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特許7186758管理装置、管理システム、管理方法、及び管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、管理方法、及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221202BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20221202BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020187244
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076718
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】田口 正雄
(72)【発明者】
【氏名】恒松 克寿
(72)【発明者】
【氏名】荒井 保博
(72)【発明者】
【氏名】沼田 周
(72)【発明者】
【氏名】稲澤 宏典
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-099235(JP,A)
【文献】特開2003-067509(JP,A)
【文献】特開2018-139720(JP,A)
【文献】特表2012-519343(JP,A)
【文献】特開2019-208707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得する作業情報取得部と、
清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得する天候情報取得部と、
現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得する清掃要求情報取得部と、
複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶する記憶部と、
前記判定モデルを用いて、前記現在の作業情報及び前記現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力する進捗情報出力部と、
前記清掃要求情報及び前記進捗予想情報に基づいて、前記複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する派遣清掃員決定部と、
を備える、管理装置。
【請求項2】
前記派遣清掃員決定部は、前記進捗予想情報に基づいて、前記複数の清掃員のうち最も早く清掃作業が完了する清掃員を、前記清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記複数の清掃員の位置情報を取得する清掃員位置情報取得部をさらに備え、
前記派遣清掃員決定部は、前記位置情報にさらに基づいて、前記清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記派遣清掃員決定部は、清掃作業が同時に完了する清掃員が2人以上存在する場合に、前記位置情報に基づいて、前記清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する、請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記派遣清掃員決定部は、前記複数の清掃員のうち、前記清掃を要求された場所に最も近い場所を清掃する清掃員を、前記清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定する、請求項3又は4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記清掃を要求された場所に派遣する清掃員の通信端末に、前記清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報を送信する通信部をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記現在の作業情報は、作業内容、作業開始時刻、及び作業終了時刻のうちの少なくとも1つの情報を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記現在の天候情報は、前記清掃場所周辺の天候、気温、及び湿度のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項9】
複数の清掃員がそれぞれ有する複数の通信端末と、
前記複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定する判定モデルを用いて、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力し、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報及び前記進捗予想情報に基づいて、前記複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する管理装置と、
決定された前記清掃員の通信端末に対して、前記清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報を送信する清掃管理者端末と、
を備える、管理システム。
【請求項10】
作業情報取得部が、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得するステップと、
天候情報取得部が、清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得するステップと、
清掃要求情報取得部が、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得するステップと、
記憶部が、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び前記清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶するステップと、
進捗情報出力部が、前記判定モデルを用いて、前記現在の作業情報及び前記現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力するステップと、
派遣清掃員決定部が、前記清掃要求情報及び前記進捗予想情報に基づいて、前記複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するステップと、
を含む、管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得するステップと、
清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得するステップと、
現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得するステップと、
前記複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び前記清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶するステップと、
前記判定モデルを用いて、前記現在の作業情報及び前記現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力するステップと、
前記清掃要求情報及び前記進捗予想情報に基づいて、前記複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するステップと、
を実行させる、管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの清掃を管理する管理装置、管理システム、管理方法、及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業の社員が勤務するオフィスビルや多数の客が来場する商業施設等においては、トイレを清潔に保つことが重要である。しかしながら、清掃対象の複数のトイレを複数の清掃員で清掃しているときに、あるトイレを突発的に清掃する必要が生じた場合、清掃を効率的に行うために、複数の清掃員のうちのどの清掃員に清掃させるのかを決定することが難しいという問題がある。
【0003】
そこで、これまでに、トイレの清掃者又は使用者の利便性を向上させる情報提供装置が報告されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部と、使用状況情報取得部により取得された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部と、複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部と、を備え、清掃順序提供部は、所要時間推定部により推定された使用終了までの所要時間に更に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定する情報提供装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、従来の情報提供装置によっては、季節変動データや気象データを考慮していなかったため、突発的に清掃を行う必要が生じたトイレに対して、効率よく清掃を行うための清掃員を決定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-86736号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態に係る管理装置は、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得する作業情報取得部と、清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得する天候情報取得部と、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得する清掃要求情報取得部と、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶する記憶部と、判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力する進捗情報出力部と、清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する派遣清掃員決定部と、を備える。
【0007】
上記の管理装置において、派遣清掃員決定部は、進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち最も早く清掃作業が完了する清掃員を、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定することが好ましい。
【0008】
上記の管理装置において、複数の清掃員の位置情報を取得する清掃員位置情報取得部をさらに備え、派遣清掃員決定部は、位置情報にさらに基づいて、清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定することが好ましい。
【0009】
上記の管理装置において、派遣清掃員決定部は、清掃作業が同時に完了する清掃員が2人以上存在する場合に、位置情報に基づいて、清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定することが好ましい。
【0010】
上記の管理装置において、派遣清掃員決定部は、複数の清掃員のうち、清掃を要求された場所に最も近い場所を清掃する清掃員を、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定することが好ましい。
【0011】
上記の管理装置において、清掃を要求された場所に派遣する清掃員の通信端末に、清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報を送信する通信部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
現在の作業情報は、作業内容、作業開始時刻、及び作業終了時刻のうちの少なくとも1つの情報を含むことが好ましい。
【0013】
上記の管理装置において、現在の天候情報は、清掃場所周辺の天候、気温、及び湿度のうちの少なくとも1つに関する情報を含むことが好ましい。
【0014】
本開示の一実施形態に係る管理システムは、複数の清掃員がそれぞれ有する複数の通信端末と、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定する判定モデルを用いて、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力し、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する管理装置と、決定された清掃員の通信端末に対して、清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報を送信する清掃管理者端末と、を備える。
【0015】
本開示の一実施形態に係る管理方法は、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得するステップと、清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得するステップと、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得するステップと、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶するステップと、判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力するステップと、清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するステップと、を含む。
【0016】
本開示の一実施形態に係る管理プログラムは、コンピュータに、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得するステップと、清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得するステップと、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得するステップと、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶するステップと、判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力するステップと、清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係る管理システムの構成概念図である。
図2】多層階の施設における清掃場所の位置を示す構成図である。
図3】本開示の一実施形態に係る管理装置から清掃管理者端末へ、清掃員の派遣要求を行うためのメッセージの例である。
図4】本開示の一実施形態に係る管理装置のブロック図である。
図5】天候情報の一例を示す表である。
図6】本開示の一実施形態に係る管理装置によって出力された清掃作業の進捗予想情報の例を示す表である。
図7】本開示の一実施形態に係る管理システムに含まれる清掃管理者端末のブロック図である。
図8】本開示の一実施形態に係る管理装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
図9】本開示の一実施形態の変形例に係る管理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示に係る発明(以下、本発明ともいう)の実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図1に本開示の一実施形態に係る管理システム1000の構成概念図を示す。本実施形態に係る管理システム1000は、施設10と、清掃員の通信端末(以下、単に「清掃員端末」ともいう)20と、管理装置30と、清掃管理者端末40と、を有し、これらはインターネット100を介して互いに接続されている。
【0020】
施設10は、企業等が入居し複数の人間が勤務するオフィスビルや、複数の客が入場する商業施設等である。図1には施設10の1つの階のみを示しているが、施設10には複数の階が設けられていてもよい。施設10には施設用ドア11が設けられ、施設用ドア11の近傍には施設用センサ12が設けられている。施設用センサ12は、施設10の利用者数をカウントする。施設用センサ12は、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光カメラセンサ、ビーコンセンサ等の従来周知の技術により実現されてよい。
【0021】
施設10には、清掃場所であるトイレ13が設けられている。トイレ13には、トイレ用ドア14が設けられ、トイレ用ドア14の近傍にはトイレ用センサ15が設けられている。トイレ用センサ15は、トイレ13の利用者数をカウントする。トイレ用センサ15は、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光カメラセンサ、ビーコンセンサ等の従来周知の技術により実現されてよい。
【0022】
トイレ13には複数の個室16が設けられている。図1において、個室16を3個設けた例を示しているが、個室の数は、3個には限られない。複数の個室16のそれぞれにはドア17が設けられ、ドア17の近傍にはセンサ18が設けられている。センサ18は、個室16内に人が入っているか否かを検出する。センサ18によって個室16の利用者数をカウントすることができる。また、センサ18はドア17が閉まった時刻、及び、その後、ドア17が開いた時刻を検出するようにしてもよい。センサ18は、ドア17が閉まった時刻から、その後、開いた時刻までの時間から、個室16の利用時間を算出することができる。また、センサ18は、トイレ用センサ15が検出したトイレ13の利用者数から、センサ18が検出した個室16の利用者数を減算することにより、トイレ13内の個室16以外の洗面所や男子小用便器等の設備の利用者の数を算出することができる。センサ18は、赤外線式センサ、マグネット式センサ等の従来周知の技術により実現されてよい。
【0023】
トイレ13には通信装置19が設けられてよい。通信装置19は、施設用センサ12、トイレ用センサ15、及びセンサ18からの情報を受信し、受信した情報を、インターネット100を介して管理装置30及び清掃管理者端末40に送信する。
【0024】
複数の清掃員端末20は、複数の清掃員がそれぞれ有する携帯用の情報端末であってよい。清掃員端末20は、例えば、携帯電話、スマートフォン、あるいはタブレット端末等の情報端末であってよい。清掃員端末20は、データを入力するための入力部と、管理装置30及び清掃管理者端末40と通信を行うための通信部と、表示部と、これらを制御するための制御部と、を有している。
【0025】
管理装置30は、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所であるトイレ13の周辺の天候に関する過去の天候情報を記憶している。また、管理装置30は、上記の過去の作業情報及び過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを用いて、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力する。さらに、管理装置30は、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する。この作業情報には、トイレ13の清掃の作業内容、作業開始時刻、及び作業終了時刻のうちの少なくとも1つの情報が含まれる。
【0026】
清掃管理者端末40は、管理装置30によって決定された清掃員端末20に対して、清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報を送信する。派遣要求を受けた清掃員は、派遣要求に従って清掃場所であるトイレ13の清掃を実行する。派遣情報を受信した清掃員端末20は、アラームやプッシュ通知等により清掃員に派遣要求を受信したことを知らせるようにしてもよい。
【0027】
図2に多層階の施設10における清掃場所の位置を示す構成図を示す。図2は、一例として5階建ての施設10を示しているが、階数はこれには限られない。施設10の1階から5階までの各階には、それぞれ、トイレ(131、132、・・・、135)が設けられてよい。また、それぞれのトイレ(131~135)には、複数の個室16が設けられてよい。
【0028】
図3に、本開示の一実施形態に係る管理装置30から清掃管理者端末40へ、清掃員の派遣要求を行うためのメッセージ200の例を示す。メッセージ200は清掃者管理端末40の表示部45(図7参照)に表示される。メッセージ200は、突発的にトイレを清掃する必要が生じたことを示す第1のメッセージM1を含む。具体的には、例えば、メッセージ200は、第1のメッセージM1として清掃の要求があった旨を示す情報を含んでよい。図3には、第1のメッセージM1として、「日本橋Xビル1Fにて『トイレが汚れている』と申告がありました。」と表示部45に表示される例が示されている。また、メッセージ200は、現在の天候情報Cを含んでもよい。図3には、天候情報Cとして、「天気:雨、気温:25℃、湿度:80%」と表示部45に表示される例が示されている。なお、メッセージ200に含まれる天候情報は、これらに限定されない。
【0029】
ここで、清掃員Aが2Fのトイレ132の個室162で清掃作業を行っており、清掃員Bが5Fのトイレ135の個室165で清掃作業を行っている際に、1Fのトイレ131の個室161において、清掃の必要が生じた場合を例として説明する。
【0030】
管理装置30は複数の清掃員端末20から定期的に位置情報を取得しており、メッセージ200は、第1のメッセージM1を受信した時点における清掃員(A、B)の位置(個室162、165)に関する第2のメッセージM2を含む。具体的には、例えば、メッセージ200は、第2のメッセージM2として、清掃員の位置関係を示す情報を含んでよい。図3には、第2のメッセージM2として、「2FにいるAさんが一番近く、5FにいるBさんは2番目に近いです。」と表示部45に表示される例が示されている。
【0031】
管理装置30は清掃員(A、B)による清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を清掃管理者端末40に送信する。メッセージ200は、進捗予想情報に関する第3のメッセージM3を含む。具体的には、メッセージ200は、第3のメッセージM3として、清掃員の現在の作業が終了すると見込まれる時間を示す情報を含んでよい。図3には、第3のメッセージM3として、「Aさんの現在の作業が完了するのは約15分後の予定です。Bさんの現在の作業が完了するのは約5分後の予定です。」と表示部45に表示される例が示されている。なお、清掃員の作業が既に完了している場合、すなわち、要求があった時点で作業を行っていない場合は、その旨が表示されてもよい。
【0032】
管理装置30は、複数の清掃員(A、B)のうち清掃を要求された場所である1Fの個室161に派遣する清掃員を決定し、決定した清掃員に関する情報を清掃管理者端末40に送信する。メッセージ200は、派遣する清掃員に関する第4のメッセージM4を含む。具体的には、例えば、メッセージ200は、第4のメッセージM4として、派遣を推奨する清掃員を示す情報を含んでよい。図3には、第4のメッセージM4として、「Bさんが駆け付けるのが良いと思います。」と表示部45に表示される例が示されている。以上のようにして、清掃要求(M1)に対して、複数の清掃員の位置情報(M2)及び進捗予想情報(M3)に基づいて、清掃が要求された清掃場所に派遣する清掃員を決定する(M4)。
【0033】
図4に、本開示の一実施形態に係る管理装置30のブロック図を示す。管理装置30は、入力部31と、通信部32と、記憶部33と、表示部34と、制御部35と、を有する。管理装置30には、例えば、スマートフォン、タブレット端末、あるいはノート型またはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等を用いることができる。管理装置30は、いわゆるサーバであってもよい。
【0034】
入力部31は、管理装置30に情報を入力する。入力部31には、マウス、キーボード、タッチパッド等を用いることができる。または、タッチパネルに表示されたキーボードを入力部31として用いるようにしてもよい。
【0035】
通信部32は、インターネット100を介して、施設10内の通信装置19、清掃員端末20、及び清掃管理者端末40との間で通信を行う。
【0036】
記憶部33は、半導体メモリやハードディスク等の記憶装置である。記憶部33は、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶する。さらに、記憶部33は、管理装置30を制御するためのプログラムを記憶している。
【0037】
表示部34は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置である。表示部34は、制御部35により生成される画面を表示する。
【0038】
制御部35は、作業情報取得部36と、天候情報取得部37と、清掃要求情報取得部38と、進捗情報出力部39と、派遣清掃員決定部350と、を有し、これらは、管理装置30に設けられたCPU等のプロセッサにより記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0039】
作業情報取得部36は、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得する。複数の清掃員はそれぞれ施設10の複数のトイレ13に分散して清掃作業を行ってよい。現在の作業情報には、現在、複数の清掃員のそれぞれが行っている清掃作業の内容が含まれる。例えば、現在の作業情報には、清掃員が所持する清掃員端末20の位置情報と各個室16の位置情報から、複数の清掃員のそれぞれが、どのトイレのどの個室を清掃しているのかを示す情報が含まれてよい。また、作業情報取得部36は、清掃員が個室16に入った時刻が、その個室16内の清掃作業を開始した時刻であり、個室16から出た時刻が、その個室16の清掃作業が終了した時刻であると推定することができる。また、作業情報取得部36は、清掃開始時刻から現在の時刻までの経過時間が清掃作業を継続して行っている時間であると推定してよい。さらに、作業情報取得部36は、各個室16について清掃に要する時間である進捗予想時間から、上記の経過時間を差し引くことにより、清掃作業が完了するまでの時間を算出してもよい。
【0040】
天候情報取得部37は、清掃場所周辺の天候に関する現在の天候情報を取得する。図5に天候情報の一例を示す。なお、天候情報には、清掃場所周辺の天候、気温及び湿度のうちの少なくとも1つに関する情報が含まれてよい。
【0041】
天候を示す天気概況は、清掃場所周辺の地域における天候の総合的な状況を示してよい。天候を示す天気概況は、一日を通しての天候の変化を表してもよい。例えば、図5に示した表における「雨時々曇」は、雨が降った時間が12時間より長く、その時間以外は主に曇りであったことを意味する。「曇後晴」は、天候が曇りから晴れに変化したことを意味する。「晴一時曇」は、晴れた時間が大半を占め、曇りの時間が6時間より短かったことを意味する。
【0042】
天候情報は、気温に関する情報として、1日における平均気温を含んでよい。また、天候情報は、気温に関する情報として、1日における最高気温及び最低気温のうちの少なくとも一方に関する情報を含んでいてもよい。あるいは、天候情報は、気温に関する情報として、施設10に利用者が存在する時間帯、即ち、施設10が開場または営業している時間帯における平均気温としてもよい。
【0043】
天候情報は、湿度に関する情報として、1日における平均湿度としてもよい。また、天候情報は、湿度に関する情報として、1日における最高湿度及び最低湿度のうちの少なくとも一方に関する情報を含んでよい。あるいは、天候情報は、湿度に関する情報として、施設10に利用者が存在する時間帯、即ち、施設10が開場または営業している時間帯における平均湿度を含んでよい。
【0044】
また、天候情報は、年月日に関する情報を含んでもよい。これによれば、実施形態に係る管理システムは、年月日の情報から、季節が春夏秋冬のいずれであるかを判別することができる。
【0045】
なお、天候情報に含まれる情報は、上記の例に限られない。例えば、天候情報は、清掃場所周辺の天候に影響を与える台風に関する情報、清掃場所を含む地域に発出された天候についての警報に関する情報、1日の合計降水量に関する情報、1日の平均気圧に関する情報、1日における最大瞬間風速に関する情報等を含んでもよい。台風が清掃場所周辺に接近した場合、降水量の増加等により床が汚れるため、清掃時間が増加することが考えられる。さらに、オフィスビル内の企業の社員や、商業施設の客等は、1階から入場するのが通常と考えられるため、低層階ほど床の汚れが顕著となる傾向となることが推測される。また、警報として大雨警報や大雪警報が発出された場合には、雨や雪のために床が汚れるため、清掃時間が増加することが考えられる。さらに、気圧の変化から将来の天候を予測することができる。例えば、気圧が高ければ、将来的に天候が改善することが予測され、気圧が低ければ、将来的に天候が悪化することが予測される。すなわち、天候の変化により、清掃時間が増減することが考えられる。また、最大瞬間風速の値が大きい場合、施設10の外部から内部に向かって、塵や埃等が侵入するため、床が汚れ、清掃時間が増加することが考えられる。したがって、天候情報は、清掃時間の増減に影響し得る任意の天候に関する情報を含んでよい。
【0046】
記憶部33は、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶する。上述したように、清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報は、季節変動データ(春夏秋冬)や気象データ(天候、気温、湿度)に関する情報を含んでもよい。
【0047】
ここで、上述したように、天候は清掃場所の清掃時間に大きな影響を与えると考えられる。従来技術においては、天候に関する情報を考慮していなかったため、必ずしも適切に清掃員を配置することができなかった。
【0048】
清掃要求情報取得部38は、清掃の要求に関する情報(以下、清掃要求情報ともいう)を取得する。例えば、清掃要求情報取得部38は、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所に関する清掃要求情報を取得してよい。例えば、図2に示すように、現在、清掃員Aが2Fの個室162で清掃作業を行っており、清掃員Bが5Fの個室165で清掃作業を行っているものとする。このとき、例えば、清掃要求情報取得部38は、現在清掃作業を行っている場所である個室(162、165)とは異なる他の個室161における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得する。清掃の要求は、例えば、清掃員が清掃員端末20を用いて行ってよい。例えば、汚れに気が付いた利用者によって清掃員に対して清掃の必要がある旨が伝えられ、清掃員は、清掃員端末20によって清掃要求情報を管理装置30に送信してよい。清掃要求情報を受信した管理装置30は、清掃要求情報を清掃管理者端末40に清掃要求情報を送信してよい。清掃要求情報は、例えば、図3のメッセージ200に示した第1メッセージM1(日本橋Xビル1Fにて「トイレが汚れている」と申告がありました。)のように表示されるようにしてもよい。すなわち、清掃管理者端末40は、清掃要求情報を清掃管理者に通知してよい。なお、清掃の要求は、清掃管理者が清掃管理者端末40を用いて行ってもよい。例えば、利用者からの清掃要求が清掃管理者に伝えられた場合は、清掃管理者は、清掃要求情報を清掃管理者端末40から管理装置30に送信してもよい。
【0049】
進捗情報出力部39は、判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力する。図6に本開示の一実施形態に係る管理装置によって出力された清掃作業の進捗予想情報の例を示す。図6の例では、7月19日について、天候が「雨」、気温が「25℃」、湿度が「80%」であることが予想される場合に、判定モデルによって、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報として、清掃作業に必要な時間が、1Fでは15分、2Fでは14分、3Fでは14分、4Fでは13分、5Fでは13分と算出される例が示されている。同様に、7月20日について、天候が「曇り」、気温が「30℃」、湿度が「70%」であることが予想される場合に、判定モデルによって、清掃作業に必要な時間が、1Fでは12分、2F~5Fでは11分と算出される例が示されている。さらに、7月21日について、天候が「晴れ」、気温が「35℃」、湿度が「60%」であることが予想される場合に、判定モデルによって、清掃作業に必要な時間が、1F~5Fの全てにおいて10分と算出される例が示されている。
【0050】
ここで、従来技術の場合、季節に関する情報、及び気象に関する情報を考慮せずに、必要な清掃時間の予測を行っていた。従って、従来技術によれば、天候情報や気象情報に関わらず清掃作業に要する時間はほぼ一定と予想されていた。しかしながら、天候が「雨」の場合は、天候が「曇り」の場合に比べて、床が濡れたり汚れたりしやすいため、低層階ほど清掃時間を増やした方がよい場合がある。天候が「曇り」の場合は、前日の降雨により、路面が濡れている場合があるため、低層階において若干、清掃時間が増加を増やした方がよい場合がある。
【0051】
これに対して、本実施形態の管理装置30で用いる判定モデルは、天候に関する情報を加味したうえで清掃時間を予測することができる。そのため、本発明の一実施形態によれば、天候に関する情報を加味することによって、清掃時間が予想以上に必要となって清掃が十分に行えなかったり、過剰な清掃時間を予測し、コストが増加したりするという状況を回避し得る。すなわち、本発明の一実施形態によれば、清掃員の運用を効率化し得る。
【0052】
上記の例では、天候が「雨」の場合と「曇り」の場合を例にとって説明したが、このような例には限られない。例えば、天候が「雪」の場合は「雨」の場合よりもさらに床が汚れやすく、清掃時間をより増やした方がよい場合がある。また、天候が「晴れ」の場合は、「曇り」の場合よりも清掃時間をより減らした方がよい場合がある。すなわち、判定モデルは、天候を考慮して推奨する清掃時間算出するように構築されてよい。
【0053】
推奨される清掃時間は、季節によっても変動し得る。例えば、冬は夏よりもトイレの利用回数が増えるため、夏よりも清掃時間をより増やした方がよい場合がある。冬は、夏に比べて、汗や水蒸気となって体から出て行く水分が減り、体の水分が多くなりやすいからである。すなわち、判定モデルは、季節を考慮して、推奨する清掃時間を算出するように構築されてよい。
【0054】
推奨される清掃時間は、気温によっても変動し得る。例えば、気温が高いほど発汗量が増加し、体内の水分量が減少し、トイレの利用頻度が減少するため、清掃時間をより減らしてよい場合がある。あるいは、気温が高いほど発汗量は増加するが、水分を多めにとった結果、トイレの利用頻度が多くなる場合もある。そのため、清掃時間をより増やした方がよい場合もある。すなわち、判定モデルは、判定時の気温、判定日の平均気温、最低気温、最高気温等を考慮して、推奨する清掃時間を算出するように構築されてもよい。
【0055】
推奨される清掃時間は、湿度によっても変動し得る。例えば、湿度が高いほど床に結露が生じやすくなる結果、床が汚れやすくなる場合がある。そのため、湿度が低い場合よりも清掃時間をより増やした方がよい場合がある。すなわち、判定モデルは、湿度を考慮して、推奨する清掃時間を算出するように構築されてよい。
【0056】
なお、天候情報には清掃場所周辺の天候に影響を与える台風に関する情報、清掃場所を含む地域に発出された天候についての警報に関する情報、1日の合計降水量に関する情報、1日の平均気圧に関する情報、1日における最大瞬間風速に関する情報等が含まれてもよい。
【0057】
上述したように、天候は清掃場所の清掃時間に大きな影響を与えると考えられる。従来技術においては、天候に関する情報を考慮していなかったため、清掃員の清掃の進捗予測時間は天候の変化に左右されてしまい、天候の変化に応じた進捗予測時間を算出することができなかった。
【0058】
これに対し、本開示の一実施形態に係る管理装置は、清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データに含めて機械学習により天候を特徴量が構成された判定モデルを有している。そのため、進捗情報出力部39は、この判定モデルを用いることにより、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、正確な進捗予想時間を算出することができる。
【0059】
派遣清掃員決定部350は、清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する。例えば、図2に示した例では、派遣清掃員決定部350は、清掃員A及びBのうち、清掃を要求された場所である個室161に派遣する清掃員をBに決定する。
【0060】
派遣清掃員決定部350は、進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち最も早く清掃作業が完了する清掃員を、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定するようにしてもよい。例えば、図2に示した例において、進捗予想情報によれば、清掃員Aの現在の作業が完了するのは約15分後であり、清掃員Bの現在の作業が完了するのは約5分後である。従って、派遣清掃員決定部350は、例えば、清掃員A及びBのうち、最も早く(5分後)清掃作業が完了する清掃員Bを、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定することができる。したがって、派遣清掃員決定部350は、例えば、進捗予想情報に基づいて、清掃員A及びBのうち、清掃を要求された場所である個室161に派遣する清掃員をBに決定することができる。
【0061】
一実施形態に係る管理装置によれば、季節変動や気象データを考慮して生成した判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想時間を算出しているため、季節や気象の変動に応じた清掃時間を予測することができる。
【0062】
図7に、本開示の一実施形態に係る管理システム1000に含まれる清掃管理者端末40のブロック図を示す。清掃管理者端末40は、入力部41と、通信部42と、制御部43と、記憶部44と、表示部45と、を有する。清掃管理者端末40には、スマートフォン、タブレット端末、あるいはノート型またはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等を用いることができる。清掃管理者端末40は、いわゆるサーバであってもよい。
【0063】
入力部41には、マウス、キーボード、タッチパッド等を用いることができる。または、タッチパネルに表示されたキーボードを入力部41として用いるようにしてもよい。
【0064】
通信部42は、インターネット100を介して、施設10に設けられた通信装置19、清掃員端末20、及び管理装置30との間で通信を行う。
【0065】
制御部43は、清掃管理者端末40に設けられたCPU等のプロセッサにより記憶部44に記憶されたプログラムを実行することにより実現される派遣要求送信部431を有する。派遣要求送信部431は、管理装置30が生成した清掃情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃場所であるトイレ13に派遣することを推奨する清掃員を決定してよい。制御部43は、清掃管理者によりトイレ13に派遣することが決定された清掃員が有する清掃員端末20に派遣要求を送信してよい。なお、制御部43は、清掃管理者に代わり、清掃情報に基づいて、トイレ13に派遣する清掃員を決定してもよい。
【0066】
記憶部44は、半導体メモリやハードディスク等の記憶装置である。記憶部44は、清掃場所であるトイレ13の利用状況に関する過去の利用情報、清掃員の配置履歴に関する配置履歴情報441を記憶する。記憶部44は、清掃管理者端末40を制御するためのプログラムを記憶している。
【0067】
表示部45は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置である。表示部45は、制御部43により生成される画面を表示する。清掃管理者は、表示部45に表示された清掃情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃場所に派遣する清掃員を決定することができる。
【0068】
清掃管理者端末40は、清掃場所に派遣することを決定した清掃員が有する清掃員端末20に清掃を要求された場所への派遣を要求するための派遣情報(派遣要求)を送信してよい。派遣要求を受信した清掃員端末20を有する清掃員は、派遣要求に従って、指定された清掃場所であるトイレ13を清掃することができる。
【0069】
次に、本開示の一実施形態に係る管理装置の動作手順について説明する。図8に、本開示の一実施形態に係る管理装置30の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS101において、管理装置30の作業情報取得部36が、複数の清掃員の清掃作業に関する現在の作業情報を取得する。現在の作業情報は、作業内容、作業開始時刻、及び作業終了時刻のうちの少なくとも1つの情報を含んでよい。
【0070】
次に、ステップS102において、管理装置30の天候情報取得部37が、清掃場所であるトイレ13の周辺の天候に関する現在の天候情報を取得する。天候情報は、清掃場所であるトイレ13の周辺の天候、気温及び湿度のうちの少なくとも1つに関する情報を含んでよい。
【0071】
次に、ステップS103において、清掃要求情報取得部38が、現在清掃作業を行っている場所とは異なる他の清掃場所における清掃の要求に関する清掃要求情報を取得する。
【0072】
次に、ステップS104において、管理装置30の記憶部33が、複数の清掃員の清掃作業に関する過去の作業情報及び清掃場所周辺の天候に関する過去の天候情報を教師データとする機械学習により生成された判定モデルを記憶する。
【0073】
次に、ステップS105において、管理装置30の進捗情報出力部39が、判定モデルを用いて、現在の作業情報及び現在の天候情報に基づいて、清掃作業の進捗に関する進捗予想情報を出力する。
【0074】
次に、ステップS106において、派遣清掃員決定部350が、清掃要求情報及び進捗予想情報に基づいて、複数の清掃員のうち清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定する。
【0075】
清掃管理者端末40は、管理装置30の派遣清掃員決定部350が出力した清掃情報に基づいて、複数の清掃員のうち、清掃を要求された場所であるトイレ13に派遣する清掃員が有する清掃員端末20に清掃場所に派遣するための情報を含む派遣要求を送信する。
【0076】
派遣要求を受信した清掃員は、派遣要求に従って、清掃場所であるトイレ13の清掃を実行する。
【0077】
本開示の一実施形態に係る管理装置30は、プロフェッショナルな配置管理者が過去の清掃員配置履歴において季節変動データや気象データを考慮したうえで予測した清掃作業時間に関する情報を、進捗予想情報として保存している。また、季節変動データや気象データは気象庁のデータベースから抽出することができる。そこで、管理装置30は、プロフェッショナルな配置管理者が過去に行った進捗予想情報と、過去の気象データを教師データとする機械学習により生成された判定モデルを有している。判定モデルによれば、気象データを考慮した進捗予想情報を生成することができる。従来は気象データを考慮せずに、清掃作業時間を予測していたため、気象状況の変化に応じた清掃作業時間の調整を行うことが難しいという問題があった。これに対し、本開示の一実施形態に係る管理装置によれば、気象データを考慮しているため、過去のプロフェッショナルな管理者と同等の清掃員配置を通常の管理者が実行することができる。
【0078】
以上のように、本開示の一実施形態に係る管理装置30によれば、経験が浅い清掃管理者であっても、例えば、気象環境の変化により判断が難しい条件下において、プロフェッショナルな清掃管理者が持つ知見と同等の経験値により、正確な進捗予想情報を得ることが可能となる。
【0079】
[変形例]
次に、本開示の一実施形態の変形例に係る管理装置について説明する。図9に本開示の一実施形態の変形例に係る管理装置301のブロック図を示す。変形例に係る管理装置301が図4に示した一実施形態に係る管理装置30と異なっている点は、制御部35が、さらに清掃員位置情報取得部351を備えている点である。変形例に係る管理装置301のその他の構成は、実施形態に係る管理装置30における構成と同様であってよい。
【0080】
清掃員位置情報取得部351は、複数の清掃員の位置情報を取得する。複数の清掃員の位置情報は、清掃員が所持する清掃員端末20に設けられているGPSからの情報を管理装置30の通信部32を介して取得することができる。複数の清掃員の位置情報と複数のトイレ(131~135)の位置情報から、清掃員がどのトイレを清掃中であるかを識別することができる。さらに、複数の清掃員の位置情報と複数の個室16の位置情報から、清掃員がどの個室を清掃中であるかを識別するようにしてもよい。例えば、図2に示した例では、清掃員位置情報取得部351は、清掃員Aが施設10の2Fのトイレ132内の個室162を清掃中であり、清掃員Bが施設10の5Fのトイレ135内の個室165を清掃中であるとの情報を取得することができる。また、清掃員の位置情報が、トイレ(131~135)内であって個室16の外である場合は、個室16の外部の洗面所等を清掃していると判断することができる。
【0081】
派遣清掃員決定部350は、清掃員の位置情報に基づいて、清掃を要求された清掃場所であるトイレ(131~135)に派遣する清掃員を決定するようにしてもよい。例えば、図2に示す例において、施設10の4Fのトイレ134の個室16について清掃の要求があった場合において、清掃員A及びB以外の清掃員Cが4Fのフロアに存在するとの位置情報を取得したときは、清掃の要求があった4Fの個室16に清掃員Cを派遣させることができる。このように、変形例に係る管理装置によれば、清掃員の位置情報、及び清掃を要求された清掃場所との位置関係に基づいて、派遣要求があった清掃場所に最適な清掃員を派遣することができる。また、変形例に係る管理装置によれば、派遣要求があった清掃場所の清掃に特殊な技術が必要な場合には、そのような特殊な技術を備えた複数の清掃員の中から清掃員の位置情報を考慮して最適な清掃員を派遣させることができる。
【0082】
派遣清掃員決定部350は、清掃作業が同時に完了する清掃員が2人以上存在する場合に、位置情報に基づいて、清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するようにしてもよい。例えば、図2に示した例において、清掃員Aによる2Fの個室162の清掃と、清掃員Bによる5Fの個室165の清掃が同時に終了すると推測されるとする。この場合において、3Fの個室16について清掃の要求があったときは、清掃員Aの位置情報(個室162)と清掃員Bの位置情報(個室165)に基づいて、清掃員Aを清掃要求があった3Fの個室16に派遣することができる。上記の例では、2人の清掃員A及びBの清掃作業が同時に完了する場合について説明したが、清掃作業が同時に完了する清掃員が3人以上存在する場合においても、それらの複数の清掃員の位置情報に基づいて、清掃を要求された場所に派遣する清掃員を決定するようにしてもよい。
【0083】
派遣清掃員決定部350は、複数の清掃員のうち、清掃を要求された場所に最も近い場所を清掃する清掃員を、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定するようにしてもよい。例えば、図2に示すように、清掃員Aが施設10の2Fのトイレ132内の個室162を清掃中であり、清掃員Bが施設10の5Fのトイレ135内の個室165を清掃中であるとする。このとき、4Fのトイレ134の個室16に対して清掃の要求があった場合、派遣清掃員決定部350は、清掃の要求があった4Fのトイレ134の個室16に最も近い場所である5Fの個室165を清掃する清掃員Bを派遣することができる。このように、複数の清掃員のうち、清掃を要求された場所に最も近い場所を清掃する清掃員を、清掃を要求された場所に派遣する清掃員として決定することにより、現在の清掃作業を行っている場所から清掃の要求があった場所までの移動時間を短縮することができ、移動する清掃員の負担を軽減することができる。
【0084】
派遣清掃員決定部350が決定した、清掃場所であるトイレ(131~135)に派遣する清掃員に関する情報は、管理装置301に設けられた通信部32から、複数の清掃員が有する清掃員端末20に送信することができる。清掃員端末20の表示部は、清掃を実行する清掃場所を表示してもよい。あるいは、清掃員端末20から音声によって清掃員に対して派遣要求があった清掃場所を報知するようにしてもよい。清掃員は清掃員端末20の表示部の表示または音声による指示に従って、指定された清掃場所に向かい清掃を実行することができる。
【0085】
上記の例では、管理装置301から、清掃場所に派遣することを決定した清掃員端末20に対して、直接、清掃場所に関する情報を送信する例を示したが、このような例には限られない。即ち、派遣清掃員決定部350が決定した、清掃場所であるトイレ(131~135)に派遣する清掃員に関する情報は、管理装置301に設けられた通信部32から、清掃管理者端末40の通信部42に送信するようにしてもよい。清掃管理者端末40の派遣要求送信部431は、複数の清掃員端末20のうち清掃場所に派遣する清掃員が有する清掃員端末20に派遣要求を送信する。清掃員端末20の表示部は、受信した派遣要請に基づいて清掃を実行する清掃場所を表示してよい。そのため、清掃員は表示部の表示に従って、指定された清掃場所に向かい清掃を実行することができる。
【0086】
以上説明したように、本開示の実施形態の変形例に係る管理装置によれば、清掃員位置情報取得部を備えているため、清掃員の位置情報を取得することができ、複数の清掃員のうちから、派遣要求があった清掃場所に派遣する最適な清掃員を決定することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 施設
11 施設用ドア
12 施設用センサ
13 トイレ
14 トイレ用ドア
15 トイレ用センサ
16 個室
17 ドア
18 センサ
19 通信装置
20 清掃員端末
30 管理装置
31 入力部
32 通信部
33 記憶部
34 表示部
35 制御部
36 作業情報取得部
37 天候情報取得部
38 清掃要求情報取得部
39 進捗情報出力部
40 清掃管理者端末
100 インターネット
350 派遣清掃員決定部
351 清掃員位置情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9