代替例は、図6dに示されているような圧力センサー604を有することが可能であり、圧力センサー604は、ノズル102の中に配置されており、圧力センサー604は、ノズル先端部102bに流体接続されている。ノズル先端部102bにおいて測定される圧力は、モデリング材料トラック110に働かされる圧力を表している。このように、図5に関連してトラック110の中のモデリング材料に働かされる圧力を確立するための代替的な第3のパラメーターが提供される。
【0095】
プリントヘッド121の中の圧力を測定するための、上記に説明されているような3次元モデリング・システムの中で使用するのに適切な圧力センサーは、膜センサーを含み、膜センサーは、変形可能な膜を有している。水銀などのような液体が、圧力が測定されるモデリング材料チャネル(すなわち、給送チャネル120a、120b)の中の圧力、または、ノズル先端部102bにおける圧力を、膜に伝達することが可能である。センサー自身は、薄膜金属センサー、コンダクター/歪みゲージ関係のセンサー、圧電センサー、磁気抵抗センサー、レーザー干渉計センサー、および、機械的な変位に基づくセンサーを含むタイプのものであることが可能である。
【0096】
図6a~図6dに示されているように、トラック110は、堆積されるモデリング材料の連続的なトラックを形成する圧力制御を使用して、以前に堆積されたトラック109の隣に堆積されることが可能である。トラック110のモデリング材料は、ノズル出口部102aを介してそれに働かされる圧力によって、以前に堆積されたトラックへ流れ、以前に堆積された材料と融合する。図7a~図7cでは、圧力制御を使用したモデリング材料108のトラックの堆積のための代替的な戦略が示されている。
【0097】
第1のトラック701が、図7aに示されているように、フローまたは圧力制御を使用して堆積される。図7bでは、第2のトラック702が、第1のトラック701から間隔を離して堆積されていることが示されており、第1のトラック701と第2のトラック702との間のスペースにおいて、第3のまたは中間トラック703がプリントされ得る。図7cでは、第3のトラック703が、圧力制御を使用してトラック701とトラック702との間にプリントされていることが示されている。モデリング材料は、第1のトラック701と第2のトラック702との間のオープン・スペースを充填し、これらの以前に堆積されたトラック701、702と融合し、トラック701~703が、ギャップまたはキャビティーなしに連続的な層を形成するようになっている。
【0098】
図8a、図8bでは、プリンティング戦略の改良例が示されており、そこでは、第1のスタックのトラック801が、フロー制御を使用して堆積される。より粗い堆積プロファイルを有する隣接するトラック802a、802bが、圧力制御を使用して充填材として堆積され得る。
【0099】
フロー制御112および圧力制御412のための制御システムは、プログラム・インストラクションを含むメモリー(RAM、ROM、EPROMなど)を有する、プログラマブル論理制御装置(PLC)、マイクロコントローラー、またはプロセッサーの中に収容され得、プログラム・インストラクションは、動作時に、説明されているようなフローおよび圧力の制御をプロセッサーに実施させる。
【0100】
プログラム・インストラクションは、説明されているようなこれらの指示する力およびトルクから、モデリング材料108に働かされる圧力を計算するためのモジュールを含むことが可能である。そのうえ、摩擦に起因する損失、ならびに、ロータリー・ドライブ104、トランスミッション・ギヤ105a、105b、モデリング材料チューブ状給送部材101、およびノズル102の中の他の原因に起因する損失が、説明されているように制御ループ412を補償または補正するために、計算および使用され得る。
【0101】
本発明の範囲は、先述のものの中で議論されている例に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの補正および修正が可能であるということが当業者に明らかになる。とりわけ、さまざまな本発明の態様の特定の特徴の組み合わせが行われ得る。本発明の態様は、さらに有利には、本発明の別の態様に関して説明された特徴を追加することによって強化され得る。本発明は、図および説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は、単に例示目的のものまたは例示的なものと考えられるべきであり、限定的なものと考えられるべきではない。
【0102】
本発明は、開示されている実施形態に限定されない。開示されている実施形態に対する変形例は、特許請求されている発明を実施する際に、図、説明、および添付の特許請求の範囲を検討することから、当業者によって理解および実現され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という用語は、他のステップまたはエレメントを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。相互に異なる従属請求項の中に特定の対策が記載されているという単なる事実は、これらの対策の組み合わせが利益をもたらすように使用されることができないということを示してはいない。特許請求の範囲の中の任意の参照番号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0103】
100 3次元モデリング・システム
101 チューブ状給送部材
102 ノズル
102a ノズル出口部
102b ノズル先端部
103 プランジャー
104 ロータリー・ドライブ
105a、105b トランスミッション・ギヤ
106 ガントリー
107 相互接続部
108 モデリング材料
109 以前に堆積されたトラック
110 堆積されているFDMトラック
110a モデリング材料の新しいトラック
110b 不完全にディスペンスされたモデリング材料のトラック
110c 過剰押出されたモデリング材料のトラック
110d ぴったり嵌まって堆積されているモデリング材料のトラック
110e 以前に堆積されたトラックよりも幅広いモデリング材料のトラック
111 変位センサー
112 フロー制御システム
113 ドライブ・システム
114 フロー調整器モジュール
115 減算ユニット
120a、120b 給送チャネル
121 3次元モデリング・プリントヘッド
400 プリントヘッドの中の圧力制御のための3次元モデリング・システム
401 トルク・センサー
402 圧力調整モジュール
403 減算器
412 圧力制御のための制御システム
500 ノズル先端部における圧力制御のための3次元モデリング・システム
501 変位センサー
502 弾性接続部材
503 XYZ位置決めシステム
601~604 圧力センサー
701 第1のトラック
702 第2のトラック
703 圧力制御を使用する第3のまたは中間トラック
801 第1のスタックのトラック
802a~802b 隣接するトラック
「S」 フロー設定ポイント
「X」 単位時間当たりの変位
圧力設定ポイントまたは基準値
圧力を示す測定パラメーター
「H」 フロー制御伝達関数
「H」 圧力制御伝達関数
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b