(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】自動車用の熱交換モジュール
(51)【国際特許分類】
B60K 11/08 20060101AFI20221202BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B60K11/08
B60K11/06
(21)【出願番号】P 2021514508
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2019052127
(87)【国際公開番号】W WO2020058610
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ガルニエ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、リスナー
(72)【発明者】
【氏名】アムリッド、マムリ
(72)【発明者】
【氏名】カメル、アズーズ
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-190451(JP,A)
【文献】特表2013-505873(JP,A)
【文献】米国特許第04519343(US,A)
【文献】特開2006-298175(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017203858(DE,A1)
【文献】特開昭61-153426(JP,A)
【文献】国際公開第2017/182732(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/08
B60K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(101)と、
空気流を生成することが意図された換気装置(1)と、を少なくとも備え、
当該換気装置は、空気流(F)を移動させる
2つのクロスフローファン(2)と、前記クロスフローファン(2)により移動される空気を案内するように構成された少なくとも1つの空気案内要素(5)を備える案内手段(3)と、を備え、
前
記熱交換器(101)と前記換気装置(1)とは、前記換気装置(1)により移動される空気流(F)が前記熱交換器(101)に供給されるように、且つ、前記
クロスフローファンが動作しているとき、当該空気が前記
クロスフローファンに引き込まれ、引き込まれた当該空気が前記クロスフローファンに流入する前にまず前記熱交換器を通過するように、
第1方向において互いに対
面して配置さ
れ、
前記クロスフローファン(2)は、前記第1方向に直交する第2方向において前記案内手段(3)の両側にそれぞれ配置される、熱交換モジュール。
【請求項2】
前記換気装置は、複数の空気案内要素(5)を備える、請求項1に記載の
熱交換モジュール。
【請求項3】
前記空気案内要素(5)は、前記熱交換器(101)の下流に少なくとも1つの空気流路(E)を画定するように構成されるとともに、少なくとも1つの前記空気流路(E)が開放される位置と、少なくとも1つの前記空気流路が少なくとも部分的に閉鎖される位置(E)との間で移動可能であるように装着される、請求項2に記載の
熱交換モジュール。
【請求項4】
各空気案内要素(5)は、空気案内面(6)と、前記
空気案内要素(5)用の旋回軸(7)と、を備える、請求項3に記載の
熱交換モジュール。
【請求項5】
前記旋回軸(7)は互いに平行に延び、前記旋回軸(7)に直交する平面(O)内にお
いて各旋回軸(7)の凸部(8’、9’)が
V字を形成するように配置される、請求項4に記載の
熱交換モジュール。
【請求項6】
前記
熱交換モジュールは、前記
熱交換器に対面する旋回空気案内要素(5)を有さない、請求項2に記載の
熱交換モジュール。
【請求項7】
前記
熱交換モジュールは、前記
熱交換器に対面配置された少なくとも1つの固定空気案内要素(500)を有する、請求項6に記載の
熱交換モジュール。
【請求項8】
前記固定空気案内要素(500)は
、平面形状であり、前記
熱交換器に対面した状態で、前記
熱交換器を中心とする幾何学的平面か
ら前記クロスフローファンまで延びる、請求項7に記載の
熱交換モジュール。
【請求項9】
前記
熱交換モジュールは、各クロスフローファン用の排気ダクト(505)を備え、当該
排気ダクトは、単数または複数の前記空気案内要素
の下流に排気口を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の
熱交換モジュール。
【請求項10】
前記排気ダクト(505)は、前
記排気口に隣接する排気壁を備え、前記排気壁は
、前記
熱交換器の主面に対して幾何学的に角度Wをなし、前記角度Wは、0°と110°の間に含まれる、請求項9に記載の
熱交換モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の換気装置に関する。
【0002】
本発明は、自動車の分野、より具体的には、エンジンおよびその設備を冷却するための空気循環の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車は、燃焼式、電気式のいずれでも、運転によって発生した熱を排出する必要があり、この目的のために熱交換器が装備されている。自動車の熱交換器は、通常、伝熱流体、特に水等の液体が循環することが意図された複数のチューブと、これらのチューブに接続された、しばしば「フィン」や「スペーサ」という用語で称される熱交換要素と、を備えている。フィンは、チューブと周囲空気との間の交換面を増大させるように使用され得る。
【0004】
しかしながら、伝熱流体と周囲空気との熱交換を一層増加させるべく、一般に、換気装置をさらに使用して、チューブとフィンに導かれる空気流を生成する、または増大させる。
【0005】
既知の態様において、このような換気装置は、ブロワ-ホイールファンを備えている。
【0006】
このようなファンのブレードにより生成される空気流は、特にブロワホイールが円形形状であるため、乱流であり、一般に熱交換器の表面の一部(ファンのブロワホイールに対面する交換器の円形領域)にしか到達しない)。したがって、熱交換は、チューブおよびフィンの表面全体に亘って均一ではない。
【0007】
さらに、ファンをオンにする必要がない場合(典型的には、加速されていない周囲空気との熱交換で、交換器内を循環する伝熱流体を十分に冷却できるとき)、ブレードは、チューブとフィンに向かう周囲空気の流れを部分的に遮るため、交換器に向かう空気の通流が妨げられ、伝熱流体との熱交換が制限されてしまう。
【0008】
また、このようなファンは、比較的嵩張る。この理由は、特に効果的にエンジンを冷却するためにブロワホイールに必要な寸法にある。これにより、ファンを自動車に組み込むことが、時間と手間のかかるものとなっている。
【0009】
この組み込みは、電気自動車ではさらに複雑になる。電気自動車の前面には、車両の冷却要素を収納するスペースがほとんどないためである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、これらの欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0011】
この目的のために、本発明の1つの主題は、自動車の熱交換器に向けて空気流を生成することが意図された換気装置であって、
-前記熱交換器を対象とする空気流を移動させるためのクロスフローファンと、
-前記クロスフローファンにより前記熱交換器に向けて移動される空気を案内するように構成された少なくとも1つの空気案内要素を備える案内手段と、
を少なくとも備える換気装置である。
【0012】
したがって、本発明による換気装置は、ブロワホイールを有さないため、嵩が小さく、電気自動車を含むあらゆる自動車に簡単に組み込むことができる。
【0013】
さらに、クロスフローファンおよび案内手段により、本発明による換気装置は、関連する単数または複数の熱交換器のより均一で効果的な冷却を保証する。
【0014】
クロスフローファンは、クロスフローターボ機関とも称され得る。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、少なくとも1つの前記案内要素と前記熱交換器との間に配置されるように構成された少なくとも1つの空気デフレクタを備えている。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、一直線に配置されるとともに、好適には互いから等距離を置く複数の空気デフレクタを備える。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、複数の空気案内要素を備える。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、空気案内要素は、熱交換器内に少なくとも1つの空気流路を画定するように構成されるとともに、前記空気流路が開放される位置と、前記空気流路が少なくとも部分的に閉鎖される位置との間で移動可能であるように装着される。
【0019】
このように、固定ブレードやブロワホイールの中心のモータが交換機に向かう空気の通過を妨げるために熱交換が制限されるブロワホイールとは異なり、前記装置は、換気装置がオフのとき、熱交換器に向かう周囲空気の流れをブロックしないようにすることができる。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、各空気案内要素は、空気案内面と、前記案内要素用の旋回軸と、を備える。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、前記旋回軸は、互いに平行に延び、前記旋回軸に直交する平面内における各旋回軸の凸部が凸部と称される。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記凸部は、前記旋回軸に直交する前記平面内において一直線に配置されている。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、それぞれが案内要素の各側に設けられた少なくとも第1クロスフローファンおよび第2クロスフローファンを備えている。クロスフローファンは、案内要素に対して平行に延びる。案内要素の全断面が案内要素に平行な中央方向を有することにより、第1ファンと中央方向との間の第1ハーフ断面と、第2ファンと中央方向との間の第2ハーフ断面とが画定される。案内要素は、熱交換器と1つの凸部との間の距離が、熱交換器と隣接する凸部であって、同一のハーフ断面に位置するとともに関連するターボ機関により近い方の凸部との間の距離より小さくなるように構成される。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、単一の固定案内要素を備える。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、前記装置は、各ターボ機関に関連付けられた吸気口を備える。単数または複数の吸気口は、換気装置の固有の吸気口を形成する。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記吸気口の少なくとも1つは、吸気口が開放される位置と、吸気口が少なくとも部分的に閉鎖される位置との間で移動可能な少なくとも1つのフラップが設けられる。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、少なくとも1つのクロスフローファンは、自動車のラジエータグリルの開口に沿って延びるように構成される。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、少なくとも1つのクロスフローファンは、ラジエータグリルの開口の全容積を占めるように構成される。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、外部空気流をターボ機関まで導く部品が使用され得る。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、空気を自動車の第2熱交換器に向けて案内する少なくとも1つの案内要素を備えた第2案内手段が使用され得る。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、2つの案内要素は、同一のクロスフローファンにより給気される。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、案内手段の各々は、複数の空気案内要素を備え、各案内要素は、空気案内面と案内要素の旋回軸とを備え、旋回軸は互いに平行に延び、2つの案内手段のセットは、平面対称性を呈する。
【0033】
本発明の他の主題は、上述の換気装置と、少なくとも第1熱交換器とを備え、前記第1熱交換器と前記換気装置とは、前記換気装置により移動される空気流が、前記熱交換器に空気を供給するように、互いに対して配置される、熱交換モジュールである。
【0034】
本発明の他の特徴によれば、前記モジュールは、前記第1熱交換器に対面して装着される第2熱交換器をさらに備え、前記換気装置は、前記換気装置により移動される空気流が、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器内に供給されるように配置される。
【0035】
本発明の他の特徴によれば、前記換気装置は、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間に配置される。
【0036】
本発明の他の主題は、第1熱交換器と、空気流を生成することが意図された換気装置と、を少なくとも備え、当該換気装置は、空気流を移動させる少なくとも1つのクロスフローファンと、前記クロスフローファンにより移動される空気を案内するように構成された少なくとも1つの空気案内要素を備える案内手段と、を備え、前記第1熱交換器と前記換気装置とは、前記換気装置により移動される空気流が前記熱交換器に供給されるように、且つ、前記ファンが動作しているとき、当該空気が前記ファンに引き込まれ、引き込まれた当該空気が前記クロスフローファンに流入する前にまず前記熱交換器を通過するように、互いに対して配置される、熱交換モジュールである。
【0037】
したがって、単数または複数のクロスフローファンは、空気が流れる方向に従って、熱交換器の下流に配置される。
【0038】
本発明の一態様によれば、前記換気装置は、複数の空気案内要素を備える。
【0039】
本発明の態様の1つによれば、前記空気案内要素は、前記熱交換器の下流に少なくとも1つの空気流路を画定するように構成されるとともに、少なくとも1つの前記空気流路が開放される位置と、少なくとも1つの前記空気流路が少なくとも部分的に閉鎖される位置との間で移動可能であるように装着される。
【0040】
本発明の態様の1つによれば、各空気案内要素は、空気案内面と、前記案内要素用の旋回軸と、を備える。
【0041】
本発明の態様の1つによれば、前記旋回軸は互いに平行に延び、前記旋回軸に直交する平面内における各旋回軸の凸部が凸部と称される。
【0042】
本発明の態様の1つによれば、前記凸部は、前記旋回軸に直交する前記平面内で一直線に配置される。
【0043】
本発明の態様の1つによれば、前記装置は、それぞれが前記案内要素の各側に設けられた少なくとも第1クロスフローファンおよび第2クロスフローファンを備える。
【0044】
本発明の態様の1つによれば、前記モジュールは、前記交換器に対面する旋回空気案内要素を有さない。
【0045】
上記の本発明の実施形態全体を通じて、旋回案内要素を固定案内要素に代えてもよい。
【0046】
本発明の態様の1つによれば、前記モジュールは、前記交換器に対面配置された少なくとも1つの固定空気案内要素を有する。
【0047】
本発明の態様の1つによれば、前記固定空気案内要素は、特に実質的に平面形状であり、前記交換器に対面した状態で、前記交換器を中心とする幾何学的平面から、好適には前記クロスフローファンまで延びる。
【0048】
本発明の態様の1つによれば、前記モジュールは、前記交換機に対面した状態で、好適には交換機を中心とする幾何学的平面から、当該平面の各側において延びる2つの固定空気案内要素を備える。
【0049】
本発明の態様の1つによれば、各空気案内要素は、前記クロスフローファンのうちの一方まで延びる。
【0050】
本発明の態様の1つによれば、2つの固定案内要素は、実質的に平面状であり、それらの間に非ゼロ角度を形成している。これらの要素は、互いに対して一直線に配置されていない。
【0051】
本発明の態様の1つによれば、2つの平面間の前記角度は、例えば、0°と45°の間、または0°と15°の間に含まれる。
【0052】
本発明の態様の1つによれば、前記固定空気案内要素は、前記モジュール内に固定されたプレートを備える。
【0053】
本発明の態様の1つによれば、前記プレートは、2つの別個の部品であるか、例えば成形を利用して単一部品として製造されている。
【0054】
本発明の態様の1つによれば、吸引ファン型用でも送風ファン型用でも、前記モジュールは、各クロスフローファン用の排気ダクトを備え得る。当該ダクトは、単数または複数の前記空気案内要素の実質的に下流に排気口を有する。
【0055】
本発明の態様の1つによれば、前記排気ダクトは、前記排出排気口に隣接する排気壁を備え、前記排気壁は、好適には、前記交換器の主面に対して幾何学的に角度Wをなし、前記角度Wは、0°と110°の間に含まれる。
【0056】
この排気の向きにより、特に空気の排出が容易になる。
【0057】
本発明の態様の1つによれば、各クロスフローファンは排気ダクトを備え、それぞれの排出排気口は互いに対面する。
【0058】
本発明の態様の1つによれば、排出排気口は、固定案内要素または旋回案内要素の後部に配置される。
【0059】
本発明の態様の1つによれば、前記排出排気口は、特に前記交換器の中心を通る、対称面を中心として互いに対して対称である。
【0060】
本発明の他の主題は、自動車用のラジエータグリルであり、前記グリルは、開口、上述の換気装置、および/または上述の熱交換モジュールに設けられている。
【0061】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明を読むことで明らかになるであろう。この説明は単なる例示であり、添付図面と併せて参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、開放状態における本発明の第1実施形態による換気装置が設けられた熱交換モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、閉鎖状態における
図1の熱交換モジュールの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のモジュールが設けられた自動車の前面の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2のモジュールが設けられた自動車の前面の斜視図である。
【
図9】
図9は、案内手段が図示されていない、変形実施例による
図1のモジュールの部分斜視図である。
【
図11】
図11は、開放状態における本発明の第2実施形態による換気装置が設けられた熱交換モジュールの部分斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態による換気装置が設けられた熱交換モジュールが設けられた自動車の前面の斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の他の例示的な実施形態の図を示す。
【
図17】
図17は、本発明の他の例示的な実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
換気装置
本発明の1つの主題は、自動車用の換気装置1である。
【0064】
本発明の他の主題は、以下で詳述するように、少なくとも1つの換気装置1と、少なくとも1つの熱交換器101と、を備える熱交換モジュール100である。
【0065】
図面から明らかなように、換気装置1は、単数または複数の熱交換器を対象とする空気流Fを移動させるための、参照符号2が付された、以下クロスフローターボ機関とも称される、少なくとも1つのクロスフローファンを備えている。具体的には、換気装置は、熱交換器101だけでなく、前後に、または隣りに配置された複数の熱交換器にも空気を供給することができる。
【0066】
また、換気装置1は、空気Fを冷却すべき各熱交換器内に案内するための案内手段3を備えている。
【0067】
第1実施形態
図1~
図8に示す第1実施形態によれば、換気装置1は、空気を少なくとも1つの熱交換器101に向けて案内するための単一の案内手段3を備えている。
【0068】
案内手段3は、複数の案内要素5のセットを備えている。
【0069】
特に
図1~
図4から明らかなように、各案内要素5は、パネルの形態の空気案内面6と、案内要素5用の旋回軸7と、を備えている。
【0070】
パネル6は、実質的に矩形形状を有している。
【0071】
旋回軸7は、2つの整列したフィンガ8、9を備え、フィンガ8、9の各々は、パネル6からパネル6の長手方向において突出している。
【0072】
案内要素5は、互いに平行に、且つMで示される旋回方向と称される中央方向に平行に装着されている。
【0073】
図1および
図2からも明らかなように、換気装置1は、フレーム10を備えている。
【0074】
フレーム10は、実質的に矩形形状を有している。
【0075】
フレーム10は、案内要素5のフィンガ8およびフィンガ9をそれぞれ支持する2つのバー11を備えている。
【0076】
バー11は、互いに平行に、且つ方向Mに直交して延びている。
【0077】
バー11は、矩形10の長さを形成している。
【0078】
フレーム10は、区画部13を支持するための2つのバー12-1、12-2も備えている。
【0079】
バー12-1、12-2は、互いに平行に、且つ方向Mに平行に延びている。
【0080】
バー12-1、12-2は、矩形10の幅を形成している。
【0081】
図1および
図2に示すように、各バー12-1、12-2は、互いに連続して延びる2つの区画部13を支持している。
【0082】
各区画部13は、クロスフローターボ機関2、または少なくともターボ機関のクロスフロータービンを収容するように構成されており、タービン駆動モータが、隣接する区画部のタービンと共有され得る。
【0083】
案内手段3の2つの部分を定義することができる。
【0084】
第1部分3-1は、第1バー12-1と旋回中央方向Mとの間に配置された案内要素5を備え、第2部分3-2は、第2バー12-2と旋回中央方向Mとの間に配置された案内要素5を備えている。
【0085】
図3および
図4により具体的に示すように、フィンガ8(および、それぞれ9)は、一直線に配置されていない。
【0086】
軸Mに直交するOで示される平面内において、これらの凸部8’(および、それぞれ9’)は、Vを形成している。
【0087】
平面Oは、支持バー11により形成される平面に実質的に一致する。
【0088】
換言すれば、案内要素は、熱交換器101と任意の凸部8’(または9’)との間の距離D1が、熱交換器101と隣接する凸部8”であって、同一のハーフ断面3-1に位置しているが関連するクロスフロータービン機関により近い方の凸部8”との間の距離D2より小さくなるように、支持バー11の間に配置されている。
【0089】
この構成により、空気流がクロスフローターボ機関2から熱交換器101内に向かって収束するため、空気の最適な案内が確保される。
【0090】
しかしながら、他の変形例によれば、凸部は、バー11に沿って一直線に配置されていてもよい。
【0091】
この変形例は、空気の流れという点で有利ではないが、換気装置1の製造方法を潜在的に単純化し得る。
【0092】
フレーム10は、熱交換器101に向かう空気用の吸気口を形成する内部空間を画定する。この内部空間において、案内要素は、熱交換器101へ向かう空気流路Eを画定する。
【0093】
案内要素は、空気流路Eが開放される位置と、空気流路Eが少なくとも部分的に閉鎖される位置との間で移動可能であるように、装着されている。
【0094】
開放位置において、パネルは、交換モジュールの外部の空気流F’が熱交換器101に向かって通過することを可能とするように、互いに離間している。
【0095】
閉位置とも称される閉鎖位置において、パネル6は、空気流F’が熱交換器101を通過することを妨げるように、互いに連続して延びている。
【0096】
この位置において、パネル6は、有利には、それらの縁部に沿って配置されたリップによって互いに隣接している。
【0097】
他の可能な中間状態(図示せず)において、例えば、熱交換器101の冷却の必要性が高くないとき、案内手段は、空気流路Eを部分的に閉鎖し、これにより熱交換器101への空気の流量が低減され得る。
【0098】
図3に示すように、開放状態において、車両の外部の流れF’は、換気装置1を通過して熱交換器101内に達する。
【0099】
ターボ機関2は、好適には、稼働していない。
【0100】
図4に示すように、閉鎖状態において、パネル6は、空気流F’に対する空気流路Eを遮断している。
【0101】
ここでターボ機関が作動して空気流Fを送り、次に空気流Fは案内要素5により案内されて熱交換器101内に至る。
【0102】
ガイド手段3の収束形状のため、空気は熱交換器101に向かって最適に導かれる。
【0103】
図5~
図8は、換気装置1を自動車の前面20に組み込んだ例を示す。
【0104】
これらの図面に示すように、ラジエータグリル21には2つのオリフィス22が設けられ、空気F’用の吸気開口が形成されている。
【0105】
換気装置1は、オリフィス22の後方に配置されている。
【0106】
これらの図面において、換気装置1は、
図1~
図4に関して上述した換気装置1に準拠している。
【0107】
本発明の変形実施例
図9および
図10の変形例によれば、換気装置1は、
図1~
図4に示す案内手段3(明確性を期して、
図1のモジュールの部分図である
図9および
図10では図示しない)と、フレーム10と、第1実施形態と同様の構成のクロスフローターボ機関2と、を備えている。
【0108】
換気装置1は、案内手段3(図示せず)と熱交換器101との間に、少なくとも1つのデフレクタをさらに備えている。
【0109】
単数または複数のデフレクタにより、熱交換器101を通る空気がより良好に分散し、これにより、熱交換器101内で空気流Fがより均一に分散する。
【0110】
図9および
図10において、換気装置1は、複数のデフレクタ30を備えている。
【0111】
各デフレクタ30は、空気を案内するように横断面が湾曲したロッドである。
【0112】
図10により具体的に示すように、デフレクタ30は、支持バー11に沿って一直線に配置されるとともに、好適には互いから等距離を置いている。
【0113】
開放状態において、ターボ機関2により吹き付けられた空気Fは、案内手段3により、次にデフレクタ30により、交換器101に向けて案内される。
【0114】
この変形実施形態における装置1は、デフレクタによって、熱交換器101に向かう空気をより良好に均一化することに留意されたい。
【0115】
図9は複数のオリフィス31を示しており、各オリフィス31は、案内要素5のフィンガ9’を受容することが意図されていることにも留意されたい。
【0116】
第2実施形態
図11および
図12に示す第2実施形態によれば、換気装置1は、2つの案内要素3’、3”を備えている。
【0117】
第1案内手段3’は、空気を第1熱交換器101に向けることができ、第2案内手段3”は、空気を第2熱交換器102に向けることができる。
【0118】
図11および
図12から明らかなように、換気装置1は、互いに平行に延びる2つの交換器101、102の間に配置されている。
【0119】
案内手段3’、3”の各々は、第1実施形態に関して説明したものと同一の案内要素を備えている。
【0120】
図11および
図12から明らかなように、2つの案内手段3の旋回軸7は、旋回中央方向Mに平行に延びている。
【0121】
2つの案内手段3’、3”のセットは、平面PPに対して対称性を呈する。
【0122】
平面PPは、中央方向Mに平行な方向を有している。
【0123】
他の点については、装置1は、第1実施形態に関して説明したものと同一である。
【0124】
図11および
図12に示すように、2つの案内手段3’、3”は、同一のターボ機関2から給気される。
【0125】
したがって、この第2実施形態による装置1は、熱交換器101および熱交換器102に向かう空気のより良好な均一化を達成するために、有利には、案内手段3’と第1交換器101との間、および案内手段3”と第2交換器102との間に、(
図11および
図12に示されない)デフレクタ30を備え得ることに留意されたい。
【0126】
第3実施形態
第3実施形態によれば、換気装置1は、単一の案内要素5を備えた単一の案内手段3を備えている。
【0127】
図13および
図14に示すように、案内要素5は、フードの形態を取る。
【0128】
図示の換気装置1は、少なくとも1つのクロスフローターボ機関、または
図13に示すように、互いに連続して延びる2つのクロスフローターボ機関も備えている。
【0129】
本実施形態は、特に電気自動車にとって有利である。
【0130】
本例において、
図13から明らかなように、空気開口を形成するオリフィス41が、ラジエータグリル40を貫通している。
【0131】
2つのターボ機関2は、オリフィス41のすぐ後方に配置されており、オリフィス41は、換気装置1に固有の吸気口を形成している。
【0132】
有利には、2つのターボ機関2は、ラジエータグリルの吸気口の全容積を占める。
【0133】
この第三実施形態による装置1も、熱交換器101に向かう空気のより良好な均一化を達成するために、有利には、(
図13および
図14に示されない)デフレクタ30を備え得ることに留意されたい。
【0134】
図示しない変形例によれば、少なくとも1つのクロスフローターボ機関2は、吸気口41からある程度の距離を置いて配置されている。
【0135】
その場合、追加の部品を使用して、空気をオリフィス41から単数または複数のターボ機関2まで移送する。
【0136】
有利には、吸気口41の少なくとも1つに、吸気口が開放される位置と吸気口が少なくとも部分的に閉鎖される位置との間で移動可能である少なくとも1つのフラップが設けられ得る。
【0137】
交換モジュール
本発明の他の主題は、換気装置1と、少なくとも1つの熱交換器101と、を備えた、自動車用の熱交換モジュール100である。上述の説明から明らかなように、換気装置と熱交換器とは、換気装置により移動される空気流が熱交換器に空気を供給するように、互いに対して配置される。
【0138】
モジュールの変形実施形態によれば、換気装置1は、換気装置により移動される空気流Fが第1熱交換器101および第2熱交換器内102に供給されるように、配置される。
【0139】
特に、換気装置1は、第1熱交換器101と第2熱交換器102との間に配置されて、交換器101、102の各々に新鮮な空気を供給する。
【0140】
本発明は、提示された例示的な実施形態に限定されず、さらなる実施形態が当業者には明瞭であろう。特に、種々の例を、それらが矛盾しない限り組み合わせることができる。
【0141】
さらに、図示の実施形態は、クロスフローターボ機関が横方向に取り付けられた縦型空気案内要素を示している。しかしながら、空気案内要素が水平であり、単数または複数のターボ機関が案内要素の下方および/または上方に配置されるような実施形態等の、換気装置の他の構成も想定可能である。
【0142】
さらに、換気装置は、電気自動車、または同様に燃焼機関またはハイブリッド車両に組み込むことができる。したがって、上述の換気装置により冷却される交換器は、あらゆるタイプの自動車の熱交換器、例えば、高温および/または低温熱交換器、コンデンサ、給気インタークーラー等であり得ることが理解されるであろう。同様に、熱交換モジュールは、このタイプのあらゆる熱交換器を備え得る。
【0143】
図15は、以下の点を除き
図4のものと同様の図を示している。すなわち、
図15の例においては、第1熱交換器101と換気装置1とは、換気装置1により移動される空気流Fが熱交換器101に供給されるように、且つファンが動作しているとき、当該空気がファン2に引き込まれ、引き込まれた当該空気が、クロスフローファンに流入する前にまず熱交換器101を通過するように、互いに対して配置されている。
【0144】
したがって、
図4の実施形態は送風ファンの実施形態であるのに対し、
図15の実施形態は吸引ファンの実施形態である。
【0145】
図15の例において、ファン2は、熱交換器101の下流に配置されている。
【0146】
図16および
図17は、吸引ファンとして使用されるファンを有する他の実施形態を示す。
【0147】
本実施形態において、モジュールは、交換器に対面する旋回空気案内要素5を有していない。
【0148】
したがって、当該モジュールは、交換器101に対面して固定配置された空気案内要素500を備えている。
【0149】
各固定空気案内要素500は、実質的に平面形状であり、交換器101に対面した状態で、交換器101を中心とする幾何学的平面P500から、関連するクロスフローファン2まで延びている。
【0150】
2つの固定空気案内要素500は、交換器に対面した状態で、交換器を中心とする幾何学的平面P500から、当該平面P500の各側において延びている。
【0151】
各空気案内要素500は、クロスフローファン2のうちの一方まで延びている。
【0152】
2つの固定案内要素500は、実質的に平面状であり、それらの間に非ゼロの角度AGを形成している。これらの要素は、互いに対して一直線に配置されていない。
【0153】
2つの平面間の角度AGは、例えば、0°と45°の間、または0°と15°の間に含まれる。
【0154】
各固定空気案内要素500は、モジュール内に固定されたプレート510を備えている。
【0155】
プレート501は、2つの別個の部品であるか、例えば成形を利用して単一部品として製造されている。
【0156】
モジュールは、各クロスフローファン2用の排気ダクト505を備えている。このダクトは、空気案内要素500の実質的に下流に排気口506を有している。
【0157】
各排気ダクト505は、排出排気口506に隣接する排気壁507を備えている。この排気壁は、好適には、交換器の主面に対して幾何学的に角度Wをなし、この角度Wは、0°と110°の間に含まれる。
【0158】
この排気の向きにより、特に空気の排出が容易になる。
【0159】
排出排気口506のそれぞれは、互いに対面している。
【0160】
各排出排気口506は、案内要素500の後方に配置されている。
【0161】
排出排気口506は、特に交換器の中心を通る対称面を中心として互いに対して対称である。