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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】給紙装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20221202BHJP
   B65H 1/14 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B65H1/26 310S
B65H1/14 322A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020035528
(22)【出願日】2020-03-03
(62)【分割の表示】P 2016007217の分割
【原出願日】2016-01-18
(65)【公開番号】P2020079162
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】山内 友樹
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】吉村 尚
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-143736(JP,A)
【文献】特開平08-259008(JP,A)
【文献】特開平08-091593(JP,A)
【文献】特開2004-083206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成媒体を収納して給紙する給紙装置であって、
給紙装置本体と、
前記給紙装置本体内に備えられて画像形成媒体を積載する画像形成媒体積載部と、
前記画像形成媒体積載部の昇降を行う昇降部と、
前記昇降部の昇降を制御する制御部と、を備え、
前記給紙装置本体は、前記給紙装置内に収まる画像形成媒体を前記画像形成媒体積載部に積載するための第1の状態と、前記給紙装置内に収まりかつ前記第1の状態よりも給紙方向に長い画像形成媒体を前記画像形成媒体積載部に積載するための第2の状態とを取り、
前記制御部は、前記第1の状態とするための第1のユーザ操作に基づいて前記画像形成媒体積載部を第1の高さに、前記第2の状態とするための第2のユーザ操作に基づいて前記画像形成媒体積載部を第2の高さになるよう前記昇降部の昇降動作を制御するものであり、第1の高さより第2の高さが高いことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記給紙装置本体は、上部に開口を有し、
前記開口の一部または全部を塞ぐ、搬送方向上流側に位置する上流側分割蓋と搬送方向下流側に位置する下流側分割蓋とを有し、
前記第1の状態は前記下流側分割蓋のみを開ける前記第1のユーザ操作により、下流側分割蓋のみが開の状態、前記第2の状態は前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋を開ける前記第2のユーザ操作により、前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋が開の状態であることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋の開閉を検知する蓋開閉検知部を有することを特徴とする請求項2記載の給紙装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の状態もしくは前記第2の状態から、画像形成媒体が給紙される給紙位置まで、上昇するように前記昇降部を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記画像形成媒体積載部の高さを検知する画像形成媒体積載部高さ検知部を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記昇降部は駆動モーターを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記画像形成媒体を給紙する給紙ローラーを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、
請求項1~のいずれか1項に記載の給紙装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部と画像形成媒体を収納する給紙部本体トレイを有する画像形成装置本体と、
前記給紙装置とを備えたことを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転写媒体を搬送する給紙装置および給紙装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を転写媒体に形成して印刷を行う画像形成装置では、用紙を積載した給紙装置から用紙を給紙して印刷に供している。給紙装置では、給紙トレイを給紙位置に置いて給紙を行っている。
ところで、画像形成装置では、長尺用紙と呼ばれる用紙に対し画像が形成されることがある。長尺用紙とはA3サイズ、A4サイズ等の枚葉紙とは異なり所定の方向に長い用紙である。長尺用紙には長さ660mm、750mm、1200mm等さまざまな長さの用紙が存在し、近年、特に660mm長さまでの長尺用紙では大量印刷の需要も高まっている
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、給紙トレイの昇降を、給紙装置本体の開口を塞ぐ分割蓋の開閉状態等の状態とするためのユーザ操作に基づいて制御することができる給紙装置および画像形成装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の給紙装置のうち、第1の形態は、
画像形成媒体を収納して給紙する給紙装置であって、
給紙装置本体と、
前記給紙装置本体内に備えられて画像形成媒体を積載する画像形成媒体積載部と、
前記画像形成媒体積載部の昇降を行う昇降部と、
前記昇降部の昇降を制御する制御部と、を備え、
前記給紙装置本体は前記給紙装置内に収まる画像形成媒体を前記画像形成媒体積載部に積載するための第1の状態と、前記給紙装置内に収まりかつ前記第1の状態よりも給紙方向に長い画像形成媒体を前記画像形成媒体積載部に積載するための第2の状態とを取り、
前記制御部は、前記第1の状態とするための第1のユーザ操作に基づいて前記画像形成媒体積載部を第1の高さに、前記第2の状態とするための第2のユーザ操作に基づいて前記画像形成媒体積載部を第2の高さになるよう前記昇降部の昇降動作を制御するものであり、第1の高さより第2の高さが高いことを特徴とする。
【0009】
他の形態の給紙装置の発明は、画像形成媒体を収納して給紙する給紙装置であって、
紙装置本体と、
前記給紙装置本体内に備えられて画像形成媒体を積載する画像形成媒体積載部と、
前記画像形成媒体積載部の昇降を行う昇降部と、
前記昇降部を制御する制御部と、を備え、
前記給紙装置本体は、前記給紙装置内に収まる第1サイズと第1サイズとは異なるサイズでありかつ前記給紙装置内に収まる第2サイズの画像形成媒体を収納可能であり、かつ、
前記第1サイズの画像形成媒体を前記給紙装置内にセットするための第1の状態と、前記第2サイズの画像形成媒体を前記給紙装置内にセットするための第2の状態とを有し、
前記制御部は、前記第1の状態と前記第2の状態において画像形成媒体をセットする位置が異なるように前記昇降部を制御することを特徴とする。
【0010】
他の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記給紙装置本体は、上部に開口を有し、
前記開口の一部または全部を塞ぐ、搬送方向上流側に位置する上流側分割蓋と搬送方向下流側に位置する下流側分割蓋とを有し、
前記第1の状態は前記下流側分割蓋のみを開ける前記第1のユーザ操作により、下流側分割蓋のみが開の状態、前記第2の状態は前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋を開ける前記第2のユーザ操作により、前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋が開の状態であることを特徴とする。
他の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記上流側分割蓋及び前記下流側分割蓋の開閉を検知する蓋開閉検知部を有することを特徴とする。
他の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記第1の状態もしくは前記第2の状態から、画像形成媒体が給紙される給紙位置まで、上昇するように前記昇降部を制御することを特徴とする。
の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記画像形成媒体積載部の高さを検知する画像形成媒体積載部高さ検知部を有することを特徴とする。
他の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記昇降部は駆動モーターを有することを特徴とする。
他の形態の給紙装置の発明は、前記形態の発明において、前記画像形成媒体を給紙する給紙ローラーを有することを特徴とする。
【0011】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記下降可能位置として、少なくとも中間位置および下端位置が設定されていることを特徴とする。
【0012】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記中間位置が、前記給紙トレイに積載された転写媒体の上部積載高さを基準にするものであることを特徴とする。
【0013】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記中間位置が、長尺転写媒体積載時高さであることを特徴とする。
【0014】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記下降可能位置として、待機位置が設定されることを特徴とする。
【0015】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記下流側分割蓋が開き、かつ前記上流側分割蓋が閉じられている状態では、前記給紙トレイの下限可能位置を給紙トレイの下端位置に設定し、前記上流側分割蓋および前記下流側分割蓋が開いた状態では、前記給紙トレイの下限可能位置を前記中間位置に設定することを特徴とする。
【0016】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記上流側分割蓋に載置される転写媒体の種別に応じて前記中間位置を設定することを特徴とする。
【0017】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記転写媒体の種別が坪量であることを特徴とする。
【0018】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記検知結果に、さらに、前記上流側分割蓋に対する転写媒体の載置の有無を含むことを特徴とする。
【0019】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記上流側分割蓋上での転写媒体の載置を検知する転写媒体検知部を有することを特徴とする。
【0020】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記上流側分割蓋上に転写媒体が載置されていることが検知されると、前記給紙トレイの下降を禁止することを特徴とする。
【0021】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記制御部は、前記上流側分割蓋上に転写媒体が載置されていることが検知されると、前記下流側分割蓋が開いているときは給紙動作を禁止することを特徴とする。
【0022】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記分割蓋は、観音扉またはスライド扉からなることを特徴とする。
【0024】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記トレイ高さ検知部は、前記給紙トレイの転写媒体の上部積載高さを基準にして検知を行うものであることを特徴とする。
【0025】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記上流側分割蓋と前記下流側分割蓋とは、前記下流側分割蓋が優先的に開く構造を有していることを特徴とする。
【0026】
他の形態の給紙装置は、前記形態の本発明において、前記下流側分割蓋は、閉塞時に前記上流側分割蓋の上に位置するように重なる箇所を有していることを特徴とする。
【0027】
本発明の画像形成装置は、画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記形態のいずれか1項に記載の給紙装置とを備えたことを特徴とする。
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、 前記画像形成部と画像形成媒体を収納する給紙部本体トレイを有する画像形成装置本体と、
前記給紙装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、分割蓋の開放状態と給紙トレイの昇降の制御によりユーザが使用する転写媒体のサイズに応じた積載状態を作り出すことができ、ユーザの転写媒体積載時の状態も給紙トレイの高さに反映することができるためユーザの誤操作による転写媒体折れ、しわ等を防ぐことができるとともにユーザの操作性向上も実現することが可能になる。
また、給紙トレイと分割蓋に跨って転写媒体を積載した場合も給紙部上部は下流側分割蓋により開口部を覆うことが可能で給紙時の安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の給紙装置および画像形成装置の一実施形態を示す概略図である。
図2】同じく、給紙装置の概略構造を示す図である。
図3】同じく、給紙装置の収容長さを示す図である。
図4】同じく、給紙装置に長尺用紙を設置した上を示す図である。
図5】同じく、給紙装置の制御ブロックを示す図である。
図6】同じく、給紙装置の分割蓋の内、下流側分割蓋のみを開いた状態および給紙トレイの下降可能位置を示す図である。
図7】同じく、給紙装置の分割蓋の両方を開いた状態および給紙トレイの下降可能位置を示す図である。
図8】同じく、給紙装置の分割蓋の内、上流側分割蓋のみを開き、長尺用紙を上流側分割蓋に跨がって設置した状態を示す図である。
図9】同じく、分割蓋の開閉と長尺用紙の設置有無に応じて給紙トレイの昇降を制御する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施形態における画像形成装置を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の機械的構成および画像形成装置の概略を示すものである。
画像形成装置1は、画像形成装置本体1Aを備え、画像形成装置本体1Aの前段側には給紙装置2が接続されている。この実施形態では画像形成装置本体1Aの後段側には後処理装置を備えていないものであるが、後処理装置を備えるものであってもよい。給紙装置2には、適宜の用紙は収納される。この実施形態では、用紙は転写媒体に相当する。転写媒体は紙に限定されるものではなく、布やプラスチックなどによって構成されるものであってもよく、材質が限定されるものではない。
また、この実施形態では、画像形成装置本体1Aと画像形成装置本体1Aに接続された装置とによって画像形成装置1が構成されているものとして説明しているが、画像形成装置本体1Aに接続される装置の種別や数が特に限定されるものではない。また、本体装置1Aのみによって画像形成装置が構成されているものであってもよい。
【0031】
給紙装置2は、画像形成装置に含まれるものであってもよく、また画像形成装置に接続される外部装置として使用されるものであってもよい。この実施形態では、給紙装置2は、画像形成装置1に含まれているものとして説明する。
【0032】
画像形成装置1は、画像を形成する画像形成部15を画像形成装置本体1A内に有しており、画像形成装置本体1Aの上部側には、操作者の操作を受けるとともに、情報を表示する操作パネル14を有している。操作パネル14は、例えば、タッチパネルを有するLCDによって構成することができる。また、操作を行う操作部と表示を行う表示部とが別に構成されていてもよい。操作パネル14では、給紙部本体トレイ10や、給紙装置2における用紙の設定を行うことができる。
【0033】
さらに、画像形成装置1の装置本体1A上部側には、原稿を自動的に読み込む自動原稿給装装置を含む原稿読み取り部13を有しており、原稿読み取り部13によって原稿の画像が読み取られる。また、画像形成装置本体1Aの下部側には、用紙を収納する給紙部本体トレイ10を有している。
【0034】
画像形成装置本体1Aでは、用紙が搬送される搬送路12を有しており、給紙は装置本体1A内の複数の給紙部本体トレイ10から行うものであってもよく、給紙装置2から給紙されるものであってもよい。給紙部本体トレイ10や給紙装置2から給紙される用紙は、搬送ローラー13A、13B等を経て搬送路12によって搬送され、画像形成部15に至る。画像形成部15では用紙に画像が転写され、定着器15Eで熱と圧力を加えてトナー像が定着されることで印刷がなされ、その後、搬送路12を経て装置外に排出される。この実施形態の用紙は、本発明の転写媒体に相当する。なお、転写媒体は用紙に限定されるものではなく、布などによって構成されるものであってもよい。また、画像形成を行った用紙は、後処理装置に搬送されるものであってもよい。
【0035】
なお、図では示していないが、定着器15Eの下流側では反転搬送路が分岐しており、反転搬送路は画像形成部15の上流側で搬送路12に合流している。表裏面に画像を形成する場合は、表面に画像が形成された用紙を反転搬送路に搬送し、反転搬送路で用紙を反転した後、搬送路12に搬送することで、裏面側への画像形成を行うことができる。
なお、用紙の裏面に画像を形成する機構は上記に限定されるものではなく、裏面用の画像形成部を別に備えるものであってもよい。
【0036】
画像形成部15では、各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど)用にそれぞれ用意された感光体15Aを有し、各感光体15Aの周線部にそれぞれ図示しない帯電器、書き込み部および現像ユニットが配設されている。帯電器によって帯電した感光体15A表面は、画像データの画像情報に基づいて、LDなどの書き込み部により像露光が行われ、感光体15A表面には潜像が形成される。潜像は現像ユニットによって現像がなされてトナー像となる。トナー像は、中間転写ベルト15Bに転写され、中間転写ベルト15Bの画像は、搬送路12で搬送されて二次転写ローラー15Cで圧着されつつ搬送される用紙に転写される。
【0037】
画像形成部15では、中間転写ベルト15Bの用紙転写位置よりも回転方向側かつ各感光体15Aとの転写位置よりも回転方向逆側に、該中間転写ベルト15B上の残留トナーを除去するクリーニングブレード15Dが配置されている。
なお、上記した各感光体15A、中間転写ベルト15Bは、図示しない駆動モーターによって回転駆動される。画像が転写された用紙は、定着器15Eで画像が定着されて印刷が行われる。用紙の表面側への印刷のみを行う場合は、画像形成後に、搬送路12に沿ってそのまま排紙される。
用紙の裏面側への印刷を行う場合は、反転搬送路に用紙を送って用紙を反転し、画像形成部15の上流側の搬送路12に環流させる。環流した用紙は、上記と同様に裏面側に画像が転写され、定着器15Eで画像が定着された後、搬送路12に沿って排紙される。
なお、この実施形態では、カラー画像形成装置について説明するが、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【0038】
画像形成装置1は、LAN3を通じて外部装置4と接続されて画像形成システムを構成している。外部装置4としては、PC端末や画像形成装置を管理する管理装置が挙げられる。画像データは、画像形成装置1で取得する他、外部装置4から送られるジョブデータから取得するものであってもよい。ジョブデータは画像データと印刷条件データなどからなる。また、外部装置4が画像形成装置1を管理する装置として用いられる場合、給紙装置2の制御を外部装置に備える制御部によって行うこともできる。
【0039】
図2は、給紙装置2の機械的概略を示している。
給紙装置2は、転写媒体を収納する給紙装置本体2Aを有し、上部に開口部2Bを有している。
給紙装置本体2A内には、複数枚の用紙を積載することができる給紙トレイ20を有しており、給紙トレイ20は、昇降部21によって給紙装置本体2A内で上下に昇降することができる。
【0040】
昇降部21は、図示しない駆動モーターや駆動伝達機構などによって構成することができる。昇降部21は給紙トレイ20の昇降を行えるものであればよく、本発明として、特に昇降部21の構成が限定されるものではない。
給紙トレイ20は、積載した用紙の上部面が給紙位置となるように昇降部21の動作により上昇して用紙送り出し高さを一定にすることができる。この状態で、給紙ローラーなどを備える給紙部25によって上端の用紙が順次給紙される。
【0041】
開口部2Bには、用紙の搬送方向において下流側に位置する下流側分割蓋22と、上流側に位置する上流側分割蓋23とによって塞ぐことができる。各分割蓋は給紙装置本体2Aの上部側の搬送方向両端で軸止されており、軸止部を支点にして観音扉状に開閉することができる。下流側分割蓋22と上流側分割蓋23とは、開口部2Bの全部を塞ぐものでもよく、また、開口部2Bの一部を塞ぐものであってもよい。
【0042】
また、図3に示すように、下流側分割蓋22と上流側分割蓋23とは、各分割蓋を閉めた状態で、下流側分割蓋22が必ず上流側分割蓋23の上方に位置する。この構成により分割蓋の開放時、ユーザは必ず下流側の分割蓋から開放する操作を行うことになる。
この実施形態では、下流側分割蓋22の全体が上流側分割蓋23の上方に位置して開閉の順番が規制されているが、開閉の順番を定めるための構成が上記に限定されるものではなく、それぞれの分割蓋が閉塞時、蓋の端部同士が重なり合う箇所を有し、下流側の蓋が必ず上側に覆いかぶさるように重なる構成をとしてもよく、その他の構成を採用するものであってもよい。
【0043】
また、給紙装置本体2Aには、給紙トレイ20の下降を指示する手動の下降スイッチ24を有しており、ユーザの操作によって昇降部21による給紙トレイ20の下降を行うことができる。下降は、一定の高さ位置になるものとしてもよい。給紙トレイ20を下降させることで開口部2Bを通して用紙を積載可能な状態にする。
【0044】
なお、給紙装置本体2Aは、下流側分割蓋22を開けた状態で、用紙の出し入れが可能なサイズL1を有しており、例えばL1長さを430mm以上とすることでA3サイズの用紙を扱うことができる。このため、下流側分割蓋22の長さL2は、L2>L1とし、例えば500mm以上とする。また、給紙装置本体2Aでは、下流側分割蓋22と上流側分割蓋23を開いた状態で最大長さの用紙を収納するL3の長さを有しており、例えば、L3として750mm程度の長さとすることができる。
【0045】
また、上流側の支点を中心に上流側分割蓋23を開放した際には、給紙トレイ20に対して鈍角の角度で停止する構成を有している。
ユーザが給紙装置内に収まるサイズの長尺用紙を積載する際には、下流側分割蓋22および上流側分割蓋23を開放する。
【0046】
この条件では、給紙装置2内に収まる長尺用紙の積載を想定しており、中間位置で停止することで長尺用紙を深い位置まで用紙をセットする必要がなくなり、長尺用紙の積載性の向上およびトレイに積載される重量を制限することでA3、A4サイズの給紙装置に適用していた昇降駆動を共用することが可能になる。
図4に示すように、給紙トレイ20と、開放された上流側分割蓋23に跨って長尺用紙LPを積載することができる。
ユーザが給紙装置の収納長さよりも長いサイズの用紙を積載する際には、下流側分割蓋22および上流側分割蓋23を開放する
【0047】
上流側分割蓋23には用紙のセットを検知する用紙検知部26を有している。用紙検知部26には、光学センサなどを用いることで用紙の存在を検知することができる。ただし、本発明としては、用紙検知部の構成は特に限定されるものではなく、上流側分割蓋23上における用紙の有無を検知できればよい。
【0048】
さらに、給紙装置2では、給紙トレイ20の高さ位置を検知するトレイ高さ検知部27(図5示)を有している。トレイ高さ検知部27は、適所に設けたセンサなどによって給紙トレイ20や用紙上部面の高さ位置を検知するものとすることができる他、昇降部21の動作量に従って給紙トレイ高さや用紙上部面の高さ位置を算出するようなものであってもよい。本発明としては、給紙トレイ20や用紙上部面の高さ位置を検知できるものであればよく、その構成が特に限定されるものではない。
【0049】
図5は、給紙装置2における制御ブロックを示すものである。
給紙装置2は、装置本体1に含まれる画像形成制御部によって制御されるものでもよく、また、給紙装置2に備える給紙制御部によって制御されるものであってもよい。給紙装置2を制御する画像形成制御部または給紙制御部は、本発明の制御部に相当する。さらに画像形成制御部と給紙制御部とが連携して本発明の制御部を構成するものであってもよい。
【0050】
制御部200には、昇降部21が制御可能に接続されており、制御部200の制御指令によって昇降部21は昇降動作する。
制御部200には、下流側分割蓋22の図示しない開センサが制御可能に接続されており、下流側分割蓋22の開センサの信号が制御部200に送信される。また、閉センサを設けて閉センサの信号が制御部200に送信されるものであってもよい。
制御部200には、上流側分割蓋23の図示しない開センサが制御可能に接続されており、上流側分割蓋23の開センサの信号が制御部200に送信される。また、閉センサを設けて閉センサの信号が制御部200に送信されるものであってもよい。
【0051】
また、制御部200には、下降スイッチ24の操作信号が伝達される。下降スイッチ24の操作信号が制御部200に入力されると、制御部200は、昇降部21を制御して、例えば給紙トレイが所定の位置に下降するように制御する。
また、制御部200には、用紙検知部26が制御可能に接続されており、用紙検知部26の検知結果が制御部200に送信される。
さらに、制御部200には、トレイ高さ検知部27が制御可能に接続されており、トレイ高さ検知部27による検知結果が制御部200に送信される。
【0052】
制御部200では、下流側分割蓋22と上流側分割蓋23の開閉状態に基づいて給紙トレイの下降可能位置を定めている。下降可能位置は、制御部200に備えられた不揮発メモリなどに格納しておく。下降可能位置は、操作パネル14を通してユーザが設定できるようにしてもよい。また、給紙装置2に操作パネルを設けてユーザによる操作を受け付けるようにしてもよい。
【0053】
図6は、下流側分割蓋22が開いた際の、下降可能な下降位置Cと下降位置Aとを示している。
ユーザがA3以下のサイズの用紙を積載する際には下流側分割蓋22のみを開放する。
下流側分割蓋22のみが開かれた際には一度、上部側の下降位置Cで停止し、その後、ユーザにより用紙を積載するための下降スイッチ24が押された場合は最下点の下降位置Aまでトレイを下降させる。
A3以下の用紙を積載する際にはユーザはこの条件の使用を行うことで普通サイズ紙の用紙を大量かつ容易に積載可能になる。
【0054】
下降位置Cは、待機位置に相当する。待機位置は、上部用紙積載高さを給紙高さ位置よりもやや低い位置とするものである。上部用紙積載高さを給紙高さ位置よりも少し下げることで、給紙部25におけるジャムの取り出しなどを行うことができる。この実施形態では、下流側分割蓋22が開かれると、下流側分割蓋22の開センサの信号が制御部200に送信される。制御部200では、この信号に基づいて、給紙トレイ20上の上部用紙積載高さが下降位置Cとなるように、給紙トレイ20を下降させて停止する。
【0055】
また、下流側分割蓋22が開き、上流側分割蓋23が閉じている状態で下降スイッチ24が操作されると、下流側分割蓋22の開センサの信号と、下降スイッチ24の操作信号とが制御部200に送信される。制御部200では、これらの信号に基づいて、給紙トレイ22を下方の下降位置Aまで下降させる。下降位置Aは、給紙トレイ22の最下端位置である。
【0056】
図7は、下流側分割蓋22と上流側分割蓋23とが開いた状態における下降可能な、下降位置Cと下降位置Bとが示されている。
この状態では、給紙トレイ20は、上部の用紙積載高さが一度、上方の下降位置Cとなるように下降して停止し、その後ユーザにより用紙を積載するための下降スイッチ24が押された場合は、上部用紙積載高さが下降位置Bとなるように給紙トレイ20を下降させる。下降位置Bは、本発明の中間位置に相当する。
下流側分割蓋22と上流側分割蓋23とが開いた状態では、上記と同様に、下流側分割蓋22の開センサの信号が制御部200に送信される。制御部200では、この信号に基づいて、給紙トレイ20上の上部用紙積載高さが下降位置Cとなるように、給紙トレイ20を下降させて停止する。
【0057】
また、この状態で下降スイッチ24が押されると、給紙トレイ20の上記用紙積載高さが下降位置Bになるように給紙トレイ20を下降させて停止する。下降位置Bは、給紙トレイ20上の上部用紙積載高さを基準にするものであり、長尺用紙LPを給紙トレイ20と上流側分割蓋23に跨がって設置して給紙可能とする高さである。したがって、給紙トレイ20上における用紙積載量が異なる場合、給紙トレイ20が停止する位置も異なってくる。
【0058】
中間位置は、長尺用紙LPの紙種によって高さを変更することができる。紙種としては坪量が代表的に示される。通常は、坪量が大きい方が用紙のしわが生じにくく、坪量の小さい用紙ではしわが生じやすくなるので、坪量の大きい用紙の方が坪量の小さい用よりも中間位置を低くすることができる。
【0059】
図8は、上流側分割蓋23が開かれて、給紙トレイ20上から上流側分割蓋23に跨がって長尺用紙LPが設置された状態を示している。
この状態では、給紙トレイ20は、上部用紙積載高さが一度、下降位置Cの位置になるように下降して停止するので、ユーザは上流側分割蓋23と給紙トレイ20に跨って、しわや折れなどを発生させることなく長尺用紙を積載することができる。
用紙を積載することで、上流分割蓋23に備えられた用紙検知部26により用紙の検知が行われる。用紙検知部26は、本発明の転写媒体検知部に相当する。
この状態になった後、ユーザにより用紙を積載しようとして下降スイッチ24が押されたとしても、給紙トレイの下降は行わない。
【0060】
この条件ではトレイが下がりすぎることによる用紙の折れ、しわ等を防ぐため用紙をセットした際、長尺用紙が給紙トレイと上流側分割蓋の間で垂れ下がり過ぎない下降位置Cに上部用紙積載高さが位置するように、給紙トレイを固定する必要がある。このため、給紙トレイの下降を制限する必要がある。
この状態では、長尺用紙LPの存在が用紙検知部26で検知されており、用紙検知部26の検知結果は制御部200に送信されている。
制御部200では、用紙検知部26の検知結果を受けると、給紙トレイ20の下降を禁止する。したがって、この状態で下降スイッチ24を押しても給紙トレイ20はそれ以上下降しない。
上記下降位置Cの位置は、設定されている用紙の坪量によって可変し、厚紙(約170g/m以上の用紙)の場合は下降範囲を広くとり、薄紙(約60g/m以下)の場合は下降範囲を狭くすることで使用する用紙にあった積載位置にトレイを停止することができる。
下流側分割蓋22は、上流側分割蓋23を開いた後、閉じることができる。下流側分割蓋22が閉じられていなければ給紙動作を行わないように制御することもできる。
【0061】
次に、給紙トレイ20の昇降制御の手順を図9のフローチャートに基づいて説明する。
制御開始において、下流側分割蓋が開かれたかを判定する(ステップs1)。下流側分割蓋が開かれていなければ(ステップs1、No)、手順を終了する。
下流側分割蓋が開かれていれば(ステップs1、Yes)、給紙トレイの上部用紙積載位置が下降位置Cとなるまで給紙トレイを下降させる(ステップs2)。
【0062】
次に、上流側分割蓋が開かれているか判定する(ステップs3)。上流側分割蓋が開かれていなければ(ステップs3、No)、下降スイッチがONされたかを判定する(ステップs4)。下降スイッチがONされていなければ(ステップs4、No)、手順を終了し、下降スイッチがONされていれば(ステップs4、Yes)、給紙トレイを最下端の下降位置Aまで下降させて(ステップs5)、手順を終了する。
【0063】
ステップs3で、上流側分割蓋が開かれている場合(ステップs3、Yes)、長尺用紙長さが給紙装置長さよりも短いかを判定する(ステップs6)。判定は、用紙検知部で長尺用紙が検知されたかで判断することができる。すなわち、用紙検知部で長尺用紙が検知されれば、長尺用紙長さが給紙装置長さよりも長いと判定することができ、用紙検知部で長尺用紙が検知されなければ、長尺用紙長さが給紙装置長さよりも長くないと判定することができる。
【0064】
長尺用紙が給紙装置長さよりも小さい場合(ステップs6、Yes)、下降スイッチがONされたかを判定する(ステップs7)。下降スイッチがONされていれば(ステップs7、Yes)、給紙トレイ上の上部用紙積載位置が中間位置になるように、給紙トレイを下降させて(ステップs8)、手順を終了する。
長尺用紙が給紙装置長さよりも大きい場合(ステップs6、No)、下降は禁止され、そのまま手順を終了する。
【0065】
上記下降の制御後に、給紙が指示されると、制御部200では、上部用紙積載位置が給紙位置になるように給紙トレイを上昇させ、給紙を開始することができる。
なお、給紙に際し、下流側分割蓋が閉じられてない場合には、給紙を禁止し、下流側分割蓋が閉じられている場合に給紙を可能にすることで、給紙トレイと蓋に跨って用紙を積載した場合も給紙部上部は下流側分割蓋により開口部を覆うことが可能で給紙時の安全性を確保できる。
【0066】
本実施形態では、画像形成装置本体に対して用紙を送り出す給紙装置において分割された複数の上部蓋を開放して用紙をセットする構成と用紙積載部材が用紙送り出し位置に定められた高さを維持する機構があり、用紙積載時には積載部材が下降して用紙を積載する構成をもち上部蓋の開放、又は蓋開放後に下降スイッチを操作することで用紙積載を行うことができる。
また、本実施形態では、給紙装置において、給紙装置の上部に開口がありその開口を塞ぐため分割された複数の蓋を有し、それぞれの蓋の端部には回転可能な支点を持ち、下流側の蓋のみが開放されている状態、下流側の蓋および上流側の蓋が開放されている状態、下流側の蓋および上流側の蓋が開放され用紙が蓋と昇降トレイに跨って積載されている状態のそれぞれで昇降トレイの下降可能位置を可変する制御手段を有し、長尺用紙を積載可能にする。
この開放蓋の開放状態と昇降トレイの下降位置制限の制御によりユーザが使用する用紙サイズに応じた積載状態を作り出すことができると共にユーザの用紙積載時の状態も昇降トレイの下降可能位置に反映することができるためユーザの誤操作による用紙折れ、しわ等を防ぐことができるとともにユーザの操作性向上も実現することが可能になる。
【0067】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは、実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
2 給紙装置
2A 給紙装置本体
2B 開口部
4 外部装置
14 操作パネル
15 画像形成部
20 給紙トレイ
21 昇降部
22 下流側分割蓋
23 上流側分割蓋
24 下降スイッチ
25 給紙部
26 用紙検知部
27 トレイ高さ検知部
200 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9