(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】故障分析用の半導体試料を準備する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221202BHJP
G01N 1/32 20060101ALI20221202BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G01N1/32 Z
G01N1/28 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021153075
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520497955
【氏名又は名称】エムエススコープス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー-ルン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン チン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シーシン チャン
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-206190(JP,A)
【文献】特開2009-257970(JP,A)
【文献】特開2006-269478(JP,A)
【文献】特開2002-252183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0316583(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106323709(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102253328(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/66
H01L 27/04
G01N 1/32
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障分析用の半導体試料を準備する方法であって、
半導体デバイスと、前記半導体デバイスに接続された金属接触層と、前記半導体デバイスを覆う第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層上に形成され、前記半導体デバイスに電気的に接続された前記金属接触層に接続された配線層と、前記配線層を覆う第2の誘電体層と、を備える半導体サンプルを提供するステップ、
前記金属接触層と前記配線層との間の界面層を研磨終点として使用することによって、前記半導体サンプルを研磨して、前記第2の誘電体層と前記配線層を徐々に除去し、研磨済半導体サンプルを生成するステップ、
前記研磨済半導体サンプル上に接着層を形成するステップであって、前記接着層と前記第1の誘電体層との間の接着力が前記接着層と前記金属接触層との間の接着力より大きい、ステップ、及び、
前記接着層を硬化させ、前記接着層を剥離して、前記接着層と共に前記第1の誘電体層の一部を除去し、前記金属接触層の一部を露出させるステップ、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は、同じ又は異なる材料からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は、同じ誘電体材料からなり、前記誘電体材料は、大部分が二酸化ケイ素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記研磨するステップは、手動研磨又は機械研磨によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接着層は、接着剤層、テープ、又はワックス層である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤層又は前記テープは、不揮発性且つ非液体の接着剤を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記不揮発性且つ非液体の接着剤は、シリコーンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接着層の厚さは、50~100μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化させるステップは、常温硬化、熱硬化、又は照射硬化によって実施される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月18日に提出された台湾出願番号109140323の利益を主張し、その主題は参照によりここに組み込まれる。
本発明は、一般に故障分析用の半導体試料を準備する方法、特に接着剤の接着力の差の手段によって故障分析用の半導体試料を準備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の故障分析用の半導体試料を準備する方法は、通常、順番に層除去して半導体試料を生成することによって実施される。
図1A~1Bは、従来の故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。最初に、
図1Aに示されるように、半導体サンプル10が提供される。半導体サンプル10は、半導体デバイス100と、半導体デバイス100に接続された金属接触層180と、半導体デバイス100を覆う第1の誘電体層170と、第1の誘電体層170上に形成され、半導体デバイス100に対して電気的に接続された金属接触層180に接続された配線層185と、配線層185を覆う第2の誘電体層200と、を備える。半導体デバイス100は、例えば、限定されないが、半導体基板110と、ゲート電極120と、ゲート酸化物層130と、ソース電極140と、ドレイン電極160とを備える。次に、
図1Bに示されるように、第2の誘電体層200及び配線層185は、化学エッチング液の存在下での手動研磨によって除去され、これにより金属接触層180の一部を露出させて、下部の故障を見つけるために次に実施する欠陥分析に備える。
図1A~1Bに示された従来の故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図のように、多くのテクノロジーノードにおいては、半導体デバイス100は厚い誘電体層を有し、化学エッチング液の存在下での手動研磨による第2の誘電体層200及び配線層185を除去するステップ中に損傷を受けにくく、より発展したテクノロジーノードにおいては、半導体デバイス100はより薄い誘電体層を有し、化学エッチング液の存在下での手動研磨による第2の誘電体層200及び配線層185を除去するステップ中に損傷を受ける可能性が高い。
図1Bに示されるように、ゲート電極120を露出する欠陥チャネル190またはドレイン電極160を露出する欠陥チャネル195が、第1の誘電体層170に形成される可能性がある。さらに、金属接触層180は、化学エッチング液の存在下で手動研磨による第2の誘電体層200及び配線層185を除去するステップ中に損傷される可能性がある。これにより、故障分析用の半導体試料の準備に失敗することになる。
【0003】
従って、半導体試料の準備中に半導体デバイスへの損傷を回避する故障分析用の半導体試料を準備する方法は、半導体産業において非常に期待されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、半導体デバイスと、前記半導体デバイスに接続された金属接触層と、前記半導体デバイスを覆う第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層上に形成され、前記半導体デバイスに電気的に接続された前記金属接触層に接続された配線層と、前記配線層を覆う第2の誘電体層と、を備える半導体サンプルを提供するステップ;前記金属接触層と前記配線層との間の界面層を研磨終点として使用することによって、前記半導体サンプルを研磨して前記第2の誘電体層と前記配線層を徐々に除去して研磨済半導体サンプルを生成するステップ;前記研磨済半導体サンプル上に接着層を形成するステップであって、前記接着層と前記第1の誘電体層との間の接着力が前記接着層と前記金属接触層との間の接着力より大きい、ステップ;前記接着層を硬化させ、その後、前記接着層を剥離して、前記接着層と共に前記第1の誘電体層の一部を除去し、前記金属接触層の一部を露出させるステップ、を備える故障分析用の半導体試料を準備する方法、を提供する。
【0005】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は、同じ又は異なる材料からなる。
【0006】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は、同じ誘電体材料からなり、前記誘電体材料は、大部分が二酸化ケイ素である。
【0007】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記研磨するステップは、手動研磨又は機械研磨によって実施される。
【0008】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記接着層は、接着剤層、テープ、又はワックス層である。
【0009】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記接着剤層又は前記テープは、不揮発性且つ非液体の接着剤を備える。
【0010】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記不揮発性且つ非液体の接着剤は、シリコーンである。
【0011】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記接着層の厚さは、50~100μmの範囲である。
【0012】
上記故障分析用の半導体試料を準備する方法において、前記硬化させるステップは、常温硬化、熱硬化、又は照射硬化によって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】従来の故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【
図1B】従来の故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【0014】
【
図2A】本発明による故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【
図2B】本発明による故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【
図2C】本発明による故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【
図2D】本発明による故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本実施例の説明として意図されており、本実施例が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図していない。この説明は、実施例の機能と実施例を構成し動作させるためのステップのシーケンスとを説明する。しかし、同じまたは同等の機能およびシーケンスは、異なる実施例によって達成されてもよい。
【0016】
以下の説明では、読者が以下の実施例を完全に理解できるように、多数の具体的な詳細が、詳細に説明されている。しかし、本発明の実施形態は、そのような具体的な詳細がない場合に実施することもできる。他の場合には、図面を簡略化するために、既知の装置の構造は、図面に概略的に描かれたのものみが示されている。
【0017】
実施形態
【0018】
本発明による故障分析用の半導体試料を準備する方法の断面図を示す
図2A~2Dを参照して下さい。
【0019】
まず、
図2Aを参照すると、半導体サンプル10が提供される。半導体サンプル10は、半導体デバイス100と、半導体デバイス100に接続された金属接触層180と、半導体デバイス100を覆う第1の誘電体層170と、第1の誘電体層170上に形成され、前記半導体デバイス100に電気的に接続された金属接触層180に接続された配線層185と、配線層185を覆う第2の誘電体層200とを備える。半導体デバイス100は、例えば、限定されないが、半導体基板110と、ゲート電極120と、ゲート酸化物層130と、ソース電極140と、ドレイン電極160とを備える。本発明の本実施形態によれば、第1の誘電体層170及び第2の誘電体層200は、同じ材料の場合があり、例えば、限定されないが、二酸化ケイ素である。本発明の他の実施形態によれば、第1の誘電体層170及び第2の誘電体層200は、他の一般的な半導体誘電体材料から形成される場合がある。
【0020】
次に、
図2Bを参照すると、半導体サンプル10は研磨され、金属接触層180と配線層185との間の界面層250を研磨終点として使用することによって、第2の誘電体層200及び配線層185を徐々に除去し、研磨済半導体サンプル10’を生成する。本発明の本実施形態によれば、研磨するステップは、手動研磨または機械研磨によって実施される場合がある。
【0021】
次に、
図2Cを参照すると、接着層300は、研磨済半導体サンプル10’上に形成され、接着層300と第1の誘電体層170との間の接着力は、接着層300と金属接触層180との間の接着力より大きい。本発明の本実施形態によれば、接着層300は、接着剤層、テープ、又は、ワックス層である場合があり、接着剤層又はテープは、不揮発性且つ非液体の接着剤、例えば、制限されないが、シリコーンを備える。本発明の他の実施形態によれば、接着剤層300と第1の誘電体層170との間の接着力が接着層300と金属接触層180との間の接着力より大きい他の接着剤が適用される場合がある。また、接着層300の厚さは、例えば、限定されないが、50~100μmの範囲である。
【0022】
最後に、
図2Dを参照すると、接着層300は硬化され、その後、接着層300は剥離され、これにより接着層300と共に第1の誘電体層170の一部を除去し、金属接触層180の一部を露出させて故障分析用の半導体試料を生成する。本発明の本実施形態によれば、硬化するステップは、常温硬化、熱硬化、又は照射硬化によって実施される場合がある。
【0023】
まとめると、本発明による故障分析用の半導体試料を準備する上記方法は、前記接着層と前記第1の誘電体層との間の接着力が前記接着層と前記金属接触層との間の接着力より大きい揮発性且つ非液体の接着剤を備える接着層を使用して、前記第1の誘電体層の一部を大規模に選択的且つ効果的に除去、することによって特徴付けられ、それにより、前記金属接触層は、前記接着層によって引き起こされる化学反応または損傷無しで、完全に維持することができる。また、除去された前記第1の誘電体層の厚さは、前記接着剤層と第1の誘電体層との間に所望の接着力を有する接着層を選択することによって制御することができ、これにより、特に進歩したテクノロジーノードの半導体サンプルにおいて、故障分析用に適した半導体試料を生成することができる。
【0024】
特定の実施形態が示され、説明されてきたが、上記の議論は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されるべきである。当業者は、以下の特許請求の範囲によって文字通りかつ同等にカバーされるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。