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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20221205BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20221205BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20221205BHJP
   C01B 32/159 20170101ALI20221205BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01J37/20 H
G01N1/28 F
G01N1/28 N
C01B32/168
C01B32/159
H01J37/28 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021208045
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】202110640244.6
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 新雨
(72)【発明者】
【氏名】陳 果
(72)【発明者】
【氏名】張 科
(72)【発明者】
【氏名】叢 琳
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-27602(JP,A)
【文献】特開2014-2123(JP,A)
【文献】特開2010-2355(JP,A)
【文献】特開平9-134693(JP,A)
【文献】特開2018-22620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 1/28
C01B 32/168
C01B 32/158
C01B 32/159
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察されるサンプルを提供するステップと、
カーボンナノチューブアレイを提供するステップであって、前記カーボンナノチューブアレイは、複数のカーボンナノチューブを含むステップと、
前記カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブフィルムを引き出し、前記カーボンナノチューブフィルムを前記サンプルの表面に置き、前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のスルーホールを有するステップと、
を含むことを特徴とする走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法。
【請求項2】
観察されるサンプルの材料は、絶縁材料又は導電性の悪い材料であることを特徴とする、請求項1に記載の走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブアレイから前記カーボンナノチューブフィルムを引き出すステップにおいて、引き伸ばす工具を利用して、前記カーボンナノチューブアレイから、一定の幅を有するカーボンナノチューブ束を選択して、前記カーボンナノチューブアレイから離す方向に前記引き伸ばす工具を移動して、選択された前記カーボンナノチューブ束を引き出し、隣接するカーボンナノチューブ束における複数のカーボンナノチューブは、端と端が接続され、引き出されることによって、連続的な前記カーボンナノチューブフィルムが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブフィルムは、自立構造を有するカーボンナノチューブフィルムであり、分子間力で端と端が接続され、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1に記載の走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるスルーホールの幅は、20ナノメートル~10マイクロメートルであることを特徴とする、請求項1に記載の走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)は、主に二次電子信号イメージングを利用してサンプルの表面形態を観察する電子光学機器である。つまり、非常に狭い電子ビームを使用してサンプルをスキャンし、電子ビームとサンプルとの相互作用のさまざまな効果、その中で主にサンプルの二次電子放出を用いることによって、サンプルの表面形態を観察する。二次電子は、サンプルの表面の拡大画像を生成することができ、この画像は、サンプルがスキャンされるタイミングで確立されるものである。つまり、拡大画像は、ポイントバイポイントイメージングを使用して取得されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、絶縁サンプルや導電率の悪いサンプルにとって、高い加速電圧で発生した電子が地面に導かれることできないため、サンプルの表面に帯電効果が生じ、走査型電子顕微鏡のイメージング観察に影響を及ぼす。従来技術では、金、白金、炭素などの導電層をサンプルの表面に吹き付け又は蒸着し、或いは導電性接着剤を使用してサンプルの表面をコーティングして、帯電効果を減少する。導電層/導電性接着剤がサンプルの表面に形成された後、それをサンプルから完全に除去することができないので、サンプルを再び使用することができない。
【0004】
上記技術問題を解決するために、走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法は、観察されるサンプルを提供するステップと、カーボンナノチューブアレイを提供するステップであって、前記カーボンナノチューブアレイは、複数のカーボンナノチューブを含むステップと、前記カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブフィルムを引き出し、前記カーボンナノチューブフィルムを前記サンプルの表面に置き、前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のスルーホールを有するステップと、を含む。
【0006】
観察されるサンプルの材料は、絶縁材料又は導電性の悪い材料である。
【0007】
前記カーボンナノチューブアレイから前記カーボンナノチューブフィルムを引き出すステップにおいて、引き伸ばす工具を利用して、前記カーボンナノチューブアレイから、一定の幅を有するカーボンナノチューブ束を選択して、前記カーボンナノチューブアレイから離す方向に前記引き伸ばす工具を移動して、選択された前記カーボンナノチューブ束を引き出し、隣接するカーボンナノチューブ束における複数のカーボンナノチューブは、端と端が接続され、引き出されることによって、連続的なカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0008】
前記カーボンナノチューブフィルムは、自立構造を有するカーボンナノチューブフィルムであり、分子間力で端と端が接続され、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。
【0009】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるスルーホールの幅は、20ナノメートル~10マイクロメートルである。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比べて、本発明から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法は、サンプルの表面にカーボンナノチューブフィルムを直接に置く点で相違する。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、優れた導電性を有するので、走査型電子顕微鏡で観察する時に、サンプルの表面の電子はカーボンナノチューブによって導かれ、それによってサンプルの表面の帯電効果を防ぎ、サンプルの形貌を明確に観察することができる。同時に、カーボンナノチューブフィルムはモノリシックフィルムの形式で存在し、接着性が低いので、サンプルが走査型電子顕微鏡に撮影された後、カーボンナノチューブフィルムがサンプルから完全に除去でき、残留物なしで、サンプルの損傷を引き起こすことはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態におけるカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図3】本発明の実施形態において、走査型電子顕微鏡で表面に「THU」の文字パターンがエッチングされた単結晶酸化マグネシウム基板(未処理)を直接に観察して得られた写真である。
図4】本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法で、図3の、表面に「THU」文字パターンがエッチングされた単結晶酸化マグネシウム基板を処理した後、走査型電子顕微鏡で単結晶酸化マグネシウム基板(処理後)を観察して得られた写真である。
図5】本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法で、図3の、表面に「THU」文字パターンがエッチングされた単結晶酸化マグネシウム基板を処理した後、異なる加速電圧のもとで、走査型電子顕微鏡で単結晶酸化マグネシウム基板(処理後)を観察して得られた写真である。
図6】表面に「THU」の文字パターンがエッチングされた石英ガラス基板(未処理)を、走査型電子顕微鏡で直接に観察して得られた写真である。
図7】本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法で、図6の、表面に「THU」文字パターンがエッチングされた石英ガラス基板を処理した後、走査型電子顕微鏡で石英ガラス基板(処理後)を観察して得られた写真である。
図8図7の処理されたサンプルから、カーボンナノチューブフィルムを剥離した後、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察して得られた写真である。
図9】走査型電子顕微鏡で、導電性接着剤がコーティングされた図6の石英ガラス基板(処理後)を観察して得られた写真である。
図10図9の石英ガラス基板の表面から、導電性接着剤を除去した後、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察して得られた写真である。
図11】倍率が2000倍であるとき、図6の写真の一部の領域の写真である。
図12】倍率が2000倍であるとき、図8の写真の一部の領域の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面及び具体的な実施例を参照して、本発明の一態様による走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法をさらに詳細に説明する。
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施例は、走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法を提供し、走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法は、以下のステップを含む。
【0014】
S1:観察されるサンプルを提供する。
【0015】
S2:カーボンナノチューブアレイを提供し、カーボンナノチューブアレイは、複数のカーボンナノチューブを含む。
【0016】
S3:カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブフィルムを引き出し、カーボンナノチューブフィルムをサンプルの表面に置き、カーボンナノチューブフィルムは複数のスルーホールを有する。
【0017】
ステップS1において、観察されるサンプルの観察されるべき部分は、絶縁材料又は導電性の悪い材料である。
【0018】
ステップS2において、カーボンナノチューブアレイは、基本的に、アモルファスカーボン又は残留触媒金属粒子などの不純物を含まない。カーボンナノチューブアレイは基本的に不純物を含まず、カーボンナノチューブ同士が密着して、隣接するカーボンナノチューブは大きな分子間力を有するので、カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブセグメント)を引き出す時に、隣接するカーボンナノチューブは、分子間力で端と端が接続され、連続的に引き出される。これによって、連続的な、自立構造を有するカーボンナノチューブフィルムを形成する。カーボンナノチューブが端と端で接続され、連続的に引き出すことができるカーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイとも呼ばれる。超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は限定されず、本実施形態では化学気相堆積法を採用する。
【0019】
ステップS3では、まず、ピンセットなどの引き伸ばす工具を利用して、カーボンナノチューブアレイから、一定の幅を有するカーボンナノチューブ束を選択して、カーボンナノチューブアレイから離す方向に引き伸ばす工具を移動して、選択されたカーボンナノチューブ束を引き出す。カーボンナノチューブ束は、並んで配置された複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブ束における複数のカーボンナノチューブは、端と端が接続され、引き出されることによって、連続的なカーボンナノチューブフィルムが形成される。次に、カーボンナノチューブアレイから引き出されたカーボンナノチューブフィルムを観察されるサンプルの表面に直接に置き、余分なカーボンナノチューブフィルムを切断する。観察されるサンプルの表面は、単層のカーボンナノチューブフィルムで覆われる。
【0020】
ステップS3において、走査型電子顕微鏡のサンプルの表面に一層のカーボンナノチューブフィルムを置くだけでよく、複数の層のカーボンナノチューブフィルムを置く必要はない。
【0021】
カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出されたカーボンナノチューブフィルムは、端と端が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。より具体的には、カーボンナノチューブフィルムは、自立構造を有したカーボンナノチューブフィルムであり、カーボンナノチューブフィルムは、基本的に同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。図2を参照すると、カーボンナノチューブフィルムにおいて、カーボンナノチューブは、同じ方向に配列する。即ち、カーボンナノチューブフィルムにおける大多数のカーボンナノチューブの延伸方向は、基本的に同じ方向に沿って、且つ大多数のカーボンナノチューブの延伸方向は、カーボンナノチューブフィルムの表面に平行に配列される。更に、カーボンナノチューブフィルムにおける大多数のカーボンナノチューブは、分子間力で端と端が接続される。具体的には、カーボンナノチューブフィルムにおける、基本的に同じ方向に沿って延伸する大多数のカーボンナノチューブの中の各カーボンナノチューブは、延伸方向で隣接するカーボンナノチューブと分子間力で端と端が接続される。これによって、カーボンナノチューブフィルムが自立機能を有する。カーボンナノチューブフィルムは、複数の隙間を有する。即ち、隣接するカーボンナノチューブの間に隙間を有する。従って、カーボンナノチューブフィルムは、良好な透明性を有する。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの間の隙間は、カーボンナノチューブフィルムにおけるスルーホールである。スルーホールの幅は、20ナノメートル~10マイクロメートルである。
【0022】
走査型電子顕微鏡でサンプルを観察した後、更にサンプルからカーボンナノチューブフィルムを分離するステップを含む。サンプルからカーボンナノチューブフィルムを分離するステップには、表面にカーボンナノチューブフィルムが置かれたサンプルを純水に置き、5分~10分間超音波処理し、カーボンナノチューブフィルムとサンプルが分離されるステップを含む。カーボンナノチューブフィルムとサンプルが分離された後、サンプルの表面にカーボンナノチューブが残ることはなく、サンプルの再利用に影響を与えることはない。
【0023】
本発明の実施形態から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法によって処理されたサンプルの表面に一層のカーボンナノチューブフィルムが置かれ、カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが良好な導電性を有するので、走査型電子顕微鏡で観察するときに、サンプルの表面の電子はカーボンナノチューブによって導かれ、サンプルの表面の帯電効果が防止される。本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法によって処理されたサンプルは、サンプルの表面に金属めっきを吹き付けたり導電性接着剤をコーティングしたりすることなく、走査型電子顕微鏡で絶縁性又は導電性の悪いサンプルを明確に観察することができる。同時に、カーボンナノチューブフィルムはモノリシックフィルムの形式で存在し、接着性が悪いので、走査型電子顕微鏡に撮影された後、カーボンナノチューブフィルムは、サンプルから直接に引き剥がすことができ、残留物なしで、サンプルに損傷を引き起こすことはない。
【0024】
対比例1:
単結晶酸化マグネシウム基板を提供し、基板の表面に「THU」の文字パターンをエッチングして、観察されるサンプルを取得し、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察する。図3を参照すると、走査型電子顕微鏡でサンプル(未処理)を直接に観察する。単結晶酸化マグネシウムは絶縁材料であるので、サンプルの表面に帯電効果が発生し、走査型電子顕微鏡(SEM)のイメージングを観察することに影響を与える。従って、得られた写真によって、単結晶酸化マグネシウム基板の表面の画像をはっきりと観察することができない。図4を参照すると、本発明の実施形態から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法によりサンプルを処理した後、サンプルの表面の画像をはっきりと観察することができる。これは、本発明の実施形態によって提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法によって処理されたサンプルは、サンプルの表面に金属めっきを吹き付けたり導電性接着剤をコーティングしたりすることなく、走査型電子顕微鏡で絶縁性又は導電性の悪いサンプルをはっきりと観察できることが説明される。図5を参照すると、異なる加速電圧の下で、走査型電子顕微鏡がサンプルをはっきりと観察することができる。
【0025】
対比例2:
石英ガラス基板を提供し、基板の表面に「THU」の文字パターンをエッチングして観察されるサンプルを取得し、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察する。図6を参照すると、走査型電子顕微鏡でサンプル(未処理)を直接に観察する。石英ガラスは絶縁材料であるので、サンプルの表面に帯電効果が発生し、走査型電子顕微鏡のイメージングを観察することに影響を与える。従って、得られた写真によって、石英ガラス基板の表面の画像をはっきりと観察することができない。図7を参照すると、本発明の実施形態から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法によりサンプルを処理した後、サンプルの表面の画像をはっきりと観察することができる。図8を参照すると、サンプルを観察した後、サンプルの表面に置かれたカーボンナノチューブフィルムを剥がし、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察すると、サンプルの表面にカーボンナノチューブフィルムが残らないことが分かる。これは、カーボンナノチューブフィルムがモノリシックフィルムの形式で存在し、その接着性が弱いので、走査型電子顕微鏡に撮影された後、カーボンナノチューブフィルムをサンプルから直接に引き剥がすことができ、残留物なしで、サンプルの損傷を引き起こすことはない。
【0026】
対比例3:
石英ガラス基板を提供し、基板の表面に「THU」の文字パターンをエッチングして、観察されるサンプルを取得し、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察する。図9を参照すると、従来技術のサンプルの処理方法で、サンプルを処理する。即ち、サンプルの表面に導電性接着剤をコーティングし、低倍率で拡大するとき、サンプルの表面の画像もはっきりと観察できる。図10を参照すると、サンプルの観察が終了した後、従来の方法でサンプルの表面にコーティングされた導電性接着剤を除去し、走査型電子顕微鏡でサンプルを観察して、サンプルの表面に導電性接着剤が残ることが分かる。サンプルと導電性接着剤を完全に分離することができないので、サンプルを再度使用することができない。
【0027】
対比例4:
石英ガラス基板を提供し、基板の表面に「THU」の文字パターンをエッチングした後、観察されるサンプルを取得する。サンプル1とサンプル2の二つの同じサンプルを提供する。サンプル1は、本発明の実施形態から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法を採用して処理されるものである。即ち、サンプルの表面に一層のカーボンナノチューブフィルムを置く。サンプル2は、従来技術のサンプルの処理方法を採用して処理されるものである。即ち、サンプルの表面に導電性接着剤をコーティングする。15kVの加速電圧で、走査型電子顕微鏡で2分以上の時間を観察し、拡大倍率は20000倍である。図11を参照すると、サンプル1の表面が変化はない。図12を参照すると、サンプル2の表面にコーティングされた導電性接着剤が炭化され、次いで導電性接着剤が変性される。これにより、従来技術のサンプルの処理方法と比較して、本発明の実施形態から提供される走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法により処理されたサンプルが、高い拡大倍率で観察することに適することが説明される。
【0028】
また、当業者であれば、本発明の精神の範囲内で他の変更を行うことができる。もちろん、本発明の精神に従ってなされたこれらの変更は、いずれも本発明の保護請求する範囲に含まれるべきである。
【要約】
【課題】本発明は、走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法を提供する。
【解決手段】走査型電子顕微鏡のサンプルの処理方法は、観察されるサンプルを提供するステップと、カーボンナノチューブアレイを提供するステップであって、前記カーボンナノチューブアレイは、複数のカーボンナノチューブを含むステップと、前記カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブフィルムを引き出し、前記カーボンナノチューブフィルムを前記サンプルの表面に置き、前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のスルーホールを有するステップと、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12