(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】生成器を備えた計時器、およびそのような生成器を組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
G04C 10/00 20060101AFI20221202BHJP
G04B 17/00 20060101ALI20221202BHJP
H02K 21/24 20060101ALI20221202BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G04C10/00 C
G04B17/00 B
H02K21/24 G
H02K15/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021119360
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・マッテイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ジャック・ボルン
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-208872(JP,A)
【文献】特開平11-44782(JP,A)
【文献】特開2001-186731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04B 1/00-99/00
H02K 21/00-21/48、
15/00-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(22)と、少なくとも1つの磁石(40)を設けられ、前記支持構造において旋回するように取り付けられた回転子(38)、および2つのコイル(52,54)から構成され、前記支持構造を、前記支持構造において旋回する前記回転子に取り付けた後に、前記支持構造に取り付けられるように配置された電子モジュール(26)を、電子回路(56)とともに形成する固定子から形成される生成器(24)とを備える計時器(2)であって、前記電子モジュールは、前記支持構造の第1の要素(30)と関節を形成する第1の部品(58)を有する前記2つのコイルのための支持体(50)を備え、前記第1の部品および前記第1の要素は、この第1の部品または/およびこの第1の要素が弾性変形を受け、圧力によって前記第1の部品を前記第1の要素に、または前記第1の要素を前記第1の部品に横方向に導入することによって、取り外し可能な方式で前記関節を形成するように組み立てられるように配置され、前記計時器は、前記回転子とともに事前に組み立てられた前記支持構造における前記電子モジュールの横方向の取付中に、前記第1の部品および前記第1の要素を組み立てて前記関節を形成し、その後、前記2つのコイルのうちの少なくとも1つのコイルを、前記回転子の回転軸に近づけるために、この関節によって規定される回転軸(74)の周りで、前記回転子の前記回転軸(72)に平行に、この電子モジュールが前記関節を形成した直後に配置される第1の角度位置から、第2の角度位置への前記電子モジュール(26)の回転を可能にするように配置され、これによって、これらの2つのコイルはおのおの、前記回転子の前記回転軸から実質的に同じ距離にある機能的位置に配置されるようになり、前記電子モジュールは、この第2の角度位置において前記関節を遮断できるように配置された固定システム(32,60,70)によって、前記第2の角度位置に保持されることを特徴とする、計時器(2)。
【請求項2】
前記固定システムは、前記支持構造における電子モジュールの横方向の取付中に生じる、前記関節によって規定される前記回転軸の周りの、前記第2の角度位置の方向におけるこの電子モジュールの回転中に、前記電子モジュール(26)に加えられる圧力によって組み立てられるように配置された前記支持体の第2の部品(60)および前記支持構造(22)の第2の要素(32)によって形成され、前記第2の部品および前記第2の要素は、この第2の部品および/またはこの第2の要素が弾性変形を受け、圧力によって前記第2の要素を前記第2の部品に、または前記第2の部品を前記第2の要素に導入することによって、取り外し可能な方式で組み立てられるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の計時器。
【請求項3】
前記関節が形成され、次に前記固定システムによって前記第2の角度位置において遮断されると、前記関節および/または前記固定システムは、前記電子モジュール(26)が高いところに位置される軸方向位置を決定できるように配置されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器。
【請求項4】
前記関節が形成され、次いで前記固定システムによって前記第2の角度位置において遮断されると、前記2つのコイル(53,54)の最終的な軸方向位置は、前記電子モジュールを前記支持構造へ固定するように設計された追加の固定デバイスによって提供されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の計時器。
【請求項5】
計時器(2)に生成器(24)を取り付けるための方法であって、この生成器は、少なくとも1つの永久磁石(40)および2つのコイル(52,54)を設けられた回転子(38)で形成され、支持構造(22)は、一方では、この支持構造において旋回される前記回転子とともに、他方では、支持体(50)を備えた電子モジュール(26)とともに事前に組み立てられ、この支持体および電子回路(56)によって動かされる前記2つのコイルは事前に形成され、前記支持体は、前記支持構造の第1の要素(30)と関節を形成できるように構成された第1の部品(58)を有し、前記方法は、前記生成器を形成するために、前記電子モジュールを前記支持構造に横方向に取り付けるための以下の連続するステップ、すなわち、
- 前記電子モジュール(26)の前記支持構造への部分的な横方向の導入により、前記第1の部品から離れた前記電子モジュールの一部が、
前記回転子(38)のシャフトの側面を通過することによって
前記回転子(38)のシャフトを回避することと、
- 前記関節を形成するために、前記支持体の前記第1の部品および前記支持構造の前記第1の要素を組み立てることと、
- 前記関節によって規定され、前記回転子の回転軸(72)に平行な回転軸(74)の周りの、第1の角度位置からの、前記電子モジュールの回転であって、ここでは、前記2つのコイルのうちの少なくとも1つのコイルを、前記回転子の回転軸に近づけるために、この電子モジュールは、前記関節を形成した直後に、第2の角度位置に配置され、おのおのが前記回転子の前記回転軸から実質的に同じ距離にある機能的位置に配置されるように、これら2つのコイルが、前記第2の角度位置にあることと、
- 前記第2の角度位置において前記関節を遮断し、したがって、この電子モジュールをこの第2の角度位置に維持できるように配置された固定システムによって前記電子モジュールを固定することと
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記関節を形成するために、前記第1の部品(58)および前記第1の要素(30)は、圧力によって、前記第1の要素を前記第1の部品に、または前記第1の部品を前記第1の要素に横方向に導入することによって組み立てられ、前記第1の部品または/および前記第1の要素は、圧力によって、取り外し可能な方式で組み立てられるようにする弾性変形能力を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固定システムは、前記関節によって規定される前記回転軸(74)の周りの、前記第2の角度位置の方向におけるこの電子モジュールの回転中に、前記電子モジュール(26)に加えられる圧力によって組み立てられる前記支持体(50)の第2の部品(60)および前記支持構造(22)の第2の要素(32)によって形成され、前記第2の部品および前記第2の要素は、この第2の部品および/またはこの第2の要素が弾性変形を受け、圧力によって前記第2の要素を前記第2の部品に、または前記第2の部品を前記第2の要素に導入することによって、取り外し可能な方式で組み立てられるように配置されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記関節が形成され、次いで前記固定システムによって前記第2の角度位置において遮断されると、前記電子モジュール(26)の最終的な軸方向位置は、この電子モジュールを前記支持構造へ固定するための追加のデバイスによって提供されることを特徴とする、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を備えた回転子と、固定子に電力を供給できるように電子回路に接続されたコイルを設けられた固定子とからなる、マイクロ生成器とも呼ばれる電気生成器を備える計時器の分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、生成器を組み込んだ電気機械式の時計ムーブメントに関し、その回転子は、機械的エネルギ源を形成するバレルと、現在時刻のアナログ表示との間に配置されたギアトレインと噛み合う。
【背景技術】
【0003】
上記で規定される形式の時計ムーブメントは、特許文献1に記載されている。この時計ムーブメントには、この生成器の回転子の回転速度を調整するための回路に電力を供給するための電気を生成する生成器が設けられている。この回転子は、時計ムーブメントのギアトレインと噛み合うため、アナログ表示インジケータの前方への進行が制御される。生成器の回転子は、ギアトレインの可動部と噛み合うシャフト上にピニオンを備える。この回転子は、ギアトレインの別の可動部と同じように、つまりプレートとブリッジとの間に、時計ムーブメントの支持構造に取り付けられ、磁石を動かす2つのフランジを備え、その間に固定子のコイルが部分的に配置される。したがって、回転子が最初にギアトレインの他の可動部とともに支持構造に取り付けられるとき、コイルを腕時計支持構造に横方向に、すなわち回転子の回転軸/中央シャフトに垂直に導入する必要がある。
【0004】
上記文献に示されているように、生成器は、意図された回転子に対して、可能な限り最大の値を有する整流電圧を提供できることが重要である。この目的のために、コイルにおいて可能な限り最大の誘導電圧を得るため、コイルを磁石の間に最善の状態で配置できることが有利である。これは、回転子磁石の半径方向の位置に応じて、コイルの可能な最大の有用な直径を選択することによって達成される。これを達成するために、一般に、各コイルは、中央の回転子シャフトに可能な限り近い回転子フランジ間を貫通できる必要がある。したがって、すべてのコイルが回転子の回転軸から同じ距離に配置され、その結果、おのおのが実質的に同じ強度の誘導電圧を提供することが有利である。腕時計の生成器は、一般に、2つのフランジのおのおのに、環状かつ規則的に配置され、軸方向の磁化と、交互する極性とを備えた6つの双極性磁石のために2つまたは3つのコイルを有し、これらコイルは、それらの間に120°の中心角度を有することに留意されたい。この構成は、腕時計の生成器の寸法に最適であり、コイルにおいて比較的大きな誘導電圧を得ると同時に、2コイルの固定子の場合、時計ムーブメントにおける固定子の好ましい配置を可能にすることが証明されている。フランジごとに4つまたは8つの磁石を備えた回転子には、90°または180°の角度でオフセットされたコイルが必要である。90°オフセットされた2つのコイルは、それらが有することができる有効直径が厳しく制限されており、それらの間のオフセットが180°であると、時計ムーブメントにおける固定子の配置が複雑になり、一般に、大きくてかさばるという問題が発生する。
【0005】
特許文献1は、
図3および
図4を参照して示すように、別個のモジュールを形成する3つのコイルを備えた固定子を提案し、これは、この別個のモジュールのスライドを規定する支持構造の空間に、引き出しのように取り付けられる。原則として、別個のモジュールは、電子調整回路も支持し、したがって、以下「電子モジュール」と称される。したがって、固定子を回転子と組み立てるために、回転子は、ギアトレインをこの支持構造と組み立てるときに、時計ムーブメントの支持構造に事前に取り付けられ、電子モジュールは、スライドに導入され、コイルは、回転子シャフトの周りに、部分的に2つの回転子フランジの間に配置されるまで、このスライド内でスライドされる。したがって、提案される技法は、支持構造において電子モジュールを、スライドによって規定される直線軸に沿って、スライド内で横方向にスライドすることからなる。この手法にはいくつかの欠点がある。先ず、ムーブメントの配置は、スライド軸が2つのコイルの間の中央になければならないという事実によって条件付けられる。次に、2つのコイルが回転子シャフトを超えて導入されるため、これら2つのコイルの間には、少なくとも回転子シャフトの直径に等しい間隔が必要である。
【0006】
注目すべき他の欠点がまだある。3つのコイルのうちの1つのコイルを排除してかさばりを減らし、残りの2つのコイルの周囲をシャフトから少し(製造公差を考慮した最小機能距離)離して、残りの2つのコイルに誘導される電圧を最大にしたい場合は、中心が回転子シャフトの後方にあるコイルが、回転子シャフトをバイパスできるように、スライドには比較的大きな横方向のクリアランスを設ける必要がある。そのような横方向のクリアランスは、スライドの利益を部分的に取り除き、設けられた電子モジュールを固定する、すなわち、ねじによって固定する、という問題を引き起こす。なぜなら、ねじの通過のために電子モジュールの支持体に設けられた穴と、プレートに設けられたそれぞれのねじ穴とを適切に整列させることが困難だからである。ヘッドが支持構造の上部ブリッジの側面に設けられているねじで、電子モジュールを固定するには、この上部ブリッジが、この目的のための開口部、または設けられた固定エリアをカバーしない外部プロファイルを有する必要があることに留意されたい。したがって、電子モジュール支持体は、この上部ブリッジの側面から部分的に見え、これは、このムーブメントを組み込んだ腕時計ケースのガラスの裏側を通して見ることができる機械式時計ムーブメントの欠点になる可能性がある。最後に、支持構造内のスライドの配置は、取り付けられたときに電子モジュールを適切に案内するのに十分な程度を有する平坦面をスライド内に有するプレートを必要とする。コイルが2つのフランジ間に適切に中央に配置されるためには、回転子は、そのような平坦面に対して正確な軸方向位置を有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、生成器を組み込んで、電子モジュールを取り付けることを可能にするように配置され、この生成器の回転子とともに容易に、効率的に、かつ正確に事前に組み立てられた支持構造内に、生成器のコイルを備えた計時器を提供することによって、上記の先行技術による生成器を組み込んだ計時器の少なくともいくつかの欠点を克服することである。本発明はまた、計時器に生成器を取り付けるための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、支持構造と、少なくとも1つの磁石が設けられ、支持構造において旋回するように取り付けられた回転子、および2つのコイルから構成され、支持構造をその中で旋回する回転子に取り付けた後に、支持構造に取り付けられるように配置された電子モジュールを、電子回路とともに形成する固定子から形成される生成器とを備える、計時器に関する。電子モジュールは、支持構造の第1の要素と関節を形成する第1の部品を有する支持体を備える。計時器は、回転子とともに事前に組み立てられた支持構造への、事前に形成された電子モジュールの横方向の取付中に、前記第1の部品および前記第1の要素を組み立てて関節を形成し、その後、2つのコイルのうちの少なくとも1つのコイルを、回転子の回転軸に近づけるために、この関節によって規定される回転軸の周りで、回転子の回転軸に平行に、この電子モジュールが関節を形成した直後に配置される第1の角度位置から、第2の角度位置への電子モジュールの回転を可能にするように配置され、これによって、これらの2つのコイルはおのおの、最終的に、回転子の回転軸から実質的に同じ距離にある機能的位置に配置されるようになり、電子モジュールは、この第2の角度位置において関節を遮断できるように配置された固定システムによって、第2の角度位置に保持される。
【0010】
本発明の一般的な実施形態によれば、支持体の第1の部品および支持構造の第1の要素は、この第1の部品または/およびこの第1の要素が、弾性変形を受け、圧力によって第1の要素を第1の部品に、または第1の部品を第1の要素に横方向に導入することによって関節を形成するように、取り外し可能な方式で組み立てられるように配置される。
【0011】
有利な変形例によれば、固定システムは、支持構造における電子モジュールの横方向の取付中に生じる、関節によって規定される回転軸の周りの、前記第2の角度位置の方向におけるこの電子モジュールの回転中に、電子モジュールに加えられる圧力によって組み立てられるように配置された支持体の第2の部品および支持構造の第2の要素によって形成され、第2の部品および第2の要素は、この第2の部品および/または第2の要素が、弾性変形を受け、圧力によって第2の要素を第2の部品に、または第2の部品を第2の要素に導入することによって、取り外し可能な方式で組み立てられるように配置される。
【0012】
本発明にしたがって計時器に生成器を取り付けるための方法は、添付の特許請求の範囲に定義される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、非限定的な例として与えられた添付の図面を使用して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の主な実施形態にしたがう時計ムーブメントを概略的かつ部分的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の主な実施形態にしたがう時計ムーブメントの断面を部分的かつ概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の時計ムーブメントの調整モジュールの支持構造の側面図である。
【
図4】
図4は、調整モジュールを部分的に形成する電子モジュールの斜視図である。
【
図5】
図5は、上部ブリッジが透過的に示されている調整モジュールの斜視図である。
【
図6】
図6は、支持構造に電子モジュールを組み立てて調整モジュールを形成する4つの連続したステップを示す図である。
【
図7】
図7は、支持構造に電子モジュールを組み立てて調整モジュールを形成する4つの連続したステップを示す図である。
【
図8】
図8は、支持構造に電子モジュールを組み立てて調整モジュールを形成する4つの連続したステップを示す図である。
【
図9】
図9は、支持構造に電子モジュールを組み立てて調整モジュールを形成する4つの連続したステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照して、本発明の主な実施形態にしたがう時計ムーブメントと、永久磁石を備えた生成器を含むその調整システムを組み立てるための方法、より具体的には、この生成器を取り付けるための方法とを以下に説明する。
【0016】
図1は、後述するように、プレート4に取り付けられたバレル6によって形成された従来の機械的エネルギ源によって、ギアトレイン8により駆動され、次に、バレルにより駆動されるアナログディスプレイ(図示せず)によって、および、生成器と、その回転速度を調整するための電子回路とによって形成された調整システムによって特徴付けられる時計ムーブメント2を概略的かつ部分的に示している。例示されている例では、ギアトレイン8は、大きな中間可動部10と、ピニオンが中央の分ホイール16と噛み合い、そのホイールが第2の可動部14と噛み合って、「6時」に位置する小さな秒針を動かすことができる中間可動部12とを備える。従来、中央の分ホイール16は、分針と時針とを動かすタイマを、(時刻設定を可能にするために)摩擦カップリングを介して駆動する。
【0017】
図2は、プレート4に取り付けられ、調整モジュールを形成する支持構造22の3つのピラー30、31および32のねじ穴に、プレートの下からねじ込まれる3つのねじ(図示せず)によって固定された調整モジュール20によって固定される、調整システムを備えた時計ムーブメント2を示す。ねじ山は、打ち込まれた(あるいは、オプションで、打ち込み後に、接着または溶接された)プレート34のそれぞれの穴を通過することによって、および、プレートのそれぞれの穴18a、18bおよび18c(
図1を参照)を貫通することによって、ピラーに、および/または、これらピラーを延ばす下部チューブに存在し得ることに留意されたい。調整モジュールをプレートに固定するための他の手段、特に、打ち込み、接着、または溶接による固定が提供され得る。図示され、説明されている変形は、時計ムーブメントのプレートに取り付けられる前に完全に組み立てることができるモジュールの形態である調整システムを提供することに留意されたい。これは、説明から後に明らかになるように、本発明にとって有利であるが非限定的な変形である。
【0018】
図2から
図5を参照して、 - プレート34、3つのピラー30、31および32、およびブリッジ36から形成される支持構造22と、プレートと、プレートが旋回するブリッジとの間に取り付けられた回転子38と、2つの同一のコイル52、54を備えた固定子とによって形成される生成器24と、支持体50上に配置され、支持体上を動かされる2つのコイルに接続された電子回路56と、 - 2つの可動部28、29とを備え、そのうちの第1の可動部のピニオンが、第2の可動部14のホイールと噛み合い、そのうちの第2の可動部のホイールが、生成器の回転子のピニオン42と噛み合い、回転子が、たとえば約64/9回転/秒のように、毎秒数回転実行することを可能にする調整モジュール20が、より詳細に説明される。回転子38は、回転軸72を有する。第1の可動部28のピニオンの歯への第2の可動部のホイールの歯の貫通を正確に調整できるようにするために、プレート4における穴18bおよび18cは、調整モジュール20が、この目的のために、ピラー31を延ばし、円形の穴18aに挿入される下部チューブによって規定される回転軸の周りでわずかに回転できるように、長方形になるように提供される。
【0019】
本発明によれば、調整モジュール20は、2つの別個の部品、すなわち、 - 生成器24の回転子38を組み込んだ機械部品と、 - この生成器の2つの同一のコイル52、54を組み込んだ電子モジュール26とを備える。これらの2つの異なる部品は、後で説明する本発明の方法にしたがって、この調整モジュールを完全に形成するために、電子モジュール26を調整モジュールの機械部品と最終的に組み立てる前に、おのおのが予備ステップで組み立てることができるように配置される。より一般的には、調整システムがモジュールの形態で提供されない場合、本発明は、生成器の回転子38を組み込んだ時計ムーブメントの機械部品とは異なり、予備ステップにおける組み立て後、この機械部品に横方向に取り付けられるように配置された、電子モジュール26と同様の電子モジュールを提供する。好ましくは、電子モジュールはまた、機械部品を取り外す必要なしに、その後、支持構造から分離することができる。
図4の斜視図に示される電子モジュール26は、生成器の2つのコイルと、この生成器の回転速度を調整するための電子回路56とが配置された支持体50を備える。調整モジュールの機械部品は、支持構造22と、2つの可動部28、29と、生成器の回転子38とを備え、これらは、支持構造に旋回可能に取り付けられて、この機械部品の、電子モジュールとの最終組立前に、機械部品を形成する。生成器24の回転子38は、これらの2つのディスクによって規定される内部空間の側面において、おのおのが磁石40を動かす2つのディスクを備え、磁石は、回転子が回転するとき、2つのコイル52および54を上下に通過できるように、2つのコイルを貫通する。生成器の変形では、2つのディスクのうちの1つだけに永久磁石が設けられていることに留意されたい。
【0020】
互いに一定の距離を維持しながらプレート34をブリッジ36に固定的に接続する3つのピラー30、31、および32はおのおの、その両端に、下部ショルダ44および上部ショルダ46を有する。プレート34にピラーを取り付けるとき、下部ショルダは停止部として使用される。変形例では、ピラー30および32の下部ショルダはまた、電子モジュール26の支持体50のための下部停止部を形成し、したがって、この電子モジュールの高さの位置決めに関与する。これが当てはまらない場合、支持体50は、電子モジュールが支持構造に組み立てられると、プレート34上に置かれ、その上面は、電子モジュールの下部停止部を規定する。3つのピラーの上部ショルダ46は、ブリッジを支持構造の残りの部分に固定するために使用される3つのねじ64、65および66によってこれら停止部に押し付けられるブリッジ36の停止部として使用される。変形例では、ピラー30および32の上部ショルダは、支持体50の上部停止部をも形成する。下部ショルダと上部ショルダとの間の距離が、支持体50の高さ、より具体的には、その2つの固定部品58および60の高さに対応する限り、これらの2つのショルダは、電子モジュールのための、より具体的には、2つのコイル52、54のための正確な軸方向位置を決定することを可能にし、これによって、2つのコイル52、54は、回転子38の磁石40の間で正しく中心に置かれるようになる。好ましくは、コイルを軸方向位置に(回転子の回転軸に沿って)維持するために、支持体50をプレート34に固定するためのねじがさらに提供される。支持体50がプレート34上に載っていることが示される変形例では、この追加の固定ねじは、この支持体をプレートに押し付けるために使用される。電子モジュールの軸方向位置が、ピラー30および32の下部および上部ショルダによって決定される別の変形例では、追加の固定ねじは、たとえば、プレート4の下側から、このプレート内の機械加工されたねじ山のない穴を通してねじ込まれ、弾性スペーサワッシャが、プレートと支持体との間に配置されるため、この固定ねじを介して、プレートと電子モジュールの支持体との間の距離を、正確に調整できる。
【0021】
図6から
図9を参照して、本発明による計時器に生成器を取り付けるための方法の実施形態がより正確に説明され、この生成器は、少なくとも1つの永久磁石および2つのコイルを設けられた回転子で形成される。第1の予備ステップでは、すでに説明した調整モジュール20の機械部品が、支持構造22に取り付けられた生成器24の回転子38とともに事前に組み立てられる。第2の予備ステップでは、すでに説明され、支持体50、2つのコイル、および電子回路56を備える電子モジュール26が事前に形成される。支持体50は、2つのコイルの中心軸を備える平面に対する支持体の第1の側面に第1の部品58を有し、これは、支持構造の第1の要素30と関節を形成できるように構成される。一般に、本発明による方法は、生成器を形成するために、電子モジュールを、調整モジュールの、または時計ムーブメントの機械部品に横方向に取り付けるために、以下のステップ、すなわち、
- 電子モジュール26の支持構造への部分的な横方向の導入により、第1の部品から離れた電子モジュールの一部が、回転子シャフト38(
図6)の側面を通過することによってこのシャフトを回避することと、
- 関節を形成するために、支持体の第1の部品58および支持構造の第1の要素30を組み立てること(
図7)と、その後、
- 関節によって規定され、回転子の回転軸72に平行な回転軸74の周りの、第1の角度位置(
図7)からの、電子モジュール26の回転(
図8)であって、ここでは、2つのコイルのうちの少なくとも1つのコイルを、回転子の回転軸に近づけるために、この電子モジュールは、関節を形成した直後に、第2の角度位置(
図9)に配置され、これによって、おのおのが回転子の回転軸72から実質的に同じ距離にある機能的位置に配置されるように、これら2つのコイルが、第2の角度位置にあることと、
- 第2の角度位置において関節を遮断し、したがって、この電子モジュールをこの第2の角度位置に維持できるように配置された固定システムによって電子モジュール26を固定することとを備える。
【0022】
図面を使用して説明した実施形態では、組立ステップは、電子モジュールを、調整モジュールの機械部品に、より具体的には、プレート34とブリッジ36との間の支持構造22に、直線的または曲線的な動きによって、横方向に導入する(
図6)ことで、最初に支持構造を貫通した第1のコイルが、このシャフトを越えて機械部品に貫通することによって、回転子シャフト、特にこのシャフトを形成するピニオン42を回避することを可能にし、支持体の第1の部品58が支持構造の第1のピラー30に近づくことを可能にして、最終的に、この第1のピラーと接触し、第1のピラーへ組み立てられて関節(
図7)を形成できるようにするステップの後に続く。第1のピラーは円筒状であり、第1の部品58は、円筒状の壁が180°を超えて延びる円形空洞68を有し、この円形空洞は、第1のピラーを受け入れることができるように寸法が決められている。
【0023】
説明された有利な変形例では、第1の部品58および第1のピラー30は、圧力によって第1のピラーを第1の部品に導入する(
図7)ことによって、すなわち、関節を形成するために、第1のピラーを円形空洞に導入するときの圧力により、この開口部を弾性的に拡大して、円形空洞を開くことによって組み立てられる。したがって、支持体の第1の部品58は、回転軸74が第1のピラー30の中心軸に対応する関節を得るために、圧力によって、取り外し可能な方式で、第1のピラー30に組み立てられるようにする弾性変形能力を有する。別の変形例では、180°を超える円筒状の部品を規定する電子モジュールの支持体の第1の部品と、180°を超えて延びる円筒状の壁を有する円形空洞を有し、かつ、回転軸が空洞の中心軸によって規定される関節を得るために、圧力によって、取外し可能な方式で、第1の部品に組み立てられることを可能にする弾性変形能力を有する、支持構造の第1の要素とによって、関節の構成が反転される。
【0024】
説明した有利な変形例では、事前に形成された関節によって実行される電子モジュールの回転の終了時(
図8)に、前記第2の角度位置における関節を遮断することを可能にする固定システムは、関節形成システムに類似する。この固定システムは、2つのコイルの中心軸を備える平面に対する支持体の第2の側面に配置された支持体50の第2の部品60と、関節によって規定される回転軸74の周りの、第2の角度位置(
図9)の方向におけるこの電子モジュールの回転中に、電子モジュールに加えられる圧力によって組み立てられる支持構造の第2のピラー32とによって形成される。第2の部品60および第2のピラー32は、この第2の部品が弾性変形を受け、その円筒状の壁が180°以上に広がっている円形空洞を規定する第2の部品60に、圧力によって第2のピラー32を挿入することによって、取り外し可能な方式で組み立てられるように配置される。別の変形例では、反転は、180°を超える円筒状の部品を規定する電子モジュールの支持体の第2の部品と、180°を超えて延びており、関節を遮断し、電子モジュールを第2の角度位置に維持するために、圧力によって、取り外し可能な方式で、第2の部品に組み立てることを可能にする弾性変形能力を有する円筒状の壁を有する円形空洞を有する支持構造の第2の要素とを備えた固定システムの構成で提供される。代替案では、たとえば、この円筒状の部品の中心軸を含む平面内で、その直径の主要部分の上に、スロットを備えたこの円筒状の部品を作ることによって、弾性変形能力を有する円筒状の部品であることに留意されたい。固定システムが関節を遮断し、関節に関連して電子モジュールを固定するために使用されることを考えると、少なくとも部分的に円筒状の部品および要素から形成される必要がないように、関節を形成する必要がないことに留意されたい。
【0025】
有利な変形例では、関節が形成され、次に固定システムによって第2の角度位置において遮断されると、電子モジュール26の最終的な軸方向位置は、この電子モジュールを支持構造に固定するための追加のデバイスによって、特に、すでに以前に説明したように、支持体50のプレート34の下側から、あるいはプレート34の電子モジュールの上から、あるいは支持体のブリッジ36の上からねじ込むことができる固定ねじによって提供される。
【符号の説明】
【0026】
2 時計ムーブメント、計時器
4 プレート
6 バレル
8 ギアトレイン
10 可動部
12 可動部
14 可動部
16 分ホイール
18a 穴
18b 穴
18c 穴
20 調整モジュール
22 支持構造
24 生成器
26 電子モジュール
28 可動部
29 可動部
30 ピラー
31 ピラー
32 ピラー
34 プレート
36 ブリッジ
38 回転子
40 磁石
42 ピニオン
44 下部ショルダ
46 上部ショルダ
50 支持体
52 コイル
53 コイル
54 コイル
56 電子回路
58 固定部品
60 固定部品
64 ねじ
65 ねじ
66 ねじ
68 円形空洞
70 固定システム
72 回転軸
74 回転軸