(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】自動車のエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20221202BHJP
B60R 21/2338 20110101ALI20221202BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/2338
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2021520590
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2019013329
(87)【国際公開番号】W WO2020080747
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125401
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0073680
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テイク
(72)【発明者】
【氏名】ピュン、チョンキ
(72)【発明者】
【氏名】チュン、テチャン
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194317(US,A1)
【文献】特開2012-081958(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037110(WO,A1)
【文献】特表2017-535473(JP,A)
【文献】国際公開第2016/039160(WO,A1)
【文献】特表2013-522096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B60R 21/2338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の衝突時に、搭乗者の両肩を中心に上半身全体を包んで拘束するように、搭乗者の両側面と前面に向かって展開するエアバッグクッションと、
自動車の衝突時に、衝撃感知信号によってガスを発生させ、前記エアバッグクッションに供給するインフレータと、
前記エアバッグクッションの展開形状を限定する限定手段とを含み、
前記エアバッグクッションは、搭乗者が着座するシートの背もたれに設置され、
前記背もたれの両側上端部から前方と上方および下方に膨張展開する第1および第2クッションを含み、
前記限定手段は、搭乗者の両側面に展開する前記第1および第2クッションが両側に離れることを防止するように展開形状を限定し、
前記限定手段は、前記第1及び第2クッションとシートとの間に設置され、
前記限定手段は、前記エアバッグクッションの外面に沿って配置され、両端がシートに連結される限定部材を含み、
前記限定部材は、前記エアバッグクッションの上端に配置され、前記第1および第2クッションを連結する連結部に配置される部分が、両端部に比べて広い幅を有するように製造されることを特徴とする、自動車のエアバッグ装置。
【請求項2】
前記限定手段は、前記第1および第2クッションの前端部または下端部に上端が連結され、シートに下端が連結される一対の第1テザーとして設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自動車のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記限定手段は、前記第1および第2クッションに形成される非膨張領域に上端が連結され、シートに下端が連結される一対の第2テザーとして設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自動車のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記限定手段は、前記第1および第2クッションの前端部に上端が連結され、前記第1および第2クッションに形成された貫通孔を貫通して下端がシートに連結される一対の第3テザーとして設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自動車のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記限定部材の中央部は、前記連結部の外面に裁縫方式で固定されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエアバッグ装置に関し、より詳細には、自動車の衝突発生時に、搭乗者の肩を中心に上半身を拘束して、安全に保護する自動車のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車のエアバッグ装置は、自動車の衝突時に、衝撃感知センサの信号に応じて、エアバッグにガスを注入して急速にエアバッグを膨張させることで、搭乗者を保護する安全装置である。
【0003】
かかるエアバッグ装置は、自動車に設けられるステアリングホイールやダッシュボード、シート、側壁などに設置され、自動車の衝突時に、搭乗者の前面や側面に向かって膨張し、搭乗者を保護する。
【0004】
すなわち、自動車には、運転席および助手席の前方から展開するフロントエアバッグ、搭乗者の側方で展開して搭乗者を保護するカーテンエアバッグおよびサイドエアバッグ、搭乗者の膝を保護するためのニーエアバッグなどが設けられ得る。
【0005】
一方、最近、運転者が車両を運転しなくても自ら走行する自律走行自動車が開発されている。
【0006】
前記自律走行自動車は、周辺事物を認識することができる先端センサと、高性能のグラフィック処理装置を用いて、車両に設けられた各装置および車両周辺の状況を感知し、感知結果に応じて、車両に設けられた各装置の駆動を制御して走行する。
【0007】
前記先端センサは、人間のように事物と事物との距離を測定し、危険を感知して、死角なしにすべての地域が見られるように助ける。また、前記グラフィック処理装置は、複数台のカメラを通じて自動車の周辺環境を把握し、そのイメージを分析して、自動車が安全に走行するように助る。
【0008】
例えば、自律走行車両には、ライダ(LiDAR)装備、音波装備、3Dカメラ、レーダ装備などが搭載され得る。
【0009】
このように構成される自律走行自動車は、運転者が運転する必要がなくなることで、運転席をはじめ全シートが自由に回転し、チルト操作によって背もたれの角度が水平状態にまで調節される。
【0010】
搭乗者は、背もたれの角度を様々に調節することができ、シートを回転させて後部座席の搭乗者と対面して会議をすることもできる。
【0011】
したがって、自律走行自動車には、搭乗者がシートに前方に向かって着座した姿勢を基準に設計された一般的なエアバッグ装置を適用することが不可能である。
【0012】
下記の特許文献1および特許文献2には、車両用の搭乗者保護システムの構成が開示されている。
【0013】
一方、自律走行自動車に搭乗した搭乗者は、直接運転をしないことから、目的地まで移動する間に、シートを左右方向に回転(swivel)させて会議をするか、背もたれを後方に回転(recline)させて休憩を取ることができる。
【0014】
しかし、特許文献1および特許文献2は、一般的な自動車に適用される各エアバッグを選択的に展開するように制御する構成であって、自動車の衝突時に、搭乗者の姿勢や方向によって搭乗者に加えられる衝撃を十分に緩和することができず、搭乗者の負傷を予防するには限界があった。
【0015】
このように、自律走行自動車では、シートと背もたれが前後および左右方向に自由に回転可能であることから、搭乗者の方向および姿勢が様々に変更され得る。
【0016】
また、自動車の衝突時に、車両の内部に備えられた物や破損した部品が飛行し、搭乗者の負傷を引き起こすこともある。
【0017】
そのため、自律走行自動車に搭乗した搭乗者が着座した姿勢および方向とは無関係に、搭乗者を安全に保護することができる技術の開発が求められている。
【0018】
特に、最近、自動車のシートに一体化する一体型シートベルト(Belt Integrated Seat、BIS)が適用されている。
【0019】
したがって、前記一体型シートベルトまたは一般的なシートベルトと連動して、搭乗者の正面、ニアサイドおよびファーサイドに膨張展開し、搭乗者を安全に保護することができる技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】韓国特許登録番号第10-1655569号(2016年9月8日公告)
【文献】韓国特許登録番号第10-1611087号(2016年4月11日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するために、自動車の衝突時に、搭乗者の正面と両側面にエアバッグを膨張展開させて搭乗者を安全に保護することができる自動車のエアバッグ装置を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、自律走行自動車において、搭乗者の方向、姿勢とは無関係に、搭乗者を安全に保護することができる自動車のエアバッグ装置を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、エアバッグクッションの展開時に、側面剛性を高めて、搭乗者を安全に保護することができる自動車のエアバッグ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記のような目的を達成するために、本発明による自動車のエアバッグ装置は、自動車の衝突時に、搭乗者の両肩を中心に上半身全体を包んで拘束するように、搭乗者の両側面と前面に向かって展開するエアバッグクッションと、自動車の衝突時に、衝撃感知信号によってガスを発生させ、前記エアバッグクッションに供給するインフレータと、前記エアバッグクッションの展開形状を限定する限定手段とを含むことを特徴とする。
【0025】
また、上記のような目的を達成するために、本発明による自動車のエアバッグ装置は、自動車の衝突時に搭乗者の両肩を中心に上半身全体と腹部および骨盤部を包んで拘束するように、搭乗者の両側面に向かって展開するエアバッグクッションおよび搭乗者の両側に展開する前記エアバッグクッションの第1および第2クッションに設置され、前記第1および第2クッションの展開時に、支持力を提供し、展開形状を限定する限定手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上述のように、本発明による自動車のエアバッグ装置によると、限定手段を適用してエアバッグクッションの展開形状を限定することにより、エアバッグクッションの展開性能を向上させ、搭乗者の側面を支持する剛性を高めて、搭乗者を安全に保護することができるという効果が得られる。
【0027】
すなわち、本発明によると、一対のテザーを用いて、搭乗者の両側に膨張展開する第1および第2クッションの展開形状を限定し、第1および第2クッションを強固に支持することで、第1および第2クッションの側面剛性を改善し、エアバッグクッションの展開性能を向上させることができるという効果が得られる。
【0028】
また、本発明によると、限定部材を用いて、第1および第2クッションの前端だけでなく、エアバッグクッションの全体の展開形状をより効率的に限定することができるという効果が得られる。
【0029】
これにより、本発明によると、自動車の衝突時に、エアバッグクッションの側方向剛性を向上させることで、搭乗者の両側面と前面を効果的に拘束して、搭乗者を安全に保護することができるという効果が得られる。
【0030】
また、本発明によると、エアバッグクッションの展開形状を限定する限定手段を用いて、搭乗者の骨盤や大腿部を効果的に拘束して、搭乗者の下半身を安全に保護することもできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置の斜視図である。
【
図2】
図1に図示されている自動車のエアバッグ装置の平面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による自動車のエアバッグ装置の正面図である。
【
図5】エアバッグクッションの展開実験の結果を例示した図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の側面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の側面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の側面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の側面図である。
【
図14】本発明の第5実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図である。
【
図15】本発明の第5実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の側面図である。
【
図16】本発明の第6実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図17】
図16に図示されている連結部材の作動状態図である。
【
図18】本発明の第7実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図19】本発明の第7実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図20】本発明の第7実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図21】本発明の第8実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図22】本発明の第8実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図23】本発明の第8実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図24】本発明の第9実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図25】本発明の第9実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【
図26】本発明のさらに他の実施形態による自動車のエアバッグ装置の斜視図である。
【
図27】
図26に図示されているエアバッグクッションがシートに設置された状態を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
本発明は、搭乗者の両肩を中心に、搭乗者の頭部と胸部の両側面および前面にエアバッグクッションを膨張展開させて搭乗者の上半身全体を拘束し、搭乗者を安全に保護する。
【0034】
勿論、本発明は、エアバッグクッションの長さを下方に延長して、搭乗者の骨盤と大腿部まで保護することもできる。
【0035】
また、本発明は、エアバッグクッションにテザーを設置して、エアバッグクッションを予め設定された形状に展開させることで、エアバッグの展開性能を向上させる。
【0036】
すなわち、本発明は、エアバッグクッションの内部または外部にテザーを設置し、エアバッグクッションの展開形状を限定して側方向剛性を向上させ、搭乗者を効果的に拘束することができる。
【0037】
以下、一体型シートベルトが設置されたシート(BIS)に適用されるエアバッグ装置の構成と、一般的なシートベルトが設置されたシートに適用されるエアバッグ装置の構成について区分して説明する。
【0038】
また、一般的な車両の運転席に設置されたエアバッグ装置の構成について説明し、運転席を中心に、自動車の前面に向かう方向を「前方F」とし、自動車の後面に向かう方向を「後方B」とする。これとともに、「左側L」、「右側R」、「上方U」および「下方D」といった方向を指す用語は、前記前方および後方を基準にそれぞれの方向を指すものとして定義する。また、図面に図示されている参照符号Iは、自動車の幅方向において自動車の内部方向を示し、参照符号Oは、自動車の幅方向において自動車の外部方向を示す。
【0039】
したがって、自動車の前、後F、B方向は、横方向として表現され得、自動車の上、下U、D方向は、縦方向として表現され得る。
【0040】
先ず、
図1~
図3を参照して、本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置の構成について詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置の斜視図であり、
図2は
図1に図示されている自動車のエアバッグ装置の平面図であり、
図3はエアバッグクッションの展開図である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置10は、
図1~
図3に図示されているように、自動車の衝突時に、搭乗者の両肩を中心に上半身全体を包んで拘束するように、搭乗者の両側面と前面に向かって展開するエアバッグクッション20と、自動車の衝突時に、衝撃感知信号に応じてガスを発生させてエアバッグクッションに供給するインフレータ21とを含む。
【0043】
これとともに、本発明の好ましい実施形態による自動車のエアバッグ装置10は、エアバッグクッション20の展開形状を限定する限定手段60をさらに含む。
【0044】
エアバッグクッション20は、搭乗者の両側面および前面に膨張展開して、搭乗者の肩部を中心に、頭部と胸部、腹部および骨盤(pelvis)部分を拘束して、搭乗者を安全に保護する働きをする。
【0045】
このために、エアバッグクッション20は、搭乗者の両肩を包むショール(shawl)形状に形成され、搭乗者の肩を中心に搭乗者の頭部と胸部、腹部および骨盤部に対応するように、搭乗者の前方と上方および下方に膨張展開することができる。
【0046】
詳細に説明すると、エアバッグクッション20は、搭乗者が着座するシート11の背もたれ12に設置され、背もたれ12の両側上端部から前方と上方および下方に膨張展開する第1および第2クッション30、40を含むことができる。
【0047】
第1クッション30は、
図1および
図2からみて、搭乗者の右側肩を包みながら、搭乗者の頭部と胸部および腹部の右側面および前面の一部に向かって膨張展開することができる。
【0048】
第2クッション40は、搭乗者の左側肩を拘束して包みながら、搭乗者の頭部と胸部および腹部の左側面および前面の一部に向かって膨張展開することができる。
【0049】
すなわち、第1および第2クッション30、40は、それぞれ、背もたれ12の上部から前方に向かって膨張展開しながら搭乗者の両肩を拘束し、搭乗者の頭部から胸部と腹部および骨盤部の両側面と前面に膨張展開して、搭乗者の上半身全体を保護することができる。
【0050】
このために、第1および第2クッション30、40は、背もたれ12の両側端から搭乗者の前面中央に向かって傾斜して膨張展開することができる。
【0051】
したがって、本発明は、エアバッグクッションを膨張展開させて、カーテンエアバッグ機能と、ファーサイドおよびニアサイドエアバッグ、また、フロントエアバッグ機能を同時に得ることができる。
【0052】
第1および第2クッション30、40の上端は、背もたれ12の上端に設置されるヘッドレスト13の後面に配置される連結部50によって連結され得る。
【0053】
このように、本発明は、連結部をヘッドレストの後側に配置して、エアバッグクッションをショールタイプに構成することで、ヘッドレストの支持力を用いて、エアバッグクッションの剛性を向上させることができる。
【0054】
第1および第2クッション30、40は、それぞれ、下壁301と前方壁302および後方壁303によってその内部に膨張可能な空間を限定するバッグ形態を有することができる。
【0055】
また、第1および第2クッション30、40は、それぞれ、
図2に図示されているように、搭乗者と接する内側パネル31、41と、搭乗者の外側に向かう外側パネル32、42の裁縫(sewing)またはワンピースウーブン(one piece woven)方式によってバッグ形状に形成され、搭乗者と接触する身体部位に対応されるように、複数の保護領域を有することができる。
【0056】
例えば、第1クッション30と第2クッション40は、それぞれ、
図1および
図3に図示されているように、搭乗者の頭部と肩部および胸上部を保護する上部保護領域A1、A3と、搭乗者の胸下部と腹部および骨盤部を保護する下部保護領域A2、A4とを有することができる。
【0057】
詳細に説明すると、第1クッション30の上部および下部保護領域A1、A2は、第1クッション30の中央部に、上下方向に沿って形成される第1チャンバウォール35によって限定される第1および第2チャンバ33、34を含むことができる。
【0058】
同様に、第2クッション40の上部および下部保護領域A3、A4は、第2クッション40の中央部に、上下方向に沿って形成される第2チャンバウォール45によって限定される第3および第4チャンバ43、44を含むことができる。
【0059】
第1および第2チャンバウォール35、45は、それぞれ後方に向かって開口した略「C」形状に形成され得る。
【0060】
ここで、第1および第2チャンバウォール35、45は、搭乗者の頭部および肩部との衝突時に、衝撃を効果的に緩衝するために、第1および第2クッション20の中央部より前方に位置するように、下部から上部に行くほど前方に向かって傾斜して形成され得る。
【0061】
また、第1および第2チャンバウォール35、45は、搭乗者の肩部と胸部を拘束するように、中央部が後方に向かって凹状に屈曲して形成されてもよい。
【0062】
これにより、搭乗者の頭部および肩部は、自動車の側面衝突時に、第1および第2チャンバウォール35、45によって第1および第3チャンバ33、43の膨張厚さより大きく膨張した第2および第4チャンバ34、44によって安全に保護され得る。
【0063】
また、搭乗者の頭部および肩部は、自動車の傾斜衝突時に、第1および第2チャンバウォール35、45を中心に膨張した第1および第2チャンバ33、34の間および第3および第4チャンバ43、44の間に拘束される。
【0064】
このように、本発明は、自動車の側面衝突時におよび傾斜衝突時に、搭乗者の頭部および肩部を効果的に拘束して、搭乗者の脳傷害値を最小化することができる。
【0065】
一方、第1~第4チャンバ33、34、43、44は、それぞれ、搭乗者の腹部と骨盤部だけでなく、搭乗者の臀部および大腿部を保護するように、下方に延びる長さを様々に変更して設定され得る。
【0066】
連結部50には、連結部50を複数のチャンバに限定する少なくとも一つ以上の第3チャンバウォール51が形成され得る。
【0067】
例えば、第3チャンバウォール41は、連結部50を上下に並行して膨張展開する2個のチャンバに限定するように、水平方向に沿って形成され得る。
【0068】
第1クッション30と連結部50および第2クッション40は、
図2に図示されているように、自動車の衝突時に、第1~第3チャンバウォール35、45、51により、前面からみて、略「∩」形状に屈曲して膨張展開することができる。
【0069】
したがって、連結部50は、自動車の傾斜衝突時に、搭乗者の頭部がヘッドレストの外側に移動しないように拘束し、衝突による衝撃を吸収することで、搭乗者の脳傷害値を効果的に減少させることができる。
【0070】
ここで、第1および2クッション30、40の各壁とチャンバウォールは、第1および第2クッション30、40の内側および外側パネル31、32、41、42をそれぞれ裁縫するか、ワンピースウーブン方式で製織する方式によって形成され得る。
【0071】
もしくは、第1および第2クッション30、40の各壁とチャンバウォールは、接着剤、RF溶接、超音波溶接などの様々な接合方式のうち適切な一つ以上の方式を選択的に適用して形成され得る。
【0072】
また、本実施形態において、第1および第2クッション30、40の後方壁303、403には、それぞれ、インフレータ21からガスが導入される第1および第2導入部36、46が設けられ得る。
【0073】
第1および第2導入部36、46は、各インフレータ21と連結される。
【0074】
例えば、第1および第2導入部36、46は、自動車の衝突時に、インフレータ21から供給されるガスを第2チャンバ34と第4チャンバ44に優先して伝達するように、第2および第4チャンバ34、44の後側から前側上方に向かって傾斜して形成され得る。
【0075】
図3に図示されているように、インフレータ21は、搭乗者のファーサイドとニアサイドの衝突特性に応じて、互いに同一の規格、例えば、ガス発生量、供給速度などを有するか、互いに異なる規格を有する2個が設けられ得る。
【0076】
勿論、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、一つのインフレータを用いて、エアバッグクッションにガスを供給するか、3個以上のインフレータを用いて、エアバッグクッションにガスを供給するように変更されてもよい。
【0077】
もしくは、インフレータ21からガスが導入される導入部は、連結部50に設けられてもよい。
【0078】
すなわち、導入部は、インフレータ21と連結され、自動車の衝突時に、インフレータ21から供給されるガスは、連結部50を通じて第1クッション30と第2クッション40に伝達される。
【0079】
したがって、自動車の衝突時に、連結部50を通じてガスの伝達を受け、第1および第2クッション30、40が連続して膨張展開する。
【0080】
また、インフレータ21は、搭乗者のファーサイドとニアサイド、前面など各方向への衝突特性に応じて予め設定された規格、例えば、ガス発生量、供給速度などを有することができる。
【0081】
本発明は、導入部を連結部50の上端両側に設けるか、他の位置に一つ以上設け、一つ以上のインフレータ21を適用して、エアバッグクッション20に効果的にガスを供給するように変更されてもよい。
【0082】
このように、
図1~
図3を参照して、エアバッグクッションの構成について詳細に説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0083】
このように構成される第1および第2クッション30、40と連結部50の後方壁303、403は、複数の固定部材(図示せず)を用いて、シート11の背もたれ12の内部に固定され得る。
【0084】
また、
図1~
図3を参照してエアバッグクッションの構成について詳細に説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、搭乗者を保護するための条件に応じてエアバッグクッションを様々な形状およびサイズに展開させるように、エアバッグクッションに設けられるチャンバおよびチャンバウォールの個数、形状、長さおよびサイズなどを様々に変更することができる。
【0085】
また、
図4は本発明の他の実施形態による自動車のエアバッグ装置の正面図である。
【0086】
図4に図示されているように、一般的なシートベルト15が適用された自動車において、運転席シート11にはセンターピラー(いわゆる「Bピラー」)16の上端部と下端部にシートベルト16の両端が設置され、運転席シート11の右側下部にはシートベルト15のタングが結合するバックル17が設置される。
【0087】
これにより、一般的なシートベルトが適用された自動車に、上記のエアバッグクッション20を適用する場合、シートベルト15と第2クッション40が互いに干渉し得る。
【0088】
したがって、本発明は、一般的なシートベルトが適用される場合、第2クッション40の一部、すなわち、
図3に図示されている第2クッション40の上部保護領域A3のみを含むように構成され得る。
【0089】
また、背もたれ12の左側端には、ニアサイドエアバッグ18が設置され得る。
【0090】
このように、本発明は、シートベルトとの干渉を避けるために、第2クッションを部分的に適用し、前に設置されていたニアサイドエアバッグと連動して、搭乗者の左側面を保護することができる。
【0091】
上述のように、本発明において、エアバッグクッション20は、自動車の衝突発生時に、搭乗者の両肩を中心に上半身全体を包むショール(shawl)形状で膨張展開し、搭乗者の両側面および前面を拘束して、安全に保護する働きをする。
【0092】
図5はエアバッグクッションの展開実験の結果を例示した図である。
【0093】
限定手段60が適用されていないエアバッグ装置10の展開実験の結果、エアバッグクッション20は、
図5に図示されているように、第1および第2クッション30、40が両側に離れて、搭乗者の両側面と前面を拘束する最適の展開形状に展開することができないという問題があった。
【0094】
したがって、本発明は、エアバッグクッション20が、搭乗者の両側面と前面を拘束する最適の展開形状に展開するように、展開形状を限定する限定手段60を適用する。
【0095】
図6~
図13を参照して、限定手段60の構成について詳細に説明する。
【0096】
[実施形態1]
図6および
図7は本発明の第1実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図と側面図である。
【0097】
本実施形態において、限定手段60は、シート11とエアバッグクッション20に両端が連結される第1テザー61として設けられ得る。
【0098】
例えば、第1テザー61は、
図6および
図7に図示されているように、シート11の両側面と第1および第2クッション30、40の前端部との間に設置される一対として設けられ得る。
【0099】
かかる第1テザー61は、エアバッグクッション20と同一であるか類似した織物材質を用いて製造され得る。
【0100】
第1テザー61の一端は、裁縫方式で、第1および第2クッション30、40に固定され、第1テザー61の一端は、シート11内部のフレーム(図示せず)に固定され得る。
【0101】
自動車の衝突時に、エアバッグクッション20が膨張展開して、第1テザー61はシート11のカバーの側面や上面に形成されたテアライン(図示せず)を切開しながらシート11の外部に突出し得る。
【0102】
一方、
図6および
図7において、第1テザー61の下端は、シート11の両側角に連結されるものと図示されているが、第1テザー61の下端は、シート11の側面や上面または下面など、様々な位置を通じて前記フレームに固定されてもよい。
【0103】
ただし、第1テザー61の下端は、エアバッグクッション20の展開性能テストの結果、シート11の前端部に近接して設置されるほど、エアバッグクッション20の展開形状を効果的に限定することを確認することができた。
【0104】
したがって、第1テザー61の下端は、シート11の前端部に近接して設置されることが好ましい。
【0105】
また、第1テザー61の上端は、膨張力によって分離することを防止するように、エアバッグクッション20の下壁301、401や前方壁302、402に連結されることが好ましい。
【0106】
このように、シート11とエアバッグクッション20との間に第1テザー61が設置されることで、エアバッグクッション20の第1および第2クッション30、40は、自動車の衝突の発生時に、シート11と第1テザー61の長さに対応する間隔を維持しながら膨張展開する。
【0107】
これにより、エアバッグクッション20は、搭乗者の両側面と前面を拘束する最適の展開形状に展開することができる。
【0108】
また、本発明は、第1テザーを用いて、エアバッグクッションの展開形状を限定することで、エアバッグクッションの展開性能を向上させ、搭乗者の側面を支持する剛性を高めて、搭乗者を安全に保護することができる。
【0109】
[実施形態2]
次に、
図8および
図9は本発明の第2実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図と側面図である。
【0110】
本発明の第2実施形態において、限定手段60は、第1および第2クッション30、40において、第1および第2チャンバウォール35、45によって膨張しないように非活性化した非膨張領域37、47とシート11との間に設置される一対の第2テザー62を含むことができる。
【0111】
例えば、各第2テザー62の上端は、非膨張領域37、47の内面または外面に裁縫方式で固定され、第2テザー62の下端は、シート11内部のフレームに固定され得る。
【0112】
すなわち、第1および第2チャンバウォール35、45による非膨張領域37、47に第2テザー62の上端が連結されることで、本発明は、エアバッグクッション20が膨張展開する過程で、第1および第2クッション30、40と第2テザー62が分離するか、第1および第2クッション30、40の損傷または破損を防止することができる。
【0113】
このように、本発明は、第2テザーを用いて、エアバッグクッションの展開形状を限定することで、エアバッグクッションの展開性能を向上させ、搭乗者の側面を支持する剛性を高めて、搭乗者を安全に保護することができる。
【0114】
[実施形態3]
図10および
図11は本発明の第3実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図と側面図である。
【0115】
本発明の第3実施形態において、限定手段60は、
図10および
図11に図示されているように、第1および第2クッション30、40の外部に設置され、また、第1および第2クッション30、40を貫通してシート11に固定される一対の第3テザー63を含むことができる。
【0116】
すなわち、第3テザー63の上端は、第1および第2クッション30、40の前端部、すなわち、前方壁302、402に連結され、第1および第2第3クッション30、40の外面に配置されることで、第1および第2クッション30、40が外側に離れないように、エアバッグクッション20の展開形状を限定する。
【0117】
また、第3テザー63の下端は、第1および第2クッション30、40を貫通して、第1および第2クッション30、40の内部でシート11に連結される。
【0118】
このために、第1および第2クッション30、40には、第3テザー63が外部から内部に向かって貫通設置される貫通孔38、48が形成され得る。
【0119】
貫通孔38、48は、第1および第2チャンバウォール35、45上で相対的に高い側面剛性を要する領域、すなわち、搭乗者の肩部と骨盤部を避けて相対的に低い側面剛性を要する領域、すなわち、搭乗者の肩部と骨盤との間の横腹部に対応する中間位置に形成され得る。
【0120】
このように、本発明は、一対の第3テザーを第1および第2クッションの外面に設置し、また、第1および第2クッションを貫通してシートに固定することにより、第1および第2クッションの側面剛性を改善し、エアバッグクッションの展開形状を限定することで、エアバッグクッションの展開性能を向上させることができる。
【0121】
特に、本発明は、一対の第3テザーを第1および第2クッションの前端中央より高い位置に設置して、第1および第2クッションの展開形状をより効率的に限定することができる。
【0122】
[実施形態4]
図12および
図13は本発明の第4実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図と側面図である。
【0123】
本発明の第4実施形態において、限定手段60は、
図12および
図13に図示されているように、エアバッグクッション20の外面に沿って配置され、第1および第2クッション30、40が両側に離れないように、展開形状を限定する限定部材64を含むことができる。
【0124】
すなわち、限定部材64の両端は、シート11に固定され、第1および第2クッション30、40と連結部50の外面に沿って配置されて、エアバッグクッション20の展開形状を限定する。
【0125】
かかる限定部材64は、クレープ(crepe)のように製織過程で剛性を有するように製造された織物で製造され、第1および第2クッション30、40の外面に配置される部分よりも連結部50に配置される部分がより広い幅を有するように製造され得る。
【0126】
ここで、限定部材64の中央部は、エアバッグクッション20の展開時に、限定部材64の流動を防止し、限定部材64の位置を固定するように、連結部50の外面に裁縫方式で固定され得る。
【0127】
したがって、本発明は、エアバッグクッションの外面に限定部材を配置し、限定部材の両端をシートに固定することにより、エアバッグクッションが両側に離れないように展開形状を限定し、第1および第2クッションの側面剛性を改善することで、エアバッグクッションの展開性能を向上させることができる。
【0128】
[実施形態5]
図14および
図15は本発明の第5実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションと限定手段の正面図と側面図である。
【0129】
本発明の第5実施形態において、限定手段60は、
図14および
図15に図示されているように、エアバッグクッション20の外面および内面に交互に配置され、第1および第2クッション30、40が両側に離れないように展開形状を限定する第4テザー65を含むことができる。
【0130】
すなわち、第4テザー65の両端は、シート11に固定され、第4テザー65の中央部は、連結部50の外面に配置され、第4テザー65の両側部は、それぞれ、第1および第2クッション30、40の内面および外面に沿って交互に配置されて、エアバッグクッション20の展開形状を限定する。
【0131】
このために、第1および第2クッション30、40に形成された一対の非膨張領域37、47には、それぞれ、一対の貫通孔38、48が形成され得る。
【0132】
したがって、第4テザー65の両側部は、それぞれ、一対の貫通孔38、48のうち上部に位置した貫通孔38、48を通じて第1および第2クッション30、40の内側に挿入され、下部に位置した貫通孔38、48を通じてまた第1および第2クッション30、40の外側に引き出され得る。
【0133】
ここで、第4テザー65の中央部は、エアバッグクッション20の展開時に、第4テザー65の流動を防止し、第4テザー65の位置を固定するように、エアバッグクッションの連結部50に部分的に固定され得る。
【0134】
例えば、第4テザー65と連結部50は、少なくとも一つ以上の裁縫ライン66によって裁縫方式で固定され得る。
【0135】
もしくは、第4テザー65と連結部50は、追加テザー(図示せず)によって固定されるか、前記追加テザーに形成された貫通孔を通じて互いに固定されてもよい。
【0136】
したがって、本発明は、エアバッグクッションの外面と内面に第4テザーを交互に配置し、第4テザーの両端をシートに固定することで、エアバッグクッションが両側に離れないように展開形状を限定し、第1および第2クッションの側面剛性を改善することで、エアバッグクッションの展開性能を向上させることができる。
【0137】
一方、前記の実施形態では、限定手段が、第1~第4テザーと限定部材を個別に備えるものと説明しているが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0138】
すなわち、本発明は、限定手段に第1~第4テザーと限定部材のうち二つ以上を同時に適用するように変更されてもよい。
【0139】
[実施形態6]
図16は本発明の第6実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図であり、
図17は
図16に図示されている連結部材の作動状態図である。
【0140】
本実施形態において、エアバッグクッション20は、
図16に図示されているように、シート11の両側に固定される一つの第5テザー66として設けられた限定手段60によって展開形状が限定され得る。
【0141】
第5テザー66の両端は、シート11の内部に設けられるシートフレーム14の両側に固定され得る。
【0142】
また、第5テザー66の一側部、
図16からみて、左側部は、第2クッション40の前面に沿って上方に配置され、第2クッション40の上端部の外面に沿って後方に水平に配置され、第2クッション40の左側上端部または連結部50の左側端を貫通して、エアバッグクッション20の内部に挿入された後、連結部50の内面に沿って水平に設置され得る。
【0143】
このために、第2クッション40の上端または連結部50の左側端には、第5テザー66がエアバッグクッション20の内部に挿入できるように、貫通孔48が形成され得る。
【0144】
次いで、第5テザー66は、第1クッション30の上端または連結部50の他側端、すなわち、
図4において、右側端を貫通してエアバッグクッション20の外部に引き出され、第1クッション30の上端部の外面に沿って前方に水平に配置され得る。
【0145】
このために、第1クッション30の上端または連結部50の右側端には、第5テザー66がエアバッグクッション20外部に引き出しできるように、貫通孔38が形成され得る。
【0146】
また、第5テザー66は、第1クッション30の前面に沿って下方に配置される。
【0147】
ここで、第1クッション30と第2クッション40の前面には、第5テザー66を固定する固定部材70が設置され得る。
【0148】
固定部材70は、第5テザー66をエアバッグクッション20に安定的に固定し、エアバッグクッション20の膨張展開時に、エアバッグクッション20から分離することを防止するために、第1クッション30と第2クッション40の前面に予め設定された間隔だけ離隔して複数個が設置され得る。
【0149】
かかる固定部材70は、略四角形状の板形状や帯形状に形成され、限定手段60と同様、エアバッグクッション20と同一であるか類似した織物材質を用いて製造され得る。
【0150】
すなわち、固定部材70の内部には、第5テザー66が配置される空間が設けられ、固定部材70の両端は、第1クッション30または第2クッション40に裁縫方式で固定され得る。
【0151】
一方、本実施形態では、固定部材70を用いて、第5テザー66の位置を固定するものと説明しているが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0152】
例えば、本発明は、固定部材70を設置する代わりに、第5テザー66の両端と中央部分に、所定の間隔で第1クッション30または第2クッション40に直接裁縫して、第5テザー66に部分的に複数の裁縫部を形成して固定する方式などの様々な方式で、第1テザーの位置を固定してもよい。
【0153】
一方、シートフレーム14に固定される第5テザー66の両端は、
図16および
図17に図示されているように、互いに連結され得る。
【0154】
すなわち、第5テザー66は、両端が互いに連結されて一つのループ形状に設けられ得る。
【0155】
もしくは、第5テザー66の両端は、別の連結部材80によって連結されてもよい。
【0156】
このように、第5テザー66の両端が互いに連結される場合、第5テザー66の下端部分または連結部材80は、
図17に図示されているように、シート11の内部に配置され、エアバッグクッション20の展開時に、シート11のカバーに形成された切開ライン(図示せず)を通じて外部に引き出され得る。
【0157】
これにより、第5テザー66の下端部分または連結部材80は、エアバッグクッション20の展開時に、搭乗者の骨盤や大腿部の両側および下面を中央に向かって引っ張って拘束する。
【0158】
これにより、本発明は、エアバッグクッションの展開形状を限定するテザーを用いて、搭乗者の骨盤や大腿部を効果的に拘束し、搭乗者の下半身を安全に保護することができる。
【0159】
一方、本実施形態では、連結部材80が第5テザー66の両端に連結されるものと説明しているが、本発明は、連結部材80を第5テザー66の両端に連結せず、第1および第2クッション30、40の下端部に連結するように変更されてもよい。
【0160】
すなわち、本発明は、連結部材80の両端を、それぞれ、第1クッション30と第2クッション40の下端部に連結し、連結部材80をシート11の内部に内蔵することができる。
【0161】
これにより、本発明は、自動車の衝突によってエアバッグクッションが膨張展開すると、連結部材がシートの外部に引き出されて、第1および第2クッション下端部の展開形状を限定するとともに、搭乗者の骨盤や大腿部を拘束することもできる。
【0162】
[実施形態7]
図18~
図20は本発明の第7実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【0163】
本実施形態において、エアバッグクッション20は、
図18~
図20に図示されているように、シート11の背もたれ12の内部に設けられる背もたれフレーム19の両側にそれぞれ両端が結合する第6~第8テザー67~69のいずれか一つによって展開形状が限定され得る。
【0164】
背もたれフレーム19は、中央部分に空間が設けられ、略四角枠形状に形成され得る。
【0165】
第6テザー67の上端と下端は、
図6に図示されているように、背もたれフレーム19の両側フレームの上端と下端にそれぞれ固定される。
【0166】
例えば、第6テザー67の両端は、背もたれフレーム19の両側フレームの下端部またはシート11に設けられるシートフレームの両側に固定され得る。
【0167】
また、第6テザー67は、第2クッション40の外面に沿って後方および上方に傾斜して配置され、第2クッション40の上端または連結部50の一側端、すなわち、
図6からみて、左側端を貫通して、エアバッグクッション20の内部に挿入された後、連結部50の内面に沿って水平に設置され得る。
【0168】
このために、第2クッション40の上端または連結部50の左側端には、第6テザー67がエアバッグクッション20の内部に挿入できるように、貫通孔48が形成され得る。
【0169】
次いで、第6テザー67は、第1クッション30の上端または連結部50の他側端、すなわち、
図6からみて、右側端を貫通して、エアバッグクッション20の外部に引き出され、第1クッション30の外面に沿って前方および下方に傾斜して配置され得る。
【0170】
このために、第1クッション30の上端または連結部50の右側端には、第6テザー67がエアバッグクッション20の外部に引き出しできるように、貫通孔38が形成され得る。
【0171】
ここで、第1クッション30と第2クッション40の外面には、第6テザー67の安定的なテザール-ティングのために、第6テザー67の位置を固定する固定部材70が設置され得る。
【0172】
固定部材70は、第6テザー67をエアバッグクッション20の外面に安定的に固定し、エアバッグクッション20の膨張展開時に、エアバッグクッション20から分離することを防止するために、第1クッション30と第2クッション40の外面に予め設定された間隔だけ離隔して複数個が設置され得る。
【0173】
固定部材70は、略四角形状の板形状や帯形状に形成され、限定手段60と同様、エアバッグクッション20と同一であるか類似した織物材質を用いて製造され得る。
【0174】
かかる固定部材70は、内部に第6テザー67が配置される空間が設けられ、固定部材70の両端は、第1クッション30または第2クッション40に、裁縫方式で固定され得る。
【0175】
一方、本実施形態では、固定部材70を用いてテザーの位置を固定するものと説明しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0176】
例えば、本発明は、固定部材70を設置する代わりに、第6テザー67を第1クッション30または第2クッション40に直接裁縫して、第6テザー67に部分的に裁縫部を形成して固定する方式など、様々な方式でテザーの位置を固定してもよい。
【0177】
このように、本発明は、一つの第6テザーの両端を、それぞれ、背もたれフレームの下端部またはシートフレームの両側に連結し、複数の固定部材を用いて、第1および第2クッションの外面に配置された第6テザーを強固に固定することができる。
【0178】
これにより、本発明は、第6テザーと固定部材を用いて、第1および第2クッションの側方向剛性を向上させることができる。
【0179】
一方、本実施形態では、第6テザー67の両端が、背もたれフレーム19の両側フレームの下端部またはシート11に設けられるシートフレームの両側に固定されることについて説明しているが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0180】
すなわち、第6テザー67は、
図19に図示されているように、両端が、それぞれ、背もたれフレーム19の両側フレームの下端部や中央部、または背もたれ12内部に設置されるインフレータスタッドに固定され得る。
【0181】
このために、第6テザー67の両端部は、それぞれ、貫通孔38、48を通じて第1および第2クッション30、40の外面から内面に挿入され、後方に向かって水平に折り曲げ配置された後、背もたれフレーム19の両側フレームの下端部や中央部、またはインフレータスタッドに固定され得る。
【0182】
このように、本発明は第2テザーの両端部を、それぞれ、第1および第2クッションの内面に沿って後方に向かって水平に折り曲げ、背もたれフレームの両側フレームの下端部や中央部、またはインフレータスタッドに固定することで、第1および第2クッションの側方向剛性をより向上させることができる。
【0183】
もしくは、第6テザー67の一端部、
図20からみて、右側端部は、第1クッション30の内面に沿って後側に向かって折り曲げ配置された後、第8テザー69の右側端は、背もたれフレーム19の右側フレームの下端部や中央部、またはインフレータスタッドに固定され得る。
【0184】
また、第6テザー67の他端部、
図8からみて、左側端部は、固定部材70によって第2クッション40の内面に固定され、第6テザー67の左側端は、インフレータスタッドに固定され得る。
【0185】
勿論、本発明は、第6テザー67の左側端部を後側に向かって折り曲げ配置した後、背もたれフレーム19の左側フレームの下端部や中央部、またはインフレータスタッドに固定し、第6テザー67の右側端部を第1クッション30の内面に固定し、第6テザー67の右側端をインフレータスタッドに固定するように変更されてもよい。
【0186】
このように、本発明は、第2テザーの一端部を後方に向かって水平に折り曲げ、背もたれフレームの両側フレームの下端部や中央部、またはインフレータスタッドに固定し、他端部をインフレータスタッドに固定することで、第1および第2クッションに互いに異なる側方向剛性を付与することもできる。
【0187】
[実施形態8]
図21~
図23は本発明の第8実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【0188】
本実施形態において、エアバッグクッション20は、
図21に図示されているように、背もたれ12の内部に設けられる背もたれフレーム19の両側フレームにそれぞれ両端が結合した一対の第7テザー68によって展開形状が限定され得る。
【0189】
一対の第7テザー68の上端と下端は、それぞれ、背もたれフレーム19の両側フレームの上端と下端にそれぞれ固定され得る。
【0190】
例えば、搭乗者の右側に膨張展開する第1クッション30の展開形状を限定するように、背もたれ12の右側に設置される第7テザー68の上端と下端は、背もたれフレーム19の右側フレームに固定され得る。
【0191】
また、第7テザー68は、上端が背もたれフレーム19の右側フレームの上端に固定された状態で、第1クッション30の内面に沿って上方または前方および上方に向かって傾斜して配置され、第1クッション30の上端部を貫通して、エアバッグクッション20の外側に引き出され得る。
【0192】
このために、第1クッション30の上端部には、第7テザー68をエアバッグクッション20の外側に引き出すために、チャンバウォールによって形成された非膨張領域に貫通孔38が形成され得る。
【0193】
次いで、第7テザー68は、第1クッション30の上端側から下端側に向かって、第1クッション30の外面に沿って下方に配置され得る。
【0194】
また、第7テザー68は、第1クッション30の下端部を貫通してエアバッグクッション20の内部に挿入され、第1クッション30の内面に沿って、後方および下方に向かって傾斜して配置され、第7テザー68の下端は、背もたれフレーム19の右側フレームの下端部に固定され得る。
【0195】
このために、第1クッション30の下端部には、第7テザー68をエアバッグクッション20の内側に挿入するために、貫通孔38が形成され得る。
【0196】
同様に、搭乗者の左側に膨張展開する第2クッション40の展開形状を限定するように、背もたれ12の左側に設置される第7テザー68は、上端が背もたれフレーム19の左側フレームの上端部に固定された状態で、第2クッション40の内面と外面、また内面に順に配置された後、下端が前記左側フレームの下端部に固定され得る。
【0197】
このように、本発明は、搭乗者の両側に膨張展開する第1および第2クッションの内面と外面、また内面に沿って一対の第7テザーを設置することで、第1および第2クッションの展開形状を限定し、第1および第2クッションを強固に支持することができる。
【0198】
これにより、本発明は、自動車の衝突時に、エアバッグクッションの側方向剛性を向上させることで、搭乗者の両側面と前面を効果的に拘束し、搭乗者を安全に保護することができる。
【0199】
一方、本実施形態では、第7テザーの両端がそれぞれ背もたれ内部の両側フレームの上端と下端にそれぞれ連結されるものと説明しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0200】
すなわち、第7テザー68の上端と下端は、それぞれ、
図22に図示されているように、背もたれフレーム19の両側フレームの中間部に固定され得る。
【0201】
したがって、各第7テザー68は、第1および第2クッション30、40の内面に沿って前方および上方に配置され、第1および第2クッション30、40の外側に引き出されて第1および第2クッション30、40の外面に沿って下方に配置され、また第1および第2クッション30、40の内部に挿入され、第1および第2クッション30、40の内面に沿って後方および上方に傾斜して配置され得る。
【0202】
このように、本発明は、一対の第7テザーの両端を、背もたれフレームの両側中間部に連結することで、エアバッグクッションにおいて、第1および第2クッションの中間部の側方向剛性をより向上させることができる。
【0203】
もしくは、第7テザー68の上端は、
図23に図示されているように、背もたれフレーム19の両側フレームの上端に固定され、第7テザー68の下端は、背もたれフレーム19の両側フレームの中間部に固定され得る。
【0204】
したがって、各第7テザー68は、第1および第2クッション30、40の内面に沿って前方および上方に傾斜して配置され、第1および第2クッション30、40の外側に引き出されて第1および第2クッション30、40の外面に沿って下方に配置され、また第1および第2クッション30、40の内部に挿入されて第1および第2クッション30、40の内面に沿って略後方に向かって水平に配置されるか、後方および上方にやや傾斜して配置され得る。
【0205】
このように、本発明は、一対の第7テザーの両端をそれぞれ背もたれフレームの両側フレームの上端と中間部に連結することで、エアバッグクッションにおいて、第1および第2クッションの中間部と上端部の側方向剛性をより向上させることができる。
【0206】
[実施形態9]
図24と
図25は本発明の第9実施形態による自動車のエアバッグ装置に適用されるエアバッグクッションとテザーの構成図である。
【0207】
本実施形態において、エアバッグクッション20は、
図24と
図25に図示されているように、安定的なテザール-ティングのために、第1および第2クッション30、40の内面または上端部に両端が固定される第8テザー69によって展開形状が限定され得る。
【0208】
第8テザー69は、
図24に図示されているように、連結部50の内面に水平に配置された状態で、第7テザー68の両端部は、それぞれ、第1クッション30と第2クッション40の上端部の内面に裁縫方式で固定され得る。
【0209】
このために、第8テザー69の両端部には、それぞれ、第1クッション30と第2クッション40の内面に裁縫される裁縫部71が設けられ得る。
【0210】
勿論、本発明は、第8テザーの両端部が設置される位置にそれぞれ固定部材を設置し、第7テザーの両端を各固定部材に裁縫して固定するように変更されてもよい。
【0211】
このように、本発明は、第1クッションと第2クッションの上端部の内面に第8テザーの両端を固定して安定的なテザール-ティングを具現することで、エアバッグクッションの上端部の展開形状を限定し、側方向剛性を向上させることができる。
【0212】
または、第8テザー69は、
図25に図示されているように、エアバッグクッション20の膨張展開時に、連結部50の前方に所定の間隔だけ離隔して水平に配置され、第8テザー69の両端部は、それぞれ、第1クッション30と第2クッション40の上端部に裁縫方式で固定され得る。
【0213】
このように、本発明は、第1クッションと第2クッションの上端部に第8テザーの両端を固定して安定的なテザール-ティングを具現することで、エアバッグクッションの上端部の展開形状を限定し、側方向剛性を向上させることもできる。
【0214】
一方、前記の実施形態では、エアバッグクッションがショール形状に形成されるものと説明しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0215】
例えば、
図26は本発明のさらに他の実施形態による自動車のエアバッグ装置の斜視図であり、
図27は
図26に図示されているエアバッグクッションがシートに設置された状態を例示した図である。
【0216】
本実施形態において、自動車のエアバッグ装置10の構成は、前記の
図1~
図25を参照して説明しているエアバッグ装置10の構成と同一であり、ただし、エアバッグクッション20は、ショール形状の代わりに、
図26に図示されているようにセル(cell)形状に形成されてもよい。
【0217】
すなわち、エアバッグクッション20は、搭乗者の両側面および前面とともに、搭乗者の頭部を全体的に包むようにセル形状に形成される。
【0218】
このために、本実施形態によるセル形状のエアバッグクッション20は、搭乗者の両側で膨張展開する第1および第2クッション30、40と、両側が第1および第2クッション30、40の上端に連結され、搭乗者の頭部の上面と両側面、また、前面と後面を包むように膨張展開する第3クッション70とを含むことができる。
【0219】
第3クッション70は、
図27に図示されているように、シート11の背もたれ12の上部またはヘッドレスト13の内部に設置され、自動車の衝突発生時に、搭乗者の頭部の後側から頭部の上面と両側面および前面と後面に向かって膨張展開することができる。
【0220】
このように、本発明は、搭乗者の上半身の両側面と頭部を全体的に包むセル形状のエアバッグクッションを適用し、限定手段を用いて、エアバッグクッションの展開形状を限定することで、自動車の衝突時に搭乗者を安全に保護することができる。
【0221】
以上、本発明者らによりなされた発明を前記実施形態よって具体的に説明しているが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨から逸脱しない範囲で、様々に変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明は、自動車の衝突時に、シートの背もたれに設置されたエアバッグクッションを膨張展開させて、搭乗者の両肩を中心に搭乗者の両側面と前面を拘束し、搭乗者を安全に保護する自動車のエアバッグ装置技術に適用される。