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特許7186876連鎖発火の防止のためのエネルギードレイン抵抗体を備えるバッテリーパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】連鎖発火の防止のためのエネルギードレイン抵抗体を備えるバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20221202BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221202BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20221202BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/44 P
H01M10/6557
H02H7/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021529022
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020007302
(87)【国際公開番号】W WO2021029524
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0097677
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ギュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ユン-ク・イ
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-056654(JP,A)
【文献】特開2013-074707(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105160(WO,A1)
【文献】特開2015-186331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
H01M 10/52-10/667
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方向に沿って配列される複数個のバッテリーモジュールと、
前記バッテリーモジュールのうち正常に作動しない異常バッテリーモジュールと接続し、エネルギーを吸収するように設けられた抵抗体と、
前記異常バッテリーモジュールを感知するように設けられたイベント感知ユニットと、
各々の前記バッテリーモジュールと前記抵抗体とを接続または接続解除することで選択的に閉回路を形成するスイッチングモジュールと、
前記イベント感知ユニットから情報を受信し、前記異常バッテリーモジュールと前記抵抗体との間に電流経路が形成されるように前記スイッチングモジュールを制御する制御部と
前記バッテリーモジュールと交互に配置される仕切りと、を含み、
前記仕切りは、内部に冷却水が流動する流路を備える冷却板として設けられ、各々の前記バッテリーモジュールの少なくとも一側面に接触するように配置され、
前記抵抗体が、配列順で最外側にある前記バッテリーモジュールと接触する前記冷却板と接触し、
前記冷却板の一面は前記バッテリーモジュールと面接触し、前記冷却板の他面は前記抵抗体と面接触する、バッテリーパック。
【請求項2】
前記抵抗体が、前記冷却板のいずれか一つと接触するように配置されることを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記抵抗体は、前記冷却板に面接触可能な面を有するブロックと、前記ブロックの内部に備えられる熱線と、を含むことを特徴とする、請求項又はに記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記スイッチングモジュールは、各バッテリーモジュールの正極端子と前記抵抗体の一側との間の電流経路と、各バッテリーモジュールの負極端子と前記抵抗体の他側との間の電流経路と、に各々備えられるスイッチ素子を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記制御部は、前記スイッチ素子の一部を選択的にターンオンして前記異常バッテリーモジュールを前記抵抗体と通電するように構成されたことを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記制御部は、前記スイッチ素子の一部を選択的にターンオンして少なくとも一つ以上の前記異常バッテリーモジュールが前記抵抗体と通電するように構成されたことを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック内における特定のモジュールでイベントが発生したとき、周辺のモジュールへ連鎖発火することを遮断するための装置を備えるバッテリーパックに関する。
【0002】
本出願は、2019年8月9日出願の韓国特許出願第10-2019-0097677号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、充電が不可能な一次電池とは異なり、充放電が可能な電池をいい、携帯電話、PDA、ノートブックPCなどの小型先端電子機器分野のみならず、エネルギー貯蔵システム(ESS)、電気自動車(EV)またはハイブリッド自動車(HEV)の動力源として用いられている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池の種類としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セル、即ち、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.2Vである。したがって、これよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数の二次電池セルを直列接続してバッテリーモジュールを構成するか、または二つ以上の前記バッテリーモジュールを直列ないし並列接続し、その他の構成要素を追加してバッテリーパックを構成する。例えば、バッテリーモジュールは、複数の二次電池が直列ないし並列接続した装置を意味し、バッテリーパックは、容量及び出力などを高めるためにバッテリーモジュールが直列ないし並列接続している構成要素を意味する。
【0005】
一方、二次電池は、充放電過程が電気化学的反応によって行われるため、充放電過程で熱が発生する。この際、放熱が円滑でなければ、劣化が促進され、場合によって発火または爆発が起こり得る。ところが、バッテリーパックは、バッテリーモジュールの集合体であることから、特定のバッテリーモジュールで上述したように二次電池の発火または爆発が起こる場合、隣接しているバッテリーモジュールへの連鎖発火または連鎖爆発の恐れが大きい。特に、電気自動車用のバッテリーパックは、発火または爆発時、人命被害につながり得、安全装置が必ず要求される。
【0006】
そこで、従来のバッテリーパックの多くは、各バッテリーモジュールの温度をモニターして適正の温度に維持する冷却装置を備えているが、万が一に備えた連鎖発火ないし連鎖爆発の防止のための手段は未だに充分でない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーパック内における特定のバッテリーモジュールでイベントが発生したとき、隣接しているバッテリーモジュールへ連鎖発火ないし爆発することを事前に予防することができる安全装置を備えるバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一面によれば、少なくとも一方向に沿って配列される複数個のバッテリーモジュールと、前記バッテリーモジュールのうち正常に作動しない異常バッテリーモジュールと接続し、エネルギーを吸収するように設けられた抵抗体と、前記異常バッテリーモジュールを感知するように設けられたイベント感知ユニットと、各々の前記バッテリーモジュールと前記抵抗体とを接続または接続解除することで選択的に閉回路を形成するスイッチングモジュールと、前記イベント感知ユニットから情報を受信し、前記異常バッテリーモジュールと前記抵抗体との間に電流経路が形成されるように前記スイッチングモジュールを制御する制御部と、を含む、バッテリーパックを提供することができる。
【0010】
前記バッテリーモジュールと交互に配置される仕切りをさらに含み得る。
【0011】
前記仕切りは、内部に冷却水が流動する流路を備える冷却板として設けられ、各々の前記バッテリーモジュールの少なくとも一側面に接触するように配置され得る。
【0012】
前記抵抗体は、前記冷却板のいずれか一つと接触するように配置され得る。
【0013】
前記抵抗体は、配列順で最外側にある前記バッテリーモジュールと接触する前記冷却板と接触し、前記冷却板の一面は前記バッテリーモジュールと面接触し、前記冷却板の他面は前記抵抗体と面接触し得る。
【0014】
前記抵抗体は、前記冷却板に面接触可能な面を有するブロックと、前記ブロックの内部に備えられる熱線と、を含み得る。
【0015】
前記スイッチングモジュールは、各バッテリーモジュールの正極端子と前記抵抗体の一側との間の電流経路と、各バッテリーモジュールの負極端子と前記抵抗体の他側との間の電流経路と、に各々備えられるスイッチ素子を含み得る。
【0016】
前記制御部は、前記スイッチ素子の一部を選択的にターンオンして前記異常バッテリーモジュールを前記抵抗体と通電するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、前記スイッチ素子の一部を選択的にターンオンして少なくとも一つ以上の前記異常バッテリーモジュールが前記抵抗体と通電するように構成され得る。
【0018】
本発明の他の様態によれば、上述したバッテリーパックを含む自動車を提供することができる。前記自動車は、電気自動車(EV)またはハイブリッド自動車(HEV)を含み得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一面によれば、バッテリーパック内の特定のバッテリーモジュールでイベントの発生が予想されるとき、当該バッテリーモジュールのエネルギーを抵抗体によって放電させることで、隣接しているバッテリーモジュールへの連鎖発火ないし爆発を予め防止することができる。
【0020】
本発明の他面によれば、冷却機能を兼ねる仕切りが常時にはバッテリーモジュールを冷却し、イベントの発生時には異常バッテリーモジュールで発生する熱を遮断してバッテリーモジュールの連鎖発火ないし連鎖爆発を防止すると共に、エネルギードレインの作動時、抵抗体で発生する熱を冷やすことができる。
【0021】
本発明の他の効果は下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリーパックの主要構成を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリーパックのエネルギードレインの動作前を説明するための回路図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリーパックのエネルギードレインの動作後を説明するための回路図である。
図5】本発明の他の実施例によるバッテリーパックのエネルギードレインの動作前を説明するための回路図である。
図6】本発明の他の実施例によるバッテリーパックのエネルギードレインの動作後を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0024】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーパックを示すブロック図であり、図2は、本発明の一実施例によるバッテリーパックの主要構成を概略的に示す図である。
【0025】
これらの図面を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、複数個のバッテリーモジュール10と、抵抗体20と、イベント感知ユニット30と、スイッチングモジュール40と、制御部50と、仕切り60と、を含み得る。
【0026】
また、バッテリーパックは図示していないが、前記バッテリーモジュール10を収納するためのパックケースと、バッテリーモジュール10の充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS、電流センサ、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0027】
バッテリーモジュール10は、少なくとも一方向に沿って相互に隣接して配列された状態で前記パックケースの内部に搭載され得る。本実施例は、一方向へ配列された三つのバッテリーモジュール10を図2に示したが、バッテリーモジュール10は、1×1または2×2行列などに多様に配列可能であり、その個数も特に制限されない。
【0028】
前記各バッテリーモジュール10は、バッテリーセル11と、前記バッテリーセル11を収納するモジュールケース12と、を含む。前記バッテリーセル11としては、パウチ型二次電池セルが採用され得る。
【0029】
図2に示したように、パウチ型二次電池セルは、上下方向へ積層されてモジュールケース12の内部空間に収納され得る。そして、モジュールケース12の内壁面とパウチ型二次電池セルの両端との間の空間は、TIM(Thermal Interface Material)13で満たされ得る。この際、前記TIM13としては、熱伝導率の高いサーマルパッドまたはレジンを使用し得る。パウチ型二次電池セルで発生する熱は、前記TIM13とモジュールケース12との両側面部を通してモジュールケース12と接触している仕切り60へ伝達され得る。
【0030】
前記仕切り60は、バッテリーモジュール10と交互に配置され、バッテリーモジュール10とバッテリーモジュール10との間ごとに位置し得る。例えば、仕切り60でパックケースの内部空間が幾つかの空間に区画され、このように区画化された空間に、各バッテリーモジュール10が設けられ得る。
【0031】
このように各バッテリーモジュール10が前記仕切り60によって相互に遮断された空間に置かれると、いずれか一つの特定のバッテリーモジュール10でイベントが発生しても、他のバッテリーモジュール10は、仕切り60がその影響を阻止することで被害が最小化できる(ここで、イベントの発生とは、例えば、バッテリーモジュール10が、過熱、煙、発火、爆発などの異常な環境に置かれる場合を通称する。)
【0032】
本発明において、前記仕切り60は、各バッテリーモジュール10の設置空間を区画する役割と共に、積極的に各バッテリーモジュール10の熱を吸収する役割を果たすように設けられ得る。例えば、前記仕切り60は、内部に流路61を備える冷却板60の形態で設けられることで、バッテリーモジュール10の熱を吸収するヒートシンクの役割を果たすこともできる。
【0033】
より具体的に、前記冷却板60は、その内部に冷却水が流路61に沿って循環し、その外形はバッテリーモジュール10の側面部と同一であるか、またはそれよりも大きいサイズを有する板状体の形態であって、バッテリーモジュール10の一側面と面接触してバッテリーモジュール10を冷却するように設けられ得る。
【0034】
前記冷却板60は、図示していないが、流路61に沿って冷却水が循環するように流路61と連通して冷却板60の内外部へ延びる冷却水流出入用のポートを二つさらに備え得る。前記二つのポートは、バッテリーパックの内外部に設けられる冷却パイプに連結されて冷却水を受けるのに使用され得る。
【0035】
このように本発明は、冷却板60がバッテリーモジュール10の間に位置し、常時には各バッテリーモジュール10を冷却する役割を果たし、イベントの発生時には、イベントが発生した特定のバッテリーモジュール10の火炎や衝撃を遮断することで、他のバッテリーモジュール10を保護する防護壁の役割をを果たすことができる。
【0036】
一方、本発明によるバッテリーパックは、前述したうように、抵抗体20と、イベント感知ユニット30と、スイッチングモジュール40と、制御部50と、を含み、イベントの発生時、異常バッテリーモジュール10のエネルギーを最小化する。これは、イベントが発生した特定のバッテリーモジュール10のエネルギーを急速に枯渇させることで周辺のバッテリーモジュール10へのイベント拡散の危険を無くすためである。
【0037】
以下、図1及び図2と共に図3及び図4をさらに参照して本発明の一実施例による特定のバッテリーモジュール10のエネルギードレインシステムを説明する。
【0038】
図2及び図3に示したように、各バッテリーモジュール10は、スイッチングモジュール40を介して一つの抵抗体20と並列接続するように構成され得る。
【0039】
参考までに、バッテリーモジュール10の個数に合わせて複数個の抵抗体20を準備して各バッテリーモジュール10と各抵抗体20とを一対一にマッチングする例を考慮することもできるが、抵抗体20の個数が増加するにつれ、バッテリーパックの単位体積当たりのエネルギー密度低下、コスト増加、組立て工程の負担加重などといった問題が起こり得る。さらに、抵抗体20は、正常に作動しない特定のバッテリーモジュール10のエネルギーをドレインするためのものであるため、複数の抵抗体20をバッテリーパック内に置くことは望ましくない。そこで、本発明では、一つの抵抗体20がスイッチングモジュール40を介して各々のバッテリーモジュール10と接続または接続解除されて特定のバッテリーモジュール10と選択的に閉回路をなすように構成した。
【0040】
イベント感知ユニット30は、前記特定のバッテリーモジュール10、即ち、バッテリーモジュール10のうちイベントが発生した異常バッテリーモジュール10を感知し出すための構成であって、ガス感知部31及び温度測定部32を含み得る。
【0041】
前記ガス感知部31は、各バッテリーモジュール10の内部に備えられる少なくとも一つのガスセンサから構成され得る。前記ガスセンサとしては、可燃性ガスセンサとして接触燃焼式センサ、半導体センサ(PdゲートMOSFET)、セラミックガスセンサ(ZnO、F、SnO、NiO、CoO)などが採用され得る。
【0042】
前記温度測定部32は、各バッテリーモジュール10の内部に備えられる少なくとも一つの温度センサから構成され得る。前記温度センサとしては、バッテリーセル11に接触して熱を測定する接触式の温度センサ、またはバッテリーセル11から放射される熱を測定する非接触式の温度センサが採用され得る。
【0043】
スイッチングモジュール40は、図3に示したように、各バッテリーモジュール10の正極端子と前記抵抗体20の一側との間の電流経路と、各バッテリーモジュール10の負極端子と前記抵抗体20の他側との間の電流経路と、に各々備えられるスイッチ素子を含み得る。
【0044】
前記スイッチ素子は、常時はオフ状態に維持され、イベント発生時のみに選別的にオン状態に作動する。前記スイッチ素子としては、例えば、機械式または電子式リレースイッチが採用され得る。
【0045】
制御部50は、前記イベント感知ユニット30から情報を受信して異常バッテリーモジュール10と抵抗体20との間に電流経路が形成されるように前記スイッチングモジュール40を制御する役割を果たす。
【0046】
制御部50は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、その他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。制御部50は、メモリを含み得る。
【0047】
前記メモリは、装置の全般的な動作に要求されるデータ、命令語及びソフトウェアを保存するものであって、フラッシュメモリタイプ(flash(登録商標)memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリ)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリ)、ROM(read‐only memory,リードオンリメモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルリードオンリメモリ)、PROM(programmable read-only memory,プログラマブルリードオンリメモリ)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0048】
具体的に、特定のバッテリーモジュール10でイベントが発生したとき、ドレインシステムの動作例を見れば、次のようである。
【0049】
例えば、バッテリーモジュールM2でイベントが発生したとき、ガスセンサまたは温度センサが作動して制御部50に信号が伝達される。制御部50は、図4のように、前記信号に基づいて特定のバッテリーモジュールM2と抵抗体20との間に電流が流れるように、スイッチ素子SとSはオン状態に制御し、スイッチ素子SとSはオフ状態に制御する。これによって、バッテリーモジュールM2は、抵抗体20によってエネルギーが急激に枯渇する。
【0050】
上記とは異なり、バッテリーモジュールM3でイベントが発生したと仮定すれば、制御部50は、スイッチ素子SとSをオン状態に制御し、SとSをオフ状態に制御してバッテリーモジュールM3を抵抗体20と接続させることで、そのエネルギーを枯渇させることができる。
【0051】
また、バッテリーモジュールM1でイベントが発生したと仮定すれば、制御部50は、スイッチ素子SとSをオン状態に制御し、SとSをオフ状態に制御してバッテリーモジュールM1を抵抗体20と接続させることで、そのエネルギーを枯渇させることができる。
【0052】
一方、エネルギードレイン過程で前記抵抗体20に発生する熱エネルギーは、上述した冷却板60を介して排出できる。
【0053】
このために前記抵抗体20は、上述した冷却板60に面接触可能な面を有するブロック21と、前記ブロック21の内部に備えられる熱線22と、から構成され得る。前記熱線22は、一側と他側とが各バッテリーモジュール10と接続し得る。
【0054】
図2をさらに参照すれば、前記抵抗体20は、配列順で最外側にあるバッテリーモジュール10と接触する冷却板60と接触して配置され得る。ここで、前記冷却板60の一面は、前記バッテリーモジュール10の右側面と面接触し、冷却板60の他面は、抵抗体20と面接触するのに使われ得る。
【0055】
このように本発明は、最外郭のバッテリーモジュール10の外側面に位置した冷却板60に抵抗体20を設けることで、抵抗体20の熱エネルギー排出問題と抵抗体20の空間効率的な設置問題とを共に解決することができる。
【0056】
続いて、図5及び図6を参照して本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明する。
【0057】
本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、前述した実施例によるバッテリーパックとスイッチングモジュール40の構成に差があるだけで、その他の構成は実質的に同一である。したがって、同じ構成についての説明は省略する。
【0058】
前述した実施例の場合、イベントが発生した特定のバッテリーモジュール10の一つを抵抗体20と接続するようにスイッチングモジュール40が構成されたが、本発明の他の実施例は、イベントが二つ以上のバッテリーモジュール10で同時に発生する場合に備えてスイッチングモジュール40を構成したのである。そして、本実施例の制御部50は、スイッチ素子の一部を選択的にターンオンさせて少なくとも一つ以上の異常バッテリーモジュール10が抵抗体20と通電できるように前記スイッチングモジュール40を制御するように構成され得る。
【0059】
例えば、本実施例によるエネルギードレイン回路は、図5のように具現され得る。これは、図3の回路において、接点aと接点cとの間、接点bと接点dとの間に各々枝路とスイッチ素子とが一つずつさらに加えられ、接点a及び接点bとの間にスイッチ素子がもう一つ加えられたものであるといえる。そして、本実施例で常時にスイッチ素子S1~S6はオフ状態になり、スイッチ素子S7はオン状態になる。
【0060】
このようなエネルギードレイン回路構成によれば、例えば、バッテリーモジュールM2でイベントが発生し、ガスセンサまたは温度センサが作動して制御部50に信号が伝達されると、制御部50は、前記信号に基づいてスイッチ素子S2、S3、S7をオン状態に制御し、残りのスイッチ素子S1、S4、S5、S6を全てオフ状態に制御する。この際、バッテリーモジュールM2は、抵抗体20によってエネルギーが急激に枯渇する。
【0061】
もし、バッテリーモジュールM1とM3とで同時にイベントが発生したと仮定すれば、図6のように、制御部50は、スイッチ素子S1、S2、S3、S4をオン状態に制御し、S5、S6、S7はオフ状態に制御して、バッテリーモジュールM1とM3を抵抗体20に接続させることで、これらのエネルギーを枯渇させることができる。
【0062】
また、バッテリーモジュールM2とM3とで同時にイベントが発生したと仮定すれば、制御部50は、スイッチ素子S4、S5、S7をオン状態に制御し、残りのスイッチ素子S1、S2、S3、S6は全てオフ状態に制御して、バッテリーモジュールM2とM3を抵抗体20と接続させることで、これらのエネルギーを枯渇させることができる。
【0063】
したがって、本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、前述した実施例のバッテリーパックに比べて、複数のバッテリーモジュール10でイベントが同時多発的に発生する状況においても対処が可能であるという面で安全性がさらに優秀であるといえる。
【0064】
なお、以上のように上述した本発明によるバッテリーパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。勿論、前記バッテリーパックは、電力貯蔵装置またはその他のIT製品群などにも適用することができる。
【0065】
以上、本発明の望ましい実施例について詳細に図示して説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、だれでも多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は特許請求の範囲内に含まれる。
【0066】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0067】
10 バッテリーモジュール
11 バッテリーセル
12 モジュールケース
20 抵抗体
21 ブロック
22 熱線
30 イベント感知ユニット
31 ガス感知部
32 温度測定部
40 スイッチングモジュール
50 制御部
60 冷却板
61 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6