(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221202BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H01L25/04 C
(21)【出願番号】P 2022539861
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029020
(87)【国際公開番号】W WO2022024250
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】白▲濱▼ 亮弥
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 新
(72)【発明者】
【氏名】岡本 是英
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-110207(JP,A)
【文献】特開2014-093421(JP,A)
【文献】特開2019-145776(JP,A)
【文献】特開2019-207922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに貼り合わせ可能な第1半導体装置及び第2半導体装置を備え、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれは、
半導体素子と、
前記半導体素子に対して前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の貼り合わせ方向である上下方向の第1側に配設され、前記半導体素子に接続された第1接続部分と、前記半導体素子の側方に配設され、前記第1接続部分に接続された第1本体部分とを有する第1電極と、
前記半導体素子に対して前記上下方向の第2側に配設され、前記半導体素子に接続された第2接続部分と、前記半導体素子の側方に配設され、前記第2接続部分に接続された第2本体部分とを有する第2電極と、
前記半導体素子、前記第1電極及び前記第2電極を保持し、前記第1電極の前記第1側の面と、前記第2電極の前記第2側の面とを露出する保持部材と
を含み、
前記第1半導体装置の前記第1電極と前記第2半導体装置の前記第2電極との間、及び、前記第1半導体装置の前記第2電極と前記第2半導体装置の前記第1電極との間の少なくともいずれか1つは、電気的に接続されており、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれについて、前記第1接続部分から前記第2接続部分までの部分の厚み、及び、前記保持部材の厚みのそれぞれは、前記第1本体部分の厚み、または、前記第2本体部分の厚み以下である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれは、
前記半導体素子に接続された第3接続部分と、前記半導体素子の側方に配設され、前記第3接続部分に接続された第3本体部分とを有する出力端子をさらに含み、
前記第1半導体装置の前記出力端子と、前記第2半導体装置の前記出力端子との間は、電気的に接続されており、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれについて、前記第1接続部分から前記第2接続部分までの部分の厚み、及び、前記保持部材の厚みのそれぞれは、前記第1本体部分の厚み、前記第2本体部分の厚み、または、前記第3本体部分の厚み以下である、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれについて、
前記第1接続部分、前記第1本体部分、前記第2本体部分、前記第3本体部分、及び、前記保持部材のそれぞれの、前記第1側の面の間には段差がなく、
前記第2接続部分、前記第1本体部分、前記第2本体部分、前記第3本体部分、及び、前記保持部材のそれぞれの、前記第2側の面の間には段差がない、半導体装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の一方の前記第1電極及び前記第2電極の少なくともいずれか1つに凹部が配設され、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の他方の前記第1電極及び前記第2電極の少なくともいずれか1つに前記凹部と嵌合される凸部が配設された、半導体装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれの前記保持部材に、前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の位置決めが可能な第1位置決め部が配設された、半導体装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれは、
前記保持部材の側部から外側に突出する信号端子部のダミー部をさらに含み、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれの前記ダミー部に、前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の位置決めが可能な第2位置決め部が配設された、半導体装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置と前記第2半導体装置との間に金属板が配設された、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置であって、
前記金属板は、CuまたはMoを含む、半導体装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置と前記第2半導体装置との間において、
前記保持部材よりも放熱性が高い樹脂またはカーボンを含むシートが配設されているか、グリースが配設されているか、前記第1半導体装置と前記第2半導体装置とがろう付けされている、半導体装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
貼り合わされた前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の前記第1側の面及び前記第2側の面の少なくともいずれか1つの上に、グリースを介して配設されたシート状の樹脂製の絶縁板をさらに備える、半導体装置。
【請求項11】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
貼り合わされた前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の前記第1側の面及び前記第2側の面の少なくともいずれか1つの上に配設された、絶縁板及び金属板を含む回路基板をさらに備える、半導体装置。
【請求項12】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
貼り合わされた前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の前記第1側の面及び前記第2側の面の少なくともいずれか1つの上に配設されたフィン付き回路基板と、
前記フィン付き回路基板と、封止部品を介して組み合わせられた冷却フィンと
をさらに備える、半導体装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記半導体素子は、SiCまたはGaNを含む、半導体装置。
【請求項14】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置の前記第1電極と前記第2半導体装置の前記第2電極との間、及び、前記第1半導体装置の前記第2電極と前記第2半導体装置の前記第1電極との間の少なくともいずれか1つは、溶接によって一体化されている、半導体装置。
【請求項15】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置の前記保持部材及び前記第2半導体装置の前記保持部材の少なくともいずれか1つに、前記上下方向に延在する貫通穴が設けられた、半導体装置。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置であって、
前記第1半導体装置の前記保持部材及び前記第2半導体装置の前記保持部材のそれぞれに、前記貫通穴が設けられ、
前記第1半導体装置の前記貫通穴及び前記第2半導体装置の前記貫通穴に嵌合された嵌合部材をさらに備える、半導体装置。
【請求項17】
請求項16に記載された半導体装置であって、
前記嵌合部材の内部に、冷媒が通る空間が設けられた、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体装置などの半導体装置では、1つのアームを持つ1つのモジュールを複数用意し、それらを貼り合わせることによって、複数のアームを持つ1つのモジュールを構成する技術が提案されている(例えば特許文献1)。なお、1つのアームを持つ1つのモジュールは、単一機能モジュール、単相モジュール、1in1モジュールなどと呼ばれることもある。複数のアームを持つ1つのモジュールには、例えば2in1モジュールや6in1モジュールなどがある。上記特許文献1のような技術によれば、半導体装置の小型化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、半導体素子を保持する封止部材全体が比較的厚いため、貼り合わされた複数の単一機能モジュールの電極同士の間に隙間が生じる。この結果、半導体装置の組立性及び小型化が低減するという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、貼り合わされた第1半導体装置及び第2半導体装置の間の隙間を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、互いに貼り合わせ可能な第1半導体装置及び第2半導体装置を備え、前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれは、半導体素子と、前記半導体素子に対して前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置の貼り合わせ方向である上下方向の第1側に配設され、前記半導体素子に接続された第1接続部分と、前記半導体素子の側方に配設され、前記第1接続部分に接続された第1本体部分とを有する第1電極と、前記半導体素子に対して前記上下方向の第2側に配設され、前記半導体素子に接続された第2接続部分と、前記半導体素子の側方に配設され、前記第2接続部分に接続された第2本体部分とを有する第2電極と、前記半導体素子、前記第1電極及び前記第2電極を保持し、前記第1電極の前記第1側の面と、前記第2電極の前記第2側の面とを露出する保持部材とを含み、前記第1半導体装置の前記第1電極と前記第2半導体装置の前記第2電極との間、及び、前記第1半導体装置の前記第2電極と前記第2半導体装置の前記第1電極との間の少なくともいずれか1つは、電気的に接続されており、前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置のそれぞれについて、前記第1接続部分から前記第2接続部分までの部分の厚み、及び、前記保持部材の厚みのそれぞれは、前記第1本体部分の厚み、または、前記第2本体部分の厚み以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1半導体装置の第1電極と第2半導体装置の第2電極との間、及び、第1半導体装置の第2電極と第2半導体装置の第1電極との間の少なくともいずれか1つは、電気的に接続されており、第1半導体装置及び第2半導体装置のそれぞれについて、第1接続部分から第2接続部分までの部分の厚み、及び、保持部材の厚みのそれぞれは、第1本体部分の厚み、または、第2本体部分の厚み以下である。このような構成によれば、貼り合わされた第1半導体装置及び第2半導体装置の間の隙間を低減することができる。
【0008】
本開示の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る第1半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る第1半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る第1半導体装置の構成を示す側面図である。
【
図5】実施の形態1に係る第2半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図6】実施の形態1に係る第2半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る第2半導体装置の構成を示す側面図である。
【
図8】実施の形態1に係る1つの第1半導体装置と1つの第2半導体装置とが貼り合わされた構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る1つの第1半導体装置と1つの第2半導体装置とが貼り合わされた構成を示す側面図である。
【
図10】実施の形態1に係る2つの第1半導体装置と1つの第2半導体装置とが貼り合わされた構成を示す断面図である。
【
図11】実施の形態2に係る第1半導体装置及び第2半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図12】実施の形態3に係る第1半導体装置及び第2半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図13】実施の形態4に係る第2半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図14】実施の形態9に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図15】実施の形態10に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図16】実施の形態13に係る第1半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図17】実施の形態13に係る第1半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図18】実施の形態14に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図19】実施の形態15に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の各実施の形態で説明される特徴は例示であり、すべての特徴は必ずしも必須ではない。また、以下に示される説明では、複数の実施の形態において同様の構成要素には同じまたは類似する符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「おもて」または「裏」などの特定の位置と方向は、実際の実施時の方向とは必ず一致しなくてもよい。
【0011】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態1に係る半導体装置は、互いに貼り合わせ可能な第1半導体装置1及び第2半導体装置2と、グリース60a,60b,60c,60dと、絶縁板70a,70bと、冷却フィン80a,80bとを備える。
【0012】
後で詳細に説明するが、本実施の形態1に係る第1半導体装置1及び第2半導体装置2のそれぞれは2in1モジュールである。このため、1つの第1半導体装置1と、1つの第2半導体装置2とが貼り合わされた
図1の半導体装置は、4in1モジュールとなっている。以下、第1半導体装置1及び第2半導体装置2の貼り合わせ方向は、上下方向であるものとし、側方は、上下方向と直交する方向に対応するものとして説明する。
【0013】
絶縁板70aは、貼り合わされた第1半導体装置1及び第2半導体装置2の上下方向の第1側である上側の面上に、グリース60aを介して配設されている。冷却フィン80aは、絶縁板70aの上側の面上に、グリース60bを介して配設されている。
【0014】
絶縁板70bは、貼り合わされた第1半導体装置1及び第2半導体装置2の上下方向の第2側である下側の面上に、グリース60cを介して配設されている。冷却フィン80bは、絶縁板70bの下側の面上に、グリース60dを介して配設されている。
【0015】
なお、
図1では、第1半導体装置1及び第2半導体装置2の上側の面及び下側の面のそれぞれにグリース、絶縁板及び冷却フィンが配設されているが、一方の面にだけグリース、絶縁板及び冷却フィンが配設されてもよい。
【0016】
図2は、本実施の形態1に係る第1半導体装置1の構成を示す平面図であり、
図3は、当該構成を示す断面図であり、
図4は、当該構成を示す側面図である。具体的には、
図2(a)は、第1半導体装置1を上側の面からみた平面図であり、
図2(b)は、第1半導体装置1を下側の面からみた平面図である。
図3は、
図2(a)のA-A線に沿った断面図である。
図4(a)は、
図2(a)のB方向から見た側面図であり、
図4(b)は、
図2(a)のC方向から見た側面図である。
【0017】
第1半導体装置1は、
図2に示されるように、P主電極12と、N主電極13と、封止部材15とを備え、
図3に示されるように、半導体素子11a,11bと、出力端子14と、ろう材16a,16b,16c,16dとを備える。
【0018】
半導体素子11a,11bは、例えばパワー半導体素子の半導体スイッチング素子及びダイオードの少なくともいずれか1つを含む。半導体スイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、及び、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などである。ダイオードは、例えばSBD(Schottky Barrier Diode)、PND(PN junction diode)などである。なお、本実施の形態1では半導体素子11a,11bの数は2つであるが、これに限ったものではない。
【0019】
第1電極であるP主電極12は、例えばAl(アルミニウム)及びCu(銅)などの導電体からなり、
図2(a)に示すように、第1接続部分であるP接続部分12aと、第1本体部分であるP本体部分12bとを有する。
図3に示すように、P接続部分12aは、半導体素子11a,11bに対して上側に配設され、半導体素子11aにろう材16aによって接続されている。P本体部分12bは、半導体素子11a,11bの側方に配設され、P接続部分12aに接続されており、P接続部分12aよりも厚い。
【0020】
第2電極であるN主電極13は、P主電極12と同様の導電体からなり、
図2(b)に示すように、第2接続部分であるN接続部分13aと、第2本体部分であるN本体部分13bとを有する。
図3に示すように、N接続部分13aは、半導体素子11a,11bに対して下側に配設され、半導体素子11bにろう材16bによって接続されている。N本体部分13bは、
図3のP本体部分12bと同様に半導体素子11a,11bの側方に配設され、N接続部分13aに接続されており、N接続部分13aよりも厚い。
【0021】
出力端子14は、P主電極12と同様の導電体からなり、
図3に示すように、第3接続部分である出力接続部分14aと、第3本体部分である出力本体部分14bとを有する。出力接続部分14aは、半導体素子11a,11bの間に配設され、半導体素子11a,11bにろう材16c,16dによって接続されている。出力本体部分14bは、半導体素子11a,11bの側方に配設され、出力接続部分14aに接続されており、出力接続部分14aよりも厚い。
【0022】
保持部材である封止部材15は、例えば樹脂からなり、半導体素子11a,11b、P主電極12、N主電極13、及び、出力端子14を保持し、P主電極12の上側の面と、N主電極13の下側の面とを露出する。
図2に示すように本実施の形態1では、概ね、P本体部分12b、N本体部分13b、及び、出力本体部分14bは、封止部材15から露出されている。
【0023】
ここで
図3では、P本体部分12b、N本体部分13b、及び、出力本体部分14bのそれぞれの厚みは、第1半導体装置1の厚みと同じであり、例えば3mmである。封止部材15の内側の構成要素の厚みは、切削や圧延等によって低減され、例えば低減前の厚みの1/3以下の厚みである。なお、ここでいう厚みとは、上下方向の長さに対応しており、以下の説明においても同様である。
【0024】
この結果、P接続部分12aからN接続部分13aまでの部分の厚み、及び、封止部材15の厚みのそれぞれは、P本体部分12bの厚み、N本体部分13bの厚み、または、出力本体部分14bの厚み以下となっている。
図3には、上記構成の一例として、P接続部分12a、P本体部分12b、N本体部分13b、出力本体部分14b、及び、封止部材15のそれぞれの、上側の面の間には段差がない構成が示されている。同様に
図3には、上記構成の一例として、N接続部分13a、P本体部分12b、N本体部分13b、出力本体部分14b、及び、封止部材15のそれぞれの、下側の面の間には段差がない構成が示されている。
【0025】
なお、P本体部分12bの厚みと、N本体部分13bの厚みと、出力本体部分14bの厚みとは互いに異なっていてもよい。この場合であっても、P接続部分12aからN接続部分13aまでの部分の厚み、及び、封止部材15の厚みのそれぞれは、P本体部分12bの厚み、N本体部分13bの厚み、または、出力本体部分14bの厚み以下であればよい。
【0026】
本実施の形態1に係る第1半導体装置1は、上記構成要素だけでなく、
図2の信号端子部17も備える。信号端子部17は、半導体素子11a,11bに図示しないワイヤなどによって接続されており、封止部材15の側部から外側に突出している。
【0027】
図2に示すように、P本体部分12b及びN本体部分13bは、平面視において隣接して配設され、出力本体部分14bは、平面視において封止部材15に関してP本体部分12b及びN本体部分13bと逆側に配設されている。ただし、平面視におけるP本体部分12b、N本体部分13b、出力本体部分14b、及び、信号端子部17の位置関係は、
図2に示される位置関係に限ったものではない。
【0028】
図5は、本実施の形態1に係る第2半導体装置2の構成を示す平面図であり、
図6は、当該構成を示す断面図であり、
図7は、当該構成を示す側面図である。具体的には、
図5(a)は、第2半導体装置2を上側の面からみた平面図であり、
図5(b)は、第2半導体装置2を下側の面からみた平面図である。
図6は、
図5(a)のD-D線に沿った断面図である。
図7(a)は、
図5(a)のE方向から見た側面図であり、
図7(b)は、
図5(a)のF方向から見た側面図である。
【0029】
第2半導体装置2の構成の概要について説明すると、第2半導体装置2の構成は、第1半導体装置1の構成と上下対称となっている。以下、第2半導体装置2について詳細に説明する。
【0030】
第2半導体装置2は、
図5に示されるように、N主電極22と、P主電極23と、封止部材25とを備え、
図6に示されるように、半導体素子21a,21bと、出力端子24と、ろう材26a,26b,26c,26dとを備える。
【0031】
半導体素子21a,21bは、半導体素子11a,11bと同様であり、例えばパワー半導体素子の半導体スイッチング素子及びダイオードの少なくともいずれか1つを含む。なお、本実施の形態1では半導体素子21a,21bの数は2つであるが、これに限ったものではない。
【0032】
第1電極であるN主電極22は、P主電極12と同様の導電体からなり、
図5(a)に示すように、第1接続部分であるN接続部分22aと、第1本体部分であるN本体部分22bとを有する。
図6に示すように、N接続部分22aは、半導体素子21a,21bに対して上側に配設され、半導体素子21aにろう材26aによって接続されている。N本体部分22bは、
図6のP本体部分23bと同様に半導体素子21a,21bの側方に配設され、N接続部分22aに接続されており、N接続部分22aよりも厚い。
【0033】
第2電極であるP主電極23は、P主電極12と同様の導電体からなり、
図5(b)に示すように、第2接続部分であるP接続部分23aと、第2本体部分であるP本体部分23bとを有する。
図6に示すように、P接続部分23aは、半導体素子21a,21bに対して下側に配設され、半導体素子21bにろう材26bによって接続されている。P本体部分23bは、半導体素子21a,21bの側方に配設され、P接続部分23aに接続されており、P接続部分23aよりも厚い。
【0034】
出力端子24は、P主電極12と同様の導電体からなり、
図6に示すように、第3接続部分である出力接続部分24aと、第3本体部分である出力本体部分24bとを有する。出力接続部分24aは、半導体素子21a,21bの間に配設され、半導体素子21a,21bにろう材26c,26dによって接続されている。出力本体部分24bは、半導体素子21a,21bの側方に配設され、出力接続部分24aに接続されており、出力接続部分24aよりも厚い。
【0035】
保持部材である封止部材25は、例えば樹脂からなり、半導体素子21a,21b、N主電極22、P主電極23、及び、出力端子24を保持し、N主電極22の上側の面と、P主電極23の下側の面とを露出する。
図5に示すように本実施の形態1では、概ね、N本体部分22b、P本体部分23b、及び、出力本体部分24bは、封止部材25から露出されている。
【0036】
ここで
図6では、N本体部分22b、P本体部分23b、及び、出力本体部分24bのそれぞれの厚みは、第2半導体装置2の厚みと同じであり、例えば3mmである。封止部材25の内側の構成要素の厚みは、切削や圧延等によって低減され、例えば低減前の厚みの1/3以下の厚みである。
【0037】
この結果、N接続部分22aからP接続部分23aまでの部分の厚み、及び、封止部材25の厚みのそれぞれは、N本体部分22bの厚み、P本体部分23bの厚み、または、出力本体部分24bの厚み以下となっている。
図6には、上記構成の一例として、N接続部分22a、N本体部分22b、P本体部分23b、出力本体部分24b、及び、封止部材25のそれぞれの、上側の面の間には段差がない構成が示されている。同様に
図6には、上記構成の一例として、P接続部分23a、N本体部分22b、P本体部分23b、出力本体部分24b、及び、封止部材25のそれぞれの、下側の面の間には段差がない構成が示されている。
【0038】
なお、N本体部分22bの厚みと、P本体部分23bの厚みと、出力本体部分24bの厚みとは互いに異なっていてもよい。この場合であっても、N接続部分22aからP接続部分23aまでの部分の厚み、及び、封止部材25の厚みのそれぞれは、N本体部分22bの厚み、P本体部分23bの厚み、または、出力本体部分24bの厚み以下であればよい。
【0039】
本実施の形態1に係る第2半導体装置2は、上記構成要素だけでなく、
図5の信号端子部27も備える。信号端子部27は、半導体素子21a,21bに図示しないワイヤなどによって接続されており、封止部材25の側部から外側に突出している。
【0040】
図5に示すように、N本体部分22b及びP本体部分23bは、平面視において隣接して配設され、出力本体部分24bは、平面視において封止部材25に関してN本体部分22b及びP本体部分23bと逆側に配設されている。ただし、平面視におけるN本体部分22b、P本体部分23b、出力本体部分24b、及び、信号端子部27の位置関係は、
図5に示される位置関係に限ったものではない。
【0041】
図8は、本実施の形態1に係る第1半導体装置1と第2半導体装置2とが貼り合わされた構成を示す断面図であり、
図9は、当該構成を示す側面図である。なお、以下の説明では、P主電極12,23及びN主電極13,22を区別しない場合には「主電極」と記すこともある。
【0042】
第1半導体装置1のN主電極13と、第2半導体装置2のN主電極22とは、平面視において互いに重ねられ、かつ、互いに直接接触することにより電気的に接続される。
【0043】
第1半導体装置1のP主電極12の一部と、第2半導体装置2のP主電極23の一部とは、平面視において互いに重ねられ、かつ、互いに直接接触することにより電気的に接続される。ここでいうP主電極12の一部はP本体部分12bであり、P主電極23の一部はP本体部分23bである。
【0044】
第1半導体装置1の出力端子14の一部と、第2半導体装置2の出力端子24の一部とは、平面視において互いに重ねられ、かつ、互いに直接接触することにより電気的に接続される。ここでいう出力端子14の一部は出力本体部分14bであり、出力端子24の一部は出力本体部分24bである。
【0045】
以上のような第1半導体装置1と第2半導体装置2とが貼り合わされた構成により、2つの2in1モジュールが並列接続され、4in1モジュールが実現される。なお本実施の形態1では、第1半導体装置1の電極及び出力端子と、第2半導体装置2の電極及び出力端子とが直接接触することにより電気的に接続されているが、これに限ったものではない。例えば後述する実施の形態5などのように、第1半導体装置1の電極及び出力端子と、第2半導体装置2の電極及び出力端子とが、金属板などを挟んで電気的に接続されてもよい。
【0046】
また、以上の説明では1つの第1半導体装置1と1つの第2半導体装置2とを含む構成について説明したが、第1半導体装置1と第2半導体装置2とを1つずつ交互に貼り合わせた、1以上の第1半導体装置1と1以上の第2半導体装置2とを含む構成であってもよい。例えば
図10に示すように、2つの第1半導体装置1の間に1つの第2半導体装置2を挟んだ構成であってもよい。
【0047】
図10では、一番上の第1半導体装置1のN主電極13、P主電極12の一部、出力端子14の一部と、第2半導体装置2のN主電極22、P主電極23の一部、出力端子24の一部とは、それぞれ平面視において互いに重ねられ、かつ、電気的に接続される。また、第2半導体装置2のP主電極23、N主電極22の一部、出力端子24の一部と、一番下の第1半導体装置1のP主電極12、N主電極13の一部、出力端子14の一部とは、それぞれ平面視において互いに重ねられ、かつ、電気的に接続される。これにより、3つの2in1モジュールが並列接続され、6in1モジュールが実現される。
【0048】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る半導体装置によれば、第1半導体装置1及び第2半導体装置を互いに貼り合わせることによって、半導体素子の並列接続を増設することができる。また、電源やモータ等の外部へ接続される主電極も貼り合わされるため、並列接続の増設に伴う電流増加及びジュール熱の増加に対応でき、また、主電極での位置決め(位置合わせ)や固定も容易となることにより組立性が向上する。加えて、同電位の主電極同士の間の隙間を低減できるなど、貼り合わされた第1半導体装置1及び第2半導体装置2の間の隙間を低減できるため、半導体装置の組立性の簡略化や半導体装置の小型化が可能となる。
【0049】
<実施の形態2>
図11は、本実施の形態2に係る第1半導体装置1及び第2半導体装置2の構成を示す断面図である。以下、本実施の形態2の構成のうち実施の形態1の構成と異なる部分について主に説明する。
【0050】
図11では、第2半導体装置2のN主電極22及びP主電極23の少なくともいずれか1つに凹部31aが配設され、第1半導体装置1のN主電極13及びP主電極12の少なくともいずれか1つに凹部31aと嵌合される凸部32aが配設されている。また
図11では、第2半導体装置2の出力端子24に凹部31bが配設され、第1半導体装置1の出力端子14に当該凹部31bと嵌合される凸部32bが配設されている。
【0051】
なお
図11の構成とは逆に、第1半導体装置1のP主電極12及びN主電極13の少なくともいずれか1つに凹部が配設され、第2半導体装置2のP主電極23及びN主電極22の少なくともいずれか1つに当該凹部と嵌合される凸部が配設されてもよい。また、上述した凹部及び凸部は、複数の微小の凹凸であってもよいし、鋸形状であってもよい。
【0052】
以上のような本実施の形態2に係る半導体装置によれば、第1半導体装置及び第2半導体装置2の貼り合わせ時の位置決め性(位置合わせ性)の向上や主電極同士の接触面積の増加による伝熱性の向上を実現することができる。また、主電極同士の間にグリースを配設した場合には、主電極とグリースとの接触面積を増やすことができるので、伝熱性の向上を実現することができる。
【0053】
<実施の形態3>
図12は、本実施の形態3に係る第1半導体装置1及び第2半導体装置2の構成を示す断面図である。以下、本実施の形態3の構成のうち実施の形態1,2の構成と異なる部分について主に説明する。
【0054】
本実施の形態3では、第1半導体装置1及び第2半導体装置2のそれぞれの封止部材15,25に、第1半導体装置1及び第2半導体装置2の位置決め(位置合わせ)が可能な第1位置決め部が配設されている。第1位置決め部は、例えば
図12のような凹部及び凸部であってもよいし、図示しないねじ止め用の穴または溝であってよい。なお、
図12の例では、封止部材25に第1位置決め部である凹部33が配設され、封止部材15に第1位置決め部である凸部34が配設されているが、封止部材15に凹部が設けられ、封止部材25に凸部が設けられてもよい。
【0055】
以上のような本実施の形態3に係る半導体装置によれば、第1半導体装置1及び第2半導体装置2の貼り合わせ時の位置決め性(位置合わせ性)を向上させることができる。
【0056】
<実施の形態4>
図13は、本実施の形態4に係る第2半導体装置2の構成を示す平面図である。本実施の形態4に係る第2半導体装置2は、実施の形態1~3で説明した構成要素だけでなく、信号端子部27のダミー部27aを備える。
【0057】
ダミー部27aは、信号端子部27と同様に、封止部材25の側部から外側に突出している。そして、ダミー部27aには、第1半導体装置1及び第2半導体装置2の位置決め(位置合わせ)が可能な第2位置決め部が配設されている。
図13の例では、第2半導体装置2のダミー部27aに第2位置決め部である円環部27bが配設されている。なお、図示しないが第1半導体装置1もダミー部27aと同様のダミー部を備えており、当該ダミー部に第2位置決め部である円環部が配設される。
【0058】
以上のような本実施の形態4に係る半導体装置によれば、第1半導体装置及び第2半導体装置2の貼り合わせ時の位置決め性(位置合わせ性)を向上させることができる。
【0059】
<実施の形態5>
実施の形態1~4において、第1半導体装置1と第2半導体装置2との間に、Cu(銅)を含む金属板が配設されてもよい。例えば、金属板は、P主電極12,23の間の電気的接続、N主電極13,22の間の電気的接続、及び、出力端子14,24の間の電気的接続を維持しつつ、これら3つの電気的接続の間では絶縁を維持するようにパターニングされる。このような本実施の形態5に係る半導体装置によれば、放熱性及び剛性を向上させることができる。
【0060】
<実施の形態6>
実施の形態5において、第1半導体装置1と第2半導体装置2との間に配設される金属板は、Cuの代わりに、Mo(モリブデン)を含んでもよい。なお、金属板がMo合金を含むことによって、金属板がMoを含んでもよい。このような本実施の形態6に係る半導体装置によれば、剛性をさらに向上させることができる。この結果、半導体装置の熱による変形を抑制することができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0061】
<実施の形態7>
実施の形態1~4の第1半導体装置1と第2半導体装置2との間において、封止部材15,25よりも放熱性が高い樹脂またはカーボンを含むシートが配設されてもよいし、グリースが配設されてもよいし、第1半導体装置1と第2半導体装置2とがろう付けされてもよい。このような構成によれば、密着性及び放熱性を向上させることができる。
【0062】
<実施の形態8>
実施の形態1~7において、
図1の絶縁板70a,70bは、シート状の樹脂製の絶縁板であってもよい。このような構成によれば、絶縁板70a,70bがセラミック製の樹脂である場合に生じる割れ及びクラックを抑制することができるので、熱伝導の信頼性を向上させることができる。
【0063】
<実施の形態9>
図14は、本実施の形態9に係る半導体装置の構成を示す断面図である。以下、本実施の形態9の構成のうち実施の形態1~8の構成と異なる部分について主に説明する。
【0064】
本実施の形態9に係る半導体装置は、回路基板72a,72bを備える。
【0065】
回路基板72aは、貼り合わされた第1半導体装置1及び第2半導体装置2(以下「装置貼り合わせ構造」と記すこともある)の上側の面上に配設されている。回路基板72aは、絶縁板70a及び金属板71aを含み、金属板71aは、絶縁板70aと装置貼り合わせ構造との間に配設されている。
【0066】
同様に、回路基板72bは、装置貼り合わせ構造の下側の面上に配設されている。回路基板72bは、絶縁板70b及び金属板71bを含み、金属板71bは、絶縁板70bと装置貼り合わせ構造との間に配設されている。
【0067】
このような本実施の形態9に係る半導体装置の構成によれば、絶縁板70a,70bと、装置貼り合わせ構造との間のグリースを省略できるだけでなく、放熱性を向上させることができる。
【0068】
<実施の形態10>
図15は、本実施の形態10に係る半導体装置の構成を示す断面図である。以下、本実施の形態10の構成のうち実施の形態1~9の構成と異なる部分について主に説明する。
【0069】
本実施の形態10に係る半導体装置は、フィン付き回路基板74aを備える。
【0070】
フィン付き回路基板74aは、装置貼り合わせ構造の上側の面上に配設されている。フィン付き回路基板74aは、実施の形態9の構成(
図14)と同様の絶縁板70a及び金属板71aを含み、かつ、絶縁板70aに関して金属板71aと逆側に配設されたフィン基板73aを含む。冷却フィン80aは、例えばOリングなどの封止部品81aを介してフィン付き回路基板74aと組み合わせられる。
【0071】
このような本実施の形態10に係る半導体装置の構成によれば、放熱性を向上させることができる。なお、
図15では示していないが、装置貼り合わせ構造の下側の構成にも、上記フィン付き回路基板74a、冷却フィン80a及び封止部品81aと同様の構成が適用されてもよい。
【0072】
<実施の形態11>
実施の形態1~10において、半導体素子11a,11b,21a,21bの少なくともいずれか1つは、SiC(炭化珪素)またはGaN(窒化ガリウム)を含んでもよい。このような構成によれば、半導体装置の小型化及び高効率化を実現することができる。
【0073】
<実施の形態12>
実施の形態1~11において、
図8のように第1半導体装置1が第2半導体装置2上に配設されている場合には、第2半導体装置2のN主電極22と、第1半導体装置1のN主電極13とが、溶接によって一体化されてもよい。この場合とは逆に、第2半導体装置2が第1半導体装置1上に配設されている場合には、第1半導体装置1のP主電極12と、第2半導体装置2のP主電極23とが、溶接によって一体化されてもよい。このような構成によれば、ねじ止めするためのねじなどが不要となるので、半導体装置に必要な部品点数を削減できる。
【0074】
<実施の形態13>
図16は、本実施の形態13に係る第1半導体装置1の構成を示す断面図であり、
図17は、当該構成を示す平面図である。
図16では、便宜上、半導体素子の図示などが省略されている。
図17(a)は、第1半導体装置1を上側の面からみた平面図であり、
図17(b)は、第1半導体装置1を下側の面からみた平面図である。以下、本実施の形態13の構成のうち実施の形態1~12の構成と異なる部分について主に説明する。
【0075】
本実施の形態13では、第1半導体装置1の封止部材15に上下方向に延在する貫通穴86aが設けられている。なお、平面視における貫通穴86aの形状は、
図17のような四角形に限ったものではなく、例えば、他の多角形であってもよいし、円形であってもよい。
【0076】
このような本実施の形態13に係る半導体装置によれば放熱性を向上させることができる。なお、以上の説明では、第1半導体装置1の封止部材15に上下方向に延在する貫通穴86aが設けられたが、これに限ったものではない。例えば、第1半導体装置1の封止部材15及び第2半導体装置2の封止部材15,25の少なくともいずれか1つに、上下方向に延在する貫通穴が設けられればよい。
【0077】
<実施の形態14>
図18は、実施の形態14に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図18では、便宜上、
図16と同様に半導体素子の図示などが省略されている。以下、本実施の形態14の構成のうち実施の形態13の構成と異なる部分について主に説明する。
【0078】
本実施の形態14では実施の形態13と同様に、第1半導体装置1の封止部材15に、上下方向に延在する貫通穴86aが設けられている。また、第2半導体装置2の封止部材25にも、上下方向に延在する貫通穴86bが設けられている。
【0079】
そして、本実施の形態14に係る半導体装置は、第1半導体装置1の貫通穴86a及び第2半導体装置2の貫通穴86bに嵌合された嵌合部材87を備える。嵌合部材87は、表面を絶縁処理した金属部材であってもよいし、絶縁部材であってもよい。このような構成によれば、第1半導体装置及び第2半導体装置2の貼り合わせ時の位置決め性(位置合わせ性)を向上させることができる。
【0080】
なお、
図18に示すように、嵌合部材87は、冷却フィン80a,80bと締結可能であってもよいし、一体化されてもよい。このような構成によれば、嵌合部材87が表面を絶縁処理した金属部材である場合などに、放熱性を向上させることができる。
【0081】
<実施の形態15>
図19は、実施の形態15に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図19では、便宜上、
図16と同様に半導体素子の図示などが省略されている。以下、本実施の形態15の構成のうち実施の形態14の構成と異なる部分について主に説明する。
【0082】
本実施の形態15では、嵌合部材87の内部に、冷却水などの冷媒が通る空間87aが設けられている。このような嵌合部材87には、例えば絶縁性のパイプが用いられる。
図19には、冷媒が進む方向の一例が矢印によって示されている。このような構成によれば、放熱性を向上させることができる。なお、
図19のように、冷却フィン80a,80bに、嵌合部材87の空間87aと連通し、冷媒が通る空間80c,80dが設けられてもよい。
【0083】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0084】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0085】
1 第1半導体装置、2 第2半導体装置、11a,11b,21a,21b 半導体素子、12,23 P主電極、12a,23a P接続部分、12b,23b P本体部分、13,22 N主電極、13a,22a N接続部分、13b,22b N本体部分、14,24 出力端子、14a,24a 出力接続部分、14b,24b 出力本体部分、15,25 封止部材、27 信号端子部、27a ダミー部、27b 円環部、31a,33 凹部、32a,34 凸部、60a,60c グリース、70a,70b 絶縁板、71a,71b 金属板、72a,72b 回路基板、73a フィン付き回路基板、80a,80b 冷却フィン、81a 封止部品、86a,86b 貫通穴、87 嵌合部材、87a 空間。