(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】翼セグメント及び回転機械
(51)【国際特許分類】
F01D 9/02 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
F01D9/02 104
(21)【出願番号】P 2022046262
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-05-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中田 諒大
(72)【発明者】
【氏名】堀内 康広
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰行
(72)【発明者】
【氏名】村形 直
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-127748(JP,A)
【文献】特開2001-254605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの第1翼形部と、前記1つの第1翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第1外側シュラウドと、前記1つの第1翼形部の前記翼高さ方向の内側に設けられる第1内側シュラウドと、を含む第1セグメントと、
1つの第2翼形部と、前記1つの第2翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第2外側シュラウドと、前記1つの第2翼形部の前記翼高さ方向の内側に設けられる第2内側シュラウドと、を含む第2セグメントと、
を備え、
前記第1外側シュラウドと、前記第2外側シュラウドとはボルト結合され、
前記第1内側シュラウドと、前記第2内側シュラウドとはボルト結合され、
前記第1外側シュラウドと前記第2外側シュラウドとに跨って形成された凹部を有
し、
前記凹部は、前記凹部を周方向から挟む領域よりも前記翼高さ方向の内側に向かって凹んでいる、
翼セグメント。
【請求項2】
前記第1外側シュラウドは、
前記周方向の2つの第1側端部の内、前記第2外側シュラウドと対向する前記第1側端部において前縁側から後縁側にかけて形成された第1側部通路を含み、
前記第2外側シュラウドは、前記周方向の2つの第2側端部の内、前記第1外側シュラウドと対向する前記第2側端部において前記前縁側から前記後縁側にかけて形成された第2側部通路を含み、
前記第1側部通路、又は、前記第2側部通路の少なくとも何れか一方は、前記翼高さ方向から見たときに前記凹部と重複する、
請求項1に記載の翼セグメント。
【請求項3】
前記第1側部通路、及び、前記第2側部通路は、前記翼高さ方向から見たときに前記凹部と重複する、
請求項2に記載の翼セグメント。
【請求項4】
前記第1外側シュラウドは、前記2つの第1側端部の内、前記第2外側シュラウドと対向する前記第1側端部とは反対側に位置する前記第1側端部において、前記第1側部通路を含まず、
前記第2外側シュラウドは、前記2つの第2側端部の内、前記第1外側シュラウドと対向する前記第2側端部とは反対側に位置する前記第2側端部において、前記第2側部通路を含まない、
請求項2又は3に記載の翼セグメント。
【請求項5】
前記第1外側シュラウドは、
前記前縁側の端部において前記第1翼形部とは前記翼高さ方向の反対側に向かって前記第1外側シュラウドから突出する第1前縁端部を含み、
前記第1前縁端部の前記後縁側を向いた面に形成された第1開口部を有し、
前記第1前縁端部に形成され、前記第1開口部と前記第1側部通路とを連通する第1周方向通路を含み、
前記第2外側シュラウドは、
前記前縁側の端部において前記第2翼形部とは前記翼高さ方向の反対側に向かって前記第2外側シュラウドから突出する第2前縁端部を含み、
前記第2前縁端部の前記後縁側を向いた面に形成された第2開口部を有し、
前記第2前縁端部に形成され、前記第2開口部と前記第2側部通路とを連通する第2周方向通路を含む、
請求項2乃至4の何れか一項に記載の翼セグメント。
【請求項6】
前記第1翼形部に対する前記第1開口部の位置は、前記第2翼形部に対する前記第2開口部の位置と同じである、
請求項5に記載の翼セグメント。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の翼セグメントと、
前記翼セグメントを覆うケーシングと、
前記ケーシングに取り付けられ、先端部が前記凹部と係合する位置決めピンと、
を備える、
回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、翼セグメント及び回転機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば回転機械の一例としてのガスタービンにおいて、タービンの静翼として、1つの外側シュラウド及び1つの内側シュラウドに対して2つの翼形部が配置された連翼構造を有するタービン静翼が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載タービン静翼のように連翼構造を有するタービン静翼では、2つの翼形部が近接して配置されているので、例えば溶射等によって翼形部に遮熱コーティングを施工する際、2つの翼形部同士で向かい合う翼面では、一方の翼形部の翼面が他方の翼形部の陰に隠れてしまうこととなる。そのため、2つの翼形部同士で向かい合う翼面には遮熱コーティングを施工し難くなるという課題があった。
【0005】
そこで、1つの外側シュラウド及び1つの内側シュラウドに対して1つの翼形部が配置されるようにすれば、上記の課題は解決できる。しかし、外側シュラウド及び内側シュラウドの周方向の分割数が増えることになるため、周方向で隣り合う外側シュラウド同士、及び内側シュラウド同士の間の隙間から冷却空気が燃焼ガスの流路内に流入する流量が増えるおそれがある。冷却空気が燃焼ガスの流路内に流入する流量が増えると、ガスタービンの効率に悪影響を及ぼす。
【0006】
冷却空気が燃焼ガスの流路内に流入する流量を抑制するため、1つの外側シュラウド及び1つの内側シュラウドに対して1つの翼形部が配置されているセグメントの2つを例えばボルト結合で連結すれば、2つのセグメントの外側シュラウド同士、及び内側シュラウド同士の間の隙間をなくすことができる。
【0007】
ところで、タービン静翼は、燃焼ガスの流れる方向を転向させるため、燃焼ガスからタービン静翼を周方向に回転させようとする力を受ける。そのため、タービン静翼がケーシング内で周方向に回転しないようにするため、及び、タービン静翼の位置決めのために、ケーシングに取り付けられた位置決めピンがタービン静翼と係合するように構成されている。
【0008】
タービン静翼は周方向に熱伸びをするため、この熱伸びを考慮して位置決めピンと係合する部位において位置決めピンとの隙間を設定する必要がある。
例えば、上述したように2つのセグメントをボルト結合することで1つの翼セグメントを構成した場合、例えば周方向で隣り合う2つの翼セグメント同士の間の位置で位置決めピンをと係合するようにすると、周方向の全長に亘っての翼セグメントの熱伸びを吸収可能な隙間を位置決めボルトとの間に設けなければならず、該隙間の大きさが比較的大きくなってしまう。
【0009】
該隙間の大きさが比較的大きくなると、タービンの組立て時に翼セグメントが周方向に該隙間の分だけ移動可能となるので、例えば翼セグメントに隣接するシールリング等の他の部材の組付けがし難くなる等、タービンの組立てに影響を及ぼすおそれがある。
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、回転機械の効率の低下を抑制しつつ、回転機械の組立てを容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る翼セグメントは、
1つの第1翼形部と、前記1つの第1翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第1外側シュラウドと、前記1つの第1翼形部の前記翼高さ方向の内側に設けられる第1内側シュラウドと、を含む第1セグメントと、
1つの第2翼形部と、前記1つの第2翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第2外側シュラウドと、前記1つの第2翼形部の前記翼高さ方向の内側に設けられる第2内側シュラウドと、を含む第2セグメントと、
を備え、
前記第1外側シュラウドと、前記第2外側シュラウドとはボルト結合され、
前記第1内側シュラウドと、前記第2内側シュラウドとはボルト結合され、
前記第1外側シュラウドと前記第2外側シュラウドとに跨って形成された凹部を有する。
【0012】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る回転機械は、
上記(1)の構成の翼セグメントと、
前記翼セグメントを覆うケーシングと、
前記ケーシングに取り付けられ、先端部が前記凹部と係合する位置決めピンと、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、回転機械の効率の低下を抑制しつつ、回転機械の組立てを容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】回転機械の一例としてのガスタービンの全体構成を表す概略図である。
【
図3】一実施形態に係るタービン静翼を径方向外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0016】
図1は、回転機械の一例としてのガスタービンの全体構成を表す概略図であり、
図2は、タービンのガス流路を表す断面図である。
【0017】
本実施形態において、
図1に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13がロータ14により同軸上に配置されて構成され、ロータ14の一端部に発電機15が連結されている。なお、以下の説明では、ロータ14の軸線が延びる方向を軸方向Da、このロータ14の軸線を中心とした周方向を周方向Dcとし、ロータ14の軸線Axに対して垂直な方向を径方向Drとする。なお、径方向Drを翼高さ方向と呼ぶ。
【0018】
圧縮機11は、空気取入口から取り込まれた空気AIが複数の静翼及び動翼を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気ACを生成する。燃焼器12は、この圧縮空気ACに対して所定の燃料FLを供給し、燃焼することで高温・高圧の燃焼ガスFGが生成される。タービン13は、燃焼器12で生成された高温・高圧の燃焼ガスFGが複数の静翼及び動翼を通過することでロータ14を駆動回転し、このロータ14に連結された発電機15を駆動する。
【0019】
また、
図2に示すように、タービン13にて、タービン静翼(静翼)21は、翼形部23のハブ側が内側シュラウド25に固定され、先端側が外側シュラウド27に固定されて構成されている。タービン動翼(動翼)41は、翼形部43の基端部がプラットフォーム45に固定されて構成されている。そして、外側シュラウド27と動翼41の先端部側に配置される分割環51とが遮熱環53を介して車室(タービン車室)30に支持され、内側シュラウド25がサポートリング31に支持されている。そのため、燃焼ガスFGが通過する燃焼ガス流路32は、内側シュラウド25と、外側シュラウド27と、プラットフォーム45と、分割環51により囲まれた空間として軸方向Daに沿って形成される。
【0020】
図3は、一実施形態に係るタービン静翼21を径方向Dr外側から見た図である。
図4は、
図3のIV-IV矢視図である。
一実施形態に係るタービン静翼21は、1つの外側シュラウド27及び1つの内側シュラウド25に対して1つの翼形部23が配置されたセグメント101の2つがボルト結合で連結された、1つの翼セグメント100として構成されている。
一実施形態に係る翼セグメント100の詳細については後で詳述する。
【0021】
なお、
図3に示すように、翼形部23は、圧力面である凹面で形成された腹側翼面23cと負圧面である凸面で形成された背側翼面23dと、から形成され、軸方向の上流側の前縁23a及び下流側の後縁23bで腹側翼面23c及び背側翼面23dが接続され、一体化された翼形部23が形成されている。
【0022】
なお、内側シュラウド25と外側シュラウド27は、ガスパス面形成部材として機能する。ガスパス面形成部材とは、燃焼ガス流路32を区画すると共に燃焼ガスFGが接触するガスパス面を有するものである。内側シュラウド25と外側シュラウド27とを特に区別する必要がない場合、内側シュラウド25及び外側シュラウド27を単にシュラウド2と呼ぶこともある。
【0023】
(翼セグメント100について)
一実施形態に係る翼セグメント100は、上述したように、ボルト結合された2つのセグメント101を含んでいる。以下の説明では、説明の便宜上、腹側翼面23cが相手側のセグメント101の背側翼面23dと対向するように配置されたセグメント101を第1セグメント101Aとし、背側翼面23dが相手側のセグメント101の腹側翼面23cと対向するように配置されたセグメント101を第2セグメント101Bとする。
図3において図示左側のセグメント101が第1セグメント101Aであり、図示右側のセグメントが第2セグメント101Bである。
【0024】
第1セグメント101Aは、1つの第1翼形部23Aと、1つの第1翼形部23Aの翼高さ方向の外側に設けられる第1外側シュラウド27Aと、1つの第1翼形部23Aの翼高さ方向の内側に設けられる第1内側シュラウド25Aと、を含む。
同様に、第2セグメント101Bは、1つの第2翼形部23Bと、1つの第2翼形部23Bの翼高さ方向の外側に設けられる第2外側シュラウド27Bと、1つの第2翼形部23Bの翼高さ方向の内側に設けられる第2内側シュラウド25Bと、を含む。
【0025】
一実施形態に係る翼セグメント100の第1セグメント101Aでは、第1外側シュラウド27Aは、ガスパス面27aとは反対側の面である径方向Dr外側に、外部から供給された冷却空気を貯留可能な空間である外側領域155を備える。第1セグメント101Aの外側領域155は、第1外側シュラウド27Aの周縁部、すなわち、第1外側シュラウド27Aの周方向の両端部を形成する腹側翼面23c側の第1側端部151A及び背側翼面23d側の第1側端部151A及び軸方向の前縁23a側の第1前縁端部153A及び後縁23b側の第1後縁端部154Aに囲まれた領域であり、径方向Dr内側方向に凹んだ空間部157を形成している。外側領域155の底面を形成する外側領域底面155aは、ガスパス面27aの径方向外側の面を形成する。すなわち、第1セグメント101Aの空間部157は、外側領域底面155aと、該外側領域底面155aから翼高さ方向(径方向)に延在する外壁部である第1側端部151A及び第1前縁端部153A並びに第1後縁端部154Aと、から形成された空間である。
一実施形態に係るガスタービン10では、外部から第1セグメント101Aの該空間部157に冷却空気CAが供給されるように構成されている。
【0026】
一実施形態に係る翼セグメント100の第1セグメント101Aでは、第1内側シュラウド25Aは、第1内側シュラウド25Aの周方向の端部を形成する腹側翼面23c側の第1側端部156Aを有する。
【0027】
同様に、一実施形態に係る翼セグメント100の第2セグメント101Bでは、第2外側シュラウド27Bは、ガスパス面27aとは反対側の面である径方向Dr外側に、外部から供給された冷却空気を貯留可能な空間である外側領域155を備える。第2セグメント101Bの外側領域155は、第2外側シュラウド27Bの周縁部、すなわち、第2外側シュラウド27Bの周方向の両端部を形成する腹側翼面23c側の第2側端部151B及び背側翼面23d側の第2側端部151B及び軸方向の前縁23a側の第2前縁端部153B及び後縁23b側の第2後縁端部154Bに囲まれた領域であり、径方向Dr内側方向に凹んだ空間部157を形成している。外側領域155の底面を形成する外側領域底面155aは、ガスパス面27aの径方向外側の面を形成する。すなわち、第2セグメント101Bの空間部157は、外側領域底面155aと、該外側領域底面155aから翼高さ方向(径方向)に延在する外壁部である第2側端部151B及び第2前縁端部153B並びに第2後縁端部154Bと、から形成された空間である。
一実施形態に係るガスタービン10では、外部から第2セグメント101Bの該空間部157に冷却空気CAが供給されるように構成されている。
【0028】
一実施形態に係る翼セグメント100の第2セグメント101Bでは、第2内側シュラウド25Bは、第2内側シュラウド25Bの周方向の端部を形成する背側翼面23d側の第2側端部158Bを有する。
【0029】
(第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとのボルト結合について)
一実施形態に係る翼セグメント100の第1セグメント101Aでは、第1外側シュラウド27Aにおける腹側翼面23c側の第1側端部151A、及び、第1内側シュラウド25Aにおける腹側翼面23c側の第1側端部156Aを周方向に貫通するボルト孔161が形成されている。
一実施形態に係る翼セグメント100の第1セグメント101Aでは、第1外側シュラウド27Aの第1側端部151Aには軸方向に間隔を開けて複数のボルト孔161が形成されているとよい。
図3に示した例では、ボルト孔161は2つであるが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
図示はしていないが、第1内側シュラウド25Aの第1側端部156Aには、1つのボルト孔161が形成されているが、軸方向に間隔を開けて複数のボルト孔161が形成されていてもよい。
【0030】
一実施形態に係る翼セグメント100の第2セグメント101Bでは、第2外側シュラウド27Bにおける背側翼面23d側の第2側端部151B、及び、第2内側シュラウド25Bにおける背側翼面23d側の第2側端部157Bを周方向に貫通するボルト孔162が形成されている。
一実施形態に係る翼セグメント100の第2セグメント101bでは、第2外側シュラウド27Bの第2側端部151Bには軸方向に間隔を開けて複数のボルト孔162が形成されているとよい。
図3及び
図4に示した例では、ボルト孔162は2つであるが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
図4に示した例では、第2内側シュラウド25Bの第2側端部157Bには、1つのボルト孔161が形成されているが、軸方向に間隔を開けて複数のボルト孔161が形成されていてもよい。
【0031】
第1セグメント101Aのボルト孔161と第2セグメント101Bのボルト孔162とは、ボルト孔161とボルト孔162とにボルト171を挿通することができるようにそれぞれの位置が設定されている。
一実施形態に係る翼セグメント100では、ボルト孔161とボルト孔162とにボルト171を挿通してナット172を装着することで、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとがボルト結合される。
なお、一実施形態に係るガスタービン10のタービン13では、上述した翼セグメント100が周方向に複数配置される。周方向で隣り合う翼セグメント100同士はボルト結合はされない。周方向で隣り合う翼セグメント100同士の間には、周方向で隣り合う翼セグメント100同士の間からの冷却空気CAの漏れを防止するための不図示のシール板が配置される。
【0032】
(凹部について)
一実施形態に係る翼セグメント100は、第1外側シュラウド27Aと第2外側シュラウド27Bとに跨って形成された凹部181を有する。
具体的には、凹部181は、第1セグメント101Aにおける腹側翼面23c側の第1側端部151A、及び、第2セグメント101Bにおける背側翼面23d側の第2側端部151Bの軸方向下流側の領域において、第1側端部151Aと第2側端部151Bとに跨って、径方向内側に向かって凹むように形成されている。
凹部181は、一実施形態に係る翼セグメント100が翼セグメント100を覆うケーシングであるタービン車室30内で翼セグメント100の周方向への移動を規制するための位置決めピン191と係合するように構成されている。
すなわち、一実施形態に係る翼セグメント100では、第1外側シュラウド27Aと第2外側シュラウド27Bとによって周方向から位置決めピン191を挟むように凹部181が形成されている。
【0033】
翼セグメント100は、燃焼ガスFGの流れる方向を転向させるため、燃焼ガスFGから翼セグメント100を周方向に回転させようとする力を受ける。そのため、翼セグメント100がタービン車室30内で周方向に回転しないようにするため、及び、翼セグメント100の位置決めのために、タービン車室30に取り付けられた位置決めピン191が凹部181と係合するように構成されている。
【0034】
一実施形態に係る翼セグメント100では、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとの外側シュラウド27同士、及び内側シュラウド25同士の間の隙間をなくすことができ、該隙間からの冷却空気CAの漏れを抑制できるので、一実施形態に係る翼セグメント100を備えるガスタービン10において効率低下を抑制できる。
また、一実施形態に係る翼セグメント100では、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとをボルト結合した翼セグメント100をガスタービン10のタービン車室30に取り付けて、タービン車室30に取り付けられた位置決めピン191を凹部181に係合させることで翼セグメント100の周方向への移動を規制できる。また、翼セグメント100が周方向に熱伸びしても、位置決めピン191が係合する凹部181を中心に周方向の一方側の第1セグメント101Aは主として凹部181から一方側に熱伸びし、位置決めピン191が係合する凹部181を中心に周方向の他方側の第2セグメント101Bは主として凹部181から他方側に熱伸びすることとなる。そのため、翼セグメント100が冷えている状態において、位置決めピン191と凹部181との隙間を比較的小さくすることができる。これにより、翼セグメント100に隣接するシールリング等の他の部材の組付けが比較的容易となり、翼セグメント100を備えるガスタービン10の組立てを容易化できる。
【0035】
一実施形態に係るガスタービン10は、一実施形態に係る翼セグメント100と、翼セグメント100を覆うタービン車室30と、タービン車室30に取り付けられ、先端部が凹部181と係合する位置決めピン191と、を備える。
これにより、第1セグメント101Aと第2セグメント102Aとの外側シュラウド27同士、及び内側シュラウド25同士の間の隙間をなくすことができ、該隙間からの冷却空気CAの漏れを抑制できるので、ガスタービン10の効率低下を抑制できる。
また、一実施形態に係るガスタービン10によれば、翼セグメント100に隣接するシールリング等の他の部材の組付けが比較的容易となり、ガスタービン10の組立てを容易化できる。
【0036】
(外側シュラウド27の冷却構造について)
以下、外側シュラウド27の冷却構造について説明する。
第1セグメント101A、及び、第2セグメント101Bの外側領域155には、外側領域底面155aの全体を覆うように複数の貫通孔を備えた不図示の衝突板が配置されている。なお、不図示の衝突板は、
図3においてハッチングを施した領域を覆う。
空間部157を形成する外側領域155は、不図示の衝突板により区分され、径方向Dr外側の空間部157と径方向Dr内側の空間部157に区分けされている。径方向Dr外側の空間部157と径方向Dr内側の空間部157とは、不図示の衝突板の貫通孔を介して連通している。
【0037】
空間部157に供給された冷却空気は、不図示の衝突板の貫通孔を介して径方向Dr内側の空間部157に供給され、外側領域底面155aをインピンジメント冷却(衝突冷却)している。外側領域底面155aをインピンジメント冷却することにより、ガスパス面27aの燃焼ガスによる過熱を抑制している。外側領域底面155aをインピンジメント冷却した冷却空気は、後述する第1周方向通路121、第2周方向通路122、第1側部通路131、及び第2側部通路132に供給される。
外側領域底面155aをインピンジメント冷却した後の冷却空気は、第1前縁端部153A及び第2前縁端部153Bにおいて軸方向に沿って形成された不図示の複数の貫通孔に供給されて第1前縁端部153A及び第2前縁端部153Bを冷却した後、外側シュラウド27の前縁側の端部27cから外側シュラウドの外部に排出されるようになっていてもよい。
また、外側領域底面155aをインピンジメント冷却した後の冷却空気は第1後縁端部154A及び第2後縁端部154Bにおいて軸方向に沿って形成された不図示の複数の貫通孔に供給されて第1後縁端部154A及び第2後縁端部154Bを冷却した後、外側シュラウド27の後縁側の端部27dから外側シュラウドの外部に排出されるようになっていてもよい。
【0038】
一実施形態に係る第1セグメント101Aでは、第1前縁端部153Aにおける後縁23b側を向いた面、すなわち、径方向Dr内側の空間部157に面した壁面に第1開口部111が形成されている。
一実施形態に係る第1セグメント101Aでは、第1前縁端部153Aに周方向に延在する第1周方向通路121が形成されている。
一実施形態に係る第1セグメント101Aでは、腹側翼面23c側の第1側端部151Aに軸方向に延在する第1側部通路131が形成されている。
【0039】
一実施形態に係る第1セグメント101Aにおいて、第1周方向通路121は、第1開口部111と第1側部通路131とを連通する通路である。
一実施形態に係る第1セグメント101Aにおいて、第1側部通路131は、腹側翼面23c側の第1側端部151Aに前縁23a側から後縁23b側にかけて形成された通路であり、上流側の端部が第1周方向通路121に接続され、下流側の端部が第1外側シュラウド27Aの後縁側の端部27dに開口している。
第1側部通路131は、軸方向から見たときに凹部181と重複している。
【0040】
一実施形態に係る第1セグメント101Aでは、外側領域底面155aをインピンジメント冷却した冷却空気は、第1開口部111から第1前縁端部153A内の第1周方向通路121に流入して第1周方向通路121を流通することで第1前縁端部153Aを冷却する。
第1周方向通路121を流通した冷却空気は、第1側部通路131を流通して、腹側翼面23c側の第1側端部151Aと、凹部181の周辺とを冷却した後、第1外側シュラウド27Aの後縁側の端部27dから第1外側シュラウド27Aの外部に排出される。
【0041】
一実施形態に係る第2セグメント101Bでは、第2前縁端部153Bにおける後縁23b側を向いた面、すなわち、径方向Dr内側の空間部157に面した壁面に第2開口部112が形成されている。
一実施形態に係る第2セグメント101Bでは、第2前縁端部153Bに周方向に延在する第2周方向通路122が形成されている。
一実施形態に係る第2セグメント101Bでは、背側翼面23d側の第2側端部151Bに軸方向に延在する第2側部通路132が形成されている。
【0042】
一実施形態に係る第2セグメント101Bにおいて、第2周方向通路122は、第2開口部112と第2側部通路132とを連通する通路である。
一実施形態に係る第2セグメント101Bにおいて、第2側部通路132は、背側翼面23d側の第2側端部151Bに前縁23a側から後縁23b側にかけて形成された通路であり、上流側の端部が第2周方向通路122に接続され、下流側の端部が第2外側シュラウド27Bの後縁側の端部27dに開口している。
第2側部通路132は、軸方向から見たときに凹部181と重複している。
【0043】
一実施形態に係る第2セグメント101Bでは、外側領域底面155aをインピンジメント冷却した冷却空気は、第2開口部112から第2前縁端部153B内の第2周方向通路122に流入して第2周方向通路122を流通することで第2前縁端部153Bを冷却する。
第2周方向通路122を流通した冷却空気は、第2側部通路132を流通して、背側翼面23d側の第2側端部151Bと、凹部181の周辺とを冷却した後、第2外側シュラウド27Bの後縁側の端部27dから第2外側シュラウド27Bの外部に排出される。
【0044】
このように、一実施形態に係る翼セグメント100では、第1側部通路131を流通する冷却空気CA、及び、第2側部通路132を流通する冷却空気CAによって、凹部181の近傍を冷却できる。
凹部181は、上述したように位置決めピン191と係合するように構成されているため、凹部181を例えばインピンジメント冷却することが困難である。そのため、凹部181の近傍のメタル温度は比較的高くなる傾向にある。
一実施形態に係る翼セグメント100によれば、第1側部通路131及び第2側部通路132に冷却空気を流通させることで、第1側部通路131及び第2側部通路132を流通する冷却空気CAによって凹部181の近傍をできる。これにより、メタル温度が比較的高くなる傾向にある領域を効果的に冷却できる。
【0045】
なお、一実施形態に係る翼セグメント100では、第1側部通路131、又は、第2側部通路132の少なくとも何れか一方を流通する冷却空気CAによって凹部181の近傍をできるように構成されていてもよい。すなわち、第1側部通路131、又は、第2側部通路132の何れか一方だけが、軸方向から見たときに凹部181と重複していてもよい。
【0046】
一実施形態に係る翼セグメント100では、第1外側シュラウド27Aの背側翼面23d側の第1側端部151Aは、周方向で隣り合う他の翼セグメント100における第2外側シュラウド27Bの腹側翼面23c側の第2側端部151Bと周方向への熱伸びを吸収するための隙間を介して対向する。そのため、該隙間から僅かに漏れる冷却空気による冷却が期待できる。
同様に、第2外側シュラウド27Bの腹側翼面23c側の第2側端部151Bは、周方向で隣り合う他の翼セグメント100における第1外側シュラウド27Aの背側翼面23d側の第1側端部151Aと周方向への熱伸びを吸収するための隙間を介して対向する。そのため、該隙間から僅かに漏れる冷却空気による冷却が期待できる。
【0047】
一実施形態に係る翼セグメント100では、第1外側シュラウド27Aは、2つの第1側端部151Aの内、第2外側シュラウド27Bと対向する腹側翼面23c側の第1側端部151Aとは反対側に位置する背側翼面23d側の第1側端部151Aにおいて、第1側部通路131を含まなくてもよい。
同様に、第2外側シュラウド27Bは、2つの第2側端部151Bの内、第1外側シュラウド27Aと対向する背側翼面23d側の第2側端部151Bとは反対側に位置する腹側翼面23c側の第2側端部151Bにおいて、第2側部通路132を含まなくてもよい。
これにより、比較的必要性が低い、第1外側シュラウド27Aの背側翼面23d側の第1側端部151A、及び、第2外側シュラウド27Bの腹側翼面23c側の第2側端部151Bにおいて、第1側部通路131及び第2側部通路132を設けるための加工を省略できるので、翼セグメント100の製造コストを抑制できる。
【0048】
一実施形態に係る翼セグメント100では、第1開口部111、第2開口部112、第1周方向通路121、第2周方向通路122、第1側部通路131、及び第2側部通路132を含むとよい。
一実施形態に係る翼セグメント100によれば、第1開口部111から流入した冷却空気を第1周方向通路121を介して第1側部通路131へ流通させることができる。また、第1開口部111から流入した流体を第1周方向通路121に流通させることで、メタル温度が比較的高くなる傾向にある第1前縁端部153Aを効率的に冷却できる。
同様に、一実施形態に係る翼セグメント100によれば、第2開口部112から流入した流体を第2周方向通路122を介して第2側部通路132へ流通させることができる。また、第2開口部112から流入した流体を第2周方向通路122に流通させることで、メタル温度が比較的高くなる傾向にある第2前縁端部153Bを効率的に冷却できる。
【0049】
一実施形態に係る翼セグメント100では、第1翼形部23Aに対する第1開口部111の位置は、第2翼形部23Bに対する第2開口部112の位置と同じであるとよい。
例えば第1セグメント101A及び第2セグメント101Bを鋳造によって製造する場合、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとを同一形状の鋳造物から得る場合に、第1開口部111及び第2開口部112に相当する開口部も鋳造段階で形成できる。これにより、鋳造後の加工の工数を削減でき、翼セグメント100の製造コストを抑制できる。
【0050】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る翼セグメント100は、1つの第1翼形部23Aと、1つの第1翼形部23Aの翼高さ方向の外側に設けられる第1外側シュラウド27Aと、1つの第1翼形部23Aの翼高さ方向の内側に設けられる第1内側シュラウド25Aと、を含む第1セグメント101Aを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係る翼セグメント100は、1つの第2翼形部23Bと、1つの第2翼形部23Bの翼高さ方向の外側に設けられる第2外側シュラウド27Bと、1つの第2翼形部23Bの翼高さ方向の内側に設けられる第2内側シュラウド25Bと、を含む第2セグメント101Bと、を備える。第1外側シュラウド27Aと、第2外側シュラウド27Bとはボルト結合されている。第1内側シュラウド25Aと、第2内側シュラウド25Bとはボルト結合されている。本開示の少なくとも一実施形態に係る翼セグメント100は、第1外側シュラウド27Aと第2外側シュラウド27Bとに跨って形成された凹部181を有する。
【0052】
上記(1)の構成によれば、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとの外側シュラウド27同士、及び内側シュラウド25同士の間の隙間をなくすことができ、該隙間からの流体(冷却空気CA)の漏れを抑制できるので、翼セグメント100を備える回転機械(ガスタービン10)において効率低下を抑制できる。
また、上記(1)の構成によれば、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとをボルト結合した翼セグメント100を回転機械(ガスタービン10)のケーシング(タービン車室30)に取り付けて、ケーシング(タービン車室30)に取り付けられた位置決めピン191を凹部181に係合させることで翼セグメント100の周方向への移動を規制できる。また、翼セグメント100が周方向に熱伸びしても、位置決めピン191が係合する凹部181を中心に周方向の一方側の第1セグメント101Aは主として凹部181から一方側に熱伸びし、位置決めピン191が係合する凹部181を中心に周方向の他方側の第2セグメント101Bは主として凹部181から他方側に熱伸びすることとなる。そのため、翼セグメント100が冷えている状態において、位置決めピン191と凹部181との隙間を比較的小さくすることができる。これにより、翼セグメント100に隣接するシールリング等の他の部材の組付けが比較的容易となり、翼セグメント100を備える回転機械(ガスタービン10)の組立てを容易化できる。
【0053】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、第1外側シュラウド27Aは、周方向の2つの第1側端部151Aの内、第2外側シュラウド27Bと対向する第1側端部151A(腹側翼面23c側の第1側端部151A)において前縁23a側から後縁23b側にかけて形成された第1側部通路131を含むとよい。第2外側シュラウド27Bは、周方向の2つの第2側端部151Bの内、第1外側シュラウド27Aと対向する第2側端部151B(背側翼面23d側の第2側端部151B)において前縁23a側から後縁23b側にかけて形成された第2側部通路132を含むとよい。第1側部通路131、又は、第2側部通路132の少なくとも何れか一方は、翼高さ方向から見たときに凹部181と重複するとよい。
【0054】
上記(2)の構成によれば、第1側部通路131及び第2側部通路132に流体(冷却空気CA)を流通させることで、第1側部通路131、又は、第2側部通路132の少なくとも何れか一方を流通する流体(冷却空気CA)によって凹部181の近傍をできる。これにより、メタル温度が比較的高くなる傾向にある領域を効果的に冷却できる。
【0055】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、第1側部通路131、及び、第2側部通路132は、翼高さ方向から見たときに凹部181と重複するとよい。
【0056】
上記(3)の構成によれば、メタル温度が比較的高くなる傾向にある領域をさらに効果的に冷却できる。
【0057】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、第1外側シュラウド27Aは、2つの第1側端部151Aの内、第2外側シュラウド27Bと対向する第1側端部151A(腹側翼面23c側の第1側端部151A)とは反対側に位置する第1側端部151A(背側翼面23d側の第1側端部151A)において、第1側部通路131を含まなくてもよい。第2外側シュラウド27Bは、2つの第2側端部151Bの内、第1外側シュラウド27Aと対向する第2側端部151B(背側翼面23d側の第2側端部151B)とは反対側に位置する第2側端部151B(腹側翼面23c側の第2側端部151B)において、第2側部通路132を含まなくてもよい。
【0058】
上記(4)の構成によれば、比較的必要性が低い領域において第1側部通路131及び第2側部通路132を設けるための加工を省略できるので、翼セグメント100の製造コストを抑制できる。
【0059】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかの構成において、第1外側シュラウド27Aは、前縁23a側の端部において第1翼形部23Aとは翼高さ方向の反対側に向かって第1外側シュラウド27Aから突出する第1前縁端部153Aを含むとよい。第1外側シュラウド27Aは、第1前縁端部153Aの後縁23b側を向いた面に形成された第1開口部111を有するとよい。第1外側シュラウド27Aは、第1前縁端部153Aに形成され、第1開口部111と第1側部通路131とを連通する第1周方向通路121を含むとよい。第2外側シュラウド27Bは、前縁23a側の端部において第2翼形部23Bとは翼高さ方向の反対側に向かって第2外側シュラウド27Bから突出する第2前縁端部153Bを含むとよい。第2外側シュラウド27Bは、第2前縁端部153Bの後縁23b側を向いた面に形成された第2開口部112を有するとよい。第2外側シュラウド27Bは、第2前縁端部153Bに形成され、第2開口部112と第2側部通路132とを連通する第2周方向通路122を含むとよい。
【0060】
上記(5)の構成によれば、第1開口部111から流入した流体(冷却空気CA)を第1周方向通路121を介して第1側部通路131へ流通させることができる。また、第1開口部111から流入した流体(冷却空気CA)を第1周方向通路121に流通させることで、メタル温度が比較的高くなる傾向にある第1前縁端部153Aを効率的に冷却できる。
また、上記(5)の構成によれば、第2開口部112から流入した流体(冷却空気CA)を第2周方向通路122を介して第2側部通路132へ流通させることができる。また、第2開口部112から流入した流体(冷却空気CA)を第2周方向通路122に流通させることで、メタル温度が比較的高くなる傾向にある第2前縁端部153Bを効率的に冷却できる。
【0061】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、第1翼形部23Aに対する第1開口部111の位置は、第2翼形部23Bに対する第2開口部112の位置と同じであるとよい。
【0062】
上記(6)の構成によれば、例えば第1セグメント101A及び第2セグメント101Bを鋳造によって製造する場合、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとを同一形状の鋳造物から得る場合に、第1開口部111及び第2開口部112に相当する開口部も鋳造段階で形成できる。これにより、鋳造後の加工の工数を削減でき、翼セグメント100の製造コストを抑制できる。
【0063】
(7)本開示の少なくとも一実施形態に係る回転機械(ガスタービン10)は、上記(1)乃至(6)の何れかの構成の翼セグメント100と、翼セグメント100を覆うケーシング(タービン車室30)と、ケーシング(タービン車室30)に取り付けられ、先端部が凹部181と係合する位置決めピン191と、を備える。
【0064】
上記(7)の構成によれば、第1セグメント101Aと第2セグメント101Bとの外側シュラウド27同士、及び内側シュラウド25同士の間の隙間をなくすことができ、該隙間からの流体(冷却空気CA)の漏れを抑制できるので、回転機械(ガスタービン10)の効率低下を抑制できる。
また、上記(7)の構成によれば、翼セグメント100に隣接するシールリング等の他の部材の組付けが比較的容易となり、回転機械(ガスタービン10)の組立てを容易化できる。
【符号の説明】
【0065】
10 ガスタービン
13 タービン
23、23A、23B 翼形部
25、25A、25B 内側シュラウド
27、27A、27B 外側シュラウド
30 車室(タービン車室、ケーシング)
23a 前縁
23b 後縁
23c 腹側翼面
23d 背側翼面
23A 第1翼形部
23B 第2翼形部
25 内側シュラウド
25A 第1内側シュラウド
25B 第2内側シュラウド
27 外側シュラウド
27A 第1外側シュラウド
27B 第2外側シュラウド
100 翼セグメント
101 セグメント
101A 第1セグメント
101B 第2セグメント
111 第1開口部
112 第2開口部
131 第1側部通路
132 第2側部通路
181 凹部
191 位置決めピン
【要約】
【課題】回転機械の効率の低下を抑制しつつ、回転機械の組立てを容易化することを目的とする。
【解決手段】本開示の少なくとも一実施形態に係る翼セグメントは、1つの第1翼形部と、1つの第1翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第1外側シュラウドと、1つの第1翼形部の翼高さ方向の内側に設けられる第1内側シュラウドと、を含む第1セグメントと、1つの第2翼形部と、1つの第2翼形部の翼高さ方向の外側に設けられる第2外側シュラウドと、1つの第2翼形部の翼高さ方向の内側に設けられる第2内側シュラウドと、を含む第2セグメントと、を備える。第1外側シュラウドと、第2外側シュラウドとはボルト結合され、第1内側シュラウドと、第2内側シュラウドとはボルト結合され、第1外側シュラウドと第2外側シュラウドとに跨って形成された凹部を有する。
【選択図】
図3