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特許7186731血液ガンのためのMCL-1阻害剤と標準治療処置との組み合わせ、その使用及び医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】血液ガンのためのMCL-1阻害剤と標準治療処置との組み合わせ、その使用及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20221202BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 31/7084 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20221202BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221202BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221202BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K31/7068
A61K31/706
A61K31/7084
A61K31/704
A61K31/136
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P43/00 111
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2019570386
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018066551
(87)【国際公開番号】W WO2018234433
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/523,389
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17189550.1
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500287019
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マウジャレッド,ドニア
(72)【発明者】
【氏名】ポミリオ,ジョヴァンナ
(72)【発明者】
【氏名】ジェネステ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】マラグノ,アナ-レティシア
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129120(JP,A)
【文献】特表2006-508119(JP,A)
【文献】特表2012-511512(JP,A)
【文献】Cancer Cell,2016年,Vol. 30,pp. 834-835
【文献】BMC Cancer,2015年,Vol. 15, 568,pp. 1-12
【文献】J. Cell. Physiol.,2016年,Vol. 231,pp. 1932-1940
【文献】Clin Cancer Res,2007年,Vol. 13, No. 7,pp. 2226-2235
【文献】PLOS ONE,2015年,Vol. 10, No. 9,e0138377, pp. 1-16
【文献】Blood,2015年,Vol. 126, No. 23,3799
【文献】Blood,2015年,Vol. 126, No. 23,1343
【文献】Abstract 3728,CANCER RESEARCH, Proceedings: AACR 107th Annual Meeting 2016,2016年,DOI: 10.1158/1538-7445.AM2016-3728
【文献】Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia,2015年,S18,222
【文献】日本内科学会雑誌,2013年,Vol. 102, No. 7,pp. 1687-1695
【文献】Blood,2016年,Vol. 128, No. 22,347
【文献】NATURE,2016年,Vol. 538,pp. 477-482
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるガンの処置のための医薬組成物であって、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤;
及び
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
を含む医薬組成物
【請求項2】
患者におけるガンの処置のための医薬組成物であって、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤
を含み;
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤と同時に又は連続して患者に投与される医薬組成物
【請求項3】
患者におけるガンの処置のための医薬組成物であって、
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
を含み;
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤
と同時に又は連続して患者に投与される医薬組成物
【請求項4】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬組成物であって、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤;
及び
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
を含む医薬組成物。
【請求項5】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬組成物であって、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤;
を含み;
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤と同時に又は連続して患者に投与される医薬組成物。
【請求項6】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬組成物であって、
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
を含み;
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤
と同時に又は連続して患者に投与される医薬組成物。
【請求項7】
第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン及びミトキサントロンから選択されるアントラサイクリンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
第2の抗ガン剤が、イダルビシンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
第2の抗ガン剤が、シタラビンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項10】
第2の抗ガン剤が、デシタビンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項11】
第2の抗ガン剤が、アザシチジンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項12】
cl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項13】
cl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項14】
25mg~1500mgの(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸を含む、請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項15】
患者に1日1回投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項16】
患者に経口投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項17】
患者に静脈内投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項18】
ガンが、急性骨髄性白血病又は急性リンパ球性白血病である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項19】
ガンが、急性骨髄性白血病であり、そして患者が寛解を達成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項20】
1種以上の賦形剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項21】
第3の抗ガン剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項22】
第2の抗ガン剤が、シタラビンであり、第3の抗ガン剤が、ダウノルビシン又はイダルビシンである、請求項21記載の医薬組成物
【請求項23】
患者におけるガンの処置のための医薬の製造における、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤;
及び
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
の組み合わせの使用。
【請求項24】
患者におけるガンの処置のための医薬の製造における、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤の使用であって、
前記医薬が、(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤と同時に又は連続して患者に投与される、使用。
【請求項25】
患者におけるガンの処置のための医薬の製造における、
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
の使用であって;
前記医薬が、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤
と同時に又は連続して患者に投与される、使用。
【請求項26】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬の製造における、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤;
及び
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
の組み合わせの使用。
【請求項27】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬の製造における、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤の使用であって、
前記医薬が、(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤と同時に又は連続して患者に投与される、使用。
【請求項28】
(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための医薬の製造における
(b)アントラサイクリン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される、第2の抗ガン剤
の使用であって;
前記医薬が、
(a)(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、もしくは
(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸、
又は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、もしくは薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのその付加塩である、Mcl-1阻害剤
と同時に又は連続して患者に投与される、使用
【請求項29】
第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン及びミトキサントロンから選択されるアントラサイクリンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項30】
第2の抗ガン剤が、イダルビシンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項31】
第2の抗ガン剤が、シタラビンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項32】
第2の抗ガン剤が、デシタビンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項33】
第2の抗ガン剤が、アザシチジンである、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項34】
Mcl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項35】
Mcl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記医薬が、25mg~1500mgの(2R)-2-{[(5S )-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸を含む、請求項23、24、26及び27のいずれか一項に記載の使用
【請求項37】
前記医薬が患者に1日1回投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項38】
前記医薬が患者に経口投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項39】
前記医薬が患者に静脈内投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項40】
ガンが、急性骨髄性白血病又は急性リンパ球性白血病である、請求項23~25に記載の使用
【請求項41】
ガンが、急性骨髄性白血病であり、そして患者が寛解を達成している、請求項23~25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記医薬が1種以上の賦形剤をさらに含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項43】
前記医薬が第3の抗ガン剤をさらに含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用
【請求項44】
第2の抗ガン剤が、シタラビンであり、第3の抗ガン剤が、ダウノルビシン又はイダルビシンである、請求項43記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤との組み合わせに関する(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン(例えば、イダルビシン、ダウノルビシン...)、シタラビン(シトシンアラビノシド又はara-Cとしても公知)及び低メチル化剤(例えば、デシタビン、アザシチジン...)から選択される)。本発明は、Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤との組み合わせに関する(ここで、第2の抗ガン剤は、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビン、とりわけ、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される)。また、本発明は、ガン、特に、血液ガン、とりわけ、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群、急性リンパ球性白血病(ALL)及びリンパ腫の処置における前記組み合わせの使用に関する。また、このような組み合わせの投与に適した医薬製剤も提供される。
【0002】
各AML症例において複数のクローン内に複数の獲得突然変異が存在すると、選択的ターゲッティングの概念の成功が特に困難となる。本発明は、多様でマルチクローナルな分子構成を有するガンを、有望な様式で細胞アポトーシスを効果的に活性化可能な、Mcl-1阻害剤と細胞傷害剤との組み合わせにより、うまく処置することによって、Mcl-1阻害剤又は標準治療(SOC)による化学療法を別個に使用して達成されるのを超えて、ガン細胞の幅広い細胞死をもたらすことができるという概念を提唱する。このアプローチにより、誘引化学療法の設定における寛解率の増強及び微小残存疾患のクリアランスの向上をもたらすことができ、これにより、一例として、AMLにおける疾患再発率の低下及びより高い全体的な治癒率をもたらすことができる。AMLは、デジタルPCR及びRT-qPCRを使用する処理によりクローン組成の変化を連続的に定量的に測定する能力によって、モデル例として提唱される。
【0003】
低用量SOC化学療法と組み合わせた場合、Mcl-1阻害剤は、アポトーシス閾値を低下させることによって、白血病幹細胞及び前駆細胞のターゲッティングを増強することができた。このアプローチを、多様な分子異常及び細胞遺伝学的異常で構成される残存AML幹細胞及び前白血病幹細胞クローンを排除するための維持療法アプローチとして寛解後の設定において使用することができる。白血病前駆細胞及び前白血病前駆細胞の根絶を実証する原理は、SOC化学療法と組み合わせたMcl-1阻害剤への曝露後の寛解後設定において、分化単核細胞で測定されたクローン性微小残存疾患又は前白血病クローンのレベルを低下させることにより実証されるであろう。
【0004】
発明の背景
アポトーシスは、発ガン性ストレス及び化学療法剤を含む種々の細胞傷害性刺激により開始される高度にレギュレーションされた細胞死経路である。アポトーシスの回避は、ガンの特徴であり、多くの化学療法剤の効力は、内因性ミトコンドリア経路の活性化により決まることが示されている。Bcl-2ファミリータンパク質の3つの異なるサブグループにより、内因性アポトーシス経路:(i)アポトーシス促進性BH3(Bcl-2ホモロジー3)onlyタンパク質;(ii)生存促進性メンバー、例えば、Bcl-2自体、Bcl-xl、Bcl-w、Mcl-1及びBcl-2a1;並びに(iii)アポトーシス促進性エフェクタータンパク質BAX及びBAKが制御される(Czabotar et al., Nature Reviews Molecular Cell Biology 2014, 15, 49-63)。Bcl-2ファミリーの抗アポトーシスメンバーの過剰発現は、多くのガン、特に、血液悪性腫瘍、例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫/びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(FL/DLCL)及び多発性骨髄腫において観察される(Adams and Cory, Oncogene 2007, 26, 1324-1337)。近年開発されたBH3模倣剤、例えば、ABT-199(venetoclax)、ABT-263(navitoclax)及びS63845による抗アポトーシスタンパク質Bcl-2、Bcl-xl、Bcl-w及びMcl-1の薬理学的阻害が、アポトーシスを誘引し、ガンにおいて腫瘍退縮を引き起こす治療戦略として出現した(Zhang et al., Drug Resist. Updat. 2007, 10, 207-217; Kotschy et al., Nature 2016, 538, 477-482)。それにもかかわらず、BH3模倣物に対する抵抗性のメカニズムが観察されており(Choudhary et al., Cell Death and Disease 2015, 6, e1593)、併用療法の使用は、有効性を改善し、抵抗性の発生を遅延させるか又は阻止することさえできる。
【0005】
急性骨髄性白血病(AML)は、造血幹細胞のクローントランスフォーメーションから生じる急速で致死的な血液ガンであり、正常な骨髄機能の麻痺及び深刻な汎血球減少症からの合併症による死をもたらす。AMLは、成人白血病全体の25%を占め、米国、オーストラリア及びヨーロッパで最も高い発生率を示している(WHO. GLOBOCAN 2012. Estimated cancer incidence, mortality and prevalence worldwide in 2012. International Agency for Research on Cancer)。世界中で、毎年約88,000の新たな症例が診断されている。AMLは、全ての白血病のうち生存率が最も低い状態が続いており、5年生存率はわずか24%と予想されている。
【0006】
AMLの処置のための現在の治療法には、シタラビン単独又はアントラサイクリン、例えば、ダウノルビシンもしくはイダルビシンとの組み合わせでの投与が含まれる。低用量シタラビン処置及び脱メチル化剤、例えば、アザシチジンやデシタビンも、集中化学療法に適格でない患者の低強度選択肢として推奨される(Dohner et al., DOI 10.1182/blood-2016-08-733196)。AMLのための標準治療(アントラサイクリンと組み合わせたシタラビン)は、40年以上前に考えられたが、この疾患のためのターゲット化療法の導入の成功は、依然として難しい目標であった。AMLにおけるターゲット化療法の概念は、この疾患が薬剤抵抗性及び疾患再発の主な原因としての白血病サブクローンの急速な増殖を伴う、マルチクローン階層として進行するという認識によって妨げられてきた(Ding et al., Nature 2012, 481, 506-510)。近年の臨床研究から、AMLの処置におけるBcl-2阻害剤の有効性が実証されている(Konopleva et al., American Society of Hematology 2014, 118)。
【0007】
血液ガン、特に、AML、骨髄異形成症候群、ALL及びリンパ腫の処置のため、とりわけ、AMLの処置のための、新たな処置及び治療が依然として必要とされている。本発明は、Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤との新規な組み合わせを提供する(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤、とりわけ、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビン、より好ましくは、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される)。結果から、第2の抗ガン剤と組み合わせたMcl-1阻害剤(ここで、第2の抗ガン剤は、イダルビシン、シタラビン及びデシタビンから選択される)が、AML細胞系統において相乗的に相互作用することが示される(図1;表3、4及び5)。また、本発明者らは、Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤との組み合わせ(ここで、第2の抗ガン剤は、イダルビシン又はデシタビンから選択される)が、初代ヒトAMLサンプルにおいて相乗的なアポトーシス促進活性を示すことも示す(図2及び6;表6)。また、本発明者らは、初代AMLサンプルのサブセットが、Mcl-1阻害剤とシタラビンとの組み合わせに感受性であったが、正常ヒトCD34+前駆細胞が、同じ用量に対して抵抗性であったことも示す(図3)。また、本発明者らは、デシタビンと組み合わせたMcl-1阻害剤が、処置中に体重を減少させることなく十分に耐容され、さらに、in vivoでの患者由来異種移植モデルにおいてヒトAMLに対する活性の増強をもたらすことも示す(図4、5及び6)。最後に、本発明者らは、Mcl-1阻害剤とシタラビンとの組み合わせにより、ALL患者の処置に利益を提供することができたことを示す(表7)。
【0008】
発明の概要
本発明は、同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)式(I):
【化1】

[式中、
Dは、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
Eは、フリル、チエニル又はピロリル環を表し、
、X、X及びXは、互いに独立して、炭素原子又は窒素原子を表し、
は、C-R26基又は窒素原子を表し、
【化2】

は、環が芳香族であることを意味し、
Yは、窒素原子又はC-R基を表し、
Zは、窒素原子又はC-R基を表し、
は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシ(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-Cy、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、ヒドロキシ(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)、(R,R)、(R,R)、(R,R)の置換基は、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、ハロゲン、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、-アルキル(C~C)-NR1111’、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される1~2個の基により置換されていてもよいと理解され、
及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
Wは、-CH-基、-NH-基又は酸素原子を表し、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-CHR基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル(C~C)基又はヘテロアリールアルキル(C~C)基を表し、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-Cy-Cy、-アルキニル(C~C)-O-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、ハロゲン原子、シアノ基、-C(O)-R14又は-C(O)-NR1414’を表し、
10は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、アリールアルキル(C~C)基、シクロアルキルアルキル(C~C)基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル又は-アルキル(C~C)-O-Cyを表し、
又は、
ペア(R,R10)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、
11及びR11’は、互いに独立して、水素原子、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は-アルキル(C~C)-Cyを表し、
又は、
ペア(R11,R11’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す1~2個の基により置換されていてもよいと理解され、可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解され、
12は、-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-Cy-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-NH-C(O)-NH-R11、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-C(O)-NR1111’、-NR1111’、-OR11、-NR11-C(O)-R11’、-O-アルキル(C~C)-OR11、-SO-R11、-C(O)-OR11
【化3】

を表し、
該定義されたアンモニウムは、双性イオン型として存在するか又は一価のアニオン性カウンターイオンを有する可能性があり、
13、R13’、R14及びR14’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
は、-O-C(O)-O-R基、-O-C(O)-NR’基又は-O-P(O)(OR基を表し、
及びR’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、シクロアルキル基、(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基又は(C~C)アルコキシカルボニル(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R,R’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている非芳香族環を形成しており、同環は、該窒素原子に加えて、酸素及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、直鎖又は分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy及びCy10は、互いに独立して、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
Cyは、
【化4】

を表し、
又は、
Cyは、-O-P(O)(OR20;-O-P(O)(O;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20;ヒドロキシ;ヒドロキシ(C~C)アルキル;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル;又は-U-(CH-NR2121’から選択される基により置換されているヘテロアリール基を表し、
15は、水素原子;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基;-U-(CH-NR2121’基;又は-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基を表し、
16は、水素原子;ヒドロキシ基;ヒドロキシ(C~C)アルキル基;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基;(CH-U-V-O-P(O)(OR20基;-O-P(O)(O基;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;-(CH-O-C(O)-NR2223基;又は-U-(CH-NR2121’基を表し、
17は、水素原子;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;-O-P(O)(RO20基;-O-P(O)(O基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ(C~C)アルキル基;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基;-U-(CH-NR2121’基;又はアルドン酸を表し、
は、薬学的に許容し得る一価のカチオンを表し、
Uは、結合又は酸素原子を表し、
Vは、-(CH-基又は-C(O)-基を表し、
18は、水素原子又は(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基を表し、
19は、水素原子又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
20は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
21及びR21’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R21,R21’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
22は、(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基、-(CH-NR2424’基又は-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基を表し、
23は、水素原子又は(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R22,R23)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~18個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~5個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はヘテロシクロアルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
24及びR24’は、互いに独立して、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R24,R24’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
25は、水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
26は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はシアノ基を表し、
27は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
28は、-O-P(O)(O)(O)基、-O-P(O)(O)(OR30)基、-O-P(O)(OR30)(OR30’)基、-O-SO-O基、-O-SO-OR30基、-Cy10、-O-C(O)-R29基、-O-C(O)-OR29基又は-O-C(O)-NR2929’基を表し、
29及びR29’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖アミノ(C~C)アルキル基を表し、
30及びR30’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はアリールアルキル(C~C)基を表し、
nは、0又は1に等しい整数であり、
pは、0、1又は2に等しい整数であり、
qは、1、2、3又は4に等しい整数であり、
r及びsは、独立して、0又は1に等しい整数であり、
-「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル又はインデニル基を意味し、
-「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族部分を有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、5~10個の環員で構成される、任意の単環式又は二環式の基を意味し、
-「シクロアルキル」は、3~10個の環員を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、
-「ヘテロシクロアルキル」は、3~10個の環員を含有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、同非芳香族炭素環基は、縮合、架橋又はスピロ環系を含んでもよいと理解され、
該定義されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシは、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ、場合により置換されている(C~C)アルキル-S-、ヒドロキシ、オキソ(又は該当する場合、N-オキシド)、ニトロ、シアノ、-C(O)-OR’、-O-C(O)-R’、-C(O)-NR’R’’、-NR’R’’、-(C=NR’)-OR’’、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、トリフルオロメトキシ又はハロゲンから選択される1~4個の基により置換されている可能性があり、R’及びR’’は、互い独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表すと理解され、先の可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解される]
で示されるMcl-1阻害剤
もしくはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体又は薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのそれらの付加塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)と
を含む、組み合わせに関する。
【0009】
式(I)で示される前記化合物、それらの合成、ガンの処置におけるそれらの使用及びその医薬製剤は、WO第2015/097123号、WO第2016/207216号、WO第2016/207217号、WO第2016/207225号、WO第2016/207226号及びWO第2017/125224号に記載されており、それらの内容は、参照により組み入れられる。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)式(I)で示されるMcl-1阻害剤の特定の場合である式(II):
【化5】

[式中、
Zは、窒素原子又はC-R基を表し、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、シアノ、-NR1111’、-Cy又はハロゲン原子を表し、
、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)、(R,R)のうちの一方の置換基は、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル(C~C)基又はヘテロアリールアルキル(C~C)基を表し、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-Cy-Cy、-アルキニル(C~C)-O-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、ハロゲン原子、シアノ基、-C(O)-R14又は-C(O)-NR1414’を表し、
11及びR11’は、互いに独立して、水素原子、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は-アルキル(C~C)-Cyを表し、
又は、
ペア(R11,R11’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解され、
12は、-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-Cy-O-アルキル(C~C)-Cy、-C(O)-NR1111’、-NR1111’、-OR11、-NR11-C(O)-R11’、-O-アルキル(C~C)-OR11、-SO-R11、-C(O)-OR11又は-NH-C(O)-NH-R11を表し、
13、R13’、R14及びR14’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
25は、水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy及びCyは、互いに独立して、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
nは、0又は1に等しい整数であり、
-「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル又はインデニル基を意味し、
-「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族部分を有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、5~10個の環員で構成される、任意の単環式又は二環式の基を意味し、
-「シクロアルキル」は、3~10個の環員を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、
-「ヘテロシクロアルキル」は、3~10個の環員を含有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、同非芳香族炭素環基は、縮合、架橋又はスピロ環系を含んでもよいと理解され、
該定義されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシは、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ、場合により置換されている(C~C)アルキル-S-、ヒドロキシ、オキソ(又は該当する場合、N-オキシド)、ニトロ、シアノ、-C(O)-OR’、-O-C(O)-R’、-C(O)-NR’R’’、-NR’R’’、-(C=NR’)-OR’’、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、トリフルオロメトキシ又はハロゲンから選択される1~4個の基により置換されている可能性があり、R’及びR’’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表すと理解され、先の可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解される]
で示されるMcl-1阻害剤
もしくはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体又は薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのそれらの付加塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)と
を含む、組み合わせが提供される。
【0011】
第1の実施態様では、本発明は、同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)化合物1:(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを含む、組み合わせを提供する。
【0012】
代替的には、本発明は、同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)化合物2:(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを含む、組み合わせを提供する。
【0013】
特定の実施態様では、第2の抗ガン剤は、イダルビシン、ダウノルビシン及びミトキサントロン、とりわけ、イダルビシン及びダウノルビシン、さらにとりわけ、イダルビシンから選択されるアントラサイクリンである。
【0014】
特定の実施態様では、第2の抗ガン剤は、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビン、とりわけ、デシタビン及びアザシチジン、さらにとりわけ、デシタビンから選択される低メチル化剤である。
【0015】
特定の実施態様では、第2の抗ガン剤は、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジン、より好ましくは、イダルビシン、シタラビン及びデシタビンである。
【0016】
別の実施態様では、本発明は、ガンの処置、とりわけ、血液ガンの処置における使用のための、本明細書に記載された組み合わせを提供する。AML、骨髄異形成症候群、急性リンパ球性白血病及びリンパ腫の処置が特に好ましい。とりわけ、AMLの処置が好ましい。
【0017】
別の実施態様では、本発明は、ガンの処置、とりわけ、血液ガンの処置、さらにとりわけ、AML、骨髄異形成症候群、急性リンパ球性白血病及びリンパ腫の処置のための医薬の製造における、本明細書に記載された組み合わせの使用を提供する。
【0018】
別の実施態様では、本発明は、同時、連続的又は別個の投与のための、
(a)式(I)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを、
又は、
(a)本明細書に記載された式(II)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを、
別個に又は共に含有する医薬であって、
Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、ガンの処置に有効な量で提供される、医薬を提供する。
【0019】
別の実施態様では、本発明は、併せて治療上有効量の、
(a)式(I)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを、
又は、
(a)本明細書に記載された式(II)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを、
それを必要とする対象に投与することを含む、ガンを処置する方法を提供する。
【0020】
別の実施態様では、Mcl-1阻害剤は、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸(化合物1)である。
【0021】
別の実施態様では、Mcl-1阻害剤は、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸(化合物2)である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、2つの独立した実験でのAML細胞系統であるOCI-AML3における、イダルビシンと組み合わせた化合物2(Mcl-1阻害剤)により得られた細胞増殖の阻害(左側)及びLoewe過剰阻害(右側)についての例示的な細胞増殖阻害効果及び相乗作用組み合わせマトリックスを例証する。効果マトリックス中の値は、0(阻害なし)~100(全阻害)の範囲である。相乗作用マトリックス中の値は、試験された濃度での化合物2及びイダルビシンの単剤活性に基づいて計算された理論的相加性を超える程度の増殖阻害を表す。
図2図2は、Mcl-1阻害剤とイダルビシンとの組み合わせが、AMLにおいて相乗活性を有することを例証する。多様な細胞遺伝学的及び分子的特徴を有する患者由来の一連の初代AMLサンプルを、化合物2もしくはイダルビシン単独又は組み合わせで48時間インキュベートし、LC50殺傷効果を決定した。これから、大部分の初代AMLサンプルにおいて、この組み合わせの実質的な相乗作用が示された。
図3図3は、シタラビン、化合物2(Mcl-1阻害剤)及び化合物2とシタラビンとの組み合わせについての、健常CD34+ドナー細胞と比較した初代AMLサンプルに対する比較活性を例証する。シタラビン、化合物2及び化合物2とシタラビンとの組み合わせ(nM)への曝露後に媒体対照に対して正規化された初代AML細胞及び正常CD34+細胞(灰色の線)の生存率を示す。
図4図4は、治療中に正常な体重が維持されることを例証する。NSGマウスを、0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビンのIP注射又は25mg/kg 化合物2(Mcl-1阻害剤)と組み合わせた0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビン(IV)により、1週間にわたって処置した。
図5図5は、治療中のNSGマウスにおける血液毒性を例証する。NSGマウスを0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビンのIP注射又は25mg/kg 化合物2(Mcl-1阻害剤)と組み合わせた0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビン(IV)により、1週間にわたって処置し、白血球(WBC)、血小板、ヘモグロビン(Hb)、赤血球(RBC)計数を、Hemavet血液分析器を使用して決定した。
図6図6は、いずれかの薬剤単独と比較して、化合物2(Mcl-1阻害剤)と組み合わせたデシタビンの優れた有効性を例証する。NRG-SG3マウスに、10個 初代AML細胞(AML54)を移植した。生着を、末梢血中のhCD45の検出により6週目に確認した。ついで、マウスのコホートを、a)媒体、b)25mg/kg 化合物2(Mcl-1阻害剤) IV(×2日)、c)0.4mg/kg/日 デシタビン IP(×5日)又はd)化合物2+デシタビンの組み合わせで処置した。マウスを処置後8日目に安楽死させ、白血病負荷を、示された処置後に、ヒトCD45+細胞の割合を示す赤くなった大腿骨のフローサイトメトリー染色により評価した。
【0023】
発明の詳細な説明
したがって、本発明は、実施態様E1において、同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)式(I):
【化6】

[式中、
Dは、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
Eは、フリル、チエニル又はピロリル環を表し、
、X、X及びXは、互いに独立して、炭素原子又は窒素原子を表し、
は、C-R26基又は窒素原子を表し、
【化7】

は、環が芳香族であることを意味し、
Yは、窒素原子又はC-R基を表し、
Zは、窒素原子又はC-R基を表し、
は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシ(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-Cy、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、ヒドロキシ(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)、(R,R)、(R,R)、(R,R)の置換基は、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、ハロゲン、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、-アルキル(C~C)-NR1111’、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される1~2個の基により置換されていてもよいと理解され、
及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
Wは、-CH-基、-NH-基又は酸素原子を表し、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-CHR基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル(C~C)基又はヘテロアリールアルキル(C~C)基を表し、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-Cy-Cy、-アルキニル(C~C)-O-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、ハロゲン原子、シアノ基、-C(O)-R14又は-C(O)-NR1414’を表し、
10は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、アリールアルキル(C~C)基、シクロアルキルアルキル(C~C)基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル又は-アルキル(C~C)-O-Cyを表し、
又は、
ペア(R,R10)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、
11及びR11’は、互いに独立して、水素原子、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は-アルキル(C~C)-Cyを表し、
又は、
ペア(R11,R11’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す1~2個の基により置換されていてもよいと理解され、可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解され、
12は、-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-Cy-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-NH-C(O)-NH-R11、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-C(O)-NR1111’、-NR1111’、-OR11、-NR11-C(O)-R11’、-O-アルキル(C~C)-OR11、-SO-R11、-C(O)-OR11
【化8】

を表し、
該定義されたアンモニウムは、双性イオン型として存在するか又は一価のアニオン性カウンターイオンを有する可能性があり、
13、R13’、R14及びR14’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
は、-O-C(O)-O-R基、-O-C(O)-NR’基又は-O-P(O)(OR基を表し、
及びR’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、シクロアルキル基、(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基又は(C~C)アルコキシカルボニル(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R,R’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている非芳香族環を形成しており、同環は、該窒素原子に加えて、酸素及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、直鎖又は分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy及びCy10は、互いに独立して、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
Cyは、
【化9】

を表し、
又は、
Cyは、-O-P(O)(OR20;-O-P(O)(O;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20;ヒドロキシ;ヒドロキシ(C~C)アルキル;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル;又は-U-(CH-NR2121’から選択される基により置換されているヘテロアリール基を表し、
15は、水素原子;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基;-U-(CH-NR2121’基;又は-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基を表し、
16は、水素原子;ヒドロキシ基;ヒドロキシ(C~C)アルキル基;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基;(CH-U-V-O-P(O)(OR20基;-O-P(O)(O基;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;-(CH-O-C(O)-NR2223基;又は-U-(CH-NR2121’基を表し、
17は、水素原子;-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基;-O-P(O)(RO20基;-O-P(O)(O基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ(C~C)アルキル基;-(CH-U-(CH-ヘテロシクロアルキル基;-U-(CH-NR2121’基;又はアルドン酸を表し、
は、薬学的に許容し得る一価のカチオンを表し、
Uは、結合又は酸素原子を表し、
Vは、-(CH-基又は-C(O)-基を表し、
18は、水素原子又は(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基を表し、
19は、水素原子又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
20は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
21及びR21’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R21,R21’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
22は、(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基、-(CH-NR2424’基又は-(CH-O-(CHR18-CHR19-O)-R20基を表し、
23は、水素原子又は(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R22,R23)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~18個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~5個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はヘテロシクロアルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
24及びR24’は、互いに独立して、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
又は、
ペア(R24,R24’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、
25は、水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
26は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はシアノ基を表し、
27は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
28は、-O-P(O)(O)(O)基、-O-P(O)(O)(OR30)基、-O-P(O)(OR30)(OR30’)基、-O-SO-O基、-O-SO-OR30基、-Cy10、-O-C(O)-R29基、-O-C(O)-OR29基又は-O-C(O)-NR2929’基を表し、
29及びR29’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖アミノ(C~C)アルキル基を表し、
30及びR30’は、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又はアリールアルキル(C~C)基を表し、
nは、0又は1に等しい整数であり、
pは、0、1又は2に等しい整数であり、
qは、1、2、3又は4に等しい整数であり、
r及びsは、独立して、0又は1に等しい整数であり、
-「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル又はインデニル基を意味し、
-「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族部分を有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、5~10個の環員で構成される、任意の単環式又は二環式の基を意味し、
-「シクロアルキル」は、3~10個の環員を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、
-「ヘテロシクロアルキル」は、3~10個の環員を含有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、同非芳香族炭素環基は、縮合、架橋又はスピロ環系を含んでもよいと理解され、
該定義されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシは、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ、場合により置換されている(C~C)アルキル-S-、ヒドロキシ、オキソ(又は該当する場合、N-オキシド)、ニトロ、シアノ、-C(O)-OR’、-O-C(O)-R’、-C(O)-NR’R’’、-NR’R’’、-(C=NR’)-OR’’、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、トリフルオロメトキシ又はハロゲンから選択される1~4個の基により置換されている可能性があり、R’及びR’’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表すと理解され、先の可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解される]
で示されるMcl-1阻害剤
もしくはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体又は薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのそれらの付加塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを含む、組み合わせを提供する。
【0024】
本発明の更に列挙される実施態様(E)が、本明細書に記載される。各実施態様において特定された特徴は、本発明の更なる実施態様を提供するために、他の特定された特徴と組み合わせることができると認識されるであろう。
【0025】
E2.同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)式(I)で示されるMcl-1阻害剤の特定の場合である式(II):
【化10】

[式中、
Zは、窒素原子又はC-R基を表し、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、シアノ、-NR1111’、-Cy又はハロゲン原子を表し、
、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)、(R,R)のうちの一方の置換基は、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、ヒドロキシ基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ基、-S-(C~C)アルキル基、シアノ基、ニトロ基、-アルキル(C~C)-NR1111’、-O-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-O-アルキル(C~C)-R12、-C(O)-OR11、-O-C(O)-R11、-C(O)-NR1111’、-NR11-C(O)-R11’、-NR11-C(O)-OR11’、-アルキル(C~C)-NR11-C(O)-R11’、-SO-NR1111’又は-SO-アルキル(C~C)を表し、
又は、
ペア(R,R)の置換基は、2つの隣接する炭素原子上でグラフト化されている場合、それらを有している炭素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、得られた環は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、-NR1313’、-アルキル(C~C)-Cy又はオキソから選択される基により置換されていてもよいと理解され、
は、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル(C~C)基又はヘテロアリールアルキル(C~C)基を表し、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、-Cy、-アルキル(C~C)-Cy、-アルケニル(C~C)-Cy、-アルキニル(C~C)-Cy、-Cy-Cy、-アルキニル(C~C)-O-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、ハロゲン原子、シアノ基、-C(O)-R14又は-C(O)-NR1414’を表し、
11及びR11’は、互いに独立して、水素原子、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基又は-アルキル(C~C)-Cyを表し、
又は、
ペア(R11,R11’)の置換基は、それらを有している窒素原子と共に、5~7個の環員で構成されている芳香族環又は非芳香族環を形成しており、これらの環は、該窒素原子に加えて、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有してもよく、当該窒素は、水素原子又は直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表す基により置換されていてもよいと理解され、可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解され、
12は、-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-O-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-アルキル(C~C)-NR11-アルキル(C~C)-Cy、-Cy-Cy-O-アルキル(C~C)-Cy、-C(O)-NR1111’、-NR1111’、-OR11、-NR11-C(O)-R11’、-O-アルキル(C~C)-OR11、-SO-R11、-C(O)-OR11又は-NH-C(O)-NH-R11を表し、
13、R13’、R14及びR14’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表し、
25は、水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、
Cy、Cy、Cy、Cy、Cy、Cy及びCyは、互いに独立して、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、
nは、0又は1に等しい整数であり、
-「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル又はインデニル基を意味し、
-「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族部分を有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、5~10個の環員で構成される、任意の単環式又は二環式の基を意味し、
-「シクロアルキル」は、3~10個の環員を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、
-「ヘテロシクロアルキル」は、3~10個の環員を含有し、酸素、硫黄及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、任意の単環式又は二環式の非芳香族炭素環基を意味し、同非芳香族炭素環基は、縮合、架橋又はスピロ環系を含んでもよいと理解され、
該定義されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシは、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルケニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキニル基、場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルコキシ、場合により置換されている(C~C)アルキル-S-、ヒドロキシ、オキソ(又は該当する場合、N-オキシド)、ニトロ、シアノ、-C(O)-OR’、-O-C(O)-R’、-C(O)-NR’R’’、-NR’R’’、-(C=NR’)-OR’’、直鎖もしくは分岐鎖(C~C)ポリハロアルキル、トリフルオロメトキシ又はハロゲンから選択される1~4個の基により置換されている可能性があり、R’及びR’’は、互いに独立して、水素原子又は場合により置換されている直鎖もしくは分岐鎖(C~C)アルキル基を表すと理解され、先の可能性のある置換基の1つ以上の炭素原子は、重水素化されていてもよいと理解される]
で示されるMcl-1阻害剤
もしくはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体又は薬学的に許容し得る酸もしくは塩基とのそれらの付加塩と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)と
を含む、E1記載の組み合わせ。
【0026】
E3.第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン及びミトキサントロン、とりわけ、イダルビシン及びダウノルビシン、さらにとりわけ、イダルビシンから選択されるアントラサイクリンである、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0027】
E4.第2の抗ガン剤が、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビン、とりわけ、デシタビン及びアザシチジン、さらにとりわけ、デシタビンから選択される低メチル化剤である、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0028】
E5.第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0029】
E6.第2の抗ガン剤が、イダルビシンである、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0030】
E7.第2の抗ガン剤が、シタラビンである、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0031】
E8.第2の抗ガン剤が、デシタビンである、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0032】
E9.第2の抗ガン剤が、アザシチジンである、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0033】
E10.Mcl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、E1~E9のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0034】
E11.Mcl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、E1~E9のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0035】
E12.同時、連続的又は別個の使用のための、
(a)(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(5-フルオロフラン-2-イル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸又は(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸から選択されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、イダルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される)と
を含む、E1又はE2記載の組み合わせ。
【0036】
E13.併用処置中における(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸の用量が、25mg~1500mgである、E11又はE12記載の組み合わせ。
【0037】
E14.(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸が、併用処置中に週1回投与される、E11、E12又はE13記載の組み合わせ。
【0038】
E15.Mcl-1阻害剤が経口投与される、E1~E14のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0039】
E16.Mcl-1阻害剤が静脈内投与される、E1~E14のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0040】
E17.ガンの処置における使用のための、E1~E16のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0041】
E18.ガンが、急性骨髄性白血病である、E17記載の組み合わせ。
【0042】
E19.ガンが、急性リンパ球性白血病である、E17記載の組み合わせ。
【0043】
E20.Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、ガンの処置に併せて治療上有効な量で提供される、E17~E19のいずれか1つ記載の使用のための組み合わせ。
【0044】
E21.Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、ガンの処置に相乗的に有効な量で提供される、E20記載の使用のための組み合わせ。
【0045】
E22.Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、有効なガン処置を提供し、最終的に副作用を低減しながら、ガンの処置における各化合物に必要とされる用量の減少を可能にする、相乗的に有効な量で提供される、E21記載の使用のための組み合わせ。
【0046】
E23.寛解を達成している患者における急性骨髄性白血病の処置における使用のための、E1~E16のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0047】
E24.1種以上の賦形剤をさらに含む、E1~E23のいずれか1つ記載の組み合わせ。
【0048】
E25.第3の抗ガン剤をさらに含む、E1記載の組み合わせ。
【0049】
E26.第2の抗ガン剤が、シタラビンであり、第3の抗ガン剤が、ダウノルビシン又はイダルビシンである、E25記載の組み合わせ。
【0050】
E27.ガンの処置のための医薬の製造における、E1~E26のいずれか1つ記載の組み合わせの使用。
【0051】
E28.ガンが、急性骨髄性白血病である、E27記載の使用。
【0052】
E29.ガンが、急性リンパ球性白血病である、E27記載の使用。
【0053】
E30.同時、連続的又は別個の投与のための、
(a)E1で定義された式(I)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを
別個に又は共に含有する医薬であって、
Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、ガンの処置に有効な量で提供される、
医薬。
【0054】
E31.同時、連続的又は別個の投与のための、
(a)E2で定義された式(II)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを
別個に又は共に含有する医薬であって、
Mcl-1阻害剤と第2の抗ガン剤とが、ガンの処置に有効な量で提供される、
医薬。
【0055】
E32.第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される、E30又はE31記載の医薬。
【0056】
E33.併せて治療上有効量の、
(a)E1で定義された式(I)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを
それを必要とする対象に投与することを含む、
ガンを処置する方法。
【0057】
E34.併せて治療上有効量の、
(a)E2で定義された式(II)で示されるMcl-1阻害剤と、
(b)第2の抗ガン剤(ここで、第2の抗ガン剤は、アントラサイクリン、シタラビン及び低メチル化剤から選択される)とを
それを必要とする対象に投与することを含む、
ガンを処置する方法。
【0058】
E35.第2の抗ガン剤が、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン及びアザシチジンから選択される、E33又はE34記載の方法。
【0059】
E36.式(I)で示されるMcl-1阻害剤が、(2R)-2-{[(5S)-5-{3-クロロ-2-メチル-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]フェニル}-6-(4-フルオロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]オキシ}-3-(2-{[2-(2-メトキシフェニル)ピリミジン-4-イル]メトキシ}フェニル)プロパン酸である、E33又はE34記載の方法。
【0060】
E37.(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための方法であって、
併せて治療上有効量のE1で定義された式(I)で示されるMcl-1阻害剤を、本明細書に記載された第2の抗ガン剤と組み合わせて、前記患者に投与することを含む、
方法。
【0061】
E38.(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方である患者を感作するための方法であって、
併せて治療上有効量のE2で定義された式(II)で示されるMcl-1阻害剤を、本明細書に記載された第2の抗ガン剤と組み合わせて、前記患者に投与することを含む、
方法。
【0062】
「組み合わせ」は、1つの単位剤形(例えば、カプセル剤、錠剤又は小袋)での固定用量の組み合わせ、非固定用量の組み合わせ又は併用投与のためのパーツキットのいずれかを指す。同キットの場合、本発明の化合物及び1種以上の組み合わせパートナー(例えば、以下に説明される別の薬剤、「治療剤」又は「補助剤」とも呼ばれる)が、同時に独立して又は時間間隔内で別個に投与することができ、特に、これらの時間間隔は、組み合わせパートナーが協同的、例えば、相乗効果を示すのを可能にする。
【0063】
本明細書で利用する場合、「同時投与」又は「併用投与」等の用語は、選択された組み合わせパートナーの、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)への投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路により又は同時に投与されるわけではない処置計画を含むことを意図している。
【0064】
「固定用量の組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、式(I)で示される化合物及び1種以上の組み合わせパートナーが両方とも、単一の実体又は投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。
【0065】
「非固定用量の組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、本発明の化合物及び1種以上の組み合わせパートナーが両方とも、別個の実体として、同時又は連続的のいずれかで、特別な期限なしに患者に投与されることを意味し、ここで、このような投与により、患者の体内における2つの化合物の治療上有効なレベルが提供される。後者は、カクテル療法、例えば、3種以上の有効成分の投与にも適用される。
【0066】
「ガン」は、一群の細胞が制御されない増殖を示す疾患のクラスを意味する。ガンの種類は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ球性白血病及びリンパ腫を含む血液ガンを含む。また、ガンの種類は、ガン腫、肉腫又は芽腫を含む固形腫瘍も含む。
【0067】
「併せて治療上有効」という用語は、治療剤が処置される温血動物、特に、ヒトにおいて好ましいような時間間隔で、別々に(経時的に互い違いの様式、特に、順序特異的な様式で)与えることができ、それでも、(好ましくは相乗的な)相互作用(共同治療効果)を示すことを意味する。これが当てはまるかどうかは、とりわけ、両方の化合物が少なくとも特定の時間間隔の間に、処置されるヒトの血液中に存在することを示す血中レベルを追跡することによって決定することができる。
【0068】
「標準治療剤」又は「標準治療化学療法」は、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シタラビン、デシタビン、グアデシタビン又はアザシチジンを意味する。特に、「標準治療剤」又は「標準治療」化学療法は、イダルビシン、ダウノルビシン、シタラビン、デシタビン又はアザシチジンを意味する。
【0069】
「相乗的に有効」又は「相乗作用」は、2種以上の薬剤の投与後に観察される治療効果がそれぞれの単剤の投与後に観察される治療効果の合計よりも大きいことを意味する。
【0070】
本明細書で使用する場合、任意の疾患又は障害を「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、一実施態様において、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその臨床兆候の少なくとも1つの発生を遅らせ、停止させ又は減少させること)を指す。別の実施態様では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、患者により識別できない場合があるものを含む少なくとも1つの身体的パラメータを緩和し又は改善することを指す。更に別の実施態様では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、疾患又は障害を、物理的(例えば、識別可能な兆候の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)のいずれか又は両方でモジュレーションすることを指す。
【0071】
本明細書で使用する場合、対象は、このような対象が生物学的、医学的又は生活の質においてこのような処置から利益を得る場合、処置を「必要とする」。
【0072】
「寛解」という用語は、ガンの徴候及び症状の減少又は消失を指す。
【0073】
別の態様では、(i)少なくとも1種の化学療法処置に抵抗性であるかもしくは(ii)化学療法による処置後に再発しているか又は(i)と(ii)との両方であるヒトを感作するための方法であって、本明細書に記載されたように、式(I)で示されるMcl-1阻害剤を第2の抗ガン剤と組み合わせて、患者に投与することを含む、方法が提供される。感作される患者は、本明細書に記載されたように、式(I)で示されるMcl-1阻害剤の第2の抗ガン剤との組み合わせでの投与を含む処置に応答性の患者又はこのような処置に対する抵抗性を生じていない患者である。
【0074】
「医薬」は、1種以上の賦形剤の存在下で1種以上の有効成分を含有する、医薬組成物又は幾つかの医薬組成物の組み合わせを意味する。
【0075】
「AML」は、急性骨髄性白血病を意味する。
【0076】
「ALL」は、急性リンパ球性白血病を意味する。
【0077】
本発明の医薬組成物において、有効成分の重量比(組成物の総重量に対する有効成分の重量)は、5~50%である。
【0078】
本発明の医薬組成物の中でも、経口、非経口及び特に、静脈内、経皮(per- or trans-cutaneous)、鼻、直腸、経舌、眼又は呼吸経路による投与に適切なもの、より具体的には、錠剤、糖衣錠、舌下錠、硬ゼラチンカプセル剤、グロセット剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、注射用製剤、エアロゾル剤、点眼剤又は点鼻剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚ゲル剤等が、とりわけ使用されるのであろう。
【0079】
本発明の医薬組成物は、希釈剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤、安定剤、保存剤、吸収剤、着色剤、甘味料、香味料等から選択される1種以上の賦形剤又は担体を含む。
【0080】
非限定的な例として、以下を挙げることができる。
希釈剤として:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリセロール、
潤滑剤として:シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム及びカルシウム塩、ポリエチレングリコール、
バインダーとして:ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドン、
崩壊剤として:アガー、アルギン酸及びそのナトリウム塩、発泡性混合物。
【0081】
組み合わせの化合物は、同時に又は連続的に投与することができる。投与経路は、好ましくは、静脈内注入又は注射であり、対応する医薬組成物は、有効成分の即時放出又は遅延放出を可能にし得る。組み合わせの化合物は、更に、それぞれが有効成分の1つを含有する2つの別個の医薬組成物の形態又は有効成分が混合されている単一の医薬組成物の形態で投与することができる。
【0082】
有用な投与計画は、患者の性別、年齢及び体重、投与経路、ガンの性質並びに任意の関連する処置の性質に応じて変化し、週あたり25mg~1500mg、より好ましくは、週あたり50mg~1400mgの範囲のMcl-1阻害剤である。本明細書に記載された第2の抗ガン剤の用量は、単独で投与される場合に使用される用量と同じであろう。
【0083】
薬理データ
実施例1:急性骨髄性白血病(AML)細胞系統における、MCL-1阻害剤とイダルビシン、シタラビン及びデシタビンとの組み合わせの増殖に対するin vitro効果
材料及び方法
細胞系統は、表1に示されるように供給され、FBSが補充された基礎培地中で維持した。加えて、全ての培地に、ペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及びL-グルタミン(2mM)を含有させた。
【0084】
細胞系統を5% COを含有する加湿大気中37℃で培養し、T-150フラスコ中で増大させた。全ての場合において、細胞を凍結ストックから解凍し、適切な希釈液を使用して≧1継代を通して増大させ、CASY細胞カウンターを使用して計数して生存率について評価し、その後、150μL/ウェルを表1に示される密度で96ウェルプレートに播種した。全ての細胞系統を社内でマイコプラズマ汚染がないことを確認した。化合物のストック溶液をDMSO中5mMの濃度で調製し、-20℃で保存した。
【0085】
単剤としての化合物の活性を分析するために、細胞を、細胞アッセイプレート中において播種し、個々に直接分注された各化合物の9つの2倍系列希釈物で処理した。細胞生存率に対する化合物の効果を37℃/5% COでの3日間のインキュベート後に、CellTiterGloを使用して、試薬 75μL/ウェルで細胞内ATPレベルを定量することにより評価した。全ての実験をトリプリケートで行った。発光を多目的プレートリーダーで定量した。単剤IC50を、標準的な4パラメータカーブフィッティングを使用して計算した。IC50は、CTGシグナルが媒体(DMSO)対照について測定されたシグナルの50%に減少する化合物濃度として定義される(表2)。
【0086】
シタラビン(表3)、イダルビシン(表4)及びデシタビン(表5)と組み合わせた化合物の活性を分析するために、細胞を細胞アッセイプレートに播種し、個々に又は、図1に示されたチェッカーボード様式での全ての可能性のある順列でのいずれかで、直接分注された、各化合物の7又は8の3.16倍系列希釈物で処理した。単剤及びそれらのチェッカーボード組み合わせの細胞生存率に対する効果を37℃/5% COでの3日間のインキュベート後に、CellTiterGloを使用して、試薬 75μL/ウェルで細胞内ATPレベルを定量することにより評価した。2つの独立した実験(それぞれをダプリケートで実施)を行った。発光を多目的プレートリーダーで定量した。
【0087】
化合物組み合わせ間の可能性のある相乗的相互作用を、過剰阻害2Dマトリックスを使用し、Loewe相加モデルに従って評価し、相乗スコアとして報告する(Lehar et al., Nature Biotechnology 2009, 27(7), 659-66)。全ての計算を、Horizonのウェブサイトで入手可能なChalice(商標)バイオインフォマティクス・ソフトウエアを使用して行った。
【0088】
表1に示された倍加時間は、細胞の解凍から96ウェルプレートへの播種までに行われた異なる継代(T-150フラスコ中)で得られた倍加時間の平均である。
【0089】
相乗スコア
SS~0→相加的
SS≧1→弱く相乗的
SS≧2→相乗的
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
結果
本発明のMcl-1阻害剤をシタラビン、イダルビシン及びデシタビンと組み合わせることの増殖に対する効果を13種のAML細胞系統のパネルにおいて評価した。単剤としてのMcl-1阻害剤により、試験された13種のAML系統の大部分の成長が強力に阻害された(IC50値 1nM~2.2μM-表2)。標準治療剤であるシタラビン、イダルビシン及びデシタビンとの組み合わせにおいて、試験された細胞系統の大部分についての相乗的成長阻害(すなわち、2超の相乗スコア(Lehar et al, 2009))が観察された(表3、4及び5)。これらのデータから、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせが、AML患者の処置に有益であることができたことが示される。
【0096】
実施例2:初代ヒトAMLサンプルにおけるMCL-1阻害剤とイダルビシンとの組み合わせの相乗的なアポトーシス促進活性
材料及び方法:患者AML細胞
AMLを患う患者からの骨髄サンプルをAlfred Hospital Human research ethics committeeにより承認されたガイドラインに従ってインフォームド・コンセント後に収集した。
【0097】
単核細胞を密度勾配遠心分離Ficoll-Hypaque(GE Healthcare, Australia)密度勾配遠心分離により単離し、赤血球溶解を以前に記載されているように(Rijal et al., Blood 2015, 125, 2815-2824)、0.156M NHCl、0.017M Tris-HCl pH7.2を使用して行った。次いで、細胞を、2% ウシ胎児血清(FBS;Sigma, Australia)を含有するリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させた。次いで、単核細胞を、ペニシリン及びストレプトマイシン(GIBCO)並びに15% 熱不活化ウシ胎児血清(Sigma)を含有するRPMI-1640(GIBCO, Australia)培地に懸濁させた。細胞を、使用前に、2% FBSを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した。
【0098】
細胞生存率アッセイ
AML患者サンプルから新鮮に精製された単核細胞を2.5×10個/mLの濃度に調節し、ウェルあたり細胞 100μLを96ウェルプレート(Sigma)に分割した。次いで、細胞を1nM~10μMの5log濃度範囲にわたって、イダルビシン及び化合物2で48時間処理した。組み合わせアッセイのために、薬剤を1nM~10μMの1:1の比率で加え、細胞を37℃、5% COでインキュベーションした。次いで、細胞をSytox blue核酸染色(Invitrogen, Australia)で染色し、蛍光を、LSR-II Fortessa(Becton Dickinson, Australia)を使用するフローサイトメトリー分析により測定した。FACSDivaソフトウェアをデータ収集に使用し、FlowJoソフトウェアを分析に使用した。芽球細胞を前方及び側方散乱特性を使用してゲーティングした。Sytox blueを排除する生存細胞を、各薬剤について6つの濃度で決定し、50%致死濃度(LC50、μM)を決定した。
【0099】
【表6】
【0100】
結果
本発明のMcl-1阻害剤をイダルビシンと組み合わせることの生存に対する効果を幾つかの初代ヒトAMLサンプルにおいて評価した(図2;表6)。幾つかのサンプルが単剤療法としてのAMLの処置のためのMcl-1阻害剤及び標準治療剤に感受性であったとしても、単剤療法では効果がないか又は効果が不十分であるより多くのサンプルが、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせに対して相乗的に感受性である。このことは、この組み合わせにより、AML患者の処置に利益を提供することができたことを示している。
【0101】
実施例3:白血病芽球は、CD34+造血前駆体より、シタラビンと組み合わせたMcl-1阻害剤に対して高い感受性を示した
材料及び方法:コロニーアッセイ
コロニー形成アッセイをAML患者からの新鮮に精製され、凍結された単核画分に行った。
【0102】
初代細胞を1×10~1×10個で35mmディッシュ(Griener-bio, Germany)においてダプリケートで培養した。細胞を0.6% アガー(Difco, Australia):AIMDM 2×(NaHCO、デキストラン、Pen/Strep、Bメルカプトエタノール及びアスパラギンが補充されたIMDM粉末-Invitrogen):ウシ胎児血清(Sigma)(比率2:1:1)に播種した。最適な成長条件のために、全てのプレートに、GM-CSF(プレートあたり100ng)、IL-3(100ng/プレート R&D Systems, USA)、SCF(100ng/プレート R&D Systems)及びEPO(4U/プレート)を含有させた。高湿インキュベーター中において、37℃、5% COで、薬剤の存在下及び非存在下において2~3週間成長させた。インキュベーション後、プレートを生理食塩水中の2.5% グルタルアルデヒドで固定し、Oxford OptronixからのGelCount(Abingdon, United Kingdom)を使用してスコアリングした。
【0103】
結果
クローン形成アッセイにおいて、初代AMLサンプル及び正常ヒトCD34+前駆細胞のサブセットは、100nM 化合物2に対して抵抗性であった。対照的に、10nM 標準治療剤、例えば、シタラビンは、白血病及び正常前駆細胞の両方のクローン原性成長に対して毒性であった。最後に、初代AMLサンプルのサブセットは、10nM 化合物2+シタラビンに対して感受性であったが、正常ヒトCD34+前駆細胞は、この用量ではほとんど影響を受けなかった(図3)。
【0104】
実施例4:デシタビンと組み合わせたMcl-1阻害剤は、in vivoで十分耐容性である
デシタビンと組み合わせた化合物2の耐容性を決定するために、NSGマウスを
a)0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビンのIP注射又は
b)25mg/kg 化合物2と組み合わせた0.4mg/kgもしくは0.8mg/kg デシタビン(IV)で1週間にわたって処置し、白血球(WBC)、血小板、ヘモグロビン(Hb)、赤血球(RBC)計数を、Hemavet血液分析器を使用して決定した。
【0105】
デシタビンと組み合わせた化合物2は、十分に耐容性であり(図5)、マウスの体重は、処置の間減少しなかった(図4)。
【0106】
まとめると、実施例2、3及び4から、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせが、追加の化学療法を必要とせず、許容可能な治療安全性ウィンドウで、特定のAMLを処置するための新規なアプローチであることが示される。
【0107】
実施例5:デシタビンと組み合わせたMcl-1阻害剤は、in vivoでPDX AMLを相乗的に阻害する
材料及び方法
AML患者サンプルAML54からの骨髄白血病芽球を増大させるためにNOD--IL2Rγcnull(NRG)マウス(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, USA)に静脈内注射した。NRG-SG3マウスを、ヒトCD45陽性(hCD45+)細胞についての末梢血のフローサイトメトリー分析により白血病発生についてモニタリングした。患者初代AMLのマウスモデルを確立するために、1×10個 白血病芽球を尾静脈注射によりNRG-SG3マウスに注射し、動物をhCD45+細胞についての末梢血のフローサイトメトリー分析を使用して、白血病進行についてモニタリングした。安楽死させた動物の大腿骨由来の骨髄中のhCD45+細胞計数を使用して、白血病浸潤の程度を決定した。骨髄細胞を、2% ウシ胎児血清が補充されたPBS中で大腿骨をすすぐことにより抽出した。AMLに対する有効性を決定するために、マウスのコホートを媒体対照、デシタビン(0.4mg/kg)毎日IP5日間、化合物2(Mcl-1阻害剤、25mg/kg)又は化合物2と組み合わせたデシタビン週2回静脈内注射で処置した。薬剤の有効性を媒体でのマウスの大腿骨から単離された骨髄中のhCD45+細胞のフローサイトメトリー分析により決定した。
【0108】
結果
図6に示されたように、化合物2と組み合わせたデシタビンにより処置されたマウスにおいて、ヒトAML細胞数が顕著に減少し、hCD45+細胞は、骨髄白血球の9%未満を占めた。これらの結果から、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせにより、AML54のPDXモデルにおいて大部分のヒトAML芽球細胞が効果的に殺傷されることが示される。
【0109】
実施例6:初代ヒトALLサンプルにおいてMCL-1阻害剤を標準治療剤と組み合わせることの相乗的なアポトーシス促進活性
材料及び方法:初代ALL患者サンプル
ALL患者からの骨髄又は末梢血サンプルを、The Alfred Hospital Human research ethics committeeにより承認されたガイドラインに従ってインフォームド・コンセント後に収集した。単核細胞をFicoll-Paque(GE Healthcare, Australia)密度勾配遠心分離により単離し、続けて、赤血球を塩化アンモニウム(NHCl)溶解バッファー中において、37℃で10分間枯渇させた。次いで、細胞を2% ウシ胎児血清(Sigma, Australia)を含有するリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させた。次いで、単核細胞をペニシリン及びストレプトマイシン(GIBCO)並びに15% 熱不活化ウシ胎児血清(Sigma)を含有するRPMI-1640(GIBCO, Australia)培地に懸濁させた。
【0110】
細胞生存率
ALL患者サンプルから新鮮に精製された単核細胞を2.5×10個/mlの濃度に調節し、ウェルあたり細胞 100μLを96ウェルプレート(Sigma)に分割した。次いで、細胞を1nM~10μMの6log濃度範囲にわたって、示された薬剤で48時間処理した。組み合わせアッセイのために、薬剤を1nM~10μMの1:1の比率で加え、37℃、5% COでインキュベーションした。次いで、細胞をSytox blue核酸染色(Invitrogen, Australia)で染色し、蛍光を、LSR-II Fortessa(Becton Dickinson, Australia)を使用するフローサイトメトリー分析により測定した。FACSDivaソフトウェアをデータ収集に使用し、FlowJoソフトウェアを分析に使用した。芽球細胞を前方及び側方散乱特性を使用してゲーティングした。Sytox blueを排除する生存細胞を、各薬剤について6つの濃度で決定し、50%致死濃度(LC50、μM)を決定した。
【0111】
【表7】
【0112】
結果
本発明のMcl-1阻害剤をシタラビンと組み合わせることの生存に対する効果を幾つかの初代ヒトALLサンプルにおいて評価した(表7)。幾つかのサンプルが、単剤療法としてのALLの処置のためのMcl-1阻害剤及び標準治療剤に感受性であっても、単剤療法が無効であるか又は効果が不十分であるより多くのサンプルが、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせに対して相乗的に感受性であり、このことは、この組み合わせにより、ALL患者の処置に利益を提供することができたことを示している。
【0113】
実施例7:デシタビンと組み合わせたMcl-1阻害剤は、in vivoでPDX AMLを相乗的に阻害する
材料及び方法
原発性患者AMLのマウスモデルを確立するために、1x10個 白血病芽球を尾静脈注射によりNOD-IL2Rcγnull(NRG-SG3)マウス(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME, USA)に注射し、動物を、hCD45+細胞についての末梢血のフローサイトメトリー分析を使用して、白血病進行についてモニタリングした。安楽死させた動物の大腿骨由来の骨髄中のhCD45+細胞計数を使用して、白血病浸潤の程度を決定した。骨髄細胞を、2% ウシ胎児血清が補充されたPBS中で大腿骨をすすぐことにより抽出した。化合物1+デシタビンの有効性を決定するために、マウスに25mg/kg 化合物1週2回IV及び0.4mg/kg デシタビン毎日IP(D1~D5)を受けさせた。薬剤の有効性を紅潮した大腿骨から単離された骨髄中のhCD45+細胞のフローサイトメトリー分析により決定した。胸骨をホルマリン中で固定し、切片化し、ヘマトキシリン及びエオシン又は抗hCD45で染色して、白血病負荷及び細胞充実性を評価した。
【0114】
結果
得られた結果から、血液ガンの処置のためのMcl-1阻害剤と標準治療剤との組み合わせにより、AML患者の処置に利益を提供することができたことが示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6