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特許7187011アクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】アクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20221205BHJP
   F16K 39/02 20060101ALI20221205BHJP
   F16K 7/17 20060101ALN20221205BHJP
【FI】
F16K31/122
F16K39/02
F16K7/17 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018167831
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2020041565
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 朋貴
(72)【発明者】
【氏名】近藤 研太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
(72)【発明者】
【氏名】湯原 知子
(72)【発明者】
【氏名】辻野 健吾
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-153248(JP,A)
【文献】特開2018-31428(JP,A)
【文献】実公平3-25481(JP,Y2)
【文献】中国特許出願公開第104728509(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/122
F16K 39/02
F16K 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動される駆動ピストンと、
前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、
前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記第1流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成され
前記ケーシングには、前記第1流量調整機構が設けられ前記流体通路の一部を構成する第1挿入孔が形成され、
前記第1流量調整機構は、第1スプリング押えと、第1ピストンと、第1スプリングとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第1挿入孔に挿入され、
前記第1ピストンは、前記第1スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記第1ピストンとの間に設けられて、前記第1ピストンを前記第1挿入孔の内側に向かって付勢し、
前記流体通路の圧力が第1の所定の圧力以上の場合に、前記第1ピストンは、前記第1スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第1挿入孔における前記第1ピストンよりも内側に第1流入室を形成し、前記第1流入室により前記流体通路を開放し、
前記第1流入室の圧力の減少に応じて、前記第1ピストンが、前記第1スプリングの付勢力により、前記第1挿入孔の内側へ移動し、前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記有効断面積を最小にし、
前記第1ピストンの前記内面には、凹部が形成され、
前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さく、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接している状態で、前記凹部を介して、前記第1流量調整機構に対して一方の側に位置する前記流体通路と他方の側に位置する前記流体通路とは互いに連通している、アクチュエータ。
【請求項2】
第2流量調整機構と、逆止弁と、をさらに備え、
前記ケーシングには、前記第2流量調整機構が設けられる第2挿入孔と、前記逆止弁が設けられる第3挿入孔とが形成され、
前記第2流量調整機構は、第2スプリング押えと、第2ピストンと、第2スプリングとを有し、
前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に挿入され、
前記第2ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第2挿入孔の内側において移動可能に設けられ、
前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記第2ピストンとの間に設けられて、前記第2ピストンを前記第2挿入孔の内側に向かって付勢し、
前記流体通路は、第1流体通路と、第2流体通路と、第3流体通路と、第4流体通路と、第5流体通路と、を有し、
前記第1流体通路は、前記流体通路において外部から供給される駆動流体が最初に通過する通路であり、前記第2流体通路に連通し、
前記第2流体通路は、前記第1挿入孔と前記第3挿入孔とを連通し、
前記第3流体通路は、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とを連通し、
前記第4流体通路は、前記第3流体通路と前記圧力室とを連通し、
前記第5流体通路は、前記第2挿入孔と前記第3挿入孔とを連通し、
前記第3流体通路の圧力が第2の所定の圧力以上の場合に、前記第2ピストンは、前記第2スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第2挿入孔における前記第2ピストンよりも内側に第2流入室を形成し、前記第2流入室により、前記第3流体通路と前記第5流体通路とが連通し、
前記第2流入室の圧力の減少に応じて前記第2ピストンが、前記第2スプリングの付勢力により、前記第2挿入孔の内側へ移動し、前記第3流体通路の圧力が前記第2の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第2ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記第3流体通路と前記第5流体通路との連通を遮断し、
前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力よりも小さく、
前記逆止弁は、前記第2流体通路の圧力が前記第5流体通路の圧力よりも小さい場合に開状態となり、前記第2流体通路の圧力が前記第5流体通路の圧力以上の場合に閉状態となる、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1スプリングの付勢力は前記第2スプリングの付勢力よりも大きく、かつ、前記第1スプリングの内面の面積は、前記第2スプリングの内面の面積と等しく構成され、または、
前記第1スプリングの内面の面積は前記第2スプリングの内面の面積よりも大きく、かつ、前記第1スプリングの付勢力は、前記第2スプリングの付勢力と等しく構成されている、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
流入路および流出路が形成されたボディと、
前記流入路および前記流出路を開閉する弁体と、
前記弁体により前記流入路および前記流出路を連通または遮断させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、
前記ボディに接続され、駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動され、前記ステムを作動させる駆動ピストンと、
前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、
前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記第1流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成され
前記ケーシングには、前記第1流量調整機構が設けられ前記流体通路の一部を構成する第1挿入孔が形成され、
前記第1流量調整機構は、第1スプリング押えと、第1ピストンと、第1スプリングとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第1挿入孔に挿入され、
前記第1ピストンは、前記第1スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記第1ピストンとの間に設けられて、前記第1ピストンを前記第1挿入孔の内側に向かって付勢し、
前記流体通路の圧力が第1の所定の圧力以上の場合に、前記第1ピストンは、前記第1スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第1挿入孔における前記第1ピストンよりも内側に第1流入室を形成し、前記第1流入室により前記流体通路を開放し、
前記第1流入室の圧力の減少に応じて、前記第1ピストンが、前記第1スプリングの付勢力により、前記第1挿入孔の内側へ移動し、前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記有効断面積を最小にし、
前記第1ピストンの前記内面には、凹部が形成され、
前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さく、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接している状態で、前記凹部を介して、前記第1流量調整機構に対して一方の側に位置する前記流体通路と他方の側に位置する前記流体通路とは互いに連通している、バルブ。
【請求項5】
駆動流体を供給する供給源と、前記供給源から供給される駆動流体により駆動するバルブと、前記供給源から前記バルブへ駆動流体を供給する流れと駆動流体を前記バルブの駆動部から外部へ排出する流れとを切り替える切替部と、を備える流体供給システムであって、
前記バルブは、
流入路および流出路が形成されたボディと、
前記流入路および前記流出路を開閉する弁体と、
前記弁体により前記流入路および前記流出路を連通または遮断させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、
前記ボディに接続され、駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動され、前記ステムを作動させる駆動ピストンと、
前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、
前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成され
前記ケーシングには、前記第1流量調整機構が設けられ前記流体通路の一部を構成する第1挿入孔が形成され、
前記第1流量調整機構は、第1スプリング押えと、第1ピストンと、第1スプリングとを有し、
前記第1スプリング押えは、前記第1挿入孔に挿入され、
前記第1ピストンは、前記第1スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、
前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記第1ピストンとの間に設けられて、前記第1ピストンを前記第1挿入孔の内側に向かって付勢し、
前記流体通路の圧力が第1の所定の圧力以上の場合に、前記第1ピストンは、前記第1スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第1挿入孔における前記第1ピストンよりも内側に第1流入室を形成し、前記第1流入室により前記流体通路を開放し、
前記第1流入室の圧力の減少に応じて、前記第1ピストンが、前記第1スプリングの付勢力により、前記第1挿入孔の内側へ移動し、前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記有効断面積を最小にし、
前記第1ピストンの前記内面には、凹部が形成され、
前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さく、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接している状態で、前記凹部を介して、前記第1流量調整機構に対して一方の側に位置する前記流体通路と他方の側に位置する前記流体通路とは互いに連通している、流体供給システム。
【請求項6】
請求項に記載のバルブ、または、請求項に記載の流体供給システムを備える半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動流体により開閉を行うバルブにおいて、ダイヤフラムと弁座との衝突を緩和するバルブが求められている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1に開示されたバルブでは、第1アクチュエータにより第1往復動部材を弁座に近付ける方向へ移動させ、ストッパにより移動を止めさせ、弁座とダイヤフラム弁体との間に所定隙間がある状態にしている。そして、その状態から、第2アクチュエータにより第1往復動部材に対して第2往復動部材を弁座に近付ける方向へ移動させることで、弁座とダイヤフラム弁体との衝突を緩和しつつ、弁座にダイヤフラム弁体を当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-31428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のバルブでは、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータが必要であり、バルブの構成が複雑になってしまう。
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成でダイヤフラムが弁座に着座する速度を抑え、微細なパーティクルの発生を抑制可能なアクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様であるアクチュエータは、駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動される駆動ピストンと、前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記第1流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成されている。
【0007】
また、前記ケーシングには、前記第1流量調整機構が設けられ前記流体通路の一部を構成する第1挿入孔が形成され、前記第1流量調整機構は、第1スプリング押えと、第1ピストンと、第1スプリングとを有し、前記第1スプリング押えは、前記第1挿入孔に挿入され、前記第1ピストンは、前記第1スプリング押えよりも前記第1挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第1スプリングは、前記第1スプリング押えと前記第1ピストンとの間に設けられて、前記第1ピストンを前記第1挿入孔の内側に向かって付勢し、前記流体通路の圧力が第1の所定の圧力以上の場合に、前記第1ピストンは、前記第1スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第1挿入孔における前記第1ピストンよりも内側に第1流入室を形成し、前記第1流入室により前記流体通路を開放し、前記第1流入室の圧力の減少に応じて、前記第1ピストンが、前記第1スプリングの付勢力により、前記第1挿入孔の内側へ移動し、前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記有効断面積を最小にしてもよい。
【0008】
また、前記第1ピストンの前記内面には、凹部が形成され、前記流体通路の圧力が前記第1の所定の圧力よりも小さく、前記第1ピストンの内面が前記ケーシングに当接している状態で、前記凹部を介して、前記第1流量調整機構に対して一方の側に位置する前記流体通路と他方の側に位置する前記流体通路とは互いに連通してもよい。
【0009】
また、第2流量調整機構と、逆止弁と、をさらに備え、前記ケーシングには、前記第2流量調整機構が設けられる第2挿入孔と、前記逆止弁が設けられる第3挿入孔とが形成され、前記第2流量調整機構は、第2スプリング押えと、第2ピストンと、第2スプリングとを有し、前記第2スプリング押えは、前記第2挿入孔に挿入され、前記第2ピストンは、前記第2スプリング押えよりも前記第2挿入孔の内側において移動可能に設けられ、前記第2スプリングは、前記第2スプリング押えと前記第2ピストンとの間に設けられて、前記第2ピストンを前記第2挿入孔の内側に向かって付勢し、前記流体通路は、第1流体通路と、第2流体通路と、第3流体通路と、第4流体通路と、第5流体通路と、を有し、前記第1流体通路は、前記流体通路において外部から供給される駆動流体が最初に通過する通路であり、前記第2流体通路に連通し、前記第2流体通路は、前記第1挿入孔と前記第3挿入孔とを連通し、前記第3流体通路は、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とを連通し、前記第4流体通路は、前記第3流体通路と前記圧力室とを連通し、前記第5流体通路は、前記第2挿入孔と前記第3挿入孔とを連通し、前記第3流体通路の圧力が第2の所定の圧力以上の場合に、前記第2ピストンは、前記第2スプリングの付勢力に抗して移動し、前記第2挿入孔における前記第2ピストンよりも内側に第2流入室を形成し、前記第2流入室により、前記第3連通路と前記第5連通路とが連通し、前記第2流入室の圧力の減少に応じて前記第2ピストンが、前記第2スプリングの付勢力により、前記第2挿入孔の内側へ移動し、前記第3連通路の圧力が前記第2の所定の圧力よりも小さい場合に、前記第2ピストンの内面が前記ケーシングに当接し、前記第3連通路と前記第5連通路との連通を遮断し、前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力よりも小さく、前記逆止弁は、前記第2流体通路の圧力が前記第5流体通路の圧力よりも小さい場合に開状態となり、前記第2流体通路の圧力が前記第5流体通路の圧力以上の場合に閉状態となってもよい。
【0010】
また、前記第1スプリングの付勢力は前記第2スプリングの付勢力よりも大きく、かつ、前記第1スプリングの内面の面積は、前記第2スプリングの内面の面積と等しく構成され、または、前記第1スプリングの内面の面積は前記第2スプリングの内面の面積よりも大きく、かつ、前記第1スプリングの付勢力は、前記第2スプリングの付勢力と等しく構成されてもよい。
【0011】
本発明の一態様であるバルブは、流入路および流出路が形成されたボディと、前記流入路および前記流出路を開閉する弁体と、前記弁体により前記流入路および前記流出路を連通または遮断させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、前記ボディに接続され、駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動され、前記ステムを作動させる駆動ピストンと、前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記第1流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成されている。
【0012】
また、本発明の一態様である流体供給システムは、駆動流体を供給する供給源と、前記供給源から供給される駆動流体により駆動するバルブと、前記供給源から前記バルブへ駆動流体を供給する流れと駆動流体を前記バルブの前記駆動部から外部へ排出する流れとを切り替える切替部と、を備える流体供給システムであって、前記バルブは、流入路および流出路が形成されたボディと、前記流入路および前記流出路を開閉する弁体と、前記弁体により前記流入路および前記流出路を連通または遮断させるために、前記ボディに対し近接および離間移動するステムと、前記ボディに接続され、駆動流体を流通させるための流体通路が形成されたケーシングと、前記ケーシング内に設けられて前記ケーシングとともに圧力室を形成し、外部から前記流体通路を介して供給される駆動流体により駆動され、前記ステムを作動させる駆動ピストンと、前記ケーシング内に設けられ、前記流体通路の有効断面積を変更する第1流量調整機構と、を備え、前記第1流量調整機構は、前記流体通路の圧力の増減に応じて前記第1流量調整機構における前記有効断面積を増減させるように構成されている。
【0013】
また、本発明の一態様である半導体製造装置は、上記のバルブ、もしくは、上記の流体供給システムを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成でダイヤフラムが弁座に着座する速度を抑え、微細なパーティクルの発生を抑制可能なアクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るバルブの正面図である。
図2】第1実施形態に係るバルブの上面図である。
図3図2に示したバルブのIII-III線に沿った断面図である。
図4】仕切ディスク近傍を拡大した断面図である。
図5図1に示したバルブのV-V線に沿った断面図である。
図6】第1実施形態に係る流体供給システムの構成図である。
図7】バルブの開閉時における、第1流量調整機構の動作の説明図である。
図8】ステムのストロークと時間との関係を示すグラフである。
図9】バルブおよび流体供給システムを備える半導体製造装置を示す。
図10】第2実施形態に係るバルブの中ケーシングの断面図である。
図11】第2実施形態に係る流体供給システムの構成図である。
図12】バルブの開閉時における、第1流量調整機構、第2流量調整機構、および逆止弁の動作の説明図である。
図13】第1実施形態のバルブの第1流量調整機構の変形例を示す図である。
図14】第2実施形態のバルブの第1流量調整機構および第2流量調整機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るアクチュエータ、バルブ、流体供給システム、および半導体製造装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態に係るバルブ1の正面図を示している。図2は、第1実施形態に係るバルブ1の上面図を示している。図3は、図2に示したバルブ1のIII-III線に沿った断面図を示している。図4は、仕切ディスク22近傍を拡大した断面図を示している。図5は、図1に示したバルブ1のV-V線に沿った断面図を示している。なお、本実施形態に係るバルブ1はダイヤフラムバルブである。
【0018】
図1に示すように、バルブ1は、ボディ10と、アクチュエータ20とを備える。なお、以下の説明において、バルブ1の、アクチュエータ20側を上側、ボディ10側を下側として説明する。
【0019】
[ボディ10]
図3に示すように、ボディ10は、ボディ本体11と、シート12と、ボンネット13と、止め輪14と、ダイヤフラム15と、押えアダプタ16と、ダイヤフラム押え17とを備える。
【0020】
ボディ本体11には、弁室11aと、弁室11aに連通する流入路11bおよび流出路11cとが形成されている。シート12は、環状をなし、弁室11aと流入路11bとが連通する箇所の周縁に設けられている。
【0021】
ボンネット13は、略円筒状をなし、その下端部の外周に設けられた雄ネジ部をボディ本体11に設けられた雌ネジ部に螺合させることにより、弁室11aを覆うようにボディ本体11に固定されている。止め輪14は、アクチュエータ20をボディ10に固定するために、ボンネット13の上端部の外周に装着される。
【0022】
また、ボンネット13の上端部には、凹部13aが形成され、凹部13aに断面円形の第1Oリング13Bが設けられている。第1Oリング13Bは、後述のステム26の上下方向の移動(ダイヤフラム15に対する近接および離間移動)をガイドし、後述の第1圧力室S1から駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0023】
弁体であるダイヤフラム15は、ボンネット13の下端に配置された押えアダプタ16とボディ本体11の弁室11aを形成する底面とにより、その外周縁部が挟圧され保持されている。ダイヤフラム15は、球殻状をなし、上に凸の円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム15がシート12に対し離間および当接することによって、流体通路の開閉が行われる。ダイヤフラム15は、例えば、複数枚の金属の薄板により構成され、円形に切り抜き、中央部を上方へ膨出させた球殻状に形成される。
【0024】
ダイヤフラム押え17は、ダイヤフラム15の上側に設けられ、ダイヤフラム15の中央部を押圧可能に構成されている。
【0025】
[アクチュエータ20]
アクチュエータ20は、全体で略円柱形状をなし、下ケーシング21と、仕切ディスク22と、サポートディスク23と、中ケーシング24と、上ケーシング25と、ステム26と、圧縮コイルスプリング27と、断面円形の第2~第4Oリング28A~28Cと、4本のボルト29(図2参照)と、駆動部30と、第1流量調整機構40とを有する。なお、下ケーシング21と、仕切ディスク22と、サポートディスク23と、中ケーシング24と、上ケーシング25とにより、アクチュエータ20のケーシングが構成される。
【0026】
下ケーシング21は、略円筒状をなし、ボンネット13が貫通するボンネット貫通孔21aと、駆動部30を収容する駆動部収容孔21bとが形成されている。
【0027】
ボンネット貫通孔21aには、ボンネット13の上部が貫通し、ボンネット13の上端は止め輪14により下ケーシング21に固定されている。図4に示すように、駆動部収容孔21bを形成する内周面21Cには、第1段差部21Dおよび第2段差部21Eが形成されている。
【0028】
仕切ディスク22は、下ケーシング21内に設けられ、第1ディスク部22Aと、上突出部22Bと、第1下突出部22Cとを有する。第1ディスク部22Aは、中心にステム26が貫通する第1ステム貫通孔22dが形成された略円盤状をなし、その内周および外周に一周連続して環状をなす第1、2Oリング収容溝22e、22fが形成されている。第1、2Oリング収容溝22e、22fには、第2、3Oリング28A、28Bが収容され、第2Oリング28Aは、ステム26の上下方向に移動をガイドし、後述の第2圧力室S2から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0029】
上突出部22Bは、環状をなし、第1ディスク部22Aの上面の外周縁から上側に突出している。第1下突出部22Cは、環状をなし、第1ディスク部22Aの下面の外周縁から下側に突出している。第1下突出部22Cの下端は、下ケーシング21の第2段差部21Eに当接しており、第1下突出部22Cと下ケーシング21の第1段差部21Dとにより、環状をなす第1外周部収容溝22gが形成される。
【0030】
サポートディスク23は、仕切ディスク22の上側に位置し、外周に設けられた雄ネジ部が下ケーシング21の上端部の内周に設けられた雌ネジ部に螺合されることにより、駆動部収容孔21bを塞ぐように下ケーシング21に固定されている。
【0031】
サポートディスク23は、第2ディスク部23Aと、第2下突出部23Bと、第3下突出部23Cとを有する。第2ディスク部23Aは、中心にステム26が貫通する第2ステム貫通孔23dが形成された略円盤状をなしている。第2ディスク部23Aには、さらに4つのボルト螺合孔23e(図4では2つのみ図示)が形成されている。
【0032】
第2下突出部23Bは、環状をなし、第2ディスク部23Aの下面の外周縁から下側に突出している。第3下突出部23Cは、環状をなし、第2下突出部23Bの下面の外周縁から下側に突出している。第3下突出部23Cの径方向の厚さは、第2下突出部23Bの径方向の厚さよりも薄く構成され、当該厚さの違いにより、第3段差部23Fが形成されている。
【0033】
第3下突出部23Cの下端は、仕切ディスク22の上突出部22Bに当接しており、第3段差部23Fと上突出部22Bとにより、環状をなす第2外周部収容溝23gが形成される。なお、第1段差部21Dと、第2段差部21Eと、仕切ディスク22の上突出部22Bおよび第1下突出部22Cと、サポートディスク23の第2下突出部23Bおよび第3下突出部23Cとにより、ケーシングの内周部が構成される。
【0034】
図3に示すように、中ケーシング24は、略円盤状をなし、下ケーシング21およびサポートディスク23の上側に設けられている。中ケーシング24の下面の中央部には、ザグリ状の凹部24aが形成されている。凹部24aには、第4Oリング28Cが設けられ、第4Oリング28Cにステム26の上端が挿入されている。第4Oリング28Cは、ステム26の上下方向に移動をガイドし、駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0035】
図5に示すように、中ケーシング24には、その外周面24Bから内方に向かって延びる略円柱状の第1挿入孔24cが形成されている。中ケーシング24には、駆動流体が流れる、第1通路24d(図3も参照)と、第2通路24eと、第3通路24fと、第4通路24gと、第5通路24hとが形成されている。第1~第5通路24d~24hは、流体通路に相当する。
【0036】
第1通路24dは、中ケーシング24の上面から下方へ延びている。第2通路24eは、第1通路24dの下端から第1挿入孔24cへ延び、第1通路24dと第1挿入孔24cとを連通している。第3通路24fは、外周面24Bから内方に向かって、第1挿入孔24cを横切って延びている。第3通路24fの外周面24B側の端部は、ボール24Jにより塞がれている。第4通路24gは、第3通路24fの内側の端部から下方へ延びている。第5通路24hは、第4通路24gの下端から凹部24aへ延びている。また、中ケーシング24には、4つのボルト挿入孔24kが形成されている。
【0037】
図3に示すように、上ケーシング25は、略円筒状をなし、中ケーシング24の上側に設けられている。上ケーシング25には、図示せぬ管継手を螺合するための被螺合孔25aと、被螺合孔25aから第1通路24dへ延びる流体導入通路25bが形成されている。流体導入通路25bと第1通路24dとの接続部には、断面円形の第5Oリング25Cが設けられている。第5Oリング25Cは、駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0038】
ステム26は、略円柱状をなし、上下方向に移動可能に設けられ、ダイヤフラム押え17から、ボンネット13および下ケーシング21を通過して、中ケーシング24まで延びている。ステム26の上端は、中ケーシング24の凹部24a内に位置している。ステム26には、その上半分部分に、上下方向に延びる流体流入路26aが形成され、さらに流体流入路26aを横切る第1~第2流体流出孔26b~26cが形成されている。
【0039】
流体流入路26aの上端は、凹部24aに開口している。第1流体流出孔26bは、後述の第2圧力室S2に連通している。第2流体流出孔26cは、第1流体流出孔26bの下側に位置し、後述の第1圧力室S1に連通している。
【0040】
圧縮コイルスプリング27は、ボンネット13内において、ステム26の下半分部分の外周に設けられ、ステム26を常に下方に向かって付勢する。
【0041】
各ボルト29は、上ケーシング25のボルト挿入孔25dおよび中ケーシング24のボルト挿入孔24kに挿入され、サポートディスク23のボルト螺合孔23eに螺合されている。これにより、下ケーシング21、中ケーシング24、および上ケーシング25が一体化されている。
【0042】
[駆動部30]
駆動部30は、第1駆動ピストン31と、第6Oリング32と、第1シール部材33と、第2駆動ピストン34と、第7Oリング35と、第2シール部材36と、止め輪37、38とを有する。
【0043】
図4に示すように、第1駆動ピストン31は、略円盤状をなし、ステム26が貫通する第3ステム貫通孔31aが中心に形成されている。第1駆動ピストン31の内周には、一周連続して環状をなす第5Oリング収容溝31bが形成され、第1駆動ピストン31の外周には、一周連続して環状をなす第1内周部収容溝31cが形成されている。
【0044】
断面円形の第6Oリング32は、第5Oリング収容溝31bに収容され、後述の第1圧力室S1から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0045】
第1シール部材33は、樹脂製の円環状の部材であり、第1内周部33Aと、第1外周部33Bと、第1中間部33Cとを有する。第1内周部33Aは、断面が略楕円状をなし、第1内周部収容溝31cに嵌め込まれている。第1外周部33Bは、断面が略楕円状をなし、第1外周部収容溝22gに嵌め込まれている。
【0046】
第1中間部33Cは、第1内周部33Aと第1外周部33Bとの間に位置し、第1内周部33Aおよび第1外周部33Bの厚さより薄く構成され、第1内周部33Aの上下方向の中央部および第1外周部33Bの上下方向の中央部を互いに接続している。そして、第1内周部33Aは、第1外周部33Bに対する第1シール部材33の軸方向へ沿う移動可能な最大距離が、第1シール部材33の厚さの半分以下である所定の距離になるように制限されている。
【0047】
第1駆動ピストン31、下ケーシング21、およびボンネット13により、第1圧力室S1が形成され、当該第1圧力室S1は、第1Oリング13B、第6Oリング32、および第1シール部材33により密閉されている。第1圧力室S1には、ステム26に形成された流体流入路26aおよび第2流体流出孔26cが連通している。
【0048】
第1駆動ピストン31の上面には止め輪37が設けられ、止め輪37はステム26に装着されている。これにより、第1駆動ピストン31が上側に移動すると、止め輪37とともにステム26が上側に移動する。
【0049】
第2駆動ピストン34は、略円盤状をなし、ステム26が貫通する第4ステム貫通孔34aが中心に形成されている。第2駆動ピストン34の内周には、一周連続して環状をなす第6Oリング収容溝34bが形成され、第2駆動ピストン34の外周には、一周連続して環状をなす第2内周部収容溝34cが形成されている。
【0050】
断面円形の第7Oリング35は、第6Oリング収容溝34bに収容され、後述の第2圧力室S2から駆動流体が漏れるのを防止する。
【0051】
第2シール部材36は、樹脂製のOリングであり、第2内周部36Aと、第2外周部36Bと、第2中間部36Cとを有する。第2内周部36Aは、断面が略楕円状をなし、第2内周部収容溝34cに嵌め込まれている。第2外周部36Bは、断面が略楕円状をなし、第2外周部収容溝23gに嵌め込まれている。
【0052】
第2中間部36Cは、第2内周部36Aと第2外周部36Bとの間に位置し、第2内周部36Aおよび第2外周部36Bの厚さより薄く構成され、第2内周部36Aの上下方向の中央部および第2外周部36Bの上下方向の中央部を互いに接続している。そして、第2内周部36Aは、第2外周部36Bに対する第2シール部材36の軸方向へ沿う移動可能な最大距離が、第2シール部材36の厚さの半分以下である所定の距離になるように制限されている。
【0053】
第2駆動ピストン34および仕切ディスク22により、第2圧力室S2が形成され、当該第2圧力室S2は、第2Oリング28A、第7Oリング35、および第2シール部材36により密閉されている。第2圧力室S2には、ステム26に形成された流体流入路26aおよび第1流体流出孔26bが連通している。
【0054】
第2駆動ピストン34の上面には止め輪38が設けられ、止め輪38はステム26に装着されている。これにより、第2駆動ピストン34が上側に移動すると、止め輪38とともにステム26が上側に移動する。
【0055】
[第1流量調整機構40]
第1流量調整機構40は、中ケーシング24の第1挿入孔24cに設けられ、第1スプリング押え41と、第1ピストン42と、第1スプリング43とを有する。
【0056】
第1スプリング押え41は、第1挿入孔24cに圧入されまたはネジ込まれて中ケーシング24に対し固定されている。第1ピストン42は、第1スプリング押え41よりも第1挿入孔24cの内側において移動可能に設けられ、第8Oリング42Aを有する。第1ピストン42の内面42Bは、第2通路24eおよび第3通路24fに対向しており、その中央部には、凹部42cが形成されている。凹部42c内は、第2通路24eおよび第3通路24fに連通している。よって、第2通路24eと第3通路24fとは、凹部42cを介して常に連通している。第8Oリング42Aは、後述の第1流入室D1内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0057】
圧縮コイルスプリングである第1スプリング43は、第1スプリング押え41と第1ピストン42との間に設けられ、第1ピストン42を第1挿入孔24cの内側に向かって付勢している。図7(B)に示すように、第2通路24eからの駆動流体の流入により、第1ピストン42が、第1スプリング43の付勢力に抗して、外周面24B側に移動し、第1流入室D1が形成される。第1流入室D1は、流体通路の一部を構成する。第1スプリング43の付勢力は、第1流入室D1内の圧力が所定の圧力(例えば約0.2MPa)以下の場合に、第1ピストン42の内面42Bが中ケーシング24に当接し、第1流入室D1がなくなるように設定されている。すなわち、第1流入室D1内の圧力が所定の圧力(例えば約0.2MPa)以下の場合に、第1流量調整機構40が閉止し、第1流量調整機構40における流体通路の有効断面積が最小になるように構成されている。このように、第1流量調整機構40は、流体通路の圧力の増減に応じて、第1流量調整機構40における有効断面積を増減させるように構成されている。なお、第1流量調整機構40が閉止する圧力は、第1ピストン42の付勢力と、第1ピストン42の内面42Bの面積とに基づき設定される。
【0058】
[流体供給システム2]
次に、本実施形態に係る流体供給システム2について図6を参照して説明する。
【0059】
図6は、流体供給システム2の構成図を示している。
【0060】
図6に示すように、流体供給システム2は、アキュムレータ3と、電磁弁である三方弁4と、上述のバルブ1とを備える。アキュムレータ3は、例えば操作エアである駆動流体を供給する供給源である。三方弁4は、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体を供給する流れと、駆動流体をバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れとを切り替える切替部である。
【0061】
[バルブ1の開閉動作]
次に、本実施形態に係る流体供給システム2におけるバルブ1の開閉動作について、図3、4、6、7を参照して説明する。なお、本実施形態の圧力条件として、アキュムレータ3からバルブ1へ供給される駆動流体の圧力を約0.4MPaとする。第1、2圧力室S1、S2、流体流入路26a、第3~5通路24f~24h等で構成される空室の圧力が、約0.2MPaより小さくなると第1流量調整機構40が閉止するものとする。当該空室の圧力が、約0.2MPaより小さくなると、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、バルブ1が閉状態(ダイアフラム15がシート12に着座する)になるものとする。
【0062】
図7は、バルブ1の開閉時における、第1流量調整機構40の動作の説明図を示している。図7では、駆動流体の流れを白抜き矢印で示している。
【0063】
図3に示すように、本実施形態のバルブ1では、第1、2圧力室S1、S2に駆動流体が流入していない状態では、ステム26は圧縮コイルスプリング27の付勢力によって下死点にあり(ボディ本体11に近接し)、ダイヤフラム押え17によりダイヤフラム15が押圧されてバルブ1は閉状態となっている。つまり、バルブ1は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態である。
【0064】
そして、図6に示した三方弁4を、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体が流れる状態にする。これにより、アキュムレータ3からバルブ1へ駆動流体が供給される。駆動流体は、図示せぬエアチューブおよび管継手を介して、流体導入通路25bおよび第1通路24dを通過し、図7(A)に示すように、第2通路24eへ流入する。当該駆動流体の圧力は約0.4MPaであるので、第1ピストン42の内面42Bが駆動流体により押されることにより、第1スプリング43が圧縮されて、第1ピストン42は外周面24B側に移動し、図7(B)に示すように、第1挿入孔24c内に第1流入室D1が形成される。
【0065】
これにより、駆動流体が、第1流入室D1を介して、第3~5通路24f~24h、凹部24a、流体流入路26a、第1流体流出孔26b(図3)、および第2流体流出孔26c(図3)を通過し、第1、2圧力室S1、S2(図3)に流入する。第1、2圧力室S1、S2に駆動流体が流入すると、第1、2駆動ピストン31、34が、圧縮コイルスプリング27の付勢力に抗して上昇する。これにより、ステム26は上死点に移動し(ボディ本体11から離間し)、ダイヤフラム15の弾性力および流体(ガス)の圧力によりダイヤフラム押え17が上側に移動し、流入路11bと流出路11cとが連通し、バルブ1は開状態となる。
【0066】
また、第1駆動ピストン31の上昇により、第1シール部材33において、第1内周部33Aは第1駆動ピストン31とともに上昇し、第1外周部33Bは上昇せず、第1中間部33Cは第1内周部33Aの上昇に伴い変形する。同様に、第2駆動ピストン34の上昇により、第2シール部材36において、第2内周部36Aは第2駆動ピストン34とともに上昇し、第2外周部36Bは上昇せず、第2中間部36Cは第2内周部36Aの上昇に伴い変形する。
【0067】
バルブ1を開状態から閉状態にするには、三方弁4を、駆動流体がバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れに切り替える。これにより、図7(C)に示すように、第1、2圧力室S1、S2内の駆動流体が、第1流体流出孔26b(図3)、第2流体流出孔26c(図3)、流体流入路26a、凹部24a、第3~5通路24f~24hを介して、第1流入室D1へ流れ、第1、2通路24d、24eおよび流体導入通路25bを介して外部へ排出される。
【0068】
駆動流体の排出により、第1流入室D1内の圧力は徐々に減少する。これにより、第1ピストン42が、第1スプリング43の付勢力により、例えば、第1流入室D1内の圧力が約0.3MPaより小さくなると、第1挿入孔24cの内側へ移動する。このため、駆動流体の流体通路の断面積(有効断面積)が小さくなり、駆動流体の排出が抑制される。流量調整機構そして、図7(D)に示すように、空室の圧力が約0.2MPaになると、第1スプリング43の付勢力により、第1流量調整機構40が閉止し、第1流量調整機構40における流体通路の有効断面積が最小になる。一方、ステム26は、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、空室の圧力が約0.3MPaより小さくなると下降し始める。第1流量調整機構40により駆動流体の排出が抑制されているため、ステム26の下降速度は第1流量調整機構40を設けない場合と比較して遅くなる。そして、空室の圧力が約0.2MPaで、ステム26は下死点に戻り、ダイヤフラム15がシート12に着座し、流入路11bと流出路11cとが遮断され、バルブ1は閉状態となる。これにより、簡易な構成でダイヤフラム15がシート12に着座する速度が抑えられ、微細なパーティクルの発生が抑制される。
【0069】
なお、第1流量調整機構40が閉止した状態でも、第2通路24eと第3通路24fとは、凹部42cを介して連通している。よって、バルブ1の閉状態を維持した場合には、駆動流体の排出が継続され、空室内の圧力は大気圧(約0.1MPa)となる。このように、凹部42cにより、空室内を大気圧にすることができるので、空室内の残圧を大気圧まで下げることができ、残圧によるバルブ1の誤作動を防止することができる。
【0070】
また、第1駆動ピストン31および第2駆動ピストン34が下降することにより、第1シール部材33の第1内周部33Aおよび第2シール部材36の第2内周部36Aも下降し、第1シール部材33および第2シール部材36は元の状態に戻る。
【0071】
図8は、ステム26のストロークと時間との関係を示すグラフである。
【0072】
図8において、線L1は、本実施形態の第1流量調整機構40を有するバルブ1におけるステム26のストロークと時間との関係を示すグラフであり、線L2は、第1流量調整機構40を設けないバルブにおけるステムのストロークと時間との関係を示すグラフである。
【0073】
図8の線L1に示すように、開状態にあるバルブ1において、時間T0で、駆動流体の流れをバルブ1の駆動部30から外部へ排出する流れに切り替えると、駆動流体が排出されはじめる。そして、時間T1で、空室の圧力が約0.3MPaになると、ステム26が上死点から下降を開始する。バルブ1が第1流量調整機構40を有するので、ステム26の下降速度は、線L2の第1流量調整機構40を設けない場合と比較して遅くなる。これにより、ステム26が下死点に到達する時間が、線L2の第1流量調整機構40を設けない場合の時間T2よりも、遅い時間T3となる。よって、第1流量調整機構40を設けない場合と比較して、ダイヤフラム15がシート12に着座する速度が抑えられ、微細なパーティクルの発生が抑制される。また、バルブ1の閉状態を維持すると、時間T6において空室内の圧力は大気圧となる。
【0074】
[半導体製造装置100]
次に、上記で説明したバルブ1および流体供給システム2が使用される半導体製造装置100について説明する。
【0075】
図9は、本実施形態に係るバルブ1および流体供給システム2を備える半導体製造装置100を示している。
【0076】
図9に示すように、半導体製造装置100は、例えば、CVD装置であり、流体供給システム2と、ガス供給手段60と、真空チャンバ70と、排気手段80とを有し、ウェハ上に不動態膜(酸化膜)を形成する装置である。
【0077】
ガス供給手段60は、ガス供給源61と、流体制御装置62とを備える。真空チャンバ70は、ウェハ72を載置するための載置台71と、ウェハ72上に薄膜を形成するための電極73とを備える。真空チャンバ70には、商用電源101が接続されている。排気手段80は、排気配管81と、開閉弁82と、集塵機83とを備える。
【0078】
ウェハ72上に薄膜を形成する時には、流体供給システム2におけるバルブ1の開閉により、真空チャンバ70へのガスの供給が制御される。また、ウェハ72上に薄膜を形成した際に発生する副生成物たる粉粒体を除去する時には、開閉弁82が開状態とされ、排気配管81を介して集塵機83により粉粒体が除去される。
【0079】
このように、アクチュエータ20をバルブ1に適用し、当該バルブ1を、駆動流体を供給するアキュムレータ3および駆動流体の流れを切り替える三方弁4を有する流体供給システム2に適用することにより、微細なパーティクルの発生を抑制することができる。よって、当該バルブ1または流体供給システム2を備える半導体製造装置100では、微細なパーティクルによる影響を抑制することができ、ウェハの歩留まりを向上させることができる。
【0080】
次に、第2実施形態に係るバルブ101について、図面を参照して説明する。第1の実施形態に係るバルブ1と異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
図10は、第2実施形態に係るバルブ101の中ケーシング24の断面図を示している。
【0082】
図10に示すように、中ケーシング24には、その外周面24Bから内方に向かって延びる略円柱状の第2挿入孔24mおよび第3挿入孔24nが形成されている。また、中ケーシング24には、第1~6通路24d~24h、24oが形成されている。第1、4、5通路24d、24g、24hの形状、位置は、第1実施形態のバルブ1の通路と同じである。第1通路24dは第1流体通路に、第2通路24eは第2流体通路に、第3通路24fは第3流体通路に、第4通路24gおよび第5通路24hは第4流体通路に、第6通路24oは、第5流体通路に相当する。
【0083】
第2通路24eは、第1挿入孔24cと第3挿入孔24nとを連通すると共に、第1通路24dの下端に接続されている。第3通路24fは、外周面24Bから内方に向かって、第2挿入孔24mを横切って第1挿入孔24cまで延び、第1挿入孔24cと第2挿入孔24mとを連通している。第3通路24fの外周面24B側の端部は、ボール24Jにより塞がれている。第6通路24oは、第2挿入孔24mと第3挿入孔24nとを連通している。
【0084】
第2挿入孔24mには、第2流量調整機構44が設けられている。第2流量調整機構44は、第2スプリング押え45と、第2ピストン46と、第2スプリング47とを有する。第2スプリング押え45、第2ピストン46、および第2スプリング47は、第1流量調整機構40の第1スプリング押え41、第1ピストン42、および第1スプリング43と同様の構成である。しかし、第2ピストン46には、その内面46Bに凹部が形成されていない点において、第1ピストン42と構成が相違する。また、第2スプリング47の付勢力は、第1スプリング43の付勢力よりも弱く構成され、第1ピストン42の内面42Bの面積と、第2ピストン46の内面46Bの面積とはほぼ等しく構成されている。また、第9Oリング46Aは、後述の第2流入室D2内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。
【0085】
また、図12(C)に示すように、第3通路24fからの駆動流体の流入により、第2ピストン46が、第2スプリング47の付勢力に抗して、外周面24B側に移動し、第2流入室D2が形成される。第2流入室D2により、第3通路24fと第6通路24oとが連通する。第2流入室D2は、流体通路の一部を構成する。第2スプリング47の付勢力は、第2流入室D2内の圧力が所定の圧力(例えば約0.3MPa)以下の場合に、第2ピストン46の内面46Bが中ケーシング24に当接し、第2流入室D2がなくなるように設定されている。すなわち、第2流入室D2内の圧力が所定の圧力(例えば約0.3MPa)以下の場合に、第2流量調整機構44が閉止し、第3通路24fと第6通路24oとの連通を遮断するように構成されている。
【0086】
第3挿入孔24nには、逆止弁48が設けられている。逆止弁48は、ベース部49Aと、第10Oリング49Bと、樹脂製の弁体49Cとを有する。ベース部49Aは、第2挿入孔24nに圧入され、中ケーシング24に対し固定されている。第3挿入孔24nにおける、ベース部49Aよりも内側の空間は、第3流入室D3を構成する。第10Oリング49Bは、第3流入室D3内の駆動流体が外部に漏れるのを防止する。弁体49Cは、第3流入室D3の圧力に応じて変位可能であり、当該弁体49Cの変位により、逆止弁48は、閉状態または開状態となる。逆止弁48が閉状態では、第3流入室D3(第2通路24e)と第6通路24oとの連通が遮断され、逆止弁48が開状態では、第3流入室D3と第6通路24oとは連通する。
【0087】
次に、本実施形態に係る流体供給システム2について図11を参照して説明する。
【0088】
図11は、流体供給システム102の構成図を示している。
【0089】
図11に示すように、流体供給システム102は、アキュムレータ3と、電磁弁である三方弁4と、上述のバルブ101とを備える。駆動流体は、第1流量調整機構40を介して駆動部30へ供給され、第1流量調整機構40、第2流量調整機構44、および逆止弁48を介して外部へ排出される。
【0090】
次に、本実施形態に係る流体供給システム102におけるバルブ101の開閉動作について図11、12を参照して説明する。なお、本実施形態の圧力条件として、アキュムレータ3からバルブ101へ供給される駆動流体の圧力を約0.4MPaとする。第1、2圧力室S1、S2、流体流入路26a、第3~5通路24f~24h等で構成される空室の圧力が、約0.25MPaより小さくなると第1流量調整機構40が閉止するものとする。当該空室の圧力が、約0.2MPaより小さくなると、第2流量調整機構44が閉止し、かつ、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、バルブ101が閉状態(ダイアフラム15がシート12に着座する)になるものとする。この第1流量調整機構40および第2流量調整機構44が閉止する圧力は、第1ピストン42および第2スプリング47の付勢力と、第1ピストン42の内面42Bおよび第2ピストン46の内面46Bの面積とに基づき設定される。上記のように本実施形態では、第2スプリング47の付勢力は、第1スプリング43の付勢力よりも弱く構成され、第1ピストン42の内面42Bの面積と、第2ピストン46の内面46Bの面積とはほぼ等しく構成されている。
【0091】
図12は、バルブ101の開閉時における、第1流量調整機構40、第2流量調整機構44、および逆止弁48の動作の説明図を示している。図12では、駆動流体の流れを白抜き矢印で示している。第1実施形態のバルブ1と同様に、バルブ101は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態である。
【0092】
図11に示した三方弁4を、アキュムレータ3からバルブ101へ駆動流体が流れる状態にする。これにより、アキュムレータ3からバルブ101へ駆動流体が供給される。駆動流体は、図示せぬエアチューブおよび管継手を介して、流体導入通路25bおよび第1通路24dを通過し、図12(A)に示すように、第2通路24eへ流入する。当該駆動流体の圧力は約0.4MPaであるので、第1ピストン42の内面42Bが駆動流体により押されることにより、第1スプリング43が圧縮されて、第1ピストン42は外周面24B側に移動し、図12(B)に示すように、第1挿入孔24c内に第1流入室D1が形成される。
【0093】
一方、中ケーシング24の第2通路24eから第3流入室D3へ駆動流体が流入すると、逆止弁48は閉状態となり、第6通路24oへ駆動流体は流れない。
【0094】
第1流入室D1が形成されることにより、駆動流体が、第1流入室D1を介して、第3~5通路24f~24h、凹部24a、流体流入路26a、第1流体流出孔26b(図3)、および第2流体流出孔26c(図3)を通過し、第1、2圧力室S1、S2(図3)に流入する。第1、2圧力室S1、S2に駆動流体が流入すると、第1、2駆動ピストン31、34が、圧縮コイルスプリング27の付勢力に抗して上昇する。これにより、ステム26は上死点に移動し(ボディ本体11から離間し)、ダイヤフラム15の弾性力および流体(ガス)の圧力によりダイヤフラム押え17が上側に移動し、バルブ1は開状態となる。
【0095】
また、駆動流体は、第3通路24fを介して、第2流量調整機構44へ流体が流れる。当該駆動流体の圧力は約0.4MPaであるので、第2ピストン46の内面46Bが駆動流体により押されることにより、第2スプリング47が圧縮されて、第2ピストン46は外周面24B側に移動し、図12(C)に示すように、第2挿入孔24m内に第2流入室D2が形成される。その結果、駆動流体が、第2流入室D2を介して、第6通路24oへ流入する。駆動流体が、第6通路24oへ流入すると、逆止弁48が開く。
【0096】
バルブ101を開状態から閉状態にするには、三方弁4を、駆動流体がバルブ1の駆動部30(第1、2圧力室S1、S2)から外部へ排出する流れに切り替える。これにより、図12(D)に示すように、第1、2圧力室S1、S2内の駆動流体が、第1流体流出孔26b(図3)、第2流体流出孔26c(図3)、流体流入路26a、凹部24a、第3~5通路24f~24hを介して、第1流入室D1へ流れ、第1、2通路24d、24eおよび流体導入通路25bを介して外部へ排出される。
【0097】
また、逆止弁48が開状態であるので、第6通路24o内の駆動流体が、第3流入室D3へ流れ、第1、2通路24d、24eおよび流体導入通路25bを介して外部へ排出される。
【0098】
駆動流体の排出により、第1流入室D1内の圧力は徐々に減少する。これにより、第1ピストン42が、第1スプリング43の付勢力により、例えば、第1流入室D1内の圧力が約0.3MPaより小さくなると、第1挿入孔24cの内側へ移動する。このため、駆動流体の排出路の断面積(有効断面積)が狭くなり、駆動流体の排出が抑制される。また、ステム26は、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、空室の圧力が約0.3MPaより小さくなると下降し始める。第1流量調整機構40により駆動流体の排出が抑制されているため、ステム26の下降速度が、第1流量調整機構40を設けない場合と比較して遅くなる。図12(E)に示すように、空室の圧力が約0.25MPaになると、第1スプリング43の付勢力により、第1流量調整機構40が閉止する。しかし、第1流量調整機構40が閉止した状態でも、第2通路24eと第3通路24fとは、凹部42cを介して連通している。これにより、第1流量調整機構40が閉止しても、中量の駆動流体の排出が継続される。
【0099】
一方、第2流量調整機構44は開状態を維持しているので、第1、2圧力室S1、S2内の駆動流体は、第2流入室D2を介して、第6通路24oへ流れ、第3流入室D3、第1、2通路24d、24eおよび流体導入通路25bを介して外部へ排出される。駆動流体の排出により、第2流入室D2内の圧力は徐々に減少する。これにより、第2ピストン46が、第2スプリング47の付勢力により、第2挿入孔24mの内側へ移動する。このため、駆動流体の排出路の断面積(有効断面積)がさらに狭くなり、駆動流体の排出がさらに抑制され、ステム26の下降速度が、さらに遅くなる。そして、図12(F)に示すように、空室の圧力が約0.2MPaになると、第2スプリング47の付勢力により、第2流量調整機構44が閉止する。
【0100】
同時に、圧縮コイルスプリング27の付勢力により、ステム26が下死点に戻り、ダイヤフラム15がシート12に着座し、バルブ1は閉状態となる。これにより、ダイヤフラム15がシート12に着座する速度がさらに抑えられ、微細なパーティクルの発生がさらに抑制される。
【0101】
なお、第2流量調整機構44が閉止した後も、逆止弁48を介して、少量の駆動流体の排出が継続され、かつ、第1流量調整機構40の凹部42cを介しての少量の駆動流体の排出も継続される。よって、バルブ101の閉状態を維持した場合には、駆動流体の排出が継続され、空室内の圧力は大気圧となる。
【0102】
図8の線L3は、本実施形態に係るバルブ101におけるステム26のストロークと時間との関係を示すグラフである。線L3に示すように、開状態にあるバルブ1において、時間T0で、駆動流体がバルブ101の駆動部30から外部へ排出する流れに切り替えると、駆動流体が排出されはじめる。そして、時間T1で、空室の圧力が約0.3MPaになると、ステム26が上死点から下降する。バルブ101が第1流量調整機構40および第2流量調整機構44を有するので、駆動流体の排出路の有効断面積が徐々に狭くなり、ステム26の下降速度は、線L2の第1流量調整機構40を設けない場合と比較して遅くなり、第1流量調整機構40のみを有する第1実施形態のバルブ1よりも速くなる。
【0103】
そして、時間T4において、第1流量調整機構40が閉止すると、駆動流体の排出路の有効断面積がさらに狭くなるので、ステム26の下降速度は、さらに低下する。これにより、ステム26が下死点に到達する時間が、時間T5となる。よって、ダイヤフラム15がシート12に着座する速度がさらに抑えられ、微細なパーティクルの発生がさらに抑制される。また、バルブ1の閉状態を維持すると、時間T6において空室内の圧力は大気圧となる。
【0104】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0105】
例えば、上記の実施形態において、第1流量調整機構40の第1ピストン42の内面42に凹部42cを形成したが、図13に示すように、第1ピストン42の内面42Bに凹部を形成しなくてもよい。
【0106】
また、第2実施形態のバルブ101において、第2スプリング47の付勢力を、第1スプリング43の付勢力よりも弱く構成し、第1ピストン42の内面42Bの面積と、第2ピストン46の内面46Bの面積とはほぼ等しく構成した。しかし、図14に示すように、
第2スプリング47の付勢力を、第1スプリング43の付勢力とほぼ等しく構成し、第2ピストン46の内面46Bの面積を、第1ピストン42の内面42Bの面積よりも大きく構成してもよい。
【0107】
また、上記の実施形態におけるバルブ1、101は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態に構成されていたが、通常状態で開状態に構成されていてもよい。また、第1流量調整機構40、第2流量調整機構44 ステム26が作動する圧力は、上記実施形態に示した圧力に限定されない。
【符号の説明】
【0108】
1、101:バルブ、 2:流体供給システム、 3:アキュムレータ、 4:三方弁、 10:ボディ、 11:ボディ本体、 11b:流体流入路、 11c:流体流出路、 15:ダイヤフラム、 20:アクチュエータ、 21:下ケーシング、 22:仕切ディスク、 23:サポートディスク、 24:中ケーシング、 24c:第1挿入孔、 24d:第1通路、 24e:第2通路、 24f:第3通路、 24g:第4通路、 4h:第5通路、 24m:第2挿入孔、 24n:第3挿入孔、 24o:第6通路、 25:上ケーシング、 26:ステム、 30:駆動部、 31:第1駆動ピストン、 34:第2駆動ピストン、 40:第1流量調整機構、 41:第1スプリング押え、 42:第1ピストン、 42B:内面、 42c:凹部、 43:第1スプリング、 44:第2流量調整機構、 45:第2スプリング押え、 46:第1ピストン。 46B:内面、 47:第2スプリング、 48:逆止弁、 100:半導体製造装置、 D1:第1流入室、 D2:第2流入室、 S1:第1圧力室、 S2:第2圧力室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14