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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/26 20060101AFI20221202BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20221202BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20221202BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20221202BHJP
【FI】
B60H1/26 681B
B60H1/00 102L
B60H1/00 102G
B60H1/00 102F
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6566
H01M10/663
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021548300
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038353
(87)【国際公開番号】W WO2021059529
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】松浦 史和
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-1037(JP,A)
【文献】特許第5588472(JP,B2)
【文献】特開平5-178070(JP,A)
【文献】特開2005-306109(JP,A)
【文献】特開昭58-133911(JP,A)
【文献】特開2003-034124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/26
B60H 1/00
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 10/6566
H01M 10/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる車両用空調換気装置である第1の車両用空調換気装置と第2の車両用空調換気装置とを備える車両であって、
前記車両用空調換気装置は、
前記車両の外部である車外と前記車両の内部である車内とを結ぶ給気風路と、
前記車外と前記車内とを結んで前記給気風路と交差された排気風路と、
前記給気風路に設けられて前記車内に向かう給気流を前記給気風路の内部に発生させる第1の給気用送風機と、
前記排気風路に設けられて前記車内から前記車外に向かう排気流を前記排気風路の内部に発生させる排気用送風機と、
前記給気流と前記排気流との間で熱交換させる熱交換器と、
前記排気風路における前記熱交換器よりも上流の位置に配置され、前記車両の駆動に用いられる複数の蓄電池と、
前記給気風路における前記熱交換器よりも下流の位置に合流し、前記給気風路と前記車内とを結ぶ内気合流風路と、
前記給気流の空調を行う空調部と、
を備え
前記第1の車両用空調換気装置は、前記空調部が運転席の前方に配置され、
前記第2の車両用空調換気装置は、前記空調部が後部座席の後方に配置され、
複数の前記蓄電池のうちの一部が、前記第1の車両用空調換気装置の前記排気風路における前記熱交換器よりも上流の位置に配置され、
複数の前記蓄電池のうちの残りが、前記第2の車両用空調換気装置の前記排気風路における前記熱交換器よりも上流の位置に配置されていること、
を特徴とする車両。
【請求項2】
前記車両用空調換気装置は、前記内気合流風路の開度を調整する第1の開度調整部を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記車両用空調換気装置は、前記第1の給気用送風機が、前記給気風路における前記内気合流風路の合流点よりも下流の位置に設けられていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両用空調換気装置は、前記給気風路における前記熱交換器よりも下流の位置に合流し、前記給気風路と前記車外とを結ぶ外気合流風路を備えること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の車両。
【請求項5】
前記車両用空調換気装置は、前記外気合流風路の開度を調整する第2の開度調整部を備えること、
を特徴とする請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記車両用空調換気装置は、
前記内気合流風路と、前記排気風路における前記熱交換器よりも上流であって前記蓄電池が配置された領域とは、前記車内の床面よりも下方の床下の領域に配置され、
前記排気風路における前記熱交換器よりも上流であって前記蓄電池が配置された領域は、上下方向において前記車内との間に前記内気合流風路を挟んだ状態で設けられていること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の車両。
【請求項7】
前記車両用空調換気装置は、前記給気風路における前記熱交換器よりも上流の位置に設けられて前記給気風路の内部に前記車内に向かう前記給気流を発生させる第2の給気用送風機を備えること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の車両。
【請求項8】
前記車両用空調換気装置は、前記給気風路における前記熱交換器よりも下流であって前記内気合流風路よりも上流の位置に設けられて前記給気風路の内部に前記車内に向かう前記給気流を発生させる第2の給気用送風機を備えること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の車両。
【請求項9】
前記車両用空調換気装置は、前記排気用送風機が、前記排気風路における前記熱交換器よりも上流の位置に設けられていること、
を特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の車両。
【請求項10】
前記車両用空調換気装置は、前記排気用送風機が、前記排気風路における前記熱交換器よりも下流の位置に設けられていること、
を特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の空調および換気を行う車両用空調換気装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車内の暖房、冷房および換気を行う車両用空調換気装置が設けられている。たとえば車内の暖房では、車内の空気である内気を加熱して車内で循環させる循環暖房と、車外の空気である外気を加熱して車内に取り込む外気導入暖房とが行われる。
【0003】
特許文献1には、電気自動車既存のバッテリーの熱容量そのものを利用する空調手段で車室内空調を行う電気自動車用空調装置が開示されている。特許文献1の電気自動車用空調装置では、車内に設けられた内気吸入口から吸い込まれた車内の空気が、バッテリーが発する熱によって温められ、さらに室内熱交換器によって温度コントロールされて車内に戻される。
【0004】
しかしながら、特許文献1の電気自動車用空調装置では、バッテリーが発する熱によって温められた空気が車内に戻される。このため、バッテリーの不具合によりガスが発生した場合には、発生したガスも乗員のいる車内に排出されることになり、車内の空気汚染が生じる。
【0005】
上記の問題を解決する車載用空調装置として、特許文献2には、バッテリーとの熱交換により暖められた空気を、熱交換器を通過させてから車室外へ排気する車載用空調装置が開示されている。特許文献2の車載用空調装置では、給気流として車内に戻す内気と、バッテリーとの熱交換により暖められた車室内からの内気と、の熱交換を行うことができ、空調の暖房能力を向上させつつ、万が一バッテリーの異常でガスが発生した場合でも、車室内へガスが流入することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-178070号公報
【文献】特許第5588472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2の車載用空調装置では、夏季の冷房運転時に、給気流として車内に戻す内気と、バッテリーとの熱交換により暖められた車室内からの内気と、の熱交換を行わないようにするために、バッテリーとの熱交換により暖められた車室内からの内気を車外に排出する排出用ホースが2経路必要となり、構造が複雑なる、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で、蓄電池からの排熱を利用して車内の空調における暖房性能の向上を図るとともに蓄電池からの排熱に起因した車内の空調における冷房運転の負荷の増加を防止しつつ、蓄電池の異常によってガスが発生した場合でも車内にガスが流入することを防止できる車両用空調換気装置を備えた車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる車両は、車両に設けられる車両用空調換気装置である第1の車両用空調換気装置と第2の車両用空調換気装置とを備える車両である。車両用空調換気装置は、車両の外部である車外と車両の内部である車内とを結ぶ給気風路と、車外と車内とを結んで給気風路と交差された排気風路と、給気風路に設けられて車内に向かう給気流を給気風路の内部に発生させる第1の給気用送風機と、排気風路に設けられて車内から車外に向かう排気流を排気風路の内部に発生させる排気用送風機とを備える。車両用空調換気装置は、給気流と排気流との間で熱交換させる熱交換器と、排気風路における熱交換器よりも上流の位置に配置され、車両の駆動に用いられる複数の蓄電池と、給気風路における熱交換器よりも下流の位置に合流し、給気風路と車内とを結ぶ内気合流風路と、給気流の空調を行う空調部とを備える。第1の車両用空調換気装置は、空調部が運転席の前方に配置される。第2の車両用空調換気装置は、空調部が後部座席の後方に配置される。複数の蓄電池のうちの一部が、第1の車両用空調換気装置の排気風路における熱交換器よりも上流の位置に配置される。複数の蓄電池のうちの残りが、第2の車両用空調換気装置の排気風路における熱交換器よりも上流の位置に配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる車両は、簡単な構造で、蓄電池からの排熱を利用して車内の空調における暖房性能の向上を図るとともに蓄電池からの排熱に起因した車内の空調における冷房運転の負荷の増加を防止しつつ、蓄電池の異常によってガスが発生した場合でも車内にガスが流入することを防止できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置を備える電動車両の概略構成を示す図
図2】本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置における排出内気と循環内気との流れを示す図
図3】本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置の本体部の詳細な構成を示す図
図4】本発明の実施の形態1における熱回収熱交換器の斜視図
図5】本発明の実施の形態2にかかる車両用空調換気装置の概略構成を示す図
図6】本発明の実施の形態3にかかる車両用空調換気装置の概略構成を示す図
図7】本発明の実施の形態3にかかる他の車両用空調換気装置の概略構成を示す図
図8】本発明の実施の形態4にかかる電動車両における車両用空調換気装置の要部の概略配置を示す図
図9】本発明の実施の形態4にかかる電動車両における車両用空調換気装置の概略配置を示す図であり、電動車両の天面側から見た配置図
図10図1に示した制御部等を示すブロック図
図11図1に示した制御部のハードウェア構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態にかかる車両を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10を備える電動車両100の概略構成を示す図である。電動車両100は、例えばプラグインハイブリッド車等のハイブリッド車両または電気自動車である。電動車両100は、車内の床面104よりも下方の床下の領域に配置された蓄電池102に蓄えられた電力を動力源として駆動する。電動車両100には、車内の暖房、冷房および換気を行う車両用空調換気装置10が備えられている。車両用空調換気装置10は、本体部11と、内気風路12とを備える。
【0014】
電動車両100の車内における後部座席の下方の床面には、車内の空気である内気86を内気風路12に取り込むために車内に開放された開口である吸気口101が設けられている。
【0015】
本体部11は、車内に供給する空気の空調を行い、車内の暖房、冷房および換気を行う。本体部11は、電動車両100において、運転席より前方に配置されている。
【0016】
内気風路12は、吸気口101から取り込まれた車内の空気である内気86を本体部11に搬送するための風路である。内気風路12は、電動車両100において、車内の床面104よりも下方の床下の領域に配置されている。内気風路12は、吸気口101から取り込まれた内気86を、蓄電池102を冷却する冷却空気として利用して車外に排出する内気86と、車内に循環させる内気86と、に分離して搬送するための2つの風路である、内気合流風路23と内気排出風路22aとにより構成されている。
【0017】
まず、車両用空調換気装置10の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10における排出内気91と循環内気92との流れを示す図である。図2では、車両用空調換気装置10が内外気混合モードで運転する状態における排出内気91と循環内気92との流れを詳細に示したものである。図3は、本発明の実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10の本体部11の詳細な構成を示す図である。図3では、車両用空調換気装置10が内外気混合モードで運転する状態を示している。車両用空調換気装置10は、給気風路21と、排気風路22と、を備える。
【0018】
給気風路21は、車内に開放された開口であるデフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9と、新鮮な空気である外気85を取り込むために車外に開放された開口である給気用車外開口121と、を結ぶ風路である。すなわち、給気風路21は、電動車両100の外部である車外と電動車両100の内部である車内とを連通させる。デフロスタ吹出口7からは、フロントガラスへ向かって風が吹き出される。フェイス吹出口8からは、乗員の上半身へ向かって風が吹き出される。フット吹出口9からは、乗員の足下に向かって風が吹き出される。
【0019】
排気風路22は、車内に開放された開口である吸気口101と、車外に開放された開口である排気用車外開口122と、を後述する熱回収熱交換器2を介して結ぶ風路である。すなわち、排気風路22は、車外と車内とを連通させる。排気風路22は、吸気口101から取り込まれた内気86のうち、一部の内気86を排出内気91として車外に搬送する風路である。給気風路21と排気風路22とは風路の途中で交差している。
【0020】
排気風路22のうち熱回収熱交換器2よりも上流側の領域における吸気口101側の部分の一部は、車内の床面104よりも下方の床下の領域に配置された内気排出風路22aとされている。内気排出風路22aは、吸気口101から取り込まれた内気86のうち、一部の内気86を排出内気91として熱回収熱交換器2に向けて搬送する風路である。
【0021】
排気風路22の一部である内気排出風路22aには、電動車両100の駆動に用いられる複数の蓄電池102が配置されている。なお、内気排出風路22aに配置される蓄電池102の数量は限定されない。
【0022】
吸気口101から取り込まれて内気排出風路22aを流れる内気86である排出内気91は、蓄電池102の周囲を通過して蓄電池102と接触することにより、使用時に発熱した蓄電池102を冷却し、暖められる。すなわち、吸気口101から取り込まれて内気排出風路22aを流れる排出内気91は、内気排出風路22aに配置された蓄電池102を冷却する冷却空気として利用されて、温度が上昇する。蓄電池102を冷却して温度が上昇した排出内気91は、熱回収熱交換器2に向かって流れる。
【0023】
これにより、車両用空調換気装置10は、車外に排出される内気86を用いて発熱した蓄電池102を冷却し、蓄電池102の排熱を車外に排出することが可能である。
【0024】
また、内気排出風路22aには、冷却空気としての内気86の流れを発生させる冷却用送風機3が配置されている。冷却用送風機3は、吸気口101から熱回収熱交換器2へ向かう冷却空気としての排出内気91の流れを発生させるとともに、吸気口101から後述する排気用車外開口122に向かう排気流57を排気風路22の内部に発生させる第1排気用送風機としても機能する。
【0025】
車両用空調換気装置10は、第1の給気用送風機4を備える。第1の給気用送風機4は、給気風路21に設けられる。第1の給気用送風機4は、デフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9に向かう給気流56を給気風路21の内部に発生させる。第1の給気用送風機4は、給気風路21と排気風路22とが交差する交差部よりも給気流56の流れ方向における下流の位置に設けられる。
【0026】
車両用空調換気装置10は、熱回収熱交換器2を備える。熱回収熱交換器2は、給気風路21と排気風路22とが交差する交差部に設けられている。熱回収熱交換器2は、給気風路21を流れる給気流56と、排気風路22を流れる排気流57との間で熱交換させる熱交換器である。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態1における熱回収熱交換器2の斜視図である。熱回収熱交換器2は、交互に重ねられた仕切部材51と間隔保持部材52とを備える。仕切部材51と間隔保持部材52とは接着剤で接着されている。仕切部材51を挟んだ一方側には、給気流56である外気85の流路である第1の層状気体流路54が形成されている。第1の層状気体流路54は、給気風路21の一部を構成する。仕切部材51を挟んだ他方側には、排気流57である内気の流路である第2の層状気体流路55が形成されている。第2の層状気体流路55は、排気風路22の一部を構成する。第1の層状気体流路54の延在方向と、第2の層状気体流路55の延在方向とは、直交している。
【0028】
熱回収熱交換器2が、湿度を透過させず、温度だけを交換させる顕熱交換の素材で構成される場合は、給気流56と排気流57との間で仕切部材51を媒体にして顕熱だけが交換される。顕熱交換の素材としては、例えばプラスティックが用いられる。車内の空調換気において湿度の排出が重要視される場合には、顕熱のみが交換される熱回収熱交換器2を用いることが好ましい。
【0029】
また、熱回収熱交換器2を構成する素材に脱臭機能を付与することで、外気と内気とを熱交換させる場合に、車内の空気環境における消臭効果が期待でき、車内環境の向上を図ることができる。また、熱回収熱交換器2の上流の位置にHEPA(High Efficiency Particlate Air Filter)等の高性能フィルターを配置することで、PM(Particulate Matter)2.5などの微小粒子状物質および花粉といった微粒子の車内への侵入を抑制し、車内の空気清浄効果を高めることができる。
【0030】
車両用空調換気装置10は、冷却器5と加熱器6とを含む空調部14を備える。冷却器5は、給気風路21に設けられ、車内に流れる給気流56の空調を行う。冷却器5は、給気流56の流れ方向における第1の給気用送風機4よりも下流の位置に設けられる。冷却器5は、給気流56を露点温度以下に冷却する。給気流56は、冷却器5によって露点温度以下に冷却されることで結露が生じて湿度が低下する。すなわち、冷却器5によって給気流56を除湿することができる。加熱器6は、給気風路21に設けられる。加熱器6は、給気流56の流れ方向における冷却器5よりも下流の位置に設けられる。加熱器6は、給気流56を加熱する。
【0031】
例えば、ヒートポンプシステムを用いて冷却器5および加熱器6を構成することができる。この場合には、冷却器5は、吸熱によって冷媒を蒸発させる蒸発器である。加熱器6は、放熱によって冷媒を凝縮させる凝縮器である。なお、加熱器6は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータなどの電気ヒータであってもよいし、電気ヒータを補助熱源とする凝縮器であってもよい。
【0032】
車両用空調換気装置10は、内気合流風路23を備える。内気合流風路23は、給気風路21に合流される風路である。内気合流風路23は、給気流56の流れにおける熱回収熱交換器2よりも下流かつ第1の給気用送風機4よりも上流の位置で給気風路21に合流される。内気合流風路23では、給気風路21と合流する端部とは反対側となる端部が、車内に開放された開口である吸気口101となっている。
【0033】
内気合流風路23は、車内に開放された開口である吸気口101と給気風路21とを結んで、給気風路21と車内とを結び、車内から内気86が導入される。すなわち、内気合流風路23は、給気風路21と車内とを連通させる。内気合流風路23は、吸気口101から取り込まれた内気86のうち一部の内気86を、蓄電池102と接触せずに車内に循環させられる循環内気92として給気風路21に搬送する。循環内気92は、吸気口101から取り込まれた後に再び車内に循環させる内気86である。
【0034】
内気排出風路22aと内気合流風路23とは、上下方向において、すなわち鉛直方向において電動車両100の下方より、内気排出風路22a、内気合流風路23、車内の床面104、車内、の順に配置されている。また、内気排出風路22aと内気合流風路23とは、車内の床面104の面方向において、重複した状態で平行に配置されている。すなわち、内気排出風路22aと車内との間には、内気合流風路23が挟まれた構成とされている。これにより、蓄電池102が配置された内気排出風路22aと車内との間に内気合流風路23が存在するので、蓄電池102で発熱された熱が熱伝導により直接、車内に伝わることが無い。そして、蓄電池102は、内気排出風路22aの内部を流れる内気86によって冷却される。これにより、蓄電池102の発熱に起因した車内の温度上昇を抑制することができる。
【0035】
内気排出風路22aと内気合流風路23とは、ダクトにより構成される。上記の効果をより確実にするために、内気排出風路22aを構成するダクトは、断熱材により構成される、または内気合流風路23側に断熱材が設けられることが好ましい。さらに、内気合流風路23も断熱材により構成される、または内気排出風路22a側に断熱材が設けられることが好ましい。
【0036】
車両用空調換気装置10は、外気合流風路24を備える。外気合流風路24は、給気風路21に合流される風路である。外気合流風路24は、給気流56の流れにおける熱回収熱交換器2よりも下流かつ第1の給気用送風機4よりも上流の位置で給気風路21に合流される。外気合流風路24では、給気風路21と合流する端部とは反対側となる端部が、車外に開放された開口である合流用車外開口125となっている。合流用車外開口125は、上述した給気用車外開口121とは異なる、車外に開放された開口である。すなわち、車両用空調換気装置10は、車外に開放されて外気が導入可能な開口を2つ備えている。外気合流風路24は、給気風路21と車外とを結び、車外から外気が導入される。すなわち、外気合流風路24は、給気風路21と車外とを連通させる。
【0037】
車両用空調換気装置10は、内気合流風路23の開度を調整する第1の開度調整部128を備える。第1の開度調整部128は、内気合流風路23と給気風路21との合流部分に設けられている。第1の開度調整部128は、内気合流風路23を開放しつつ、合流部分よりも上流で給気風路21を塞ぐ第3の開度調整部としても機能する。給気風路21を塞ぐことにより、内気86の循環のみによる車内の空調が可能である。
【0038】
車両用空調換気装置10は、外気合流風路24の開度を調整する第2の開度調整部129を備える。第2の開度調整部129は、合流用車外開口125の部分に設けられている。
【0039】
給気用車外開口121には、給気用車外開口121を開閉する給気開閉部131が設けられている。排気用車外開口122には、排気用車外開口122を開閉する排気開閉部132が設けられている。
【0040】
給気風路21には、給気風路21を通過する給気流56のうち加熱器6を通過する給気流56の割合を調整する流量調整部133が設けられている。デフロスタ吹出口7には、デフロスタ吹出口7の開度を調整する吹出量調整部134が設けられている。同様に、フェイス吹出口8には、フェイス吹出口8の開度を調整する吹出量調整部134が設けられている。同様に、フット吹出口9には、フット吹出口9の開度を調整する吹出量調整部134が設けられている。
【0041】
図1に戻って、車両用空調換気装置10は制御部201を備える。制御部201は、上述した車両用空調換気装置10の各種構成要素を制御して、車両用空調換気装置10に車内の空調換気を行わせる。制御部201の制御によって行われる空調換気の種類には、空気の流れの異なる4種類のモードがある。具体的には、内外気混合モードと、外気モードと、内気モードと、外気熱交換モードである。以下に各モードの詳細について説明する。
【0042】
上記のように構成された車両用空調換気装置10は、内外気混合モードで車内の空調として暖房運転を行うことができる。図3では、内外気混合モードにおける第1の開度調整部128等の状態が示されている。
【0043】
内外気混合モードでは、制御部201は、第1の開度調整部128を制御して、内気合流風路23を開放する位置に第1の開度調整部128を配置する。このとき、第1の開度調整部128は、給気風路21を塞がない位置に配置されている。また、制御部201は、第2の開度調整部129を制御して、外気合流風路24を塞ぐ位置に第2の開度調整部129を配置する。
【0044】
また、制御部201は、給気開閉部131を制御して、給気用車外開口121を開放する位置に給気開閉部131を配置する。また、制御部201は、排気開閉部132を制御して、排気用車外開口122を開放する位置に排気開閉部132を配置する。
【0045】
また、制御部201は、流量調整部133を制御して、冷却器5を通過した給気流56の一部を加熱器6に誘導する位置に流量調整部133を配置する。流量調整部133によって、給気流56のうち加熱器6を通過する空気の割合を調整することで、車内に吹き出される空気の温度を調節することができる。
【0046】
また、制御部201は、図1に示す車内に設けられた操作部103への操作に基づいて、吹出量調整部134を制御して、デフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9からの給気流56の吹出量を制御する。デフロスタ吹出口7から吹き出された空気は、フロントガラスに吹き付けられる。加熱器6で加熱された給気流56をデフロスタ吹出口7から吹き出させることで、フロントガラスを加熱してフロントガラスに付着した霜を除去することができる。フット吹出口9から吹き出された空気は、電動車両100の乗員の足元付近に吹き出される。フェイス吹出口8から吹き出された空気は、電動車両100の乗員の顔付近に吹き出される。なお、フット吹出口9およびフェイス吹出口8に設けられた吹出量調整部134は、乗員によって手動で操作されてもよい。
【0047】
また、制御部201は、冷却用送風機3および第1の給気用送風機4を駆動させる。
【0048】
上述した内外気混合モードでは、車内の空気である内気86は、吸気口101から排気風路22に取り込まれて、排気用車外開口122から排気流57として車外に排出される。ここで、吸気口101から取り込まれて内気排出風路22aを流れる内気86である排出内気91は、内気排出風路22aを流れる際に、蓄電池102の使用時に発熱した蓄電池102を冷却し、暖められる。蓄電池102を冷却して温度が上昇した排出内気91は、熱回収熱交換器2に向かって流れる。排気風路22を通る排出内気91は熱回収熱交換器2を通過する。
【0049】
また、車外の空気は、給気用車外開口121から給気風路21に取り込まれて、給気流56としてデフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9から車内に吹き出される。給気風路21を通る給気流56は、熱回収熱交換器2を通過する。したがって、内外気混合モードでは給気流56と排気流57との間で熱交換が行われ、暖房運転において給気流56を暖める際の空調負荷の低減を図ることができる。
【0050】
給気流56には、内気合流風路23を介して給気風路21に流入する循環内気92が混合される。給気流56に混合された循環内気92は、デフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9から車内に吹き出される。
【0051】
内外気混合モードでは、排気流57である排出内気91と、給気流56である外気85との間で熱交換を行う熱交換換気と、内気86である循環内気92を循環させる空気循環との両方が同時に行われる。
【0052】
また、内外気混合モードでは、車内に吹き出される給気流56には、暖房によって暖められた車内の空気が混合されるため、外気のみを取り込んで暖房する場合に比べて空調負荷を抑えることができる。すなわち、内外気混合モードでは、外気と内気との熱交換に加えて、給気流56に循環内気92を合流させることによって空調負荷の低減を図ることができる。これにより、暖房運転において加熱器6での消費電力を抑えることが可能となり、冬季における電動車両100の航続距離の低下を抑制することができる。
【0053】
また、加熱器6による給気流56の加熱を停止すれば、冷却器5で冷却された冷気を車内に吹き出す冷房運転を行うことができる。
【0054】
また、外気モードでは、制御部201は、第1の開度調整部128を制御して、内気合流風路23を閉鎖する位置に第1の開度調整部128を配置する。また、制御部201は、第2の開度調整部129を制御して、排気風路22を塞ぐ位置に第2の開度調整部129を配置する。このとき、合流用車外開口125は開放されている。
【0055】
また、制御部201は、給気開閉部131を制御して、給気用車外開口121を閉鎖する位置に給気開閉部131を配置する。また、制御部201は、排気開閉部132を制御して、排気用車外開口122を閉鎖する位置に排気開閉部132を配置する。
【0056】
また、制御部201は、第1の給気用送風機4を駆動させ、冷却用送風機3を停止させる。
【0057】
外気モードでは、給気流56と排気流57とが熱回収熱交換器2を通過せず、給気流56と排気流57との間で熱交換は行われない。また、内気合流風路23も閉鎖されているため、給気流56への内気86の混合もされない。給気流56は、外気合流風路24から取り込まれた外気のみを含む。すなわち、外気モードでは、外気の取り込みのみによって空調および換気が行われる。
【0058】
また、内気モードでは、制御部201は、第1の開度調整部128を制御して、給気風路21を閉鎖する位置に第1の開度調整部128を配置する。また、制御部201は、給気開閉部131を制御して、給気用車外開口121を閉鎖する位置に給気開閉部131を配置する。また、制御部201は、排気開閉部132を制御して、排気用車外開口122を閉鎖する位置に排気開閉部132を配置する。
【0059】
また、制御部201は、第1の給気用送風機4を駆動させ、冷却用送風機3を停止させる。
【0060】
内気モードでは、給気流56と排気流57とが熱回収熱交換器2を通過せず、給気流56と排気流57との間で熱交換は行われない。また、外気合流風路24も閉鎖されており、給気流56への外気の混合もされない。給気流56は、内気合流風路23から取り込まれた内気86のみを含む。すなわち、内気モードでは、内気の循環のみによって空調および換気が行われる。そのため、内気モードでは、空気の加熱、冷却、除湿は可能であるが、外気取り込んだ場合のように車内の二酸化炭素濃度を低下させることは難しい。
【0061】
外気熱交換モードでは、制御部201は、第1の開度調整部128を制御して、内気合流風路23を閉鎖する位置に第1の開度調整部128を配置する。また、制御部201は、第1の給気用送風機4および冷却用送風機3を駆動させる。
【0062】
外気熱交換モードでは、熱回収熱交換器2を通過した後の給気流56への内気86および外気の混合がなされない。したがって、外気熱交換モードでは、熱回収熱交換器2での熱交換によって暖房運転時の空調負荷の低減が図られる。
【0063】
なお、制御部201は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリ等の記憶素子がともに搭載された制御基板であり得る。記憶素子に格納されたプログラムに従ってプロセッサが演算処理を実行することにより、上述した各機構の動作の制御が実行される。
【0064】
上述した車両用空調換気装置10では、給気風路21における熱回収熱交換器2よりも下流の位置に合流し、給気風路21と車内とを結ぶ内気合流風路23を備えるため、熱回収熱交換器2で熱交換を行わずに内気86を車内に戻すことができる。そして、車外と車内とを結んで給気風路21と交差された排気風路22は1経路のみとされている。このため、夏季の冷房運転時に、蓄電池102を冷却して温度が上昇した排出内気91と循環内気92との熱交換を行わないようにするために、排気風路22はが複数必要になることが無い。
【0065】
したがって、車両用空調換気装置10は、簡単な構造で、蓄電池102からの排熱を利用して車内の空調における暖房性能の向上を図り、また、蓄電池102からの排熱に起因した車内の空調における冷房運転の負荷の増加を防止することができる。
【0066】
また、車両用空調換気装置10では、蓄電池102の異常によってガスが発生した場合でも、蓄電池102が配置されている排気風路22を通る内気86は、車内に戻されないため、車内にガスが流入することを防止できる。
【0067】
また、上述した車両用空調換気装置10は、内気合流風路23の開度を調整する第1の開度調整部128を備える。すなわち、第1の開度調整部128は、給気風路21において熱回収熱交換器2よりも下流の位置に配置されている。これにより、車両用空調換気装置10は、内気合流風路23から給気風路21に流れる循環内気92の流量を調整しやすくなり、給気流56における循環内気92の混合割合を細かく制御することができる。
【0068】
また、上述した車両用空調換気装置10では、第1の給気用送風機4が、給気風路21における内気合流風路23の合流点よりも下流の位置に設けられている。これにより、内気合流風路23から給気風路21に流れる循環内気92の流れをスムーズ且つ確実に発生させることができ、給気風路21において給気流56をスムーズに流すことができる。
【0069】
また、上述した車両用空調換気装置10では、給気風路21における熱回収熱交換器2よりも下流の位置に合流し、給気風路21と車外とを結ぶ外気合流風路24を備える。すなわち、車両用空調換気装置10では、新鮮な空気である外気の取入口として、給気用車外開口121と合流用車外開口125とを備える。これにより、車両用空調換気装置10は、熱回収熱交換器2を通過させない外気を給気流56として車内に供給することが可能である。
【0070】
すなわち、車両用空調換気装置10は、熱回収熱交換器2において排気流57との間で顕熱交換した給気流56に対して、排気流57との間で顕熱交換していない外気を混合させることができ、冷却器5に流れる給気流56の温度を調整でき、車内の空調における熱負荷を抑えることができる。すなわち、熱回収熱交換器2において排気流57との間で顕熱交換した給気流56に対して、顕熱交換した給気流56よりも温度の低い外気を混合させることができ、給気流56の温度を低減できる。
【0071】
また、上述した車両用空調換気装置10では、外気合流風路24の開度を調整する第2の開度調整部129を、第1の開度調整部128とは別に備える。すなわち、第2の開度調整部129は、給気風路21において熱回収熱交換器2よりも下流の位置に、第1の開度調整部128から独立して設けられている。これにより、車両用空調換気装置10は、外気合流風路24から給気風路21に流れる外気の流量を調整しやすくなり、外気合流風路24から給気風路21に流れる外気の給気流56における混合割合を細かく制御することができる。また、車両用空調換気装置10は、第2の開度調整部129が第1の開度調整部128から独立して設けられているため、外気合流風路24から給気風路21に流れる外気の流量を、内気合流風路23から給気風路21に流れる循環内気92の流量とは関係なく、個別に調整することができる。
【0072】
また、上述した車両用空調換気装置10では、内気合流風路23と、排気風路22における熱回収熱交換器2よりも上流であって蓄電池102が配置された領域および蓄電池102が配置された領域よりも下流の領域とは、車内の床面104よりも下方の床下の領域に配置されている。そして、排気風路22における熱回収熱交換器2よりも上流であって蓄電池102が配置された領域および蓄電池102が配置された領域よりも下流の領域は、上下方向において車内との間に内気合流風路23を挟んだ状態で設けられている。
【0073】
すなわち、車両用空調換気装置10では、内気排出風路22aと内気合流風路23とが電動車両100の下方より、内気排出風路22a、内気合流風路23、車内の床面104、車内、の順に配置されている。また、内気排出風路22aと内気合流風路23とは、車内の床面104の面方向において、重複した状態で平行に配置されている。すなわち、内気排出風路22aと車内との間には、内気合流風路23が挟まれた構成とされている。このように、車両用空調換気装置10では、蓄電池102が配置された内気排出風路22aと車内との間に内気合流風路23が存在することにより、蓄電池102で発熱された熱が熱伝導により直接、車内に伝わることが防止されている。これにより、車両用空調換気装置10では、蓄電池102の発熱が車内に伝熱することに起因した車内の温度上昇を抑制することができる。
【0074】
また、上述した車両用空調換気装置10では、外気合流風路24が閉鎖され、第1の開度調整部128が内気合流風路23を開放しつつ給気風路21を塞ぐことにより、給気流56が熱回収熱交換器2を通過しない、内気86の循環のみによる車内の空調が可能である。これにより、給気流56が熱回収熱交換器2を通過することに起因した給気流56の圧力損失を発生させることなく、内気86の循環による車内の空調が可能である。
【0075】
また、上述した車両用空調換気装置10では、暖房運転を行う場合および冷房運転を行う場合において、蓄電池102を冷却した排出内気91の風路は変化しない。これにより、暖房運転および冷房運転といった運転の種別によって冷却用送風機3の位置が限定されることなく、排気風路22の任意の位置に冷却用送風機3を配置することが可能であり、構造の自由度が大きい。
【0076】
したがって、本実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10は、簡単な構造で、蓄電池からの排熱を利用して車内の空調における暖房性能の向上を図るとともに蓄電池からの排熱に起因した車内の空調における冷房運転の負荷の増加を防止しつつ、蓄電池の異常によってガスが発生した場合でも車内にガスが流入することを防止できる、という効果を奏する。
【0077】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2にかかる車両用空調換気装置10aの概略構成を示す図である。車両用空調換気装置10aが上述した実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10と異なる点は、冷却空気として機能する内気86の流れを発生させる冷却用送風機3が、排気風路22における熱回収熱交換器2よりも下流の位置に設けられている点である。
【0078】
車両用空調換気装置10aは、上述した実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10と同様の効果を有する。
【0079】
また、車両用空調換気装置10aは、排気風路22における熱回収熱交換器2よりも下流の位置に冷却用送風機3が設けられていることにより、排気用車外開口122の外部の車外において外気風圧の乱れなどの、排気流57の車外への排出に対する外乱が生じた場合でも、確実に排気流57を車外へ排出することができる。
【0080】
なお、図5では、循環内気92を車内に循環させ、排出内気91を車外に排出させる場合について示している。内気合流風路23と内気排出風路22aは、独立して機能する。
【0081】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3にかかる車両用空調換気装置10bの概略構成を示す図である。車両用空調換気装置10bは、上述した実施の形態2にかかる車両用空調換気装置10aの構成に加えて、給気風路21における熱回収熱交換器2よりも上流の位置に、第2の給気用送風機13を備える。第2の給気用送風機13は、給気用車外開口121から、デフロスタ吹出口7、フェイス吹出口8およびフット吹出口9に向かう給気流56を給気風路21の内部に発生させる。すなわち、車両用空調換気装置10bは、給気用送風機を2つ備える。
【0082】
車両用空調換気装置10bにおける給気風路21は、給気用車外開口121、第2の給気用送風機13、熱回収熱交換器2、第1の給気用送風機4、冷却器5、吹出口を通る経路となる。なお、給気風路21は、冷却器5を通った後に加熱器6を通る経路となる場合もある。
【0083】
上述した実施の形態1にかかる車両用空調換気装置10および実施の形態2にかかる車両用空調換気装置10aでは、内気合流風路23の開度を調整する第1の開度調整部128のみで、給気流56における外気と循環内気92との混合割合を制御している。
【0084】
これに対して、車両用空調換気装置10bでは、第2の給気用送風機13を備えることにより、給気用車外開口121から給気風路21に取り込む外気85の流量を調整しやすくなり、給気流56における外気と循環内気92との混合割合をより細かく制御することができる。
【0085】
また、車両用空調換気装置10bは、第2の給気用送風機13を備えることにより、熱回収熱交換器2を流れる外気85の供給量を調整しやすくなり、熱回収熱交換器2を流れる給気流56である外気85と排気流57との流量のバランスを取ることが容易になる。
【0086】
図7は、本発明の実施の形態3にかかる他の車両用空調換気装置10cの概略構成を示す図である。車両用空調換気装置10cは、上述した実施の形態2にかかる車両用空調換気装置10aの構成に加えて、給気風路21における熱回収熱交換器2よりも下流であって内気合流風路23よりも上流の位置に、第2の給気用送風機13を備える。すなわち、車両用空調換気装置10cは、給気用送風機を2つ備える。
【0087】
他の車両用空調換気装置10cにおける給気風路21は、給気用車外開口121、熱回収熱交換器2、第2の給気用送風機13、第1の給気用送風機4、冷却器5、吹出口を通る経路となる。なお、給気風路21は、冷却器5を通った後に加熱器6を通る経路となる場合もある。
【0088】
これにより、他の車両用空調換気装置10cでは、第2の給気用送風機13を備えることにより、給気用車外開口121から給気風路21に取り込む外気85の供給量を調整しやすくなり、給気流56における外気85と循環内気92との混合割合をより細かく制御することができる。
【0089】
また、他の車両用空調換気装置10cは、第2の給気用送風機13を備えることにより、熱回収熱交換器2を流れる外気85の供給量を調整しやすくなり、熱回収熱交換器2を流れる給気流56である外気85と排気流57との流量のバランスを取ることが容易になる。
【0090】
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4にかかる電動車両110における車両用空調換気装置の要部の概略配置を示す図である。図9は、本発明の実施の形態4にかかる電動車両110における車両用空調換気装置の概略配置を示す図であり、電動車両110の天面側から見た配置図である。図8および図9では、第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16とにおける、内気排出風路22aおよび内気合流風路23と、車内との位置関係、本体部11の配置に注目して示しており、一部の構成部は省略している。
【0091】
本実施の形態4にかかる電動車両110においては、実施の形態1に示した車両用空調換気装置10である第1の車両用空調換気装置15と、実施の形態1に示した車両用空調換気装置10である第2の車両用空調換気装置16と、の2セットの車両用空調換気装置10が配置されている。第1の車両用空調換気装置15の本体部11は、電動車両110の運転席よりも前方に配置されている。第2の車両用空調換気装置16の本体部11は、電動車両110の後部座席よりも後方に配置されている。第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16とは、電動車両110の幅方向において左右に分割された均等な領域に独立して配置されている。
【0092】
また、電動車両110は、複数の蓄電池102を備える。複数の蓄電池102は、4列×4行の配列で、床面104の面内方向において平行に配列されている。4列×4行の配列の複数の蓄電池102のうちの一部である、側の2列の蓄電池102は、第1の車両用空調換気装置15の排気風路22における熱回収熱交換器2よりも上流の位置の内気排出風路22aに配置されている。4列×4行の配列の複数の蓄電池102のうちの残りである、側の2列の蓄電池102は、第2の車両用空調換気装置16の排気風路22における熱回収熱交換器2よりも上流の位置の内気排出風路22aに配置されている。
【0093】
第1の車両用空調換気装置15では、車内の後方に設けられた不図示の吸気口101から内気86を取り込み、車内の後方に設けられた不図示の吹出口から車内に給気流の空気を吹き出す。第2の車両用空調換気装置16では、車内の前方に設けられた不図示の吸気口101から内気86を取り込み、車内の前方に設けられた不図示の吹出口から車内に給気流の空気を吹き出す。
【0094】
電動車両110は、上述した第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16とを備えることにより、複数の蓄電池102からの排熱を、第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16とに分配して熱回収して給気流56の昇温に利用し、さらに車外に排出することができる。
【0095】
なお、複数の蓄電池102からの排熱利用の第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16とにおける分配は、電動車両110の幅方向に限定されない。複数の蓄電池102からの排熱利用の分配は、複数の蓄電池102からの排熱量の分布よっては、電動車両110の前後方向において分割してもよい。さらには、複数の蓄電池102からの排熱利用の分配は、電動車両110の幅方向または電動車両110の前後方向において均等に分割するだけでなく、第1の車両用空調換気装置15と第2の車両用空調換気装置16との本体部11の能力に対応して、分割の割合を変えてもよい。
【0096】
実施の形態4にかかる車両用空調換気装置10の複数配置構成は、乗車定員が11人以上の中型自動車および大型自動車に特に有用である。また、乗車定員が30人以上の大型バスは、全長が10m級である。大型バスの車両の前方と後方との両方に空調部14を含む本体部11を配置し、車両の前後方向から車内の空調を実施することで、全長が10m級の長い車両であっても、車内全体を空調することができる。
【0097】
なお、上記においては、空調部14が電動車両110における電動車両110の運転席よりも前方および後部座席よりも後方に配置された、2セットの車両用空調換気装置10が電動車両110に設けられた場合について説明したが、車両用空調換気装置10a、車両用空調換気装置10bおよび車両用空調換気装置10cのうちのいずれかの車両用空調換気装置が、電動車両110に2セット設けられてもよい。また、車両用空調換気装置10、車両用空調換気装置10a、車両用空調換気装置10bおよび車両用空調換気装置10cのうちの異なる2セットの車両用空調換気装置が電動車両110に設けられてもよい。また、2セットより多くの数量の車両用空調換気装置が電動車両110に設けられてもよい。
【0098】
図10は、図1に示した制御部201等を示すブロック図である。制御部201は、操作部103から入力された操作指示についての情報に基づいて、その操作指示によって指定された動作および運転モードを実現するように、送風機211および弁213の動作を制御する。なお、送風機211は、車両用空調換気装置10に搭載される各種送風機の総称である。弁213は、車両用空調換気装置10に搭載されて各種風路の開放および閉鎖を切り替えたり、開度を調整したりする弁機能を有する開度調整部等の総称である。
【0099】
図11は、図1に示した制御部201のハードウェア構成を示す図である。制御部201は、プロセッサ202およびメモリ203を備える。プロセッサ202およびメモリ203は、例えば、バスによって互いにデータの送受信が可能である。プロセッサ202は、メモリ203に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、送風機211および弁213の動作を制御する機能を実行する。プロセッサ202は、処理回路の一例であり、例えば、CPU、DSP(Digital Signal Processr)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち1つ以上を含む。
【0100】
メモリ203は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち1つ以上を含む。また、メモリ203は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち1つ以上を含む。
【0101】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0102】
2 熱回収熱交換器、3 冷却用送風機、4 第1の給気用送風機、5 冷却器、6 加熱器、7 デフロスタ吹出口、8 フェイス吹出口、9 フット吹出口、10,10a,10b,10c 車両用空調換気装置、11 本体部、12 内気風路、13 第2の給気用送風機、14 空調部、15 第1の車両用空調換気装置、16 第2の車両用空調換気装置、21 給気風路、22 排気風路、22a 内気排出風路、23 内気合流風路、24 外気合流風路、51 仕切部材、52 間隔保持部材、54 第1の層状気体流路、55 第2の層状気体流路、56 給気流、57 排気流、85 外気、86 内気、91 排出内気、92 循環内気、100,110 電動車両、101 吸気口、102 蓄電池、103 操作部、104 床面、121 給気用車外開口、122 排気用車外開口、125 合流用車外開口、128 第1の開度調整部、129 第2の開度調整部、131 給気開閉部、132 排気開閉部、133 流量調整部、134 吹出量調整部、201 制御部、202 プロセッサ、203 メモリ、211 送風機、213 弁。
図1
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