(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/44 20100101AFI20221202BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20221202BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20221202BHJP
【FI】
H01L33/44
H01L33/48
H01L33/38
(21)【出願番号】P 2020164358
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2017133085の分割
【原出願日】2011-08-29
【審査請求日】2020-09-30
(32)【優先日】2010-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】チャオ シン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン-フ シェン
(72)【発明者】
【氏名】ツン カイ コ
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】シン-マオ リュウ
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0109030(US,A1)
【文献】特開2008-047850(JP,A)
【文献】特開2010-056322(JP,A)
【文献】特開2008-270616(JP,A)
【文献】特開2004-006582(JP,A)
【文献】特開2009-260311(JP,A)
【文献】特開2004-071644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0138445(US,A1)
【文献】特開2002-118288(JP,A)
【文献】特開2002-026384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード装置であって、
単独の基板と、
前記単独の基板上に配置され、かつ互いに電気的に直列接続された複数の発光ダイオードセルとを含み、
前記複数の発光ダイオードセルは、第1発光ダイオードセル、前記第1発光ダイオードセルに隣接した第2発光ダイオードセル、及び前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルとの間に直列接続されたサブ発光ダイオードセルを含み、
前記複数の発光ダイオードセルがそれぞれ、前記単独の基板上に順に設置された第1半導体層、活性層と第2半導体層を含み、
複数の導電金属は前記複数の発光ダイオードセル上に位置し、かつ前記複数の発光ダイオードセルに電気的に接続され、
トレンチは前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルとの間に位置し、
保護構造は前記トレンチ
を覆い、
前記保護構造は第1絶縁層と第2絶縁層とを含み、
前記第1絶縁層は前記トレンチに位置し、
前記第2絶縁層は前記第1絶縁層上に形成され、
前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルとの間に前記複数の導電金属の何れも存在せず、
前記第2絶縁層の厚さが前記第1絶縁層の厚さより大きく、かつ、前記第2絶縁層が異なる材料によって形成された複数層の複合構造を含む、発光ダイオード装置。
【請求項2】
前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルの複数の前記第1半導体層が上面視において外囲を含み、複数の前記外囲がそれぞれ少なくとも一つの丸みを帯びた角を含み、
前記丸みを帯びた角の曲率半径が15μm以上である、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項3】
前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルはそれぞれ上部面を含み、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層がさらに前記上部面を覆う、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項4】
前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルとの最小間隔は15μmより大きい、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルの複数の前記第1半導体層がそれぞれ側壁を含み、
前記第1絶縁層は、前記第1発光ダイオードセルと前記第2発光ダイオードセルの複数の前記側壁、及び前記トレンチ内に露出されている一部の前記基板を整合的に覆う、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
前記第1絶縁層が異なる材料により形成された複数層の複合構造を含む、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項7】
前記サブ発光ダイオードセルは、第3発光ダイオードセル、第4発光ダイオードセル及び第5発光ダイオードセルをさらに含み、
前記第3発光ダイオードセル、前記第4発光ダイオードセル及び前記第5発光ダイオードセルは前記複数の導電金属によって直列接続される、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項8】
前記複数の導電金属の下に位置する電流ブロック層をさらに含む、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項9】
前記第1発光ダイオードセル上に位置する前記複数の導電金属の一つと前記第2発光ダイオードセル上に位置する前記複数の導電金属の一つとの最小間隔は80μmより大きい、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項10】
前記複数の導電金属
は、その一部の末端部において丸みを帯びた端子金属を有し、
前記丸みを帯びた端子金属の曲率半径は、前記導電金属
のその他の部分の幅より大きい、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関し、特に、静電気放電(ESD)保護の能力を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、発光装置10を示している。発光装置10は、単独の基板15上の導電金属により直列に接続された複数のLEDセル11(A、B、C、C1、C2、C3)を有し、各々のLEDセル11は、基板15上の第1半導体層17と、第1半導体層17上の第2半導体層19と、第1半導体層17と第2半導体層19との間に備えられた活性層47(
図1には示していない)と、第2半導体層19上に備えられた導電金属13とを有する。AC入力の一の極性は導電領域αから導電領域βに渡り、電流が、A→C1→C2→C3→C→Bの順序でそれらのLEDセル11を通って流れる。LEDセル11の最も大きい電位差はLEDセルAとLEDセルBとの間に存在する。
図1に示しているように、直列接続されたLEDアレイは、直列接続された端子LEDセルAと端子LEDセルBとの間に4つのLEDセル(C1、C2、C3、C)を有する直列接続サブアレイを有する。
【0003】
図1に示しているように、LED A及びLED Bは第1側面(A1、B1)及び第2側面(A2、B2)のそれぞれを更に有する。LED A及びLED Bの第1側面(A1、B1)はサブアレイに隣接し、LED A及びLED Bの第2側面(A2、B2)は互いに隣接している。更に、トレンチTがLED AとLED Bとの間に形成される。即ち、トレンチTが、LED Aの第2側面とLED Bの第2側面との間に形成されている。
【0004】
一般に、1つのLEDセル11についての順方向電圧は約3.5Vであり、故に、LEDセルAとLEDセルBとの間の電圧差は、通常の使用状況下で約3.5*6=21Vである必要がある。LEDセルAとLEDセルBとの間の距離はかなり短い(約10乃至100μm)ため、LEDセルAとLEDセルBとの間の電界強度(E=V/D、V=電位差、D=距離)は大きい。
【0005】
更に、外部環境(人間の身体又は作業機械)から導電領域αに強い静電界が突然与えられる場合、超高電圧がLEDセルAに更に入力され、LEDセルAとLEDセルBとの間に最大電位差をもたらす。電界強度の値が、外部環境からの強い静電界により特定の値に達したとき、それらの間の媒体(空気、接着剤又は他の誘電体材料)はイオン化され得、その電界強度の範囲内にあるLEDセルA及びLEDセルBの一部が放電により損傷され得(破壊領域12)、それはESD(静電気放電)破壊と呼ばれる。ESD破壊状態のSEM写真が
図2に示されていて、通常の電流14は図に示されている矢印の方向に流れる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、単独の基板上の複数のLEDセルを有する直列接続されたLEDアレイと;第1LEDセル、第2LEDセル、及び第1LEDセルと第2LEDセルとの間に挿入された少なくとも3つのLEDセルを有する直列接続LEDサブアレイであって、第1LEDセル及び第2LEDセルの各々は、第1LEDセル及び/又は第2LEDセルの第1側面がLEDサブアレイに隣接し、第1LEDセルの第2側面が第2LEDセルの第2側面に隣接している、第1側面及び第2側面を有する、第1LEDセル、第2LEDセル及び直列接続LEDアレイと;第1LEDセルの第2側面と第2LEDセルの第2側面との間のトレンチと;発光装置の通常の動作電圧より高いサージ電圧によりトレンチの近傍で発光装置が損傷を受けないようにするように、トレンチに近接して形成された保護構造と;を有する発光装置を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態に従った発光装置においては、保護構造は、側壁及びLEDセルの上部面の一部を覆い、空気に晒されている第1絶縁層と、第1LEDセルと第2LEDセルとの間の第1絶縁層の晒されている一部を覆っている第2絶縁層とを更に有する。
【0008】
本発明の他の実施形態に従った発光装置においては、第2絶縁層は、第1LEDセル及び第2LEDセルの上部面の殆どの部分を更に覆っている。
【0009】
本発明の他の実施形態に従った発光装置においては、各々のLEDセルは、第1半導体層と第2半導体層との間に備えられた活性層と、各々のLEDセルの第2半導体層上に備えられた導電金属とを有する。
【0010】
本発明の他の実施形態に従った発光装置においては、第1LEDセルと第2LEDセルとの間の保護構造の厚さは、第1半導体層、活性層、第2半導体層及び導電金属の厚さの和より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施形態に従った発光装置のSEM写真を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に従った
図5の線6-6′に沿った発光装置の断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に従った発光装置の電気回路を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に従った発光装置の電気回路を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に従った発光装置の断面図である。
【
図10A】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図10B】本発明の実施形態に従った発光装置の断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に従った発光装置を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に従った発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
複数の実施形態が、以下、図を伴って詳述されている。開示内容を適切に且つ簡明に説明するように、本明細書における異なる段落又は図に与えられる又は現れる同じ名称又は同じ参照番号は、同じ又は同等な意味を有する必要があり、それらは本明細書のどこかで一度、定義されている。
【0013】
ESD破壊の問題を解決するように、
図3は、本発明の一実施形態に従った発光装置20を示している。発光装置20は、単独の基板15上の導電金属13により直列に接続された複数のLEDセル11(A、B、C、C1、C2、C3)を有し、各々のLEDセル11は、基板15上の第1半導体層17と、第1半導体層上の第2半導体層19と、第1半導体層17と第2半導体層19との間に備えられた活性層47(
図3には図示していない)と、第2半導体層19上に備えられた導電金属13とを有する。
図3において理解できるように、各々の導電金属13は、少なくとも2つの分割された金属線を有する引き出し部を更に有する。各々の引き出し部から引き出された分割された金属線の数は、本明細書で開示しているものに限定されるものではない。直接、接続されたLEDアレイを有するためには、LED Aの第1半導体層17は、隣接するLEDセル、例えば、LED C1の第2半導体層19に、電気的に接続されている。AC入力の一の極性が導電領域αから導電領域βに渡るとき、電流が、A→C1→C2→C3→C→Bの順序で複数のLEDセル11を通って流れる。LEDセル11の最大電位差は、LEDセルAとLEDセルBとの間に存在する。
図3に示しているように、直列接続されているLEDアレイは、その直列接続において端子LEDセルAと端子LEDセルBとの間に4つのLEDセル11(C1、C2、C3、C)を有する直列接続サブアレイを更に有する。
【0014】
図3に示しているように、LED A及びLED Bは、第1側面(A1、B1)及び第2側面(A2、B2)のそれぞれを更に有する。LED A及びLED Bの第1側面(A1、B1)はサブアレイに隣接し、LED A及びLED Bの第2側面(A2、B2)は互いに隣接している。更に、トレンチTがLED AとLED Bとの間に形成されている。即ち、トレンチTがLED Aの第2側面とLED Bの第2側面との間に形成されている。
【0015】
ESD破壊を回避するように、通常の動作電圧より高いサージ電圧によりトレンチ近傍の領域で発光装置が破壊されないようにトレンチに近接して保護構造が形成されている。この実施形態においては、第1絶縁層23が複数のLEDセル間で形成され、第2絶縁層21が、高い電界強度を有する2つのLEDセル11間の領域、例えば、トレンチTにおいて第1絶縁層23の上に更に形成されている。第2絶縁層21は任意に第1絶縁層23より厚いことが可能である。例えば、
図3において発光装置20を参照するに、LED A及びLED Bは、それらの間に接続された4つの(4つ以上の)LEDセル11を電気的に直列に接続され、従って、特定の値を上回る高い電界強度の影響下に置かれ、故に、第2絶縁層21が、LEDセル11をESD破壊から隔絶するようにLED A及びLEDBの上部面の一部並びに第1絶縁層23の上部面の一部を覆うように形成されている。更に、第1絶縁層23を伴わずに、第2絶縁層21のみが、高電界強度を有する2つのLEDセル11間の領域を、例えば、基板15の晒されている表面と、第1半導体層17の側面と、LEDセルAとLEDセルBとの間の第2半導体層19の側面とを覆う保護層であることも可能である。更に、絶縁層21及び/23の材料は、例えば、AlO
X1、SiO
X2、SiN
X3等の絶縁材料であることが可能であり、絶縁層21及び/又は23は、異なる材料により形成される複数層を有する複合構造であることが可能である。例えば、第2絶縁層21は、2100Åの厚さを有するSiO
X4の一層と2000Åの厚さを有するAlO
X5の一層との組み合わせにより形成されることが可能であり、第1絶縁層23は、2100Åの厚さを有するSiO
X4の一層のみにより形成されることが可能である(ここで用いている化学式の下付きの小文字X1乃至X5は、整数又は小数であり、同じであり得る又は異なり得る)。
【0016】
図4は、本発明の他の実施形態に従った発光装置を示している.図から分かるように、第2絶縁層21は、LED A及びLED Bの上部面の殆どの部分を覆っている。上記と同じ理由で、絶縁層21及び23は、異なる材料により形成された複数層の複合構造又は厚い単独層であることも可能であり、LED A及びLED Bの覆われた上部面上の第2絶縁層21の数又は厚さは、他の領域の数より多い又は他の領域の厚さより厚いことが可能である。
【0017】
図5は、本発明の他の実施形態に従った発光装置40を示している。この実施形態においては、電界強度を減少させることがESD破壊を回避させる他の方法である。
図5に示しているように、絶縁壁41がLED AとLED Bとの間(電気的に直列に接続され且つそれらの間に接続された4つ以上のLEDセル11を有する2つの隣接するLEDセル11の間の又は高電界を有する領域)に形成されている。絶縁壁41は絶縁材料により形成されているため、LED Aから発せられる電気力線は、絶縁壁41を直接貫通することによりLED Bの方に方向付けられることはできず、それに代えて、絶縁壁41の輪郭に沿って延伸される必要がある。電気力線の長さは延伸され、故に、LED AとLED Bとの間の電界強度(B=V/D、V=電位差、D=距離)は減少される。LEDAとLED Bとの間の電気力線の長さを延伸するように、LED AとLED Bとの間に位置付けられている絶縁壁41は、LED A又はLED Bからもたらされる電気力線を遮断するように、LED AからLED Bへの最短径路で形成される必要がある。換言すれば、
図5に示すように、トレンチにおける絶縁壁41の厚さは、第1半導体層17、活性層47、第2半導体層19及び導電金属13の厚さの和より実質的に大きい必要がある。好適には、トレンチにおける絶縁壁41の厚さは、第1半導体層17、活性層47、第2半導体層19及び導電金属13の厚さの和の1.5倍より大きい必要がある。
図6は、
図5に示している6-6′線の断面図である。
図6においては、第1絶縁層23は、LED A及びLED B(第1半導体層17、第2半導体層19及び活性層47を含む)の側壁、LED A及びLED Bの上部面の一部、並びにトレンチTにおける基板の上部面の一部に沿って整合的に覆っている。更に、絶縁壁41は第1絶縁層23上に形成されることが可能であり、LED A及びLED Bよりレベルが高く、故に、LED AからLED Bへの電気力線は絶縁壁41により隔絶されることが可能である。しかしながら、絶縁壁41の正確な位置は変更されることが可能であり、それに限定されるものではない。例えば、絶縁壁41は、基板15の上部面に直接、形成されることも可能であり、又は、絶縁壁41は、従来のCVD法及びフォトリソグラフィ法により形成される特定のパターンを有することが可能である。
【0018】
図7は、本発明の他の実施形態に従った発光装置50の電気回路を示している。実験結果が示しているが、最高電位と最低電位との間の電位レベルを有するLEDセル11に電気的に接続され、最高電位を有するLEDセル11と最低電位を有するLEDセルとの間に位置している浮遊導電線55は、ESD破壊を低減することが可能である。
図7に示しているように、浮遊導電線55は、LED C2とLED C3との間の導電金属13に接続されることが可能である
図7と類似するに、
図8は、本発明の他の実施形態に従った発光装置60の電気回路を示している。導電金属13に接続される浮遊導電性55を形成することに代えて、1つの接地導電線65が、最高電位を有するLEDセル11と最低電位を有するLEDセル11との間に形成され、接地導電線65は外部に接続されることにより接地されている。
【0019】
図9は、
図7及び
図8に示している実施形態の断面図である。浮遊(接地)導電線55(65)は、2つのLEDセル11間に直接、絶縁層23又は基板15上に形成されることが可能である。
【0020】
図10Aは、本発明の他の実施形態に従った発光装置70を示している。ESD破壊は通常、LEDの故障をもたらし、回避することは容易ではないため、更なるESD破壊領域が、特定の領域に生じるESD破壊を閉じ込めるように形成される。
図10Aに示しているように、導電金属13から延びている2つの更なるESD破壊領域が存在する。2つの更なるESD破壊領域75は、互いに近接して対向しているため、それらの間に高い電界強度がもたらされ、それら2つの更なるESD破壊領域75間でより容易にESD破壊が起こり得る。更なるESD破壊領域75は、LEDセル11と共に機能できない2つの更なる金属プレートであり、故に、それらの更なるESD破壊領域は、LEDセル11の仕事関数を維持するように支援することが可能である。更に、他の更なるESD破壊領域に対向している一の更なるESD破壊領域のエッジは、粗くされて複数のチップ(tip)が形成され、それらのチップは、所定領域に生じたESD現象の確率を高くする。
【0021】
図10Bは、
図10Aに示す実施形態の断面図である。2つの更なるESD破壊領域75は、絶縁層23上に、又は2つのLEDセル11間の基板上に直接、形成される。
【0022】
図11は、本発明の他の実施形態に従った発光装置80を示している。ESD破壊は高電界強度によりもたらされ、2つのオブジェクト間の電界強度は、2つのオブジェクトの電位差及び距離に依存する。
図11に示され、実験結果により明らかになっているように、2つのLEDセル11間に接続されている4つ以上のLEDセル11を有する隣接する2つのLEDセル11間の距離(D)は15μmより大きい必要がある。好適には、接続された4つ以上のLEDセルを有する2つの隣接する2つのLEDセル11間の距離(D)は30μmより大きい必要がある。距離(D)は、本明細書においては、2つの隣接するLEDセル11の2つの第1半導体層17間の最短距離として特定されるものである。更に、本明細書においては、“隣接するLEDセル”とは、LEDセルの第1半導体層17から他のLEDセルの第1半導体層までの最短距離を有する何れかの2つのLEDセル11のことをいい、好適には、距離(D)は50μmより小さい。
【0023】
図12は、本発明の他の実施形態に従った発光装置90を示している。
図11に示す実施形態と類似するに、2つの隣接するLEDセル11の導電金属13間でESD破壊が生じないように、2つの隣接するLEDセル11の導電金属13の距離は100μmより大きい必要がある。このような設計は、2つの隣接するLEDセルの間で大きい電位差を有する及び/又はそれらの間に接続された4つ以上のLEDセルを有する、2つの隣接するLEDセル11のために適切である。好適には、2つの隣接するLEDセル11の導電金属13の距離(d)は80μmより大きい必要がある。“導電金属の距離”は、本明細書においては、LEDセル11の導電金属13から隣接するLEDセル11の導電金属13までの距離であると定義されている。更に、“隣接している発光ダイオードセル”とは、本明細書においては、LEDセル11の第1半導体層17から他のLEDセル11の第1半導体層17までの最短距離を有する何れかの2つのLEDセル11のことをいい、距離(d)は、好適には50μmより小さい。
【0024】
図13に示しているように、高電界強度はしばしば、
図12に示しているLEDセルA及びBのように、それらの間に接続された4つ以上のLEDセル11を有する2つの隣接するLEDセル(大きい電位差を有する)の間に生じる。大きい電位差を有するLEDセル11が近づき過ぎないように、一連のLEDセル11が基板15上に形成される場合、一連のLEDセル11は、特定の数のLEDセル、例えば、4つ以上のLEDセルが一方向に並べられるときに、その並べられる方向を変える必要がある。換言すれば、一連のLEDセル11が並べられる方向はしばしば、何れかの2つのLEDセルが、大きい電位差を、又は互いに隣接してそれらの間に位置して接続されている4つ以上のLEDセル11を有しないように変えられる必要がある。
図13は、本発明の実施形態に従った単独の基板15上の一連の複数のLEDセル11の異なる配置構成の3つの図を示している。各々の図においては、一連の複数のLEDセルの2つの端部に形成されたボンディングパッド105を有する単結晶基板15上に一連の複数のLEDセルが備えられている(基板上に金属ボンディングによりエピタキシャル形成されている又は接着剤ボンディングにより取り付けられている)。矢印は、ここでは、複数のLEDセル11の拡張される方向113(接続方向)を示している。各々の配置においては、何れか2つの隣接するLEDは大きい電位差を有しない。詳細には、
図13に示しているように、各々の直列接続されたLEDアレイは、少なくとも8つのLEDセル及び少なくとも3つ以上のブランチを有する。2つの隣接するLEDセルがそれらの間に大き過ぎる電位差を有することのないように、図示している各々のLEDアレイは、2つの連続的なLEDセル毎にその配置方向を変えている。
【0025】
図14は、本発明の他の実施形態に従った発光装置110を示している。オブジェクトの表面電荷分布に従って、オブジェクトの単位面積当たりの表面放電密度は、オブジェクトが小さい曲率半径を有するときには、大きい。“点放電”と呼ばれるLEDセルの破壊の他の原因がしばしば、単位面積当たりの高い表面放電密度を有する位置で生じる。従って、“点放電”現象を回避するように、本実施形態においてはLEDセル11の輪郭が変更される。
図14に示しているように、LEDセルAとLEDセルBとの間の第1半導体層17の上部の角はパターニングされて、例えば、丸みを帯びている。上記のような変更は、それらの特定化された位置に限定されるものではなく、第1半導体層17ばかりでなく第2半導体層19も、特に、隣接するLEDセルからより小さい距離を有する第2側面に近接するLEDセル毎にその配置方向セルのエッジについて、丸みを帯びることが可能である。好適には、パターニングされる角の曲率半径は15μmより小さくない。
【0026】
図14に示す実施形態と類似する概念により、“点放電”を回避するように、
図15においては、LEDセル11の各々の分割された金属線の端子123は、丸みを帯びた金属プレート123を形成することによりパターニングされることが可能である。端子金属123の形状は丸みを帯びた形状に限定されるものではない。実験結果が示しているが、導電金属13の線幅より大きい半径又は拡大部分を有する端子に形成される端子金属123の何れかの形状が、“点放電”破壊を低減するように形成されることが可能である。
【0027】
図16は、本発明の他の実施形態に従った発光装置の断面図である。不所望の放電を低減するためには、電流の流れを容易化する、より平滑な経路が助けとなる。
図16に示しているように、電流が導電金属から広く広がるように、電流ブロック層133は、SiO
y1又はSiN
y2等の絶縁体である誘電体材料から成る。しかしながら、電流ブロック層は、電流が流れる殆どの経路をブロックする。通常の経路に沿って電流が分散されない場合、ESD又は点放電等の他の様式で電流はリークする。従って、本実施形態においては、電流ブロック層133は、導電金属13の下に形成されているが、導電金属13の端子の下には形成されていない。このような設計は、放電が最も容易にもたらされる導電金属13の端子において電流がよりスムーズに流れ、且つ放電経路に沿ってリークする電流の確率を低減するようにする。更に、ITO、IZO、ZnO、AZO、薄い金属層又はそれらの組み合わせ等の透明な導電層135が、電流拡散の助けとなるように、第2半導体層において任意に形成されることも可能である。
【0028】
上記の実施形態は、技術的な考え方及び本発明の特徴について詳述されていて、当業者が本発明の内容を理解するようにしていて、本発明の特許請求の範囲を限定するように用いられるものではない。即ち、本発明の主旨に従った修正又は変形も、本発明の特許請求の範囲内に包含される必要がある。例えば、電気的な接続方法は直列接続に限定されるものではない。上記実施形態に示しているESD保護方法は、特定の値を上回る高い電界強度を有する、若しくは並列に又は直列及び並列の組み合わせで電気的に隣接する発光ダイオードセルの間に接続された3つ以上のLEDセルを有する、何れかの2つの隣接する発光ダイオードセルに適用されることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
A LED
A1 第1側面
A2 第2側面
B LED
B1 第1側面
B2 第2側面
C LED
C1 LED
C2 LED
C3 LED
10 発光装置
11 LEDセル
12 破壊領域
13 導電金属
15 基板
17 第1半導体層
19 第2半導体層
21 第2絶縁層
23 第1絶縁層
40 発光装置
41 絶縁壁
47 活性層
50 発光装置
55 浮遊導電線
60 発光装置
65 接地導電線
75 ESD破壊領域
80 発光装置
90 発光装置
105 ボンディングパッド
133 電流ブロック層
135 透明な導電層