(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】作業割当て装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221202BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221202BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2022524795
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 JP2020020084
(87)【国際公開番号】W WO2021234898
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 南美
(72)【発明者】
【氏名】岩田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】吉永 光伸
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 麻美
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/163629(WO,A1)
【文献】特開2018-18125(JP,A)
【文献】特開平10-222222(JP,A)
【文献】特開2012-88087(JP,A)
【文献】特開2016-194772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0361428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに関するプラント情報に基づいて作業手順を導出する作業手順導出部と、
前記作業手順を構成する手順への運転員の割当てを示す複数の作業割当て候補を選定するスケジューリング部と、
前記複数の作業割当て候補の各々の評価を行う作業割当て評価部と、
前記評価の結果に基づいて前記複数の作業割当て候補から作業割当てを決定する作業割当て決定部と、
を備える作業割当て装置。
【請求項2】
前記作業手順導出部は、
前記プラント情報に基づいて前記プラントにおいて発生している発生事象を推定するプラント状況診断部と、
前記発生事象に基づいて前記作業手順を決定する作業手順決定部と、
を備える
請求項1の作業割当て装置。
【請求項3】
前記プラント状況診断部は、前記発生事象を推定するために必要なデータを格納した知識ベースを用いて前記発生事象を推定する
請求項2の作業割当て装置。
【請求項4】
前記データは、不具合の原因と事象が波及する範囲との関係を含む
請求項3の作業割当て装置。
【請求項5】
前記作業手順決定部は、各事象が発生した場合に実施すべき作業手順を示す事象情報により示される、前記発生事象が発生した場合に実施すべき作業手順を決定する作業手順にする
請求項2から4までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項6】
前記プラント情報は、前記プラントを構成するプラント機器により発せられるアラームに関するアラーム情報及び前記プラント機器により出力されるプラント値からなる群より選択される少なくとも1種を含む
請求項1から5までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項7】
前記スケジューリング部は、各手順に関する作業手順情報及び各運転員に関する運転員情報に基づいて前記複数の作業割当て候補を選定する
請求項1から6までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項8】
前記作業手順情報は、人間及びシステムの各々が前記各手順を実施することができるか否かを示し、
前記スケジューリング部は、
前記作業手順情報により前記人間及び前記システムが前記手順を実施することができることが示された場合には、前記人間又は前記システムを前記手順に割当て、
前記作業手順情報により前記人間が前記手順を実施することができるが前記システムが前記手順を実施することができないことが示された場合には、前記人間を前記手順に割当て、
前記作業手順情報により前記システムが前記手順を実施することができるが前記人間が前記手順を実施することができないことが示された場合には、前記システムを前記手順に割当てる
請求項7の作業割当て装置。
【請求項9】
前記作業手順情報は、前記各手順が実施資格を要するか否かを示し、
前記運転員情報は、前記各運転員が前記実施資格を有するか否かを示し、
前記スケジューリング部は、前記作業手順情報により前記手順が前記実施資格を要することが示された場合には、前記運転員情報により示される、前記実施資格を有する運転員を前記手順に割当て、前記運転員情報により示される、前記実施資格を有しない運転員を前記手順に割当てない
請求項7又は8の作業割当て装置。
【請求項10】
前記運転員情報は、前記各運転員が前記プラントの運転に対応中であるか否か、及び前記各運転員が前記プラントの運転に対応中でない場合に前記各運転員が前記プラントの運転に対応することができるか否かを示し、
前記スケジューリング部は、前記運転員情報により示される、前記プラントの運転に対応中である又は前記プラントの運転に対応することができる運転員を前記手順に割当て、前記運転員情報により示される、前記プラントの運転に対応することができない運転員を前記手順に割当てない
請求項7から9までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項11】
前記作業割当て評価部は、前記運転員の状況に基づいて前記評価を行う
請求項1から10までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項12】
前記運転員の状況は、前記運転員の負荷状況、状況認識力、疲労度、覚醒度及び集中力からなる群より選択される少なくとも1種を含む
請求項11の作業割当て装置。
【請求項13】
前記運転員による前記プラントの運転に関する情報を示す運転情報及び前記運転員の生体情報の少なくとも一方に基づいて前記運転員の状況を判定する運転員状況判定部
を備える請求項11又は12の作業割当て装置。
【請求項14】
前記運転情報は、操作内容、操作回数、操作所要時間及び操作頻度からなる群より選択される少なくとも1種を含む
請求項13の作業割当て装置。
【請求項15】
前記生体情報は、体温、血圧、心拍数、呼吸数、心電波形、感情、ストレス、視線、眼球運動、まばたき及び脳波からなる群より選択される少なくとも1種を含む
請求項13又は14の作業割当て装置。
【請求項16】
前記運転情報は、操作所要時間を含み、
前記運転員の状況は、前記運転員の疲労度を含み、
前記運転員状況判定部は、前記操作所要時間が長くなるほど前記疲労度を高くする
請求項13から15までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項17】
前記作業割当て評価部は、各手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率を示す作業手順情報により示される、前記手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率に基づいて前記評価を行う
請求項11から16までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項18】
前記作業割当て評価部は、前記運転員の状況及び前記評価を行うために必要な評価情報に基づいて前記評価を行う
請求項11から17までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項19】
前記評価情報は、前記運転員の各状況に対応する補正を示し、
前記作業割当て評価部は、前記評価情報により示される、前記運転員の状況に対応する補正を前記評価に適用する
請求項18の作業割当て装置。
【請求項20】
前記評価を行うことは、評価値を算出することであり、
前記評価の結果に基づいて前記作業割当てを決定することは、前記評価値の大小に基づいて前記作業割当てを決定することである
請求項1から19までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項21】
前記評価値は、リスクの大きさを示し、
前記評価値の大小に基づいて前記作業割当てを決定することは、最も小さいリスクの大きさを示す評価値を有する作業割当て候補を前記作業割当てにすることである
請求項20の作業割当て装置。
【請求項22】
前記作業割当てを前記運転員に提示する提示方法を決定する作業割当て提示方法決定部と、
前記提示方法により前記作業割当てを前記運転員に提示する作業割当て提示部と、
を備える請求項1から21までのいずれかの作業割当て装置。
【請求項23】
前記作業割当て提示方法決定部は、前記運転員の状況に基づいて前記提示方法を決定する
請求項22の作業割当て装置。
【請求項24】
前記提示方法は、提示内容、提示手段及び提示タイミングからなる群より選択される少なくとも1種を含む
請求項22又は23の作業割当て装置。
【請求項25】
前記提示方法は、提示タイミングを含み、
前記作業割当て提示方法決定部は、各手順を構成する作業、各作業が実施された場合に前記各作業を実施する運転員にかかる作業負荷、前記作業が実施された場合に発生するエラーのエラー率を示す作業手順情報、並びに作業負荷及びエラー率の各組に対応する提示可能な運転員の状況を示す提示情報に基づいて前記手順に対応する提示可能な運転員の状況を特定し、前記運転員の状況が特定した提示可能な運転員の状況であるタイミングを前記提示タイミングにする
請求項22から24までのいずれかの作業割当て装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業割当て装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力分野に属するプラント等の大規模なプラントは、多くの場合は、監視制御装置により監視され制御される。
【0003】
近年においては、監視制御装置に、従来のハードウェア型のアナログ監視制御盤に代えて、ソフトウェア型のデジタル監視制御盤が導入されている。ソフトウェア型のデジタル監視制御盤は、デジタル盤とも呼ばれる。
【0004】
監視制御装置にデジタル盤が導入された場合は、監視制御盤の機能が集約されたグラフィカル運転員インターフェース(GUI)を用いて作業が行われる。監視制御装置にデジタル盤を導入することにより、監視制御装置を小型化することができ、オペレータ(運転員)が監視制御盤を操作する際に運転員にかかる操作負荷を軽減することができる。
【0005】
プラントの運転にあたっては、事象が発生した場合に実施すべき作業手順及び作業手順を構成する作業を実施する実施担当を定めた作業割当てが事前に決められる。実施担当は、運転員である場合もあるし、自動化システムである場合もある。しかし、近年においては、監視制御システムの高機能化及びそれに伴う運転員の減員により、通常運転時には最少人数の運転員で複数のプラントを同時に監視し、事象発生時には運転員の人数及び体制を変更する運用が想定されている。
【0006】
また、運転員から別の運転員に作業が引き継がれる場合又は自動化システムから運転員に作業が引き継がれる際には、作業を引き継ぐ運転員が、これまでの作業の実施状況及びこれからの作業割当てを正しく認識しなければならない。このため、当該運転員にかかっている作業負荷、当該運転員による状況認識等の当該運転員の状況を考慮して当該運転員に作業割当てを提示することが重要である。
【0007】
特許文献1に記載された技術においては、異常の検出通知が受信された場合に、異常に対処すべき作業員が決定される。また、異常の発生によって進められなくなった不可作業に従事していた作業員に対して新たな作業群の割当てが行われる。
【0008】
特許文献2に記載された技術においては、ユーザの生体情報及びユーザの作業に関する情報を用いてユーザの疲労が検出される。また、検出されたユーザの疲労状態に応じて疲労低減に必要な支援措置が選択される。支援措置は、ディスプレイ装置の画面において表示を大きくしたりコントラストを強調したりすること、音声を大きくすること、マウスやペンタブレット等の入力デバイスの入力感度を強化すること等のユーザインターフェース制御である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2017/163629号
【文献】特開2001-184139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように作業手順及び実施担当を定めた作業割当てが事前に決められ、事前に決められた作業割当てにしたがって作業に運転員が割当てられる場合は、作業を割当てるためのルールを事前に準備しなければならない。また、想定外の組み合わせの事象が発生した場合に、事前に決められた作業割当てでは発生した事象に適時に対応することができず、シビアアクシデントが発生する場合がある。このため、作業割当てを動的に行うことが求められている。
【0011】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示は、プラントの状況に応じた運転員の割当てを動的に行うことができる作業割当て装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、作業割当て装置に関する。
【0013】
作業割当て装置は、作業手順導出部、スケジューリング部、作業割当て評価部及び作業割当て決定部を備える。
【0014】
作業手順導出部は、プラントに関するプラント情報に基づいて作業手順を導出する。
【0015】
スケジューリング部は、作業手順を構成する手順への運転員の割当てを示す複数の作業割当て候補を選定する。
【0016】
作業割当て評価部は、複数の作業割当て候補の各々の評価を行う。
【0017】
作業割当て決定部は、評価の結果に基づいて複数の作業割当て候補から作業割当てを決定する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、プラントに関するプラント情報に基づいて作業手順が導出され、導出された作業手順を構成する手順への運転員の割当てが決定される。これにより、プラントの状況に応じた運転員の割当てを動的に行うことができる。
【0019】
本開示の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1の作業割当て装置が実装された監視制御システムのハードウェア構成を模式的に図示するブロック図である。
【
図2】実施の形態1の作業割当て装置の機能構成を模式的に図示するブロック図である。
【
図3】実施の形態1の作業割当て装置に格納される事象情報の例を示す図である。
【
図4】実施の形態1の作業割当て装置に格納される作業手順情報の例を示す図である。
【
図5】実施の形態1の作業割当て装置に格納される作業手順情報の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1の作業割当て装置に格納される運転員情報の例を示す図である。
【
図7】実施の形態1の作業割当て装置に格納される評価情報の例を示す図である。
【
図8】実施の形態1の作業割当て装置に格納される提示情報の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1の作業割当て装置により行われる処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1の作業割当て装置により行われる複数の作業割当て候補の選定の例を説明する図である。
【
図11】実施の形態1の作業割当て装置により行われる複数の作業割当て候補の選定の結果を説明する図である。
【
図12】実施の形態1の作業割当て装置において行われる操作所要時間に基づく運転員の疲労度の判定の例を説明する図である。
【
図13】実施の形態1の作業割当て装置により行われる評価のための処理の例を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態1の作業割当て装置により行われる評価の例を説明する図である。
【
図15】実施の形態1の作業割当て装置により行われる提示方法の決定のための処理の例を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態1の作業割当て装置により行われる提示方法の決定の例を説明する図である。
【
図17】実施の形態1の作業割当て装置により運転員が運転するプラントの操作画面に表示される運転員が次に実施すべき作業の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1 実施の形態1
図1は、実施の形態1の作業割当て装置が実装された監視制御システムのハードウェア構成を模式的に図示するブロック図である。
【0022】
図1に図示される監視制御システム1は、プラントを監視及び制御する。監視制御システム1は、コンピュータにより構成される。
【0023】
図1に図示されるように、監視制御システム1は、プロセッサ11、メモリ12、ハードディスクドライブ13、入力装置14、出力装置15及びシステムバス16を備える。
【0024】
プロセッサ11は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタル信号処理装置(DSP)等である。メモリ12は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)等である。ハードディスクドライブ13が、ハードディスクドライブ13以外の補助記憶装置に置き換えられてもよい。例えば、ハードディスクドライブ13が、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAMディスク等に置き換えられてもよい。入力装置14は、キーボード、ポインティングデバイス、マイクロフォン、スキャナ、カメラ、通信インターフェース、センサ等である。出力装置15は、ディスプレイ、ランプ、スピーカ、通信インターフェース等である。
【0025】
システムバス16は、プロセッサ11、メモリ12、ハードディスクドライブ13、入力装置14及び出力装置15を互いに通信可能に接続する。
【0026】
2 作業割当て装置
図2は、実施の形態1の作業割当て装置の機能構成を模式的に図示するブロック図である。
【0027】
図2に図示されるように、実施の形態1の作業割当て装置2は、プラント情報格納部21、事象情報格納部22、作業手順情報格納部23、運転情報格納部24、運転員情報格納部25、生体情報格納部26、評価情報格納部27及び提示情報格納部28を備える。これらの要素は、メモリ12及びハードディスクドライブ13の少なくとも一方により構成される。
【0028】
また、
図2に図示されるように、作業割当て装置2は、プラント状況診断部31、作業手順決定部32、スケジューリング部33、運転員状況判定部34、作業割当て評価部35、作業割当て決定部36、作業割当て提示方法決定部37及び作業割当て提示部38を備える。これらの要素の機能は、プロセッサ11がメモリ12及びハードディスクドライブ13の少なくとも一方に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。監視制御システム1が複数のプロセッサ11、複数のメモリ12及び複数のハードディスクドライブ13を備え、複数のプロセッサ11、複数のメモリ12及び複数のハードディスクドライブ13が連携してこれらの要素の機能を実現してもよい。
【0029】
3 格納される情報
3.1 プラント情報
プラント情報格納部21は、プラント情報51を格納する。格納されるプラント情報51は、プラントに関する情報である。プラント情報51は、時系列情報である。プラント情報51は、プラントを構成するプラント機器により取得される。プラント情報51は、プラント機器により発せられるアラームに関するアラーム情報及びプラント機器により出力されるプラント値からなる群より選択される少なくとも1種を含む。以下では、プラント情報51が、アラーム情報及びプロセス値の両方を含むとする。プラント情報51が、アラーム情報及びプラント値以外の情報を含んでもよい。例えば、プラント情報51が、アラーム情報に代えて又はアラーム情報に加えて、アラーム情報以外のプラントの運転の状態に関する情報を含んでもよい。プラント機器は、プラントの種類に応じた機器であり、モータ、ポンプ、弁等である。
【0030】
3.2 事象情報
事象情報格納部22は、事象情報52を格納する。格納される事象情報52は、プラントにおいて発生する事象に関する情報である。
【0031】
事象情報52は、各事象が発生した場合に実施すべき作業手順及び各事象の影響度を示す。事象情報52が、これらの情報以外の情報を示してもよい。例えば、事象情報52が、各事象が発生した場合に実施すべき作業手順の作業優先度等を示してもよい。
【0032】
図3は、実施の形態1の作業割当て装置に格納される事象情報の例を示す図である。
【0033】
図3に示される事象情報52は、事象ID521並びに事象ID521に対応する作業手順ID522及び影響度523を含む。事象ID521は、事象を特定する。事象ID521に対応する作業手順ID522は、事象ID521により特定される事象が発生した場合に実施すべき作業手順を特定する。事象ID521に対応する影響度523は、事象ID521により特定される事象の影響度を特定する。これにより、
図3に示される事象情報52は、各事象が発生した場合に実施すべき作業手順及び各事象の影響度を示す。影響度523は、「大」、「中」又は「小」で与えられる。「大」、「中」又は「小」という影響度523には、それぞれ、下述するエラー率に乗じられる「3」「2」及び「1」という係数が与えられる。
【0034】
以下では、説明を簡単にするため、「事象1」、「事象2」及び「事象3」という事象ID521により特定される事象が、それぞれ、「事象1」、「事象2」及び「事象3」と略記される。また、「手順1」、「手順2」及び「手順3」という作業手順ID522により特定される作業手順が、それぞれ、「手順1」、「手順2」及び「手順3」と略記される。
【0035】
3.3 作業手順情報
作業手順情報格納部23は、作業手順情報53及び作業手順情報54を格納する。格納される作業手順情報53及び作業手順情報54は、各手順に関する情報である。
【0036】
作業手順情報53は、各作業手順を構成する手順を示す。作業手順情報53は、人間及びシステムの各々が各手順を実施することができるか否か、並びに各手順が実施資格を要するか否かを示す。また、作業手順情報53は、各手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率及び各手順が実施されるまでに費やすことが許容される許容時間を示す。作業手順情報53が、これらの情報以外の情報を示してもよい。例えば、作業手順情報53が、各手順が実施された場合に標準的に費やされる標準作業時間、各手順が実施された場合に各手順を実施する運転員にかかる作業負荷、各手順が実施された場合に発生するコスト等を示してもよい。
【0037】
作業手順情報54は、各手順を構成する作業を示す。また、作業手順情報54は、各作業が実施された場合に各作業を実施する運転員にかかる作業負荷及び各作業が実施された場合に発生するエラーのエラー率を示す。
【0038】
図4及び
図5は、実施の形態1の作業割当て装置に格納される作業手順情報の例を示す図である。
【0039】
図4に示される作業手順情報53は、手順ID531並びに手順ID531に対応する名称532、次の手順ID533、担当534、実施資格の要否535、標準エラー率536及び許容時間537を含む。手順ID531は、手順を特定する。手順ID531に対応する名称532は、手順ID531により特定される手順の名称を特定する。手順ID531に対応する次の手順ID533は、手順ID531により特定される手順の次に実施される次の手順を特定する。手順ID531に対応する担当534は、手順ID531により特定される手順を実施することができる担当を特定する。担当は、人間及びシステムの少なくとも一方である。手順ID531に対応する実施資格の要否535は、手順ID531により特定される手順が実施資格を要するか否かを特定する。手順ID531に対応する実施資格の要否535は、手順ID531に対応する担当534が人間である場合に設定される。手順ID531に対応する標準エラー率536は、手順ID531により特定される手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率を特定する。手順ID531に対応する標準エラー率536は、手順ID531に対応する担当534が人間及びシステムの各々である場合に設定される。手順ID531に対応する許容時間537は、手順ID531により特定される手順が実施されるまでに費やすことが許容される許容時間を特定する。手順ID531に対応する許容時間537は、必要がある場合に設定される。これにより、
図4に示される作業手順情報53は、各作業手順を構成する手順を示す。また、作業手順情報53は、複数の手順の実施順序を示す。また、
図4に示される作業手順情報53は、人間及びシステムの各々が各手順を実施することができるか否か、並びに各手順が実施資格を要するか否かを示す。また、
図4に示される作業手順情報53は、各手順の名称、各手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率及び各手順が実施されるまでに費やすことが許容される許容時間を示す。
【0040】
以下では、説明を簡単にするため、「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」、「手順1-4」、「手順2-1」、「手順2-2」及び「手順2-3」という手順ID531により特定される手順が、それぞれ、「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」、「手順1-4」、「手順2-1」、「手順2-2」及び「手順2-3」と略記される。
【0041】
図5に示される作業手順情報54は、手順ID541、手順ID541に対応する名称542及び作業543、並びに作業543に対応する作業負荷544及びエラー率545を含む。手順ID541に対応する名称542は、手順ID541により特定される手順の名称を特定する。手順ID541に対応する作業543は、手順ID541により特定される手順を構成する作業を特定する。作業543に対応する作業負荷544は、作業543により特定される作業が実施された場合に当該作業を実施する運転員にかかる作業負荷を特定する。作業543に対応するエラー率545は、作業543により特定される作業が実施された場合に発生するエラーのエラー率を特定する。これにより、
図5に示される作業手順情報54は、各手順を構成する作業を示す。また、
図5に示される作業手順情報54は、各作業が実施された場合に各作業を実施する運転員にかかる作業負荷及び各作業が実施された場合に発生するエラーのエラー率を示す。作業負荷544は、「大」、「中」又は「小」で与えられる。エラー率545は、「大」、「中」又は「小」で与えられる。
【0042】
3.4 運転情報
運転情報格納部24は、運転情報55を格納する。格納される運転情報55は、各運転員によるプラントの運転に関する情報である。運転情報55は、時系列情報である。運転情報55は、プラントの状態及びプラントにおいて発生した事象に応じた情報である。運転情報55は、操作内容、操作回数、操作所要時間及び操作頻度からなる群より選択される少なくとも1種を含む。運転情報55が、これらの情報以外の情報を含んでもよい。操作内容は、モータの起動/停止、ポンプの起動/停止、弁の開閉、プラント情報の確認等である。
【0043】
3.5 運転員情報
運転員情報格納部25は、運転員情報56を格納する。格納される運転員情報56は、各運転員に関する情報である。運転員情報56は、各運転員がプラントの運転に対応中であるか否か、各運転員がプラントの運転に対応中でない場合に各運転員がプラントの運転に対応することができるか否か、及び各運転員が実施資格を有するか否かを示す。運転員情報56が、これらの情報以外の情報を示してもよい。例えば、運転員情報56が、各運転員が有する資格、役職、性格、経験等を示してもよい。
【0044】
図6は、実施の形態1の作業割当て装置に格納される運転員情報の例を示す図である。
【0045】
図6に示される運転員情報56は、運転員ID561並びに運転員ID561に対応する対応状態562及び実施資格の有無563を含む。運転員ID561は、運転員を特定する。運転員ID561に対応する対応状態562は、運転員ID561により特定される運転員がプラントの運転に対応中であるか否か、及び当該運転員がプラントの運転に対応中でない場合に当該運転員がプラントの運転に対応することができるか否かを示す。運転員ID561に対応する実施資格の有無563は、運転員ID561により特定される運転員が実施資格を有するか否かを特定する。これにより、
図6に示される運転員情報56は、各運転員がプラントの運転に対応中であるか否か、各運転員がプラントの運転に対応中でない場合に各運転員がプラントの運転に対応することができるか否か、及び各運転員が実施資格を有するか否かを示す。対応状態562は、「対応中」、「対応可」又は「対応不可」で与えられる。
【0046】
3.6 生体情報
生体情報格納部26は、生体情報57を格納する。格納される生体情報57は、各運転員の生体情報を示す。生体情報57は、時系列情報である。生体情報57は、接触型又は非接触型の生体センサ等により取得される。生体情報57は、体温、血圧、心拍数、呼吸数、心電波形、感情、ストレス、視線、眼球運動、まばたき及び脳波からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0047】
3.7 評価情報
評価情報格納部27は、評価情報58を格納する。格納される評価情報58は、下述する複数の作業割当て候補73の各々の評価を行うために必要な情報である。実施の形態1においては、評価情報58は、運転員の各状況に対応する補正を示す。実施の形態1においては、運転員の各状況は、運転員の各疲労度である。また、補正は、標準エラー率のエラー率補正である。このため、評価情報58は、運転員の各疲労度に対応する標準エラー率のエラー率補正を示す。
【0048】
図7は、実施の形態1の作業割当て装置に格納される評価情報の例を示す図である。
【0049】
図7に示される評価情報58は、疲労度581及び疲労度581に対応するエラー率補正582を含む。疲労度581は、運転員の疲労度を特定する。疲労度581に対応するエラー率補正582は、疲労度581により特定される運転員の疲労度に対応する標準エラー率のエラー率補正を特定する。これにより、
図7に示される評価情報58は、運転員の各疲労度に対応する標準エラー率のエラー率補正を示す。標準エラー率のエラー率補正は、標準エラー率に適用される補正値を含む。標準エラー率に適用される補正値は、標準エラー率に乗じられる。疲労度581は、「高」、「中」又は「低」で与えられる。
【0050】
3.8 提示情報
提示情報格納部28は、提示情報59を格納する。格納される提示情報59は、運転員の状況に応じて作業割当てを提示する提示方法を決定するための情報である。提示情報59は、作業負荷とエラー率との各組に対応する提示可能な運転員の状況を示す。実施の形態1においては、提示可能な運転員の状況は、提示可能な運転員の覚醒度である。このため、提示情報59は、作業負荷とエラー率との各組に対応する提示可能な運転員の覚醒度を示す。
【0051】
図8は、実施の形態1の作業割当て装置に格納される提示情報の例を示す図である。
【0052】
図8に図示される提示情報59は、作業負荷591、エラー率592及び作業負荷591とエラー率592との組に対応する提示可能な覚醒度593を含む。提示可能な覚醒度593は、提示可能な運転員の覚醒度を特定する。これにより、
図8に図示される提示情報59は、作業負荷とエラー率との各組に対応する提示可能な運転員の覚醒度を示す。作業負荷591は、「大」、「中」又は「小」で与えられる。エラー率592は、「大」、「中」又は「小」で与えられる。
【0053】
4 行われる処理
4.1 概略
作業割当て装置2は、プラント及び運転員の状況に基づいて、運転員及びシステムを作業に動的に割当てる。また、作業割当て装置2は、作業への運転員の割当てを運転員に提示する提示方法を決定し、決定した提示方法にしたがって作業への運転員の割当てを運転員に提示する。作業への運転員の割当ての提示は、ディスプレイ、スピーカ等の外部出力装置に作業への運転員の割当ての結果を出力させることにより行われる。
【0054】
以下では、プラントが「プラント1」及び「プラント2」であり、運転員が「運転員1」、「運転員2」及び「運転員3」であるとする。
【0055】
4.2 プラントの状況の診断
図9は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる処理を示すフローチャートである。
【0056】
作業割当て装置2は、
図9に示されるステップS101からS108までを実行する。
【0057】
ステップS101においては、プラント状況診断部31が、プラントの状況を診断する。プラント状況診断部31は、その際に、プラント情報格納部21からプラント情報51を取得し、取得したプラント情報51に基づいてプラントにおいて発生している発生事象71を推定する。取得されるプラント情報51は、アラーム情報及びプラント値を含む。推定される発生事象71は、すくなくともひとつの発生事象である。プラント状況診断部31は、望ましくは、知識ベースを用いて発生事象71を推定する。用いられる知識ベースには、発生事象71を推定するために必要なデータが格納されている。格納されているデータは、不具合の原因と事象が波及する範囲との関係を含む。当該データが、不具合の原因と事象が波及する範囲との関係以外の情報を含んでもよい。
【0058】
以下では、推定された発生事象71が、「プラント1」及び「プラント2」においてそれぞれ発生している「事象1」及び「事象2」であるとする。
【0059】
4.3 作業手順の決定
続くステップS102においては、作業手順決定部32が、作業手順72を決定する。作業手順決定部32は、その際に、推定された発生事象71に基づいて作業手順72を決定する。作業手順決定部32は、その際に、事象情報格納部22から事象情報52を取得し、取得した事象情報52により示される、推定された発生事象71が発生した場合に実施すべき作業手順を、決定する作業手順72にする。
【0060】
推定された発生事象71が、「事象1」及び「事象2」であり、取得された事象情報52が
図3に示される事象情報である場合は、作業手順決定部32は、事象情報52により示される、「事象1」及び「事象2」が発生した場合にそれぞれ実施すべき「手順1」及び「手順2」を、決定する作業手順72にする。
【0061】
4.4 作業手順導出部の構成
ステップS101及びS102により、プラント状況診断部31及び作業手順決定部32は、プラント情報51に基づいて作業手順72を導出する作業手順導出部41を構成する。
【0062】
4.5 スケジューリング
続くステップS103においては、スケジューリング部33が、スケジューリングを行う。スケジューリング部33は、その際に、複数の作業割当て候補73を選定する。複数の作業割当て候補73の各々は、決定された作業手順72を構成する手順への運転員及びシステムの割当てを示す。当該割当ては、実現可能な割当てとなっている。
【0063】
スケジューリング部33は、作業手順情報格納部23から作業手順情報53を取得し、運転員情報格納部25から運転員情報56を取得し、取得した作業手順情報53及び運転員情報56に基づいて複数の作業割当て候補73を選定する。
【0064】
スケジューリング部33は、その際に、作業手順情報53により人間及びシステムが作業手順72を構成する手順を実施することができることが示された場合には、人間又はシステムを当該手順に割当てる。また、スケジューリング部33は、作業手順情報53により人間が当該手順を実施することができるがシステムが当該手順を実施することができないことが示された場合には、人間を当該手順に割当てる。また、スケジューリング部33は、作業手順情報53によりシステムが当該手順を実施することができるが人間が当該手順を実施することができないことが示された場合には、システムを当該手順に割当てる。
【0065】
また、スケジューリング部33は、作業手順情報53により作業手順72を構成する手順が実施資格を要することが示された場合には、運転員情報56により示される、実施資格を有する運転員を当該手順に割当て、運転員情報56により示される、実施資格を有しない運転員を当該手順に割当てない。
【0066】
また、スケジューリング部33は、運転員情報56により示される、プラントの運転に対応中である又はプラントの運転に対応することができる運転員を、作業手順72を構成する手順に割当て、運転員情報56により示される、プラントの運転に対応することができない運転員を当該手順に割当てない。
【0067】
図10は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる複数の作業割当て候補の選定の例を説明する図である。
図11は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる複数の作業割当て候補の選定の結果の例を説明する図である。
【0068】
以下では、各手順を実施するのに要する所要時間が同じ5分であるとする。
【0069】
決定された作業手順72が「手順1」及び「手順2」であり、取得された作業手順情報53が
図4に示される作業手順情報であり、取得された運転員情報56が
図6に示される運転員情報である場合は、「プラント1」において発生している「事象1」に対して、
図10(a)に示される作業割当て候補81が選定される。また、「プラント2」において発生している「事象2」に対して、
図10(b)に示される作業割当て候補82が選定される。また、作業割当て候補81及び作業割当て候補82が選定された後に、「事象1」及び「事象2」の全体に対して、
図11に示される複数の作業割当て候補73が選定される。
【0070】
「事象1」に対して作業割当て候補81が選定される際には、作業手順情報53により、「事象1発生の確認」という名称を有する「手順1-1」、「機器Bの制御操作」という名称を有する「手順1-3」及び「事象1収束の確認」という名称を有する「手順1-4」を実施することができる担当は、実施資格を有する人間であることがわかる。一方、運転員情報56により、プラントの運転に対応中である又はプラントの運転に対応することができる人間であって実施資格を有する人間は、「運転員1」であることがわかる。このため、「手順1-1」、「手順1-3」及び「手順1-4」には、「運転員1」が割当てられる。また、作業手順情報53により、「機器Aの制御操作」という名称を有する「手順1-2」を実施することができる担当は、実施資格を有する人間及びシステムであることがわかる。一方、運転員情報56により、プラントの運転に対応中である又はプラントの運転に対応することができる人間であって実施資格を有する人間は、「運転員1」であることがわかる。このため、「手順1-2」には、「運転員1」又は「システム」が割当てられる。したがって、
図10(a)に示されるように、「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」及び「手順1-4」に「運転員1」が割当てられる「パターンA」並びに「手順1-1」、「手順1-3」及び「手順1-4」に「運転員1」が割当てられ「手順1-2」に「システム」が割当てられる「パターンB」が作業割当て候補81となる。
【0071】
「事象2」に対して作業割当て候補82が選定される際には、作業手順情報53により、「事象2発生の確認」という名称を有する「手順2-1」を実施することができる担当は、システムであることがわかる。このため、「手順2-1」には、「システム」が割当てられる。また、作業手順情報53により、「機器Cの制御操作」という名称を有する「事象2-2」及び「事象2収束の確認」という名称を有する「事象2-3」を実施することができる担当は、人間であることがわかる。一方、
図6に示される運転員情報56により、プラントの運転に対応中である又はプラントの運転に対応することができる人間は、「運転員1」、「運転員2」及び「運転員3」であることがわかる。このため、「事象2-2」及び「事象2-3」には、「運転員1」、「運転員2」又は「運転員3」が割当てられる。したがって、
図10(b)に示されるように、「手順2-1」に「システム」が割当てられ「手順2-2」及び「手順2-3」に「運転員1」が割当てられる「パターンC」、「手順2-1」にシステムが割当てられ「手順2-2」に「運転員2」又は「運転員3」が割当てられ「手順2-3」に「運転員1」が割当てられる「パターンD」、「手順2-1」にシステムが割当てられ「手順2-2」に「運転員1」が割当てられ「手順2-3」に「運転員2」又は「運転員3」が割当てられる「パターンE」、並びに「手順2-1」に「システム」が割当てられ「手順2-2」及び「手順2-3」に「運転員2」又は「運転員3」が割当てられる「パターンF」が作業割当て候補82となる。
【0072】
「事象1」及び「事象2」の全体に対して複数の作業割当て候補73が選定される際には、「パターンA」又は「パターンB」と「パターンC」、「パターンD」、「パターンE」又は「パターンF」との組み合わせが複数の作業割当て候補73となる。その際には、実現不可能な組み合わせが除外される。実現不可能な組み合わせは、同じ運転員が同時にふたつ以上の手順を実施することになる組み合わせである。同じ運転員が同時にふたつ以上の手順を実施することになる組み合わせが実現不可能な組み合わせであるのは、1人の運転員はふたつ以上の手順を同時に実施することができないためである。例えば、「パターンA」と「パターンC」との組み合わせは、「運転員1」が、「手順1-2」及び「手順2-2」を同時に実施し、「手順1-3」及び「手順2-3」を同時に実施することになる組み合わせであるため、除外される。同様に、「パターンA」と「パターンD」との組み合わせ、「パターンA」と「パターンE」との組み合わせ、「パターンB」と「パターンC」との組み合わせ及び「パターンB」と「パターンD」との組み合わせも除外される。したがって、
図11に示されるように、「パターンA」と「パターンF」との組み合わせ、「パターンB」と「パターンE」との組み合わせ、及び「パターンB」と「パターンF」との組み合わせが、複数の作業割当て候補73となる。
【0073】
4.6 運転員の状況の判定
続くステップS104においては、運転員状況判定部34が、運転員の状況74を判定する。運転員状況判定部34は、その際に、運転情報格納部24から運転情報55を取得し、生体情報格納部26から生体情報57を取得し、取得した運転情報55及び生体情報57に基づいて運転員の状況74を判定する。運転員状況判定部34が、運転情報55及び生体情報57の一方のみを取得し、運転情報55及び生体情報57の一方のみに基づいて運転員の状況74を判定してもよい。判定される運転員の状況74は、運転員の負荷状況、状況認識力、疲労度、覚醒度及び集中力からなる群より選択される少なくとも1種を含む。運転員状況判定部34は、例えば、体温、血圧、心拍数、呼吸数、ストレス、操作回数、操作所要時間、操作頻度等に基づいて運転員の負荷状況を判定する。又は、運転員状況判定部34は、心拍数、呼吸数、眼球運動、脳波等に基づいて運転員の状況認識力を判定する。又は、運転員状況判定部34は、操作回数、操作スピード、操作頻度等に基づいて運転員の疲労度を判定する。又は、運転員状況判定部34は、心拍数、呼吸数、脳波、まばたき等に基づいて運転員の覚醒度を判定する。又は、運転員状況判定部34は、心拍数、心拍変動、呼吸等に基づいて運転員の集中力を判定する。又は、運転員状況判定部34は、操作所要時間に基づいて運転員の疲労度を判定する。以下では、運転員状況判定部34が操作所要時間に基づいて運転員の疲労度を判定するとする。
【0074】
図12は、実施の形態1の作業割当て装置において行われる操作所要時間に基づく運転員の疲労度の判定の例を説明する図である。
【0075】
運転員状況判定部34は、操作所要時間が長くなるほど判定する疲労度を高くする。例えば、運転員状況判定部34は、
図12に示されるように、操作所要時間から標準所要時間を減じることにより得られる標準所要時間との差tが30秒以上である場合は、疲労度を「高」にする。また、運転員状況判定部34は、標準所要時間との差tが-30秒以下である場合は、疲労度を「低」にする。また、運転員状況判定部34は、標準所要時間との差tがこれらのいずれでもない場合は、疲労度を「中」にする。
【0076】
以下では、「運転員1」の操作所要時間に基づいて「運転員1」の疲労度が「高」であると判定され、「運転員2」の操作所要時間に基づいて「運転員2」の疲労度が「低」であると判定され、「運転員3」の操作所要時間に基づいて「運転員3」の疲労度が「中」であると判定されたとする。
【0077】
4.7 作業割当て候補の評価
続くステップS105においては、作業割当て評価部35が、複数の作業割当て候補73の各々の評価を行う。作業割当て評価部35は、その際に、作業手順情報格納部23から作業手順情報53を取得し、評価情報格納部27から評価情報58を取得し、取得した作業手順情報53及び評価情報58並びに判定された運転員の状況74に基づいて評価を行う。具体的には、作業割当て評価部35は、作業手順情報53により示される、作業手順72を構成する手順が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率に基づいて評価を行う。また、作業割当て評価部35は、評価情報58により示される、運転員の疲労度に対応するエラー率補正を評価に適用する。これにより、運転員の状況74に応じた評価を行うことができる。実施の形態1においては、評価を行うことは、評価値を算出することである。算出される評価値は、リスクの大きさを示す。評価値は、リスクの大きさが大きくなるほど大きくなる。
【0078】
図13は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる評価のための処理の例を示すフローチャートである。
図14は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる評価の例を説明する図である。
【0079】
作業割当て評価部35は、
図13に示されるステップS111からS115までを実行する。
【0080】
ステップS111においては、作業割当て評価部35が、作業手順情報53から標準エラー率を取得する。
【0081】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、作業手順情報53から、当該組み合わせに含まれる「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」、「手順1-4」、「手順2-1」、「手順2-2」及び「手順2-3」が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率である「0.001」、「0.001」、「0.001」、「0.001」、「0.0001」、「0.001」及び「0.001」をそれぞれ取得する。
【0082】
続くステップS112においては、作業割当て評価部35が、運転員の疲労度に基づいて、取得した標準エラー率にエラー率補正を行う。
【0083】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、運転員状況判定部34から、当該組み合わせに含まれる「運転員1」、「運転員2」及び「運転員3」の疲労度である「高」、「低」及び「中」をそれぞれ取得する。また、作業割当て評価部35は、評価情報58から、取得した「高」、「低」及び「中」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×10.0」、「(標準エラー率)×1.0」及び「(標準エラー率)×5.0」をそれぞれ取得する。また、
図14に示されるように、作業割当て評価部35は、「運転員1」が割当てられる「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」及び「手順1-4」が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率である「0.001」に、「運転員1」の疲労度である「高」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×10.0」を行って「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」及び「手順1-4」のエラー率である「0.01」を取得する。また、作業割当て評価部35は、「運転員2」が割当てられる「手順2-2」及び「手順2-3」が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率である「0.001」に、「運転員2」の疲労度である「低」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×1.0」を行って「手順2-2」及び「手順2-3」のエラー率である「0.001」を取得する。また、作業割当て評価部35は、「運転員3」が割当てられる「手順2-2」及び「手順2-3」が実施された場合に発生するエラーの標準エラー率である「0.001」に、「運転員3」の疲労度である「中」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×5.0」を行って「手順2-2」及び「手順2-3」のエラー率である「0.005」を取得する。
【0084】
続くステップS113においては、作業割当て評価部35が、各パターンの全体エラー率を算出する。
【0085】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、「パターンA」に含まれる「手順1-1」、「手順1-2」、「手順1-3」及び「手順1-4」のエラー率である「0.01」、「0.01」、「0.01」及び「0.01」を掛け合わせて「パターンA」の全体エラー率である「1.0×E-8」を算出する。ここで、「E-8」は、10の-8乗を意味する。「パターンF」の全体エラー率は、「運転員2」の疲労度である「低」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×1.0」を行って取得されたエラー率から算出された場合と、「運転員3」の疲労度である「中」に対応するエラー率補正である「(標準エラー率)×5.0」を行って取得されたエラー率から算出された場合と、で異なる。しかし、前者のエラー率から算出された「パターンF」の全体エラー率は、後者のエラー率から算出された「パターンF」の全体エラー率より小さい。このため、作業割当て評価部35は、前者のエラー率から算出された「パターンF」の全体エラー率を採用する。したがって、作業割当て評価部35は、「パターンF」に含まれる「手順2-1」、「手順2-2」及び「手順2-3」のエラー率である「0.0001」、「0.001」及び「0.001」を掛け合わせて「パターンF」の全体エラー率である「1.0×E-10」を算出する。
【0086】
続くステップS114においては、作業割当て評価部35が、パターンの組み合わせの評価値を算出する。
【0087】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、
図14に示されるように、「パターンA」の全体エラー率である「1.0×E-8」と「事象1」の影響度である「大」に与えられる係数である「3」とを掛け合わせて「パターンA」の評価値である「3.0×E-8」を算出する。また、作業割当て評価部35は、「パターンF」の全体エラー率である「1.0×E-10」と「事象2」の影響度である「中」に与えられる係数である「2」とを掛け合わせて「パターンF」の評価値である「2.0×E-10」を取得する。また、作業割当て評価部35は、「パターンA」の評価値である「3.0×E-8」と「パターンF」の評価値である「2.0×E-10」とを足し合わせて「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価値である「3.0×E-8+2.0×E-10」を算出する。「パターンB」と「パターンE」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、同様にして、当該組み合わせの評価値である「3.0×E-10+2.0×E-9」を算出する。また、「パターンB」と「パターンF」との組み合わせの評価が行われる場合は、作業割当て評価部35は、同様にして、当該組み合わせの評価値である「3.0×E-10+2.0×E-10」を算出する。
【0088】
ステップS115においては、作業割当て評価部35が、全ての組み合わせの評価値の算出が完了したか否かを判定する。全ての組み合わせの評価値の算出が完了していない場合は、作業割当て評価部35は、ステップS111からS115までを再び実行する。全ての組み合わせの評価値の算出が完了している場合は、作業割当て評価部35は、評価のための処理を終了する。
【0089】
4.8 作業割当ての決定
図9に戻って説明を続ける。
【0090】
続くステップS106においては、作業割当て決定部36が、作業割当てを決定する。作業割当て決定部36は、その際に、行われた評価の結果75に基づいて、選定された複数の作業割当て候補73から作業割当て76を決定する。作業割当て決定部36は、最も高い評価の結果を有する作業割当て候補を作業割当て76にする。実施の形態1においては、評価の結果75に基づいて作業割当て76を決定することは、評価値の大小に基づいて作業割当て76を決定することである。また、評価値の大小に基づいて作業割当て76を決定することは、最も小さいリスクの大きさを示す評価値を有する作業割当て候補を作業割当て76にすることである。リスクの大きさが大きくなるほど評価値が大きくなる場合は、最も小さいリスクの大きさを示す評価値は、最も小さい評価値である。
【0091】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせの評価値が「3.0×E-8+2.0×E-10」であり、「パターンB」と「パターンE」との組み合わせの評価値が「3.0×E-10+2.0×E-9」であり、「パターンB」と「パターンF」との組み合わせの評価値が「3.0×E-10+2.0×E-10」である場合は、作業割当て決定部36は、最も小さい評価値である「3.0×E-10+2.0×E-10」を有する「パターンB」と「パターンF」との組み合わせを作業割当て76にする。
【0092】
4.9 提示方法の決定
続くステップS107においては、作業割当て提示方法決定部37が、決定された作業割当て76を運転員に提示する提示方法77を決定する。作業割当て提示方法決定部37は、その際に、作業手順情報格納部23から作業手順情報53及び作業手順情報54を取得し、取得した作業手順情報53及び作業手順情報54、判定された運転員の状況74並びに決定された作業割当て76に基づいて提示方法77を決定する。これにより、運転員の状況74に応じた提示方法77を動的に決定することができる。提示方法77は、提示内容、提示手段及び提示タイミングからなる群より選択される少なくとも1種を含む。以下では、提示方法77が、提示内容、提示手段及び提示タイミングを含むとする。作業割当て提示方法決定部37は、作業手順情報54により示される、作業が実施された場合に作業を実施する運転員にかかる作業負荷及び作業が実施された場合に発生するエラーのエラー率を特定する。また、作業割当て提示方法決定部37は、提示情報59により示される、特定した作業負荷及びエラー率の組に対応する提示可能な運転員の状況を特定する。また、作業割当て提示方法決定部37は、運転員の状況74が特定した提示可能な運転員の状況であるタイミングを提示タイミングにする。
【0093】
図15は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる提示方法の決定のための処理の例を示すフローチャートである。
図16は、実施の形態1の作業割当て装置により行われる提示方法の決定の例を説明する図である。
【0094】
作業割当て提示方法決定部37は、
図15に示されるステップS121からS125までを実行する。
【0095】
ステップS121においては、作業割当て提示方法決定部37が、作業手順情報格納部23及び作業割当て決定部36から作業情報を取得する。取得される作業情報は、前後に実施される作業の内容、次の作業までの時間、対象となるプラント等を含む。
【0096】
続くステップS122においては、作業割当て提示方法決定部37が、取得した作業情報及び運転員の状況74から運転員に提示する提示内容を決定する。
【0097】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせに含まれる「手順1-4」への「運転員1」の割当てを「運転員1」に提示する提示方法の決定が行われる場合は、作業割当て提示方法決定部37は、「手順1-4」において実施すべき作業の内容を「運転員1」に提示することを決定する。
【0098】
続くステップS123においては、作業割当て提示方法決定部37が、取得した作業情報及び運転員の状況74から提示手段を決定する。
【0099】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせに含まれる「手順1-4」への「運転員1」の割当てを「運転員1」に提示する提示方法の決定が行われる場合は、作業割当て提示方法決定部37は、例えば「運転員1」が操作する端末に実施すべき作業の内容を表示させることにより当該作業の内容を「運転員1」に提示することを決定する。
【0100】
続くステップS124においては、作業割当て提示方法決定部37が、運転員の状況74をリアルタイムで取得する。以下では、リアルタイムで取得される運転員の状況74が運転員の覚醒度を含むとする。運転員の覚醒度は、例えば、視線の移動が速く頻繁であってまばたきが行われる周期が安定している場合は高くなり、視線の移動及びまばたきが遅い場合は低くなる。
【0101】
続くステップS125においては、作業割当て提示方法決定部37が、取得した作業情報及び運転員の状況74から最適な提示タイミングを決定する。
【0102】
「パターンA」と「パターンF」との組み合わせに含まれる「手順1-4」への「運転員1」の割当てを「運転員1」に提示する提示方法の決定が行われる場合は、作業割当て提示方法決定部37は、作業手順情報53及び作業手順情報54から、「手順1-4」の前に実施される「手順1-3」が「操作A」、「操作B」、「確認作業C」及び「操作D」により構成されることを把握することができる。また、作業割当て提示方法決定部37は、作業手順情報54から、「操作A」、「操作B」、「確認作業C」及び「操作D」の各作業に対応する作業負荷及びエラー率を把握することができる。また、作業割当て提示方法決定部37は、提示情報59から、作業負荷及びエラー率の組に対応する提示可能な覚醒度を把握することができる。例えば、作業割当て提示方法決定部37は、提示情報59の第1行目から、作業負荷である「大」及びエラー率である「大」に対応する提示可能な覚醒度である「優」を把握することができる。このため、作業割当て提示方法決定部37は、
図16に示されるように、作業手順情報53、作業手順情報54及び提示情報59から、「操作A」、「操作B」、「確認作業C」及び「操作D」の各作業に対応する提示可能な覚醒度を把握することができる。
図16においては、「操作A」、「操作B」、「確認作業C」及び「操作D」の各作業に対応する提示可能な覚醒度がグレー塗りつぶしにより表現されている。また、
図16においては、リアルタイムで取得された運転員の覚醒度が曲線91で示されている。
図16においては、点92で示される時点に、作業負荷が「小」となり、エラー率が「小となり」、曲線91で示される運転員の覚醒度がグレー塗りつぶしにより表現される提示可能な覚醒度である「可」となる。このため、点92で示される時点が最適な提示タイミングとして決定される。
【0103】
4.10 作業割当ての提示
図9に戻って説明を続ける。
【0104】
続くステップS108においては、作業割当て提示部38が、決定された提示方法77により、決定された作業割当て76を運転員に提示する。
【0105】
作業割当て提示部38は、作業割当て76の内容を出力装置に出力させることにより、作業割当て76を運転員に提示する。出力装置は、ディスプレイ、スピーカ等である。
【0106】
図17は、実施の形態1の作業割当て装置により運転員が運転するプラントの操作画面に表示される運転員が次に実施すべき作業の内容を示す図である。
【0107】
図17には、「運転員1」が運転する「プラント1」の操作画面93に表示される「運転員1」が次に実施すべき作業の内容が示される。
【0108】
5 変形例
実施の形態1においては、運転員の状況74が運転員の疲労度を含み、運転員の疲労度に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われる。しかし、運転員の状況74が運転員の疲労度以外の運転員の状況を含み、当該運転員の状況に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われてもよい。例えば、運転員の状況74が負荷状況、状況認識力、覚醒度、集中力等を含み、負荷状況、状況認識力、覚醒度、集中力に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われてもよい。運転員の状況74に運転員の複数の状況が含まれ、運転員の複数の状況が総合的に考慮され、運転員の複数の状況に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われてもよい。例えば、運転員の複数の状況をそれぞれ示す複数の数値の単純合計又は重み付け合計に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われてもよい。重み付け合計に基づいて標準エラー率にエラー率補正が行われる場合は、重み付けが動的に変更されてもよい。標準エラー率にエラー率補正を行う以外の方法により補正が行われてもよい。
【0109】
実施の形態1においては、運転員状況判定部34により判定される運転員の状況74は、現在の運転員の状況である。しかし、運転員状況判定部34により判定される運転員の状況74が、将来の運転員の状況であってもよい。運転員状況判定部34により判定される運転員の状況74が将来の運転員の状況である場合は、運転員状況判定部34は、将来の運転員の状況を判定するために将来の運転員の状況の予測を行う。
【0110】
実施の形態1においては、作業割当て評価部35は、作業の引継ぎにより発生するエラーを考慮せずに評価値を算出する。しかし、作業割当て評価部35が、作業の引継ぎにより発生するエラーを考慮して評価値を算出してもよい。例えば、作業割当て評価部35が、新たに作業が実施される場合、作業対象のプラントが変更される場合等に、作業の引継ぎにより発生するエラーのエラー率を基礎となるエラー率に足し合わせて評価値を算出してもよい。
【0111】
実施の形態1においては、評価値は、リスクの大きさを示す。しかし、評価値が、リスクの大きさ以外の事項の程度を示してもよい。例えば、評価値が、コストの高さ、所要時間の長さ、優先度の高さ等を示してもよい。評価値が、複数の事項の程度を総合的に示してもよい。例えば、評価値が、複数の事項の程度をそれぞれ示す複数の値の単純合計又は重み付け合計であってもよい。評価値が複数の値の重み付け合計である場合は、重み付けが動的に変更されてもよい。
【0112】
実施の形態1においては、各手順を実施するのに要する所要時間が同じであるとされ、ひとつの手順が終了した直後に次の手順が開始されるとした。しかし、より複雑な手順が実施されてもよい。例えば、各手順を実施するのに要する所要時間が異なってもよい。また、手順が許容時間内に実施されるのであれば、手順が終了してから時間間隔をおいて次の手順が開始されてもよい。
【0113】
6 効果
実施の形態1によれば、プラントに関するプラント情報51に基づいて作業手順72が導出され、導出された作業手順72を構成する手順への運転員の割当てが決定される。これにより、プラントの状況に応じた運転員の割当てを動的に行うことができる。
【0114】
また、実施の形態1によれば、各運転員によるプラントの運転に関する運転情報55及び各運転員の生体情報57に基づいて運転員の状況74が判定され、判定された運転員の状況74に基づいて複数の作業割当て候補73の各々の評価が行われ、評価の結果75に基づいて作業割当て76が決定される。これにより、運転員の状況74に応じた運転員の割当てを動的に行うことができる。
【0115】
これらにより、プラントにおいて発生した事象に短時間で正確に対処することができる。
【0116】
また、実施の形態1によれば、各運転員によるプラントの運転に関する運転情報55及び各運転員の生体情報57に基づいて運転員の状況74が判定され、判定された運転員の状況74に基づいて作業割当てを運転員に提示する提示方法77が決定される。このため、運転員の状況74に応じた提示を行うことができる。これにより、運転員の状況74に適した、プラントにおいて発生した発生事象71への対処を行うことができる。
【0117】
従来の技術においては、疲労度等の人の状況をユーザインターフェース制御に利用している例は存在する。しかし、運転員の作業負荷、状況認識等の運転員の状況を取得し、取得した運転員の状況を運転員の動的な割当てに活用するまでには至っていない。また、従来の技術においては、作業が運転員に割当てられる際に、作業を引き継ぐ運転員の状況を十分に考慮して割当てを運転員に提示していないため、運転員が状況を正しく認識することができず作業をスムーズに引継ぐことができない。実施の形態1によれば、このような問題の発生を抑制することができる。
【0118】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0119】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0120】
2 作業割当て装置、31 プラント状況診断部、32 作業手順決定部、33 スケジューリング部、34 運転員状況判定部、35 作業割当て評価部、36 作業割当て決定部、37 作業割当て提示方法決定部、38 作業割当て提示部、41 作業手順導出部、51 プラント情報、52 事象情報、53 作業手順情報、54 作業手順情報、55 運転情報、56 運転員情報、57 生体情報、58 評価情報、59 提示情報。