(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】洗濯用シート
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20221202BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20221202BHJP
D06L 1/12 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/37
D06L1/12
(21)【出願番号】P 2021155721
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2018527753の分割
【原出願日】2016-12-22
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2015-0184004
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0097074
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ソク・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ムン-ソン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】キョン-オン・チャ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0021449(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0056301(US,A1)
【文献】特表2004-504449(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0130688(KR,A)
【文献】特表2007-525553(JP,A)
【文献】特開昭61-031499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
D06M10/00-23/18
D06L 1/00- 4/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)洗濯用洗剤成分を含み、水溶性高分子で製造された第1シート;及び
ii)洗濯用柔軟成分を含み、前記第1シートの水溶性高分子より水での溶解が遅い水溶性高分子で製造された第2シートを含み、
前記第1シートと前記第2シートとは、それぞれ水300mlに溶解して0.5gが全部溶解するとき、3分~15分の溶解速度の差を有することを特徴とする洗濯製品。
【請求項2】
前記第1シートと前記第2シートとは、相互に付着または分離していることを特徴とする請求項1に記載の洗濯製品。
【請求項3】
前記付着は、前記第1シートと前記第2シートとが積層された形態、または、前記第1シートと前記第2シートとが一層のシートを形成し、それぞれのシートが一層のシートで相異なる区画を有する形態であることを特徴とする請求項2に記載の洗濯製品。
【請求項4】
前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯製品。
【請求項5】
前記第1シートと前記第2シートとが水で相異なる溶解速度を有するように、前記第1シートと前記第2シートとは、
i)それぞれのシートが相異なる鹸化度または平均重合度を有する水溶性高分子で製造されるか、
ii)1以上のシートがバブリング処理を含んで製造されるか、
iii)1以上のシートが穿孔処理を含んで製造されるか、又は、
iv)前記i)~iii)のいずれか一つ以上を含んで製造されることを特徴とする請求項1に記載の洗濯製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯用シート及びその製造方法に関する。特に、洗濯用シートに含まれた成分の効果を向上できる洗濯用シート及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2015年12月22日出願の韓国特許出願第10-2015-0184004号、及び2016年7月29日出願の韓国特許出願第10-2016-0097074号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
現在、高分子フィルムは、精密化学、電子材料などの産業分野だけでなく、医薬品、化粧品などのパーソナルケア製品及び生活用品などの家庭用品にも広く用いられている。医薬または化粧品に高分子フィルムを用いる場合の例としては、基材上に水不溶性高分子フィルムとともに薬剤を積層した湿布剤シートまたは粘着性肌貼りシートなどがあり、このとき、高分子フィルムはマトリクスを形成して徐放型特性を呈する。また、生活用品における高分子フィルムは、通常、特定物質及び有効成分を分画包装して、使用上の便宜を図る包装材として広く用いられている。例えば、粉末状または液状の洗剤のような洗剤組成物を分画包装する材質として高分子フィルムが用いられている。特許文献1では、粉末洗剤の飛散を防止し、適正使用量を誘導して水質を保護するため、水溶解性に優れたポリビニルアルコールフィルム、ゼラチンフィルム、澱粉フィルム、セルロースフィルムを標準使用量袋として使用している。特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、液体洗剤及び繊維柔軟剤を水溶性フィルムで包装する技術が開示されている。
【0004】
しかし、水溶性高分子フィルムを用いて分画包装する場合、分画包装した製品の保管または運搬時に封止が破れて内容物が漏れることがあり、フィルムの表面に有効成分が染み出るなど製品の保管安定性が非常に低かった。また、包装材として使用する水溶性フィルムの場合、大気中の水気に対する安定性及び内容物に対する耐久性を有するように設計されるが、そのため低温での溶解まで相当な時間がかかり、完全に溶解せずフィルムの残留物が残る問題が生じた。
【0005】
特許文献5では、水溶性高分子フィルム形成組成物に洗濯用洗剤成分及び洗濯用柔軟成分を分布させて固形化した洗濯用シートを提供している。しかし、前記シート内で洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分とが複合体(complex)を形成するため、それぞれの性能を効果的に発現できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国特許公開第10-1999-0030414号公報
【文献】米国特許第4,605,509号公報
【文献】特開昭58-135794号公報
【文献】韓国特許公開第10-2004-0676668号公報
【文献】韓国特許公開第10-2012-0021449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、洗濯効果を向上させるための新たな洗濯製品を開発することを目的とする。
【0008】
本発明は、洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分とを同時に使用しても複合体が形成されることを防止できる洗濯製品を提供することを目的とする。
本発明は、洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分とが反応して複合体を形成することで、それぞれの性能が効果的に発現できない問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明は、水溶性高分子で製造され、水で相異なる溶解速度を有する2以上のシートを含み、前記シートは、それぞれi)洗濯用洗剤成分、ii)洗濯用柔軟成分、iii)香料(香りブースターを含む)、またはiv)これらのうち2種以上を含む洗濯製品を提供する。
【0010】
〔用語の定義〕
本明細書で使われる用語「フィルム」は、薄くて柔軟な膜または層を意味すると理解できる。厚さは特に制限されない。前記フィルムの形態は特に制限されない。
本明細書で使われる用語「洗濯用シート」、「シート」または「洗濯シート」は、前記フィルム内にi)洗濯用洗剤成分、ii)洗濯用柔軟成分、iii)香料、またはiv)これらのうち2種以上を含むものであると理解できる。前記「洗濯用シート」、「シート」または「洗濯シート」は、繊維(汚染した繊維を含む)の洗濯、繊維の柔軟、繊維の香り長持ちなど繊維を水で洗うときに提供するシートを意味する。前記シートの厚さは制限されない。前記シートは柔軟であっても良く、堅いものであっても良い。前記シートは薄い紙のような形態であっても良く、表面に凹凸がある形態で提供されても良い。
【0011】
前記洗濯用シートは、フィルムを形成するための水溶性高分子と洗濯用洗剤成分とを混合して形成した溶液から製造できるが、製造方法によって制限されず、フィルム内に洗濯用洗剤成分が含まれた形態であれば良い。前記フィルムと同じ厚さになるか、それとも、前記フィルムの厚さよりも厚くなるか又は薄くなり得る。前記洗濯用フィルムの形態は特に制限されない。
【0012】
本明細書で使われる用語「洗濯用成分」は、洗濯用洗剤成分、洗濯用柔軟成分、香料、香りブースターなどを含む意味で使われる。
【0013】
本発明は、2以上の洗濯用シートを含み、洗濯時に使用する洗濯製品を提供する。前記洗濯製品は、一回の洗濯で2以上の洗濯用シートを一緒に使用できるように提供される。
【0014】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の洗濯製品は、水溶性高分子で製造された2以上の洗濯用シートを含み、前記2以上の洗濯用シートの溶解速度の差により、それぞれの洗濯用シートに含まれた洗濯用成分が適切なタイミングで効果を発現できるように提供される。
【0015】
本発明は、洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分とを同時に使用する場合、相互反応して複合体を形成することで、それぞれの性能を効果的に発現できない問題点を解決しようとする。洗濯用柔軟成分が含まれた洗濯シートは、洗濯用洗剤成分が含まれた洗濯用シートの水溶性高分子より水での溶解が遅いため、洗濯時に洗濯用洗剤成分が含まれたシートよりもゆっくり溶解され、洗濯用柔軟成分と洗濯用洗剤成分との複合体の形成を防止することができる。
【0016】
本発明の望ましい一態様において、本発明の洗濯用シートが含まれた洗濯製品は、洗濯用洗剤成分が含まれ、水溶性高分子で製造された第1シート;及び洗濯用柔軟成分が含まれ、水溶性高分子で製造された第2シートを含み、前記第1シート及び第2シートの溶解速度の差により、含まれた洗濯用成分が適切なタイミングで効果を発現できるように具現したことを特徴とする。
【0017】
本発明の一実施例において、前記洗濯用柔軟成分が含まれた第2シートは、第1シートの水溶性高分子より水での溶解が遅い水溶性高分子で製造され、洗濯時に洗濯用洗剤成分が含まれた第1シートよりもゆっくり溶解される。前記洗濯製品は、第2シートに含まれた洗濯用柔軟成分と洗濯用洗剤成分との複合体の形成を防止することができる。
【0018】
本明細書で使われる用語「溶解速度」は、溶媒として水300mlを用いて、水溶性高分子で製造されたシート0.5gが全部溶解するまでにかかる時間(秒)を意味する。
【0019】
本発明においては、前記2以上の洗濯シートを相互分離または結合した形態で洗濯製品に含むことができる。
【0020】
本明細書で使われる用語「分離」は、1つの洗濯製品において前記2以上のシートが個別の洗濯用シートとして提供される形態を意味する。分離した洗濯用シートが含まれた本発明の洗濯製品を使用して洗濯する場合、i)洗濯用洗剤成分が含まれたシートを先に投入した後、一定時間経過後に洗濯用柔軟成分が含まれたシートを投入するか、それとも、ii)2つのシートを同時に投入する方式で製品を使用することができる。また、所望の洗濯用成分が含まれた洗濯用シートを複数枚投入する方式も可能である。例えば、洗濯用洗剤成分が含まれたシートを2枚以上投入し、洗濯用柔軟成分が含まれたシートを1枚投入する方式でも使用できる。本発明において、洗濯用柔軟成分の含まれたシートは洗濯用洗剤成分が含まれたシートの水溶性高分子より水での溶解が遅いため、前記ii)の方式を用いて2種のシートを同時に投入しても、洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分との複合体が形成されることを防止することができる。
【0021】
本明細書で使われる用語「結合」は、2以上の洗濯用シートが離れないように付いて洗濯製品として提供される形態を意味し、連結、付着などが含まれる意味で理解される。
前記結合は、例えば、2以上の洗濯用シートが縦に積層された形態;または2以上の洗濯用シートが横に連結された形態で提供され得る。前記横に連結された形態は、2以上の洗濯用シートが一平面で相異なる区画を有する形態であり得る。
【0022】
前記2以上の洗濯用シートの積層形態は、2以上のシートを同じ大きさで積層して、洗濯用シートのすべての面積が積層された層と同一であっても良く、それぞれのシートを互いに一部重ねて積層しても良い。
【0023】
また、本発明による洗濯製品に含まれた2以上のシートが水で相異なる溶解速度を有するように、前記2以上のシートは、i)それぞれのシートが相異なる鹸化度または平均重合度を有する水溶性高分子で製造されるか、ii)1以上のシートがバブリング(bubbling)処理などで製造されるか、iii)1以上のシートが穿孔処理を含んで製造されるか、またはiv)前記i)~iii)のいずれか1つ以上を含んで製造され得る。
【0024】
すなわち、本発明による洗濯製品に含まれた2以上のシートは、それぞれのシートが相異なる溶解速度を有すれば、特定の製造方式によって限定されない。
【0025】
本発明による洗濯製品に含まれた洗濯用シートを製造するための水溶性高分子は、天然、半合成、合成高分子から1種以上を選択でき、同じ水溶性高分子であっても良く、相異なる高分子であっても良い。例えば、洗濯用柔軟成分を含むシートが洗濯用洗剤成分を含むシートよりも水でゆっくり溶解されるなら、それぞれのシートで使用する水溶性高分子は同じ高分子であっても良く、相異なる高分子であっても良い。
【0026】
天然高分子としては、ゼラチン、ペクチン、デキストラン、ヒアルロン酸またはその塩、コラーゲン、寒天、アラビアガム、キサンタンガム(xanthan gum)、アカシアガム、カラヤガム(karaya gum)、グアーガムのようなガム類、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどが使用できる。
【0027】
また、半合成高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、可溶性澱粉、デキストリン、カルボキシメチル澱粉、ジアルデヒド澱粉などが使用できる。
【0028】
合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレンオキサイド、カルボキシ基含有アクリル樹脂、カルボキシ基含有ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド、水溶性ポリウレタン、マルトデキストリン及びポリデキストロースのように周知された汎用合成高分子から選択でき、ラジカル重合性モノマーを用いて製造した水溶性合成高分子を選択することもできる。ラジカル重合性モノマーから合成された高分子には、イオン性モノマー及び非イオン性モノマーの単一重合体を使用でき、場合によってはこれらの共重合体を使用することもできる。
【0029】
フィルム形成水溶性高分子の望ましい例としては、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)が挙げられる。
【0030】
ポリビニルアルコールは、溶解性を確保するため、鹸化度が65~95%、平均重合度が100~3000であることが望ましい。鹸化度が65%未満または95%超過の場合は、溶解度が低くて水に溶解され難いという問題が生じ得る。また、平均重合度が100未満の場合は、分子量が低く過ぎてフィルム形成が容易ではなく、フィルムの引張強度などの物性が良くない。平均重合度が3000超過の場合は、分子量が高過ぎてフィルム形成後に水に対する溶解度が良くない。
【0031】
本発明による洗濯製品に含まれたそれぞれのシートは、ポリビニルアルコールで製造でき、前記ポリビニルアルコールは65~95%の鹸化度及び100~3000の重合度を有し得る。
【0032】
本発明による洗濯製品に含まれた第1シート及び第2シートの溶解速度の差は30秒~20分であり得、3分~15分であることが望ましく、5分~10分であることがさらに望ましい。これは洗濯用洗剤成分が含まれた第1シートが溶解された後、洗濯用柔軟成分が含まれた第2シートが溶解される速度を考慮して適切に調節でき、前記溶解速度の差はポリビニルアルコールの鹸化度及び/または重合度の差によって適切に調節することができる。
【0033】
前記水溶性高分子は、乾燥後の洗濯用シートの総重量に対して5~80重量%で含まれ得、望ましくは10~60重量%、さらに望ましくは20~50重量%である。水溶性高分子の含量が5重量%より少ない場合は洗濯用シートの引張強度が低過ぎてフィルムを形成し難い。80重量%より多い場合は、相対的に有効成分の含量が少なく、洗濯用シートの機能が低下するか、又は、一定量の有効成分のために使用される水溶性高分子の含量が増加して経済的ではない。
【0034】
一方、本発明による洗濯用シートにおいて、フィルム形成水溶性高分子の「水溶性」は、以下のような測定条件で定義することができる。
【0035】
フィルム形成高分子で製造された一定量のフィルム(5g)を500mLの水に入れ、500rpmに設定されたマグネット式撹拌機上で10分間激しく撹拌して製造したフィルム溶液を、最大気孔10μmの濾過紙に濾過した後、回収した濾過液から水を乾燥させて残余物質の重量を測定する。その重量が初期フィルムの重量対比70%以上、望ましくは80%以上、さらに望ましくは90%以上であるとき、水溶性高分子と定義する。
水分散性高分子も本発明におけるフィルム形成水溶性高分子の範疇に属する。
【0036】
本明細書で使われる用語「水分散性」の意味は、以下のようである。
【0037】
一定量のフィルム(5g)を500mLの水に入れて、500rpmに設定されたマグネット式撹拌機上で10分間激しく撹拌し、前記フィルム溶液を100μm気孔のフィルターに濾過した後、濾過したフィルターを乾燥して重量の変化を測定する。その重量の変化が初期フィルムの重量対比30%以下、望ましくは20%以下、さらに望ましくは10%以下であるとき、水分散性フィルム形成高分子と定義する。
【0038】
また、本発明で使われる水溶性高分子は、フィルムマトリクスを形成可能な成膜性を有するが、洗濯用シート内の水溶性高分子の絡み合った高分子鎖は洗濯時に溶媒によって再度解けるようになる。すなわち、前記水溶性高分子は、高分子鎖の形態であって、固形化するときは高分子鎖が絡み合って凝集し、溶媒に溶解されるときは高分子鎖が解けて第3の物質が高分子鎖の間に挿入できることを特徴とする。
【0039】
本発明による洗濯用シートの製造に使われる溶媒は、水溶性高分子を溶解するために水を使用することができる。親水性溶媒であるアルコール類などを使用できるが、水溶性高分子の溶解性が低下するため、水を使用することが望ましい。
【0040】
また、本発明による洗濯製品に含まれた2以上のシートは、溶解速度の調節のため、バブリング処理を施すことができる。すなわち、それぞれのシートのうちいずれか1以上のシートをバブリング処理を含んで製造すれば、水溶解性が改善され、バブリング処理をしていないシートより溶解速度を速めることができる。望ましくは、前記バブリング処理を通じて洗濯用シートの比重を0.45~0.95に調節して使用でき、優れた効果は後述する実施例で確認する。
【0041】
また、本発明による洗濯製品に含まれた2以上のシートは、溶解速度の調節のため、穿孔処理を施すことができる。本発明において、前記穿孔処理は洗濯用シートに孔を形成することを意味し、前記孔は特定の模様に限定されないが、望ましくは円形を基準にして直径が0.001~50mm、望ましくは0.01~10mmであり得、上記面積内であれば如何なる模様の孔も本発明の範囲に含まれる。また、シート全体面積に対する穿孔処理面積の比率は、シートの総面積対比50%未満が望ましく、30%未満がさらに望ましい。後述する本発明の実施例で確認するように、穿孔処理を通じて、穿孔処理していないシートより溶解速度が速まることを実験的に確認し、それによる優れた効果も実験的に確認した。
【0042】
すなわち、本発明の2以上の洗濯シートを含む洗濯製品は、それぞれの洗濯シートが相異なる溶解速度を有するようになるなら、如何なる方式でも製作することができる。
さらに、本発明の洗濯製品は、それぞれの洗濯用シートが相異なる溶解速度を有し、洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分とが時間差を置いてそれぞれの洗濯シートから放出される形態で提供されるなら、如何なる製造方法も用いることができる。
【0043】
例えば、第1シート(洗濯洗剤成分が含まれた洗濯用シート)に使用した水溶性高分子と同じ水溶性高分子で製造された第2シート(洗濯柔軟成分が含まれた洗濯用シート)が製造される場合は、前記第1シートにバブリング処理及び/または穿孔処理を施して製造することで、本発明が解決しようとする課題を解決することができる。前記同じ水溶性高分子は、鹸化度及び重合度が同じ水溶性高分子であるという意味で理解できる。
【0044】
本発明において、前記「洗濯用洗剤成分」は、一般に広く使われている陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤であり得、これらのうち2種以上を混合した形態であっても良い。
【0045】
前記陰イオン界面活性剤としては、せっけんのようなカルボン酸塩化合物、高級アルコール、高級アルキルエステル、オレフィンを硫酸化した硫酸エステル塩化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩を含む硫酸塩化合物、高級アルコールをリン酸化したリン酸塩化合物を代表的に挙げられる。
【0046】
例えば、これらに限定されないが、ラウリルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エトキシル化ナトリウム(sodium lauryl ethoxylated sulfate)、sec-アルカンスルホン酸塩及びメチルエステルスルホン酸塩(methyl ester sulfonate)などが挙げられ、これらを単独または2以上の混合物で使用することができる。望ましくは、前記陰イオン界面活性剤のうち、ラウリル硫酸ナトリウムを使用することができる。
【0047】
また、前記非イオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、コカミドモノメチルアミン、コカミドジメチルアミン、コカミドモノエチルアミン、脂肪酸アルカノールアミン、アミンオキサイド、アルキルポリグルコシド、メチルポリエチレンアルキルエーテルまたは糖エーテルなどが挙げられ、これらを単独または2以上の混合物で使用することができる。特に、下記化学式1で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、または、下記化学式2で表されるポリオキシアルキレンアルキルフェニルエテルを使用することが望ましい。
【0048】
【0049】
【0050】
上記化学式1及び化学式2において、mは5~21の整数であり、nは1~20の整数である。
【0051】
また、前記両性界面活性剤は、これらに限定されないが、アミンオキサイド、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)などがあり、これらを単独または2以上の混合物で使用することができる。
【0052】
また、本発明において、前記「洗濯用柔軟成分」は一般に広く使用されている繊維柔軟剤を含む。
【0053】
より詳しくは、本発明による洗濯製品は、繊維柔軟剤として第四級アンモニウム塩系統の陽イオン界面活性剤を使用することができる。例えば、下記化学式3で表されるジアルキルジメチル塩化アンモニウム、下記化学式4で表されるアルキルイミダゾリウム塩、下記化学式5で表されるジアルキルアミド第四級アンモニウム塩(dialkylamido quaternary ammonium salt)及びエステルクワット型(ester quat type)などがあり、これらから1つ以上を選択して使用することができる。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
上記化学式3~化学式5において、それぞれのRは相互独立して、炭素数1~30の線状または分枝状、飽和または不飽和アルキル炭化水素からなる群より選択される。
【0058】
また、前記繊維柔軟剤の成分として、天然または合成の陽イオン性ポリマーを使用することができる。例えば、これらに限定されないが、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドなどの陽イオングアー、セルロース(ポリクオタニウム-10)、ポリクオタニウムシリーズ、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドポリマー、アクリルアミド-ジメチルジアリルアンモニウムコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)-ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、アクリル酸-ジメチルジアリルアンモニウムクロライドコポリマー、アクリルアミド-ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライドコポリマー、トリメチルアミノエチルメタクリレートポリマーなどを単独または2以上の混合物で使用することができる。
【0059】
また、本発明による洗濯製品は、前記2以上のシートに含まれてまたは別個に、分散剤、香料、防腐剤、安定化剤、色素または抗菌剤をさらに含むことができる。前記香料は香りブースターを含むことができる。
【0060】
望ましくは、前記分散剤は洗濯用洗剤成分が含まれたシートに含まれ、前記香料は洗濯用柔軟成分が含まれたシートに含まれ得る。
【0061】
本発明の望ましい一実施例による洗濯製品は、
相異なる溶解速度を有する水溶性高分子を溶解して2以上の洗濯用シート製造用溶液をそれぞれ製造する段階(S1);
前記段階(S1)で製造されたそれぞれの洗濯用シート製造用溶液に、同一または相異なる洗濯用成分を添加して混合する段階(S2);
前記段階(S2)で製造されたそれぞれの溶液から洗濯用シートを形成する段階(S3);及び
それぞれの洗濯用シートを結合する段階(S4)を含んで製造することができる。
【0062】
前記段階(S1)で水溶性高分子は塊に凝集していた高分子鎖が解け、段階(S2)で解けた高分子鎖の間に洗濯用成分、例えば、i)洗濯用洗剤成分、ii)洗濯用柔軟成分、iii)香料、またはiv)これらのうち2種以上が分布し、段階(S4)の以前または以後に乾燥段階を含み、水溶性高分子が再凝集しながら固形化するとき、高分子鎖の間で洗濯用成分が物理的にシート内部に位置するようになる。
【0063】
望ましくは、前記段階(S2)で添加する洗濯用成分は洗濯用洗剤成分または洗濯用柔軟成分であり得、前記洗濯用洗剤成分は、前記段階(S1)で製造されたそれぞれの洗濯用シート製造用溶液のうち溶解速度が最も高い水溶性高分子が含まれた溶液(第1シートを形成するための溶液)に添加する。また、前記洗濯用シート製造用溶液のうち溶解速度が最も高い水溶性高分子が含まれた溶液以外の洗濯用シート製造用溶液(第2シートを形成するための溶液)に洗濯用柔軟成分を添加することができる。
【0064】
したがって、前記洗濯用柔軟成分が添加された洗濯用シートは、洗濯用洗剤成分が添加された洗濯用シートと溶解速度が相異なり、望ましくは溶解速度が遅いことを特徴とする。このようにして製造された洗濯製品は、洗濯時に洗濯用洗剤成分と洗濯用柔軟成分との複合体の形成を防止する。前記溶解速度は、上述した洗濯製品についての説明と同様である。
【0065】
また、前記段階(S4)においての結合は、洗濯用シートを積層する形態;または一平面の洗濯用シートを形成し、それぞれの洗濯用シートが一平面の洗濯用シートで相異なる区画を有する形態であり得る。
【0066】
前記乾燥段階の反応条件は、工程条件によって異なるが、乾燥炉の温度が40~120℃、乾燥時間は5~30分、乾燥速度は1~10m/minであり得る。
【0067】
本発明による洗濯用シートの引張強度は0.5~15kgf/cm2であることが望ましく、さらに望ましくは1~12kgf/cm2である。洗濯用シートの引張強度が0.5kgf/cm2より低ければ、流通過程中又は使用中に破れ易くて流通及び使用が困難であり、15kgf/cm2より高ければ、速溶解性が低下する恐れがある。
【0068】
本発明による洗濯用シートの厚さは、1μm~1cmであることが望ましく、5μm~0.5cmであることがより望ましい。乾燥した洗濯用シートの厚さが1μm未満であれば、有効成分の担持が不十分であり、シートの強度が弱く、所望の性能が得られない。乾燥した洗濯用シートの厚さが1cmを超えれば、シートの溶解度が良くなく、均一な性相の水溶性フィルムが得難い。
【0069】
本発明による洗濯用シートは、使用完了後には水に完全に溶解されて、別途の洗濯用シートの除去過程がなくても良い。すなわち、シートのマトリクスを形成する水溶性高分子は水に溶解されて除去され、含まれた洗濯成分は洗濯水に溶解又は分散して効果を発揮する。
【0070】
本発明の洗濯製品は、洗濯用洗剤成分が含まれたシートと洗濯用柔軟成分が含まれたシートとが1つのパッケージを形成して流通され得る。
【0071】
前記洗濯製品のユーザは、洗濯製品に含まれた相異なる水溶解度を有するそれぞれの洗濯シートを一度に洗濯槽に入れて使用することができる。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、水に完全に溶解されて、洗濯後に除去する必要のない洗濯用シートを提供する。
【0073】
本発明の洗濯用シートは、洗浄性能に優れ、使用が簡便である。
【0074】
また、洗濯用シートの保存安定性に優れる。
【0075】
簡便に使用できるため、洗濯時に便利に使用することができる。
【0076】
図
本発明の洗濯製品は、洗浄成分と柔軟成分とを別に担持させることで、より効率的に洗浄性能と柔軟性能を同時に提供する。
【0077】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明の洗濯製品の一実施例であって、洗濯用洗剤成分を含む第1シート10と洗濯用柔軟成分を含む第2シート20とが積層された形態の洗濯製品1を示した図である。
【
図2】本発明の洗濯製品の他の実施例であって、洗濯用洗剤成分を含む第1シート10と洗濯用柔軟成分を含む第2シート20とが結合されて一平面を形成し、相互区画された形態の洗濯製品2を示した図である。ここで、Lはシートの連結部である。
【
図3】本発明の洗濯製品のさらに他の実施例であって、洗濯用洗剤成分が含まれた洗濯用シート10からなる一層、及び洗濯用柔軟成分が含まれた洗濯用シート20と香料及び/または香りブースターが含まれた洗濯用シート30とが区画されて横に連結された他層の二層に積層された形態の洗濯製品3を示した図である。ここで、Lはシートの連結部である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、本発明の理解を助けるため、実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例によって限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0080】
<比較例1>
PVA(鹸化度:72%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0081】
<比較例2>
PVA(鹸化度:82%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0082】
<比較例3>
PVA(鹸化度:72%、平均重合度:700)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0083】
<比較例4>
PVA(鹸化度:88%、平均重合度:1,000)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0084】
<実施例1>
シート(1):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0085】
シート(2):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:700)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0086】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(洗濯製品、厚さ:0.02cm)を製造した。
【0087】
<実施例2>
シート(1):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最
【0088】
終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
シート(2):PVA(鹸化度:88%、平均重合度:1,000)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0089】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(洗濯製品、厚さ:0.02cm)を製造した。
【0090】
<実施例3>
シート(1):PVA(鹸化度:82%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0091】
シート(2):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:700)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0092】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(洗濯製品、厚さ:0.02cm)を製造した。
【0093】
<実施例4>
シート(1):PVA(鹸化度:82%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0094】
シート(2):PVA(鹸化度:88%、平均重合度:1,000)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表1に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0095】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(洗濯製品、厚さ:0.02cm)を製造した。
【0096】
【0097】
<実験例1>シート溶解性及び性能の評価
実施例1~4及び比較例1~4で製造した洗濯用シートに対し、下記方法によってシート溶解性及び性能を評価した。性能評価項目は日本洗濯科学協会の汚染布による洗浄力と柔軟性とに分けて実施した。
【0098】
(シート溶解性の評価)
実施例1~4及び比較例1~4で製造した洗濯用シートの溶解性は、次のように測定した。
【0099】
15cm×15cm大きさの黒い布(ウール50%、ポリエステル50%)に、それぞれの洗濯製品を16cm×25cmに切り4回折って入れ、ケーブルタイで入口を締める。2Lのビーカーに精製水1Lを入れて用意した黒い布を5分間浸けてから、10分間撹拌したとき700mlまで渦流が発生する条件で撹拌する。撹拌後、100℃で2時間乾燥して、洗濯製品試料の前後の重量を測定し、減少した重量を百分率で示して溶解特性を評価する。その結果を下記表2に示した。
【0100】
【0101】
(洗浄力の評価)
洗浄力は同じ条件の洗濯機を使用して評価し、洗濯水としては一般水道水を使用した。また、洗濯時の温度は一般家庭で使用する条件と同じ冷水を使用し、洗浄力評価のための汚染布は日本洗濯科学協会で製造した湿式人工汚染布を使用した。また、前記汚染布は実際の綿ティーシャツに付着して評価した。また、大きさ5cm×5cmの汚染布を16枚使用して統計的な方法で比較評価した。このとき、汚染布の白色度を表す値であるWB値は洗濯前後に色差計を用いて測定した。上記の実施例で製造した洗濯用シートを20cm×15cmの大きさで裁断し、裁断されたシート2枚を使用した。
【0102】
洗濯初期に洗濯用シートを汚染布とともに投入し、洗濯機の標準コース(洗濯20分、すすぎ2回)、中水位の洗濯条件で実施し、脱水された汚染布を恒温恒湿室(25℃、20%RH)で1日間乾燥し、アイロンをかけて同一色差計でWB値を測定した。得られた結果を下記数式1で表されるクベルカ-ムンク式に代入して洗浄力を計算し、その結果を下記表3に示した。
【0103】
【数1】
数式1において、R
sは汚染布の表面反射率を示し、R
cは洗濯工程後の汚染布の表面反射率を示し、R
oは白色綿布の表面反射率を示す。
【0104】
【0105】
表3に示されたように、溶解速度の相異なる有効成分を別に担持させた実施例1~4の洗浄性能が優れた。
【0106】
(柔軟性の評価)
洗濯後の柔軟性はEL306の試験方法に準じて評価し、洗濯衣類としてタオル3枚を使用した。上記の比較例及び実施例で製造した洗濯用シートを20cm×15cmの大きさで裁断し、裁断されたシート2枚を使用した。洗濯初期に洗濯用シートをタオルとともに投入して実施し、洗濯後、12時間恒温恒湿室で乾燥した。柔軟性の評価は専門モニタリング要員10人の官能評価で行った。
【0107】
判定は、基準である何も添加しなかったものに対比して、同等な場合0点、基準対比良好な場合1点、基準対比優れた場合2点、基準対比多少劣る場合-1点、基準対比劣るの場合-2点で評価し、その結果を下記表4に示した。
【0108】
【0109】
表4に示されたように、溶解速度の相異なる有効成分を別に担持させた実施例1~4で柔軟性能が優れた。
【0110】
<実験例2>物理的処理によるシート性能の評価
<比較例5>
シート(1):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0111】
シート(2):前記シート(1)と同じPVA(鹸化度:72%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0112】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(洗濯製品、厚さ:0.02cm)を製造した。
【0113】
<比較例6>
シート(1):PVA(鹸化度:82%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0114】
シート(2):前記シート(1)と同じPVA(鹸化度:82%、平均重合度:500)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0115】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0116】
<比較例7>
シート(1):PVA(鹸化度:72%、平均重合度:700)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0117】
シート(2):前記シート(1)と同じPVA(鹸化度:72%、平均重合度:700)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0118】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0119】
<比較例8>
シート(1):PVA(鹸化度:88%、平均重合度:1,000)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0120】
シート(2):前記シート(1)と同じPVA(鹸化度:88%、平均重合度:1,000)200gを蒸留水800gに投入した後、80℃で4時間溶解させて20重量%のPVA溶液を製造した。製造したPVA溶液に、下記表5に示された組成比に従って有効成分を添加した後、撹拌機を用いて混合した。混合した溶液を離型フィルム上に載せて、エルコメーター社製のフィルムアプリケーターを用いて一定厚さで製造した後、105℃の乾燥炉で10分間乾燥し、最終有効成分を含む洗濯用シート(厚さ:0.01cm)を製造した。
【0121】
製造したシート(1)とシート(2)とを合紙して最終シート(厚さ:0.02cm)を製造した。
【0122】
下記表5には、比較例5~8のシート製造時に、より速い溶解が求められる洗浄成分が適用されるシート(1)に対し、上記比較例でのPVA溶液と有効成分とを混合した溶液に対して空気を注入しながら撹拌することで溶液内に微細気泡を形成するバブリング処理、又は、上記比較例で製造したシート(1)に対して打抜機を用いた穿孔処理を行った実施例を示した。
【0123】
【0124】
比較例5~8、実施例5~12で製造したシートに対する洗浄力評価の結果を下記表6に示した。
【0125】
【0126】
表6に示されたように、物理的処理を行う場合、洗浄性能がさらに優れることが確認できる。
【0127】
比較例5~8、実施例5~12で製造したシートに対する柔軟性評価の結果を下記表7に示した。
【0128】
【0129】
表7に示されたように、物理的処理を行う場合、柔軟性能がさらに優れることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、水に完全に溶解されて、洗濯後に除去する必要のない洗濯用シートを提供する。本発明は洗浄性能に優れ、使用が簡便であり、保存安定性に優れた洗濯用シートを提供する。柔軟成分と洗濯成分とが有するそれぞれの目的を効果的に達成することができる。
【符号の説明】
【0131】
3 洗濯製品
10 第1シート
20 第2シート 精製水
30 洗濯用シート