(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】目地材除去方法および目地材交換方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/09 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
E01C23/09 A
(21)【出願番号】P 2018145577
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】398001447
【氏名又は名称】株式会社ナリコー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】上田 剛
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晋也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-336018(JP,A)
【文献】特開平08-311814(JP,A)
【文献】特開2003-184026(JP,A)
【文献】特開2014-141860(JP,A)
【文献】特開昭57-074405(JP,A)
【文献】特開2003-293600(JP,A)
【文献】実開平01-093207(JP,U)
【文献】特開平07-003719(JP,A)
【文献】実開平06-020508(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1080868(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のコンクリート舗装版と他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙に設置されている目地材を、円板状に形成されており外周に切れ刃部が
形成されており目地材除去刃を用いて除去する目地材除去方法において、
前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、前記目地材除去刃の一部が前記目地材と前記コンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んでおり、この食い込んでいる前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が
弾性変形し前記コンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接して
おり、
前記目地材除去刃として、第1の目地材除去刃と第2の目地材除去刃とが使用され、
前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、
前記第1の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記一方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記一方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、
前記第2の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記他方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記他方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、
前記目地材の除去は、前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とを、前記目地材の長手方向に移動することでなされ、
前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とが、所定の距離だけ移動をする毎に、前記目地材の長手方向で、前記第1の目地材除去刃に対する前記第2の目地材除去刃との位置をずらすことを特徴とする目地材除去方法。
【請求項2】
請求項1
に記載の目地材除去方法において、
前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときにおける前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が前記コンクリート舗装版の側面に当接しているときの付勢力の調整は、前記目地材除去刃の中心軸の延伸方向を変更することでなされることを特徴とする目地材除去方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2
に記載の目地材除去方法において、
前記目地材除去刃による前記目地材の除去後に、
前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙をエアーブローによって掃除することを特徴とする目地材除去方法。
【請求項4】
請求項3
に記載の目地材除去方法の実行後に、
前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙の底部にバックアップ部材を設置し、
前記バックアップ部材の設置後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙の壁面にプライマを塗布し、
前記プライマの塗布後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙内であって前記バックアップ部材の上に、新しい目地材を設置することを特徴とする目地材交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地材除去方法および目地材交換方法に係り、特に、コンクリート舗装版の間に設けられている目地材を除去し交換するものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート舗装は、重交通や高荷重に対応するためのものとして、自動車専用道路やトンネル内や埠頭やコンテナバース等に広く採用されている。
【0003】
コンクリート舗装では、コンクリートの材質の熱膨張や収縮によってクラックが発生してしまう。そこで、クラックの発生を防止するために、コンクリート舗装で使用されている複数のコンクリート舗装版(コンクリート版)の間に目地と呼ばれる間隙を設けている。
【0004】
目地を設けることで、コンクリート舗装版が個別版となる。また、お互いが隣接しているコンクリート舗装版同士は、タイバー(丸鋼)及びダウエルバー(異形鉄筋)にて連結されており、コンクリート舗装版同士がお互いに接続されて、荷重伝達がされるようになっている。
【0005】
なお、目地の幅は、コンクリート舗装の目的やコンクリート舗装の施工方法やコンクリート舗装版の種類によって異なるが、各種の施工便覧等に規定されている。たとえば、空港の駐機エリアのコンクリート舗装では、施工目地、収縮目地の幅を6~10mmとしている。
【0006】
目地用間隙には、ここから雨水等が侵入することを防止するために、防水シール材(目地材)を設けた防水シール加工が施されている。すなわち、目地用間隙には防水のために目地材が充填されている。目地材として、たとえば、耐油性ポリサルファイド系の加熱目地材が使用されており、目地材は、弾性の高いゴム材質のような性状になっている。
【0007】
目地材は、紫外線の影響等による経年劣化で、目地材自体の破断やコンクリート舗装版からの剥離を引き起こしてしまう。そして、シール効果(シール材としての機能)が低下してしまう。
【0008】
シール機能の低下によって、コンクリート舗装版の下に雨水等が侵入すると、路盤の弱体化を引き起こすことになり、コンクリート舗装版の沈下や破壊を誘発するおそれがある。また、雨水等の侵入によりタイバー、ダウエルバーに錆が発生し、やがては破断することにより荷重伝達が行われなくなり、コンクリート舗装版の沈下や破壊発生するおそれがある。
【0009】
そこで、空港では、定期的に目地の補修工事(目地材の定期的な交換)を行っており、ある空港では、毎年約80kmの長さにわたって目地材の補修工事を行っている。
【0010】
コンクリート舗装版の間の間隙(目地用間隙)に設けられている目地材の補修作業(補修工事)では、古くなった目地材を除去し、この除去後に、目地用間隙に新しい目地材を注入して設けている。
【0011】
上記補修作業では、古くなった目地材を目地用間隙から完全に除去する必要がある。古くなった目地材を完全に除去しないと、コンクリート舗装版の表面(側面)に古くなった目地材が残っていることになる。これにより、新しい目地材とコンクリート舗装版との密着接合が不完全になり、シール機能が十分に発揮されない事態が発生する。
【0012】
ここで、従来の古くなった目地材の除去を含む目地材の交換作業について、
図15、
図16を参照しつつ説明する。
【0013】
まず、一対のコンクリート舗装版301、303の間の目地用間隙305の近傍(古くなった目地材311から僅かに離れたところ)で、コンクリート切断用のカッタ307を用いて、一対のコンクリート舗装版301、303にスリット状の溝309を設ける(
図16のS301、
図15(a)(b)(c)(d)参照)。なお、
図15(d)で示すように、溝309は、一対のコンクリート舗装版301、303の両方に設けられている。
【0014】
このように、目地材311から僅かに離れたところに、スリット状の溝309を設けている主な理由として、次のものがある。
【0015】
1つ目は、古くなった目地材311がコンクリート舗装版301の表面(側面)に残らないよう完全に除去するためである。2つ目は、古くなった目地材311を高速で回転するカッタ307で切断すると、摩擦熱によって目地材311が溶けてしまい、切断に至らない事態が発生するからである。
【0016】
続いて、一対のスリット状の溝309の間に存在している古くなった目地材311を、一対の溝309の間に存在しているコンクリート片313、315およびバックアップ部材317とともに除去する(
図16のS303、
図15(e)参照)。なお、目地材311等の除去は、たとえば人手によってなされる。
【0017】
これにより、
図15(e)で示すように、新しい目地材が注入される所定幅の目地用間隙を構成する溝321が形成される。
図15に参照符号319で示すものは、コンクリート舗装版301、303を連結しているタイバー(鉄筋)であり、参照符号323で示すものは路盤である。
【0018】
なお、古くなった目地材311を目地用間隙305から完全に除去すべく、溝309を古くなった目地材311から離して形成しているので、
図15(e)で示す溝321の幅寸法B2の値(たとえば16mm)は、
図15(a)で示す目地材311の幅寸法B1の値(たとえば8mm)よりも大きくなっている。
【0019】
続いて、新しく形成された溝321(目地部)を高圧水によって洗浄し(
図16のS305)、溝321を、人手をかけて清掃し(
図16のS307)、さらに、溝321を機械と人手をかけたとえばエアーブローすることでさらに清掃する(
図16のS309)。
【0020】
続いて、溝321の底部に新しいバックアップ部材(バックアップ材)を敷設し(
図16のS311)、プライマを塗布し(S313)、溝321内に新しい目地材を注入する(
図16のS313)。
【0021】
ここで、従来の技術に関する文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、従来の方式では、目地材を交換する毎に目地用間隙の幅寸法の値が大きくなってしまうとともに、目地材の除去工程が煩雑であり目地材の除去に長い時間を要するという問題がある。
【0024】
なお、上述した「8mm」→「16mm」は、1回目の目地材の交換工事をする前と後とにおける目地用間隙305の幅の値であるが、目地材の交換工事を1回行う毎にたとえば8mmずつ目地用間隙305の幅が広くなってしまう。目地用間隙305の幅(目地材の幅)が広くなるほど、雨水等の侵入のおそれが高くなる等の不具合が発生する。
【0025】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、目地材を交換する毎に目地用間隙の幅寸法の値が大きくなることを極力防ぐことができるとともに、目地材の除去工程を簡素化でき、目地材の除去を極力短時間ですることができる目地材除去方法および目地材交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
請求項1に記載の発明は、一方のコンクリート舗装版と他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙に設置されている目地材を、円板状に形成されており外周に切れ刃部が形成されており目地材除去刃を用いて除去する目地材除去方法において、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、前記目地材除去刃の一部が前記目地材と前記コンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んでおり、この食い込んでいる前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が弾性変形し前記コンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、前記目地材除去刃として、第1の目地材除去刃と第2の目地材除去刃とが使用され、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、前記第1の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記一方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記一方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、前記第2の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記他方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記他方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、前記目地材の除去は、前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とを、前記目地材の長手方向に移動することでなされ、前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とが、所定の距離だけ移動をする毎に、前記目地材の長手方向で、前記第1の目地材除去刃に対する前記第2の目地材除去刃との位置をずらす目地材除去方法である。
【0029】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の目地材除去方法において、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときにおける前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が前記コンクリート舗装版の側面に当接しているときの付勢力の調整は、前記目地材除去刃の中心軸の延伸方向を変更することでなされる目地材除去方法である。
【0030】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の目地材除去方法において、前記目地材除去刃による前記目地材の除去後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙をエアーブローによって掃除する目地材除去方法である。
【0031】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の目地材除去方法の実行後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙の底部にバックアップ部材を設置し、前記バックアップ部材の設置後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙の壁面にプライマを塗布し、前記プライマの塗布後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙内であって前記バックアップ部材の上に、新しい目地材を設置する目地材交換方法である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、目地材を交換する毎に目地用間隙の幅寸法の値が大きくなることを極力防ぐことができるとともに、目地材の除去工程を簡素化でき、目地材の除去を極力短時間ですることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係る目地材除去装置の概略構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る目地材除去装置の目地材除去刃設置部に設置されている目地材除去刃の挙動を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る目地材除去装置の目地材除去刃設置部に設置されている目地材除去刃の挙動を示す正面図(
図1におけるIV矢視図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る目地材除去装置の目地材除去刃設置部に設置されている目地材除去刃の挙動を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る目地材除去装置の、目地材除去刃を支持している目地材除去刃設置部の概要を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る目地材除去刃を示す図であって(b)は(a)におけるVIIB-VIIB断面を示す図である。
【
図8】(a)は
図7(a)におけるVIIIA矢視図であり、(b)は(a)におけるVIIIB矢視図である。
【
図9】(a)はコンクリート舗装の概要を示す図であり、(b)(c)はコンクリート舗装での目地材交換をするときの途中の状態を示している。
【
図10】(a)はコンクリート舗装で使用されている目地材を除去するために目地材除去刃を目地材に食い込ませた状態を示す平面図であり、(b)は(a)におけるXB-XB断面を示す図であり、(c)は(b)におけるVC矢視図である。
【
図11】
図10(b)に対応する図であって、目地材除去刃設置部に設置されている目地材除去刃の回転中心軸を傾けた状態を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る目地材交換方法を示す図である。
【
図13】変形例に係る目地材除去刃を示す図であって、(b)は(a)におけるXIIIB矢視図であり、(c)は(b)におけるXIIIC矢視図である。
【
図14】
図10(b)に対応する図であって、変形例に係る目地材除去刃を目地材に食い込ませた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態に係る目地材除去装置1は、細長い目地用の間隙(目地用間隙)5に設置(充填)されている目地材7(
図9(a)等を参照)を除去するものであり、
図1、
図2等で示すように、目地材除去装置本体部9と、目地材除去刃設置部11(11A、11B)とを備えて構成されている。目地材7は、従来と同様に、たとえばゴム等の弾性を備えた材料で構成されている。
【0035】
目地用の間隙(目地材用の間隙)5は、コンクリート舗装で使用されている一方のコンクリート舗装版(第1のコンクリート舗装版)3(3A)とコンクリート舗装で使用されている他方のコンクリート舗装版(第2のコンクリート舗装版)3(3B)との間に形成されている。
【0036】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向をX方向(前後方向)とし、水平な所定の他の一方向であってX方向に対して直交する方向をY方向(幅方向)とし、X方向とY方向とに対して直交する方向をZ方向(上下方向)とする。
【0037】
まず、コンクリート舗装について、
図9(a)を参照しつつ説明する。
【0038】
コンクリート舗装では、路体13の上に所定の厚さの路床15が設けられており、路床15の上に所定の厚さの路盤17が設けられており、路盤17の上に所定の厚さのコンクリート舗装版3(3A、3B)が設けられている。
【0039】
第1のコンクリート舗装版3Aと第2のコンクリート舗装版3Bとは、Y方向でお互いが僅かに離れており、第1のコンクリート舗装版3Aと第2のコンクリート舗装版3Bとの間に目地用の間隙5が形成されており、目地用間隙5に目地材7が充填されている。
【0040】
目地材7は、X方向(
図9(a)の紙面に直交する方向)に長く延びている。なお、
図9(a)等に参照符号19で示すものは、バックアップ部材であり、参照符号21で示すものは、タイバー(鉄筋)である。
【0041】
目地材除去装置1の目地材除去刃設置部11には、目地材除去刃23(23A、23B)が着脱自在に設置されるように構成されている(
図2、
図6等参照)。目地材除去刃設置部11に設置された目地材除去刃23は、
図6、
図10等で示すように、目地材7を除去するために目地材7に食い込んで回転し目地材7を切削するようになっている。
【0042】
目地材除去刃設置部11は、これに設置されている目地材除去刃23の回転中心軸C1の延伸方向を、
図3、
図4に矢印A31、A32、A41、A43で示すように、回動させて変更自在(目地材除去刃23の姿勢を調整できる自在)に構成されている(
図11も併せて参照)。
【0043】
また、目地材除去装置1には、コンクリート舗装版3の上を走行するための走行部25(
図1参照)が設けられている。そして、目地材7の除去(切削)は、目地材除去刃設置部11に設置された目地材除去刃23を目地材7に食い込ませ回転させるとともに、走行部25における走行をすることでされるように構成されている。
【0044】
走行部25による走行で、目地材除去装置1はX方向で後側から前側に向かって移動するようになっている。
【0045】
目地材除去刃設置部11は、一対で設けられている。
【0046】
一対の目地材除去刃設置部11のうちの一方の目地材除去刃設置部(第1の目地材除去刃設置部)11Aに設置された目地材除去刃(第1の目地材除去刃)23A、一対の目地材除去刃設置部11のうちの他方の目地材除去刃設置部(第2の目地材除去刃設置部)11Bに設置された目地材除去刃(第2の目地材除去刃)23Bの少なくともいずれかが、走行部25による走行方向(X方向;前後方向)で移動位置決め自在になっている。
【0047】
たとえば、
図5で示すように、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aは、目地材除去装置本体部9に対して、X方向では移動しないようになっている(
図5に参照符号P1で示す位置から前側には移動しないようになっている)。
【0048】
一方、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bは、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23A(目地材除去装置本体部9)に対して、X方向で、移動位置決め自在になっている(
図5に参照符号P1で示す位置と参照符号P2で示す位置との間で移動位置決め自在になっている(
図3の矢印A34も併せて参照)。
【0049】
図5では、目地材除去装置本体部9と目地材除去刃設置部11の表示を省略している。
【0050】
なお、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとが、X方向で、目地材除去装置本体部9に対して移動位置決め自在になっていてもよい。
【0051】
第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aは、目地材除去装置本体部9に対して、Y方向では移動しないが、Z方向では、移動するようになっている(
図5に参照符号P1で示す位置と参照符号P3で示す位置との間で移動位置決め自在になっている;
図4の矢印A42も併せて参照)。
【0052】
また、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bは、目地材除去装置本体部9に対して、Y方向で移動するとともに(
図3の矢印A33と
図4の矢印A44参照)、Z方向でも、移動するようになっている(
図4の矢印A45参照)。すなわち、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bは、
図5に参照符号P1で示す位置と参照符号P2で示す位置と参照符号P3で示す位置と参照符号P4で示す位置との四角形の範囲内で、移動位置決め自在になっている。
【0053】
目地材除去刃23は、
図7(a)等で示すように、円板状に形成されており、目地材除去刃設置部11に設置されている円板状の目地材除去刃23の回転中心軸C1、C2は、目地材除去刃23の中心を通って、目地材除去刃23の厚さ方向に延びている。
【0054】
また、目地材除去刃設置部11に設けられている円板状の目地材除去刃の回転中心軸C1、C2は、初期状態では、
図3、
図4等で示すように、Y方向に延びている。
【0055】
目地材除去刃設置部11に設置された目地材除去刃23の回転中心軸C1、C2の延伸方向が変更自在になっていることで、上記初期状態に対して、数°(たとえば±3°)の範囲内で目地材除去刃設置部11に設置された目地材除去刃23の回転中心軸C1、C2を傾け、この傾けた状態を維持することができるようになっている。
【0056】
さらに説明すると、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1の延伸方向が、X方向に延びている軸回りで、数°の範囲内で傾けることができるようになっているとともに(
図4の矢印A41参照)、Z方向に延びている軸回りで、数°の範囲内で傾けることができるようになっている(
図3の矢印A31参照)。
【0057】
第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bの回転中心軸C2の延伸方向も、X方向に延びている軸回りで、数°の範囲内で傾けることができるようになっているとともに(
図4の矢印A43参照)、Z方向に延びている軸回りで、数°の範囲内で傾けることができるようになっている(
図3の矢印A32参照)。
【0058】
また、目地材除去刃設置部11に設置されている目地材除去刃23は、この回転中心軸C1、C2の延伸方向(Y方向)で、目地材除去装置本体部9に対して、移動位置決め自在になっている。すなわち、Y方向で、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとの間の間隔を変更調整自在になっている。
【0059】
たとえば、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aは、Y方向では、目地材除去装置本体部9に対して移動位置決めされないようになっているが、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bが、Y方向で、目地材除去装置本体部9に対して移動位置決め自在になっている(
図3の矢印A33、
図4の矢印A44参照)。
【0060】
なお、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとが、Y方向で、目地材除去装置本体部9に対して移動位置決め自在になっていてもよい。
【0061】
第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとは、Z方向で、目地材除去装置本体部9に対して、たとえば、同時に移動位置決め自在になっている(
図4の矢印A42、A45参照)。
【0062】
すなわち、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとは、Z方向でお互いが同期して移動位置決めされ、Z方向では、お互いが同じところに位置するようになっている。
【0063】
なお、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとの、Z軸方向における相対的な位置関係を、微調整可能に構成されていてもよいし、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aと、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bとが、Z方向で別個に移動位置決めされるように構成されていてもよい。
【0064】
また、目地材除去装置1には、
図1で示すように、ミラー29が設けられている。ミラー29は、図示しないミラー支持材によって目地材除去装置本体部9に支持されている。
【0065】
ミラー29は、目地材7を除去(切削)するための操作をしているオペレータ27が、目地材除去刃設置部11に設置されている目地材除去刃23(目地材除去刃23によって切削されている目地材7の部位)を、目地材除去装置1の操作をしつつ見えるようにするために設けられている。なお、ミラー29の姿勢(設置角度)は、調整自在になっている。
【0066】
次に、目地材除去刃23について
図7、
図8等を参照して詳しく説明する。なお、
図8では、説明の便宜のために、実際は円弧状である目地材除去刃23の外周を直線状に描いている。
【0067】
目地材除去刃23は、上述したように、第1のコンクリート舗装版3Aと第2のコンクリート舗装版3Bとの間の目地用の間隙5に設置されている目地材7を除去するものであり、円板状に形成されている。
【0068】
目地材除去刃23の外周(外周のほぼ全周)には、切れ刃部31が形成されており、目地材除去刃23は、厚さ方向の力(円板の厚さ方向の力)に対して弾性を備えている(機械的コンプライアンスの値が大きくなっている)。
【0069】
さらに説明すると、目地材除去刃23は、円板状の本体部33と、円板状の本体部33の外周のほぼ全周に形成されている切れ刃部31とを備えて構成されている。目地材除去刃23の厚さ方向で見ると、
図7(a)で示すように、切れ刃部31は、円形状の本体部33を囲んでいる所定幅の円環状に形成されている。この円環状の部位が、切れ刃部31の側面になっている。
【0070】
目地材除去刃23の切れ刃部31の厚さは、
図8(a)で示すように、目地材除去刃23の本体部33の厚さよりも僅かに厚くなっており、目地材除去刃23の厚さ方向では、目地材除去刃23の切れ刃部31の両端面のそれぞれが、目地材除去刃23の本体部33の両端面のそれぞれから僅かに突出している。また、目地材除去刃23の厚さ方向で見ると、切れ刃部31の円形の外周が、切れ刃部31の外周面になっている。
【0071】
次に、コンクリート舗装版3について詳しく説明する。コンクリート舗装版3は、たとえば矩形な板状に形成されており、
図9等で示すように、この厚さ方向がZ方向になっている。
【0072】
目地用の間隙5を形成している一方のコンクリート舗装版3Aの平面状の上面と他方のコンクリート舗装版3Bの平面状の上面とは、Z方向に対して直交しており、Z軸方向でお互いが同じところに位置している。また、目地用の間隙5を形成している一方のコンクリート舗装版3Aの側面と他方のコンクリート舗装版3Bの側面とは、たとえば、Y方向に対して直交している平面状になっており、僅かな距離(たとえば8mm)をあけてお互いが平行になって対向している。
【0073】
目地材除去装置1の第1の目地材除去刃設置部11Aに第1の目地材除去刃23Aを設置し、目地材7を除去するために第1の目地材除去刃23Aを目地材7に食い込ませ回転しているとき(目地材切削時)には、
図5、
図10で示すように、円板状の第1の目地材除去刃23Aの下端部が、目地材7と一方のコンクリート舗装版3Aとの境界のところで、目地材7に食い込んでいる。第1の目地材除去刃23Aの下端は、たとえば、バックアップ部材19にも食い込んでいる。
【0074】
目地材切削時に目地材7やバックアップ部材19に食い込んでいる第1の目地材除去刃23Aの部位(第1の目地材除去刃食い込み部位)を、第1の目地材除去刃23Aの厚さ方向で見ると、第1の目地材除去刃食い込み部位は弓形状に形成されている。
【0075】
また、目地材切削時においては、第1の目地材除去刃23Aの切れ刃部31の側面の一部(弓形状に形成されている第1の目地材除去刃食い込み部位の一部で形成されている側面の一部)が、一方のコンクリート舗装版3Aの側面に当接している。
【0076】
さらに説明すると、目地材切削時において一方のコンクリート舗装版3Aの側面に当接している切れ刃部31の側面は、第1の目地材除去刃23Aの厚さ方向で見ると、所定の幅を備えた円弧状に形成されている。
【0077】
なお、目地材切削時における第1の目地材除去刃23Aに厚さ方向で見た第1の目地材除去刃23Aの切れ刃部31の一方のコンクリート舗装版3Aの側面に当接している切れ刃部31の側面の形状は、ほとんど変化しないが、当然のことであるが、第1の目地材除去刃23Aが回転しているので、一方のコンクリート舗装版3Aの側面に当接している切れ刃部31の部位は入れ替わり変化している。
【0078】
目地材切削時における第1の目地材除去刃23Aは、一方のコンクリート舗装版3Aの側面に、切れ刃部31の側面の一部が当接して、一方のコンクリート舗装版31Aの側面を擦っている。これにより、目地材7が一方のコンクリート舗装版3Aの側面にほとんど残らない態様で除去されるようになっている。
【0079】
また、目地材切削時において、一方のコンクリート舗装版3Aの側面に、切れ刃部31の側面の一部が当接して一方のコンクリート舗装版3Aの側面を擦っていることで、一方のコンクリート舗装版3Aの側面が僅かに削られる(Y方向でわずかな厚さ削られる)場合がある。これにより、目地材7が一方のコンクリート舗装版3Aの側面に少しも残らない態様で目地材7が除去されるようになっている。
【0080】
また、目地材切削時において、第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1が、コンクリート舗装版3Aの側面に対して直交している場合には、
図10(b)で示すように、第1の目地材除去刃23Aが一方のコンクリート舗装版3Aから受けるY方向の反力は、小さいので、第1の目地材除去刃23Aはほとんど変形しない。
【0081】
一方、目地材切削時において、
図11に示すように、第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1が、コンクリート舗装版3Aの側面に対して僅かに傾いている場合には、一方のコンクリート舗装版3Aから受ける反力により、第1の目地材除去刃23Aがたとえば比例限度内で弾性変形している。
【0082】
これにより、第1の目地材除去刃23Aの切れ刃部31が所定の付勢力をもって、一方のコンクリート舗装版3Aの側面を擦っている。そして、目地材7を一方のコンクリート舗装版3Aの側面からより確実に剥すことができるようになっている。
【0083】
なお、
図11では、第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1がX方向に対して直交する平面内で傾いている場合(
図4の矢印A41参照)を示しているが、第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1がZ方向に対して直交する平面内で傾いている場合(
図3の矢印A31参照)や、第1の目地材除去刃23Aの回転中心軸C1が、
図4の矢印A41の方向と
図3の矢印A31の方向とに傾いている場合にも、
図11で示す場合と同様にして、一方のコンクリート舗装版3Aから受ける反力により、第1の目地材除去刃23Aが弾性変形するようになっている。
【0084】
第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとは、同形状に形成されており、お互いが互換性を備えている。そして、目地材切削時には、第1の目地材除去刃23Aと同様にして、第2の目地材除去刃23Bによる目地材7の除去(切削)がなされるようになっている。このとき、円板状の第2の目地材除去刃23Bの一部が、目地材7と他方のコンクリート舗装版3Bとの間で、目地材7やバックアップ部材19に食い込んでいる(
図10(b)、
図11参照)。
【0085】
また、目地材切削時には、たとえば、Z方向およびX方向で、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとが同じところに位置している。さらに、Y方向における目地材7の寸法の値(幅寸法の値)は、第1の目地材除去刃23Aの厚さ寸法と第2の目地材除去刃23Bの厚さ寸法との和の値よりに大きくなっている。
【0086】
そして、目地材7を切削することで、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとの間に、各コンクリート舗装版3A、3Bから分離された目地材7(目地材の残存片)35が生成されるようになっている(
図10参照)。
【0087】
ところで、ダイヤモンドカッターを用いたコンクリートの切断では、ダイヤモンドカッターの切削速度(切断速度)を1000m/min程度の高速にして、しかも、湿式で切断している。
【0088】
これに対して、本発明の実施形態に係る目地材除去装置1と目地材除去刃23とを用いた目地材7の除去のための切削は乾式で行われ、しかも、目地材7およびコンクリート舗装版3と目地材除去刃23との間で発生する摩擦熱や切削熱によっても、目地材7が溶融しないように、たとえば10m/min~100m/min程度のおそい切削速度で目地材7の切削をおこなっている。
【0089】
また、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとによる目地材7の切削(切断)は、
図10(c)に矢印A101、A102で示すように、アップカットでなされる。矢印A101は、回転方向を示しており、矢印A102は、目地材除去刃23の移動方向を示している。
【0090】
第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとによる目地材7の切削がアップカットでなされることで、一対のコンクリート舗装版3から分離された目地材7(目地材の残存片35)が目地用の間隙5から上方に出やすくなっている。
【0091】
なお、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとによる目地材7の切削を、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとを
図10(c)の矢印A101で示す方向とは逆方向に回転させて、ダウンカットで行ってもよいし、目地材切削時における第1の目地材除去刃23Aの回転法方向と第2の目地材除去刃23Bの回転法方向とお互いに異なっていてもよい。
【0092】
ここで、目地材除去装置1についてさらに詳しく説明する。目地材除去装置1の走行部25は、
図1で示すように、目地材除去装置本体部9に対して回転する車輪36と車輪36を回転駆動する原動機(図示せず)とを備えて構成されている。原動機は、目地材除去装置本体部9に設けられている。
【0093】
また、目地材除去装置本体部9には、目地材除去刃設置部11に設置されている目地材除去刃23を回転駆動等するための油圧を生成する油圧ユニット(図示せず)が設けられている。
【0094】
目地材除去刃設置部11は、目地材除去装置本体部9の前方に設けられている。また、第1の目地材除去刃設置部11Aは、
図6で示すように、第1の目地材除去刃設置体37と第1の油圧モータ支持体39と第1の上下方向移動体41とを備えて構成されている。
【0095】
第1の目地材除去刃設置体37には、第1の目地材除去刃23Aが設置されるようになっている。また、第1の目地材除去刃設置体37は、第1の油圧モータ43の回転出力軸に一体的に設けられている。
【0096】
第1の油圧モータ43の筐体は、第1の油圧モータ支持体39に係合しており、X方向に延びた軸C3を中心にして、第1の油圧モータ支持体39に対し、数度の角度だけ回動して回動位置決め自在になっている。第1の油圧モータ支持体39は、第1の上下方向移動体41に係合しており、Z方向に延びた軸C4を中心にして、第1の上下方向移動体41に対し、数度の角度だけ回動して回動位置決め自在になっている。
【0097】
なお、第1の油圧モータ43の筐体や、第1の油圧モータ支持体39の回動位置決めは、たとえば、目地材除去装置1の操作部44に設けられているフレキシブルシャフト(図示せず)のハンドルをオペレータ27が回転することでされるように構成されている。
【0098】
第1の上下方向移動体41は、目地材除去装置本体部9に係合しており、目地材除去装置本体部9に対してZ方向で移動位置決め自在になっている。なお、第1の上下方向移動体41の移動位置決めは、操作部44に設けられている操作レバー(図示せず)をオペレータ27が操作することで、図示しないシリンダ等のアクチュエータでなされるようになっている。
【0099】
第2の目地材除去刃設置部11Bは、
図6で示すように、第2の目地材除去刃設置体45と第2の油圧モータ支持体47と幅方向移動体49と前後方向移動体51と第2の上下方向移動体53とを備えて構成されている。
【0100】
第2の目地材除去刃設置体45には、第2の目地材除去刃23Bが設置されるようになっている。また、第2の目地材除去刃設置体45は、第2の油圧モータ55の回転出力軸に一体的に設けられている。
【0101】
第2の油圧モータ55の筐体は、第2の油圧モータ支持体47に係合しており、X方向に延びた軸C5を中心にして、第2の油圧モータ支持体47に対し、数度の角度だけ回動して回動位置決め自在になっている。第2の油圧モータ支持体47は、幅方向移動体49に係合しており、Z方向に延びた軸C6を中心にして、幅方向移動体49に対し、数度の角度だけ回動して回動位置決め自在になっている。
【0102】
なお、第2の油圧モータ55の筐体や、第2の油圧モータ支持体47の回動位置決めは、目地材除去装置1の操作部44に設けられているフレキシブルシャフト(図示せず)のハンドルをオペレータ27が回転することでされるように構成されている。
【0103】
幅方向移動体49は、前後方向移動体51に係合しており、前後方向移動体51に対してY方向で移動位置決め自在になっている。前後方向移動体51は、第2の上下方向移動体53に係合しており、第2の上下方向移動体53に対してZ方向で移動位置決め自在になっている。
【0104】
なお、幅方向移動体49の移動位置決めは、操作部44に設けられている操作レバー(図示せず)をオペレータ27が操作することで、図示しないシリンダ等のアクチュエータでなされるようになっている。
【0105】
また、第2の上下方向移動体53は、第1の上下方向移動体41と一体化しており、第1の上下方向移動体41とともにZ方向で移動位置決めされるようになっている。
【0106】
このように構成されていることで、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置されている第1の目地材除去刃23Aや第2の目地材除去刃設置部11Bに設置されている第2の目地材除去刃23Bが、
図3や
図4を用いて説明したように、移動位置決めがされまた回動位置決めがされるようになっている。
【0107】
ところで、
図7で示すように、目地材除去刃23の中央部には、穴ぐり(皿モミ)部59を備えた複数の(たとえば6つの)貫通孔57が設けられている。6つの貫通孔57のそれぞれは、中心軸C1(C2)を中心とするピッチサークル円の円周を6等配する位置に設けられている。
【0108】
皿モミ部59は、目地材除去刃23の厚さ方向の一方の側と他方の側とに設けられており、一方の側の皿モミ部59と他方の側の皿モミ部59とは、ピッチサークル円の円周方向で交互に配置されている。
【0109】
目地材除去刃23を目地材除去刃設置部11に皿ビスを用いて設置する場合は、ピッチサークル円の円周を3等配する位置に設けられている3つの貫通孔57と3本の皿ビスが使用されるようになっている。このとき、皿ビスの頭部は、皿モミ部59に埋没するようになっている。
【0110】
目地材除去刃23がこのこのように構成されていることで、目地材除去刃23をこの厚さ方向で裏返しても、目地材除去刃23が目地材除去刃設置部11に設置することができるようになっている。
【0111】
これにより、1枚の目地材除去刃23において、コンクリート舗装版3の側面に当接する切れ刃部31の側面を入れ替えることができ、目地材除去刃23を効率良く使用することができる。
【0112】
次に、目地材除去装置1の動作を説明する。
【0113】
初期状態として、目地材除去装置1が、除去対象である目地材7のところに位置しており、第1の目地材除去刃設置部11Aに設けられている第1の目地材除去刃23Aと、第2の目地材除去刃設置部11Bに設けられている第2の目地材除去刃23Bとが
図1や
図2で示すように上昇しており、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23BとがX方向でほぼ同じところに位置している。
【0114】
上記初期状態で、第2の目地材除去刃23BのY方向の位置を調整し、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとの姿勢を適宜調整し(
図3の矢印A31、A32、
図4の矢印A41、A43で示す回動角度を調整し)、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bと下降し、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bと目地材に食い込ませる。これにより、
図10もしくは
図11で示す状態になる。
【0115】
なお、第1の目地材除去刃23Aや第2の目地材除去刃23Bの位置の調整を、これらを下降しているときや下降し終えたときに行ってもよい。
【0116】
続いて、目地材除去装置1を走行部25で前側に移動することで、X方向で所定の長さにわたって、目地材の残存片35を形成する。
【0117】
続いて、第2の目地材除去刃23Bを前側に移動し、所定長さの目地材の残存片35を目地用の間隙5から掻き出す。このときに、さらに、第2の目地材除去刃23Bや第1の目地材除去刃23Aを上昇させてもよいし、第1の目地材除去刃23Aや第2の目地材除去刃23Bに関してその他の適宜の動作をさせてもよい。
【0118】
続いて、第2の目地材除去刃23Bを後側に移動し、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23BとがX方向でほぼ同じところに位置させる。
【0119】
続いて、目地材除去装置1を走行部25で前側に移動しX方向で所定の長さにわたって、目地材の残存片35を形成する等の動作を繰り返すことで、古くなった目地材7を目地用の間隙5から除去(撤去)する。
【0120】
このような動作をすることで、本発明の実施形態に係る目地材交換方法における既存目地材の撤去がなされる(
図12のステップS1)。
【0121】
なお、古くなった目地材7を除去しているときには、第2の目地材除去刃23BのY方向の位置の微調整や、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとの姿勢の微調整が適宜なされる場合もある。すなわち、目地材除去刃23の搖動角度やY方向の位置は、目地材7を残さないようにしかもコンクリート舗装版3を削らないかもしくは削りを最小にするように、現場でそのつど臨機応変に調整される。
【0122】
目地材交換方法では、続いて、機械と人手により、古くなった目地材7とバックアップ部材19が除去された目地用の間隙(目地部)5の清掃をする(
図12のステップS3、
図9の(b)参照)。この清掃は、たとえば、目地部(目地部材用の溝)5をエアーブローすることでなされる。
【0123】
続いて、清掃された目地用の間隙5の底部に新しいバックアップ部材19を設置する(
図12のステップS5、
図9の(c)参照)。バックアップ部材19は、コンクリート舗装版3A、3Bの側面の下方に形成されている僅かな間隙61に、新しく設置された目地材7がこぼれ出ることを防ぐために設置される。
【0124】
続いて、底部に新しいバックアップ部材19が設置された目地用の間隙5内にプライマを塗布し(
図12のステップS7)、目地用の間隙5内を、新しい目地材7で充填する(
図12のステップS7、
図9の(a)参照)。
【0125】
目地材除去装置1によれば、目地材除去刃設置部11に設置された目地材除去刃23の回転中心軸C1の延伸方向を変更自在に構成されているので、目地材7を除去すべく目地材7を切削するときに、コンクリート舗装版3の側面に目地材除去刃23を的確に当接させることができる。
【0126】
これにより、コンクリート舗装版3の側面に古くなった目地材7を残すことなくしかもコンクリート舗装版3の側面をほとんど削って傷めることなく、たとえば、肉眼ではわからない程度に目地用の間隙5の幅寸法をごく僅かに拡張をするだけで、古くなった目地材7を目地用間隙5から除去することができる。そして、目地材7を交換する毎に目地用間隙5の幅寸法の値が目に見えて大きくなることを極力防ぐことができ、コンクリート舗装版3の側面の減りを少なくしコンクリート舗装版3の延命をはかることができる。
【0127】
なお、目地材7を交換する毎に(補修工事をする毎に)目地用間隙5の幅寸法(目地幅)の値が大きくなることを防ぐことができることで、バックアップ部材19のサイズ変更がほぼ不要になり、さらに、新しく敷設する目地材7の量の増加をほぼ無くすことができる。
【0128】
すなわち、度重なる補修により目地幅が広くなると補修時に注入する目地材の量が増え不経済であるが(補修工事コストの上昇になるが)、補修工事をしても目地幅が大きくはならないので、補修工事コストの上昇を抑えることができる。
【0129】
また、従来のようにコンクリート舗装版3を切断する必要が無く、ゴム状の材料で構成されている目地材7を目地材除去刃23で乾式切断すればよいので、目地材7の除去を極力短時間で行うことができ、目地材除去刃23のもちも良くなる。
【0130】
また、目地材除去装置1によれば、第1の目地材除去刃設置部11Aに設置された第1の目地材除去刃23Aに対して、第2の目地材除去刃設置部11Bに設置された第2の目地材除去刃23Bが、X方向で移動位置決め自在になっているので、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとの間に生成された目地材の残存片(コンクリート舗装版3から剥離した残存片)35を目地用間隙5の外へ容易に掻き出すことができる。
【0131】
すなわち、通常では、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23BとをX方向で同じところに位置させて回転させるとともに、目地材除去装置1をX方向前側に所定の距離だけ走行し移動して、目地材7をアップカットで切断すると、上述したように、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとの間に、X方向に長い目地材の残存片35が形成される。
【0132】
このX方向に長い目地材の残存片35が形成されたときに、第1の目地材除去刃23Aと第2の目地材除去刃23Bとを回転させたまま、たとえば、目地材除去装置1の移動を停止するとともに、第2の目地材除去刃23BをX方向前側に所定の長さだけ移動すると、目地材の残存片35に第1の目地材除去刃23Aの回転力のみが伝わり、目地材の残存片35に加えられる力のバランスが崩れて、目地材の残存片35が浮き上がり目地用間隙5上部の開口部から出てくるのである。
【0133】
また、目地材除去装置1によれば、目地材除去刃設置部11に設置されている目地材除去刃23をY方向で移動位置決め自在に構成されているので、目地材7を切削するときに、目地用の間隙5の幅にあわせて、コンクリート舗装版3の側面に目地材除去刃23を一層的確に当接させることができる。
【0134】
また、目地材除去装置1によれば、ミラー29によって、目地材7を除去するための操作をしているオペレータ27が、目地材除去刃設置部11に設置されている目地材除去刃23を、操作をしつつ容易に見ることができるので、目地材7の除去をより正確にすることができる(第1の目地材除去刃23Aや第2の目地材除去刃23Bの位置を適宜制御しつつコンクリート舗装版3の切削がほとんどされない状態で目地材7の除去をすることができる)。
【0135】
また、目地材除去装置1によれば、目地材除去刃23の切れ刃部31の側面がコンクリート舗装版3の側面に付勢力をもって当接しているので、コンクリート舗装版3からの古くなった目地材7の剥離を確実に行うことができる。
【0136】
また、目地材除去装置1によれば、目地材除去刃23が、この厚さ方向の力に対して弾性を備えているので、目地材除去刃23のY方向での位置決めが目標値から若干ずれても、目地材除去刃23の切れ刃部31の側面を、付勢力をもってコンクリート舗装版3の側面に的確に当接させることができる。また、弾性を確保すべく目地材除去刃23の厚さ寸法の値が小さくなっているので、幅の狭い目地用の間隙5に充填されている目地材7を除去することができる。
【0137】
ここで、変形例に係る目地材除去刃63について、
図13、
図14を参照しつつ説明する。
【0138】
変形例に係る目地材除去刃63は、上述した目地材除去刃23と同様に、一方のコンクリート舗装版3Aと他のコンクリート舗装版3Bとの間の目地用の間隙5に設置されている目地材7を除去するものであり、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bと回転トルク伝達・付勢部65とを備えて構成されている。
【0139】
第1の除去刃63Aは、円板状に形成されており、外周のほぼ全周に切れ刃部31が形成されている。なお、第1の除去刃63Aの厚さは、上述した目地材除去刃23の厚さよりも厚くなっている。
【0140】
第2の除去刃63Bは、第1の除去刃63Aとは別体で構成されており、第1の除去刃63Aと同形状に形成されており、厚さ方向と中心軸C1とが第1の除去刃63Aの厚さ方向と一致するようにして、第1の除去刃から厚さ方向で所定の距離だけ離れている。
【0141】
回転トルク伝達・付勢部65は、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとの間に設けられている。そして、回転トルク伝達・付勢部65は、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとの間で回転トルクを伝達するとともに、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとの厚さ方向で、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとがお互いに離れるように第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとを付勢している。
【0142】
第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとは、目地材7を除去するときに目地材7等から力を受けても、ほとんど変形しない程度(肉眼では変形が見えない程度)の剛性(剛体とみなせる程度の剛性)を備えている。
【0143】
第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとをこの厚さ方向で見ると、回転トルク伝達・付勢部65は、第1の除去刃63Aの切れ刃部31や第2の除去刃63Bの切れ刃部31から離れて、第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bの切れ刃部31の内側(第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bの中心軸C1側)に設けられている。
【0144】
ここで、回転トルク伝達・付勢部65について例を掲げて説明する。回転トルク伝達・付勢部65は、ボルト67とナット69と圧縮コイルバネ等の弾性体71を備えて構成されている。
【0145】
また、第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bには、ボルト67の軸部が貫通している貫通孔(第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bの厚さ方向に貫通している貫通孔)が設けられている。この貫通孔の内径は、ボルト67の軸部の外径よりもごく僅かに大きくなっている。
【0146】
第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bの貫通孔をボルト67が貫通している状態では、ボルト67の頭部が第1の除去刃63A(第1の除去刃63Aの、第2の除去刃63Bとは反対側の面)に当接しており、ボルト67の軸部の先端部に形成されたネジ部が、第2の除去刃63B(第2の除去刃63Bの、第1の除去刃63Aとは反対側の面)から突出している。
【0147】
第2の除去刃63Bから突出しているボルト67のネジ部には、ナット69が螺合している。ナット69は、第2の除去刃63B(第2の除去刃63Bの、第1の除去刃63Aとは反対側の面)に当接している。
【0148】
また、第1の除去刃63Aや第2の除去刃63Bの間には、圧縮コイルバネ71が設けられており、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとがお互いに離れる方向に、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとを付勢している。ボルト67の軸部は、圧縮コイルバネ71を貫通している。
【0149】
ボルト67とナット69と圧縮コイルバネ等の弾性体71とは、複数(たとえば8つ)設けられており、8つのボルト67とナット69と圧縮コイルバネ等の弾性体71とのそれぞれは、中心軸C1を中心とするピッチサークル円の円周を8等配する位置に設けられている。
【0150】
ここで、変形例に係る目地材除去刃63が設置される目地材除去装置(図示せず)について説明する。この目地材除去装置は、1つの目地材除去刃設置部を備えて構成されており、目地材除去刃63の第1の除去刃63Aが、目地材除去刃設置部にボルト等の締結具で一体的に設置されるようになっている。
【0151】
この目地材除去装置に設置されている目地材除去刃63は、少なくともZ方向で移動位置決め自在になっている。
【0152】
変形例に係る目地材除去刃63は、
図14で示すように、目地材7を除去するために目地材7に食い込み回転するようになっている。なお、目地材除去装置に設置されている目地材除去刃63がY方向で目地用の間隙5に的確に入り込むようにするために、目地材除去装置に設置されている目地材除去刃63が、Y方向で移動位置決め自在になっていてもよいし、Y方向での機械的コンプライアンスを備えていてもよい。
【0153】
また、目地材除去装置に設置されている目地材除去刃63が目地用の間隙5に的確に入り込みやすくようにするために、
図14で示すように、第1の除去刃63Aと第2の除去刃63Bとに面取り部73が形成されていてもよい。
【0154】
さらに、
図14では、第2の除去刃63Bとナット69とがお互いに接しているが、
図14で示す場合よりも目地材5の幅が狭くなった場合には、第2の除去刃63Bと第1の除去刃63Aとの間隔が狭くなり、圧縮コイルバネ71が圧縮され、第2の除去刃63Bがナット69から離れる。なお、
図14で示す状態でも、圧縮コイルバネ71は圧縮されている。
【0155】
ところで、目地材除去刃設置部11に目地材除去刃23(23A、23B)が設置された目地材除去装置1を用いて、目地用の間隙5を形成している一対のコンクリート舗装版3(3A、3B)の側面を目地材除去刃(刃具)で適宜の厚さ削ることにすれば、目地材除去装置1を目地幅拡張調整機械(目地幅調整機械)として把握することができる。
【0156】
また、目地材用除去刃23に代えて、目地材用除去刃23と同形状であって、切れ刃部の代わりにブラシ等の清掃材(ゴミ掻きだし材)を設けた清掃具(目地清掃具)を、目地材除去刃設置部(目地清掃具設置部)11に設置し、目地材7が除去された目地用の間隙5に清掃具の一部を挿入して、除去刃23の場合と同様に回転等させ、目地材7が除去された目地用の間隙5を掃除(清掃)するようにしてもよい。そして、目地材除去装置1を、目地清掃装置として把握してもよい。この場合、目地清掃具が、目地材用除去刃23のような弾性を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0157】
また、上記記載内容を、目地材除去方法として把握してもよい。
【0158】
すなわち、一方のコンクリート舗装版と他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙に設置されている目地材を、円板状に形成されており外周に切れ刃部が形成されており弾性を備えた目地材除去刃を用いて除去する目地材除去方法であって、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、前記目地材除去刃の一部が前記目地材と前記コンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んでおり、この食い込んでいる前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が前記コンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接している目地材除去方法として把握してもよい。
【0159】
また、上記目地材除去方法において、前記目地材除去刃として、第1の目地材除去刃と第2の目地材除去刃とが使用され、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときには、前記第1の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記一方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記一方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接しており、前記第2の目地材除去刃の一部が、前記目地材と前記他方のコンクリート舗装版との境界のところで前記目地材に食い込んで、前記他方のコンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接している態様にしてもよい。
【0160】
また、上記目地材除去方法において、前記目地材の除去は、前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とを、前記目地材の長手方向に移動することでなされ、前記第1の目地材除去刃と前記第2の目地材除去刃とが、所定の距離だけ移動をする毎に、前記目地材の長手方向で、前記第1の目地材除去刃に対する前記第2の目地材除去刃との位置をずらす態様にしてもよい。
【0161】
また、上記目地材除去方法において、前記目地材を除去するために前記目地材除去刃を目地材に食い込ませ回転しているときにおける前記目地材除去刃の切れ刃部の一部が前記コンクリート舗装版の側面に当接しているときの付勢力の調整は、前記目地材除去刃の中心軸の延伸方向を変更することでなされる態様にしてもよい。
【0162】
また、上記目地材除去方法において、前記目地材除去刃による前記目地材の除去後(コンクリート舗装版のカス、バックアップ部材の除去後)に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙をエアーブローによって(たとえばエアーブローのみによって)掃除する態様にしてもよい。
【0163】
さらに、上記目地材除去方法の実行後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙内であって前記間隙の底部にバックアップ部材を設置し、前記バックアップ部材の設置後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙の壁面にプライマを塗布し、前記プライマの塗布後に、前記一方のコンクリート舗装版と前記他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙内であって前記バックアップ部材の上に、新しい目地材を設置する目地材交換方法として把握してもよい。
【0164】
本発明の実施形態に係る目地材除去装置1を用いた目地材交換方法によれば、高圧力水による除去作業等を無くすことで、工程が、従来の8工程(
図16参照)に対して、5工程(
図12参照)になるので、施工期間を短縮することができる。
【0165】
また、従来の目地材交換方法では高圧力水による除去作業(
図16に示すステップS305)を行うので目地内部の乾燥作業が必要であり、単位延長あたりの作業日数として2日間ほど必要になるが、本発明の実施形態に係る目地材除去装置1を用いた目地材交換方法によれば、目地材7を乾式切削するので、目地内部の乾燥作業が不要となり、即日の目地注入作業を行うことができ、施工日数を大幅に短縮することができる。
【0166】
さらに説明すると、本発明の実施形態に係る目地材交換方法によれば、高圧水による洗浄作業が不要であり、乾燥工程を省くことが出来る。そして、乾式施工のため即日復旧(目地材注入)も可能となる。
【0167】
また、上記記載内容を、上記目地材除去方法を実行した後の目地清掃方法として把握してもよい。
【0168】
すなわち、一方のコンクリート舗装版と他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙である目地内を、円板状に形成されており少なくとも外周に清掃材が設けられており弾性を備えた目地清掃具を用いて清掃する目地清掃方法であって、前記目地を清掃するために前記目地清掃具を回転しているときに、前記目地清掃具一部が前記目地に入り込んでおり、この入り込んでいる前記目地清掃具の清掃材の一部が前記コンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接している目地清掃方法として把握してもよい。なお、目地清掃具を備えていない場合には、上記付勢力はほとんど発生していない。
【0169】
さらに、上記記載内容を、目地幅拡張調整方法(目地幅調整方法)として把握してもよい。
【0170】
すなわち、一方のコンクリート舗装版と他方のコンクリート舗装版との間の細長い間隙である目地内に、円板状に形成されており外周に切れ刃部が形成されており弾性を備えた刃具を入れて、前記コンクリート舗装版のうちの少なくとも一方のコンクリート舗装版の側面を削ることで前記目地の幅を拡張して調整する目地幅拡張調整方法であって、前記コンクリート舗装版の側面を削るために前記刃具が回転しているときに、前記刃具の切れ刃部の一部が前記コンクリート舗装版の側面に付勢力をもって当接している目地幅拡張調整方法として把握してもよい。
【0171】
さらに、上記目地材除去方法と上記目地幅拡張調整方法とが同時に(一工程で)なされるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0172】
3、3A、3B コンクリート舗装版
5 細長い間隙(目地用の間隙)
7 目地材
23、23A、23B 目地材除去刃
31 切れ刃部
C1、C2 目地材除去刃の中心軸