(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20221202BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
A47L15/46 E
A47L15/42 T
(21)【出願番号】P 2021510987
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2018073266
(87)【国際公開番号】W WO2020043285
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラゾル イルファン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0359405(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第04418558(DE,A1)
【文献】特開昭63-160629(JP,A)
【文献】特開2011-004864(JP,A)
【文献】特開平07-313434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00-15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、
洗浄処理物に水を噴射するための一つ以上の噴射孔を有するスプレーアームと、前記スプレーアームに水を送るためのパイプとを備えるスプレーアームアセンブリと、
前記パイプを通して前記スプレーアームに水を圧送するためのポンプとを備え、
前記パイプは、前記ポンプから前記スプレーアームの少なくとも一部への水流を前記パイプに対する前記スプレーアームの姿勢に応じて少なくとも部分的に規制することで前記ポンプの電力消費が前記パイプに対する前記スプレーアームの姿勢に少なくとも部分的に応じるよう構成かつ配置され、
前記コントローラは、前記スプレーアームの回転情報を判定するために前記ポンプの前記電力消費を監視するよう構成され
、
前記パイプは、前記スプレーアームへの前記水流を少なくとも部分的に規制する障壁部を備え、
前記障壁部は、前記パイプの端面から垂直方向に突出し、前記垂直方向に見た平面視において前記パイプの曲率半径と同じ曲率半径である半円形を有することを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
請求項
1に記載の食器洗浄機において、前記障壁部は前記パイプと一体形成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項3】
請求項
1または請求項
2に記載の食器洗浄機において、前記一つ以上の噴射孔は、水が前記一つ以上の噴射孔から吐出されたときに前記スプレーアームの回転が容易になるよう配列されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の食器洗浄機において、前記スプレーアームは第一側と第二側とを備え、前記スプレーアームの前記第一側は前記スプレーアームの前記第二側よりも多くの噴射孔を有することを特徴とする食器洗浄機。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の食器洗浄機において、前記コントローラは、判定された前記ポンプの電力消費と前記ポンプの予測電力消費とを比較することによって前記スプレーアームの回転情報を判定するよう構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項6】
請求項
5に記載の食器洗浄機において、前記コントローラは、前記判定された前記ポンプの電力消費が前記ポンプの予測電力消費と所定値を超えて異なるとき、ユーザに警報を出力するよう構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項7】
請求項
5または請求項
6に記載の食器洗浄機において、前記コントローラは、前記判定された前記ポンプの電力消費が前記ポンプの予測電力消費と所定時間よりも長い間異なるとき、ユーザに警報を出力するよう構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、食器洗浄機および食器洗浄機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機(食洗器とも呼ばれる)は、食器類やカトラリーなどの物品を洗浄するのに用いられる。公知の食器洗浄機は、一つ以上の被洗浄物を保持するための洗浄室と、これらの物品を洗浄するための洗浄機構とを備える。このような洗浄機構は、通常一つ以上のスプレーアームを備える。通常、ユーザは食器洗浄機の前面のユーザインタフェースを介して複数の所定の洗浄サイクルから選択する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される第一の側面によれば、食器洗浄機であって、コントローラと、洗浄処理物に水を噴射するための一つ以上の噴射孔を有するスプレーアームとスプレーアームに水を送るためのパイプとを備えるスプレーアームアセンブリと、パイプを通してスプレーアームに水を圧送するためのポンプとを備え、パイプは、ポンプからスプレーアームの少なくとも一部への水流をパイプに対するスプレーアームの姿勢に応じて少なくとも部分的に規制することでポンプの電力消費がパイプに対するスプレーアームの姿勢に少なくとも部分的に応じるよう構成かつ配置され、コントローラは、スプレーアームの回転情報を判定するためにポンプの電力消費を監視するよう構成される方法が提供される。
【0004】
ポンプによって消費される電力のサイクルを監視することにより、コントローラは、いつ、不正確に配置された被洗浄物などの食器洗浄機内の障害物によってスプレーアームの動きが阻害されるかを正確に判定することができる。これは、スプレーアームが通常回転しているとき、ポンプの電力消費は特定の予測されたサイクルにしたがうことになるからである。ポンプの電力消費がこのサイクルと異なる場合、コントローラはスプレーアームが正確に回転していないことを認識する。この構成によれば、スプレーアームの動きが阻害されている場合、洗浄サイクルを停止可能であることから、スプレーアームおよびウォーターポンプへのダメージを防止するのに役立つ。さらに、食器洗浄機によりもたらされる洗浄性能が、正確に回転していないスプレーアームにより影響されないことも確実にする。
【0005】
一例では、パイプは、スプレーアームへの水流を少なくとも部分的に規制するための障壁部を備える。
【0006】
一例では、障壁部は、パイプと一体形成される。
【0007】
一例では、障壁部はパイプの端面から上方に突出する。
【0008】
一例では、一つ以上の噴射孔は、一つ以上の噴射孔から水が吐出されたとき、スプレーアームの回転を容易にするよう配列される。
【0009】
一例では、スプレーアームは第一側と第二側とを備え、スプレーアームの第一側は、スプレーアームの第二側よりも多くの噴射孔を有する。
【0010】
一例において、コントローラは、判定されたポンプの電力消費とポンプの予測電力消費とを比較することによって、スプレーアームの回転情報を判定するよう構成される。
【0011】
一例において、コントローラは、判定されたポンプの電力消費が、ポンプの予測電力消費と、所定値を超えて異なるとき、ユーザに警報を出力するよう構成される。
【0012】
一例において、コントローラは、判定されたポンプの電力消費が、ポンプの予測電力消費と、所定時間よりも長い間異なるとき、ユーザに警報を出力するよう構成される。
【0013】
本明細書に開示される第二の側面によれば、方法であって、ポンプからスプレーアームの少なくとも一部への水流を少なくとも部分的に規制するよう構成かつ配置されるパイプに対するスプレーアームの姿勢に少なくとも部分的に応じた、食器洗浄機のスプレーアームアセンブリに水を圧送するためのポンプの電力消費を監視し、ポンプの監視された電力消費からの情報を用いてスプレーアームの回転情報を判定する方法が提供される。
【0014】
一例において、この方法では、判定されたポンプの電力消費とポンプの予測電力消費とを比較することによりスプレーアームの回転情報を判定する。
【0015】
一例において、この方法では、判定されたポンプの電力消費が、ポンプの予測電力消費と所定値を超えて異なるとき、ユーザに警報を出力する。
【0016】
一例において、この方法では、判定されたポンプの電力消費が、ポンプの予測電力消費と所定時間よりも長い間異なるとき、ユーザに警報を出力する。
【0017】
一例において、この方法では、判定されたポンプの電力消費がポンプの予測電力消費と異なるときに、食器洗浄機の洗浄サイクルを停止する。
【0018】
一例において、この方法では、警報が解除されたと判定されたとき、洗浄サイクルを自動的に再開する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願開示の理解を促進し、実施形態がどのように実施されるかを示すため、例示的に添付図面が参照される。
【0020】
【
図2】スプレーアームが第一姿勢にある第一の例にかかるスプレーアームアセンブリの図を模式的に示す。
【
図3】スプレーアームが第二姿勢にある第一の例にかかるスプレーアームアセンブリの図を模式的に示す。
【
図4】スプレーアームが第一姿勢にある第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの図を模式的に示す。
【
図5】スプレーアームが第二姿勢にある第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの図を模式的に示す。
【
図6】スプレーアームが第一姿勢にある第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの平面図を模式的に示す。
【
図7】スプレーアームが第一姿勢と第二姿勢との間を移行中の第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの平面図を模式的に示す。
【
図8】スプレーアームが第二姿勢にある第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの平面図を模式的に示す。
【
図9】スプレーアームが第二姿勢と第一姿勢との間を移行中の第二の例にかかるスプレーアームアセンブリの平面図を模式的に示す。
【
図10】一例にかかるポンプの時間に対する電力消費のグラフを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願開示は、食器洗浄機(食洗器とも呼ばれる)に適用可能である。食器洗浄機は、食品調理および/または料理および/または食事に関連する物品の洗浄を自動化するのに用いられる。このような物品は皿、ボウル、コップ、マグなどの食器を含む。このような物品は、ナイフ、フォーク、スプーンなどのカトラリー、または実際には他の任意の調理および食事用具をも含んでよい。洗浄可能な他の物品は、ガラス製品、食品容器などを含んでもよい。
【0022】
図1は食器洗浄機100の一例を模式的に示す。食器洗浄機100は、内部に洗浄室104が設けられる本体102を備える。洗浄室104は、下部106と上部108とを備える。下部106は被洗浄物を保持するためのトレイまたはラック110を備え、上部108は被洗浄物を保持するためのトレイまたはラック112を備える。ラック110および112は、ローラアセンブリ上で洗浄室104から出し入れ可能である。
【0023】
被洗浄物は114として模式的に示される。本ケースでは、被洗浄物は、ラック112上の皿116および118、およびラック120上の皿120および122として模式的に表される。当然ながら、他の任意の種類の被洗浄物または被洗浄物の組み合わせがあってもよい。
図1の例では、洗浄機構123は下部106のスプレーアーム124と、上部108のスプレーアーム126とを備える。別の例では、上部スプレーアーム126は省略される。各スプレーアームは、スプレーアーム124および126の回転中に、噴射水を上方に被洗浄物114に向けて噴射可能な一連の孔またはノズルを備える。これらは通常噴射孔と呼ばれる。これらは出水口と呼んでもよい。スプレーアーム124および126を、水を噴出しながら回転させることは、洗浄のために投入された物品を洗浄するのに役立つ。
【0024】
図1の例では、スプレーアーム124はパイプ125に接続される。パイプ125により、スプレーアーム124のパイプ125の中心軸周りの回転が可能となる。パイプ125とスプレーアーム124とは、スプレーアームアセンブリ121に含まれると考えられる。
図1の例では、スプレーアーム126はパイプ127に接続される。パイプ127により、スプレーアーム126のパイプ127の中心軸周りの回転が可能となる。
【0025】
食器洗浄機100はさらに、それぞれ食器洗浄機に水を供給、および食器洗浄機から水を除去する注水口128と排水口130とを備える。いくつかの例では、ヒータ素子(図示略)が、必要に応じて水を加熱するために設けられる。別の例では、熱水および冷水が、必要に応じて建物の供給口から引き込まれる。電源コネクタが132として示され、これにより食器洗浄機に電力を供給するための主電源と食器洗浄機とを接続可能とする。
【0026】
ウォーターポンプが150に模式的に示される。ウォーターポンプ150は、水を食器洗浄機100に分配するよう構成され、配置される。例えば、ウォーターポンプ150は、水をスプレーアーム124および126に圧送することができる。噴射された水は、食器洗浄機100のベースないし汚水だめ152に落ち、そこから水をポンプ150によって(いくつかの例ではろ過後に)リサイクル可能である。
【0027】
いくつかの例では、スプレーアーム124および126の回転は、スプレーアームの噴射孔から吐出される水の力によって生じる。このような例では、噴射孔は、このような回転が生じやすくなるように配置および/または配向される。加えて、あるいはこれに代えて、模式的に148に示される一つ以上のモータが、スプレーアーム124、126の回転の動力となるように設けられてもよい。
【0028】
食器洗浄機の動作を制御するためのコントローラが134に模式的に示される。コントローラ134は、例えば、ユーザインタフェース136を介して選択された一つ以上の所定の洗浄サイクルにしたがって、食器洗浄機を動作させることができる。利用可能な洗浄サイクルは、例えば温度および/または持続時間において互いに異なってもよい。ユーザは、ユーザインタフェース136を介して、洗浄サイクルが満載ないし半載のいずれのためのものかも選択可能であってもよい。情報をユーザに表示可能なディスプレイ138も設けられる。これは、ユーザの洗浄サイクルの選択を確認する情報、ならびに実行中の洗浄サイクルの残り時間などの情報を含んでもよい。
【0029】
食器洗浄機の扉が140に模式的に示される。扉140は、ヒンジ142および144を介して本体120に接続される。
図1において、扉は開位置にあり、洗浄室104へのアクセスが可能である。扉140は、洗浄室104がほぼ内部に閉じ込められるよう閉位置に移動可能である。扉140は、洗浄中に食器洗浄機に放出可能な食器洗剤(食器洗浄キューブなど)を保持するための容器を有してもよい。当然ながらこの食器洗剤保持用容器は、食器洗浄機内の他の場所に配置されてもよい。食器洗浄機は、例えば、食器洗浄機用塩および/またはすすぎ助剤を収納するための一つ以上の別容器を備えてもよい。
【0030】
食器洗浄機100の洗浄サイクルは、三つの基本フェーズを含む。第一に、被洗浄物114は、洗浄機構123によって濡らされる。次に、熱水と食器洗剤との混合物とを洗浄機構123により被洗浄物114に噴射することにより、被洗浄物114が洗浄される。最後に、被洗浄物114は、きれいな水ですすがれ、食器洗浄機内の余熱により、空気で乾燥、または熱風を洗浄室104内に循環させるファンによって乾燥させられる。
【0031】
本願発明者は、洗浄サイクル中に、スプレーアーム124、126の一方または双方の回転が停止することがあることを認識している。例えば、スプレーアーム124、126は、被洗浄物114と接触することがあり、これによりスプレーアームの回転が阻害される。これにより、動きの阻害されたスプレーアームによって噴射される水が被洗浄物114の全てに到達できないことから、被洗浄物114が十分に洗浄できない可能性がある。
【0032】
図2から
図5は、ポンプ254に流体が流れるよう接続されるスプレーアームアセンブリ221を示す。スプレーアームアセンブリ221は、パイプ225に取り付けられたスプレーアーム224を備える。パイプ225は、ポンプ254が水をスプレーアーム224に供給可能なように、流体が流れるようスプレーアームアセンブリ221をポンプ254に接続する。スプレーアーム224は、パイプ225を中心として回転可能なようにパイプ225に取り付けられる。ある例において、パイプ225は静止または固定したまま、スプレーアーム224はパイプ225を中心として回転する。このため、パイプ225はステータとして考えてよく、スプレーアーム224はロータとして考えてよい。適切な軸受アセンブリが、相対回転を容易とするようスプレーアーム224とパイプ225との間に設けられてもよい。
図2から
図5に示される例では、スプレーアーム224は平面視で時計回り方向に回転する。別の例では、スプレーアーム224は反時計回り方向に回転してもよい。
【0033】
スプレーアーム224は複数の噴射孔256を備える。本例では、各噴射孔256は開口部を有する。水などの液体を各噴射孔256から吐出可能である。ポンプ254は、パイプ225を通して、スプレーアーム224内に水を圧送して噴射孔254から送り出し、任意の被洗浄物214を洗浄可能である。
【0034】
本例では、噴射孔256から吐出される水の力によってスプレーアーム224が回転する。複数の噴射孔の一つ以上は、このような回転が生じやすくなるように配向されてもよい。
【0035】
パイプ225は障壁部258を備える。障壁部258は、スプレーアーム224がパイプ225に対して回転するにつれ、スプレーアーム224が一つ以上の特定の姿勢になるとき、ポンプ254からスプレーアーム224の一部への水流を少なくとも部分的に規制するよう構成され、配置される。これにより、スプレーアーム224の当該部分への水流が、スプレーアーム224の他の部分に対して弱まることになる。本例では、障壁部258は、パイプ225の端部に取り付けられた独立した部品である。別の例では、障壁部258は、パイプ225と一体形成されてもよい。一つの例では、障壁部258は、スプレーアーム224がパイプ225に対して回転するにつれ特定の姿勢になるときに、ポンプ254からスプレーアーム224の一部への水流を方向づけるようにも構成され配置される。これにより、スプレーアーム224の当該部分への水流がスプレーアーム224の他の部分に対して減少する。いくつかの例では、障壁部258は、パイプ225の端面から略上方に突出する。いくつかの例では、障壁部258は、パイプ225の端面から垂直方向に突出する。いくつかの例では、障壁部258は、半円形であってよい。いくつかの例では、障壁部258の曲率半径は、パイプ225の曲率半径と同じである。いくつかの例では、障壁部258は、パイプ225に対して固定位置にある。
【0036】
いくつかの例では、ポンプ254は遠心力ポンプである。ポンプ254によって消費される電力は、ポンプ254によって動かされ、パイプ225を通り、スプレーアーム224に至り、噴射孔256から吐出される水の体積に依存する。上述のように、例によれば、障壁部258は、スプレーアーム224が特定の姿勢にあるとき、ポンプ254からスプレーアーム224の一部への水流を少なくとも部分的に阻害する。したがって、ポンプ254からスプレーアーム224への水流は、スプレーアーム224のパイプ225に対する姿勢に応じて変化する。結果として、ポンプ254によって消費される電力は、スプレーアーム224のパイプ225に対する姿勢に応じて変化する。
【0037】
ポンプ254からパイプ225を通りスプレーアーム224に流入する水流は、破線矢印によって表される。
【0038】
コントローラ234が設けられる。コントローラ234は、プロセッサまたはマイクロプロセッサなどであってもよいが、ポンプ254の電力消費を監視するよう構成される。ポンプ254の電力消費を監視することで、スプレーアーム224についての回転情報を判定可能である。これは、意図したようにスプレーアーム224が継続して回転している通常運転中においては、ポンプによって消費される電力は、障壁部258によって与えられる周期的な水流抵抗のために特定のプロファイルにしたがうことになるからである。電力消費がこのプロファイルから所定値を超えてずれた場合、コントローラ234は、スプレーアーム224が所望のように回転していないと判定する(例えば、スプレーアーム224が被洗浄物214にあたって動かなくなっているかもしれない)。所定値は固定電力消費(例えば、+/-1W)、または電力消費の割合(例えば+/-5%)であってよい。結果として、コントローラ234は、例えばエラーメッセージをディスプレイ上に表示、および/またはスピーカを通して警報音を出力することで、ユーザに警報を出力する。一つの例では、コントローラ234は、スプレーアーム224が予測されたように回転していないと判定した場合、食器洗浄機の動作を停止する。
【0039】
図示されるように、スプレーアーム224は、第一側260と第二側262とを有する。
図2および
図3に示される例では、スプレーアーム224の第一側260は、スプレーアーム224の第二側262と同数の噴射孔256を有する。すなわち、
図2および
図3において、スプレーアーム224の各側は、5つの噴射孔256を備える。
図4から
図10に示される例では、スプレーアーム224の第一側260は、スプレーアーム224の第二側262よりも多数の噴射孔256を有する。
図4から
図10の例では、第一側260は5つの噴射孔を有し、第二側262は3つの噴射孔を有する。
【0040】
図2は、位置が固定されたパイプ225に対して第一姿勢にあるスプレーアーム224を示す。この第一姿勢では、障壁部258はポンプ254からスプレーアーム224の第一側260の噴射孔256への水流を規制する。したがって、ポンプ254によって運ばれる水の体積が障壁部258による水流規制のために比較的小さいことから、ポンプ254によって消費される電力量は比較的少ない。
【0041】
図3は、パイプ225に対して第二姿勢にあるスプレーアーム224を示す。
図3において、スプレーアーム224は、
図2に対して180度回転している。この第二姿勢では、障壁部258はポンプ254からスプレーアーム224の第二側262の噴射孔256への水流を規制する。
図2に示される姿勢と同様、ポンプ254によって運ばれる水の体積が障壁部258による水流規制のために比較的小さいことから、ポンプ254によって消費される電力量は比較的少ない。
【0042】
スプレーアーム224が、
図2に示される第一姿勢と
図3に示される第二姿勢との間の姿勢にあるとき、障壁部258の規制が少なくなり、水がスプレーアーム224の双方の側により容易に流れることから、ポンプ254により運ばれ、噴射孔から吐出される水の体積は増加する。これについては、より詳細に後述する。
【0043】
したがって、ポンプの電力消費が比較的小さい上述の場合(例えば、
図2および
図3の位置にあるとき)とは、スプレーアーム224が障壁部258と揃っていない場合(例:スプレーアーム224が
図2および
図3の位置にないとき)よりも比較的小さいと考えることができる。
【0044】
スプレーアーム224が回転するのに応じた噴射孔256を通る吐出水の体積変化の周期的性質により、(上述の)ポンプ254の電力消費の周期的プロファイルが得られる。コントローラ234は、ポンプ254によって消費される電力を監視可能であり、電力消費が予測されたものでない場合、スプレーアーム224の動きが止まっており、回転が停止していること、またはその回転が阻害されたことを示す警報を出力可能である。
【0045】
図4および
図5に示される例では、スプレーアーム224の第二側262は、スプレーアーム224の第一側260よりも少ない噴射孔256を有する。このスプレーアーム224の構造により、スプレーアーム224の第二側262を通って搬送可能な水の出力がさらに規制される。これは、より明確に認識できるポンプ電力消費プロファイルを得るのに役立つ可能性がある。
【0046】
スプレーアーム224とコントローラ234との動作を、
図6から
図9に示される部分断面平面図を参照してより詳細に説明する。
図6から
図9は、スプレーアーム224が設置された食器洗浄機の使用中に、時計回り方向に回転するスプレーアーム224を示す。
【0047】
図6は、
図4に示されるその第一姿勢にあるスプレーアーム224を示す。この位置では、スプレーアーム224の第一側260から吐出される水の体積はV
1であり、スプレーアーム224の第二側262から吐出される水の体積はV
2である。スプレーアーム224の第一側260への水流を阻害する障壁部258の効果がスプレーアーム224の第二側262により少ない噴射孔256しかないことにより緩和されることから、V
1はV
2とほぼ同じである。この姿勢では、水を吐出する際にウォーターポンプ254によって消費される電力は、P
12であると考えられる。
【0048】
図7は、その第一姿勢から第二姿勢に回転する間のスプレーアーム224を示す。この位置では、スプレーアーム224の第一側260から吐出される水の体積はV
3であり、スプレーアーム224の第二側262から吐出される水の体積はV
4である。V
3は、スプレーアーム224の第一側260により多くの噴射孔256があることからV
4より大きい。この姿勢では、水を吐出する際にウォーターポンプ254によって消費される電力は、P
34であると考えられる。
【0049】
図8は、
図5に示されるその第二姿勢にあるスプレーアーム224を示す。この位置では、スプレーアーム224の第一側260から吐出される水の体積はV
5であり、スプレーアーム224の第二側262から吐出される水の体積はV
6である。V
5は、スプレーアーム224の第二側262の水流を阻害する障壁部258のため、およびスプレーアーム224の第一側260により多くの噴射孔256があるためにV
6よりも大きい。この姿勢では、水を吐出する際にウォーターポンプ254によって消費される電力は、P
56であると考えられる。
図8の姿勢では、障壁部258がスプレーアーム224の第一側260よりも孔の少ないスプレーアーム224の第二側262への水流を規制するにすぎないことから、P
56はP
12よりも大きい。しかし、
図5の姿勢では、障壁部258はスプレーアーム224の第一側260への水流を阻害する。
【0050】
図9は、その第二姿勢から第一姿勢に回転する間のスプレーアーム224を示す。この位置では、スプレーアーム224の第一側260から吐出される水の体積はV
7であり、スプレーアーム224の第二側262から吐出される水の体積はV
8である。V
7は、スプレーアーム224の第一側260により多くの噴射孔256があることから、V
8よりも大きい。この姿勢では、水を吐出する際にウォーターポンプ254によって消費される電力は、P
78であると考えられる。
図7および
図9中のスプレーアーム224の位置では、障壁部258がスプレーアーム224の各側260、262への水流を均等に規制することからP
78はP
34とほぼ同じである。
【0051】
スプレーアーム224から吐出される水の体積はスプレーアーム224が時間とともに回転するにつれ変化することから、ウォーターポンプ254によって消費される電力もスプレーアーム224が時間とともに回転するにつれて変化する。したがって、ポンプ254の電力消費は、時間とともに予測可能である。
【0052】
図10は、スプレーアーム224が回転するにつれ、スプレーアーム224が
図6に示す位置にあるときの最小電力消費とスプレーアームが
図8に示す位置にあるときの最大電力消費との間で時間とともに変動するポンプの電力消費の例を示す。食器洗浄機200は、ポンプ254の予測電力消費に関連する情報を記憶するデータ記憶部を備えてもよい。例えば、このデータ記憶部は、
図10に示されるグラフによって表される予測電力消費情報を記憶してもよい。
【0053】
例によれば、コントローラ234はスプレーアーム224が回転するにつれポンプ254によって消費される電力を監視するよう構成される。いくつかの例では、コントローラ234は、電力消費が
図10に示される予測プロファイルから所定値、または閾値よりも大きく(例えば5%よりも大きく)ずれた場合に、ユーザに警報を出力するよう構成される。この警報は、スピーカに警告またはブザー音を出力させる信号であってもよい。別の例では、この警報は、ディスプレイに出力される視覚警告であってもよい。この警報は、ユーザに欠陥を修正する(例えば、スプレーアーム224の動きを阻害している物品を取り除く)よう警告を発し、または促してもよい。電力消費が予測プロファイルから所定値よりも小さくずれている場合、いくつかの例ではコントローラ234は対応せず、ポンプ254により消費される電力を引き続き監視する。これにより、スプレーアーム224が被洗浄物によって動かなくなることによるものではない可能性のあるポンプの電力消費の些細な変化を説明可能となる。
【0054】
別の例では、コントローラ234は、電力消費が
図10に示される予測プロファイルから所定の時間よりも大きく(例えば10秒)ずれた場合に、警報を出力するよう構成される。
【0055】
いくつかの例では、判定されたポンプ254の電力消費が予測比率に対して、所定の閾値より大きく、または所定の時間よりも長く異なるとき、コントローラ234は洗浄サイクルを停止するよう構成される。洗浄サイクルを停止することは、スプレーアームの一方または双方への電力および/または水を停止することを含んでもよい。いくつかの例では、洗浄機の扉が開かれて閉じられた(すなわち、ユーザが障害物を取り除いたことを示す)後、および/またはユーザインタフェース136への特定のユーザによる入力(例えば、「OK」ボタンを押す)後、および/またはスプレーアームを一回以上試験的に回転した後にのみ洗浄サイクルが再開される。いくつかの例では、洗浄サイクルは、警告状態(例えばスプレーアームの動作障害)が解消されたと判定された後に自動的に再開されてもよい。
【0056】
上記の例により、コントローラ234が、食器洗浄機200内の(例えば不正確に配置された被洗浄物などの)障害物によっていつスプレーアーム224の移動が阻害されているかを正確に推定することが可能となる。これにより、コントローラ234は、ユーザが障害物を取り除くことができるようにユーザに警告することができる。これにより、スプレーアーム224とウォーターポンプ254への損傷を防止するのに役立ち、さらに洗浄サイクルの洗浄性能がスプレーアーム224が回転できないことで低下することを確実に回避できる。
【0057】
本明細書では、メモリーなどのデータを記憶するためのデータ記憶装置が記載される。これは、単一の装置または複数の装置によって設けられてよい。適切な装置としては、例えばハードディスクおよび非揮発性半導体メモリーが挙げられる。
【0058】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態の説明的事例として理解されるべきである。別の実施形態および事例も想定される。任意の一例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、単独で、または他の特徴と組み合わせて利用可能である。さらに、任意の一例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、他の例または実施形態の一つ以上の特徴と組み合わせて、または他の例または実施形態と組み合わせても利用可能である。さらに、本明細書に記載されない等価物または変形も、請求項に定義される本発明の範囲内で利用可能である。