(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2017186235
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-006494(JP,A)
【文献】特開2014-097375(JP,A)
【文献】特開2007-029420(JP,A)
【文献】特開2017-029789(JP,A)
【文献】特開2016-179279(JP,A)
【文献】特開2016-067395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装飾部を
遊技盤の前面に沿って並べて備える複合装飾部材を移動させて演出を行う遊技機であって、
前記複合装飾部材の移動に伴い、前記複数の装飾部のうちの何れかの前記装飾部である特別装飾部以外の複数の前記装飾部が並び列を保ったまま移動する一方で、前記特別装飾部が前記特別装飾部以外の前記複数の装飾部の列からズレて移動する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装飾部材を有する遊技機が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-029789号(段落[0022]、
図4,7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装飾部材による演出の趣向性の向上を図ることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、複数の装飾部を遊技盤の前面に沿って並べて備える複合装飾部材を移動させて演出を行う遊技機であって、前記複合装飾部材の移動に伴い、前記複数の装飾部のうちの何れかの前記装飾部である特別装飾部以外の複数の前記装飾部が並び列を保ったまま移動する一方で、前記特別装飾部が前記特別装飾部以外の前記複数の装飾部の列からズレて移動する遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、合体状態における装飾部材の外観不良を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】(A)第1回転位置に配置された回転アームと第1移動部材を模式的に示した図、(B)第2回転位置に配置された回転アームと第1移動部材を模式的に示した図
【
図7】(A)第1回転位置に配置された回転アームと第2移動部材を模式的に示した図、(B)第2回転位置に配置された回転アームと第2移動部材を模式的に示した図
【
図8】下部可動役物が前進位置に配置されたときの遊技盤の正面図
【
図10】上部可動役物ユニットからベースプレートを除いた部分の背面図
【
図11】(A)第1回動部材が待機位置に配置されたときの上部可動役物ユニットを模式的に示す正面図、(B)上部可動役物ユニットの構成を模式的に示す底面図
【
図12】第1回動部材が演出位置に配置されたときの上部可動役物ユニットを模式的に示す正面図
【
図13】第2回動部材が重なり位置に配置されたときの第1回動部材の内部構造を示す断面図
【
図14】第2回動部材が展開位置に配置されたときの第1回動部材の内部構造を示す断面図
【
図15】第2回動部材が重なり位置に配置されたときの扇状ギアとラックの配置を示す断面図
【
図16】第2回動部材が展開位置に配置されたときの扇状ギアとラックの配置を示す断面図
【
図18】連動演出が行われているときの遊技盤の正面図
【
図19】連動演出を行う上部可動役物ユニットと下部可動役物ユニットを模式的に表した(A)正面図、(B)背面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10は、パチンコ遊技機であって、前側が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して
図2に示される遊技盤11の遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0010】
図1に示されるように、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には発射用ハンドル28が設けられている。発射用ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0011】
図2に示されるように、遊技領域R1は全体が略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが視認可能となっている。
【0012】
表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれ、遊技盤11の前面から突出して遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0013】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、センター始動入賞口14A及びアウト口16が、上から順に並べて設けられている。センター始動入賞口14Aは、ポケット構造をなし、その上面の開口部に遊技球が入球すると特別図柄当否判定が行われて、その特別図柄当否判定の結果が表示画面13Gにて表示される。
【0014】
表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が設けられると共に、表示装飾枠23の右辺部のうち始動ゲート18より下方位置には、サイド始動入賞口14Bが形成されている。始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、遊技球が始動ゲート18を通過すると普通図柄当否判定が行われる。また、サイド始動入賞口14Bは、右側に開口し、可動片14Hによって開閉される。具体的には、可動片14Hは、通常は、鉛直に起立した閉位置に配置され、上述の普通図柄当否判定の結果が当りとなったことを条件にして、下端部を中心に回動し、横倒しとなった開位置(
図2に示される位置)に配置される。開位置に配置された可動片14Hは、上方から流下する遊技球を受け止めてサイド始動入賞口14Bへと案内する。センター始動入賞口14Aと同様に、サイド始動入賞口14Bに遊技球が入球したときも、特別図柄当否判定が行われ、その結果が表示画面13Gにて表示される。
【0015】
表示装飾枠23の右下には、左下がりに傾斜し且つ複数の球落下口25Aを有した傾斜誘導部25が形成されている。傾斜誘導部25は、表示装飾枠23の右側に形成された右側流下路24Rを流下してきた遊技球を受け止めて左側へと誘導し、球落下口25Aから遊技球を落下させる。なお、本実施形態では、傾斜誘導部25は、複数の釘を列状に並べて構成される道釘と、樹脂ブロック19の上面19Jとで構成されている。
【0016】
本実施形態では、傾斜誘導部25に設けられた球落下口25Aが2つとなっている。そして、左側の球落下口25Aの下方に、第1大入賞部31の第1大入賞口31Kと第2大入賞部32の第2大入賞口32Kが上下に並べて設けられている。また、右側の球落下口25Aの下方には、遊技球を受け入れて第2大入賞口32Kより下方に流下させる迂回路25Uが設けられている。
【0017】
第1大入賞口31Kは、横長矩形状をなして前方に開放し、第1開閉扉31Tによって開閉される。第1開閉扉31Tは、第1大入賞口31Kの下辺部を中心にして回動可能となっていて、通常は、略鉛直に起立した起立姿勢に保持されて、第1大入賞口31Kを閉塞している。第2大入賞口32Kは、第1大入賞口31Kより幅広な横長矩形状をなして前方に開放し、第2開閉扉32Tによって開閉される。第2開閉扉32Tは、第2大入賞口32Kの下辺部を中心にして回動可能となっていて、通常は、略鉛直に起立した起立姿勢に保持されて、第2大入賞口32Kを閉塞している。なお、第1大入賞口31Kと第2大入賞口32Kとは、右辺部が揃えて配置されている。
【0018】
第1大入賞口31Kと第2大入賞口32Kは、上述した特別図柄当否判定の結果が当りとなったことを条件にして行われる大当り遊技の実行中に開放される。具体的には、大当り遊技が実行されると、第1開閉扉31Tと第2開閉扉32Tの何れか一方が、所定期間(例えば、10秒)に亘って前方に倒れる。これにより、第1大入賞口31Kと第2大入賞口32Kの何れか一方に遊技球が入球可能となる。ここで、何れか一方の大入賞口31K,32Kを入賞可能状態(所定期間内に繰り返し行われる開閉動作も含む)としてから入賞不可状態とするまでの(開放状態から閉塞状態までの)動作を「ラウンド」と称すると、1回の大当り遊技は、所定回数(例えば、16ラウンド)のラウンドが実行されるまで継続する。1回のラウンドは、大入賞口31K,32Kの開放時間が予め設定された上限時間に達するか、又は、規定上限数(例えば、10個)の遊技球が入賞すると終了する。なお、本実施形態では、第1大入賞口31Kは、所定のラウンド(例えば、3ラウンド目)で開放される。
【0019】
図2に示されるように、遊技領域R1には、遊技球が入球可能な一般入賞口21が複数設けられている。一般入賞口21は、センター始動入賞口14Aと同様に、ポケット構造をなし、遊技球を受け入れ可能となっている。詳細には、一般入賞口21は、遊技領域R1における左下部分とサイド始動入賞口14Bの右側に配置されている。なお、センター始動入賞口14A、サイド始動入賞口14B、第1大入賞口31K、第2大入賞口32K及び一般入賞口21の何れかに遊技球が入球すると、各入賞口に対応して設定された所定数の賞球が上皿26に払い出される。また、上記の何れの入賞口にも入球しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に取り込まれる。
【0020】
遊技盤11の裏側には、
図3に示される機構枠17が備えられている。機構枠17には、下部可動役物ユニット100及び上部可動役物ユニット200を含む種々の部品が固定されている。なお、機構枠17の内側の開口部17Aは、遊技盤11の表示開口11H(
図2参照)に重ねられて、表示装置13の表示画面13Gを視認可能とする。
【0021】
[下部可動役物ユニット100]
図4に示されるように、下部可動役物ユニット100は、機構枠17の下辺部に固定される下部固定ベース101に、下部可動役物100Yと、下部可動役物100Yを下部固定ベース101に対して移動させる下部駆動機構130と、を取り付けた構成になっている。本実施形態では、下部可動役物100Yは、第1移動部材110と第2移動部材120の2つの移動部材からなる。
【0022】
下部固定ベース101は、上部に開口101Kを有するケース状に形成され、第1移動部材110と第2移動部材120を内部に収容可能に構成されている。下部固定ベース101の前壁102の左右方向の中間部には、右側を後側に引っ込ませる段差部102Dが設けられている。前壁102のうち段差部102Dより右側の後側引込部位103に下部駆動機構130が固定され、前壁102のうち段差部102Dより左側の前側迫出部位104の前面に装飾プレート105が重ねて固定されている。
【0023】
図5に示されるように、第1移動部材110及び第2移動部材120は、前後に扁平な板状をなし、下部固定ベース101の内部に収容された状態で前壁102の前側迫出部位104に後側から重ねられている。具体的には、前側迫出部位104の後ろに第1移動部材110が重ねられ、第1移動部材110の後ろに第2移動部材120が重ねられる。なお、前壁102の段差部102Dは左下がりに傾斜し(下部固定ベース101を後側から見た
図5では、右下がりに傾斜している。)、第1移動部材110及び第2移動部材120は段差部102Dに沿って配置されている。
【0024】
図6(A),(B)には、前壁102と第1移動部材110を後側から見た図が示されている。また、
図7(A),(B)では、前壁102と第1移動部材110と第2移動部材120を後側から見た図が示されている。
図6(A),(B),7(A),(B)では、各部材同士の区別を容易にするために、第1移動部材110が灰色で示されている。
【0025】
図6(A),(B)に示されるように、前壁102の後面には、段差部102Dと同様に左下がりに傾斜した第1直動ガイド孔106が設けられている。第1直動ガイド孔106は対をなして設けられ、一方の第1直動ガイド孔106は後側引込部位103に形成され、他方の第1直動ガイド孔106は前側迫出部位104に形成されている。
【0026】
図6(A)に示されるように、第1移動部材110は、縦長長方形状をなすベース部111と、ベース部111から側方に突出した側方張出部112と、ベース部111の前面に重ねて固定された装飾プレート115(
図4,5参照)と、を備えている。なお、装飾プレート115には、装飾プレート105と同様の装飾が施されている。
【0027】
ベース部111は前壁102の前側迫出部位104に重ねられ、側方張出部112は前壁102の後側引込部位103に後側から重ねられる。そして、ベース部111の一辺が段差部102Dに沿って配置されている。ベース部111の下端部には、前側迫出部位104に設けられた第1直動ガイド孔106と係合して第1直動ガイド孔106に沿って移動するスライダ113が固定されている。また、側方張出部112の下端部には、後側引込部位103に設けられた第1直動ガイド孔106と係合して第1直動ガイド孔106に沿って移動するスライダ114が固定されている。
【0028】
ベース部111には、第1直動ガイド孔106と略平行に延びる第2直動ガイド孔116が設けられている。第2直動ガイド孔116は、前側迫出部位104に設けられた第1直動ガイド孔106を幅方向に挟むように対をなして設けられている。また、側方張出部112の上端寄り部分には、第1直動ガイド孔106と直交する方向に沿って延びる第1長孔117が形成されている。
【0029】
図5,7(A)に示されるように、第2移動部材120は、長方形状をなすベース部121の上側部分の前面に装飾プレート125が重ねて固定されてなり、第1移動部材110のベース部111に重ねられている。なお、装飾プレート125には、装飾プレート115と同様の装飾が施されている。
【0030】
第2移動部材120のベース部121の下端部には、第1移動部材110に設けられた1対の第2直動ガイド孔116,116と係合してそれら1対の第2直動ガイド孔116に沿って移動する1対のスライダ122,122が固定されている。また、ベース部121の下端部には、第2直動ガイド孔116と直交する方向に沿って延びる第2長孔127が形成されている。
【0031】
図4,5に示されるように、下部駆動機構130は、回転駆動源131と、回転駆動源131によって回転駆動される回転アーム132と、回転駆動源131からの動力を回転アーム132に伝達する複数の動力伝達ギア133と、を備えている。回転アーム132は、下部固定ベース101の前壁102に後側から重ねられて前壁102の後側引込部位103に回転可能に支持されている。回転アーム132は、通常は、回転軸部132Jから水平方向に沿って左側、即ち、前側迫出部位104側へと延びた第1回転位置(
図7(A)参照)に配置され、回転駆動源131によって駆動されると、回転軸部132Jから左斜め上側へ延びた第2回転位置(
図7(B)参照)に配置される。
【0032】
図6(A)に示されるように、回転アーム132の中間部には、第1移動部材110の側方張出部112に設けられた第1長孔117と係合する第1係合突起134が形成されている。また、
図7(A)に示されるように、回転アーム132の先端部には、第2移動部材120のベース部121に設けられた第2長孔127と係合する第2係合突起135が形成されている。
【0033】
図6(A)から
図6(B)への変化に示されるように、回転アーム132が第1回転位置から第2回転位置へと回転すると、回転アーム132の中間部に設けられた第1係合突起134が第1移動部材110の第1長孔117の内面を押し上げ、第1移動部材110が1対の第1直動ガイド孔106,106に沿って上側へと移動する。このとき、
図7(A)から
図7(B)への変化に示されるように、回転アーム132の先端部に設けられた第2係合突起135が第2移動部材120の第2長孔127の内面を押し上げる。ここで、第2係合突起135は第1係合突起134よりも回転アーム132の先端側に設けられているので、第1係合突起134が第1移動部材110を持ち上げる量よりも第2係合突起135が第2移動部材120を持ち上げる量の方が大きくなる。従って、第2移動部材120は、第1移動部材110の1対の第2直動ガイド孔116,116に沿って上側に移動する。そして、回転アーム132が第2回転位置に配置されると、下部固定ベース101から第1移動部材110が上方に突出し、第1移動部材110に対して第2移動部材120が上方に突出する(
図7(B)参照)。
【0034】
このように、本実施形態の遊技機10では、回転駆動源131(
図4参照)の駆動によって第1移動部材110と第2移動部材120とからなる下部可動役物100Yが上下方向に対して斜めに移動する。そして、下部可動役物100Yは、
図3に示される後退位置と
図8に示される前進位置との間を移動する。下部可動役物100Yが前進位置に配置されると、下部固定ベース101に固定された装飾プレート105と、第1移動部材110に固定された装飾プレート115と、第2移動部材120に固定された装飾プレート125と、が直線状に並び、1つの棒状の意匠を構成する(
図8では、装飾プレート105,115,125が灰色で示されている。)。なお、
図3に示されるように、後退位置に配置された下部可動役物100Yと装飾プレート105は、下部カバー部材107に前側を覆われて、視認困難となっている。下部カバー部材107は、下部可動役物100Yの前進位置への移動に連動して、装飾プレート105を露出させるように移動する(
図8参照)。
【0035】
[上部可動役物ユニット200]
図9~11に示されるように、上部可動役物ユニット200は、機構枠17の上辺部に固定される上部固定ベース201と、上部固定ベース201に支持されて遊技盤11の前面に沿って回動可能な第1回動部材210と、第1回動部材210に支持されて遊技盤11の前面に沿って回動可能な第2回動部材220と、上部固定ベース201に支持されて第1回動部材210及び第2回動部材220を前側から覆うカバー部材250と、備えている。
【0036】
図11(A),(B)に示されるように、上部固定ベース201は、横長矩形状をなすベースプレート202に第1回動部材210を駆動するための駆動源210Kを固定して備える。詳細には、ベースプレート202の左右方向の中間部には、凹部202A(
図11(B)参照)が設けられていて、駆動源210Kはベースプレート202のうち凹部202Aよりも右側の部位203(以下、ベース右側部位203という。)の後面に取り付けられている。ベース右側部位203の前面には、駆動源210Kによって駆動される駆動レバー206が回転可能に取り付けられている。駆動レバー206は、通常は、回動軸部206J(
図10参照)から左斜め上方へと延びる第1レバー位置(
図10に示される駆動レバー206の位置)に配置され、駆動源210Kにより駆動されて回動軸部206Jから左斜め下方へと延びる第2レバー位置(図示せず)に配置される。凹部202Aの奥面には、上部装飾プレート205((
図11(B),19(A)参照))が重ねて固定されている。なお、駆動レバー206は、第1レバー位置に配置されたときに、上部装飾プレート205に前側から重なる。
【0037】
ベースプレート202のうち凹部202Aよりも左側の部位(以下、ベース左側部位204という。)には、第1回動部材210とカバー部材250が取り付けられている。ベース左側部位204の左端部からは、第1回動部材210及びカバー部材250を左側方から覆うカバー突部207が突出している。
【0038】
図10,11(A)に示されるように、第1回動部材210は、横長の雲形をなす平板状に形成され、その左側端部(第1回動部材210を後側から見た
図10では右側の端部)にベースプレート202の左上部に支持された回動軸部210Jを有している。また、第1回動部材210の後面には、駆動レバー206に形成された長孔206Nと係合するスライダ211(
図10参照)が固定されている。そして、この長孔206Nとスライダ211の係合によって、第1回動部材210は、駆動レバー206からの動力を受けて回動軸部210Jを中心に回動可能となっている。なお、第1回動部材210は、通常は、回動軸部210Jから右側へ延びてベースプレート202に固定された上部装飾プレート205を前側から覆う待機位置(
図9,11(A))に配置され、所定の演出条件が成立したときに、回動軸部210Jから右斜め下方へ延びて上部装飾プレート205を視認可能にする演出位置(
図12,19(A))に配置される。
【0039】
図10に示されるように、第1回動部材210の後面には、係止フック212が設けられている。係止フック212には、上下方向に沿って延びる引張りバネ213の下端が引っ掛けられている。引張りバネ213の上端は、上部固定ベース201の前面に設けられた図示しない係止フックに引っ掛けられている。そして、引張りバネ213によって第1回動部材210は、上側に付勢されている。
【0040】
図11(A),(B)に示されるように、第2回動部材220は、第1回動部材210よりも短い横長の雲形をなす平板状に形成され、第1回動部材210の右側部分に前側から重ねられている。そして、第2回動部材220は、その右側端部に第1回動部材210に支持された回動軸部220J(
図11(B),13参照)を有している。第2回動部材220は、第1回動部材210の回動に連動して、第1回動部材210に対し回動軸部220Jを中心に回動する。
【0041】
具体的には、
図13に示されるように、第2回動部材220は、中継リンク230にも回動可能に支持されている。中継リンク230は、ベースプレート202の左側部に回転自在に支持され、回転中心230Cから右側へ延びて第1回動部材210を貫通している。そして、中継リンク230の先端部に、第2回動部材220が回動可能に支持されている。ここで、中継リンク230の回転中心230Cは、第1回動部材210の回動軸部210Jからずれた位置に配置されている。また、第2回動部材220のうち中継リンク230との連結部位234は、第2回動部材220の回動軸部220Jとは異なる位置に配置されている。
【0042】
図13から
図14への変化に示されるように、第1回動部材210が待機位置から演出位置へ回動すると、第1回動部材210に支持された第2回動部材220の回動軸部220Jも第1回動部材210の回動軸部210Jの回りに回動する。このとき、第2回動部材220における回動軸部220Jと連結部位234との間隔及び中継リンク230の回転中心230Cと連結部位234との間隔は一定となっているので、回動軸部220Jと連結部位234を結ぶ直線L1と連結部位234と中継リンク230の回転中心230Cを結ぶ直線L2とがなす角度を変化させるように、中継リンク230が回転中心230Cを中心に回転し、第2回動部材220が回動軸部220Jを中心に回動する。その結果、本実施形態の遊技機10では、第1回動部材210が待機位置に配置されたときに、第2回動部材220が第1回動部材210に重ねられた重なり位置(
図11(A),13参照)に配置され、第1回動部材210が演出位置に配置されたときに、第2回動部材220は、その左側部分が第1回動部材210に対して下側にずれた展開位置(
図12,14参照)に配置される。
【0043】
図9,11(A),(B),12に示されるように、第2回動部材220の前面には、中央装飾部材225が回転可能に取り付けられている。中央装飾部材225は、第2回動部材220が第1回動部材210に対して回動するときに、その回動に連動して回転する。
【0044】
具体的には、中央装飾部材225は、装飾部本体225Aの右下隅部から張出部225Bが張り出した構造になっていて(
図12参照)、装飾部本体225Aが第2回動部材220の左側部分に前側から重ねられている。張出部225Bには、第2回動部材220の長手方向の中間部に支持される回動軸部225Jが備えられている。
図15に示されるように、回動軸部225Jには、外側に半円状に張り出した扇状ギア226が一体に形成されていて、この扇状ギア226が第1回動部材210に設けられたラック227と噛合している。ラック227は、第2回動部材220の回動軸部220Jを中心とする円弧状に形成されている。そして、
図16に示されるように、第2回動部材220が第1回動部材210に対して回動軸部220Jを中心に回動すると、扇状ギア226がラック227に対して移動すると共に回転し、中央装飾部材225が第2回動部材220に対して回動軸部225Jを中心に回動する。
【0045】
図9,11,12に示されるように、カバー部材250は、横長の支持ベース251の両端部に左側装飾部材252と右側装飾部材253を固定して備えている。支持ベース251は、左右方向に延在する天井壁の前端からカバー壁が垂下してなるフード部251Aと、フード部251Aから右側に延設されたアーム部251Bと、を備えている(
図9,11(A))。なお、アーム部251Bの右側の端部には、上部固定ベース201の右側部に備えられた係合突部208の係合溝208Aと係合することで、上部固定ベース201から前側に離れることを抑制する抜止片251Hが設けられている(
図11(B))。
【0046】
支持ベース251のフード部251Aは、上部固定ベース201のベースプレート202の左上部に回転自在に取り付けられている。このため、カバー部材250は、自重によって正面視時計方向に回転しようとする。この回転を抑制するため、カバー部材250のアーム部251Bには、
図9に示される吊上げバネ255が取り付けられている。本実施形態では、カバー部材250の回動中心は、第1回動部材210の回動軸部210Jと同じ位置に配置されているが、異なる位置に配置されてもよい。なお、カバー部材250の回転は、アーム部251Bに設けられた抜止片251Hが係合溝208Aの内面のうち上側を向く面と当接することで規制されてもよい。この場合には、吊上げバネ255は、カバー部材250の衝撃を吸収する。
【0047】
図9に示されるように、吊上げバネ255は、上下方向に沿って延びる引張りバネで構成されている。吊上げバネ255の上端部は、上部固定ベース201のベースプレート202に固定され、吊上げバネ255の下端部は、アーム部251Bに固定されている。そして、吊上げバネ255は、カバー部材250(詳細には、アーム部251B)を上方に付勢して、カバー部材250の正面視時計方向への回転を抑制する。また、吊上げバネ255は、カバー部材250が下方から力を受けたときにカバー部材250が上方へ移動することを許容する。なお、吊上げバネ255のバネ定数は、上述した引張りバネ213(
図10参照)のバネ定数よりも小さくなっている。
【0048】
図11(A),12に示されるように、左側装飾部材252は、カバー部材250の支持ベース251の前面に固定された第1装飾部252Aと、第1装飾部252Aに対して遊技盤11の前面に沿って回動可能な第2装飾部252Bと、で構成されている。第2装飾部252Bは、第1装飾部252Aに近接配置されて第1装飾部252Aとの間に隙間を形成しない近接位置(
図11(A)参照)と、第1装飾部252Aから離間して第1装飾部252Aとの間に隙間を形成する離間位置(
図12参照)と、に配置される。そして、第2装飾部252Bが近接位置に配置されたときに左側装飾部材252が合体状態となり、第2装飾部252Bが離間位置に配置されたときに左側装飾部材252が分離状態となる。
【0049】
図11(A),12に示されるように、右側装飾部材253は、左側装飾部材252と同様に、カバー部材250の支持ベース251の前面に固定された第1装飾部253Aと、第1装飾部253Aに対し遊技盤11の前面に沿って回動可能な第2装飾部253Bと、で構成されている。第2装飾部253Bは、第1装飾部253Aに近接配置されて第1装飾部253Aとの間に隙間を形成しない近接位置(
図11(A)参照)と、第1装飾部253Aから離間して第1装飾部253Aとの間に隙間を形成する離間位置(
図12参照)と、に配置される。そして、第2装飾部253Bが近接位置に配置されたときに右側装飾部材253が合体状態となり、第2装飾部253Bが離間位置に配置されたときに右側装飾部材253が分離状態となる。
【0050】
詳細には、左側装飾部材252は、合体状態で正面視略長方形状をなし、第2装飾部252Bは、正面視略三角形状をなして合体状態の左側装飾部材252の右下隅部を構成する。また、右側装飾部材253は、合体状態で正面視略長方形状をなし、第2装飾部253Bは、正面視略三角形状をなして合体状態の右側装飾部材253の左下隅部を構成する。なお、左側装飾部材252と右側装飾部材253は共に、合体状態のときに、全体として1つの意匠(例えば、文字、図形、模様又はそれらの組合せ)を構成し、分離状態になると、その意匠が分割された態様となる。
【0051】
本実施形態では、左側装飾部材252の第2装飾部252Bが第1装飾部252Aに対して回転自在に取り付けられていて、第2装飾部252Bは、第1回動部材210が待機位置に配置されたときに近接位置に配置され、第1回動部材210が演出位置に配置されたときに離間位置に配置される(
図11(A),12参照)。具体的には、第1回動部材210の下縁部の前面には、第1回動部材210が待機位置に配置されたときに第2装飾部252Bを下方から受け止め可能な支持突起217(
図11(B)参照)が形成されている。そして、第1回動部材210が演出位置に配置されると、支持突起217による第2装飾部252Bの受け止めが解除され、第2装飾部252Bが自重により回動軸部252J(
図17参照)を中心に回動して離間位置に配置される。
【0052】
ここで、
図17に示されるように、左側装飾部材252の第2装飾部252Bには、第2装飾部252Bが近接位置に配置された状態で第2装飾部252Bの回動軸部252Jから第1装飾部252A側に張り出す当接突片252Tが設けられている。この当接突片252Tは、第2装飾部252Bが離間位置へ向かって回動するときに、第1装飾部252Aに設けられた当接規制壁252Hと当接することで第2装飾部252Bの回動を規制する。これにより、支持突起217による受け止めが解除された第2装飾部252Bが離間位置(
図12参照)に位置決めされ、分離状態の左側装飾部材252の外観の安定化が図られる。
【0053】
第1回動部材210が演出位置から待機位置へ回動すると、離間位置に配置された第2装飾部252Bに支持突起217が下方から当接して第2装飾部252Bを押し上げる。そして、支持突起217によって押し上げられた第2装飾部252Bは、離間位置から近接位置に配置される。
【0054】
また、本実施形態では、右側装飾部材253の第2装飾部253Bが第1装飾部253Aに対して回転自在に取り付けられていて、第2装飾部253Bは、第1回動部材210が待機位置に配置されたときに近接位置に配置され、第1回動部材210が演出位置に配置されたときに離間位置に配置される(
図11(A),12参照)。具体的には、第2装飾部253Bの後面には、第2回動部材220に取り付けられた中央装飾部材225(詳細には、張出部225B)と当接可能な当接突部254が形成されていて(
図11(B)参照)、第1回動部材210が待機位置に配置された状態で、中央装飾部材225が第2装飾部253Bの当接突部254を下方から受け止める。そして、第1回動部材210が演出位置に配置されると、その第1回動部材210の移動に連動して第2回動部材220が回動し、その第2回動部材220の回動に伴って中央装飾部材225による当接突部254の受け止めが解除される。そして、第2装飾部253Bが自重により回動軸部253Jを中心に回動して離間位置に配置される。
【0055】
ここで、
図17に示されるように、右側装飾部材253の第2装飾部253Bには、第2装飾部253Bが近接位置に配置された状態で第2装飾部253Bの回動軸部253Jから第1装飾部253A側に張り出す当接突片253Tが設けられている。この当接突片253Tは、第2装飾部253Bが離間位置へ向かって回動するときに、第1装飾部253Aに設けられた当接規制壁253Hと当接することで第2装飾部253Bの回動を規制する。これにより、中央装飾部材225による受け止めが解除された第2装飾部253Bが離間位置(
図12参照)に位置決めされ、分離状態の右側装飾部材253の外観の安定化が図られる。
【0056】
第1回動部材210が演出位置から待機位置へ回動すると、離間位置に配置された右側装飾部材253の第2装飾部253B(詳細には、当接突部254)に中央装飾部材225が下方から当接して第2装飾部253Bを押し上げる。そして、中央装飾部材225によって押し上げられた第2装飾部253Bは、離間位置から近接位置に配置される。
【0057】
本実施形態では、左側装飾部材252の第2装飾部252Bと右側装飾部材253の第2装飾部253Bは共に、自重によって離間位置側に付勢されている。このため、左側装飾部材252と右側装飾部材253において、第2装飾部252B,253Bがずり落ちると、第1装飾部252A,253Bとの間に隙間が生じて見栄えが悪くなるという問題が起こり得る。ここで、本実施形態の遊技機10では、第1回動部材210は、待機位置に配置された状態で、引張りバネ213(
図10参照)によって上側に付勢されている。そして、この引張りバネ213によって、左側装飾部材252の第2装飾部252Bを下方から受け止める支持突起217が上側に付勢されると共に、右側装飾部材253の第2装飾部253Bを下方から受け止める中央装飾部材225が上側に付勢されるので、第2装飾部252B,253Bのずり落ちが抑えられる。これにより、左側装飾部材252及び右側装飾部材253においては、合体状態で第1装飾部252A,253Aと第2装飾部252B,253Bの間に隙間が形成されることが抑えられ、各装飾部材252,253の外観不良が抑制される。
【0058】
ここで、カバー部材250が上部固定ベース201に固定されて上下方向に移動不可能となっていると、第1回動部材210が演出位置から待機位置へ向かうときにカバー部材250を押し上げることができなくなる。そうすると、第1回動部材210が待機位置に配置されると同時に、左側装飾部材252と右側装飾部材253が合体状態となることが要求されるが、そのような要求は、第1回動部材210、左側装飾部材252及び右側装飾部材253の位置ずれを考慮すれば、現実的に不可能である。これに対し、本実施形態の遊技機10では、カバー部材250が吊上げバネ255によって上側への移動を許容されているので、第1回動部材210がカバー部材250を押し上げ可能となっている。これにより、遊技機10では、左側装飾部材252の第2装飾部252Bと右側装飾部材253の第2装飾部253Bを近接位置に配置してから更に押し上げることが可能となり、第1回動部材210、左側装飾部材252及び右側装飾部材253に位置ずれが生じても、左側装飾部材252と右側装飾部材253を確実に合体状態にすることが可能となる。しかも、吊上げバネ255のバネ定数は、引張りバネ213(
図10参照)のバネ定数よりも小さくなっているので、第1装飾部252A,253Aと合体した第2装飾部252B,253Bを第1回動部材210と第2回動部材220によって更に上側へ押し上げるときの駆動源210K(
図10,11(B)参照)にかかる負荷を低減可能となる。
【0059】
また、本実施形態の遊技機10では、左側装飾部材252と右側装飾部材253に近接配置される中央装飾部材225が下方に移動する構成となっているので、それら装飾部材225,252,253による演出の趣向性の向上が図られる。しかも、中央装飾部材225は第2回動部材220に支持されているので、第2回動部材220が中央装飾部材225を左側装飾部材252及び右側装飾部材253に対して移動させるときに、それら装飾部材252,253を合体状態から分離状態に変化させることが可能となり、装飾部材225,252,253による演出の趣向性の更なる向上が図られる。
【0060】
[下部可動役物ユニット100と上部可動役物ユニット200の連動演出]
図18に示されるように、遊技機10では、上部可動役物ユニット200による演出が下部可動役物ユニット100による演出と連動して行われる。具体的には、下部可動役物ユニット100の下部可動役物100Yが後退位置(
図3参照)から前進位置(
図8参照)にされたときに、上部可動役物ユニット200の第1回動部材210が待機位置(
図11(A)参照)から演出位置(
図12参照)へと移動する。すると、
図19(A),(B)に示されるように、前進位置に配置された下部可動役物100Yにおける第2移動部材120の先端部(上端部)とその先方領域とが上部可動役物ユニット200の第1回動部材210によって前側から覆われる。
【0061】
図18,19(A)に示されるように、第1回動部材210が演出位置に配置されると、その第1回動部材210に前側を覆われていた上部装飾プレート205が露出する。なお、
図19(B)に示されるように、演出位置に配置された第1回動部材210は、下部可動役物100Yと上部装飾プレート205の間の隙間を前側から覆う。
【0062】
ここで、上述したように、下部可動役物100Yが前進位置に配置された状態では、下部固定ベース101(
図4参照)に固定された装飾プレート105と、下部可動役物100Yの第1移動部材110及び第2移動部材120の前面に固定された装飾プレート115及び装飾プレート125と、が直線状に並び、1つの棒状の意匠を構成する。また、上部装飾プレート205は、下部可動役物100Yの延長線上に配置され、上部装飾プレート205には、第2移動部材120の装飾プレート125と同様の装飾が施されている。なお、
図18,19(A)では、装飾プレート105,115,125,205が灰色で示されることで、それら装飾プレート105,115,125,205が同様の装飾が施されていることを表している。
【0063】
下部可動役物ユニット100と上部可動役物ユニット200による連動演出の説明は以上である。このように、本実施形態の遊技機10では、下部可動役物100Yが移動するのに加えて、下部可動役物100Yの一部が第1回動部材210に覆われるので、従来より趣向性の向上を図ることが可能となる。しかも、本実施形態では、下部可動役物ユニット100の下部可動役物100Yの先端(第2移動部材120の先端)が第1回動部材210で覆われることで、下部可動役物100Yの先端が実際の位置よりも先方まで延びているように見せることが可能となる(
図19(A)参照)。その結果、下部可動役物100Yを実際の長さよりも長く見せることが可能となり、遊技者にインパクトを与えることが可能となる。
【0064】
しかも、下部可動役物100Yの先端部(上端部)を隠す第1回動部材210は、待機位置に配置された状態でカバー部材250に前側を覆われて視認困難となっているので、第1回動部材210が出現したときに遊技者に意外性を付与することが可能となる。さらに、第1回動部材210は、カバー部材250の移動に伴って出現するので、第1回動部材210が単に出現する場合よりも趣向性の向上が図られる。
【0065】
また、下部可動役物100Yは、第1移動部材110と第2移動部材120を前後にずらして備え、後退位置に配置された状態で第1移動部材110と第2移動部材120を前後に重ねて配置し、前進位置に配置された状態で第1移動部材110と第2移動部材120を下部可動役物100Yの移動方向にずらして配置する構成となっているので、後退位置に配置された下部可動役物100Yの設置スペースをコンパクトにすることが可能となる。
【0066】
また、遊技機10では、下部可動役物100Yが前進位置に配置され、第1回動部材210が演出位置に配置されたときに、下部可動役物100Yの先端部を構成する装飾プレート125と同様の装飾が施された上部装飾プレート205が下部可動役物100Yの延長線上に出現するので、下部可動役物100Yが第1回動部材210を貫通しているかのように見せることが可能となる。しかも、上部装飾プレート205は、待機位置に配置された第1回動部材210の裏側に隠れるので、上部装飾プレート205の存在を分かり難くすることができる。
【0067】
なお、本実施形態において、以下の構成としても、上述と同様の作用効果を奏することが可能である。
(1)吊上げバネ255のバネ定数が、引張りバネ213(
図10参照)のバネ定数よりも大きくてもよい。
【0068】
(2)遊技機10が、引張りバネ213の代わりに圧縮バネを備え、該圧縮バネの両端部がベースプレート202と第1回動部材210とに固定されることにより、第1回動部材210が上方に付勢される構成であってもよい。
【0069】
(3)左側装飾部材252及び右側装飾部材253の第1装飾部252A,253Aに、当接規制壁252H,253Hが設けられていなくてもよく、また、左側装飾部材252及び右側装飾部材253の第2装飾部252B,253Bに当接突片252T,253Tが設けられなくてもよい。そして、第2装飾部252B,253Bは、自重によって落下した後は、第1装飾部252A,253Aとの連結部分にのみ支えられて、第1装飾部252A,253Aにぶら下がるような構成であってもよい。
【0070】
(4)支持突起217が左側装飾部材252の第2装飾部252Bを押し上げるとき、支持突起217は、第2装飾部252Bの下端に当接して第2装飾部材252Bを押し上げてもよいし、第2装飾部252Bに支持突起217と当接する当接突部を設けて、該当接突起に支持突起217が下方から当接して第2装飾部材252Bを押し上げてもよい。
【0071】
(5)右側装飾部材253の第2装飾部253Bの後面に、当接突部254が形成されていなくてもよく、例えば、中央装飾部材225が、第2装飾部252Bの下端部に下方から当接して第2装飾部252Bを押し上げる構成であってもよい。
【0072】
(6)右側装飾部材253の第2装飾部253Bの当接突部254と当接する突部を第1回動部材210又は第2回動部材220に設けて、該突部が当接突部254と当接して第2装飾部253Bを上方に押し上げる構成であってもよい。このとき、遊技機10が、中央装飾部材225のみを備えていなくてもよいし、中央装飾部材225と左側装飾部材252の両方を備えていなくてもよい。
【0073】
(7)遊技機10が、右側装飾部材253のみを備えていなくてもよいし、右側装飾部材253と中央装飾部材225の両方を備えていなくてもよい。
【0074】
(8)カバー部材250が上部固定ベース201に固定されていてもよく、カバー部材250に、吊上げバネ255が取り付けられていなくてもよい。
【0075】
<付記>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0076】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「装飾部材を有する」遊技機に関し、「特許文献A(特開2017-029789号(段落[0022]、
図4,7))には、装飾部材を構成する2つの可動体の一方が他方に対して自重で落下移動する遊技機が示されている。」という背景技術について、「特許文献Aの遊技機では、2つの可動体が合体した状態において、他方の可動体が自重で下がると、2つの可動体の間に隙間が形成されてしまい、装飾部材の見栄えが悪くなるという問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0077】
[特徴A1]
第1装飾部(第1装飾部252A,253A)と第2装飾部(第2装飾部252B,253B)とを有し、前記第1装飾部に対して前記第2装飾部が自重で落下移動することにより合体状態から分離状態に変化する装飾部材(左側装飾部材252と右側装飾部材253)を備えた遊技機(遊技機10)であって、
前記合体状態において前記第2装飾部のずり落ちを抑制する合体保持機構(第1回動部材210と第2回動部材220と引張りバネ213)を有する遊技機。
【0078】
本特徴に示す構成では、合体状態において第2装飾部のずり落ちが抑えられる。これにより、合体状態において、第1装飾部と第2装飾部の間に隙間が形成されることが抑えられ、装飾部材の外観不良が抑制される。
【0079】
[特徴A2]
特徴A1に記載の遊技機において、
前記合体保持機構は、駆動源(駆動源210K)により駆動されて前記第2装飾部を押し上げることにより前記装飾部材を前記分離状態から前記合体状態に復帰させる押上部材(第1回動部材210と第2回動部材220)と、前記合体状態において前記押上部材を上側に付勢する付勢手段(引張りバネ213)とを備える遊技機。
【0080】
本特徴に示す構成では、押上部材を付勢手段によって上側に付勢することで、第2装飾部のずり落ちが抑えられる。
【0081】
[特徴A3]
特徴A2に記載の遊技機において、
前記合体状態において前記第1装飾部が上側に移動することを許容する移動許容手段(吊上げバネ255)を有する遊技機。
【0082】
本特徴に示す構成では、第1装飾部と合体した第2装飾部をさらに上側に押し上げることが可能となるので、第1装飾部と第2装飾部を確実に合体させることが可能となる。
【0083】
[特徴A4]
特徴A3に記載の遊技機において、
前記付勢手段と前記移動許容手段とは共にバネで構成され、
前記移動許容手段を構成するバネのバネ定数が前記付勢手段を構成するバネのバネ定数がより小さくなっている遊技機。
【0084】
本特徴に示す構成では、第1装飾部と合体した第2装飾部を押上部材によってさらに上側へ押し上げるときの駆動源の負荷を低減可能となる。
【0085】
[特徴A5]
特徴A4に記載の遊技機において、
前記第1装飾部は、自重によって上端位置から下端位置へ移動可能に構成され、
前記移動許容手段は、前記第1装飾部を上側に付勢する引張りバネで構成されている遊技機。
【0086】
移動許容手段を構成するバネは、圧縮バネであっても引張りバネであってもよいが、本特徴に示す構成のように、引張りバネで構成すれば、圧縮バネで構成したときよりも、駆動源の負荷を低減可能となる。
【0087】
[特徴A6]
特徴A2乃至A5のうち何れか1に記載の遊技機において、
前記合体状態において前記装飾部材に近接配置される別の装飾部材(中央装飾部材225)をさらに有し、
前記押上部材は、前記別の装飾部材を支持して、前記別の装飾部材を前記装飾部材の近くに配置する上側近接位置(
図11(A)に示される第1回動部材210と第2回動部材220の位置)と、前記別の装飾部材を前記装飾部材から下方に離れた位置に配置する下側離間位置(
図12に示される第1回動部材210と第2回動部材220の位置)と、の間を移動可能に構成され、
前記装飾部材は、前記押上部材が前記上側近接位置に配置されたときに前記合体状態となり、前記押上部材が前記下側離間位置に配置されたときに前記分離状態となる遊技機。
【0088】
本特徴に示す構成では、装飾部材に近接配置される別の装飾部材が下方に離れることで、演出の趣向性の向上が図られる。また、本構成では、押上部材が別の装飾部材を装飾部材に対して移動可能に構成されているので、別の装飾部材を装飾部材に対して移動させるときに、装飾部材を合体状態と分離状態に変化させることが可能となる。
【0089】
[特徴A7]
特徴A1乃至A6のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、
落下する前記第2装飾部を予め設定された落下位置に位置決めする位置決め機構(当接突片252T,253Tと当接規制壁252H,253H)を有する遊技機。
【0090】
本特徴に示す構成では、落下移動した第2装飾部が予め設定された落下位置で受け止められるので、分離状態の装飾部材の外観の安定化が図られる。
【0091】
[特徴A8]
特徴A7に記載の遊技機において、
前記第2装飾部は、前記第1装飾部の下端部に回動可能に支持され、
前記位置決め機構は、前記第2装飾部の回動軸部から前記第1装飾部側に張り出した当接突片(当接突片252T,253T)と、前記第1装飾部に設けられ、前記分離状態で前記当接突片と当接して前記第2装飾部の回動を規制する当接規制壁(当接規制壁252H,253H)と、からなる遊技機。
【0092】
本特徴に示す構成によれば、簡易な構成で第2装飾部を予め設定された落下位置に位置決めすることが可能となる。
【0093】
[特徴A9]
装飾部の一部(第2装飾部252B,253B)が自重で落下移動することにより合体状態から分離状態に変化する装飾部材(左側装飾部材252と右側装飾部材253)を備えた遊技機(遊技機10)であって、
前記合体状態において前記装飾部の一部のずり落ちを抑制する合体保持機構(第1回動部材210と第2回動部材220と引張りバネ213)を有する遊技機。
【0094】
本特徴に示す構成では、合体状態において装飾部の一部のずり落ちが抑えられる。これにより、合体状態において、装飾部材に隙間が形成されることが抑えられ、装飾部材の外観不良が抑制される。
【0095】
[特徴A10]
特徴A9に記載の遊技機において、
前記合体保持機構は、前記合体状態で前記装飾部の一部を下側から受け止め可能な受止部材(第1回動部材210と第2回動部材220)と、前記受止部材を上側に付勢する付勢手段(引張りバネ213)と、を備える遊技機。
【0096】
本特徴に示す構成では、受止部材を付勢手段によって上側に付勢することで、装飾部の一部のずり落ちが抑えられる。
【0097】
なお、特徴A9,A10に示す構成に、特徴A3~A8に示す構成が組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 遊技機
11 遊技盤
200 上部可動役物ユニット
201 上部固定ベース
210 第1回動部材
213 アシストバネ
220 第2回動部材
225 中央装飾部材
250 カバー部材
252 左側装飾部材
253 右側装飾部材
255 吊上げバネ