(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221202BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20221202BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221202BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20221202BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/10
B64C39/02
B64C13/20 Z
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2021542059
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025490
(87)【国際公開番号】W WO2021039092
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2019157216
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】奥西 晋一
(72)【発明者】
【氏名】横川 文俊
(72)【発明者】
【氏名】古川 潤
(72)【発明者】
【氏名】丸山 耕平
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-123793(JP,A)
【文献】国際公開第2019/029575(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0371985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0044609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0293897(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G05D 1/10
B64C 39/02
B64C 13/20
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する通信強度検知部と、
前記飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、
記憶部に記憶された通信強度マップを、前記通信強度と前記飛行体の位置とに対応付けて更新する通信強度マップ更新部と、を備え、
前記飛行制御部は、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、前記通信強度検知部により検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更
し、
前記飛行制御部は、前記飛行体に前記目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記飛行体の高度を下げる方向、または、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更し、
前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更する、
制御装置。
【請求項2】
前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合、前記飛行体の高度を下げる、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更した後、前記通信強度検知部により検知された他の無線基地局との間の通信強度が第2閾値以上となった場合、前記飛行体の飛行方向を前記目的地に近づく方向に変更する、
請求項1から3のうちいずれか1項記載の制御装置。
【請求項5】
前記飛行体の位置を検知する位置検知部を更に備え、
前記通信装置は、前記飛行体の飛行時において、前記通信強度検知部により検知された通信強度を前記位置検知部により検知された飛行体の位置と対応付けて前記無線基地局に送信する、
請求項1から4のうちいずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
前記通信強度と前記飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを記憶した記憶部を更に備え、
前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更する、
請求項1から5のうちいずれか1項記載の制御装置。
【請求項7】
前記飛行体の位置を検知する位置検知部と、
前記通信強度検知部により検知された通信強度と前記位置検知部により検知された飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを生成し、前記記憶部に記憶された通信強度マップを更新する通信強度マップ更新部と、
を更に備える、
請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
前記通信強度と前記飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを前記無線基地局から取得し、前記記憶部に記憶された通信強度マップを更新する通信強度マップ更新部を更に備える、
請求項6記載の制御装置。
【請求項9】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する通信強度検知部と、
前記飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、
を備え、
前記飛行制御部は、
前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中に、前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局との通信強度が第1閾値未満となった場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアの境界位置であると検知し、前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる高度となるまで、下方向への飛行と前記目的地方向への飛行とを行い、
前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体を上方向へ飛行させ、
前記他の無線基地局との通信強度が第2閾値以上となった場合に前記通信装置の通信対象を前記他の無線基地局に切り換え、
前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う、
制御装置。
【請求項10】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する通信強度検知部と、
前記飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、
を備え、
前記飛行制御部は、
前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中であって、前記飛行体の位置が前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局の境界位置である場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる位置となるまで、前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が強くなる方向への飛行と前記目的地方向へ飛行とを行い、
前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が弱くなる方向へ飛行させ、
前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う、
制御装置。
【請求項11】
無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記無線基地局との間の通信強度を検知し、
記憶部に記憶された通信強度マップを、前記通信強度と前記飛行体の位置とに対応付けて更新し、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更
し、
前記飛行体に前記目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記飛行体の高度を下げる方向、または、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更し、
前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更する、
制御方法。
【請求項12】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記無線基地局との間の通信強度を検知し、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中に、前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局との通信強度が第1閾値未満となった場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアの境界位置であると検知し、前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる高度となるまで、下方向への飛行と前記目的地方向への飛行とを行い、
前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体を上方向へ飛行させ、
前記他の無線基地局との通信強度が第2閾値以上となった場合に前記通信装置の通信対象を前記他の無線基地局に切り換え、
前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う、
制御方法。
【請求項13】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記無線基地局との間の通信強度を検知し、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中であって、前記飛行体の位置が前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局の境界位置である場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる位置となるまで、前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が強くなる方向への飛行と前記目的地方向へ飛行とを行い、
前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が弱くなる方向へ飛行させ、
前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う、
制御方法。
【請求項14】
無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する処理と、
記憶部に記憶された通信強度マップを、前記通信強度と前記飛行体の位置とに対応付けて更新する処理と、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更する処理と、
前記飛行体に前記目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記飛行体の高度を下げる方向、または、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更する処理と、
前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項15】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する処理と、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中に、前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局との通信強度が第1閾値未満となった場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアの境界位置であると検知し、前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる高度となるまで、下方向への飛行と前記目的地方向への飛行とを行い、前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体を上方向へ飛行させ、前記他の無線基地局との通信強度が第2閾値以上となった場合に前記通信装置の通信対象を前記他の無線基地局に切り換え、前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項16】
複数の無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記無線基地局との間の通信強度を検知する処理と、
前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体が予め設定された目的地方向への飛行中であって、前記飛行体の位置が前記複数の無線基地局のうち前記通信装置によって通信中の無線基地局の境界位置である場合、前記飛行体の位置が前記無線基地局の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入できる位置となるまで、前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が強くなる方向への飛行と前記目的地方向へ飛行とを行い、前記他の無線基地局の通信エリアに進入してから所定距離だけ飛行した位置で前記飛行体の高度を変えずに前記通信強度が弱くなる方向へ飛行させ、前記飛行体が前記他の無線基地局の通信エリアの境界位置となった場合に、前記目的地方向への飛行を行う処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
本願は、2019年08月29日に、日本に出願された特願2019-157216号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行体が出発地から飛行して目的地に到着するまでの飛行範囲に存在する複数の無線区間のうち、出発地から目的地まで無線通信が繋がる飛行無線区域を選出し、選出した飛行無線区域に位置する無線基地局に対して、飛行体と無線通信を行うための通信帯域を予約しておく技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ドローンなどの飛行体では、必ずしも通信状態が良好でない空間を飛行することも想定されているが、従来の技術では、その状態を改善することについて十分に検討されていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、通信状態を良好に維持するように飛行体の飛行制御を行うことができる制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御装置、制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る制御装置は、無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置であって、前記無線基地局との間の通信強度を検知する通信強度検知部と、前記飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、を備え、前記飛行制御部は、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、前記通信強度検知部により検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合、前記飛行体の高度を下げるものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0009】
(4):上記(1)~(3)の態様において、前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更した後、前記通信強度検知部により検知された他の無線基地局との間の通信強度が第2閾値以上となった場合、前記飛行体の飛行方向を前記目的地に近づく方向に変更するものである。
【0010】
(5):上記(1)~(4)の態様において、前記飛行体の位置を検知する位置検知部を更に備え、前記通信装置は、前記飛行体の飛行時において、前記通信強度検知部により検知された通信強度を前記位置検知部により検知された飛行体の位置と対応付けて前記無線基地局に送信するものである。
【0011】
(6):上記(1)~(5)の態様において、前記通信強度と前記飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを記憶した記憶部を更に備え、前記飛行制御部は、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記飛行体の位置を検知する位置検知部と、前記通信強度検知部により検知された通信強度と前記位置検知部により検知された飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを生成し、前記記憶部に記憶された通信強度マップを更新する通信強度マップ更新部と、を更に備えるものである。
【0013】
(8):上記(6)の態様において、前記通信強度と前記飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを前記無線基地局から取得し、前記記憶部に記憶された通信強度マップを更新する通信強度マップ更新部を更に備えるものである。
【0014】
(9):上記(1)~(8)の態様において、通信強度と飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを記憶した記憶部を更に備え、前記飛行制御部は、前記飛行体に前記目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記飛行体の高度を下げる方向、または、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更し、前記所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0015】
(10):上記(1)~(8)の態様において、通信強度と飛行体の位置とを対応付けた通信強度マップを記憶した記憶部を更に備え、前記飛行制御部は、前記飛行体に前記目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、前記飛行体の飛行中に前記通信強度検知部により検知された通信強度が、前記通信強度マップにおいて前記飛行体の位置に対応付けられた通信強度未満である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記飛行体の高度を下げる方向、または、変更前の前記飛行体の飛行方向と垂直な方向に前記飛行体の飛行方向を変更し、前記飛行体の飛行中に前記通信強度検知部により検知された通信強度が、前記通信強度マップにおいて前記飛行体の位置に対応付けられた通信強度以上である場合には、前記飛行体の飛行方向を変更する場合に、前記記憶部から読み出した前記通信強度マップを参照して、前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0016】
(11):本発明の他の態様に係る制御方法は、無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置が、前記無線基地局との間の通信強度を検知し、前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更するものである。
【0017】
(12):本発明の他の態様に係るプログラムは、無線基地局と通信する通信装置を備える飛行体に搭載される制御装置に、前記無線基地局との間の通信強度を検知する処理と、前記飛行体の飛行を制御する際、前記飛行体を予め設定された目的地まで飛行させる際に、検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、前記無線基地局との通信強度が高くなる方向に前記飛行体の飛行方向を変更する処理と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(12)によれば、通信状態を良好に維持するように飛行体の飛行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】制御装置150を利用した管制システム1の一例を示す図である。
【
図5】ドローン100と通信する無線基地局70が切り換わる場面を示す図である。
【
図6】ドローン100と通信する無線基地局70が切り換わる場面を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の制御装置、制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。制御装置は、例えば、ドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体に搭載される。以下の説明では飛行体がドローンであるものとするが、飛行体は自動制御されるヘリコプターや航空機であってもかまわない。
【0021】
<第1実施形態>
[構成]
図1は、第1実施形態に係る制御装置を利用した管制システム1の一例を示す図である。管制システム1では、一以上のドローン100が、無線基地局70と通信しながら飛行する。ドローン100の飛行に関する大まかな制御は、地上にある管理装置10によって行われる。例えば、管理装置10は、予め指定された出発地点から到着地点までの経路を生成し、経路の情報(飛行制御のための情報)を、時間の経過と共に逐次、ネットワークNWおよび無線基地局70を介してドローン100に送信する。ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネットなどを含む。
【0022】
ドローン100は、例えば、内部にGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機などの位置測位手段を備えており、管理装置10から受信した経路の情報に従って飛行するように自律飛行を行う。制御装置は、この自律飛行を制御するものである。ドローン100は、飛行に伴って最も通信しやすい無線基地局70が変化するので、随時、通信相手の無線基地局70を切り替えながら飛行する。管理装置10の態様は上記に限らず、操作者が手動で操作子(リモートコントローラ)を操作した内容をドローン100に送信するものであってもよい。
【0023】
無線基地局70とドローン100の間の通信は、例えば、比較的低周波な第1周波数f1の電波と、第1周波数よりも高周波な第2周波数f2の電波とで並行して行われる。例えば、ドローン100は、第1周波数f1の通信で経路の情報を取得し、第2周波数f2の通信でカメラにより撮像した画像を管理装置10に送信する。第1周波数f1の電波はデータ転送量が比較的小さいが、通信可能範囲が比較的広いため信頼性が高いので、飛行制御のための情報を送受信するのに向いている。一方、第2周波数f2の電波は、データ転送量が比較的大きいので、画像などの情報を送受信するのに向いている。
【0024】
図2は、管理装置10の構成図である。管理装置10は、例えば、通信部20と、入力装置22と、表示装置24とを備える。通信部20は、例えば、ネットワークNWに接続するための、ネットワークカードなどの通信インターフェースである。入力装置22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどである。表示装置24は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置、プラズマディスプレイなどである。
【0025】
また、管理装置10は、第1通信制御部32と、ドローン位置管理部34と、経路決定部36と、入力受付部38と、第2通信制御部40と、画像管理部42と、表示制御部44と、第3通信制御部46と、タスク管理部48とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0026】
また、管理装置10は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置(メモリ)に、位置管理テーブル60、タスク管理テーブル62、画像データなどの情報やデータを記憶させている。
【0027】
第1通信制御部32は、無線基地局70とドローン100が第1周波数帯f1の電波で通信することを前提とした通信を制御する。例えば、第1通信制御部32は、第1周波数帯f1の電波で通信するように指示するフラグが設定されたパケットを通信部20に送信させたり、第1周波数帯f1の電波で通信することで取得されたことを示すフラグが設定されたパケットを取得してドローン位置管理部34に渡したりする。後述するようにドローン100は、自機の位置を管理装置10に第1周波数帯f1の電波でアップロードするように設定されているため、第1通信制御部32はドローン100の位置を取得可能である。また、第1通信制御部32は、経路決定部36により決定された経路の情報を、通信部20を用いてドローン100に送信する。
【0028】
ドローン位置管理部34は、ドローン100によりアップロードされたドローン100の位置を位置管理テーブル60に登録する。経路決定部36は、位置管理テーブル60およびタスク管理テーブル62に登録された情報、および入力受付部38によって管理装置10の利用者から受け付けられた入力操作の内容に基づいて、ドローン100ごとの経路を決定し、第1通信制御部32および通信部20を介してドローン100に送信する。
【0029】
第2通信制御部40は、無線基地局70とドローン100が第2周波数f2の電波で通信することを前提とした通信を制御する。例えば、第2通信制御部40は、第2周波数f2の電波で通信するように指示するフラグが設定されたパケットを通信部20に送信させたり、第2周波数f2の電波で通信することで取得されたことを示すフラグが設定されたパケットを取得して画像管理部42に渡したりする。後述するようにドローン100は、カメラによって撮像した画像を管理装置10に第2周波数f2でアップロードするように設定されているため、第2通信制御部40はドローン100のカメラによって撮像された画像を取得可能である。画像管理部42は、取得した画像を例えばドローン100の識別情報と対応付けて画像データ64に登録する。表示制御部44は、入力受付部38によって管理装置10の利用者から受け付けられた入力操作の内容に基づいて、画像データ64に含まれる所望の画像を表示装置24に表示させる。
【0030】
第3通信制御部46は、ネットワークNWを介して外部装置(各種サーバや端末装置など)との間で行われる通信を制御する。例えば、第3通信制御部46は、ドローン100が行うべきタスクの内容を指定したタスク指定情報を外部装置から取得し、タスク管理部48に渡す。タスクとは、例えば、ある決まった地域(鉄道沿線や送電線、河川の周辺など)を飛行してカメラによる撮像を行ったり、配達物を運搬したりすることを含む。タスク管理部48は、取得したタスク指定情報をタスク管理テーブル62に登録する。
【0031】
図3は、ドローン100の構成図である。ドローン100は、例えば、第1通信装置110と、第2通信装置112と、第3通信装置114と、GNSS受信機120と、センサ群122と、カメラ130と、バッテリ140と、制御装置150と、回転翼170-1~170-m(mは自然数)と、モータ172-1~172-mと、ESC(Electric Speed Controller)174-1~174-mとを備える。
【0032】
第1通信装置110は、第1周波数f1の電波で無線基地局70と通信する。第2通信装置112は、第2周波数f2の電波で無線基地局70と通信する。第3通信装置114は、他のドローン100の第3通信装置114と通信する。
【0033】
GNSS受信機120は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、ドローン100の位置を特定する。GNSS衛星とは、GPS(Global Positioning System)、GLONAS、Galileo、BeiDou、QZSS、Gaganなどのシステムを構成する衛星である。
【0034】
センサ群122は、例えば、角速度センサ、加速度センサ、高度センサ(対地距離センサ)、ジャイロセンサなどを含む。センサ群122のそれぞれのセンサは、検出結果を制御装置150に出力する。
【0035】
カメラ130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を利用したカメラである。カメラ130は、例えば、ドローン100が飛行する際に下方または斜め下方を撮像可能な位置に取り付けられている。カメラ130の撮像方向は、通信によって制御可能であってもよい。
【0036】
バッテリ140は、ドローン100の各部に電力を供給する二次電池である。バッテリ140は、図示しない端子にアダプタおよび商用電源が接続されることで充電される。バッテリ140は、第1通信装置110や制御装置150などに動作用の電力を、ESC174-1~174-mに回転翼駆動用の電力をそれぞれ供給する。
【0037】
制御装置150は、例えば、通信制御部152と、飛行制御部154と、撮像制御部156とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0038】
通信制御部152は、第1通信装置110、第2通信装置112、および第3通信装置114のそれぞれを制御する。通信制御部152は、第1通信装置110によって得られた経路の情報などを飛行制御部154に渡したり、カメラ130によって撮像された画像を撮像制御部156から取得して第2通信装置112を用いて管理装置10にアップロードしたり、第3通信装置114を用いて他のドローン100と情報を共有したりする。
【0039】
飛行制御部154は、管理装置10から取得した経路の情報に従ってドローン100が飛行するように、GNSS受信機120により得られたドローン100の位置、センサ群122の検出結果を参照しながらESC174-1~174-mを制御する。
【0040】
撮像制御部156は、通信によって得られた指示、または予め設定された撮像時間帯のスケジュールに従い、カメラ130を動作させる。撮像制御部156は、カメラ130によって撮像された画像を通信制御部152に渡す。
【0041】
回転翼170-1~170-mは、所望の数mだけドローン100に搭載されている。以下、ハイフン以下の符号を省略して説明する。それぞれの回転翼170には、モータ172のロータが連結されている。モータ172は、例えばブラシレスモータである。ESC174は、飛行制御部154からの指示に応じてモータ172に供給する電力を調整する。これによって、回転翼170ごとの回転数が個別に調整され、ドローン100が所望の姿勢で所望の方向に飛行することができる。
【0042】
[飛行制御]
以下、第1実施形態の管制システム1において実現されるドローン100の飛行制御について説明する。
図4は、制御装置150のより詳細な構成図である。通信制御部152は、例えば、システム状態判定部152Aと、位置検知部152B、通信強度検知部152Cと、通信強度マップ更新部152Dと、通信切換部152Eと、記憶部152Fとを備える。
【0043】
システム状態判定部152Aは、無線基地局70との間に通信エラーが発生したか否かを判定する。システム状態判定部152Aは、例えば、管理装置10からの指示が所定時間以上途切れた場合に、無線基地局70との間に通信エラーが発生したと判定する。
【0044】
位置検知部152Bは、ドローン100の位置を検知する。位置検知部152Bは、例えば、GNSS受信機120により特定されたドローン100の位置を取得する。
【0045】
通信強度検知部152Cは、無線基地局70との間の通信強度を検知する。通信強度検知部152Cは、例えば、第1通信装置110または第2通信装置112が無線基地局70から受信した電波の強度に基づいて、無線基地局70との間の通信強度を検知する。
【0046】
通信強度マップ更新部152Dは、記憶部152Fに記憶された通信強度マップM1を更新する。通信強度マップM1は、例えば、実空間を三次元格子状にグリッド化した場合の各グリッドに対して通信強度が対応付けられた情報である。通信強度マップ更新部152Dは、例えば、通信強度検知部152Cにより検知された通信強度と位置検知部152Bにより検知されたドローン100の位置とを対応付けた通信強度マップM1を生成し、記憶部152Fに記憶された通信強度マップM1を更新する。
【0047】
通信強度マップ更新部152Dは、例えば、通信強度とドローン100の位置とを対応付けた通信強度マップM1を無線基地局70から取得し、記憶部152Fに記憶された通信強度マップM1を更新してもよい。通信強度マップM1は、例えば、管理装置10により生成される。この場合、第1通信装置110または第2通信装置112はまず、ドローン100の飛行時において、通信強度検知部152Cにより検知された通信強度を位置検知部152Bにより検知されたドローン100の位置と対応付けて無線基地局70に送信する。無線基地局70は、例えば、第1通信装置110または第2通信装置112から受信した情報を、ネットワークNWを経由して管理装置10に送信する。管理装置10は、無線基地局70から受信した、ドローン100の位置と対応付けられた通信強度に基づいて、通信強度マップM1を生成する。管理装置10は、複数のドローン100から受信した通信強度の情報を集約して通信強度マップM1を生成してもよい。
【0048】
通信制御部152は、通信強度マップ更新部152Dを省略し、ドローン100の飛行時などにおいて、記憶部152Fに事前に記憶された通信強度マップM12を更新しなくてもよい。
【0049】
飛行制御部154は、ドローン100の飛行を制御する。飛行制御部154は、ドローン100を予め設定された目的地まで飛行させる際に、無線基地局70との通信強度が所定強度以上に維持されるように、ドローン100の飛行を制御する。飛行制御部154は、例えば、ドローン100の飛行時に通信強度検知部152Cにより通信強度を所定の周期で検知し、通信強度が第1閾値まで低下したことを条件として、ドローン100の飛行方向を変更する。飛行制御部154は、ドローン100の飛行方向を変更する際に、通信強度マップM1を用いることなくドローン100の飛行を制御してもよいし、通信強度マップM1を用いてドローン100の飛行を制御してもよい。
【0050】
飛行制御部154は、通信強度マップM1を用いることなくドローン100の飛行を制御する場合、無線基地局70との通信強度が高くなる方向にドローン100の飛行方向を変更する。飛行制御部154は、例えば、予め決められた飛行ルールに従って、変更後のドローン100の飛行方向を決定する。飛行制御部154は、例えば、ドローン100の高度を下げ、所定高度まで下げても通信強度が第1閾値以上まで上昇しない場合、無線基地局70に接近する水平方向にドローン100の飛行方向を変更する。例えば、無線基地局70は地上に設置される設備であるため、一般には、ドローン100の高度を下げた場合に、無線基地局70とドローン100との通信強度が大きくなるためである。なお、飛行ルールは、これに限らず、任意に定めてもよい。飛行制御部154は、通信強度マップM1を用いることなくドローン100の飛行を制御する場合、鉛直上方以外の任意の方向に少しだけドローン100の飛行方向を変更し、最も通信強度が改善した方向にドローン100の飛行方向を変更してもよい。
【0051】
飛行制御部154は、通信強度マップM1を用いてドローン100の飛行を制御する場合、例えば、通信強度マップM1を参照して無線基地局70との通信強度が高くなる方向を決定してもよい。飛行制御部154は、通信強度マップM1を参照して無線基地局70との通信強度が高くなる方向を決定する場合、例えば、ドローン100の位置に最も近いグリッドと隣接または近接するグリッドを抽出し、ドローン100の位置に最も近いグリッドに比して通信強度が上昇するグリッド(あるいはグリッド群)に向かう方向を、無線基地局70との通信強度が高くなる方向として決定する。飛行制御部154は、通信強度マップM1を用いてドローン100の飛行方向を変更したとしても、通信強度が改善しない場合には、別の方向を探索してもよい。
【0052】
飛行制御部154は、ドローン100の飛行方向を変更した後、通信強度検知部152Cにより検知された他の無線基地局70との間の通信強度が第2閾値(例えば、第1閾値以上の値)以上となった場合、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更する。飛行制御部154は、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更する場合、例えば、ドローン100の高度を上げた後にドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更してもよいし、ドローン100の高度を上げることなくドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更してもよい。
【0053】
通信切換部152Eは、飛行制御部154により、ドローン100の飛行方向が変更された後、通信強度検知部152Cにより検知された他の無線基地局70との間の通信強度が第2閾値以上となった場合、第1通信装置110または第2通信装置112の通信対象を他の無線基地局70に切り換える。
【0054】
図5および
図6は、ドローン100と通信する無線基地局70が切り換わる場面の一例を示す図である。
図5は、ドローン100の出発地から目的地に向かう方向と直交する水平方向から見た側面図である。
図6は、鉛直上方から見た俯瞰図である。X軸は、ドローン100の出発地から目的地に向かう方向を正とする水平方向を示し、Y軸は、X軸と直交する水平方向を示し、Z軸は、鉛直上方を正とする垂直方向を示す。
図5および
図6に示す例のように、ドローン100が「第1無線基地局」の通信エリアに位置する出発地から「第2無線基地局」の通信エリアに位置する目的地まで飛行する過程で、ドローン100の位置が無線基地局70の通信エリアの境界位置となった場合には、ドローン100の飛行方向が変更される。なお、ドローン100は、例えば、通信強度検知部152Cにより検知される無線基地局70との通信強度が第1閾値まで低下した場合に、ドローン100の位置が無線基地局70の通信エリアの境界位置となったことを検知する。また、ドローン100は、例えば、通信強度マップM1を参照し、ドローン100の位置に最も近いグリッドに対応付けられた通信強度が第1閾値まで低下した場合に、ドローン100の位置が無線基地局70の通信エリアの境界位置となったことを検知してもよい。
【0055】
図5に示す例では、ドローン100はまず、出発地P1から+Z軸方向に飛行する。次に、ドローン100の位置が「第1無線基地局」の通信エリアR1の境界位置P2となった場合、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。次に、ドローン100の位置が「第1無線基地局」の通信エリアR1の境界位置P3となった場合、ドローン100が-Z軸方向に向けて飛行する。ドローン100が-Z軸方向に向けて所定距離だけ離れた位置P4まで飛行した場合、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。この場合、ドローン100は、「第1無線基地局」の通信エリアR1から外れることなく、「第2無線基地局」の通信エリアR2に進入できる高度となるまで、-Z軸方向への飛行と+X軸方向への飛行とを繰り返してもよい。ドローン100が「第2無線基地局」の通信エリアR2に進入してから所定距離だけ離れた位置P5まで飛行した場合、ドローン100が+Z軸方向に向けて飛行する。次に、ドローン100の位置が「第2無線基地局」の通信エリアR2の境界位置P6となった場合、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。そして、ドローン100の位置が目的地の垂直方向の上方の位置P7となった場合、ドローン100の飛行方向が-Z軸方向に変更され、ドローン100が目的地P8に到達する。
【0056】
図6に示す例では、ドローン100はまず、出発地P11から所定の高度まで+Z軸方向に飛行した後、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。次に、ドローン100の位置が「第1無線基地局」の通信エリアR1の境界位置P12となった場合、ドローン100がY軸方向に沿う方向に変更される。この場合、ドローン100は、例えば、飛行方向をY軸方向に沿う方向に変更した直後における通信強度を通信強度検知部152Cにより検知し、Y軸方向に沿う方向のうち、通信強度が強くなる方向にドローン100の飛行方向を変更する。図示の例では、Y軸方向に沿う方向のうち、-Y軸方向を通信強度が強くなる方向としている。そして、ドローン100は、-Y軸方向に向けて所定距離だけ離れた位置P13まで飛行した場合、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。この場合、ドローン100は、「第1無線基地局」の通信エリアR1から外れることなく、「第2無線基地局」の通信エリアR2に進入できる位置となるまで、+X軸方向への飛行と-Y軸方向への飛行とを繰り返してもよい。ドローン100が「第2無線基地局」の通信エリアR2に進入してから所定距離だけ離れた位置P14まで飛行した場合、ドローン100が+Y軸方向に向けて飛行する。次に、ドローン100の位置が「第2無線基地局」の通信エリアR2の境界位置P15となった場合、ドローン100の飛行方向が+X軸方向に変更される。そして、ドローン100の位置が目的地の垂直方向の上方の位置P16となった場合、ドローン100の飛行方向が-Z軸方向に変更され、ドローン100が目的地に到達する。
【0057】
次に、第1実施形態に係る制御装置150により実行されるドローン100の飛行制御の一例を説明する。
図7のフローチャートの処理は、例えば、ドローン100の飛行ルートが設定された場合に開始される。
【0058】
図7に示すように、まず、飛行制御部154は、通信強度検知部152Cにより検知される通信強度が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS10)。飛行制御部154は、通信強度が第1閾値以上であると判定した場合、ドローン100に通常飛行を行わせる(ステップS12)。
【0059】
飛行制御部154は、通信強度が第1閾値未満であると判定した場合、ドローン100にリカバリ飛行を行わせる(ステップS14)。リカバリ飛行では、無線基地局70の通信エリアから外れることなく、他の無線基地局の通信エリアに進入するように、飛行方向を変更しつつ目的地に向けてドローン100を飛行させる。リカバリ飛行では、通信強度検知部152Cにより検知される通信強度が高くなる方向へのドローン100の飛行と、目的地に近づく方向へのドローン100の飛行とが繰り返される。
【0060】
次に、飛行制御部154は、ドローン100の飛行が終了したか否かを判定する(ステップS16)。飛行制御部154は、例えば、ドローン100を予め設定された目的地まで飛行させる際には、ドローン100が目的地に到達した場合に、ドローン100の飛行が終了したと判定する。飛行制御部154は、ドローン100の飛行が終了していないと判定した場合、その処理をステップS10に戻し、ドローン100の飛行が終了するまでの間、ステップS10~ステップS16の処理を繰り返す。一方、飛行制御部154は、ドローン100の飛行が終了したと判定した場合、本フローチャートの処理が終了する。
【0061】
次に、第1実施形態に係る制御装置150により実行されるリカバリ飛行の処理の一例を説明する。リカバリ飛行の処理は、
図7に示すフローチャートにおけるステップS14の処理に相当する。
【0062】
図8に示すように、飛行制御部154は、リカバリ飛行を行う際にはまず、通信強度検知部152Cにより検知される無線基地局70との通信強度が高くなる方向にドローン100の飛行方向を変更する(ステップS20)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS22)。
【0063】
次に、飛行制御部154は、ドローン100を所定距離だけ飛行させると、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更する(ステップS24)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS26)。
【0064】
次に、飛行制御部154は、通信強度検知部152Cにより検知される他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS28)。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値未満であると判定した場合、その処理をステップS22に戻す。そして、飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上となるまで、ステップS22~ステップS28の処理を繰り返す。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であると判定した場合、本フローチャートの処理が終了する。
【0065】
上記説明した第1実施形態に係る制御装置150によれば、通信状態を良好に維持するようにドローン100の飛行制御を行うことができる。例えば、ドローン100の位置が無線基地局70の通信エリアから外れた場合、無線基地局70との通信が維持できなくなる。したがって、第1実施形態に係る制御装置150によれば、ドローン100を予め設定された目的地まで飛行させる際に、通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が第1閾値未満となった場合、無線基地局70との通信強度が高くなる方向にドローン100の飛行方向を変更する。これにより、通信状態を良好に維持するようにドローン100の飛行制御を行うことができる。
【0066】
また、実施形態に係る制御装置150によれば、ドローン100の飛行方向を変更した後、通信強度検知部152Cにより検知された他の無線基地局70との間の通信強度が第2閾値以上となった場合、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更するため、無線基地局70との通信を維持しつつ無線基地局70を切り換えるためのドローン100の飛行制御を行うことができる。
【0067】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、所定の飛行ルートの飛行回数に応じてドローン100の飛行方向を変更する場合の処理内容を異ならせている。以下、この相違点を中心に説明する。
【0068】
第2実施形態に係る飛行制御部154は、ドローン100に目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満である場合には、ドローン100の飛行方向を変更する場合に、ドローン100の高度を下げる方向、または、変更前のドローン100の飛行方向と垂直な方向にドローン100の飛行方向を変更する。また、飛行制御部154は、所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上である場合には、ドローン100の飛行方向を変更する場合に、記憶部152Fから読み出した通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更する。
【0069】
以下、第2実施形態に係る制御装置150により実行されるドローン100の飛行制御の一例を説明する。
図9は、第2実施形態に係る制御装置150により実行されるリカバリ飛行の処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
図9に示すように、飛行制御部154は、リカバリ飛行を行う際にはまず、所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満であるか否かを判定する(ステップS30)。飛行制御部154は、所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数未満であると判定した場合、ドローン100の高度を下げる方向、または、変更前のドローン100の飛行方向と垂直な方向に、ドローン100の飛行方向を変更する(ステップS32)。一方、飛行制御部154は、所定の飛行ルートの飛行回数が所定回数以上であると判定した場合、記憶部152Fから読み出した通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更する(ステップS34)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS36)。
【0071】
次に、飛行制御部154は、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更する(ステップS38)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS40)。
【0072】
次に、飛行制御部154は、通信強度検知部152Cにより検知される他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS42)。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値未満であると判定した場合、その処理をステップS36に戻す。そして、飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上となるまで、ステップS36~ステップS42の処理を繰り返す。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であると判定した場合、本フローチャートの処理が終了する。
【0073】
上記説明した第2実施形態に係る制御装置150によれば、第1実施形態に係る制御装置150と同様の効果を奏する他、所定の飛行ルートの飛行回数が多く、通信強度マップM1の信頼性が高い場合に、通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更するため、ドローン100の飛行制御を精度よく行うことができる。
【0074】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1および第2実施形態と比較すると、ドローン100の飛行時に検知される通信強度と通信強度マップM1に登録されている通信強度との比較の結果に応じて、ドローン100の飛行方向を変更する点で異なる。以下、この相違点を中心に説明する。
【0075】
第3実施形態に係る飛行制御部154は、ドローン100に目的地までの所定の飛行ルートを飛行させる際、ドローン100の飛行中に通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が、通信強度マップM1においてドローン100の位置に対応付けられた通信強度未満である場合には、ドローン100の飛行方向を変更する場合に、ドローン100の高度を下げる方向、または、変更前のドローン100の飛行方向と垂直な方向にドローン100の飛行方向を変更する。また、飛行制御部154は、ドローン100の飛行中に通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が、通信強度マップM1においてドローン100の位置に対応付けられた通信強度以上である場合には、ドローン100の飛行方向を変更する場合に、記憶部152Fから読み出した通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更する。
【0076】
以下、第3実施形態に係る制御装置150により実行されるドローン100の飛行制御の一例を説明する。
図10は、第3実施形態に係る制御装置150により実行されるリカバリ飛行の処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図10に示すように、飛行制御部154は、リカバリ飛行を行う際にはまず、ドローン100の飛行中に通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が、通信強度マップM1においてドローン100の位置に対応付けられた通信強度未満であるか否かを判定する(ステップS50)。飛行制御部154は、ドローン100の飛行中に通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が、通信強度マップM1においてドローン100の位置に対応付けられた通信強度未満であると判定した場合、ドローン100の高度を下げる方向、または、変更前のドローン100の飛行方向と垂直な方向に、ドローン100の飛行方向を変更する(ステップS52)。一方、飛行制御部154は、ドローン100の飛行中に通信強度検知部152Cにより検知された通信強度が、通信強度マップM1においてドローン100の位置に対応付けられた通信強度以上であると判定した場合、記憶部152Fから読み出した通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更する(ステップS54)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS56)。
【0078】
次に、飛行制御部154は、ドローン100の飛行方向を目的地に近づく方向に変更する(ステップS58)。また、飛行制御部154は、変更後の飛行方向にドローン100を所定距離だけ飛行させる(ステップS60)。
【0079】
次に、飛行制御部154は、通信強度検知部152Cにより検知される他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS62)。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値未満であると判定した場合、その処理をステップS56に戻す。そして、飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上となるまで、ステップS56~ステップS62の処理を繰り返す。飛行制御部154は、他の無線基地局70との通信強度が第2閾値以上であると判定した場合、本フローチャートの処理が終了する。
【0080】
上記説明した第3実施形態に係る制御装置150によれば、第1および第2実施形態に係る制御装置150と同様の効果を奏する他、ドローン100の飛行時に検知された通信強度が通信強度マップM1に登録されている通信強度以上であり、ドローン100により検知される通信強度が十分に確保されている可能性が高い場合に、通信強度マップM1を参照して、ドローン100の飛行方向を変更するため、ドローン100の飛行制御の信頼性を高めることができる。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0082】
1…管制システム、10…管理装置、70…無線基地局70…ドローン、110…第1通信装置、112…第2通信装置、114…第3通信装置、120…GNSS受信機、122…センサ群、130…カメラ、140…バッテリ、150…制御装置、152…通信制御部、152A…システム状態判定部、152B…位置検知部、152C…通信強度検知部、152D…通信強度マップ更新部、152E…通信切換部、152F…記憶部、154…飛行制御部、156…撮像制御部、170…回転翼、172…モータ、174…ESC、M1…通信強度マップ。