(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018125929
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 葵
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-229652(JP,A)
【文献】特開2012-157773(JP,A)
【文献】特開2008-154638(JP,A)
【文献】特開2014-204924(JP,A)
【文献】特開2018-082947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、各識別図柄群から選択されて表示装置に示される識別図柄の組み合わせにより当否判定結果が報知される遊技機であって、
ある前記識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のうちの一つである演出対象図柄が、当該識別図柄群から選択されて示される選択決定図柄となるか否かを示す図柄煽り演出が実行可能であり、
前記図柄煽り演出にて前記演出対象図柄となりうる候補図柄として、特定種の前記識別図柄である特定候補図柄、および、前記特定種とは別種の前記識別図柄である通常候補図柄が設定されており、
前記図柄煽り演出において、前記候補図柄のそれぞれが前記演出対象図柄とされる蓋然性は、前記通常候補図柄よりも前記特定候補図柄の方が低いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数種の識別図柄のうちのいずれかである特定識別図柄にてリーチが成立した場合には、当該特定識別図柄以外の識別図柄にてリーチが成立した場合よりも当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高くなるように設定されており、
前記複数種の識別図柄には所定の順が設定されており、前記図柄煽り演出は、前記演出対象図柄が前記選択決定図柄となるか、または、前記所定の順で前記演出対象図柄の一つ後の前記識別図柄が前記
選択決定図柄となる結末に至るものであり、
前記特定候補図柄は、前記所定の順で前記特定識別図柄の一つ前の識別図柄であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否判定結果を示す複数種の図柄について、ある図柄が選択されて示されるかもしれないという「煽り」を行う演出(図柄煽り演出)が公知である(例えば、下記特許文献1の段落0052等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、図柄煽り演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、各識別図柄群から選択されて表示装置に示される識別図柄の組み合わせにより当否判定結果が報知される遊技機であって、前記複数の識別図柄群のうち、最初に変動が停止する識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のうちの一つである演出対象図柄が、当該識別図柄群から選択されて示される選択決定図柄となるか否かを示す図柄煽り演出が実行可能であり、前記図柄煽り演出にて前記演出対象図柄となりうる図柄として複数の候補図柄が設定されており、前記図柄煽り演出において前記複数の候補図柄のうちの一部である特定候補図柄が前記演出対象図柄となる蓋然性が、当該特定候補図柄以外の候補図柄である通常候補図柄が前記演出対象図柄となる蓋然性よりも低く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、図柄煽り演出の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】図柄煽り演出の一例(候補図柄が通常候補図柄である例)を示した図である。
【
図4】図柄煽り演出の一例(候補図柄が特定候補図柄である例)を示した図である。
【
図6】(a)は複数種の識別図柄に設定された「所定の順」を、(b)は特定識別図柄と通常識別図柄を分けて示した図である。
【
図7】(a)は特定識別図柄と通常識別図柄の差(遊技者にとっての利益の差)を説明するための図であり、(b)は特殊演出の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照。
図2以外の図面においては保留図柄80の図示を省略する)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄10(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄10を含む識別図柄群10g(左識別図柄群10gL、中識別図柄群10gC、右識別図柄群10gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群10gから一の識別図柄10が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群10gから選択されて停止した識別図柄10の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄10の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。基本的には、識別図柄群10gの変動は、左識別図柄群10gL、右識別図柄群10gR、中識別図柄群10gCの順で停止することになる。
【0016】
識別図柄10についてより詳しく説明する。本実施形態における各識別図柄10は、主要素部11と当該主要素部11に付随する副要素部12を含む。主要素部11は「数字」の部分であり、副要素部12は「キャラクタ」の部分である(
図2参照)。基本的には、遊技者は、主要素部11である数字の違いにより、識別図柄10の種類を判別することになる。本実施形態では、「1」~「9」のいずれかの数字を主要素部11として含む九種類の識別図柄10が設定されている。基本的には、各識別図柄群10gは、当該九種類の識別図柄10を含む。ただし、各識別図柄群10gに含まれる識別図柄10の種類が増減するような特殊な演出が発生することがあってもよい。副要素部12としてのキャラクタは、識別図柄10の種類に合わせて九種類設定されている。本実施形態では、「1」の数字を含むものに対し「A」のキャラクタが、「2」の数字を含むものに対し「B」のキャラクタが・・・「9」の数字を含むものに対し「I」のキャラクタがといったように、数字とキャラクタが対応づけられている。ある一種の識別図柄10は、当該数字とキャラクタが組み合わされて(一体となって)表示されるものである。
【0017】
当否判定結果を報知する演出として、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、図柄煽り演出(
図3および
図4参照)を実行することが可能である。すなわち、図柄煽り演出は、対象の当否判定結果を報知する一連の演出(識別図柄10の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで停止するまでの演出)の一部として発生しうるものである。
【0018】
本実施形態における図柄煽り演出は、左識別図柄群10gLから選択されて示される識別図柄10がどのようなものとなるかを強調して示す演出である。つまり、変動した状態にある左識別図柄群10gLの変動が停止(当該「停止」には、完全に停止する態様だけでなく、遊技者には停止したように見える擬似停止(例えば、わずかに揺れているような態様)を含むものとする。以下同じ)し、一つの識別図柄10が選択されて示されることを「煽る」演出である。
【0019】
図柄煽り演出に関する説明として、以下の用語を用いる。
【0020】
図柄煽り演出にて、「煽り」の対象となる識別図柄10を、「演出対象図柄10T」とする。本実施形態では、左識別図柄群10gLから選ばれるのではないかと強調される識別図柄10が「演出対象図柄10T」である。例えば、「4」の数字を含む識別図柄10が選ばれるのではないかというような図柄煽り演出が発生する場合、当該「4」の数字を含む識別図柄10が「演出対象図柄10T」となる(
図3(a)参照)。演出対象図柄10Tは、図柄煽り演出の発生の度に変化しうるものであるということもできる。
【0021】
図柄煽り演出にて最終的に選択されて示される識別図柄10を「選択決定図柄10C」とする。本実施形態では、左識別図柄群10gLに含まれる一つの識別図柄10が「選択決定図柄10C」となる。「4」の数字を含む識別図柄10が選ばれるのではないかというような図柄煽り演出が発生し、そのまま「4」の数字を含む識別図柄10が選ばれた場合、当該識別図柄10が「選択決定図柄10C」となる(
図3(b)参照)。煽り演出は、演出対象図柄10Tがそのまま選択決定図柄10Cとして示されるかどうかの演出であるといえる。煽り演出が、演出対象図柄10Tがそのまま選択決定図柄10Cとして示される結末(以下、成功結末と称することもある)に至る場合は、「演出対象図柄10T」=「選択決定図柄10C」となるということである(
図3(b)参照)。演出対象図柄10Tとは異なる図柄が選択決定図柄10Cとして示される結末(以下、失敗結末と称することもある)に至る場合は、「演出対象図柄10T」≠「選択決定図柄10C」となるということである(
図3(c)参照)。なお、成功結末に至ることが、失敗結末に至ることよりも、遊技者にとって有利な事象である必要はない。
【0022】
図柄煽り演出において、上記演出対象図柄10Tとなり得る識別図柄10を、「候補図柄10K」とする。本実施形態では、左識別図柄群10gLに含まれる九種類の識別図柄10のうち、四種類の識別図柄10が候補図柄10Kとして設定されている。具体的には、主要素部11として「2」「4」「6」「8」の数字を含む識別図柄10、すなわち偶数の数字を含む四種類の識別図柄10が候補図柄10Kとして設定されている(
図5参照)。つまり、本実施形態における図柄煽り演出は、これらの候補図柄10Kのうちのいずれか一つが、左識別図柄群10gLから選ばれて示されるのではないかというような「煽り」が発生するものである。
【0023】
また、当該候補図柄10Kは、特定候補図柄10Kaとそれ以外の候補図柄(以下、特定候補図柄10Kaとの対比で通常候補図柄10Kbと称することもある)に区分けされる。本実施形態では、「2」の数字を含む識別図柄10と「6」の数字を含む識別図柄10が特定候補図柄10Kaとして、「4」の数字を含む識別図柄10と「8」の数字を含む識別図柄10が通常候補図柄10Kbとして設定されている(
図5参照)。
【0024】
識別図柄群10gが含む複数種(本実施形態では九種類)の識別図柄10には、所定の順が設定されている。当該順は、識別図柄群10gが変動表示される際の順、すなわち「変動順」である。本実施形態では、「1」の数字を含む識別図柄10、「2」の数字を含む識別図柄10、・・・「9」の数字を含む識別図柄10、「1」の数字を含む識別図柄10・・・というように、主要素部11である数字の順が「所定の順」である(
図6(a)参照)。つまり、識別図柄群10gは、数字の順で切り替わるように変動表示される。
【0025】
識別図柄群10gが含む複数種の識別図柄10のうちの一部は、特定識別図柄10Sである。本実施形態における特定識別図柄10Sは、「3」の数字を含む識別図柄10と、「7」の数字を含む識別図柄10である。上述した特定候補図柄10Kaは、上記所定の順で、当該特定識別図柄10Sの一つ前の識別図柄10である。つまり、「3」の数字を含む識別図柄10(特定識別図柄10S)の一つ前の図柄である「2」の識別図柄10、および「7」の数字を含む識別図柄10(特定識別図柄10S)の一つ前の図柄である「6」の識別図柄10が、特定候補図柄10Kaとして設定されている(
図6(b)参照)。特定識別図柄10Sとそれ以外の識別図柄10(以下、特定識別図柄10Sとの対比で通常識別図柄10Nと称することもある。本実施形態における通常識別図柄10Nは、「1」「2」「4」「5」「6」「8」「9」の数字を含む識別図柄10であるということになる)の違いは次のようなものである。
【0026】
図柄煽り演出を経ずに、左識別図柄群10gLから選択されて示される識別図柄10が特定識別図柄10Sであることは、通常識別図柄10Nであることよりも、遊技者に有利な事象として設定されている。本実施形態では、いわゆるリーチ態様(左の識別図柄10と右の識別図柄10が同じ種類の識別図柄10となる態様)が成立した場合、当該リーチ態様が特定識別図柄10Sによって構成されるとき(「3」または「7」のリーチが成立したとき)の方が、通常識別図柄10Nによって構成されるとき(「3」と「7」以外のリーチが成立したとき)よりも、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる(大当たり)信頼度)が高くなるように設定されている(
図7(a)参照)。したがって、左の識別図柄10として特定識別図柄10Sが示されるということは、信頼度が高いリーチ態様が構成される可能性があるということになるため、左の識別図柄10として通常識別図柄10Nが示されることよりも、遊技者にとって有利な事象であるといえる。
【0027】
これを踏まえ、本実施形態では、(図柄煽り演出を経ずに)左識別図柄群10gLから選択されて示される識別図柄10が特定識別図柄10Sである場合には、それを強調するため(遊技者に「チャンス」であることを示すため)の特殊演出を発生させる。換言すれば、当該特殊演出は、(図柄煽り演出を経ずに)左識別図柄群10gLから選択されて示される識別図柄10が通常識別図柄10Nである場合には発生しない演出であるということである。当該特殊演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、選択された特定識別図柄10Sを通常時よりも目立つ態様(例えば、図柄の周囲が発光したかのような画像を表示する)とする特殊演出を発生させる(
図7(b)参照)。このような特殊演出が発生しない設定としてもよい。また、所定の条件を満たした場合に限り特殊演出が発生する設定としてもよい。例えば、いわゆる確率変動状態中においては特殊演出が発生するような設定としてもよい。
【0028】
図柄煽り演出は、以下のような態様の演出である。左識別図柄群10gLに含まれる複数種の識別図柄10のうちの一つが演出対象図柄10Tとされる。具体的には、候補図柄10K(「2」「4」「6」「8」)のうちのいずれかが演出対象図柄10Tとされる。上述したように、候補図柄10Kは、特定候補図柄10Ka(「2」「6」)と通常候補図柄10Kb(「4」「8」)に区分けされる。本実施形態では、演出対象図柄10Tが表示領域の左側で停止しそうになる「煽り」が実行される(
図3(a)、
図4(a)参照)。
【0029】
本実施形態では、図柄煽り演出において、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる蓋然性は、通常候補図柄10Kbが演出対象図柄10Tとなる蓋然性よりも低く設定されている。つまり、図柄煽り演出では、後者の態様(
図3(a)に示す態様)が発生するケースよりも前者の態様(
図4(a)に示す態様)が発生するケースの方が少なくなるように設定されている。その理由は次のようなものである。
【0030】
図柄煽り演出は、演出対象図柄10Tが選択決定図柄10Cとなることが成功結末(
図3(b)、
図4(b)参照)として、演出対象図柄10Tが選択決定図柄10Cとならないことが失敗結末(
図3(c)、
図4(c)参照)として設定されている。つまり、「煽り」の対象となった図柄がそのまま選択されるという結末に至るか、「煽り」の対象となった図柄が選択されないという結末に至るかの演出である。ここで、失敗結末となるときには、上述した所定の順で、演出対象図柄10Tとなった識別図柄10の一つ後の識別図柄10が選択決定図柄10Cとなるようにされる。例えば、「4」の数字を含む識別図柄10が演出対象図柄10Tとされる図柄煽り演出の失敗結末は、「5」の数字を含む識別図柄10が選択決定図柄10Cとなるようにされる(
図3(a)(c)参照)。図柄煽り演出の失敗結末は、停止しそうになった識別図柄10(演出対象図柄10T)、すなわち「煽り」の対象である図柄が結果的に停止しなかったことを示すものであるため、上記所定の順で「+1」進行した図柄を選択決定図柄10Cとして示さなければ演出の見た目が悪い(遊技者が違和感を覚えるおそれがある)。上記所定の順で「+1」進行した図柄を選択決定図柄10Cとして示すようにすれば、演出対象図柄10Tが「一コマ」滑ることで、当該演出対象図柄10Tの次の順の図柄が選択決定図柄10Cとして示されたかのような態様とすることもでき、演出の流れが自然なものとなる。
【0031】
このような設定であることを前提とすると、特定候補図柄10Ka(「2」または「6」)が演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出が失敗結末となる場合、選択決定図柄10Cとして「3」または「7」の数字を含む識別図柄10、すなわち特定識別図柄10Sが示されることになる(
図4(a)(c)参照)。なお、通常候補図柄10Kb(「4」または「8」)が演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出が失敗結末となる場合、選択決定図柄10Cとしては「5」または「9」の数字を含む通常識別図柄10Nが示されることになる(
図3(a)(c)参照)。
【0032】
上述した通り、図柄煽り演出を経ずに左識別図柄群10gLから選択されて示される識別図柄10が特定識別図柄10Sである場合には、特殊演出(
図7(b)参照)を発生させる。つまり、左の識別図柄10が「3」や「7」となることが「チャンス」であることを示す演出が発生する。しかし、図柄煽り演出が失敗結末となることで左の識別図柄10が「3」や「7」となることは、煽りの対象である「2」や「6」の図柄(特定候補図柄10Ka)が停止しなかった結果として生じるものであって、「チャンス」ではない。事実、本実施形態では、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出が失敗結末となった後は、特殊演出を発生させず、そのまま当否判定結果がはずれであることを示す識別図柄10の組み合わせが表示され、リーチ態様(「3」や「7」のリーチ)が成立することがないように設定されている。
【0033】
このように、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出が失敗結末となって、「3」や「7」の数字を含む識別図柄10が選択決定図柄10Cとして示されることは、遊技者が「チャンス」であると誤認してしまうおそれがあるから、このようなケースが発生する頻度を抑えることが好ましいといえる。そのため、本実施形態では、図柄煽り演出において、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる蓋然性を、通常候補図柄10Kbが演出対象図柄10Tとなる蓋然性よりも低く設定している。
【0034】
図柄煽り演出が成功結末となった場合、選択決定図柄10Cとして示された識別図柄10に応じた演出(以下、事後演出と称する)が発生する。本実施形態では、選択決定図柄10Cとして示された識別図柄10が含む副要素部12に応じた事後演出が発生する。上述した通り、副要素部12は「キャラクタ」の部分である。演出対象図柄10Tとなりうる候補図柄10K(識別図柄10)は「キャラクタB」「キャラクタD」「キャラクタF」「キャラクタH」のいずれかを含むものであるから、選択決定図柄10Cとして示された識別図柄10が含むキャラクタに応じた事後演出が発生する。事後演出の一例としては、味方側キャラクタが、上記いずれかのキャラクタを敵キャラクタとして戦ういわゆる「バトル演出」を例示することができる。つまり、事後演出は、図柄煽り演出にて演出対象図柄10Tとされる候補図柄10Kの種類に応じて変化することになるから、遊技者は、図柄煽り演出にて演出対象図柄10Tとされる図柄の種類に注目することになる。なお、図柄煽り演出が成功結末となった後、所定の条件を満たした場合に限り事後演出が発生するようにしてもよい。例えば、選択決定図柄10Cとして示された識別図柄10(左の識別図柄10)と、その後停止する右の識別図柄10が同じ種類の識別図柄10となったとき(すなわちリーチ態様が構成されたとき)に、事後演出が発生するようにしてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態における図柄煽り演出では、演出対象図柄10Tとなりうる複数の候補図柄10K(特定候補図柄10Kaと通常候補図柄10Kbを含む)が設定されているところ、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる蓋然性が、通常候補図柄10Kbが演出対象図柄10Tとなる蓋然性よりも低く設定されている。つまり、「煽り」の対象となる図柄の種類に偏りがあることによる面白さがあるといえる。
【0036】
また、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる蓋然性が低いということは、図柄煽り演出が失敗結末となったときに特定識別図柄10Sが示されてしまう状況(
図4(c)に示すような状況)が生ずる頻度が低いということである。そのため、図柄煽り演出の失敗結末時に特定識別図柄10Sが頻繁に示されることで、当該特定識別図柄10Sが「チャンス」図柄であると遊技者が感じにくくなってしまうおそれを低減することが可能である。
【0037】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0038】
○第一具体例
特定候補図柄10Ka(「2」や「6」の数字を含む識別図柄10)が演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出は、失敗結末とならないようにする。つまり、演出対象図柄10Tが選択決定図柄10Cとなる成功結末しか発生しないような設定とする。
図4(a)に示すような「煽り」が発生した場合には、
図4(b)のような成功結末しか発生しない(
図4(c)のような状況に移行しない)ようにするということである。このようにすることで、図柄煽り演出が実行された結果、特定識別図柄10S(「3」や「7」の数字を含む識別図柄10)が示されてしまうことがなくなる。
【0039】
なお、通常候補図柄10Kb(「4」や「8」の数字を含む識別図柄10)が演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出(
図3に示す図柄煽り演出)は、失敗結末となる場合があるものとされる。このようにすることで、図柄煽り演出全体でみれば、失敗結末となる可能性もある演出であるということになるから、常に演出対象図柄10Tが選択決定図柄10Cとなる演出であるかのような印象を遊技者に与えることは避けられる。
【0040】
○第二具体例
上記実施形態では、図柄煽り演出の対象となる識別図柄群10gは、左識別図柄群10gLであること(最初に変動が停止する識別図柄群10gであること)を説明したが、当該演出の対象となる識別図柄群10gは適宜変更可能である。図柄煽り演出が発生しないときに、当該対象の識別図柄群10gから選択されて示された識別図柄10が特定識別図柄10Sであることは、通常識別図柄10Nであることに比して遊技者に有利な事象として設定されたものであればよい。
【0041】
○第三具体例
図柄煽り演出を経ずに、ある識別図柄群10g(図柄煽り演出の対象の識別図柄群10g)から選択されて特定識別図柄10Sが示された場合、大当たりが確定する設定とする。例えば、特定識別図柄10Sとして「7」の数字を含む識別図柄10が設定されている場合、左識別図柄群10gLから選択された図柄が当該特定図柄である場合、大当たりが確定する設定とする。
【0042】
このような構成であると、特定識別図柄10Sが示されたとき、遊技者が大当たり確定であると感じてしまうおそれがあることから、図柄煽り演出の失敗結末として、特定識別図柄10Sが示される頻度が低くなるようにするとよい。好ましくは、上記第一具体例にて説明したように、特定候補図柄10Kaが演出対象図柄10Tとなる図柄煽り演出は、失敗結末とならないようにするとよい。
【0043】
なお、特定識別図柄10Sが示されたときに大当たりが確定するのは、特定の遊技状態に限る設定であってもよい。例えば、通常の遊技状態に比して大当たりに当選する確率が高い、いわゆる確率変動状態中に限る設定としてもよい。
【0044】
○第四具体例
上記実施形態では、特定識別図柄10Sとして二つの識別図柄(「3」または「7」の数字を含む識別図柄10)が設定されていることを説明したが、特定識別図柄10Sの数は適宜増減可能である。一つの特定識別図柄10Sが設定された構成としてもよい。特定候補図柄10Kaは、上記所定の順で特定識別図柄10Sの一つ前の図柄であるから、特定識別図柄10Sの数と同じとされる。つまり、一つの特定識別図柄10Sが設定されているのであれば、一つの特定候補図柄10Kaが設定されることとなる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0046】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0047】
・手段1
複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、各識別図柄群から選択されて表示装置に示される識別図柄の組み合わせにより当否判定結果が報知される遊技機であって、ある前記識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のうちの一つである演出対象図柄が、当該識別図柄群から選択されて示される選択決定図柄となるか否かを示す図柄煽り演出が実行可能であり、前記図柄煽り演出にて前記演出対象図柄となりうる図柄として複数の候補図柄が設定されており、前記図柄煽り演出において前記複数の候補図柄のうちの一部である特定候補図柄が前記演出対象図柄となる蓋然性が、当該特定候補図柄以外の候補図柄である通常候補図柄が前記演出対象図柄となる蓋然性よりも低く設定されていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、演出対象図柄となりうる複数の候補図柄が設定されているところ、特定候補図柄が演出対象図柄となる蓋然性が、特定候補図柄以外の候補図柄が演出対象図柄となる蓋然性よりも低く設定されている。つまり、「煽り」の対象となる図柄の種類に偏りがあることによる面白さがある。
【0048】
・手段2
前記複数種の識別図柄には、所定の順が設定されており、ある前記識別図柄群から前記複数種の識別図柄のうちのいずれかである特定識別図柄が選択されることは、当該特定識別図柄以外の識別図柄が選択されることに比して遊技者に有利な事象として設定されており、前記図柄煽り演出は、前記演出対象図柄が前記選択決定図柄となることが成功結末として、前記所定の順で当該演出対象図柄となった識別図柄の一つ後の識別図柄が前記選択決定図柄となることが失敗結末として設定されており、前記特定候補図柄は、前記所定の順で前記特定識別図柄の一つ前の識別図柄であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、図柄煽り演出の失敗結末が発生した結果、特定識別図柄が選択決定図柄として示されてしまう頻度を低くすることができる。そのため、当該特定識別図柄が「チャンス」図柄であると遊技者が感じにくくなってしまうおそれを低減することが可能である。
【0049】
・手段3
前記図柄煽り演出において前記特定候補図柄が前記演出対象図柄となるとき、当該図柄煽り演出が前記失敗結末とならないように設定されていることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、図柄煽り演出の失敗結末が発生しても、特定識別図柄が選択決定図柄として示されてしまうことがなくなる。
【0050】
・手段4
前記図柄煽り演出を経ずにある前記識別図柄群から前記特定識別図柄が選択されて示された場合には、特殊演出が発生することを特徴とする手段2または手段3に記載の遊技機。
このように、特定識別図柄は遊技者にとって「チャンス」図柄であることが特殊演出により示されるようにするとよい。
【符号の説明】
【0051】
1 遊技機
10 識別図柄
10g 識別図柄群
11 主要素部
12 副要素部
10T 演出対象図柄
10C 選択決定図柄
10K 候補図柄
10Ka 特定候補図柄
10Kb 通常候補図柄
10S 特定識別図柄
10N 通常識別図柄
91 表示装置
911 表示領域