(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】車両のフロアステップ構造
(51)【国際特許分類】
B62J 25/04 20200101AFI20221202BHJP
B62J 43/20 20200101ALI20221202BHJP
B62J 43/16 20200101ALI20221202BHJP
【FI】
B62J25/04
B62J43/20
B62J43/16
(21)【出願番号】P 2020165552
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片平 匡哉
(72)【発明者】
【氏名】原田 大
(72)【発明者】
【氏名】金井 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 亮
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/029735(WO,A1)
【文献】特開2013-208962(JP,A)
【文献】特開2012-245900(JP,A)
【文献】特開2008-230483(JP,A)
【文献】特開2019-131172(JP,A)
【文献】特開2013-10459(JP,A)
【文献】特開平04-257784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 25/04
B62J 43/20
B62J 43/16
B62J 9/16
B62J 9/22
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアステップ(21)にバッテリ(41)を収納するバッテリ収納部(26d)が設けられた車両のフロアステップ構造において、
前記フロアステップ(21)は、前記バッテリ収納部(26d)を上方から覆うバッテリ収納部カバー(27)と、前記バッテリ収納部カバー(27)を配置する凹部(26b)とを備え、
前記凹部(26b)は、その底壁(26c)に車体フレーム(11)と当接する突出部(26s)を備え
、
前記突出部(26s)は、前記バッテリ収納部(26d)の車幅方向の幅内の位置で、前記バッテリ収納部(26d)に対し少なくとも一部が前後方向に離れた位置に配置されることを特徴とする車両のフロアステップ構造。
【請求項2】
フロアステップ(21)にバッテリ(41)を収納するバッテリ収納部(26d)が設けられた車両のフロアステップ構造において、
前記フロアステップ(21)は、前記バッテリ収納部(26d)を上方から覆うバッテリ収納部カバー(27)と、前記バッテリ収納部カバー(27)を配置する凹部(26b)とを備え
、
前記凹部(26b)は、その底壁(26c)に車体フレーム(11)と当接する突出部(26s)を備え、
前記バッテリ収納部(26d)は、収納部底壁(26u)を備え、前記収納部底壁(26u)は、前記バッテリ収納部(26d)を形成する周壁(26t)の内側に枠部(28b)を備え、前記枠部(28b)の内側の前記収納部底壁(26u)に前記バッテリ(41)が配置されることを特徴とする車両のフロアステップ構造。
【請求項3】
フロアステップ(21)にバッテリ(41)を収納するバッテリ収納部(26d)が設けられた車両のフロアステップ構造において、
前記フロアステップ(21)は、前記バッテリ収納部(26d)を上方から覆うバッテリ収納部カバー(27)と、前記バッテリ収納部カバー(27)を配置する凹部(26b)とを備え
、
前記凹部(26b)は、その底壁(26c)に車体フレーム(11)と当接する突出部(26s)を備え、
前記突出部(26s)は、前記バッテリ収納部カバー(27)の車幅方向の幅内の位置で、前記バッテリ収納部(26d)に対し少なくとも一部が前後方向に離れた位置に配置されることを特徴とする車両のフロアステップ構造。
【請求項4】
前記凹部(26b)の底壁(26c)に、前記バッテリ収納部(26d)が形成され、前記突出部(26s)は、前記バッテリ収納部(26d)の左右及び前後の少なくともいずれかに位置することを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の車両のフロアステップ構造。
【請求項5】
前記突出部(26s)は、前記バッテリ収納部(26d)の前後方向長さと重なる範囲に配置されることを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか一項に記載の車両のフロアステップ構造。
【請求項6】
前記突出部(26s)は、平面視矩形に形成され、矩形の長辺が前記車体フレーム(11)の前後に延びる方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の車両のフロアステップ構造。
【請求項7】
前記バッテリ(41)を前記フロアステップ(21)に固定する固定部材(43)が設けられ、
前記固定部材(43)が固定される固定部材固定部(45)は、前記バッテリ収納部(26d)において、前記枠部(28b)と前記周壁(26t)との間の位置に設けられることを特徴とする請求項
2に記載の車両のフロアステップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロアステップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアステップを備える車両として、フロアステップの下方にバッテリが配置されたもの(例えば、特許文献1参照)や、フロアステップの下端が車体フレームに取付けられたもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6559356号公報
【文献】特許第4243221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、フロアステップに作用する荷重を受ける構造が煩雑になるとともにフロアステップの強度・剛性を効果的に向上できる構造となっていない。
本発明の目的は、フロアステップの強度・剛性を、単純な構造で且つ効果的に向上できる車両のフロアステップ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車両のフロアステップ構造は、フロアステップにバッテリを収納するバッテリ収納部が設けられた車両のフロアステップ構造において、前記フロアステップは、前記バッテリ収納部を上方から覆うバッテリ収納部カバーと、前記バッテリ収納部カバーを配置する凹部とを備え、前記凹部は、その底壁に車体フレームと当接する突出部を備え、前記突出部は、前記バッテリ収納部の車幅方向の幅内の位置で、前記バッテリ収納部に対し少なくとも一部が前後方向に離れた位置に配置されることを特徴とする。
フロアステップにバッテリを収納するバッテリ収納部が設けられた車両のフロアステップ構造において、前記フロアステップは、前記バッテリ収納部を上方から覆うバッテリ収納部カバーと、前記バッテリ収納部カバーを配置する凹部とを備え、前記凹部は、その底壁に車体フレームと当接する突出部を備え、前記バッテリ収納部は、収納部底壁を備え、前記収納部底壁は、前記バッテリ収納部を形成する周壁の内側に枠部を備え、前記枠部の内側の前記収納部底壁に前記バッテリが配置されることを特徴とする。
フロアステップにバッテリを収納するバッテリ収納部が設けられた車両のフロアステップ構造において、前記フロアステップは、前記バッテリ収納部を上方から覆うバッテリ収納部カバーと、前記バッテリ収納部カバーを配置する凹部とを備え、前記凹部は、その底壁に車体フレームと当接する突出部を備え、前記突出部は、前記バッテリ収納部カバーの車幅方向の幅内の位置で、前記バッテリ収納部に対し少なくとも一部が前後方向に離れた位置に配置されることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記凹部の底壁に、前記バッテリ収納部が形成され、前記突出部は、前記バッテリ収納部の左右及び前後の少なくともいずれかに位置しても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記突出部は、前記バッテリ収納部の前後方向長さと重なる範囲に配置されても良い。
また、上記構成において、前記突出部は、平面視矩形に形成され、矩形の長辺が前記車体フレームの前後に延びる方向に沿って配置されても良い。
【0008】
また、上述の構成において、前記バッテリを前記フロアステップに固定する固定部材が設けられ、前記固定部材が固定される固定部材固定部は、前記バッテリ収納部において、前記枠部と前記周壁との間の位置に設けられても良い。
【発明の効果】
【0009】
車両のフロアステップ構造は、フロアステップが、バッテリ収納部を上方から覆うバッテリ収納部カバーと、バッテリ収納部カバーを配置する凹部とを備え、凹部は、その底壁に車体フレームと当接する突出部を備えるので、フロアステップに凹部及び突出部を設けることで、フロアステップの強度・剛性を、簡単な構造で確保できるとともに凹部及び突出部の両方で向上でき、フロアステップの突出部を車体フレームに当接させてフロアステップに作用する荷重を支えるときに、フロアステップの破損や変形を防止し、撓みを抑制できる。
【0010】
上記構成において、凹部の底壁に、バッテリ収納部が形成され、突出部は、バッテリ収納部の左右及び前後の少なくともいずれかに位置するので、フロアステップにおけるバッテリ収納部の周りの強度・剛性を高めることができる。
また、上記構成において、突出部は、バッテリ収納部の前後方向長さと重なる範囲に配置されるので、車両前後方向でバッテリ収納部カバーをコンパクトにできる。また、バッテリ重量を効率良く支えることができる。
【0011】
また、上記構成において、突出部は、バッテリ収納部の車幅方向の幅内の位置で、バッテリ収納部に対し前後方向に離れた位置に配置されても良い。この構成によれば、突出部を車幅方向にコンパクトに配置できる。
また、上記構成において、突出部は、平面視矩形に形成され、矩形の長辺が車体フレームの前後に延びる方向に沿って配置されるので、車体フレームに接触する突出部の面積を増やすことができ、面圧を下げることができて、フロアステップに作用する荷重を突出部で効果的に支えることができる。
【0012】
また、上記構成において、バッテリ収納部は、収納部底壁を備え、収納部底壁は、バッテリ収納部を形成する周壁の内側に枠部を備え、枠部の内側の収納部底壁にバッテリが配置されているので、周壁と枠部とでバッテリ収納部の剛性を向上でき、バッテリ収納部の撓みを抑制できる。
また、上記構成において、バッテリをフロアステップに固定する固定部材が設けられ、固定部材が固定される固定部材固定部は、バッテリ収納部において、枠部と周壁との間の位置に設けられても良い。この構成によれば、周壁よりも内側でバッテリに近い位置に固定部材を固定できるため、コンパクトな構造でバッテリを強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施形態のフロアステップを備えた自動二輪車の要部を示す斜視図である。
【
図4】フロアステップ単体を斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】バッテリが収納されたバッテリ収納部を示す平面図である。
【
図6】フロアステップ及びその周囲を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示し、車両に搭載される部品については、車載時の方向を示している。
図1は、本発明に係る実施形態のフロアステップ21を備えた自動二輪車10の要部を示す斜視図、
図2は、フロアステップ単体26を示す斜視図である。
図1に示すように、自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11と、車体フレーム11の前部下部に設けられたフロアステップ21とを備えるスクーター形式の鞍乗り型車両である。
【0015】
車体フレーム11は、図示しないヘッドパイプ、ダウンフレーム13、左右一対のアンダーフレーム14、左右一対のリアフレーム16を備える。
ヘッドパイプは、車体フレーム11の前端部を構成する。前輪及びフロントフォークは図示していないが、ヘッドパイプは、前輪をフロントフォークを介して操舵可能に支持する。ダウンフレーム13は、ヘッドパイプから下方に延びる。左右のアンダーフレーム14は、ダウンフレーム13の下部の左右から次第に左右に広がりつつ後方に延びる。左右のリアフレーム16は、それぞれ左右のアンダーフレーム14の各後端に接続されて後方斜め上方に延び、乗員が座る図示しないシートを支持する。
【0016】
フロアステップ21は、自動二輪車10に乗車した乗員が足を載せる部分であり、車体カバー20の一部を構成する。車体カバー20は、フロアステップ21と、フロアステップ21の両側縁から下方に延びる左右一対のサイドカバー22と、左右のサイドカバー22に渡されて車体下部を覆うアンダーカバー23とを備える。
左右のアンダーフレーム14は、フロアステップ21とアンダーカバー23との間に配置される。
【0017】
フロアステップ21は、フロアステップ単体26と、フロアステップ単体26の中央部に着脱可能に設けられたバッテリ収納部カバー27とから構成される。
図1及び
図2に示すように、フロアステップ単体26は、その上面26aの中央部に下方に凹むように形成された凹部26bと、凹部26bの底壁26cに凹状に形成されたバッテリ収納部26dとを備える。
【0018】
凹部26bは、バッテリ収納部カバー27の周縁部が配置される部分であり、バッテリ収納部カバー27は、底壁26cに取付けられる。詳しくは、バッテリ収納部カバー27には左右一対のビス挿通穴27aが開けられ、フロアステップ単体26の底壁26cには、バッテリ収納部26dの両側部に板ナット31が取付けられる。そして、図示しないビスが、ビス挿通穴27aに通されて板ナット31にねじ込まれる。
凹部26bの周壁26eの高さは、バッテリ収納部カバー27の少なくとも周縁部27bの厚さと等しいか、略等しい。これにより、フロアステップ単体26の上面26aとバッテリ収納部カバー27の上面27cとの段差を抑えることができる。
【0019】
フロアステップ単体26の左右の側縁26f寄りの部分には、それぞれ前後方向に並んだ複数のビス挿通穴26gが開けられている。各ビス挿通穴26gに挿入されたビス32(
図6参照)は、左右のサイドカバー22の締結部22a(
図6参照)に締結される。これにより、フロアステップ単体26に左右のサイドカバー22が取付けられる。
左右のアンダーフレーム14の一方、詳しくは、左側のアンダーフレーム14には、図示しないサイドスタンドを揺動可能に支持するスタンド支持部33が設けられ、スタンド支持部33が、左側のサイドカバー22の後部から外部に露出している。
【0020】
図3は、フロアステップ単体26を示す平面図、
図4は、フロアステップ単体26を斜め下方から見た斜視図である。
図3に示すように、凹部26bの周壁26eは、前壁26h、左右一対の斜壁26j、左右一対の側壁26k、後壁26mを備える。前壁26hは、フロアステップ単体26の前縁26nの中央部に備える後方に凸となる前縁湾曲部26pに沿って形成された周壁湾曲部26qと、周壁湾曲部26qの両端から車幅方向外側に直線状に延びる左右一対の直線部26rとを備える。左右の斜壁26jは、前すぼまりとなるように前後方向に対して傾斜している。左右の側壁26kは、前後方向に延びている。後壁26mは、左右の側壁26kの各後端に接続されて前方に凸となるように湾曲している。
【0021】
図3及び
図4に示すように、凹部26bの底壁26cは、左右の斜壁26j、左右の側壁26kに沿ってそれぞれ形成された平面視矩形の複数の突出部26sと、複数の突出部26sよりも車幅方向内側に凹状に形成されたバッテリ収納部26dとを備える。
複数の突出部26sは、バッテリ収納部26dの周囲に位置し、詳しくは、突出部26sは、車両側面視でバッテリ収納部26dの前後方向長さと重なる範囲に配置される。また、複数の突出部26sは、矩形の長辺が、左右の斜壁26j、左右の側壁26kにそれぞれ沿って配置され、底壁26cから下方に突出している。
【0022】
また、複数の突出部26sは、矩形の長辺が、車体フレーム11、詳しくは、左右のアンダーフレーム14及び左右のリアフレーム16の延びる方向に沿って配置される。更に、複数の突出部26sは、平面視で左右のアンダーフレーム14及び左右のリアフレーム16に重なるように配置されている。
バッテリ収納部26dは、平面視矩形に形成された周壁としての収納部周壁26tと、収納部周壁26tの下縁に接続された収納部底壁26uとを備える。
【0023】
収納部周壁26tは、収納部前壁26v、左右一対の収納部側壁26w、収納部後壁26xからなる。収納部底壁26uの後方には、底壁開口部26yが設けられ、収納部底壁26uは、一方(右方)の収納部側壁26wと、収納部後壁26xの一部とに接続されていない。底壁開口部26yは、バッテリ収納部26d内からバッテリ収納部26dの下方にワイヤーハーネスを引き出す部分である。
【0024】
図4に示すように、フロアステップ単体26のバッテリ収納部26dを除いた平坦なステップ平坦部28wの底面28xには、下方に突出する複数のリブ28yが、前後方向に延びるように一体に形成されている。更に、底面28xには、下方に突出する複数のリブ28yaが、車幅方向に延びるように一体に形成されている。また、底面28xとバッテリ収納部26dの周壁26eとの間には、複数のリブ28zが、車幅方向に延びるように一体に形成されている。
【0025】
複数のリブ28y,28zは、各突出部26sに接続されている。複数のリブ28y,28ya,28zは、バッテリ収納部26dの周囲のステップ平坦部28wに同様に形成されている。
この結果、フロアステップ単体26のステップ平坦部28w及びバッテリ収納部26d、複数の突出部26s、ひいては、フロアステップ単体26の全体の剛性を向上できる。
【0026】
図5は、バッテリ41が収納されたバッテリ収納部26dを示す平面図である。
バッテリ収納部26dの前部に位置する収納部底壁26uは、バッテリ41を設置するバッテリ設置部28aを備える。このように、フロアステップ21(
図1参照)にバッテリ41を収納するバッテリ収納部26dが設けられる。
バッテリ設置部28aは、輪郭が矩形とされた枠部28bを備え、枠部28bの内側にバッテリ41が配置される。バッテリ収納部26dは、上記したように、収納部底壁26uを備え、収納部底壁26uは、バッテリ収納部26dを形成する収納部周壁26tの内側に枠部28bを備える。枠部28bは、前枠部28c、左枠部28d、右枠部28e、後枠部28fからなる。枠部28bの内側の収納部底壁26uには、バッテリ41が配置される。
【0027】
右枠部28eは、上方に突出する板状の右突出部28gを備え、右突出部28gに車幅方向に貫通する右開口部28h(
図2参照)が形成されている。
上面視において左枠部28dと左側の収納部側壁26wとの間には、収納部底壁26uよりも上方に膨出する膨出部28jが設けられ、膨出部28jの上部にナット45(固定部材固定部)が取付けられる。バッテリ41は、右枠部28eと左枠部28dとに渡された板状の固定部材43によって上方から固定される。固定部材43は、一端部43aが右枠部28eの右開口部28hに挿入され、他端部43bが、膨出部28jのナット45にねじ込まれたビス44で締結される。
【0028】
バッテリ41は、その後部に車幅方向に隔てて接続端子である正極端子41a及び負極端子41bを備える。正極端子41a及び負極端子41bには、それぞれ導線46,47が接続されている。後枠部28fは、左右一対の係合部28kを備え、左右の係合部28kにヒューズボックス48が係合されている。ヒューズボックス48は、底壁開口部26yの上方に配置され、ヒューズボックス48装着された図示しない各ヒューズは、一端がそれぞれ正極端子41aに図示しない導線で接続され、他端が車両の各電装品まで延びる図示しない別の導線に接続される。上記した導線46,47及びヒューズボックス48から延びる導線は、底壁開口部26yを通じてフロアステップ単体26の外部に導出される。
【0029】
図6は、フロアステップ21及びその周囲を示す断面図であり、
図3に描いたフロアステップ単体26の他に左右のサイドカバー22及びバッテリ41なども含めて、
図3に示したVI-VI線に沿って切断した断面図である。
フロアステップ21は、バッテリ収納部26dを上方から覆うバッテリ収納部カバー27と、バッテリ収納部カバー27を配置する凹部26bとを備える。
【0030】
左右のアンダーフレーム14及び左右のリアフレーム16(
図3参照)は、丸パイプからなる。突出部26sは、凹部26bの底壁26cから下方に延びている。
このように、凹部26bは、その底壁26cに車体フレーム11と当接する突出部26sを備える。
突出部26sは、筒状の周壁部28mと、周壁部28mの下端に接続された底壁部28nとからなる一体中空構造に形成されている。底壁部28nの下面28pにはラバー製のクッション材51が取付けられ、クッション材51が左右のアンダーフレーム14及び左右のリアフレーム16の各外周面の上部に当てられる。
【0031】
バッテリ41を固定する固定部材43は、バッテリ41の上面41cを押え付ける真直な押え部43cと、押え部43cの左端部から下方に屈曲した屈曲部43dと、屈曲部43dから左側方に延びてビス44により締結される締結部43eとから一体に形成される。
締結部43eが締結される膨出部28jは、バッテリ41の上面41cよりも下方に配置されるため、締結部43eを締結するビス44がバッテリ収納部カバー27に干渉するのを防止できる。
バッテリ収納部26dの収納部底壁26uは、収納部前壁26v(
図3参照)、左右の収納部側壁26wに接続される外縁28qに亘って上方に突出する連続突出部28rが形成されている。連続突出部28rは、収納部底壁26uの剛性を高める部分であり、重量物であるバッテリ41による収納部底壁26uの撓みを抑制する。
【0032】
以上の
図1、
図2及び
図6に示したように、車両のフロアステップ構造は、フロアステップ21にバッテリ41を収納するバッテリ収納部26dが設けられる。フロアステップ21は、バッテリ収納部26dを上方から覆うバッテリ収納部カバー27と、バッテリ収納部カバー27を配置する凹部26bとを備える。凹部26bは、その底壁26cに車体フレーム11、詳しくは、アンダーフレーム14及びリアフレーム16と当接する突出部26sを備える。
【0033】
この構成によれば、フロアステップ21に凹部26b及び突出部26sを設けることで、フロアステップ21の強度・剛性を、簡単な構造で確保できるとともに凹部26b及び突出部26sの両方で向上できる。これにより、フロアステップ21の突出部26sを車体フレーム11に当接させてフロアステップ21に作用する荷重を支えるときに、フロアステップ21の破損や変形を防止し、撓みを抑制できる。
【0034】
また、
図3に示したように、凹部26bの底壁26cに、バッテリ収納部26dが形成され、突出部26sは、バッテリ収納部26dの左右に位置する。
この構成によれば、フロアステップ21におけるバッテリ収納部26dの周りの強度・剛性を高めることができる。
【0035】
また、
図3及び
図4に示したように、突出部26sは、車両側面視でバッテリ収納部26dの前後方向長さと重なる範囲に配置される。
この構成によれば、車両前後方向でバッテリ収納部カバー27をコンパクトにできる。また、バッテリ重量を効率良く支えることができる。
【0036】
また、
図3に示したように、突出部26sは、平面視矩形に形成され、矩形の長辺が車体フレーム11、詳しくは、アンダーフレーム14及びリアフレーム16の前後に延びる方向に沿って配置される。
この構成によれば、車体フレーム11に接触する突出部の接触面積を増やすことができ、面圧を下げることができて、フロアステップ21に作用する荷重を突出部26sで効果的に支えることができる。
【0037】
また、
図5及び
図6に示したように、バッテリ収納部26dは、収納部底壁26uを備え、収納部底壁26uは、バッテリ収納部26dを形成する収納部周壁26tの内側に枠部28bが形成され、枠部28bの内側にバッテリ41が配置される。
この構成によれば、収納部周壁26tと枠部28bとでバッテリ収納部26dの剛性を向上でき、バッテリ収納部26dの撓みを抑制できる。
また、バッテリ41をフロアステップ21に固定する固定部材43が設けられ、固定部材43が固定されるナット45は、バッテリ収納部26dにおいて、枠部28bと収納部周壁26tとの間の位置に設けられる。
この構成によれば、収納部周壁26tよりも内側でバッテリ41に近い位置に固定部材43を固定できるため、コンパクトな構造でバッテリ41を強固に固定できる。
【0038】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、
図3に示したように、突出部26sの形状を平面視矩形としたが、これに限らず、平面視で正方形、丸形、楕円形、長円形、菱形などや、これらの形状に近似する形状など、矩形以外の形状にしても良い。
また、上記実施の形態では、突出部26sがバッテリ収納部26dの左右の外側に配置される構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、突出部26sは、バッテリ収納部26dに対し前後の位置に配置されても良い。さらに、突出部26sは、バッテリ収納部26dに対し、左右及び前後の少なくともいずれかに位置すれば良いが、突出部26sは、左右の外側の位置及び前後の外側の位置の両方に配置されても良い。これにより、フロアステップ21の強度・剛性を効果的に増加させることができる。また、突出部26sは、平面視で略矩形に形成される凹部26bにおいて、略矩形の形状の角部に配置されても良い。
また、突出部26sは、バッテリ収納部26dの車幅方向の幅内の位置で、バッテリ収納部26dに対し前後方向に離れた位置に配置されても良い。この場合において、アンダーフレーム14は、車幅方向の中央を車両前後方向に延びる1本のフレーム部材であってもよい。突出部26sをバッテリ収納部26dの車幅方向の幅内の位置で、バッテリ収納部26dに対し前後方向に離れた位置に配置することで、車幅方向の中央に1本で設けられるアンダーフレーム14に突出部26sを当接させることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 自動二輪車(車両)
11 車体フレーム
21 フロアステップ
26b 凹部
26c 底壁
26d バッテリ収納部
26s 突出部
26t 収納部周壁(周壁)
26u 収納部底壁
27 バッテリ収納部カバー
28b 枠部
41 バッテリ
43 固定部材
45 ナット(固定部材固定部)