(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】自動運転制御装置、自動運転制御方法、および、自動運転制御システム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/10 20120101AFI20221202BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20221202BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20221202BHJP
【FI】
B60W40/10
B60W40/02
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2020551659
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2018038703
(87)【国際公開番号】W WO2020079786
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/213064(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/142527(WO,A1)
【文献】特開2017-013614(JP,A)
【文献】特開2000-020898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する車両関連情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型、を予測する類型予測部と、
前記類型予測部が予測した類型に基づき、全ての推論モデルのうちの一部にあたる少なくとも2つの前記推論モデルのみをロード可能な容量を有する記憶領域にロードすべき前記推論モデルを決定する予測推論モデル決定部と、
前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを前記記憶領域にロードさせる指示を行うロード指示部と、
前記第1の情報に基づき、現在の、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型を判断する類型判断部と、
前記類型判断部が判断した類型に対応する前記推論モデルを決定する現推論モデル決定部と、
前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、前記現推論モデル決定部が前記推論モデルを決定するよりも前に前記類型予測部が前記第1の情報に基づき予測した類型に基づき前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルであって、かつ前記ロード指示部の指示によって前記記憶領域にロード済みの前記推論モデルのうち、前記類型判断部が前記第1の情報に基づき判断した類型に基づき前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを用いて、前記車両を自動運転させるための車両制御情報を推論し、前記車両制御情報の推論に使用する前記推論モデルが、前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルに切り替わると、それまで前記車両制御情報の推論に用いていた使用済みの前記推論モデルを前記記憶領域から消去する車両制御情報推論部
とを備えた自動運転制御装置。
【請求項2】
前記ロード指示部は、2つの前記推論モデルをロード可能な容量を有する前記記憶領域に、前記予測推論モデル決定部が決定した異なる2つの前記推論モデルを別々にロードさせる指示を行う
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項3】
前記第1の情報は前記車両の走行計画に関する情報を含み、
前記類型予測部は、前記車両の前記走行計画に関する情報に基づき、将来的な、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型を予測する
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、地図上の各道路について、車道へ物体が飛び出してくる可能性を表す数値である飛び出し危険度に関する情報であり、
前記類型予測部は、前記飛び出し危険度に関する情報に基づき、将来的な、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型を予測する
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
前記ロード指示部は、
前記記憶領域に、他車両との衝突を回避する車両挙動の類型に対応する前記推論モデル、または、前記衝突が生じる前に緊急停止する車両挙動の類型に対応する前記推論モデルを、常時ロードさせておく指示を行う
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項6】
前記車両制御情報推論部が前記車両制御情報を推論するために用いた前記推論モデルに関する第1の通知情報を、前記車両の搭乗者が認識可能な情報として、前記車両に搭載されている出力装置に出力する通知制御部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項7】
前記情報取得部が取得した車両関連情報に基づく第2の通知情報を、前記車両の搭乗者が認識可能な情報として、前記車両に搭載されている出力装置に出力する通知制御部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
情報取得部が、車両に関する車両関連情報を取得するステップと、
類型予測部が、前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型、を予測するステップと、
予測推論モデル決定部が、前記類型予測部が予測した類型に基づき、全ての推論モデルのうちの一部
にあたる少なくとも2つの前記推論モデルのみをロード可能な容量を有する記憶領域にロードすべき前記推論モデルを決定するステップと、
ロード指示部が、前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを前記記憶領域にロードさせる指示を行うステップと、
類型判断部が、前記第1の情報に基づき、現在の、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型を判断するステップと、
現推論モデル決定部が、前記類型判断部が判断した類型に対応する前記推論モデルを決定するステップと、
車両制御情報推論部が、前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、前記現推論モデル決定部が前記推論モデルを決定するよりも前に前記類型予測部が前記第1の情報に基づき予測した類型に基づき前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルであって、かつ前記ロード指示部の指示によって前記記憶領域にロード済みの前記推論モデルのうち、前記類型判断部が前記第1の情報に基づき判断した類型に基づき前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを用いて、前記車両を自動運転させるための車両制御情報を推論し、前記車両制御情報の推論に使用する前記推論モデルが、前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルに切り替わると、それまで前記車両制御情報の推論に用いていた使用済みの前記推論モデルを前記記憶領域から消去するステップ
とを備えた自動運転制御方法。
【請求項9】
車両に関する車両関連情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型、を予測する類型予測部と、
前記類型予測部が予測した類型に基づき、全ての推論モデルのうちの一部
にあたる少なくとも2つの前記推論モデルのみをロード可能な容量を有する記憶領域にロードすべき前記推論モデルを決定する予測推論モデル決定部と、
前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを前記記憶領域にロードさせる指示を行うロード指示部と、
前記第1の情報に基づき、現在の、前記車両の車両挙動または前記車両の周辺環境の類型を判断する類型判断部と、
前記類型判断部が判断した類型に対応する前記推論モデルを決定する現推論モデル決定部と、
前記情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、前記現推論モデル決定部が前記推論モデルを決定するよりも前に前記類型予測部が前記第1の情報に基づき予測した類型に基づき前記予測推論モデル決定部が決定した前記推論モデルであって、かつ前記ロード指示部の指示によって前記記憶領域にロード済みの前記推論モデルのうち、前記類型判断部が前記第1の情報に基づき判断した類型に基づき前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルを用いて、前記車両を自動運転させるための車両制御情報を推論し、前記車両制御情報の推論に使用する前記推論モデルが、前記現推論モデル決定部が決定した前記推論モデルに切り替わると、それまで前記車両制御情報の推論に用いていた使用済みの前記推論モデルを前記記憶領域から消去する車両制御情報推論部
とを備えた自動運転制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の自動制御を行う自動運転制御装置、自動運転制御方法、および、自動運転制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の運転操作等を学習し、学習結果に基づき、車両の自動制御を行う技術が知られている。
例えば、特許文献1には、運転環境に対応付けて運転者の運転操作を学習しておき、自動運転制御時には、運転環境を特定し、特定した運転環境での運転操作の学習結果を参照して、自動運転制御を実行する運転制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、学習結果を用いて車両の自動制御を行う場合、自動運転制御装置は、学習結果としてのモデル(以下「推論モデル」という。)を、当該自動制御を行うプログラムが使用する記憶領域にロードし、ロードした推論モデルを用いて、車両を自動制御するための情報(以下「車両制御情報」という。)を推論する。当該推論モデルは、車両の状況等に応じて切り替える必要がある。しかし、特許文献1に開示されているような運転制御装置では、推論モデルがどのように使用されているかの言及がない。
特許文献1に開示されているような運転制御装置では、例えば、車両制御情報を推論するために、予め、必要とされる全ての推論モデルを記憶領域にロードしておくことが想定される。しかし、この場合、記憶領域の使用量が莫大となるという問題がある。
そこで、車両制御情報を推論するため、推論の都度、用いる推論モデルを記憶領域にロードしてくるという方法が想定される。しかし、この場合、推論モデルをロードしている間、当該推論モデルを使用できず、その結果、車両制御情報の推論が行えないという課題がある。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態を避けるようにすることができる自動運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る自動運転制御装置は、車両に関する車両関連情報を取得する情報取得部と、情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、車両の車両挙動または車両の周辺環境の類型、を予測する類型予測部と、類型予測部が予測した類型に基づき、全ての推論モデルのうちの一部にあたる少なくとも2つの推論モデルのみをロード可能な容量を有する記憶領域にロードすべき推論モデルを決定する予測推論モデル決定部と、予測推論モデル決定部が決定した推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行うロード指示部と、第1の情報に基づき、現在の、車両の車両挙動または車両の周辺環境の類型を判断する類型判断部と、類型判断部が判断した類型に対応する推論モデルを決定する現推論モデル決定部と、情報取得部が取得した車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、現推論モデル決定部が推論モデルを決定するよりも前に類型予測部が第1の情報に基づき予測した類型に基づき予測推論モデル決定部が決定した推論モデルであって、かつロード指示部の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、類型判断部が第1の情報に基づき判断した類型に基づき現推論モデル決定部が決定した推論モデルを用いて、車両を自動運転させるための車両制御情報を推論し、車両制御情報の推論に使用する推論モデルが、現推論モデル決定部が決定した推論モデルに切り替わると、それまで車両制御情報の推論に用いていた使用済みの推論モデルを記憶領域から消去する車両制御情報推論部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態を避けるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る自動運転制御装置を搭載した自動運転車両の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る自動運転制御装置の構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る自動運転制御装置における「予測処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る自動運転制御装置における「推論処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態1において、自動運転制御装置の動作の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_0時点での、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図7】
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_1時点での、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図8】
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_2時点での、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図9】
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_4時点での、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る自動運転制御装置における「予測処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係る自動運転制御装置における「推論処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図5を用いた、実施の形態2に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_0~t_2の間の、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図14】
図5を用いた、実施の形態2に係る自動運転制御装置の動作の具体例の説明において、時刻t_3~t_5の間の、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係る自動運転制御装置の構成例を示す図である。
【
図16】
図2を用いて説明した実施の形態1,2に係る自動運転制御装置の構成部の一部が車載装置に備えられ、その他がサーバに備えられるようにした自動運転制御システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る自動運転制御装置1を搭載した自動運転車両100の構成例を示す図である。
実施の形態1に係る自動運転制御装置1は、人が運転操作を行わなくても自動で走行することが可能な自動運転車両100内の一装置として、当該自動運転車両100に搭載されることを想定している。
図1に示すように、自動運転車両100には、自動運転制御装置1の他、位置情報取得部2、環境情報取得部3、走行計画部4、地図情報データベース5、および、車両制御部6が搭載される。
【0010】
位置情報取得部2は、例えば、GPS(Global Positioning System)レシーバであり、自車両の位置情報を取得する。
位置情報取得部2は、取得した位置情報を、自動運転制御装置1および走行計画部4に出力する。
【0011】
環境情報取得部3は、例えば、レーダまたはカメラであり、自動運転車両100周辺の環境情報を取得する。環境情報取得部3が取得する環境情報は、自動運転車両100周辺に存在する他車両の情報、自動運転車両100周辺に存在する障害物の位置情報、または、交通信号に関する情報等である。なお、環境情報取得部3を構成する装置は一つに限らず、レーダとカメラ等、複数種類の装置の組み合わせによって環境情報取得部3が構成されるものとしてもよい。
環境情報取得部3は、取得した、自動運転車両100周辺の環境情報を、自動運転制御装置1に出力する。
【0012】
走行計画部4は、目的地を示す情報、地図情報データベース5が保持する地図情報、および、位置情報取得部2から出力された位置情報に基づき、自車両が目的地へ向かうための経路を、走行計画として決定する。走行計画部4は、目的地を示す情報を、公知の何らかの方法で取得するようになっていればよい。実施の形態1において、走行計画部4が決定する経路は、「XX地点の交差点を左折」、「左の側道へ分岐」、または、「YYYのIC(interchange)の流出路へ流出」等、カーナビゲーションシステムで案内されるような、通るべき道路または曲がるべき交差点を表す道案内情報程度のものであり、具体的な緯度および経度を定められた経路である必要はない。
走行計画部4は、決定した、自車両が目的地へ向かうための経路を示す情報(以下「走行計画情報」という。)を、自動運転制御装置1に出力する。
【0013】
地図情報データベース5は、位置情報と、当該位置情報に対応する道路または道路形状等に関する情報を、地図情報として保持する。
実施の形態1では、
図1に示すように、地図情報データベース5は、自動運転車両100に搭載されるものとするが、これは一例に過ぎず、地図情報データベース5は、自動運転車両100の外部の、少なくとも走行計画部4および自動運転制御装置1が参照可能な場所に備えられるものとしてもよい。
【0014】
自動運転制御装置1は、位置情報取得部2から出力された位置情報と、環境情報取得部3から出力された環境情報と、走行計画部4から出力された走行計画情報と、地図情報データベース5が保持する地図情報とに基づき、車両制御情報を推論し、車両制御部6に出力する。自動運転制御装置1の詳細については後述する。
以下、自動運転制御装置1が位置情報取得部2から取得する位置情報と、環境情報取得部3から取得する環境情報と、走行計画部4から取得する走行計画情報と、地図情報データベース5を参照して取得する地図情報とを、まとめて、「車両関連情報」ともいうものとする。
【0015】
車両制御部6は、自動運転制御装置1から出力された車両制御情報に基づき、自動運転車両100の運転を制御する。具体的には、車両制御部6は、例えば、実際に車両のブレーキ、アクセル、または、ステアリングの操作を行い、自動運転車両100を走行させる。なお、自動運転制御装置1が出力する車両制御情報は、ブレーキ、アクセル、または、ステアリング操作の具体的な制御量であってもよいし、具体的に緯度および経度を定めた走行軌跡の情報であってもよい。車両制御情報が、具体的な走行軌跡の情報である場合、車両制御部6は、当該走行軌跡の通りに自動運転車両100が走行するよう、ブレーキ、アクセル、または、ステアリングの制御量を計算して、計算した制御量に基づき、それぞれの操作を行う。
【0016】
自動運転制御装置1の詳細について説明する。
図2は、実施の形態1に係る自動運転制御装置1の構成例を示す図である。
自動運転制御装置1は、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、推論モデルデータベース15と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17を備える。推論モデル決定部14は、予測推論モデル決定部141と、現推論モデル決定部142を備える。以下の説明において、予測推論モデル決定部141と現推論モデル決定部142を、まとめて、推論モデル決定部14ともいう。
【0017】
情報取得部11は、車両関連情報を取得する。情報取得部11は、取得した車両関連情報を、類型予測部12、類型判断部13、および、車両制御情報推論部17に出力する。
【0018】
類型予測部12は、情報取得部11から出力された車両関連情報に基づき、将来的な、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する。実施の形態1において、「将来的な」とは、数秒後等、短時間後のことをいうものとし、類型予測部12がどれぐらい先の、自動運転車両100の車両挙動を予測するかは、予め決められているものとする。実施の形態1では、一例として、類型予測部12は、5秒後の、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する。車両挙動の類型とは、車両の動きを抽象化した情報であり、例えば、「交差点を左折する」、または、「右に斜線変更する」という情報が挙げられる。
実施の形態1において、類型予測部12は、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する際、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる環境情報は使用しない。また、類型予測部12は、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する際、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる、位置情報、走行計画情報、および、地図情報の全ての情報を使用することを必須とはしない。例えば、類型予測部12は、走行計画情報および位置情報のみを使用して、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測するようにしてもよい。実施の形態1において、車両関連情報に含まれる位置情報、環境情報、走行計画情報、および、地図情報のうち、類型予測部12が自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する際に使用する情報を、「第1の情報」ともいうものとする。
類型予測部12は、予測結果として、5秒後に予測される、自動運転車両100の車両挙動の類型を得る。
類型予測部12は、得られた車両挙動の類型を、推論モデル決定部14に出力する。
【0019】
類型判断部13は、情報取得部11から出力された車両関連情報に基づき、自動運転車両100が現在取るべき車両挙動の類型を判断する。
実施の形態1において、類型判断部13は、自動運転車両100の車両挙動の類型を判断する際、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる環境情報は使用しない。また、類型判断部13は、自動運転車両100の車両挙動の類型を判断する際、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる、位置情報、走行計画情報、および、地図情報の全ての情報を使用することを必須とはしない。例えば、類型判断部13は、走行計画情報および位置情報のみを使用して、自動運転車両100の車両挙動の類型を判断するようにしてもよい。但し、類型判断部13は、車両関連情報のうち、類型予測部12が自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する際に使用する情報と同じ第1の情報を使用して、自動運転車両100の車両挙動の類型を判断することが好ましい。
類型判断部13は、判断結果として、自動運転車両100の車両挙動の類型を得る。
類型判断部13は、得られた車両挙動の類型を、推論モデル決定部14に出力する。
【0020】
推論モデル決定部14は、記憶領域にロードすべき推論モデル、または、記憶領域にロードされているべき推論モデルを決定する。
ここで、推論モデルとは、自動運転車両100の自動制御を行う際の、学習結果としてのモデルである。具体的には、推論モデルは、情報取得部11が取得した車両関連情報に対して適切な車両制御情報を推論するための計算方法およびパラメータの情報のことであり、例えば、機械学習技術を用いて適切な車両制御を行えるよう学習させたニューラルネットワークのモデルである。自動運転制御装置1において、上述したような、推論モデルを用いた車両制御情報の推論は、車両制御情報推論部17が行う。車両制御情報推論部17の詳細は後述する。
【0021】
推論モデル決定部14の予測推論モデル決定部141は、類型予測部12が予測した車両挙動の類型に基づき、車両制御情報推論部17が有する記憶領域にロードすべき推論モデルを決定する。具体的には、予測推論モデル決定部141は、推論モデルデータベース15を参照し、類型予測部12が予測した車両挙動の類型に対応する推論モデルを、記憶領域にロードすべき推論モデルに決定する。
推論モデル決定部14の現推論モデル決定部142は、類型判断部13が判断した車両挙動の類型に基づき、車両制御情報推論部17が現在使用すべき推論モデルを決定する。具体的には、現推論モデル決定部142は、推論モデルデータベース15を参照し、類型判断部13が判断した車両挙動の類型に対応する推論モデルを、車両制御情報推論部17が現在使用すべき推論モデルに決定する。
【0022】
推論モデル決定部14が決定した推論モデルは、ロード指示部16によって、車両制御情報推論部17が有する記憶領域にロードされた状態とされる。当該記憶領域にロードされた状態の推論モデルは、車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論する際に、当該車両制御情報推論部17によって用いられる。ロード指示部16および車両制御情報推論部17の詳細は後述する。以下の説明において、車両制御情報推論部17が有する記憶領域を、単に「記憶領域」という。
推論モデル決定部14は、決定した推論モデルの情報を、ロード指示部16に出力する。
【0023】
推論モデルデータベース15は、車両挙動の類型と推論モデルとを対応付けて記憶している。
実施の形態1では、
図2に示すように、推論モデルデータベース15は、自動運転制御装置1に備えられるものとするが、これは一例に過ぎず、推論モデルデータベース15は、自動運転制御装置1の外部の、自動運転制御装置1が参照可能な場所に備えられるようにしてもよい。
【0024】
ロード指示部16は、推論モデル決定部14が決定した推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する。
推論モデル決定部14が決定した推論モデルが記憶領域にロードされていないと判断した場合、ロード指示部16は、推論モデル決定部14が決定した推論モデルを、記憶領域にロードさせる指示を行う。具体的には、ロード指示部16は、車両制御情報推論部17に対して、推論モデルのロード指示を出力し、車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする。
記憶領域は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。実施の形態1では、記憶領域は、2つの推論モデルをロード可能な容量を有する領域である。実施の形態1では、ロード指示部16は、記憶領域に、2つの推論モデルをロードさせた状態とすることが可能である。なお、記憶領域は、少なくとも2つの推論モデルを別々にロード可能な容量を有していればよい。すなわち、記憶領域は、3つ以上の推論モデルをロード可能な容量を有する領域としてもよい。しかし、例えば、記憶領域を、車両制御情報の推論に必要な推論モデルの全てをロード可能な容量を有する領域とする場合、記憶容量の使用量が莫大となる。従って、記憶領域は、3つ以上の推論モデルをロード可能な容量を有する領域であっても、車両制御情報の推論に必要な全ての推論モデルをロード可能な容量を有する領域ではなく、車両制御情報の推論に必要な全ての推論モデルのうちの一部の推論モデルのみをロード可能な容量を有する領域であることを前提とする。
【0025】
車両制御情報推論部17は、上述のとおり、ロード指示部16から推論モデルのロード指示が出力された場合、ロード指示部16から指示された推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする。
また、車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に基づき、ロード指示部16の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルを用いて、自動運転車両100を自動運転させるための車両制御情報を推論する。車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論する際に用いる、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルは、ロード指示部16によって指示されるようにすればよい。これに限らず、車両制御情報推論部17が、直接、現推論モデル決定部142から、当該現推論モデル決定部142が決定した推論モデルの情報を取得するようにしてもよい。
車両制御情報推論部17は、車両制御情報を推論する際、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる位置情報、環境情報、走行計画情報、および、地図情報の全ての情報を使用することを必須とはしない。実施の形態1において、車両関連情報に含まれる位置情報、環境情報、走行計画情報、および、地図情報のうち、車両制御情報推論部17が、車両制御情報を推論する際に使用する情報を、「第2の情報」ともいうものとする。
車両制御情報推論部17は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力する。
【0026】
実施の形態1に係る自動運転制御装置1の動作について説明する。
自動運転制御装置1は、「予測処理」と「推論処理」を行う。「予測処理」では、自動運転制御装置1は、「推論処理」において5秒後に使用する推論モデルを予測する動作を行う。「推論処理」では、自動運転制御装置1は、推論モデルを用いて車両制御情報を推論する動作を行う。
自動運転制御装置1において、「予測処理」と「推論処理」とは並行して行われる。
【0027】
まず、自動運転制御装置1における「予測処理」の動作について説明する。当該「予測処理」は、情報取得部11、類型予測部12、予測推論モデル決定部141、ロード指示部16、および、車両制御情報推論部17によって行われる。
図3は、実施の形態1に係る自動運転制御装置1における「予測処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
情報取得部11は、車両関連情報を取得する(ステップST301)。
情報取得部11は、取得した車両関連情報を、類型予測部12に出力する。
【0028】
類型予測部12は、ステップST301にて情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、5秒後の、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する(ステップST302)。
類型予測部12は、得られた車両挙動の類型を、予測推論モデル決定部141に出力する。
【0029】
予測推論モデル決定部141は、ステップST302にて類型予測部12が予測した車両挙動の類型に基づき、記憶領域にロードすべき推論モデルを決定する(ステップST303)。当該ステップST303において、予測推論モデル決定部141は、類型予測部12が予測した、自動運転車両100の5秒後の車両挙動の類型に対応する推論モデルを決定する。
予測推論モデル決定部141は、決定した推論モデルの情報を、ロード指示部16に出力する。
【0030】
ロード指示部16は、ステップST303にて予測推論モデル決定部141が決定した推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(ステップST304)。
ステップST304において、ロード指示部16が、予測推論モデル決定部141が決定した推論モデルは既に記憶領域にロードされていると判断した場合(ステップST304の“YES”の場合)、ステップST301に戻る。
ステップST304において、ロード指示部16が、予測推論モデル決定部141が決定した推論モデルは記憶領域にロードされていないと判断した場合(ステップST304の“NO”の場合)、ロード指示部16は、ステップST303にて予測推論モデル決定部141が決定した推論モデルを、記憶領域にロードさせる指示を行う。そして、車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする(ステップST305)。その後、ステップST301に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0031】
次に、自動運転制御装置1における「推論処理」の動作について説明する。当該「推論処理」は、情報取得部11、類型判断部13、現推論モデル決定部142、ロード指示部16、および、車両制御情報推論部17によって行われる。
図4は、実施の形態1に係る自動運転制御装置1における「推論処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
情報取得部11は、車両関連情報を取得する(ステップST401)。
情報取得部11は、取得した車両関連情報を、類型判断部13、および、車両制御情報推論部17に出力する。
【0032】
類型判断部13は、ステップST401にて情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、自動運転車両100が現在取るべき車両挙動の類型を判断する(ステップST402)。
類型判断部13は、得られた車両挙動の類型を、現推論モデル決定部142に出力する。
【0033】
現推論モデル決定部142は、ステップST402にて類型判断部13が判断した車両挙動の類型に基づき、車両制御情報推論部17が使用すべき推論モデルを決定する(ステップST403)。当該ステップST403において、現推論モデル決定部142は、類型判断部13が判断した、自動運転車両100が現在取るべき車両挙動の類型に対応する推論モデルを決定する。
現推論モデル決定部142は、決定した推論モデルの情報を、ロード指示部16に出力する。
【0034】
ロード指示部16は、ステップST403にて現推論モデル決定部142が決定した推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(ステップST404)。
ステップST404において、ロード指示部16が、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルは既に記憶領域にロードされていると判断した場合(ステップST404の“YES”の場合)、ステップST406に進む。
【0035】
ステップST404において、ロード指示部16が、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルは記憶領域にロードされていないと判断した場合(ステップST404の“NO”の場合)、ロード指示部16は、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行う。そして、車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする(ステップST405)。
【0036】
車両制御情報推論部17は、ステップST401にて情報取得部11から出力された車両関連情報に基づき、ロード指示部16の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルを用いて車両制御情報を推論する(ステップST406)。
車両制御情報推論部17は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力する。そして、ステップST401に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0037】
図3および
図4を用いて説明した、自動運転制御装置1の動作について、具体例を挙げて説明する。
図5は、実施の形態1において、自動運転制御装置1の動作の具体例を説明するための図である。以下の説明では、一例として、自動運転制御装置1は、自動運転車両100が
図5に示すような地図上の道路を地点Xから地点Yまで向かう自動運転の制御を行うものとする。自動運転車両100は、地点Xから地点Yまでは、交差点Zを一度左折すると到達できる。
図5において、自動運転車両100は三角形で表わされており、自動運転車両100は、経路上の複数の地点を、時刻t_0~t_5に通過するものとする。時刻t_0は、自動運転車両100が走行を開始する地点にあるときの時刻であり、時刻t_1は、自動運転車両100が交差点Zに差し掛かる5秒前の地点にあるときの時刻であり、時刻t_2は、自動運転車両100が交差点Zにて左折を開始する地点にあるときの時刻であるとする。また、時刻t_3は、自動運転車両100が交差点Zにて左折を完了した後、再び直進を開始する地点にあるときの時刻であり、時刻t_4は、自動運転車両100が地点Yにて停止するために減速を開始する地点であり、かつ、自動運転車両100が地点Yにて停止する5秒前の地点にあるときの時刻であるとする。また、時刻t_5は、自動運転車両100が地点Yに到着し停止する時刻であるとする。
【0038】
なお、時刻t_0以前に、自動運転車両100の走行計画部4が、地図情報データベース5が保持する地図情報を用いて、地点Xから、交差点Zにて左折して地点Yに至る経路を決定し、走行計画情報を自動運転制御装置1に出力しているものとする。
また、時刻t_0から時刻t_5までの間、自動運転車両100の位置情報取得部2および環境情報取得部3は、それぞれ、位置情報および環境情報を常時取得し、取得した位置情報および環境情報を、自動運転制御装置1に出力する。
自動運転制御装置1は、車両関連情報を取得する都度、車両制御情報の推定を行い、車両制御部6に出力する。車両制御部6は、自動運転制御装置1から車両制御情報が出力される都度、出力された車両制御情報に基づき、自動運転車両100の運転を制御する。
また、以下の説明では、一例として、第1の情報は、位置情報および走行計画情報であり、第2の情報は、位置情報、環境情報、走行計画情報、および、地図情報であるとする。
【0039】
・時刻t_0のとき
時刻t_0において、自動運転車両100が走行を開始すると、情報取得部11は、車両関連情報を取得する(
図3のステップST301、および、
図4のステップST401参照)。
【0040】
自動運転制御装置1は、「推論処理」で、推論モデルを用いて、自動運転車両100の現在の走行を制御するための車両制御情報を推論する。具体的には、まず、類型判断部13が、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、自動運転車両100が現在取るべき車両挙動の類型を判断する(
図4のステップST402参照)。そして、現推論モデル決定部142は、類型判断部13が判断した車両挙動の類型に対応する推論モデルを決定する(
図4のステップST403参照)。
今、時刻t_0では、自動運転車両100は、地点Xにあり、交差点Zに向かって直進すべきである。従って、類型判断部13は、現在の自動運転車両100は、「道路を直進する」という類型の車両挙動を取るべきと判断し、現推論モデル決定部142は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを決定する。しかし、このとき、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルは、まだ記憶領域にロードされていない(
図4のステップST404の“NO”の場合参照)。そこで、ロード指示部16が、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行い、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、当該推論モデルをロードする(
図4のステップST405参照)。
【0041】
車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を直進させるための車両制御情報を推論する(
図4のステップST406参照)。車両制御情報推論部17は、推論した、自動運転車両100を直進させるための車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により直進する。
【0042】
そして、再び、情報取得部11が、車両関連情報を取得し、t_1まで、上述したような「推論処理」を繰り返す。但し、「道路を直進する」に対応する推論モデルが記憶領域にロードされていれば(
図4のステップST404の“YES”の場合参照)、ロード指示部16は、推論モデルをロードさせる指示は行わない。
【0043】
一方、自動運転制御装置1は、「予測処理」を行い、5秒後に使用する推論モデルを予測する。具体的には、まず、類型予測部12が、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、5秒後の、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する(
図3のステップST302参照)。そして、予測推論モデル決定部141は、類型予測部12が予測した車両挙動の類型に対応する推論モデルを決定する(
図3のステップST303参照)。
時刻t_0では、自動運転車両100は、5秒後も交差点Zに向かって道路を直進するはずである。従って、類型予測部12は、5秒後の自動運転車両100は、「道路を直進する」という類型の車両挙動を取ることを予測し、予測推論モデル決定部141は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを決定する。ここで、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルは、上述のとおり、既に記憶領域にロードされている(
図3のステップST304の“YES”の場合参照)ため、ロード指示部16は、推論モデルをロードさせる指示は行わない。
そして、再び、情報取得部11が、車両関連情報を取得し、時刻t_1まで、上述の動作と同様の動作を繰り返す。
【0044】
なお、ここでは、ロード指示部16が、「予測処理」において「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが記憶領域にロードされているか否かの判断を行うよりも前に、「推論処理」において当該推論モデルが記憶領域にロードされているものとした。しかし、これは一例に過ぎず、例えば、「予測処理」と「推論処理」の処理の順が逆であって、ロード指示部16が、「予測処理」において「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが記憶領域にロードされているか否かの判断を行った時点では、まだ、当該推論モデルが記憶領域にロードされていないものとしてもよい(
図3のステップST304の“NO”の場合参照)。この場合、「予測処理」において、ロード指示部16は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行い、車両制御情報推論部17は、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、当該推論モデルをロードする(
図3のステップST305参照)。
【0045】
図6は、
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置1の動作の具体例の説明において、時刻t_0時点での、記憶領域の状態のイメージを示す図である。なお、ここでは、記憶領域は、それぞれ1つの推論モデルをロード可能な領域として、記憶領域Aと記憶領域Bの2つの領域を有するものとしている。
図6に示すように、時刻t_0の時点では、記憶領域には、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルのみがロードされた状態となる。
【0046】
・時刻t_1のとき
時刻t_1となっても、自動運転車両100はまだ直進すべきであり、「推論処理」の動作は、時刻t_0の場合と同様である。よって、時刻t_1における「推論処理」の具体的な動作については、重複した説明を省略する。
一方、「予測処理」では、類型予測部12は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、5秒後の、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測する(
図3のステップST302参照)。ここで、走行計画情報によれば、時刻t_1の5秒後には、自動運転車両100は、交差点Zを左折することになる。そこで、類型予測部12は、5秒後の自動運転車両100は、「交差点を左折する」という類型の車両挙動を取ることを予測し、予測推論モデル決定部141は、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを決定する。このとき、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルは、まだ記憶領域にロードされていない(
図3のステップST304の“NO”の場合参照)。「推論処理」においても、まだ、「交差点を左折する」という類型の車両挙動を取ることは判断されていない。
そこで、ロード指示部16は、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行い、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、当該推論モデルをロードする(
図3のステップST305参照)。
【0047】
図7は、
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置1の動作の具体例の説明において、時刻t_1時点での、記憶領域の状態のイメージを示す図である。
図7に示すように、時刻t_1の時点では、記憶領域には、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルと、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルがロードされた状態となる。
【0048】
・時刻t_2のとき
時刻t_2になり、「推論処理」において、類型判断部13は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、現在の自動運転車両100の車両挙動の類型を判断する(
図4のステップST402参照)。時刻t_2では、自動運転車両100は、交差点Zを左折すべきである。従って、類型判断部13は、現在の自動運転車両100は、「交差点を左折する」という類型の車両挙動を取るべきと判断し、現推論モデル決定部142は、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを決定する(
図4のステップST403参照)。
今、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルは、既に記憶領域にロードされている(
図4のステップST404の“YES”の場合参照)。そこで、車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を左折させるための車両制御情報を推論する(
図4のステップST406参照)。
「推論処理」において、上述のように、車両制御情報の推論に使用する推論モデルが切り替わった場合、車両制御情報推論部17は、それまで(時刻t_2まで)に使用していた、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域から消去してもよい。なお、これは一例に過ぎず、車両制御情報推論部17は、時刻t_2までに使用していた、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域に残しておくようにしてもよい。
車両制御情報推論部17は、推論した、自動運転車両100に左折させるための車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により交差点Zを左折する。
【0049】
一方、自動運転制御装置1は、「予測処理」を行い、5秒後に使用する推論モデルを予測する。時刻t_2では、5秒後は、地点Yに向かって直進するはずである。従って、類型予測部12は、5秒後の自動運転車両100は、「道路を直進する」という類型の車両挙動を取ることを予測し、予測推論モデル決定部141は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを決定する。
ロード指示部16は、既に記憶領域に「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルがロードされていれば(
図3のステップST304の“YES”の場合参照)、推論モデルをロードさせる指示は行わず、記憶領域に「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルがロードされていなければ(
図3のステップST304の“NO”の場合参照)、当該推論モデルをロードさせる指示を行う。そして、ロード指示部16からの指示を受けて、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルをロードする。
時刻t_1の後、時刻t_2までの間に、「予測処理」において「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルはロードされているはずである。しかし、例えば、時刻t_2の「予測処理」においてロード指示部16が「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが記憶領域にロードされているか否かの判断を行うよりも前に、時刻t_2の「推論処理」において、車両制御情報の推論に用いる推論モデルが「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルに切り替わったことにより、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが記憶領域から消去されていることもあり得る。この場合、ロード指示部16は、時刻t_2の「予測処理」で、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルをロードさせる指示を行うことになる。
時刻t_2の時点での、記憶領域の状態のイメージは、
図7で示したイメージと同様である。
【0050】
なお、上述のとおり、「推論処理」において、車両制御情報の推論に使用する推論モデルが「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルに切り替わり、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域から消去されることがあり得る。
よって、例えば、「予測処理」と「推論処理」の処理の順が逆であって、「予測処理」において記憶領域に「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルをロードさせた後、「推論処理」が行われた場合、時刻t_2の時点で、記憶領域には、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルのみがロードされた状態となり得る(
図8参照)。
【0051】
・時刻t_3のとき
時刻t_3になると、自動運転車両100は、交差点Zの左折を完了し、地点Yに向けて直進すべきである。そこで、「推論処理」において、類型判断部13は、現在の自動運転車両100は、「道路を直進する」という類型の車両挙動を取るべきと判断し(
図4のステップST402参照)、現推論モデル決定部142は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを決定する(
図4のステップST403参照)。
今、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルは、時刻t_3の5秒前の「予測処理」において、既に記憶領域にロードされているはずである。しかし、時刻t_3までに「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが記憶領域から消去されていれば、ロード指示部16からの指示に基づき、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、車両制御情報推論部17が再び当該推論モデルをロードする。
そして、車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を直進させるための車両制御情報を推論する(
図4のステップST406参照)。
上述のとおり、このとき、車両制御情報推論部17は、時刻t_3までに使用した、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域から消去するものとしてもよいし、残しておくようにしてもよい。ここでは、車両制御情報推論部17は、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域から消去するものとする。
車両制御情報推論部17は、推論した、自動運転車両100を直進させるための車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により直進する。
【0052】
一方、自動運転制御装置1は、「予測処理」を行い、5秒後に使用する推論モデルを予測する。時刻t_3では、自動運転制御装置1は、5秒後に使用する推論モデルとして、「道路を直進する」という類型を予測し、当該「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを決定することになるが、記憶領域には、上述の「推論処理」によって既に「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルがロードされている(
図3のステップST304の“YES”の場合参照)。従って、時刻t_3の「予測処理」では、ロード指示部16は、推論モデルをロードさせる指示は行わない。
なお、当該「予測処理」を行った時点で、記憶領域に「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルが消去されていれば、ロード指示部16は、当該推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行う。
時刻t_3の時点での、記憶領域の状態のイメージは、
図6で示したイメージと同様である。
【0053】
・時刻t_4のとき
時刻t_4になると、自動運転車両100は、地点Yにて停止するために減速を開始するべきである。そこで、「推論処理」において、類型判断部13は、現在の自動運転車両100は、「減速する」という類型の車両挙動を取るべきと判断し(
図4のステップST402参照)、現推論モデル決定部142は、「減速する」に対応する推論モデルを決定する(
図4のステップST403参照)。
今、「減速する」という類型に対応する推論モデルは、時刻t_4の5秒前の「予測処理」において、既に記憶領域にロードされているはずである。
そこで、車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、「減速する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を減速させるための車両制御情報を推論する(
図4のステップST406参照)。
このとき、車両制御情報推論部17は、時刻t_4までに使用した、「道路を直進する」に対応する推論モデルを記憶領域から消去するものとしてもよいし、残しておくようにしてもよい。ここでは、車両制御情報推論部17は、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域から消去するものとする。
車両制御情報推論部17は、推論した、自動運転車両100を減速させるための車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により減速する。
【0054】
一方、自動運転制御装置1は、「予測処理」において、5秒後に使用する推論モデルを予測する。時刻t_4では、自動運転制御装置1は、5秒後に使用する推論モデルとして、「停止する」という類型を予測し、当該「停止する」という類型に対応する推論モデルを決定することになるが、記憶領域には、まだ「停止する」という類型に対応する推論モデルはロードされていない(
図3のステップST304の“NO”の場合参照)。従って、ロード指示部16は、「停止する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行い、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域へ、当該推論モデルをロードする(
図4のステップST405参照)。
【0055】
図9は、
図5を用いた実施の形態1に係る自動運転制御装置1の動作の具体例の説明において、時刻t_4時点での、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。
図9に示すように、時刻t_4の時点では、記憶領域には、「減速する」に対応する推論モデルと、「停止する」に対応する推論モデルがロードされた状態となる。
【0056】
・時刻t_5のとき
時刻t_5になると、「推論処理」において、類型判断部13が、現在の自動運転車両100は、「停止する」という類型の車両挙動を取るべきと判断し(
図4のステップST402参照)、現推論モデル決定部142は、「停止する」という類型に対応する推論モデルを決定する(
図4のステップST403参照)。
車両制御情報推論部17は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、「停止する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を停止させるための車両制御情報を推論する(
図4のステップST406参照)。
車両制御情報推論部17は、推論した、自動運転車両100を停止させるための車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により停止する。
【0057】
以上のように、自動運転制御装置1は、「推論処理」と「予測処理」を並行して行う。自動運転制御装置1は、「予測処理」において、後に「推論処理」にて使用される推論モデルを予測して事前に記憶領域にロードさせておくことにより、「推論処理」にて車両制御情報を推論する際に、推論モデルのロードが完了するまでの待ち時間を発生させず、速やかに必要な推論モデルを使用するようにすることができる。そのため、自動運転制御装置1は、推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態に陥らない。例えば、自動運転車両100が取るべき車両挙動が変化し、車両制御情報を推論する際に使用する推論モデルの切り替えが必要になった場合であっても、自動運転制御装置1は、速やかに車両制御情報の推論を行うことができる。
【0058】
図10A,
図10Bは、実施の形態1に係る自動運転制御装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
実施の形態1において、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17の機能は、処理回路1001により実現される。すなわち、自動運転制御装置1は、自動運転車両100を制御するための車両情報制御情報の推論を行うための処理回路1001を備える。
処理回路1001は、
図10Aに示すように専用のハードウェアであっても、
図10Bに示すようにメモリ1007に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1006であってもよい。
【0059】
処理回路1001が専用のハードウェアである場合、処理回路1001は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0060】
処理回路1001がCPU1006の場合、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。すなわち、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17は、HDD(Hard Disk Drive)1002、メモリ1007等に記憶されたプログラムを実行するCPU1006、システムLSI(Large-Scale Integration)等の処理回路により実現される。また、HDD1002、メモリ1007等に記憶されたプログラムは、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ1007とは、例えば、RAM1003、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0061】
なお、情報取得部11と、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、情報取得部11については専用のハードウェアとしての処理回路1001でその機能を実現し、類型予測部12と、類型判断部13と、推論モデル決定部14と、ロード指示部16と、車両制御情報推論部17については処理回路がメモリ1007に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
また、推論モデルデータベース15は、メモリ1007を使用する。なお、これは一例であって、推論モデルデータベース15は、HDD1002、SSD(Solid State Drive)、または、DVD等によって構成されるものであってもよい。
車両制御情報推論部17が有する記憶領域は、例えば、RAM1003で構成される。
また、自動運転制御装置1は、位置情報取得部2、環境情報取得部3、または、走行計画部4等の装置と、有線通信または無線通信を行う入力インタフェース装置1004および出力インタフェース装置1005を備える。
【0062】
以上の実施の形態1では、類型予測部12は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、自動運転車両100の車両挙動の類型を予測し、類型判断部13は、情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、現在の、自動運転車両100の車両挙動の類型を判断するものとした。これに限らず、類型予測部12は、第1の情報に基づき、将来的な、自動運転車両100の周辺環境の類型を予測し、類型判断部13は、第1の情報に基づき、現在の、自動運転車両100の周辺環境の類型を判断するようにしてもよい。周辺環境の類型とは、自動運転車両100の周辺の環境を抽象化した情報であり、例えば、「雨が降っている」、「夜間である」、または、「霧がかかっている」という情報が挙げられる。
【0063】
具体的には、例えば、類型予測部12は、車両関連情報に含まれている環境情報に基づき、「雨が降っている」という周辺環境の類型を予測するようにしてもよい。この場合、予測推論モデル決定部141は、「雨が降っている」という類型に対応する推論モデルを決定する。この場合、推論モデルデータベース15は、少なくとも周辺環境の類型と推論モデルとを対応付けて記憶している。
また、例えば、類型判断部13は、車両関連情報に含まれている環境情報に基づき、「夜間である」という周辺環境の類型を判断するようにしてもよい。この場合、現推論モデル決定部142は、「夜間である」という類型に対応する推論モデルを決定する。
【0064】
以上のように、実施の形態1によれば、自動運転制御装置1は、車両(自動運転車両100)に関する車両関連情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11が取得した車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的な、車両の車両挙動または車両の周辺環境の類型、を予測する類型予測部12と、類型予測部12が予測した類型に基づき、記憶領域にロードすべき推論モデルを決定する予測推論モデル決定部141と、予測推論モデル決定部141が決定した推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行うロード指示部16と、第1の情報に基づき、現在の、車両の車両挙動または車両の周辺環境の類型を判断する類型判断部13と、類型判断部13が判断した類型に対応する推論モデルを決定する現推論モデル決定部142と、情報取得部11が取得した車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、ロード指示部16の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルを用いて、車両を自動運転させるための車両制御情報を推論する車両制御情報推論部17とを備えるように構成した。そのため、推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態を避けるようにすることができる。
【0065】
実施の形態2.
実施の形態2では、自動運転制御装置1が、自動運転車両100の将来的な車両挙動の類型を予測して推論モデルを記憶領域にロードしておき、自動運転車両を実際に制御する際には、ロード済みの推論モデルを用いて車両制御情報を推論する、その他の実施の形態について説明する。
実施の形態2では、自動運転制御装置1は、将来的な、自動運転車両100周辺の状況に起因する車両挙動の類型を予測する。
なお、以下の実施の形態2では、一例として、自動運転車両100周辺の状況を、当該自動運転車両100の周辺の危険度が高い状況とし、自動運転制御装置1は、自動運転車両100周辺の危険度が高い状況ある場合に、当該周辺の状況に起因する車両挙動の類型を予測するものとする。
【0066】
実施の形態2に係る自動運転制御装置1を搭載した自動運転車両100の構成例は、実施の形態1において
図1を用いて説明した構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。但し、実施の形態2では、地図情報データベース5が保持している地図情報には、飛び出し危険度に関する情報(以下「飛び出し危険度情報」という。)が含まれる。
飛び出し危険度は、例えば、地図上の各道路について、人等が急に車道に飛び出してくる危険度を表す数値である。地図情報において、飛び出し危険度情報は、各道路の情報に付与されている。例えば、住宅街の道路は、子供等が飛び出してくる可能性が高いため、当該住宅街の道路の情報には、大きい値の飛び出し危険度情報が付与されている。また、例えば、高速道路の自動車専用道路では歩行者がいないため、当該自動車専用道路の情報には、小さい値の飛び出し危険度情報が付与されている。なお、ここでは、一例として、飛び出し危険度の数値が大きいほど、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高いものとしている。
【0067】
実施の形態2に係る自動運転制御装置1の構成例は、実施の形態1において
図2を用いて説明した構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
また、実施の形態2に係る自動運転制御装置1のハードウェア構成は、実施の形態1において
図10Aおよび
図10Bを用いて説明した構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0068】
自動運転制御装置1は、地図情報データベース5が保持している地図情報に含まれる飛び出し危険度情報に基づき、自動運転車両100周辺が、将来的に、危険度が高い状況になるか否かに応じて、危険度が高い場合には、当該危険度が高い状況に起因する車両挙動の類型を予測し、当該類型に対応する推論モデルを記憶領域へロードしておく。そして、車両制御情報を推論する際には、ロード済みの、危険度が高い状況に起因する車両挙動の類型に対応する推論モデルを用いる。
【0069】
実施の形態2に係る自動運転制御装置1の具体的な動作について説明する。
実施の形態2においても、自動運転制御装置1は、「予測処理」と「推論処理」を行う。自動運転制御装置1において、「予測処理」と「推論処理」とは並行して行われる。
まず、実施の形態2に係る自動運転制御装置1における「予測処理」の具体的な動作について説明する。当該「予測処理」は、情報取得部11、類型予測部12、予測推論モデル決定部141、ロード指示部16、および、車両制御情報推論部17によって行われる。
【0070】
図11は、実施の形態2に係る自動運転制御装置1における「予測処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
情報取得部11は、車両関連情報を取得する(ステップST1101)。
情報取得部11は、取得した車両関連情報を、類型予測部12に出力する。
【0071】
類型予測部12は、ステップST1101にて情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、将来的に、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況になるか否かを予測し、危険度の高い状況になると予測した場合、当該危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型を予測する(ステップST1102)。なお、実施の形態2では、第1の情報は、位置情報および地図情報とする。また、実施の形態2では、危険度の高い状況とは、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況のこととする。また、ここでは、一例として、危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型は、「緊急停止する」という類型とする。当該類型は、衝突が生じるまでに緊急停止するという車両の動きを抽象化したものである。
【0072】
具体的には、まず、類型予測部12は、第1の情報に基づき、現在位置は、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況か否かを予測する。類型予測部12は、例えば、地図情報に含まれる飛び出し危険度情報が、予め設定された閾値以上であれば、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況であると予測する。現在位置が、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況である場合、将来的に、人等が急に車道に飛び出して来て、自動運転車両100周辺が危険な状況になる可能性が高いと予測できる。
なお、ここでは、類型予測部12は、第1の情報に基づき、現在位置が、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況か否かを予測するものとするが、これは一例に過ぎない。例えば、類型予測部12は、第1の情報に基づき、5秒後に自動運転車両100が存在する位置が、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況か否かを予測するようにしてもよい。類型予測部12は、将来的に、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況になるか否かを予測するようになっていればよい。
【0073】
そして、類型予測部12は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況になると予測すると、当該危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型を予測する(ステップST1102の“YES”の場合)。具体的には、類型予測部12は、人等が急に車道に飛び出して来て危険度が高い状況に起因する車両挙動の類型として、「緊急停止する」という類型を予測する。類型予測部12は、予測して得た、「緊急停止する」という類型の情報を、予測推論モデル決定部141に出力する。
【0074】
一方、類型予測部12は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況にならないと予測すると(ステップST1102の“NO”の場合)、ステップST1101に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0075】
ステップST1103において、予測推論モデル決定部141は、ステップST1102にて類型予測部12が予測した類型に基づき、記憶領域にロードすべき推論モデルを決定する。具体的には、予測推論モデル決定部141は、推論モデルデータベース15を参照し、類型予測部12が予測した、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、記憶領域にロードすべき推論モデルに決定する(ステップST1103)。
予測推論モデル決定部141は、決定した推論モデルの情報を、ロード指示部16に出力する。
【0076】
ロード指示部16は、ステップST1103にて予測推論モデル決定部141が決定した類型に対応する推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(ステップST1104)。具体的には、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する。
ステップST1104において、ロード指示部16が、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは既に記憶領域にロードされていると判断した場合(ステップST1104の“YES”の場合)、ステップST1101に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0077】
ステップST1104において、ロード指示部16が、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域にロードされていないと判断した場合(ステップST1104の“NO”の場合)、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、記憶領域にロードさせる指示を行う。車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする(ステップST1105)。そして、ステップST1101に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0078】
次に、自動運転制御装置1における「推論処理」の動作について説明する。当該「推論処理」は、情報取得部11、類型判断部13、現推論モデル決定部142、ロード指示部16、および、車両制御情報推論部17によって行われる。
図12は、実施の形態2に係る自動運転制御装置1における「推論処理」の動作を説明するためのフローチャートである。
情報取得部11は、車両関連情報を取得する(ステップST1201)。
情報取得部11は、取得した車両関連情報を、類型判断部13、および、車両制御情報推論部17に出力する。
【0079】
類型判断部13は、ステップST1201にて情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、現在、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況であるか否かを判断し、危険度の高い状況であると判断した場合、当該危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型を判断する(ステップST1202)。なお、実施の形態2では、第2の情報は、環境情報とする。
具体的には、まず、類型判断部13は、第2の情報に基づき、現在、人等が急に車道に飛び出して来て危険度が高い状況か否かを判断する。類型判断部13は、例えば、環境情報から、人等の飛び出しを検知した場合、類型判断部13は、現在、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況であると判断する。
そして、類型判断部13は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況であると判断すると、当該危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型を判断する(ステップST1202の“YES”の場合)。具体的には、類型判断部13は、人等が急に車道に飛び出して来て危険度が高い状況に起因する車両挙動の類型として、「緊急停止する」という類型を判断する。類型判断部13は、判断して得た、「緊急停止する」という類型の情報を、現推論モデル決定部142に出力し、ステップST1203に進む。
【0080】
一方、類型判断部13は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況ではないと判断すると(ステップST1202の“NO”の場合)、ステップST1207に進む。
ステップST1207では、車両制御情報推論部17が、別途ロード済みの何らかの推論モデルを用いて車両制御情報を推論する。具体的には、例えば、実施の形態1において、
図4のステップST402~ステップST406で説明したような動作を行い、類型判断部13が、現在の車両挙動の類型を判断し、現推論モデル決定部142が、当該類型に対応する推論モデルを決定する。そして、車両制御情報推論部17は、ロード指示部16の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、現推論モデル決定部142が決定した推論モデルを用いて、車両制御情報を推論する。例えば、走行計画を用いて、車両挙動の類型を事前に予測することができれば、車両制御情報推論部17が当該車両挙動の類型を事前に記憶領域にロードしておき、ロード済みの推論モデルを用いて、車両制御情報を推論する。
【0081】
図12のフローチャートに戻る。
ステップST1203において、現推論モデル決定部142は、ステップST1202にて類型判断部13が判断した車両挙動の類型に基づき、車両制御情報推論部17が使用すべき推論モデルを決定する(ステップST1203)。当該ステップST1203において、現推論モデル決定部142は、自動運転車両100が現在取るべき車両挙動の類型に対応した推論モデルを決定する。ここでは、現推論モデル決定部142は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを決定する。
現推論モデル決定部142は、決定した推論モデルの情報を、ロード指示部16に出力する。
ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(ステップST1204)。
ステップST1204において、ロード指示部16が、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは既に記憶領域にロードされていると判断した場合(ステップST1204の“YES”の場合)、ステップST1206に進む。
【0082】
ステップST1204において、ロード指示部16が、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域にロードされていないと判断した場合(ステップST1204の“NO”の場合)、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを記憶領域にロードさせる指示を行う。そして、車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする(ステップST1205)。
【0083】
車両制御情報推論部17は、ステップST1201にて情報取得部11から出力された車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、ロード指示部16の指示によって記憶領域にロード済みの推論モデルのうち、現推論モデル決定部142が決定した、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を緊急停止させるための車両制御情報を推論する(ステップST1206)。
車両制御情報推論部17は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力する。そして、ステップST1201に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0084】
図11および
図12を用いて説明した、実施の形態2に係る自動運転制御装置1の動作について、具体例を挙げて説明する。ここでは、実施の形態1同様、自動運転車両100が、
図5に示すような地図上の道路をある地点Xからある地点Yまで向かう自動運転、の制御を行うものとする。また、ここでは、地点Xから交差点Zまでの区間の道路は、人等の飛び出しがほとんどない道路であって、地図情報には、小さい値の飛び出し危険度情報が付与されているとする。交差点Zから地点Yまでの区間の道路は、人等の飛び出しが多い道路であって、地図情報には、大きい値の飛び出し危険度情報が付与されているとする。
【0085】
・時刻t_0~t_2の間
自動運転車両100が走行を開始し、情報取得部11は、車両関連情報を取得する(
図11のステップST1101、および、
図12のステップST1201参照)。
「予測処理」において、類型予測部12は、車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、現在位置は、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況か否かを予測し、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況であれば、「緊急停止する」という車両挙動の類型を予測する(
図11のステップST1102参照)。
時刻t_0~t_2の間(地点Xから交差点Zまでの区間)は、飛び出し危険度が低い区間であるため、類型予測部12は、人等が急に車道に飛び出してくる危険度は高くないと予測する(
図11のステップST1102の“NO”の場合参照)。その結果、類型予測部12による、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高いか否かの予測以降の処理は行われない。
【0086】
「推論処理」では、類型判断部13が、車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、人等が急に車道に飛び出して来て危険度が高い状況か否かを判断する(
図12のステップST1202)。地点Xから交差点Zまでの区間は飛び出し危険度が低い区間であるため、人等が飛び出してくる可能性が低い。よって、ここでは、類型判断部13は、人等が飛び出して来ていないと判断するものとする(
図12のステップST1202の“NO”の場合参照)。
そして、車両制御情報推論部17は、別途ロード済みの何らかの推論モデルを用いて車両制御情報を推論する。
車両制御情報推論部17は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により動作する。
【0087】
図13は、
図5を用いた、実施の形態2に係る自動運転制御装置1の動作の具体例の説明において、時刻t_0~t_2の間の、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。なお、ここでは、記憶領域は、記憶領域Aと記憶領域Bの2つの領域を有するものとしている。また、
図13では、便宜上、車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論する際に使用する何らかの推論モデルを、「推論モデルW」としている。推論モデルWは、実施の形態1において
図4のステップST402~ステップST406で説明したような動作を行った結果ロードされた推論モデルであるとする。
図13に示すように、時刻t_0~t_2の間は、記憶領域には、推論モデルWがロードされ、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルはロードされていない状態となる。
【0088】
・時刻t_3~t_5の間
情報取得部11は、車両関連情報を取得する(
図11のステップST1101、および、
図12のステップST1201参照)。
「予測処理」において、類型予測部12は、車両関連情報に含まれる第1の情報に基づき、現在位置は、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高いか状況否かを予測し、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況であれば、「緊急停止する」という車両挙動の類型を予測する(
図11のステップST1102参照)。
時刻t_3~t_5の間(交差点Zから地点Yまでの区間)は、飛び出し危険度が高い区間であるため、類型予測部12は、人等が急に車道に飛び出してくる危険度は高い状況であると予測し、「緊急停止する」という車両挙動の類型を予測する(
図11のステップST1102の“YES”の場合参照)。
そして、予測推論モデル決定部141は、記憶領域に、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを決定し(
図11のステップST1103参照)、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(
図11のステップST1104参照)。
記憶領域には、まだ、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルはロードされていないので(
図11のステップST1104の“NO”の場合参照)、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、記憶領域にロードさせる指示を行う。車両制御情報推論部17は、ロード指示部16から指示された、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、推論モデルデータベース15から記憶領域にロードする(
図11のステップST1105参照)。
【0089】
「推論処理」では、類型判断部13が、車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、人等が急に車道に飛び出して来て危険度が高い状況か否かを判断する(
図12のステップST1202)。交差点Zから地点Yまでの区間は飛び出し危険度が高い区間であるため、人等が飛び出してくる可能性が高い。よって、ここでは、類型判断部13は、人等が飛び出してきたと判断するものとする(
図12のステップST1202の“YES”の場合参照)。
現推論モデル決定部142は、記憶領域に、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルをロードすべきと決定し(
図12のステップST1203参照)、ロード指示部16は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルが、既に記憶領域にロードされているか否かを判断する(ステップST1204参照)。
既に、「予測処理」にて「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域にロードされているので(
図12のステップST1204の“YES”の場合参照)、車両制御情報推論部17は、車両関連情報に含まれる第2の情報に基づき、記憶領域にロード済みの、現推論モデル決定部142が決定した、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を緊急停止させるための車両制御情報を推論する(
図12のステップST1206参照)。
車両制御情報推論部17は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力する。自動運転車両100は、車両制御部6の制御により緊急停止する。
【0090】
図14は、
図5を用いた、実施の形態2に係る自動運転制御装置1の動作の具体例の説明において、時刻t_3~t_5の間の、記憶領域の状態のイメージの一例を示す図である。なお、ここでは、記憶領域は、記憶領域Aと記憶領域Bの2つの領域を有するものとしている。
図14に示すように、時刻t_3~t_5の間は、記憶領域は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルがロードされた状態が保たれる。
なお、
図14では、記憶領域Bは空きとしているが、「推論処理」において、人等の飛び出しがなかった場合(
図12のステップST1202の“NO”の場合参照)は、別途何らかの推論モデルがロードされていることもあり得る(
図12のステップST1207参照)。
【0091】
以上のように、自動運転制御装置1は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況となり得る区間においては、記憶領域上に「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを事前にロードしておくことができる。そのため、自動運転制御装置1は、実際に人等の飛び出しがあった場合に、既にロード済みの、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを用いて、自動運転車両100を緊急停止させるための車両制御情報を速やかに推論することができる。
自動運転制御装置1において、以上の実施の形態2で説明したような構成を採用しておらず、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況となり得る区間においても「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを事前にはロードしない場合、人等の飛び出しが発生しても、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルは記憶領域にロードされていない。従って、自動運転制御装置1は、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルの、記憶領域へのロードの完了を待ってから、自動運転車両100を緊急停止させるための車両制御情報を推論することになる。「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルをロードしている間は、自動運転車両100に対して緊急停止させる制御を行うことができないため、自動運転車両100が、飛び出してきた人等と接触する可能性が高くなる。
【0092】
なお、以上の実施の形態2において、自動運転制御装置1は、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況になり得るか否かの予測は行わず、「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを、常時記憶領域にロードしておくようにしてもよい。この場合、記憶領域は、3つの推論モデルを記憶できる容量の領域であることが望ましい。「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルを常時記憶領域にロードしておくようにすると、人等の飛び出しが少ない、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況となり得る可能性の低い区間においても、記憶領域には「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルが常時ロードされていることになるため、記憶領域を無用に使用してしまうという可能性はある。しかし、実際に自動運転車両100において人等の飛び出しが発生してから「緊急停止する」という類型に対応する推論モデルをロードしなくてはならないという事態を、いかなる場合においても避けられるため、自動運転車両100に対して、実際に人等の飛び出しが発生した場合の緊急停止を、常時、速やかに行わせることができる。
【0093】
また、以上の実施の形態2では、危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型は、「緊急停止する」という類型としたが、これは一例に過ぎず、危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型は、例えば、「衝突を回避する」という類型としてもよい。当該類型は、他車両との衝突を回避するという車両の動きを抽象化したものである。危険度の高い状況に起因する車両挙動の類型は、自動運転車両100周辺の危険度が高い状況である場合に、当該危険度が高い状況を回避する車両の動きを抽象化したものであればよい。
【0094】
また、以上の実施の形態2では、危険度の高い状況とは、人等が急に車道に飛び出してくる危険度が高い状況のこととしたが、これは一例に過ぎない。自動運転車両100周辺の危険度が高い状況は適宜設定可能であり、自動運転制御装置1が、車両関連情報から当該危険度が高い状況か否かを予測または判断できるようになっていればよい。
【0095】
また、以上の実施の形態2の「予測処理」において、以上で説明した動作に加えて、実施の形態1で説明したような「予測処理」を行うようにしてもよい。
【0096】
以上のように、実施の形態2によれば、自動運転制御装置1において、第1の情報は、飛び出し危険度に関する情報であり、類型予測部12は、飛び出し危険度に関する情報に基づき、将来的な、車両(自動運転車両100)の車両挙動または車両の周辺環境の類型を予測するようにした。そのため、自動運転車両100周辺が危険度の高い状況になった場合に、推論モデルのロードが完了するまでの待ち時間を発生させず、速やかに必要な推論モデルを使用するようにすることができる。その結果、推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態を避けるようにすることができる。
【0097】
実施の形態3.
実施の形態1では、自動運転制御装置1は、推論した車両制御情報を、車両制御部6に出力するようにしていた。
実施の形態3では、自動運転制御装置1が、さらに、運転者等の自動運転車両100の搭乗者(以下単に「搭乗者」という。)に対して、車両制御情報を推論する際に使用した推論モデルに関する情報等を通知する実施の形態について説明する。
【0098】
実施の形態3に係る自動運転制御装置1を搭載した自動運転車両100の構成例は、実施の形態1において
図1を用いて説明した構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0099】
図15は、実施の形態3に係る自動運転制御装置1aの構成例を示す図である。
図15において、
図2を用いて説明した、実施の形態1に係る自動運転制御装置1と同様の構成については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
自動運転制御装置1aは、実施の形態1に係る自動運転制御装置1とは、通知制御部18を備える点が異なる。
【0100】
通知制御部18は、車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論するために用いた推論モデルに関する情報(以下「第1の通知情報」という。)を出力する。第1の通知情報は、自動運転車両100が、どのような推論モデルに基づいて制御されているかを通知するものである。具体的には、通知制御部18は、第1の通知情報を、自動運転車両100が搭載している表示装置(図示省略)等に出力する。例えば、車両制御情報推論部17が、「道路を直進する」という類型に対応する推論モデルを用いて車両制御情報を推論した場合、通知制御部18は、第1の通知情報として、「直進モードです」等のメッセージを、表示装置に表示させる。また、例えば、車両制御情報推論部17が、「交差点を左折する」という類型に対応する推論モデルを用いて車両制御情報を推論した場合、通知制御部18は、第1の通知情報として、「左折モードです」等のメッセージを、表示装置に表示させる。
通知制御部18は、第1の通知情報を、自動運転車両100が搭載している音声出力装置(図示省略)に出力してもよい。例えば、上述した例でいうと、通知制御部18は、第1の通知情報として、「直進モードです」、または、「左折モードです」等の音声を、音声出力装置から出力させる。
なお、上述した第1の通知情報の内容は一例に過ぎず、第1の通知情報の内容は、出力された第1の通知情報を認識した搭乗者が、自動運転車両100がどのような推論モデルに基づいて制御されているのかを把握できるようになっていればよい。
【0101】
自動運転制御装置1aにおいて、通知制御部18が第1の通知情報をどのような方法で出力するかは、適宜決定すればよい。例えば、予め、推論モデルデータベース15が、推論モデルと対応付けて第1の通知情報を記憶しておくようにすればよい。この場合、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域に推論モデルをロードする際、第1の通知情報もあわせてロードするようにし、ロードした第1の通知情報を通知制御部18に通知する。通知制御部18は、車両制御情報推論部17から通知された第1の通知情報を出力する。
また、例えば、通知制御部18が、予め記憶されている変換情報に基づいて、第1の通知情報を生成するようにしてもよい。変換情報は、例えば、推論モデルのIDと第1の通知情報とが紐付けられた情報である。例えば、車両制御情報推論部17が、推論モデルデータベース15から記憶領域に推論モデルをロードする際、推論モデルのIDもあわせてロードするようにし、ロードしたIDを通知制御部18に通知する。なお、推論モデルデータベース15では、推論モデルにIDが付与されているものとする。通知制御部18は、車両制御情報推論部17から通知されたIDに基づき、変換情報を参照して、第1の通知情報を生成し、生成した第1の通知情報を出力する。
【0102】
このように、通知制御部18が第1の通知情報を出力することで、搭乗者は、出力された第1の通知情報に基づき、自動運転車両100に対して、どのような制御が行われようとしているのかを把握することができる。その結果、搭乗者が、自動運転車両100がどのように制御されているかわからないという事態を避けることができる。この場合、搭乗者の不安が軽減される。
具体例を挙げると、例えば、実施の形態1において
図5を用いて説明した例のように、自動運転車両100が、地点Xから地点Yまで走行するとする。この場合、地点Xから交差点Zまでは、通知制御部18が第1の通知情報を出力させることで、搭乗者は、自動運転車両100に対して道路を直進する制御が行われていることを把握することができる。また、搭乗者は、交差点Zでは、自動運転車両100に対して交差点を左折する制御が行われ、交差点Zから地点Yまでは、自動運転車両100に対して道路を直進する制御が行われていることを把握することができる。
【0103】
また、通知制御部18は、情報取得部11が取得した車両関連情報に基づく通知情報(以下「第2の通知情報」という。)を通知するようにしてもよい。具体的には、通知制御部18は、第2の通知情報を、自動運転車両100が搭載している表示装置等に出力する。例えば、通知制御部18は、車両関連情報に含まれている環境情報に基づき、第2の通知情報として、「右側に車両があります」または「周辺に歩行者が2人います」等、自動運転車両100の周辺に存在する歩行者または他車両の位置または数を通知するメッセージを、表示装置に表示させる。また、例えば、通知制御部18は、車両関連情報に含まれている環境情報に基づき、第2の通知情報として、「右側に車両があります」または「周辺に歩行者が2人います」等の音声を、音声出力装置から出力させる。
上述の例では、通知制御部18は、車両関連情報に含まれている環境情報に基づき、第2の通知情報を出力するものとしたが、これは一例に過ぎない。通知制御部18は、車両関連情報に含まれている走行計画情報または地図情報等から第2の通知情報を出力してもよい。
【0104】
自動運転制御装置1aにおいて、通知制御部18が第2の通知情報をどのような方法で出力するかは、適宜決定すればよい。例えば、通知制御部18は、予め決められたルールに基づき、車両関連情報から第2の通知情報を生成して出力するようにすればよい。また、情報取得部11が予め決められたルールに基づき、車両関連情報から第2の通知情報を生成して通知制御部18に通知し、通知制御部18は情報取得部11から通知された第2の通知情報を出力するようにしてもよい。
【0105】
このように、通知制御部18が第2の通知情報を出力させることで、搭乗者は、自動運転車両100がどのような情報に基づき制御されているかを把握することができる。その結果、搭乗者が、自動運転車両100がどのように制御されているかわからないという事態を避けることができる。この場合、搭乗者の不安が軽減される。
具体例を挙げると、例えば、通知制御部18が、「周辺に歩行者が2人います」との第2の通知情報を出力させることで、搭乗者は、自動運転車両100が、回避すべき歩行者を認識していることを把握することができる。
【0106】
なお、通知制御部18は、通知情報または車両関連情報のいずれかを出力させるようにしてもよいし、通知情報および車両関連情報の両方を出力させるようにしてもよい。
【0107】
実施の形態3に係る自動運転制御装置1aのハードウェア構成は、実施の形態1において
図10Aおよび
図10Bを用いて説明した構成例と同様であるため、重複した説明を省略する。
通知制御部18は、情報取得部11、類型予測部12、類型判断部13、推論モデル決定部14、ロード指示部16、および、車両制御情報推論部17と同様のハードウェア構成を有する。
【0108】
実施の形態3に係る自動運転制御装置1aの動作について説明する。
実施の形態3に係る自動運転制御装置1aにおいても、「予測処理」と「推論処理」が並行して行われる。
自動運転制御装置1aにおける「予測処理」の動作は、実施の形態1において
図3を用いて説明した動作と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0109】
自動運転制御装置1aにおける「推論処理」の動作は、実施の形態1において
図4を用いて説明した動作の、ステップST406の後に、通知制御部18が、車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論するために用いた推論モデルに関する情報を通知する動作が加わる。このとき、通知制御部18は、情報取得部11が取得した車両関連情報を通知するようにしてもよい。また、通知制御部18は、推論モデルに関する情報を通知する動作に代えて、車両関連情報を通知する動作を行うようにしてもよい。
その他の動作については、実施の形態1において
図4を用いて説明した動作と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0110】
以上のように、実施の形態3によれば、自動運転制御装置1aは、実施の形態1に係る自動運転制御装置1の構成に加え、車両制御情報推論部17が車両制御情報を推論するために用いた推論モデルに関する第1の通知情報、または、情報取得部11が取得した車両関連情報に基づく第2の通知情報を出力する通知制御部18を備えるように構成した。そのため、搭乗者が、自動運転車両100がどのように制御されているかわからないという事態を避けることができる。この場合、搭乗者の不安が軽減される。
【0111】
また、以上の実施の形態1~3では、自動運転制御装置1,1aは、自動運転車両100に搭載される車載装置とし、情報取得部11、類型予測部12、類型判断部13、推論モデル決定部14、推論モデルデータベース15、ロード指示部16、車両制御情報推論部17、および、通知制御部18は、自動運転制御装置1,1aに備えられているものとした。
これに限らず、情報取得部11、類型予測部12、類型判断部13、推論モデル決定部14、推論モデルデータベース15、ロード指示部16、車両制御情報推論部17、または、通知制御部18のうち、一部を自動運転車両100に搭載される車載装置に備えられるものとし、その他を当該車載装置とネットワークを介して接続されるサーバに備えられるものとして、車載装置とサーバとで自動運転制御システムを構成するようにしてもよい。
【0112】
図16は、
図2を用いて説明した実施の形態1,2に係る自動運転制御装置1の構成部の一部が車載装置200に備えられ、その他がサーバ300に備えられるようにした自動運転制御システムの構成例を示す図である。
図16に一例として示すような自動運転制御システムでは、実施の形態1,2で説明した自動運転制御装置1が備える情報取得部11の機能は、車載装置200およびサーバ300の両方に備えられる。
図16では、車載装置200が備える情報取得部を第1の情報取得部11a、サーバ300が備える情報取得部を第2の情報取得部11bとしている。
図16に示すような自動運転制御システムでは、第2の情報取得部11bは、位置情報取得部2、環境情報取得部3、走行計画部4、および、地図情報データベース5から、ネットワークを介して、車両関連情報を取得する。
【0113】
なお、
図16に示す自動運転制御システムでは、位置情報取得部2、環境情報取得部3、走行計画部4、地図情報データベース5、および、車両制御部6は、自動運転車両100に搭載されるものとしているが、これに限らず、位置情報取得部2、環境情報取得部3、走行計画部4、地図情報データベース5、および、車両制御部6は、サーバ300に搭載されるものとしてもよい。
【0114】
また、
図16は、一例として、自動運転制御システムに、実施の形態1,2に係る自動運転制御装置1を適用させているが、当該自動運転制御システムに、実施の形態3に係る自動運転制御装置1aを適用させてもよい。自動運転制御システムに、実施の形態3に係る自動運転制御装置1aを適用させた場合、
図16に示すような構成例において、通知制御部18が、サーバ300に備えられる。
【0115】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
この発明に係る自動運転制御装置は、学習結果である推論モデルを使用できないことにより車両制御情報の推論が行えないという事態を避けることができるように構成したため、車両の自動制御を行う自動運転制御装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1,1a 自動運転制御装置、2 位置情報取得部、3 環境情報取得部、4 走行計画部、5 地図情報データベース、6 車両制御部、11 情報取得部、11a 第1の情報取得部、11b 第2の情報取得部、12 類型予測部、13 類型判断部、14 推論モデル決定部、15 推論モデルデータベース、16 ロード指示部、17 車両制御情報推論部、18 通知制御部、100 自動運転車両、200 車載装置、300 サーバ、1001 処理回路、1002 HDD、1003 RAM、1004 入力インタフェース装置、1005 出力インタフェース装置、1006 CPU、1007 メモリ。