(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20221202BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/165 211
B41J2/01 129
(21)【出願番号】P 2021566865
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040356
(87)【国際公開番号】W WO2021131306
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2019236811
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】松岡 久弥
(72)【発明者】
【氏名】ビジェガス ホセ
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-233961(JP,A)
【文献】特開2009-018537(JP,A)
【文献】特開2008-068596(JP,A)
【文献】特開2005-212319(JP,A)
【文献】特開平08-267773(JP,A)
【文献】特開2006-051679(JP,A)
【文献】特開2018-138340(JP,A)
【文献】特開2007-253592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出しかつ第1の方向に並ぶ複数のノズルと、複数の前記ノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドと、
前記インクヘッドが搭載され、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なキャリッジと、
前記インクヘッドに着脱可能に形成され、前記インクヘッドに取り付けられたときに前記ノズル面を覆いかつ前記ノズル面との間に密閉空間を形成するキャップと、
前記密閉空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、
前記キャップを、前記キャップが前記ノズル面を覆うキャップ位置と、前記キャップが前記ノズル面から離隔した離隔位置との間で移動させる移動機構と、
平面視で一部が前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部材を有する遮蔽ユニットと、を備え、
前記遮蔽部材は、
平面視で前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部と、
平面視で前記キャップが露出する開口部と、を含み、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部が前記キャップの上方に位置する第1位置と、前記開口部が前記キャップの上端よりも下方に位置する第2位置とに移動可能、
かつ、前記遮蔽部および前記開口部が前記キャップの上方および下方および側方を通過するように、前記キャップ周りに移動可能に構成されている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記移動機構は、平面視で前記開口部を介して前記キャップが露出するとき、前記キャップの上端を前記遮蔽部材より上方に位置させる、請求項
1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
記録媒体にインクを吐出しかつ第1の方向に並ぶ複数のノズルと、複数の前記ノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドと、
前記インクヘッドが搭載され、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なキャリッジと、
前記インクヘッドに着脱可能に形成され、前記インクヘッドに取り付けられたときに前記ノズル面を覆いかつ前記ノズル面との間に密閉空間を形成するキャップと、
前記密閉空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、
前記キャップを、前記キャップが前記ノズル面を覆うキャップ位置と、前記キャップが前記ノズル面から離隔した離隔位置との間で移動させる移動機構と、
平面視で一部が前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部材を有する遮蔽ユニットと、
前記キャップの移動と前記遮蔽部材の移動とを連動させる連動機構と、
前記連動機構を駆動する1つのアクチュエータと、を備え
、
前記遮蔽部材は、
平面視で前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部と、
平面視で前記キャップが露出する開口部と、を含み、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部が前記キャップの上方に位置する第1位置と、前記開口部が
前記キャップの上端よりも下方に位置する第2位置とに移動可能に構成されている、インクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、平面視で前記遮蔽部が前記第1の方向に移動するように前記キャップ周りに移動する、請求項
3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記遮蔽ユニットは、前記第2の方向に延びる複数の回転軸を備え、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部に接続されかつ無端状に形成されかつ複数の前記回転軸に巻き掛けられたベース部を備え、
前記アクチュエータは、複数の前記回転軸を回転させる、請求項
3または4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記回転軸には、径方向に延びる複数の突起が設けられ、
前記ベース部には、周方向に沿って複数の前記突起がはまり込む複数の孔が形成されている、請求項
5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記遮蔽部と前記ベース部とは一体に形成されている、請求項
5または6に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記移動機構は、
前記キャップを保持するステージと、
前記ステージを下方に向けて付勢する第1付勢部材と、
前記ステージの下方に配置されかつ前記ステージを上方に押圧可能なカムと、
前記カムを回転可能に保持するカム軸と、を備え、
前記連動機構は、前記開口部が前記キャップの上方に位置するときに前記キャップが前記キャップ位置に位置しかつ前記遮蔽部が前記キャップの上方に位置するときに前記キャップが前記離隔位置に位置するように、前記回転軸の移動と前記カム軸の回転とを連動させる、請求項
5から7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記インクは光硬化性インクであり、
前記キャリッジに搭載され、前記記録媒体に吐出された前記光硬化性インクに向けて光を照射する光照射装置を備え、
前記遮蔽部は、前記光照射装置から光が照射されているときには、平面視で前記キャップの全体と重なる、請求項1から
8のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
なお、本出願は、2019年12月26日に出願された日本国特許出願2019-236811号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のノズルとノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドを備え、インクジェット方式により記録媒体上に所定の印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。かかるインクジェットプリンタには、ノズルから適切にインクを吐出させるために用いられるキャッピングユニットが設けられている。キャッピングユニットは、印刷を行わないときにノズル面を覆うキャップを有している。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、キャッピングユニットは、ノズル面をキャップで覆うことによって密閉空間を形成する。密閉空間が形成された状態で、キャップに接続された吸引ポンプを駆動させることによって、ノズルから粘性が高くなったインクが強制的に吐出される(以下、吸引動作ともいう)。これにより、ノズルの目詰まりを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許出願公開2017-119397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャップは上方に向けた開口を備えている。このため、キャップがインクヘッドに取り付けられているときには、キャップ外部からキャップ内に異物等が侵入することはないが、キャップがインクヘッドから取り外されたとき(例えば印刷中)には、キャップの内部に異物が侵入する虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャップに異物等が侵入する虞を低減することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体にインクを吐出しかつ第1の方向に並ぶ複数のノズルと、複数の前記ノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドと、前記インクヘッドが搭載され、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なキャリッジと、前記インクヘッドに着脱可能に形成され、前記インクヘッドに取り付けられたときに前記ノズル面を覆いかつ前記ノズル面との間に密閉空間を形成するキャップと、前記密閉空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、前記キャップを、前記キャップが前記ノズル面を覆うキャップ位置と、前記キャップが前記ノズル面から離隔した離隔位置との間で移動させる移動機構と、平面視で一部が前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部材を有する遮蔽ユニットと、を備えている。前記遮蔽部材は、平面視で前記キャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部と、平面視で前記キャップが露出する開口部と、を含み、前記遮蔽部材は、前記遮蔽部が前記キャップの上方に位置する第1位置と、前記開口部が前記キャップの上端よりも下方に位置する第2位置とに移動可能に構成されている。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタによると、遮蔽部材は、平面視でキャップの全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部を備えている。このため、キャップがインクヘッドから取り外されているときには、キャップの上方に遮蔽部が位置するように遮蔽部材を第1位置に移動させることで、キャップの全体が遮蔽部によって覆われる。これにより、キャップ上方からの異物等の浸入は遮蔽部によって抑制される。また、遮蔽部材は、平面視でキャップが露出する開口部を備えている。このため、キャップをインクヘッドに取り付けるときには、キャップの上端よりも下方に開口部が位置するように遮蔽部材を第2位置に移動させることで、キャップの全体が露出する。これにより、キャップをインクヘッドに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップに異物等が侵入する虞を低減することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す正面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るキャリッジの下面の構成を模式的に示した図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るクリーニングユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るクリーニングユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るフラッシングユニットとワイピングユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るフラッシングユニットおよびワイピングユニットの平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るワイパーユニットの斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るワイパーユニットの分解斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーがワイピング位置にいる状態を示す。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るクリーナホルダーおよび回収容器の斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーが第1退避位置に位置する状態を示す。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーが回収位置にいる状態を示す。
【
図13】
図13は、一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーがクリーニング位置にいる状態を示す。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る遮蔽部材を取り外した状態のキャッピングユニットの平面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態に係るキャッピングユニットの側面図であり、インクヘッドにキャップが取り付けられていない状態を示す。
【
図16】
図16は、一実施形態に係るステージおよび支持台の斜視図である。
【
図17】
図17は、一実施形態に係るカムおよび支持台の斜視図である。
【
図18】
図18は、一実施形態に係るキャッピングユニットの側面図であり、インクヘッドにキャップが取り付けられた状態を示す。
【
図19】
図19は、一実施形態に係る遮蔽ユニットを示す平面図である。
【
図20】
図20は、一実施形態に係るキャッピングユニットの一部を示す正面図である。
【
図21】
図21は、一実施形態に係るワイピングユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ10を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号X(
図2参照)は副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。副走査方向Xは第1の方向の一例である。主走査方向Yは第2の方向の一例である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステル等の樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布等の布帛、その他の媒体であってもよい。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10Aと、プラテン13と、搬送機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド40(
図2参照)と、光照射装置38と、クリーニングユニット45と、制御装置200と、を備えている。
【0015】
プリンタ本体10Aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13には、記録媒体5が載置される。プラテン13に記録媒体5が載置された状態で、プラテン13上で記録媒体5への印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がったものである。プラテン13は、載置台の一例である。
【0016】
搬送機構20は、プラテン13に載置された記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。搬送機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15の下方に配置され、記録媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ22は、上部がプラテン13から上方に露出した状態で、プラテン13に設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。なお、ピンチローラ21およびグリットローラ22のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、
図1に示すように、ピンチローラ21およびグリットローラ22は、プラテン13の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
【0017】
ここでは、グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。これにより、記録媒体5は、副走査方向Xに搬送される。フィードモータ23は制御装置200に制御される。
【0018】
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
【0019】
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40(
図2参照)および光照射装置38を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左側のプーリ31aと、右側のプーリ31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左側のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の近傍に設けられている。右側のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の近傍に設けられている。ベルト32は、例えば無端状であり、左側のプーリ31aと右側のプーリ31bとに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。
【0020】
右側のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右側のプーリ31bが回転し、ベルト32が左側のプーリ31aおよび右側のプーリ31bの間で走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド40および光照射装置38は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ33は制御装置200に制御される。
【0021】
図2に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ17に搭載されている。インクヘッド40は、第1インクヘッド40Aと、第2インクヘッド40Bと、第3インクヘッド40Cと、第4インクヘッド40Dとを含む。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド40は、複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第1ノズル列42と、第1ノズル列42の側方に位置しかつ複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第2ノズル列43と、複数のノズル41が形成されたノズル面44を備えている。ここでは、第2ノズル列43は、第1ノズル列42の右方に位置する。ノズル41から記録媒体5に向けてインク(例えば光硬化性インク)が吐出される。ノズル41内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。本実施形態では、プリンタ10は、4つのインクヘッド40A~40Dを備えているが、数は特に限定されない。また、インクヘッド40は、それぞれ2つのノズル列を備えているが、1つのノズル列または3つ以上のノズル列を備えていてもよい。
【0022】
インクヘッド40のノズル41は、例えば、インクとして光硬化性インクを吐出する。光硬化性インクとしては、例えば、紫外線硬化インクが挙げられる。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化する性質を有する。
【0023】
図1に示すように、光照射装置38は、キャリッジ17の右側および左側にそれぞれ配置されている。光照射装置38は、記録媒体5に吐出された光硬化性インク(例えば紫外線硬化インク)に光(例えば紫外線)を照射する装置である。
【0024】
図1に示すように、クリーニングユニット45は、プラテン13の右方に配置されている。クリーニングユニット45は、キャリッジ17より下方に配置されている。
図3に示すように、クリーニングユニット45は、フラッシングユニット50と、ワイピングユニット60と、キャッピングユニット90と、遮蔽ユニット130と、を備えている。主走査方向Yに関し、プラテン13、フラッシングユニット50、ワイピングユニット60、キャッピングユニット90の順に配置されている。ここでは、
図4に示すように、フラッシングユニット50は、プラテン13(
図1参照)の右方かつワイピングユニット60の左方に配置されている。ワイピングユニット60は、フラッシングユニット50の右方かつキャッピングユニット90の左方に配置されている。遮蔽ユニット130は、キャッピングユニット90に設けられている。なお、
図4では、説明の便宜上、後述するアクチュエータ170(
図3参照)を省略している。後述する
図20についても同様である。
【0025】
フラッシングユニット50には、インクヘッド40のノズル41から所定量のインクが吐出される。ノズル41からフラッシングユニット50にインクが吐出される動作は、いわゆるフラッシング動作である。フラッシング動作は、例えば、印刷中に定期的(例えばキャリッジ17がプラテン13上を主走査方向Yに1往復する度)に行われる。
図5に示すように、フラッシングユニット50は、本体ケース51と、フラッシングステージ52と、チューブ59と、を備えている。本体ケース51は、矩形状に形成されている。本体ケース51には、平面視で矩形状に形成された開口51Aが形成されている。本体ケース51は、開口51Aにおいてフラッシングステージ52を保持する。フラッシングステージ52は、ノズル41から吐出されたインクを受ける部材である。フラッシングステージ52は、着脱自在に設けられた網状の蓋体53と、ノズル41から吐出されたインクを受ける収容容器54と、ノズル41から吐出されたインクを吸収する吸収体55と、を備えている。蓋体53は、収容容器54に着脱自在に設けられている。吸収体55は、収容容器54に着脱自在に保持されている。吸収体55は、例えば、スポンジである。収容容器54の下部には、チューブ59の一端59Aが接続された排出口54Aが形成されている。チューブ59の他端59Bは、本体ケース51の右側壁51R(即ちワイピングユニット60と対向する壁)に形成された貫通孔51Hを介して本体ケース51の外部に露出している。チューブ59の他端59Bは、キャッピングユニット90の後述する回収容器82上に位置する。即ち、インクヘッド40のノズル41からフラッシングステージ52に吐出されたインクは、チューブ59を介して回収容器82に回収される。
【0026】
次に、本実施形態に係るワイピングユニット60について説明する。プリンタ10による印刷が行われると、インクヘッド40のノズル面44には、インクおよび異物等の付着物が付着することがある。この付着物が付着した状態で印刷を行うと、記録媒体5が汚れてしまうことがあり、印刷品質が低下してしまう。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44に付着したインク等の付着物を取り除く。また、キャッピングユニット90による後述する吸引動作が行われた後には、ノズル41のメニスカスが適切な状態でないことがあり得る。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44をワイピングすることでノズル41のメニスカスを適切な状態に復帰させる。
【0027】
ワイピングユニット60は、キャリッジ17より下方に配置されている。
図3および
図6に示すように、ワイピングユニット60は、本体ケース61と、ワイパーユニット63と、ベルト70と、第1回転軸73と、第2回転軸74と、ワイパークリーナ78と、クリーナホルダー80(
図10参照)と、回収容器82とを備えている。
【0028】
図3に示すように、本体ケース61は、底壁61Aと、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びる左壁61Bと、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びかつ左壁61Bより右方に配置された右壁61Cと、左壁61Bと右壁61Cとを接続する前壁61Dと、前壁61Dより後方に配置されかつ左壁61Bと右壁61Cとを接続する後壁61Eとを有する。本体ケース61は、平面視で矩形状に形成された開口61Hを有する。開口61Hは、左壁61B、右壁61C、前壁61Dおよび後壁61Eによって区画されている。
図6に示すように、開口61Hは平面視で矩形状に形成されている。開口61Hは、上方に向けて開口する。また、本体ケース61は、前壁61Dの下方に開口61J(
図5参照)を有している。開口61Jは、前方に向けて開口する。
【0029】
図3に示すように、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cには、それぞれガイド板62が設けられている。ガイド板62には、ワイパーユニット63の移動をガイドするガイド溝62Hが形成されている。
図9に示すように、ガイド溝62Hは、長円形状に形成されている。
【0030】
図6に示すように、第1回転軸73および第2回転軸74は、主走査方向Yに延びる。第1回転軸73および第2回転軸74は、左壁61Bおよび右壁61Cおよびガイド板62に回転可能に支持されている。第2回転軸74は、第1回転軸73よりも前方に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74は、平行に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74の底壁61Aからの高さは同じである。
図9に示すように、本実施形態では、第1回転軸73および第2回転軸74は、右方から左方を見たときに時計回り(
図9の矢印R1の方向)に回転するように構成されている。なお、
図9では、説明の便宜上、ワイピングユニット60の右壁61Cおよび右壁61Cに設けられたガイド板62を省略している。後述する
図12および
図13についても同様である。
【0031】
図6に示すように、ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。ベルト70は、無端状に形成されている。ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられた第1ベルト71および第2ベルト72を含む。第1ベルト71および第2ベルト72は、無端状に形成されている。第2ベルト72は、第1ベルト71より右方に配置されている。第2ベルト72は、主走査方向Yに関して第1ベルト71から離間して配置されている。本実施形態では、第1ベルト71および第2ベルト72は、第1回転軸73および第2回転軸74に設けられたベルトギア75(
図5参照)を介して第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。本実施形態では、後述するアクチュエータ170(
図3参照)によって第1回転軸73が回転すると、第1ベルト71および第2ベルト72が第1回転軸73および第2回転軸74の間で走行する。
【0032】
図3に示すように、ワイパーユニット63は、主走査方向Yに延びるワイパー64と、ワイパー64を保持するワイパーホルダー65とを有している。ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングする。ワイパー64は、可撓性を有する材料、例えばゴムから形成されている。ワイパー64は、平板状の部材である。
図7および
図8に示すように、ワイパーホルダー65は、ワイパー64を保持する第1ホルダー66と、第1ホルダー66を保持する第2ホルダー67とを有する。第1ホルダー66は、上下方向に貫通しかつワイパー64を保持するケース部66Aと、ケース部66Aの内壁に設けられかつワイパー64に形成された貫通孔64Hに挿入されてワイパー64と係合する係合爪66Bと、ケース部66Aの内壁に形成されかつ上下方向に延びる溝66Cと、ケース部66Aの外壁から突出するように設けられかつ第2ホルダー67に保持されるアーム部66Dとを有する。第2ホルダー67は、上下方向に貫通しかつ第1ホルダー66を保持するケース部67Aと、アーム部66Dと係合する係合突起67Bと、ケース部67Aの外壁に形成されかつガイド板62のガイド溝62H(
図9参照)にはまり込むガイド突起67Cと、第1ベルト71に接続された第1ベルト接続部67Dと、第2ベルト72に接続された第2ベルト接続部67Eと、を有する。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eは、ケース部67Aの下方に設けられている。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eおよびケース部67Aは一体的に形成されている。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eと、ケース部67Aとによって、第1ベルト71および第2ベルト72を挟み込む。
【0033】
図3に示すように、ワイパー64は、ベルト70の外周面70Aから突出するように(外周面70Aから外周面70Aと交差する方向かつ外周面70Aから離れる方向に突出するように)ベルト70に設けられている。ワイパー64は、第1ベルト71の外周面71Aおよび第2ベルト72の外周面72Aから突出するように(外周面72Aから外周面72Aと交差する方向かつ外周面72Aから離れる方向に突出するように)第1ベルト71および第2ベルト72に設けられている。本実施形態では、ワイパー64は、ワイパーホルダー65を介して第1ベルト71および第2ベルト72に設けられている。
図6に示すように、ワイパー64は、平面視で主走査方向Yの一方の端部から他方の端部に向けて傾斜している。例えば、ワイパー64が上方に向けて突出している場合には、ワイパー64は、平面視でワイパー64の左端から右端に向けて後方に傾斜している。即ち、ワイパー64の左端は右端よりも前方に位置する。なお、ワイパー64の左端は右端よりも後方に位置していてもよい。
図9に示すように、本実施形態では、ワイパー64は、右方から左方を見たときに時計回り(
図9の矢印R2の方向)に移動するように構成されている。即ち、ワイパー64が上方を向いている状態ではワイパー64は前方から後方に向けて移動し、かつ、ワイパー64が下方を向いている状態ではワイパー64は後方から前方に向けて移動する(
図12参照)。なお、本実施形態では、ワイパー64は、ワイパー64の主走査方向Yの中心が後述する第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心と第2キャップユニット92Bの主走査方向Yの中心との距離の整数倍(例えば2倍)だけ第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心から左方に離れた位置に配置されている。
【0034】
図6に示すように、ワイパーユニット63が第1ベルト71および第2ベルト72に取り付けられた状態において、第1ホルダー66の溝66Cは、平面視で第1ベルト71と第2ベルト72との間に位置する。ここでは、溝66Cは、第1ベルト71の右方かつ第2ベルト72の左方に位置する。これにより、ワイパー64に付着したインクが溝66Cを介して下方に落下するときに、第1ベルト71および第2ベルト72にインクが付着することを抑制することができる。
【0035】
図9に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を着脱自在に保持する。クリーナホルダー80は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。
図6に示すように、クリーナホルダー80は、平面視で第2回転軸74と重なる。クリーナホルダー80は、例えば、樹脂材料から形成されている。
図10に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を保持する本体部80Aと、本体部80Aから前方に向けて延びる一対の延伸部80Bとを有する。本体部80Aには、ワイパークリーナ78を傾いた状態で保持する凹部80C(
図9参照)が形成されている。延伸部80Bには、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cに形成された係合穴61P(
図3参照)に係合する係合突起80Pが形成されている。
図9に示すように、クリーナホルダー80は、本体ケース61に形成された開口61J(
図5も参照)を介して本体ケース61に着脱自在に設けられている。クリーナホルダー80を開口61Jに挿入すると、クリーナホルダー80は回収容器82に接触する位置で固定される。このとき、クリーナホルダー80の係合突起80Pは、係合穴61Pに係合する。また、一対の延伸部80Bを互いに近づく方に移動させることで、係合突起80Pと係合穴61Pとの係合が解除されるので、クリーナホルダー80を本体ケース61から取り外すことができる。
【0036】
図9に示すように、ワイパークリーナ78は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。
図6に示すように、ワイパークリーナ78は、平面視で第2回転軸74と重なる。ワイパークリーナ78は、ワイパー64と接触してワイパー64に付着したインクを取り除く。ワイパークリーナ78は、可撓性を有する材料、例えば、樹脂材料や不織布等から形成されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。ワイパークリーナ78は、インクを吸収するように構成されている。ワイパークリーナ78は、例えば、連続発泡構造を有しかつポリオレフィン樹脂から形成されている。本実施形態では、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより上方に位置するように、傾斜して配置されている。
【0037】
回収容器82は、ワイパー64から流れ落ちるインクを回収する部材である。
図9に示すように、回収容器82は、本体ケース61内に配置されている。回収容器82は、底壁61Aに固定されている。回収容器82は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。回収容器82は、クリーナホルダー80より後方に配置されている。
図6に示すように、回収容器82は、平面視で第1回転軸73と重なる。回収容器82には、廃液タンク99(
図1参照)に接続された排出口82Dが形成されている。回収容器82の上面82Aは、排出口82Dに向けて傾斜している。
【0038】
次に、ワイパー64の動きについて説明する。
図9に示すように、ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングするワイピング位置WWと、ワイパー64に付着したインクを回収する回収位置WRと、ワイパー64に付着したインクを取り除くクリーニング位置WCと、第1退避位置WP1と、第2退避位置WP2との間で移動するように構成されている。第1退避位置WP1は、クリーニング位置WCとワイピング位置WWとの間に位置する。第2退避位置WP2は、ワイピング位置WWと回収位置WRとの間に位置する。本実施形態のワイパー64は、上述したように
図9の矢印R2の方向に移動する。
【0039】
図11に示すように、ワイパー64は、印刷中やノズル面44をワイピングする前には第1退避位置WP1に位置する。第1退避位置WP1に位置するワイパー64は、ワイパークリーナ78を通過しているため、ワイパー64からインクが除去されている。なお、
図11に示すワイパー64の位置は、初期位置WSである。ワイパー64が初期位置WSに位置するとき、ワイパー64は、第1回転軸73および第2回転軸74より上方に位置する。即ち、ワイパー64が上方に向けて突出している。ワイパー64は、印刷中には初期位置WSに位置するように構成されている。なお、ワイパー64は、印刷中には
図13に示す第2退避位置WP2に位置するように構成されていてもよい。例えば、ワイパー64が初期位置WSに位置するときにキャリッジ17は主走査方向Yに移動する。
【0040】
図9に示すように、ワイピング位置WWに位置するワイパー64は上方を向いている。ワイピング位置WWでは、ワイパー64は前方から後方に向けて移動する。ワイパー64がノズル面44をワイピングすることによって、ノズル面44に付着していたインクはワイパー64に移動する。このとき、ワイパー64は上方を向いているため、移動したインクの一部は重力によって下方へと流れる。下方へと流れたインクは第1ホルダー66に設けられた溝66C(
図6参照)を介して下方へと落下し、回収容器82に回収される。
【0041】
図12に示すように、回収位置WRに位置するワイパー64は下方を向いている。回収位置WRでは、ワイパー64は後方から前方に向けて移動する。このとき、ワイパー64は、下方を向いているため、ワイパー64に付着したインクの大部分が重力によって回収容器82に落下する。
【0042】
図13に示すように、クリーニング位置WCではワイパー64は、ワイパークリーナ78と接触する。即ち、ワイパー64はワイパークリーナ78と接触しながら移動するため、ワイパー64に付着していたインクはワイパークリーナ78に取り除かれる。なお、ワイパー64が回収位置WRの後にクリーニング位置WCに移動するため、ワイパー64をワイパークリーナ78に接触させる前に、ワイパー64に付着したインクの大部分は回収容器82に回収される。これにより、ワイパークリーナ78で取り除くインクの量は低減されるため、ワイパークリーナ78の交換の頻度を下げることができる。
【0043】
なお、ワイパー64が第2退避位置WP2に位置するときにも、ワイパー64に付着したインクの一部は重力によって回収容器82に落下する。
【0044】
次に、本実施形態に係るキャッピングユニット90について説明する。キャッピングユニット90は、後述するキャップ93をインクヘッド40に取り付けることによってインクヘッド40のノズル41の乾燥を抑制する。また、キャッピングユニット90は、ノズル41の目詰まりを抑制するために、後述する吸引ポンプ98によってノズル41内のインクを強制的にキャップ93内に排出させる。
【0045】
キャッピングユニット90は、キャリッジ17より下方に配置されている。
図14に示すように、キャッピングユニット90は、インクヘッド40に着脱可能に形成されたキャップ93を有するキャップユニット92と、吸引ポンプ98(
図1参照)と、キャップ93を移動させる移動機構100とを備えている。
【0046】
キャップユニット92は、インクヘッド40のノズル41に付着したインクが硬化してノズル41が目詰まりすることを抑制する部材である。
図14に示すように、キャップユニット92は、移動機構100の後述するステージ102に保持されている。キャップユニット92は、第1キャップユニット92Aと、第2キャップユニット92Bと、第3キャップユニット92Cと、第4キャップユニット92Dと、を含む。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、主走査方向Yに並んでいる。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、等間隔に並んでいる。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、同じ構成である。
【0047】
図14に示すように、キャップユニット92は、キャップ93と、吸収体94と、ケース95とを備えている。キャップ93は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。キャップ93は、上方に向けて開口している。キャップ93は、ケース95の内部に配置されている。キャップ93は、ノズル面44に接触可能にケース95に設けられている。キャップ93がノズル面44に接触したとき、ノズル面44との間に密閉空間が形成される。キャップ93の上端93T(
図15参照)が最初にノズル面44に接触する。キャップ93は、印刷待機時において、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dにそれぞれ装着され、ノズル面44をそれぞれ覆う。キャップ93は、可撓性を有している。キャップ93は、例えばゴムによって形成されている。キャップ93は、平面視で略矩形状に形成されている。
【0048】
図14に示すように、吸収体94は、キャップ93の内部に配置されている。吸収体94は、キャップ93の上端93T(
図15参照)より下方に配置されている。即ち、吸収体94はキャップ93から外部に突出しておらず、吸収体94はノズル面44とは接触しない。吸収体94は、インクを吸収可能な多孔質の材料である。吸収体94としては、例えば、スポンジが挙げられる。
【0049】
図15に示すように、ケース95の下部には、インク流路95Aが設けられている。インク流路95Aは、キャップ93を貫通し吸収体94と連通している。即ち、キャップ93とノズル面44との間に密閉空間が形成されたときには、インク流路95Aは密閉空間と連通する。
【0050】
移動機構100は、キャップ93を支持している。移動機構100は、キャップ93をインクヘッド40に対して着脱可能なように移動させる機構である。本実施形態では、移動機構100は、キャップ93を上下方向に移動させるものである。移動機構100は、キャップ93を上方に移動させることによって、キャップ93をキャップ位置CP(
図18参照)に移動させる。ここで、キャップ位置CPとは、キャップ93がノズル面44を覆う位置である。これにより、キャップ93は、インクヘッド40に装着される。移動機構100は、印刷を開始するときやノズル面44をワイパー64によってワイピングするとき等に、キャップ93を下方に移動させることによって、キャップ93をキャップ位置CP(
図18参照)から離隔位置DP(
図15参照)に移動させる。ここで、離隔位置DPとは、キャップ93がノズル面44から離隔した位置である。これにより、キャップ93は、インクヘッド40から取り外される。
【0051】
図15に示すように、移動機構100は、キャップ93を保持するステージ102と、ステージ102を支持する支持台104と、主走査方向Yに関して支持台104の外側に配置された一対の仕切り壁106L、106R(
図14参照)と、ステージ102を下方に向けて付勢する第1付勢部材110と、キャップ93を上方に向けて付勢する第2付勢部材112と、ステージ102を上方に押圧可能な複数のカム120(
図17も参照)と、カム120を保持するカム軸125と、を備えている。なお、
図15では、説明の便宜上、移動機構100の仕切り壁106Rを省略している。後述する
図18についても同様である。
【0052】
図15に示すように、ステージ102は、キャップユニット92を保持する。ステージ102は、キャップユニット92のケース95を介してキャップ93を保持する。
図16に示すように、ステージ102は、平板状のベース部102Aと、ベース部102Aの前端から上方に延びる第1ストッパー102Bと、ベース部102Aの後端から上方に延びる第2ストッパー102Cと、第2付勢部材112(
図15参照)を固定する固定部102Dとを有する。ベース部102Aは、平面視で略矩形状に形成されている。
図15に示すように、第1ストッパー102Bは、キャップユニット92のケース95の前端95Fの上方に位置し、キャップユニット92の上方への移動を規制する規制部102BSを有する。第2ストッパー102Cは、キャップユニット92のケース95の後端95Rの上方に位置し、ケース95に形成された貫通孔95Hに挿入される棒部材102CSを有する。第2ストッパー102Cは、キャップユニット92の上下方向の移動をガイドすると共に、キャップユニット92の上方への移動を規制する。固定部102Dは、ベース部102Aの表面に形成されている。固定部102Dは、上方に向けて突出している。固定部102Dは、円柱状に形成されている。本実施形態では、2つの第1ストッパー102Bおよび1つの第2ストッパー102Cおよび2つの第2付勢部材112が、1つのキャップユニット92を保持している。
【0053】
図16に示すように、支持台104は、ステージ102を支持する。
図17に示すように、支持台104には、ステージ102の上下方向の移動をガイドする複数のガイドピラー104Aが設けられている。ガイドピラー104Aは上下方向に延びる。支持台104には、カム120が収納される収納凹部104Bが形成されている。支持台104には、第1付勢部材110の下端を保持する保持部104Cが設けられている。支持台104には、ステージ102の下面を下方から支持する支持面104Dが形成されている。支持台104の下部には、金属製の支持板105が設けられている。
【0054】
図3に示すように、仕切り壁106Lは、支持台104より左方に配置されている。仕切り壁106Rは、支持台104より右方に配置されている。仕切り壁106L、106Rは、前後方向かつ上下方向に延びる。仕切り壁106L、106Rは、支持板105に接続されている。なお、本実施形態では、仕切り壁106Lとワイピングユニット60の底壁61Aとは一体的に形成されている。
【0055】
図15に示すように、第1付勢部材110は、ステージ102と支持台104との間に配置されている。第1付勢部材110の上端は、ステージ102のベース部102Aの下面に接続されている。第1付勢部材110の下端は、支持台104の保持部104C(
図17参照)に接続されている。第1付勢部材110は、ステージ102を下方に向けて付勢する。
図17に示すように、本実施形態では、移動機構100は、8つの第1付勢部材110を備えている。カム軸125より前方に4つの第1付勢部材110が設けられ、カム軸125より後方に4つの第1付勢部材110が設けられている。第1付勢部材110は、例えば、引張ばね(引張コイルばね)である。
【0056】
図15に示すように、第2付勢部材112は、キャップユニット92のケース95とステージ102との間に配置されている。第2付勢部材112の上端は、ケース95の下面に接続されている。第2付勢部材112の下端は、ステージ102のベース部102Aに形成された固定部102Dに嵌め込まれている。第2付勢部材112は、ケース95を上方に向けて付勢する。即ち、第2付勢部材112は、キャップ93を上方に向けて付勢する。本実施形態では、移動機構100は、8つの第2付勢部材112を備えている。1つのキャップユニット92に対して2つの第2付勢部材112が設けられている。第2付勢部材112は、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルばね)である。
【0057】
図15に示すように、カム120は、ステージ102の下方に配置されている。カム120は、ステージ102のベース部102Aの裏面に設けられた凸部102Eと接触している。カム120がカム軸125と共に回転することによって、ステージ102が上方に押圧される。本実施形態では、移動機構100は、4つのカム120を備えている。4つのカム120は同じ角度でカム軸125に固定されている。
【0058】
図17に示すように、カム軸125は、主走査方向Yに延びる。カム軸125は、ステージ102の下方に配置されている。カム軸125は、支持台104の前後方向の略中央に配置されている。カム軸125は、仕切り壁106L、106R(
図4参照)に回転可能に支持されている。カム軸125が回転することによって、カム120も回転する。
図15に示すように、本実施形態では、カム軸125は、右方から左方を見たときに反時計回り(
図15の矢印S1の方向)に回転するように構成されている。
【0059】
図1に示すように、吸引ポンプ98はプリンタ本体10Aに設けられている。吸引ポンプ98は、インクヘッド40にキャップ93が装着されている状態において、密閉空間内の流体(例えばインク)を吸引してノズル41からインクを吐出させる吸引動作を行う。吸引ポンプ98を駆動することにより、密閉空間内は、大気圧より低い圧力となる。この結果、インクヘッド40のノズル41からインクが強制的に排出される。吸引ポンプ98の吸引口は、可撓性を有するチューブ(図示せず)を介してキャップユニット92のケース95に設けられたインク流路95A(
図15参照)に接続されている。吸引ポンプ98の排出口は、廃液タンク99(
図1参照)に接続されている。吸引ポンプ98に吸引された密閉空間内の流体は、廃液タンク99に貯留される。上記吸引動作は、ノズル41の吐出不良を解消させる作業であり、インクヘッド40のノズル41の詰まりを予防するための作業である。
【0060】
次に、キャップ93の動きについて説明する。キャップ93は、キャップ位置CP(
図18参照)と離隔位置DP(
図15参照)との間で移動するように構成されている。キャップ93は、上下方向に移動する。
【0061】
図15に示すように、カム120がステージ102を上方に押し上げていないとき、ステージ102は第1付勢部材110によって下方に向けて付勢されている(下方に引っ張られている)。このため、ステージ102は、支持台104の支持面104Dに接触している。このとき、キャップ93は、ステージ102に設けられた第2付勢部材112によって上方に向けて付勢されているが、ステージ102が支持面104Dに接触している状態では、キャップ93とインクヘッド40のノズル面44との間には大きな空間が形成される。即ち、キャップ93は離隔位置DPに位置する。例えば、キャップ93が離隔位置DPに位置するときにキャリッジ17は主走査方向Yに移動する。
【0062】
一方、
図18に示すように、カム軸125が
図18の矢印S1の方向に回転すると、カム軸125に設けられたカム120も同様に矢印S1の方向に回転する。そして、第1付勢部材110の付勢力に抗して、カム120がステージ102を上方に押し上げる。これにより、キャップ93がインクヘッド40に取り付けられて、キャップ93とノズル面44との間に密閉空間が形成される。即ち、キャップ93はキャップ位置CPに位置する。このとき、ステージ102とノズル面44との上下方向の距離は、離隔位置DPに位置するときに比べて狭くなっているため、ケース95は、ステージ102に設けられた第2付勢部材112によって上方に向けて付勢される。これにより、キャップ93とノズル面44との接触がより強固になっている。なお、
図18に示すカム120の状態から、カム軸125が
図18の矢印S1の方向に更に回転すると、カム120によるステージ102の押圧力は弱まり、第1付勢部材110によってステージ102は、支持台104の支持面104Dに接触する位置に戻る。このようにして、インクヘッド40からキャップ93が取り外される。
【0063】
次に、本実施形態に係る遮蔽ユニット130について説明する。遮蔽ユニット130は、印刷中等でキャップ93が離隔位置DPに位置するときにキャップ93を覆い、キャップ93がキャップ位置CPに位置するときにキャップ93を露出させる部材である。
図19に示すように、遮蔽ユニット130は、遮蔽部材132と、複数の回転軸140と、を備えている。
【0064】
図19に示すように、回転軸140は、主走査方向Yに延びる。回転軸140は、仕切り壁106L、106Rに回転可能に支持されている。
図15に示すように、本実施形態では、遮蔽ユニット130は、4つの回転軸140を有する。4つの回転軸140は、それぞれ互いに平行に配置されている。2つの回転軸140は、キャッピングユニット90より前方に位置し、2つの回転軸140は、キャッピングユニット90より後方に位置する。回転軸140には、径方向に延びる複数の突起142が設けられている。突起142は、回転軸140の右端および左端において、周方向に沿って形成されている。本実施形態では、回転軸140は、右方から左方を見たときに時計回り(
図15の矢印T1の方向)に回転するように構成されている。
【0065】
図19に示すように、遮蔽部材132は、平面視で一部がキャップ93の全体と重なる位置に移動可能に構成されている。ここで、キャップ93の全体とは、キャップ93のうち少なくともノズル面44を覆う部分(ノズル面44と接触する部分)の全体を意味する。遮蔽部材132は、回転軸140に巻き掛けられている。遮蔽部材132を構成する材料は特に限定されず、例えば、ゴム引布や、薄い金属板(例えばステンレス鋼)や、有色の樹脂フィルムから形成されている。遮蔽部材132は、遮蔽部134と、開口部136と、ベース部138とを含む。遮蔽部134は、平面視でキャップ93の全体と重なる位置に移動可能に構成されている。遮蔽部134は、キャップ93の全体を覆う。遮蔽部134は、矩形状に形成されている。遮蔽部134の前後方向の長さは、キャップ93の前後方向の長さより長い。遮蔽部134の前後方向の長さは、前側の回転軸140と後側の回転軸140との間隔より短い。遮蔽部134は、例えば、光照射装置38(
図2参照)から光が照射されているときには、平面視でキャップ93の全体と重なる。開口部136では、平面視でキャップ93が露出する。開口部136は、遮蔽部134より大きい。ベース部138は、遮蔽部134に接続されている。ベース部138は、遮蔽部134の左端および右端にそれぞれ接続されている。ベース部138は、遮蔽部134と一体に形成されている。ベース部138は、無端状に形成されている。ベース部138は、回転軸140に巻き掛けられている。ベース部138には、周方向に沿って複数の孔138Hが形成されている。回転軸140の突起142は、ベース部138の孔138Hにはまり込む。本実施形態では、後述するアクチュエータ170(
図3参照)によって複数の回転軸140のうちの1つの回転軸140が回転すると、遮蔽部材132が4つの回転軸140の間で走行する。
【0066】
次に、遮蔽部材132の動きについて説明する。遮蔽部材132は、遮蔽部134が平面視でキャップ93の全体と重なる遮蔽位置EP(
図15および
図19参照)と、開口部136が平面視でキャップ93の全体と重なる露出位置FP(
図18参照)との間で移動するように構成されている。遮蔽位置EPにおいて、遮蔽部134はキャップ93の上方に位置する。露出位置FPにおいて、開口部136はキャップ93の上端93Tよりも下方に位置する。遮蔽位置EPは第1位置の一例であり、露出位置FPは第2位置の一例である。遮蔽部材132は、回転軸140が
図15の矢印T1の方向に回転することによって、矢印T2の方向に移動するように構成されている。遮蔽部材132は、遮蔽部134および開口部136がキャップ93の上方および下方および側方(ここでは前方および後方)を通過するように、キャップ93周りに移動可能に構成されている。遮蔽部材132は、キャッピングユニット90周りに移動可能に構成されている。本実施形態の遮蔽部材132は、平面視で遮蔽部134が副走査方向Xに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りを移動(回転)する。
【0067】
図3に示すように、クリーニングユニット45は、連動機構150と、連動機構150を駆動する1つのアクチュエータ170とを備えている。本実施形態の連動機構150は、ワイパー64の移動と、キャップ93の移動と、遮蔽部材132の移動とを連動させる。連動機構150は、ワイピングユニット60の第1回転軸73(
図9参照)の回転と第2回転軸74(
図9参照)の回転と、キャップ93の移動とを連動させる。即ち、連動機構150は、第1回転軸73の回転と第2回転軸74の回転と、移動機構100のカム軸125の回転とを連動させる。連動機構150は、キャップ93の移動と、遮蔽部材132の移動とを連動させる。即ち、連動機構150は、カム軸125の回転と回転軸140の回転とを連動させる。
【0068】
図3に示すように、連動機構150は、アクチュエータ170に連結された第1ギア152と、第1ギア152と噛み合う第2ギア153Aと、第2ギア153Aと一体的に形成された第3ギア153Bと、第3ギア153Bと噛み合いかつ回転軸140に連結された第4ギア154(
図20参照)と、第3ギア153Bと噛み合う第5ギア155Aと、第5ギア155Aと一体的に形成された第6ギア155Bと、第6ギア155Bと噛み合いかつカム軸125の右端に設けられた第7ギア156Rと、カム軸125の左端に設けられた第8ギア156L(
図21参照)と、第8ギア156Lと噛み合う第9ギア157A(
図21参照)と、第9ギア157Aと一体的に形成された第10ギア157B(
図21参照)と、第10ギア157Bと噛み合う第11ギア158(
図21参照)と、第11ギア158と噛み合いかつ第1回転軸73の右端に設けられた第12ギア159(
図21参照)と、を有する。第1ギア152は駆動ギアの一例であり、第7ギア156Rは第1従動ギアの一例であり、第8ギア156Lは第2従動ギアの一例であり、第12ギア159は第3従動ギアの一例である。アクチュエータ170が駆動することによって、全てのギアが回転する。
【0069】
第2ギア153A~第7ギア156Rは、移動機構100の仕切り壁106Rに設けられている。第1ギア152~第7ギア156Rは、仕切り壁106Rより右方に配置されている。第8ギア156L~第11ギア158は、移動機構100の仕切り壁106Lに設けられている。第8ギア156L~第12ギア159は、仕切り壁106Lより左方に配置されている。第8ギア156L~第12ギア159は、本体ケース61の右壁61Cより右方に配置されている。
【0070】
アクチュエータ170は、仕切り壁106Rに設けられている。アクチュエータ170は、キャッピングユニット90より前方に配置されている。アクチュエータ170は、回転軸140より前方に配置されている。アクチュエータ170は、例えば、電動モータである。アクチュエータ170は、制御装置200によって制御される。アクチュエータ170は、連動機構150を介して回転軸140を回転させる。アクチュエータ170は、連動機構150を介してカム軸125を回転させる。アクチュエータ170は、連動機構150を介して第1回転軸73および第2回転軸74を回転させる。
【0071】
次に、連動機構150によるワイパー64の動きとキャップ93の動きと遮蔽部材132の動きとについて説明する。上述したように1つのアクチュエータ170を駆動することによって、連動機構150は、ワイパー64を移動させる第1回転軸73を回転させ、かつ、キャップ93を上下方向に移動させる移動機構100のカム軸125を回転させ、かつ、遮蔽部材132を移動させる回転軸140を回転させる。
【0072】
本実施形態では、カム軸125が1回転するときに、遮蔽部材132はキャッピングユニット90の周りを1周する。即ち、キャップ93が離隔位置DPからキャップ位置CPに移動し、その後、キャップ位置CPから離隔位置DPに戻るときに、遮蔽部材132は遮蔽位置EPから露出位置FPに移動し、その後、露出位置FPから遮蔽位置EPに移動する。
図15に示すように、遮蔽部材132が遮蔽位置EPに位置するときには、キャップ93は離隔位置DPに位置する。即ち、連動機構150は、遮蔽部135がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93が離隔位置DPに位置するように、回転軸140の回転とカム軸125の回転とを連動させる。また、
図18に示すように、遮蔽部材132が露出位置FPに位置するときには、キャップ93はキャップ位置CPに位置する。即ち、連動機構150は、開口部136がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93がキャップ位置CPに位置するように、回転軸140の回転とカム軸125の回転とを連動させる。このとき、キャップ93の上端93Tは遮蔽部材132より上方に位置する。即ち、移動機構100は、平面視で遮蔽部材132の開口部136を介してキャップ93が露出するとき、キャップ93の上端93Tを遮蔽部材132より上方に位置させる。
【0073】
本実施形態では、カム軸125が1回転するときに、ワイパー64は初期位置WS(
図11参照)から
図9の矢印R2の方向に2周して、初期位置WSに戻る。連動機構150は、キャップ93が離隔位置DPに位置するときに、ワイパー64がノズル面44をワイピングするように構成されている。即ち、ワイパー64が
図9の矢印R2の方向に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングするときには当然にカム軸125も回転するが、このときカム120はステージ102を上方に押圧していない。
【0074】
連動機構150は、インクヘッド40のノズル41から記録媒体5にインクを吐出するとき(即ち印刷中)には、ワイパー64を初期位置WS(
図11参照)に位置させるように構成されている。
【0075】
本実施形態のプリンタ10によると、遮蔽部材132は、平面視でキャップ93の全体と重なる位置に移動可能な遮蔽部134を備えている。このため、キャップ93がインクヘッド40から取り外されているときには、キャップ93の上方に遮蔽部134が位置するように遮蔽部材132を遮蔽位置EPに移動させることで、キャップ93の全体が遮蔽部134によって覆われる。これにより、キャップ93上方からの異物等の浸入は遮蔽部134によって抑制される。また、遮蔽部材132は、平面視でキャップ93が露出する開口部136を備えている。このため、キャップ93をインクヘッド40に取り付けるときには、キャップ93の上端93Tよりも下方に開口部136が位置するように遮蔽部材132を露出位置FPに移動させることで、キャップ93の全体が露出する。これにより、キャップ93をインクヘッド40に取り付けることができる。
【0076】
本実施形態のプリンタ10によると、遮蔽部材132は、遮蔽部134および開口部136がキャップ93の上方および下方および側方を通過するように、キャップ93周りに移動可能に構成されている。このため、キャップ93がインクヘッド40から取り外されているときには、キャップ93の上方に遮蔽部134が位置するように遮蔽部材132をキャップ周りに移動させることで、キャップ93の全体が遮蔽部134によって覆われる。これにより、キャップ93上方からの異物等の浸入は遮蔽部134によって抑制される。また、キャップ93をインクヘッド40に取り付けるときには、キャップ93の上方に開口部136が位置するように遮蔽部材132をキャップ93周りに移動させることで、キャップ93の全体が露出する。これにより、キャップ93をインクヘッド40に取り付けることができる。
【0077】
本実施形態のプリンタ10によると、移動機構100は、平面視で開口部136を介してキャップ93が露出するとき、キャップ93の上端93Tを遮蔽部材132より上方に位置させる。これにより、キャップ93をインクヘッド40に取り付けるときに、遮蔽部材132とインクヘッド40のノズル面44とが接触することが抑制される。
【0078】
本実施形態のプリンタ10は、キャップ93の移動と遮蔽部材132の移動とを連動させる連動機構150と、連動機構150を駆動する1つのアクチュエータ170と、を備えている。このように、1つのアクチュエータ170に駆動される連動機構150によって、キャップ93の移動と遮蔽部材132の移動とを連動させることができる。即ち、それぞれを独立して制御する場合に比べて、制御が容易になる。
【0079】
本実施形態のプリンタ10によると、遮蔽部材132は、平面視で遮蔽部134が副走査方向Xに移動するようにキャップ93周りに移動する。このように、遮蔽部材132をキャップ93周りに移動させることができるため、遮蔽部134を副走査方向Xに平行移動させる場合と比較して、遮蔽部134を退避させるためのスペースが必要なく、遮蔽ユニット130全体をコンパクトに構成することができる。
【0080】
本実施形態のプリンタ10によると、遮蔽ユニット130は、主走査方向Yに延びる複数の回転軸140を備えている。遮蔽部材132は、遮蔽部134に接続されかつ無端状に形成されかつ複数の回転軸140に巻き掛けられたベース部138を備えている。アクチュエータ170は、複数の回転軸140を回転させる。かかる構成によると、容易に遮蔽部材132を移動させることができると共に、キャップ93の移動と遮蔽部材132の移動とを連動させることができる。
【0081】
本実施形態のプリンタ10によると、回転軸140には、径方向に延びる複数の突起142が設けられ、ベース部138には、周方向に沿って複数の突起142がはまり込む複数の孔138Hが形成されている。これにより、遮蔽部材132を容易にキャップ93周りに移動させることができる。
【0082】
本実施形態のプリンタ10によると、遮蔽部134とベース部138とは一体に形成されている。これにより、遮蔽部134はベース部138の移動に良好に追随することができる。
【0083】
本実施形態のプリンタ10によると、移動機構100は、キャップ93を保持するステージ102と、ステージ102を下方に向けて付勢する第1付勢部材110と、ステージ102の下方に配置されかつステージ102を上方に押圧可能なカム120と、カム120を回転可能に保持するカム軸125と、を備えている。これにより、カム120が回転することによって第1付勢部材110の付勢力に抗してステージ102が上方に移動し、キャップ93が離隔位置DPからキャップ位置CPに移動する。また、カム120がさらに回転することによって、第1付勢部材110の付勢力によってステージ102が下方に移動し、キャップ93がキャップ位置CPから離隔位置DPに移動する。また、連動機構150は、開口部136がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93がキャップ位置CPに位置しかつ遮蔽部134がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93が離隔位置DPに位置するように、回転軸140の回転とカム軸125の回転とを連動させる。これにより、遮蔽部材132とキャップ93との接触を抑制することができる。
【0084】
本実施形態のプリンタ10は、キャリッジ17に搭載され、記録媒体5に吐出された光硬化性インクに向けて光を照射する光照射装置38を備え、遮蔽部134は、光照射装置38から光が照射されているときには、平面視でキャップ93の全体と重なる。遮蔽部134が平面視でキャップ93の全体と重なることにより、光照射装置38から照射された光の少なくとも一部が遮光されるため、キャップ93に光硬化性インクが残存していても光硬化性インクの硬化が抑制される。即ち、記録媒体5に吐出された光硬化性インクに光照射装置38から光が照射されているときには、遮蔽部134によってキャップ93の全体を覆うことでキャップ93に光が到達することが抑制される。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0086】
上述した実施形態では、遮蔽部材132は平面視で遮蔽部134が副走査方向Xに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りに移動するが、これに限定されない。例えば、遮蔽部材132は平面視で遮蔽部134が主走査方向Yに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りに移動してもよい。
【0087】
上述した実施形態では、ベース部138は遮蔽部134と一体に形成されていたが、別体に形成されていてもよい。この場合、ベース部138は、例えばローラチェーンから構成されている。
【0088】
上述した実施形態では、ワイパー64は
図9の矢印R2の方向(即ち時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしていたが、矢印R2とは逆方向(即ち反時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしてもよい。この場合、回収容器82は、ワイパークリーナ78よりも前方に配置される。また、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより下方に位置するように、傾斜して配置される。
【符号の説明】
【0089】
10 インクジェットプリンタ
40 インクヘッド
41 ノズル
44 ノズル面
90 キャッピングユニット
93 キャップ
100 移動機構
102 ステージ
120 カム
125 カム軸
130 遮蔽ユニット
132 遮蔽部材
134 遮蔽部
136 開口部
138 ベース部
138H 孔
140 回転軸
142 突起
150 連動機構
170 アクチュエータ