(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】テレビ番組評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221205BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G06Q30/02 314
(21)【出願番号】P 2019069416
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(73)【特許権者】
【識別番号】518231965
【氏名又は名称】株式会社IPLAB TECHNOLOGIES
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良一
(72)【発明者】
【氏名】藤森 省吾
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-354446(JP,A)
【文献】特開2014-093695(JP,A)
【文献】伊藤 正史, 外7名,“ハイブリッドキャストビデオによる「アドレッサブルTV」の実現”,放送技術,日本,兼六館出版株式会社,2017年05月01日,第70巻6月号,pp.122~126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ番組を評価するシステムであって、
前記テレビ番組を視聴した視聴者を特定する視聴ログを記憶する視聴ログ記憶部と、
前記テレビ番組中に視聴された広告を特定する広告ログを記憶する広告ログ記憶部と、
前記視聴者の属するセグメントを特定するターゲット情報を記憶するターゲット情報記憶部と、
前記視聴ログおよび前記ターゲット情報に基づいて、前記テレビ番組を視聴した前記視聴者が所属する前記セグメントである広告セグメントを特定するセグメント特定部と、
前記広告ログに基づいて、前記テレビ番組において前記セグメントに所属する前記視聴者が前記広告を視聴した頻度を算出する頻度算出部と、
前記広告セグメントの
数又は前記広告セグメント間の距離が大きいほど高くなるように、前記テレビ番組に係るターゲティング広告の適合度を評価し、前記頻度に応じて前記適合度を補正する評価部と、
を備えることを特徴とするテレビ番組評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記評価部は、
前記ばらつき度合が大きいほど前記適合度を高く評価し、
前記頻度が低いほど前記適合度を下げるように補正すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記評価部は、
前記ばらつき度合が小さいほど前記適合度を低く評価し、
前記頻度が高いほど前記適合度を上げるように補正すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記セグメント特定部は、前記テレビ番組を視聴した前記視聴者が所属する前記セグメントのうち、前記セグメントに属する前記視聴者の数に応じて前記広告セグメントを特定すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記視聴ログは、第1の前記視聴者を特定する情報と、前記テレビ番組を特定する情報とを含み、
前記ターゲット情報記憶部は、前記第1の視聴者とは異なる第2の前記視聴者に対応付けて前記ターゲット情報を記憶し、
前記ターゲット情報には、前記第2の視聴者が視聴した前記テレビ番組を特定する情報が含まれ、
前記視聴ログと前記ターゲット情報とを比較して、前記第1および第2の視聴者の視聴行動の類似度を判定する類似度判定部をさらに備え、
前記セグメント特定部は、前記類似度に応じて前記第1および第2の視聴者を対応づけ、前記視聴ログに対応する前記ターゲット情報から前記広告セグメントを特定すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ番組評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来テレビでは多くの人にリーチするマス広告が行われてきた。これに対してインターネット上の広告では特定のセグメントに広告を配信するターゲティング広告が行われている。たとえば特許文献1にはユーザセグメントを拡大してターゲティング広告を行うためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビ放送においてもターゲティング広告を行いたいというニーズが存在している。その一方で、多くの人にリーチするマス広告についてはテレビ媒体が適しており、どの番組がターゲティング広告に適しているかを判断することが難しい。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、テレビ番組がターゲティング広告に適しているかどうかを評価する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、テレビ番組を評価するシステムであって、前記テレビ番組を視聴した視聴者を特定する視聴ログを記憶する視聴ログ記憶部と、前記テレビ番組中に視聴された広告を特定する広告ログを記憶する広告ログ記憶部と、前記視聴者の属するセグメントを特定するターゲット情報を記憶するターゲット情報記憶部と、前記視聴ログおよび前記ターゲット情報に基づいて、前記テレビ番組を視聴した前記視聴者が所属する前記セグメントである広告セグメントを特定するセグメント特定部と、前記広告ログに基づいて、前記テレビ番組において前記セグメントに所属する前記視聴者が前記広告を視聴した頻度を算出する頻度算出部と、前記広告セグメントのばらつき度合に応じて、前記テレビ番組に係るターゲティング広告の適合度を評価し、前記頻度に応じて前記適合度を補正する評価部と、を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、テレビ番組がターゲティング広告に適しているかどうかを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るテレビ番組評価システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】受像機41のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】受像機41のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】視聴者情報記憶部431の構成例を示す図である。
【
図6】広告ログ記憶部433の構成例を示す図である。
【
図7】評価装置10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図8】評価装置10のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図9】視聴ログ記憶部131の構成例を示す図である。
【
図10】ターゲット情報記憶部132の構成例を示す図である。
【
図11】本実施形態の評価装置10が実行する処理の流れを示す図である。
【
図12】ユーザ装置20に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるテレビ番組評価システムは、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
テレビ番組を評価するシステムであって、
前記テレビ番組を視聴した視聴者を特定する視聴ログを記憶する視聴ログ記憶部と、
前記テレビ番組中に視聴された広告を特定する広告ログを記憶する広告ログ記憶部と、
前記視聴者の属するセグメントを特定するターゲット情報を記憶するターゲット情報記憶部と、
前記視聴ログおよび前記ターゲット情報に基づいて、前記テレビ番組を視聴した前記視聴者が所属する前記セグメントである広告セグメントを特定するセグメント特定部と、
前記広告ログに基づいて、前記テレビ番組において前記セグメントに所属する前記視聴者が前記広告を視聴した頻度を算出する頻度算出部と、
前記広告セグメントのばらつき度合に応じて、前記テレビ番組に係るターゲティング広告の適合度を評価し、前記頻度に応じて前記適合度を補正する評価部と、
を備えることを特徴とするテレビ番組評価システム。
[項目2]
項目1に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記評価部は、
前記ばらつき度合が大きいほど前記適合度を高く評価し、
前記頻度が低いほど前記適合度を下げるように補正すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
[項目3]
項目1または2に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記評価部は、
前記ばらつき度合が小さいほど前記適合度を低く評価し、
前記頻度が高いほど前記適合度を上げるように補正すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
[項目4]
項目1ないし3のいずれか1項に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記セグメント特定部は、前記テレビ番組を視聴した前記視聴者が所属する前記セグメントのうち、前記セグメントに属する前記視聴者の数に応じて前記広告セグメントを特定すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
[項目5]
項目1ないし4のいずれか1項に記載のテレビ番組評価システムであって、
前記視聴ログは、第1の前記視聴者を特定する情報と、前記テレビ番組を特定する情報とを含み、
前記ターゲット情報記憶部は、前記第1の視聴者とは異なる第2の前記視聴者に対応付けて前記ターゲット情報を記憶し、
前記ターゲット情報には、前記第2の視聴者が視聴した前記テレビ番組を特定する情報が含まれ、
前記視聴ログと前記ターゲット情報とを比較して、前記第1および第2の視聴者の視聴行動の類似度を判定する類似度判定部をさらに備え、
前記セグメント特定部は、前記類似度に応じて前記第1および第2の視聴者を対応づけ、前記視聴ログに対応する前記ターゲット情報から前記広告セグメントを特定すること、
を特徴とするテレビ番組評価システム。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るテレビ番組評価システムの全体構成例を示す図である。本実施形態のテレビ番組評価システムは、テレビ番組の評価を行う評価装置10を含んで構成される。評価装置10は、放送局のユーザ装置20および視聴者宅の受像機41と通信回線30を介して互いに通信可能に接続されている。通信回線30は、たとえば、イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網などにより構築される、インターネットやLAN(Local Area Network)である。
【0013】
評価装置10は、たとえば、テレビ番組の視聴率を調査する会社により運営されるコンピュータである。評価装置10は、たとえば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、クラウドコンピュータなどにより実現することができる。評価装置10は、どの視聴者がどのテレビ番組を観たかを記録した視聴ログに基づいて、テレビ番組がターゲティング広告に向いている度合を評価する。なお、現状ではテレビ媒体でターゲティング広告はほとんど行われていないが、アドレッサブル広告やプログラマティックTVと呼ばれる手法により、テレビ番組の広告であってもターゲティング広告を表示させる技術が登場している。本実施形態の評価装置10は、テレビ番組をアドレッサブル広告に対応させるべきか否かの判断基準を提供しようとするものである。
【0014】
ユーザ装置20は、テレビ番組を放送している放送局のユーザが操作するコンピュータである。ユーザ装置20は、たとえば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレットコンピュータなどである。放送局のユーザは、ユーザ装置20を操作することにより、評価装置10が表示したテレビ番組のアドレッサブル広告適合度を閲覧することができる。
【0015】
受像機41は、いわゆるテレビジョンであり、テレビ放送の電波(ケーブルテレビなどの電気信号を含む。)を受信し、受信した電波をデコードして、テレビ番組の映像および音声を出力することができる。また、本実施形態の受像機41は、いわゆるアドレッサブル広告の手法により、テレビ番組中またはテレビ番組の間にアドレッサブル広告を出力することができるものとする。さらに、本実施形態の受像機41は、通信機能を有しており、通信回線30を介して他の通信装置と通信を行うことができる。受像機41は、視聴者が操作する視聴者端末42とも通信可能であり、視聴者端末42との間の通信は、たとえば、
図1に示すように、通信路31を介してBlueTooth(登録商標)などのプロトコルにより直接通信を行うようにしてもよいし、視聴者端末42を通信回線30に接続して通信回線30を介して行うようにしてもよい。受像機41は、視聴者端末42と通信を行うことにより、現在テレビ番組を視聴している視聴者を特定することができる。
【0016】
視聴者端末42は、視聴者が操作するコンピュータであり、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどにより実現することができる。
【0017】
図2は、受像機41のハードウェア構成例を示す図である。受像機41は、CPU401、メモリ402、記憶装置403、通信装置404、放送受信モジュール405、出力装置406を備える。記憶装置403は、各種のデータやプログラムを記憶する、たとえばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信装置404は、通信を行うための装置であり、たとえばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。受像機41は通信装置404は複数備えてよい。放送受信モジュール405は、テレビ放送の電波を受信し、受信した電波から映像および音声をデコードするモジュールである。なお、放送受信モジュール405には、一般的なテレビ放送の受信およびデコードに係るハードウェアを用いることができる。出力装置406は、データを出力する、ディスプレイおよびスピーカを含む。
【0018】
図3は、受像機41のソフトウェア構成例を示す図である。受像機41は、視聴者特定部411、映像音声処理部412、アドレッサブル広告表示部413、広告特定部414、および広告ログ送信部415の各機能部と、視聴者情報記憶部431、広告記憶部432、および広告ログ記憶部433の各記憶部とを備えている。なお、上記各機能部は、受像機41が備えるCPU401が記憶装置403に記憶されているプログラムをメモリ402に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部は、受像機41が備えるメモリ402および記憶装置403が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0019】
視聴者情報記憶部431は、受像機41が出力するテレビ番組を視聴する視聴者に関する情報(以下、視聴者情報という。)を記憶する。視聴者情報は、視聴者を認証するための情報を含む。
図4は、視聴者情報記憶部431の構成例を示す図である。
図4の例では、視聴者情報には、視聴者を特定するための情報(以下、視聴者IDという。)に対応付けて、視聴者が保持する視聴者端末42を認証するための認証情報(以下、端末認証情報という。)を含んでいる。端末認証情報は、たとえば、視聴者端末42に割り当てられている固有IDとすることができる。なお、視聴者端末42の認証ではなく、視聴者を認証するための、ユーザIDとパスワード、視聴者の公開鍵、視聴者の顔画像の特徴量などとすることもできる。
【0020】
視聴者特定部411は、受像機41が出力するテレビ番組を現在視聴している視聴者を特定する。視聴者特定部411は、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)などのプロトコルに従って受像機41の近傍に存在している視聴者端末42と通信を行い、通信できた視聴者端末42を、視聴者情報記憶部431に記憶されている視聴者情報を用いて認証し、認証に成功した場合に、視聴者情報の視聴者IDが示す視聴者が現在視聴していると特定することができる。視聴者特定部411は、複数の視聴者端末42の認証に成功した場合には、複数の視聴者が視聴中であると判定することができる。
【0021】
映像音声処理部412は、放送受信モジュール405を制御して、テレビ番組の映像および音声を出力装置406から出力する。
【0022】
広告記憶部432は、アドレッサブル広告を出力するための情報(以下、広告情報という。)を記憶する。
図5は、広告記憶部432の構成例を示す図である。同図に示すように、広告情報には、広告を特定する情報(以下、広告IDという。)に対応付けて、アドレッサブル広告を重畳表示するチャンネル、アドレッサブル広告に置き換える広告枠の開始日時および終了日時、ならびに、アドレッサブル広告として出力される映像および音声を含む動画データを含む。なお、たとえば、放送受信モジュール405が受信する放送波や放送データなどに広告枠の開始終了のタイミングを表す信号が含まれているなど、搬送されてくる放送データ中で広告枠を特定することができる場合には、開始日時および終了日時に代えて当該広告枠を示す情報を含めるようにしてもよい。また、動画データに代えて、テキストデータや3Dモデルなどの情報を含め、これに基づいて映像や音声を生成するようにしてもよい。
【0023】
アドレッサブル広告表示部413は、アドレッサブル広告を出力する。アドレッサブル広告表示部413は、広告記憶部432に記憶されている広告情報を参照して、現在出力されているチャンネルにマッチする広告情報が存在している場合に、開始日時から終了日時まで、映像音声処理部411が出力している映像および音声に代えて動画データを出力することができる。また、アドレッサブル広告表示部413は、広告情報に広告枠を指定する情報が含まれていた場合には、映像音声処理部411が出力している映像および音声のストリームにおいて当該広告枠の部分を特定し、特定した部分に動画データを再生することもできる。
【0024】
広告ログ記憶部433は、受像機41において出力された広告のログ(以下、広告ログという。)を記憶する。
図6は、広告ログ記憶部433の構成例を示す図である。同図に示すように、広告ログには、出力された広告を示す広告IDと、当該広告を視聴していた視聴者を示す視聴者IDと、当該広告が表示されたチャンネルおよび番組と、当該広告が視聴された日時とが含まれる。複数人の視聴者が視聴していた場合には、視聴者ごとに広告ログが登録される。なお、広告ログ記憶部433は、広告ID、視聴者ID、チャンネルおよび番組に対応付けて、閲覧された回数を管理するようにしてもよい。
【0025】
広告特定部414は、受像機41で出力された広告を特定する。広告特定部414は、映像音声処理部411が出力している映像および音声のストリームから広告枠(チャンネルおよび番組を含む。)を特定し、当該広告枠において出力された広告を特定する。広告の特定は、たとえば、受像機41が広告IDに対応付けて、映像や音声の特徴量を記憶しておき、映像および音声のストリームから抽出した特徴量と比較することにより実現することができる。また、広告特定部414は、たとえば、放送局のサーバコンピュータにアクセスして、その放送局が提供するチャンネルおよび番組における広告枠の開始および終了の日時を取得し、映像音声処理部411が出力していたチャンネルと日時とに応じて、表示されていた広告を特定するようにしてもよい。広告特定部414はまた、アドレッサブル広告表示部413がアドレッサブル広告を出力した場合には、映像および音声のストリームに含まれていた広告ではなく、アドレッサブル広告が出力されたものとして、出力された広告を特定する。広告特定部414は、特定した広告を示す広告IDと、視聴者特定部411が特定した視聴者を示す視聴者IDと、広告が表示されたチャンネルおよび番組と、広告が視聴された日時(広告が出力された日時)とを含む広告ログを広告ログ記憶部433に登録する。
【0026】
広告ログ送信部415は、広告ログ記憶部433に記憶されている広告ログを評価装置10に送信する。広告ログ送信部415は、広告ログが広告ログ記憶部433に登録される度に広告ログを評価装置10に送信してもよいし、定期的に新規登録された広告ログを評価装置10に送信してもよい。また、広告ログ送信部415は、広告ログを集計して、どの広告がどの視聴者に何回視聴されたかを示す情報を評価装置10に送信するようにしてもよい。
【0027】
図7は、評価装置10のハードウェア構成例を示す図である。評価装置10は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信装置104、入力装置105、および出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、たとえばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信装置104は、通信回線30に接続するための装置であり、たとえばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、たとえばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、たとえばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0028】
図8は、評価装置10のソフトウェア構成例を示す図である。同図に示すように、評価装置10は、類似度判定部111、セグメント特定部112、評価部113、視聴率算出部114、番組情報送信部115、広告ログ取得部121、広告頻度算出部122、視聴ログ記憶部131、ターゲット情報記憶部132および広告ログ記憶部133を備える。なお、類似度判定部111、セグメント特定部112、評価部113、視聴率算出部114、番組情報送信部115、広告ログ取得部121および広告頻度算出部122は、評価装置10が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、視聴ログ記憶部131、ターゲット情報記憶部132および広告ログ記憶部133は、評価装置10が備えるメモリ102および記憶装置103の少なくともいずれかが提供する記憶領域の一部として実現される。
【0029】
視聴ログ記憶部131は、テレビ番組を視聴した視聴者を特定する情報(以下、視聴ログという。)を記憶する。
図9は、視聴ログ記憶部131の構成例を示す図である。視聴ログ記憶部131は、視聴者の属性(視聴者属性)と、視聴ログとを記憶する。視聴者属性には、視聴者IDに対応付けて、視聴者の性別や年代、所得などが含まれる。視聴ログは、視聴率調査のために無作為に抽出されたサンプル世帯にログ記録装置を設置し、このログ記録装置が視聴されたチャンネルを特定するとともに、視聴者が視聴開始時にボタンを押すなどの行為によってどの視聴者が視聴したかを特定することで収集した情報である。視聴ログには、世帯を示す世帯IDと、視聴者IDと、当該世帯において当該視聴者がテレビの視聴を開始した日時と、視聴したチャンネルとが含まれる。視聴ログと番組表とを照合することにより、どの視聴者がどのテレビ番組を視聴したのかを特定することができる。
【0030】
ターゲット情報記憶部132は、視聴者の属するセグメントを特定するための情報(以下、ターゲット情報という。)を記憶する。
図10は、ターゲット情報記憶部132の構成例を示す図である。同図に示すように、ターゲット情報記憶部132は、ターゲット情報として、デモグラフィック情報、視聴情報および行動履歴を記憶している。これらのターゲット情報は、たとえばアンケート調査やWebブラウザのクッキーの解析などにより収集することができる。デモグラフィック情報は、視聴者のデモグラフィック属性を含む。デモグラフィック情報には、視聴者IDに対応づけて、性別、年代、所得などの属性が含まれる。視聴情報は、視聴者が視聴したテレビ番組を示す。視聴情報には、視聴者IDに対応付けて、当該視聴者が視聴した番組と視聴を開始した日時とが含まれる。行動履歴は、視聴者の各種の行動に関する情報である。たとえば、視聴者が買物をしたり、雑誌を読んだり、Webサイトを閲覧したりと、オンラインおよびオフラインを問わず、視聴者が取った行動についてのログを行動履歴として記録することができる。なお、行動履歴は、インターネット上での行動(Webブラウザを利用した履歴)のみとしてもよい。行動履歴には、視聴者IDに対応付けて、行動を行った日時と行動内容とが含まれる。
【0031】
視聴ログの視聴者IDが示す視聴者(すなわち、サンプル世帯を構成する視聴者)と、ターゲット情報の視聴者IDが示す視聴者(たとえば、アンケートを回答した視聴者)とは重ならなくてもよい。類似度判定部111は、視聴ログとターゲット情報との対応づけを行う。類似度判定部111は、視聴ログに基づいて把握される視聴行動のパターンと、ターゲット情報の視聴情報に基づいて把握される視聴行動のパターンとの類似度を算出し、類似度に応じて対応づけを行うことができる。類似度の判定は、たとえば、同じ日時に同じテレビ番組を視聴していた回数に応じて決定するようにしてもよいし、視聴されたテレビ番組またはそのジャンル、視聴時間、視聴の順番などを比較してもよい。また、たとえば、曜日毎に視聴したテレビ番組あるいはそのジャンルを並べたパターンを比較してもよい。類似度判定部111は、求めた類似度に応じて視聴ログとターゲット情報とを対応づけることができる。
【0032】
セグメント特定部112は、テレビ番組に係る視聴者のセグメントを特定する。セグメント特定部112は、テレビ番組について、対応する視聴ログを視聴ログ記憶部131から読み出し、読み出した視聴ログに対応するターゲット情報(対応づけは上記類似度判定部111により行われる。)のデモグラフィック情報に含まれる属性や行動履歴に含まれる行動などにより、セグメントを特定する。なお、デモグラフィック属性や行動履歴に基づいてセグメントを決定する手法については周知の手法を用いるものとして、ここでは説明を省略する。セグメント特定部112はまた、各セグメントに含まれる視聴者の数を算出する。セグメント特定部112は、たとえば、当該セグメントに属する視聴者IDを含むターゲット情報を選択し、特定したターゲット情報に対応する視聴ログを特定し、特定した視聴ログに含まれる視聴者IDを重複を排除してカウントすることにより、セグメントに含まれる視聴者の数を算出することができる。
【0033】
評価部113は、テレビ番組がターゲティング広告に適合していることを評価する。評価部113は、視聴者のセグメントのばらつき度合に応じてターゲティング広告の適合度を決定する。たとえば、小学生も、10代の女子高生も、30代の会社員男性も視聴しているような番組の場合、同じ商品が全ての視聴者に訴求することは少なく、小学生、女子高生、会社員男性のそれぞれに異なる商品を訴求した方が広告効果が高いと考えられる。逆に、30代の女性会社員が主に視聴しているような番組であれば、広告を切り換えることなく従来通りのマス広告による広告効果が高いと考えられる。そこで、評価部113は、視聴者のセグメントのばらつき度合に応じて適合度を決定することができる。セグメントのばらつき度合は、セグメントの数で表してもよいし、セグメント間の関係性の遠さによって表してもよい。セグメント間の関係性の遠さは、たとえば、セグメントを構成する各種属性(本実施形態では、デモグラフィック属性の各属性と、行動履歴に基づいて求められる属性とが該当する。)を軸とした多次元空間における距離として把握することができる。カテゴリ変数となる属性については、ダミー変数に変換したうえで軸とすることができる。たとえば、評価部113は、セグメント数が多いほど適合度が高くなるように適合度を決定することができる。また、たとえば、性別と年代を用いたセグメントである場合に、男性を1、女性を0とし、年代について10代を0、20代を0.17、30代を0.33、40代を0.5、50代を0.67、60代を0.83、70以上を1として標準化したうえで距離を計算することができる。たとえば、視聴者のセグメントが10代男性と、40代女性の2つであったとすると、その距離は、10代-40代(0-0.5)の2乗+男性-女性(1-0)の2乗の平方根で、1.12と算出することができる。また、視聴者のセグメントが10代女性と20代女性であった場合は、10代-20代(0-0.17)の2乗+女性-女性(0-0)の2乗の平方根で、0.17と算出することができる。この距離が遠いほど適合度が高くなるように適合度を決定することができる。なお、評価部113は、属する視聴者数が少ないセグメントについては考慮しないようにしてもよい。たとえば、評価部113は、所定の人数以上のセグメントのばらつき度合に応じて適合度を決定することができる。
【0034】
視聴率算出部114は、視聴ログに基づいて視聴率を算出する。視聴率算出部114は従来の手法を用いて番組の視聴率を算出するものとし、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
番組情報送信部115は、テレビ番組の視聴率と、当該テレビ番組がターゲティング広告に適合している適合度とを含む情報(以下、番組情報という。)をユーザ装置20に送信する。ユーザ装置20では、受信した番組情報を表示し、放送局側では、視聴率に基づいて広告価格を決定するとともに、どのテレビ番組をアドレッサブル広告の対象にするかを決定することができる。
【0036】
広告ログ取得部121は、広告ログを取得する。本実施形態では、広告ログ取得部121は、受像機41から送信される広告ログを受信することで広告ログを取得するものとする。広告ログ取得部121は取得した広告ログを広告ログ記憶部133に登録する。本実施形態において、広告ログは、
図6に示した、受像機41において収集される広告ログと同様であるが、たとえば、受像機41を特定する情報を付帯させてもよい。
【0037】
広告頻度算出部122は、視聴者が広告を視聴した頻度を算出する。広告頻度算出部122は、広告ログから、広告IDおよび番組の組み合わせについて、視聴者1人あたりに表示された回数(広告ログの数を視聴者数で割った値)を算出することができる。なお、広告頻度算出部122は、たとえば、曜日ごとに集計を行ってもよい。また、広告頻度算出部122は、視聴者1人あたりではなく、当該番組において広告が表示された絶対数をカウントするようにしてもよい。また、広告頻度算出部122は、たとえば、過去一定期間(たとえば、1か月、3ヶ月、6ヶ月、1年など任意の期間を設定することができる。)における広告ログのみを集計対象としてもよい。
【0038】
評価部113は、広告頻度算出部122が算出した広告の視聴頻度に応じて適合度を補正する。評価部113は、視聴頻度が低いほど適合度を下げるように補正を行う。これにより、番組の視聴者のセグメントにばらつきが大きく、一般的にはアドレッサブル広告の適合度が高い場合であっても、マス広告による認知度の向上が十分でないときには、ターゲティング広告を行うより先にマス広告を行う方が効果的でありうるところ、そのような状況を評価値に反映することができる。また、評価部113は、視聴頻度が高いほど適合度を上げるように補正を行う。これにより、番組の視聴者のセグメントにばらつきが小さく、一般的にはマス広告の効果が高い場合であっても、広告の視聴頻度が高く商品が認知されているような場合には、マス広告に飽きや煩わしさを感じることがありうるところ、そのような状況を評価値に反映することができる。
【0039】
図11は、本実施形態の評価装置10が実行する処理の流れを示す図である。各放送局について以下の処理が行われる。
【0040】
評価装置10は、放送局で放送されるテレビ番組のそれぞれについて、以下の処理を行う。すなわち、類似度判定部111は、視聴ログとターゲット情報との対応づけを行う(S401)。上述したように、類似度判定部111は、視聴ログに基づいて把握される視聴行動のパターンと、ターゲット情報の視聴情報に基づいて把握される視聴行動のパターンとの類似度を算出し、類似度に応じて対応づけを行うことができる。
セグメント特定部112は、テレビ番組に対応する視聴ログに対応するターゲット情報に基づいて、視聴者が属するセグメントを特定する(S402)。なお、1人の視聴者は複数のセグメントに所属してよい。セグメント特定部112は、各セグメントについて所属している視聴者の数をカウントし、カウントした視聴者数が所定数以上であるセグメントを広告セグメントとする(S403)。
【0041】
評価部113は、広告セグメントのばらつき度合に応じて適合度を決定する(S404)。評価部113は、広告セグメントのばらつき度合が大きいほど適合度が大きくなるように決定することができる。上述のとおり、広告セグメントのばらつき度合は、たとえば、広告セグメントの数や広告セグメント間の距離とすることができる。
【0042】
評価部113は、広告の表示頻度に応じて適合度を補正する(S405)。広告頻度算出部122は、広告ログに含まれている広告IDおよび番組の組み合わせごとに、広告ログの数(表示数)をカウントするとともに、広告ログに含まれている重複ない視聴者IDの数(視聴者数)をカウントし、表示数を視聴者数で割って広告頻度を算出する。評価部113は、算出された広告頻度が低いほど適合度を下げ、当該広告頻度が高いほど適合度を上げるように補正を行う。評価部113は、たとえば、広告頻度が所定の第1閾値を下回った場合には、適合度から第1所定数を減算し、広告頻度が所定の第2閾値を超えた場合には、適合度に第2所定数を加算することができる。
【0043】
視聴率算出部114は、テレビ番組に対応する視聴ログを視聴ログ記憶部131から選択し、選択した視聴ログに基づいて視聴率を算出する(S406)。視聴率算出部114は、たとえば、選択した視聴ログに含まれている重複ない世帯IDの数をサンプル世帯数で割って視聴率とすることができる。
【0044】
以上の処理を各テレビ番組について行った後、番組情報送信部115は、各テレビ番組についての視聴率と適合度とを含む番組情報を作成して、ユーザ装置20に送信する(S407)。番組情報送信部115は、番組に対応する広告セグメントを説明する情報や、広告セグメントの数などを番組情報に含めるようにしてもよい。
【0045】
ユーザ装置20では、評価装置10から送信される番組情報を受信して、各番組についてのアドレッサブル広告の適合度とを表示することができる。
図12は、ユーザ装置20に表示される画面例を示す図である。
図12に示されるように、ユーザ装置20は、各テレビ番組の番組名に対応付けて、視聴率とアドレッサブル広告の適合度とを表示することができる。放送局では、ユーザ装置20の出力を参考に、どの番組でアドレッサブル広告を行うかを決定することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の評価装置10によれば、視聴ログに基づいて、テレビ番組がターゲティング広告(アドレッサブル広告)が有効かどうかの適合度を算出することができる。したがって、ターゲティング広告に向いた番組だけをアドレッサブル広告対応にすることが可能となり、リニア放送において多くの人にリーチして認知度を上げようとするマス広告の有効性は保持しつつ、アドレッサブル広告を効果的に採用することができる。
【0047】
また、本実施形態の評価装置10によれば、視聴ログに基づいて視聴者のセグメントを特定し、番組を視聴している視聴者のセグメント数に応じて、当該番組に係るターゲティング広告の適合度を求めることができる。幅広いセグメントの視聴者が視聴しているテレビ番組において全視聴者に向けたマス広告は、企業イメージのブランディングなどには有効であっても、利用者層が限られる商品の広告の場合には有効性が劣る。本実施形態の評価装置10によれば、視聴者のセグメントが多い場合には、ターゲティング広告が有効であると評価することができるので、放送局や広告主、広告代理店などのユーザは、本実施形態の評価装置10による評価を参照にして、どの番組がアドレッサブル広告に向いているかを容易に把握することができる。
【0048】
また、本実施形態の評価装置10によれば、セグメントに属する視聴者の数に応じて適合度を決定している。したがって、セグメントに分けながらも、ターゲティング広告の対象となる視聴者の数を考慮した適合度を決定することが可能となり、番組におけるターゲティング広告の有用性を正確に評価することができる。
【0049】
また、本実施形態の評価装置10によれば、広告の表示頻度に応じて適合度を補正することができる。したがって、視聴者のセグメントのばらつきが大きく、アドレッサブル広告に適していると評価される場合であっても、広告の表示頻度が低く、広告対象となるブランドや商品(サービスを含む。以下同じ。)の認知度が高まっていないような状況がありうるところ、そのような状況に鑑みて適合度を補正することができる。また、視聴者のセグメントのばらつきが小さく、アドレサブル広告にあまり適していない(マス広告に適している)と評価される場合であっても、広告の表示頻度が高く、広告対象となるブランドや商品の認知は十分に行き渡っており、マス広告により、ブランドや商品がむしろ飽きられてしまったり煩わしいと感じられてしまうような状況がありうるところ、そのような状況に鑑みて適合度を補正することができる。
【0050】
また、本実施形態の評価装置10によれば、ターゲティング情報にはデモグラフィック属性と行動履歴とが含まれており、年齢、性別、所得、職業などの属性に応じたターゲティング広告も、閲覧履歴やクリック履歴、購買履歴などの行動に応じた行動ターゲティングも含めたターゲティング広告の適合度を求めることができる。
【0051】
また、本実施形態の評価装置10によれば、視聴率とともに適合度をユーザ装置20に送信することができる。したがって、ユーザ側では、視聴率に応じた広告料金を想定しながら、当該番組をアドレッサブル広告対応にした場合のシミュレーションを行うことができる。
【0052】
また、本実施形態の評価装置10によれば、視聴ログとターゲット情報とを視聴パターンなどの類似度に応じて対応づけ、ターゲット情報に基づいて視聴者のセグメントを推定することができる。したがって、インターネットにおけるWebブラウザの閲覧履歴(行動履歴)などを利用して、リニア放送であるテレビ番組の視聴者をセグメント分けすることができる。したがって、視聴者の基本情報に限らず、幅広い属性や行動履歴などに基づいたターゲティング広告の対象となるセグメントの観点からテレビ番組の評価を行うことができる。
【0053】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
たとえば、本実施形態では、視聴ログとターゲット情報とを対応付け、ターゲット情報に基づいて視聴者のセグメントを特定するものとしたが、視聴ログ記憶部131に記憶されている視聴者属性を用いて視聴者のセグメントを求めるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、視聴ログは、サンプル世帯に設置したログ記録装置を用いて収集するものとしたが、これに限らず、たとえば、ログ記録装置による視聴ログに代えて、あるいはそれに加えて、テレビ受像機において記録した視聴ログ(デバイスログ)を用いるようにしてもよい。デバイスログについても、テレビ受像機が、視聴者によってボタンが押されたなどの行為によってどの視聴者が視聴したかを特定するようにしてもよいし、ログ記録装置が収集した視聴ログを機械学習させ、デバイスログからどのような世帯構成であり、どの構成員がどの番組を視聴したかを推定するようにしてもよい。
【0056】
また、テレビ受像機が、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯デバイスをリンクし、テレビ受像機が映像出力時に近傍に存在している携帯デバイスを認識することで、視聴者個人を特定し、デバイスログとして記録するようにすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、視聴率算出部114が視聴ログにもとづいて視聴率を算出するものとしたが、これに限らず、他で算出された視聴率の入力を受け付けるようにしてもよい。たとえば、視聴率算出部114は、ユーザから、番組を示す情報と当該情報が示す番組の視聴率とを受け付けるようにしてもよいし、視聴率を記憶している他のコンピュータ(たとえばデータベースサーバなど)にアクセスして番組ごとの視聴率を取得するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、放送局に対してアドレッサブル広告の適合度を送信するものとしたが、番組情報を、広告主や広告代理店などのユーザが使用するユーザ装置に送信するようにしてもよい。この場合、広告主や広告代理店など、広告の出稿者側において、適合度の高い番組をアドレッサブル広告にして欲しい旨を放送局にリクエストすることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、ターゲット情報には視聴者のデモグラフィック属性と行動履歴とが含まれるものとしたが、いずれか一方のみであってもよいし、たとえば視聴者の習慣、趣味、嗜好、価値観などを分析したサイコグラフィック属性などを含めるようにしてもよい。また、GPSなどにより収集した位置に基づくジオグラフィック情報を含めるようにしてもよい。さらに、検索エンジンに入力した検索キーワードを含む検索履歴を含めるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ターゲット情報は、アンケート調査やWebブラウザのクッキーの解析などにより収集するものとしたが、これに代えて、またはこれに加えて、Webサイト側におけるアクセスログや、販売店における販売履歴、広告配信サービスの運営者が計測しているクリック履歴などを収集するようにしてもよい。また、テレビ受像機がスマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯デバイスと連携し、連携した携帯デバイスから携帯デバイスの操作情報などの各種の履歴情報を取得してデバイスログとして記録するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、所定数以上の視聴者数が属するセグメントのみをカウントするようにしたが、これに限らず、たとえば、視聴者数による重み付けを行ったうえでセグメント数を合計して、適合度を算出するようにしてもよい。また、視聴者の属性に応じた重み付けをしたうえで視聴者の数を合計し、その重み付け視聴者数に応じてセグメント数をカウントするようにしてもよい。たとえば、少数でも富裕層が視聴している番組については、その富裕層のみをターゲットとしたターゲティング広告を展開したいというニーズが存在し得るところ、こうしたニーズを考慮してターゲティング広告の適合度を決定することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、広告ログは全て受像機41において作成されるものとしたが、これに限らず、受像機41は、アドレッサブル広告に係る広告ログのみを作成し、広告ログとともに、どの視聴者がどの期間にどのチャンネルを視聴していたかを示す視聴ログを評価装置10に送信するようにしてもよい。この場合、評価装置10が、放送局のサーバコンピュータにアクセスしたり、オペレータから入力を受け付けたりすることで、どのチャンネルでいつ(どの日時に)どの広告が表示されるかを示すリニア広告情報を取得し、当該リニア広告情報と、アドレッサブル広告の広告ログとに基づいて、どの広告をどの視聴者がいつ視聴したかを判定するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、評価部113によるアドレッサブル広告の適合度の補正は、広告主を考慮しない視聴頻度に応じて行うものとしたが、広告主を考慮した補正を行うようにしてもよい。たとえば、広告頻度算出部122は、広告主および番組の組み合わせについて、視聴者1人あたりの広告の表示回数を集計し、当該番組において当該広告主に係る広告が何回視聴されたかを計算し、この計算結果に応じて評価部133が補正を行うことができる。これにより、たとえば、広告主のブランディング広告としていくつかのパターンの広告を出稿していた場合に、広告主のブランド認知度が上がったと推定される表示回数(フリークエンシー)に応じて、アドレッサブル広告に切り換えるように判断可能な適合度を評価することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、評価部113によるアドレッサブル広告の適合度の補正は、具体的な商品を考慮しない視聴頻度に応じて行うものとしたが、具体的な商品を考慮した補正を行うようにしてもよい。たとえば、広告頻度算出部122は、各広告で広告対象となっている商品と番組との組み合わせについて、視聴者1人あたりの広告の表示回数を集計し、当該番組において当該商品に係る広告が何回視聴されたかを計算し、この計算結果に応じて評価部133が補正を行うことができる。これにより、たとえば、商品の広告としていくつかのパターンの広告を出稿していた場合に、当該商品の認知度が上がったと推定される表示回数(フリークエンシー)に応じて、アドレッサブル広告に切り換えるように判断可能な適合度を評価することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
10 評価装置
20 ユーザ装置
111 類似度判定部
112 セグメント特定部
113 評価部
114 視聴率算出部
115 番組情報送信部
131 視聴ログ記憶部
132 ターゲット情報記憶部