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特許7186817灯火制御システム、端末装置、制御装置、灯火制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】灯火制御システム、端末装置、制御装置、灯火制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/175 20200101AFI20221202BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20221202BHJP
   F21S 2/00 20160101ALN20221202BHJP
【FI】
H05B47/175
H05B47/105
F21S2/00 664
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021041466
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141247
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】商 立威
(72)【発明者】
【氏名】三木 智美
(72)【発明者】
【氏名】市川 博則
(72)【発明者】
【氏名】粂田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】寺田 佳史
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110722(JP,A)
【文献】特開2016-178014(JP,A)
【文献】特開2001-119766(JP,A)
【文献】特開2020-057483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯火設備と当該灯火設備を制御するコントローラとを備える空港の前記灯火設備を制御する灯火制御システムであって、
通信ネットワークに接続可能な端末装置と、
前記通信ネットワークと前記コントローラとの間に設けられる制御装置とを具備し、
前記端末装置は、
前記灯火設備の制御を要求するための制御信号を前記通信ネットワークを介して前記制御装置に送信する送信部を備え、
前記制御装置は、
前記灯火設備の操作権を前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えるかを前記空港の側で決定するための操作権設定部と、
前記端末装置から送信された前記制御信号を前記通信ネットワークを介して受信する受信部と、
前記操作権が前記端末装置に与えられている状態で前記制御信号が受信された場合に、当該制御信号に基づく前記灯火設備への制御を前記コントローラに指示する指示部とを備える、灯火制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、消灯を要求された場合に、前記灯火設備を一括で消灯する、請求項1に記載の灯火制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、点灯を要求された場合の前記灯火設備への制御内容を予め記録した設定情報を記憶する記憶部を備え、
当該コントローラは、前記点灯を要求された場合に、前記設定情報に基づいて前記灯火設備を点灯する、請求項1に記載の灯火制御システム。
【請求項4】
前記指示部は、前記操作権が前記コントローラに与えられている場合に、前記端末装置からの灯火設備への制御の要求を拒否する、請求項1に記載の灯火制御システム。
【請求項5】
前記端末装置は、
GUI(Graphical User Interface)画面を表示する表示部と、
前記表示部にGUI環境を形成し、前記灯火設備を点灯または消灯するためのボタンを前記GUI画面に表示する表示制御部とをさらに備え、
前記送信部は、前記GUI環境を介して与えられた操作に基づく制御信号を送信する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の灯火制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記操作権が前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えられたかを前記端末装置に通知し、
前記表示制御部は、前記制御装置からの通知に基づいて、前記操作権が前記端末装置または前記コントローラのいずれにあるかを前記GUI画面に表示する、請求項5に記載の灯火制御システム。
【請求項7】
前記端末装置は、前記コントローラとの通信状態を確認する確認部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記確認された通信状態を前記GUI画面に表示する、請求項5に記載の灯火制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記制御信号に基づく前記灯火設備への制御の正常終了を前記端末装置に通知し、
前記表示制御部は、前記制御装置からの通知に基づいて、前記灯火設備への制御の正常終了を前記GUI画面に表示する、請求項5に記載の灯火制御システム。
【請求項9】
灯火設備を備える空港の前記灯火設備を制御する灯火制御システムに設けられる端末装置であって、
通信ネットワークに接続可能な通信部と、
前記通信ネットワークと前記空港において前記灯火設備を制御するコントローラとの間に設けられる制御装置に、前記灯火設備の制御を要求するための制御信号を前記通信ネットワークを介して送信する送信部と
GUI(Graphical User Interface)画面を表示する表示部と、
前記表示部にGUI環境を形成し、前記灯火設備を点灯または消灯するためのボタンを前記GUI画面に表示する表示制御部とを備え、
前記送信部は、前記GUI環境を介して与えられた操作に基づく制御信号を送信し、
前記表示制御部は、前記制御装置からの通知に基づいて、前記灯火設備の操作権が前記端末装置または前記コントローラのいずれにあるかを前記GUI画面に表示する、端末装置。
【請求項10】
前記コントローラとの通信状態を確認する確認部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記確認された通信状態を前記GUI画面に表示する、請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
灯火設備と当該灯火設備を制御するコントローラとを備える空港に設けられる制御装置であって、
通信ネットワークに接続された端末装置から送信された制御信号を前記通信ネットワークを介して受信する受信部と、
前記灯火設備の操作権を前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えるかを前記空港の側で決定するための操作権設定部と、
前記操作権が前記端末装置に与えられている状態で前記制御信号が受信された場合に、当該制御信号に基づく前記灯火設備への制御を前記コントローラに指示する指示部とを備える、制御装置。
【請求項12】
前記指示部は、前記操作権が前記コントローラに与えられている場合に、前記端末装置からの灯火設備への制御の要求を拒否する、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記操作権が前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えられたかを前記端末装置に通知する、請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
灯火設備と当該灯火設備を制御するコントローラとを備える空港の前記灯火設備を、通信ネットワークを介して端末装置から制御する灯火制御方法であって、
前記通信ネットワークと前記コントローラとの間に設けられる制御装置が、前記空港の側の管理者による、前記灯火設備の操作権を前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えるかの決定を受け付けることと、
前記端末装置が、前記灯火設備の制御を要求するための制御信号を前記通信ネットワークを介して前記制御装置に送信することと、
前記制御装置が、前記端末装置から送信された前記制御信号を前記通信ネットワークを介して受信することと、
前記操作権が前記端末装置に与えられている状態で前記制御信号を受信した場合に、前記制御装置が、当該制御信号に基づく前記灯火設備への制御を前記コントローラに指示することとを具備する、灯火制御方法。
【請求項15】
灯火設備と当該灯火設備を制御するコントローラとを備える空港に設けられる制御装置のプロセッサに、通信ネットワークに接続された端末装置から送信された制御信号を前記通信ネットワークを介して受信させる命令と、
前記プロセッサに、前記灯火設備の操作権を前記端末装置または前記コントローラのいずれに与えるかを前記空港の側で決定させる命令と、
前記プロセッサに、前記操作権が前記端末装置に与えられている状態で前記制御信号が受信された場合に、当該制御信号に基づく前記灯火設備への制御を前記コントローラに指示させる命令とを含む、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、灯火制御システム、端末装置、制御装置、灯火制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港には、例えば滑走路、誘導路、あるいはエプロンに沿って配設される誘導灯や、航空機の降下角により見え方の異なる指示灯など、多種多様な灯火がある。空港の規模に応じて、使用される灯火もさまざまである。これらを制御する灯火制御システムは、航空機を安全に運航するために、大変重要な設備である。
【0003】
空港には、ハブ空港のように大規模なものから、地方の中規模空港、島しょなどの小規模空港に至るまで大小さまざまな規模がある。大きな空港には管理者が24時間体制で常駐していることが多いが、小さな空港では離発着の機会もそれほど多くないので、空港運営者としては効率的に空港管理者を配置運用したいという希望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-144881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、例えば、航空機の緊急時においては、その航空機の発着に小規模空港を利用する可能性があり、その小規模空港にて安心安全な誘導をタイムリーに行うことが望ましく、空港運営者にとってこの点も考慮すべきところである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決すべく、遠隔からの空港の灯火制御を可能とする灯火制御システム、端末装置、制御装置、灯火制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、灯火制御システムは、灯火設備と当該灯火設備を制御するコントローラとを備える空港の灯火設備を制御する。この灯火制御システムは、通信ネットワークに接続可能な端末装置と、通信ネットワークとコントローラとの間に設けられる制御装置とを具備する。端末装置は、送信部を備える。送信部は、灯火設備の制御を要求するための制御信号を通信ネットワークを介して制御装置に送信する。制御装置は、操作権設定部と、受信部と、指示部とを備える。操作権設定部は、灯火設備の操作権を端末装置またはコントローラのいずれに与えるかをサイト空港の側で決定する。受信部は、端末装置から送信された制御信号を通信ネットワークを介して受信する。指示部は、操作権が端末装置に与えられている状態で制御信号が受信された場合に、当該制御信号に基づく灯火設備への制御をコントローラに指示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係わる灯火制御システムの一例を示す図である。
図2図2は、設定情報6aに登録される内容の一例を示す図である。
図3図3は、端末装置1の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、端末装置1の表示部13に表示される操作画面の一例を示す図である。
図5図5は、制御装置3の一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、端末装置1、制御装置3、およびコントローラ5における処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、表示部13の操作画面の一例を示す図である。
図8図8は、[遠隔モード]における表示部13の操作画面の一例を示す図である。
図9図9は、[遠隔モード]における操作の一例を示す図である。
図10図10は、灯火設備が一括点灯されたことを示す図である。
図11図11は、端末装置1からの灯火制御が正常終了した場合の表示部13の操作画面の一例を示す図である。
図12図12は、伝送異常が検知された場合の表示部13のGUI画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係わる灯火制御システムの一例を示す図である。灯火制御システムは、メイン空港と、メイン空港の配下となるサイト空港とを、通信ネットワーク2を介して通信可能に接続したシステムである。実施形態では、通信ネットワーク2としてインターネットに形成された専用通信回線、いわゆるVPN(Virtual Private Network)を想定する。もちろん、専用線網や他の形式の通信ネットワークでも同様に適用できる。また、サイト空港としてA,B,Cの3つを想定するが、サイト空港が1つだけのケースや、2つ、あるいは4以上のケースにも同様に適用できる。
【0011】
メイン空港は、専用の端末装置又は汎用のノートパソコン(ノートPC)タイプ等の端末装置1と、端末装置1を通信ネットワーク2に接続するルータRとを備える。サイト空港A,B,Cは、それぞれ制御装置3と、制御装置3を通信ネットワーク2に接続するルータRとを備える。制御装置3はさらに、操作権回路4と、コントローラ5とに接続される。操作権回路4は、1ビットの状態を区別でき、例えば、物理スイッチによる指示入力により、サイト空港での操作権を維持したまま、メイン空港側に操作権を持たせることを許可することを設定するための電気回路である。またさらに、操作権回路4は、メイン空港側かサイト空港側のいずれかに操作権を持たせるかをも設定することもできる電気回路である。
【0012】
コントローラ5は、各サイト空港における灯火設備7を制御する。コントローラ5は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であり、灯火設備7の工事とともに設置される、既設の装置である。コントローラ5は、記憶部6を備える。記憶部6は、それぞれのサイト空港における灯火設備7に係わる設定情報6aを記憶する。設定情報6aは、通常運用時の灯火設備7への制御内容や、非常対応時の灯火設備7への制御内容などを示す、管理者等により予め設定記録された情報である。例えば、灯火が消灯している状態からオン信号を与えられると、予め設定情報6aに登録された灯火状態が灯火設備7に反映される。
【0013】
図2は、設定情報6aに登録される内容の一例を示す図である。図2は、例えばオン信号が与えられた場合の灯火の状態を示す。図2において、滑走路末端灯・滑走路灯の灯火回路REDLに対し、各灯火の明度レベルを4に、滑走路中心線灯の灯火回路RCLLに対し、該灯火の明度レベルを4に、…というように、灯火種別ごとの明度レベルが予め設定される。また、誘導路灯の灯火回路TEDLはオン(ON)、誘導路中心線灯の灯火回路TCLLはオン、…、SFL-Xはオフ(OFF)というように、灯火種別ごとのオン/オフが予め設定される。なお、図2に示されるPAPI、TEDL、TCLL、WDIL、ABN、SFL、および、SFL-Xはサイト空港に設置された灯火の一例であり、これらに限られるものではない。また、ハイ(H)、ロー(L)の2段階で明度レベルを設定することもできる。
【0014】
図3は、端末装置1の一例を示す機能ブロック図である。端末装置1は、例えばノートパソコン(PC)であり、プロセッサ11、記憶部12、表示部13、ROM14、RAM15、光学メディアドライブ16、および通信部18を備える。
【0015】
ROM14は、不揮発性のメモリであり、プログラムメモリとして機能する。ROM14は、プロセッサ11が実行するプログラムや制御データなどを記憶する。RAM15は、プログラムがロードされたり、プロセッサ11が処理中のデータを保持したりする。またRAM15は、一時的にデータを保持するワーキングメモリ、あるいはバッファメモリ等としても機能する。
【0016】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリである。記憶部12は、プロセッサ11により実行されるプログラム12aを記憶する。表示部13は、例えば液晶ディスプレイであり、GUI(Graphical User Interface)によるユーザインタフェースを提供する。プログラム12aは、例えばCD-ROM17に記録されて頒布されることができる。CD-ROM17を光学メディアドライブ16で読み取ることで、プログラム12aを記憶部12にインストールすることができる。
【0017】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、あるいはMPU(Micro Processing Unit)などの演算デバイスである。プロセッサ11は、プログラム12aや各種データをRAM15に読み込み、実行して、実施形態に係わる処理機能を実現する。通信部18は、ルータRを介して通信ネットワーク2に接続され、端末装置1と制御装置3、コントローラ5との通信を仲介する。
【0018】
ところで、プロセッサ11は、実施形態に係わる処理機能として送信部11a、表示制御部11b、および確認部11cを備える。これらは、プログラム12aに記述された命令をプロセッサ11が実行することで実現される、処理機能である。
【0019】
送信部11aは、管理者により指定されたサイト空港の灯火設備7の制御を、メイン空港側から遠隔で要求するための制御信号を、通信ネットワーク2を介して、当該サイト空港の制御装置3に宛てて送信する。
【0020】
表示制御部11bは、表示部13にGUI環境を形成し、灯火設備7を制御するためのクリッカブルなボタンを、表示部13のGUI画面に表示する。例えば、メイン空港側の管理者によってGUI画面が操作されると、その操作に応じた制御信号が生成され、送信部11aにより制御装置3に送信される。
【0021】
図4は、端末装置1の表示部13に表示される操作画面の一例を示す図である。操作画面において、サイト空港A,B,Cに対して、それぞれ[遠隔ON]、[遠隔OFF]のボタンが設けられる。[遠隔ON]がクリックされると、対象のサイト空港の灯火設備7が一括でオンされる。[遠隔OFF]がクリックされると、対象のサイト空港の灯火設備7が一括でオフされる。ただし、遠隔からのオン/オフを許可するか否かの決定権は、サイト空港側にある。つまり、灯火設備7の操作権を端末装置1またはコントローラ5のいずれに与えるかは、サイト空港の側で決定される。
【0022】
また、操作画面において、サイト空港A,B,Cに対して、それぞれ[遠隔モード]、[遠隔制御受付]、[伝送異常]のインジケータが表示される。各内容に応じた事象が発生すると、これらが点灯したり、点滅したり、色が変わったりして管理者に通知される。併せて警報音を出力しても良い。[遠隔モード]が点灯すると、灯火設備7の操作権がメイン空港側にある状態が明示される。[遠隔モード]が消灯すると、灯火設備7の操作権がメイン空港側にない状態が明示される。[伝送異常]は、端末装置1とサイト空港との間の通信に異常が生じていることを示す。
【0023】
端末装置1とサイト空港の制御装置3、あるいはコントローラ5との通信は、確認部11c(図3)により例えば定期的にチェックされる。確認部11cは、例えば定期的にpingを打つことで、通信ネットワーク2(IPネットワーク)の先にある制御装置3(あるいはコントローラ5)との通信環境を確認する。リプライが帰ってくれば、確認部11cはそのことを表示制御部11bに通知し、伝送異常なしをGUI画面に反映する。一方、リプライが無かったり、過度に時間がかかっていたりした場合には、伝送異常の発生が生じたとしてGUI画面上の[伝送異常]のインジケータが点灯する。
【0024】
図5は、サイト空港側の制御装置3の一例を示す機能ブロック図である。制御装置3は例えばPLCであり、端末装置1とセットで設置される。制御装置3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、通信部34、およびコネクタ35を備える。
【0025】
ROM32は、不揮発性のメモリであり、プログラム32aを予め記憶する。RAM33は、プログラムがロードされたり、プロセッサ31が処理中のデータを保持したりする。またRAM33は、一時的にデータを保持するワーキングメモリ、あるいはバッファメモリ等としても機能する。
【0026】
RAM33は、図1の記憶部6がこれに該当し、それぞれのサイト空港における灯火設備7に係わる設定情報6aを記憶する。設定情報6aは、通常運用時の灯火設備7への制御内容や、非常対応時の灯火設備7への制御内容などを示す、管理者等により予め設定記録された情報である。例えば、灯火が消灯している状態からオン信号を与えられると、図2に示す、予め設定情報6aに登録された灯火状態が灯火設備7に反映される。
【0027】
通信部34は、ルータRを介して通信ネットワーク2に接続され、制御装置3と端末装置1との通信を仲介する。また、通信部34はコントローラ5に接続され、コントローラ5へのコマンド投入を含む、制御装置3とコントローラ5との通信を仲介する。コネクタ35は、物理的なインタフェースであり、操作権回路4に接続される。
【0028】
プロセッサ31は、CPUやMPUなどの演算デバイスである。プロセッサ11は、プログラム32aや各種データをRAM33に読み込み、実行して、実施形態に係わる処理機能を実現する。
【0029】
ところで、プロセッサ31は、実施形態に係わる処理機能として操作権設定部31a、受信部31b、および指示部31cを備える。これらは、プログラム32aに記述された命令をプロセッサ31が実行することで実現される、処理機能である。
【0030】
操作権設定部31aは、自サイトにおける灯火設備7の操作権を、自サイト空港での操作権を維持したままメイン空港の端末装置1に許可するか、また、自サイトのコントローラ5のいずれに関したものを与えるかを、操作権回路4の状態に応じて自サイト空港の側で決定する。
【0031】
操作権回路4は、自サイトの操作者(管理者等)により操作される。操作者が操作権回路4を、例えば[メイン空港]に切り替えると、灯火設備7の操作権はメイン空港側に与えられる。一方、操作者が操作権回路4を、例えば[サイト空港]に切り替えると、灯火設備7の操作権はローカルとしての自サイト、つまり自分に与えられ、併せてメイン空港側に操作権を許可しない状態となる。
【0032】
例えば、操作者がサイト空港に到着するとすぐに[サイト空港]に切替えれば、操作権設定部31aは、遠隔のメイン空港からの操作影響を受けることなく、灯火設備7をサイト空港側で制御できるようにする。また、例えば操作者が帰宅するときに[メイン空港]に切替えておけば、操作権設定部31aは、灯火設備7の制御をメイン空港から遠隔で制御できるようにする。
【0033】
受信部31bは、端末装置1から送信された制御信号を、通信ネットワーク2を介して受信する。
指示部31cは、灯火設備7への操作権が端末装置1に与えられている状態で制御信号が受信された場合に、この制御信号に基づく灯火設備7への制御を、コントローラ5に指示する。以下の説明では、制御信号としてオン信号、およびオフ信号の2通りを想定する。オン信号は、消灯状態の灯火設備7を一括で点灯するためのコマンドを含む。オフ信号は、点灯状態の灯火設備7を一括で消灯するためのコマンドを含む。ここで一括点灯又は消灯とは、管理者等により予めRAM33にて設定記憶された設定情報6aにて示された内容に基づいて、サイト空港における灯火設備7の各灯火に対し一括で点灯又は消灯を制御することを意味する。
【0034】
次に、上記構成における作用を説明する。
<作用>
図6は、端末装置1、制御装置3、およびコントローラ5における処理手順の一例を示すシーケンス図である。図6において、操作者が操作権回路4を[サイト空港]にセットすると(ステップS1)、制御装置3は、[サイト制御モード]になったことを端末装置1に通知する(ステップS2)。これを受けた端末装置1は、[遠隔モード]を消灯して[サイト制御モード]であることを表示部13の操作画面に明示するとともに、操作画面上での操作をロックする(ステップS3)。
【0035】
図7は、表示部13の操作画面の一例を示す図である。図7においては、サイト空港A,B,Cのいずれにおいても[遠隔モード]が他と同じ色で示され、灯火設備7の操作権がサイト側にあることが明示されている。なお、図7の画面を、端末装置1が起動されシステムが安定した直後の初期画面として表示しても良い。
【0036】
図6に戻って説明を続ける。操作者が操作権回路4を[メイン空港]にセットすると(ステップS4)、制御装置3は、[遠隔モード]になったことを端末装置1に通知する(ステップS5)。これを受けた端末装置1は、[遠隔モード]を点灯して遠隔モードであることを表示部13の操作画面に表示するとともに、操作のロックを解除する(ステップS6)。
【0037】
図8は、[遠隔モード]における表示部13の操作画面の一例を示す図である。図8においては、サイト空港Aの[遠隔モード]の表示色が変わったことにより、サイト空港Aが[遠隔モード]に切り替わったことが示される。つまり、サイト空港Aの灯火設備7の操作権がメイン空港側に移ったことが明示される。
【0038】
図9に示されるように、この状態から、メイン空港の管理者がサイト空港Aの[遠隔ON]ボタンをクリックすると、端末装置1は、[一括点灯要求]イベントを検知し(図6のステップS7)、一括点灯要求制御信号を、通信ネットワーク2経由で制御装置3に送信する(ステップS8)。
【0039】
制御装置3は、一括点灯要求制御信号を受信し、操作権が端末装置1にあるので、これを拒否することなく受け付る(ステップS9)。そして制御装置3は、灯火設備7の一括点灯をコントローラ5に指示すべく(ステップS10)、一括点灯指示信号をコントローラ5に送信する(ステップS11)。これを受けたコントローラ5は、予めRAM33に記憶された設定情報6aに基づいて灯火設備7を一括で点灯する(ステップS12)。
【0040】
図10は、灯火設備7が一括点灯されたことを示す図である。サイト空港の管理者が、例えば退出前に灯火設備7の全てを消灯すると図10(a)のような状態になる。このとき[遠隔モード]にしておくことで、メイン空港からの遠隔操作により灯火設備7が一括で点灯され、例えば図10(b)のような状態になる。
【0041】
さて、図6において一括点灯が完了すると、コントローラ5は結果応答を制御装置3に返送する(ステップS13)。さらに、制御装置3は、灯火制御が正常終了したことを示す結果応答(アンサーバック)を端末装置1に通知して(ステップS14)、一連の制御が完了する。
図11は、端末装置1からの灯火制御が正常終了した場合の表示部13の操作画面の一例を示す図である。端末装置1でアンサーバックが受信されると、サイトAの[遠隔操作受付]インジケータが点灯する。これにより管理者は、メイン空港からの遠隔での灯火制御が正常終了したことを一目で認識することができる。
【0042】
なお、上記制御を滞りなく行うために、端末装置1と制御装置3、コントローラ5との間の信号の伝送環境を、定期的に確認する必要がある。この処理は主に確認部11c(図3)により実行され、端末装置1のGUI画面に反映される。
【0043】
図12は、伝送異常が検知された場合の表示部13のGUI画面の一例を示す図である。伝送異常の無い状態では、[伝送異常]インジケータがいずれも消灯している。一方、端末装置1と、例えばサイト空港Aの制御装置3またはコントローラ5との通信が不調になった場合、サイト空港Aの[伝送異常]インジケータが、図11に示されるように点灯する(または色が変わる)。メイン空港の管理者は、サイト空港Aとの伝送異常を即座に認識することができ、サイト空港への電話連絡や、専門技術者の現地派遣など、適切な対応を取ることができる。
【0044】
<効果>
以上述べたように、実施形態によれば、メイン空港と、各サイト空港の制御装置3との間で、専用通信回線を介して監視情報、制御信号を授受できるようにし、これにより、サイト空港の伝送状態監視、灯火遠隔制御をメイン空港から実施できるようにした。これにより、サイト空港に管理者を常時に配置しなくても良くなり、省力化、およびコスト削減に寄与できる。
【0045】
ただし、メイン空港からの制御を受け付けるかどうかは、操作権回路4、操作権設定部31aにより、サイト空港側に主導権を持たせるようにした。これにより、サイト空港側の事情を常に優先することができる。例えば、サイト空港に管理者が駐在しているにも拘わらずメイン空港から遠隔制御されてしまうことを防止できる。また、セキュリティを確実に担保することができる。
【0046】
さらに、灯火設備を実際に制御するコントローラ5を既設のまま流用できるので、さらなるコスト削減を促すことも可能になる。つまり、灯火制御の条件(設定情報)は、サイト側(現場側)で持っている。これをそのまま利用し、通常の灯火条件入力(複数入力)ではなく、メイン空港にあるノートPC一台、ボタン1つでの操作により、各サイト空港の灯火を一括点灯、消灯することが可能になる。従って、空港管理の人件費の削減や、利便性向上に貢献できる。つまり、実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0047】
(1) サイト空港に専任技術者を常時配置しなくても、遠隔で操作可能。
(2) 複数のサイト空港を同時監視、分散制御可能。
(3) 予め設定しておいた灯火制御内容に基づき、灯火設備の各灯火に対し一括(ボタン一つでの操作)で制御可能。
(4) 小規模、かつ管理者不在の空港向け灯火監視制御システムの信頼性向上。
(5) 大がかりな構成は不要。コンパクトな構成で監視、制御できる。
これらのことから実施形態によれば、航空機の安全運航と省力化の両立を図った灯火制御システム、端末装置、制御装置、および灯火制御方法を提供することが可能になる。
【0048】
なお、この発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、端末装置1の表示部13にGUI画面を表示するようにしたが、CUI(Character-based User Interface)によるユーザインタフェースでも同様のシステムを構築することができる。また、端末装置1としてノートパソコンを想定したが、タッチパネル型の機器でもよい。もちろん、デスクトップ型パソコン、あるいはサーバでも同様である。
【0049】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…端末装置、2…通信ネットワーク、3…制御装置、4…操作権回路、5…コントローラ、6…記憶部、6a…設定情報、7…灯火設備、11…プロセッサ、11a…送信部、11b…表示制御部、11c…確認部、12…記憶部、12a…プログラム、13…表示部、14…ROM、15…RAM、16…光学メディアドライブ、18…通信部、31…プロセッサ、31a…操作権設定部、31b…受信部、31c…指示部、32…ROM、32a…プログラム、33…RAM、34…通信部、35…コネクタ。
図1
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図12