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  • 特許-建築用液体収容容器 図1
  • 特許-建築用液体収容容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】建築用液体収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
B65D83/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019049789
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020152384
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519096297
【氏名又は名称】大江 孝明
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】大江 孝明
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-36069(JP,A)
【文献】特開2006-335469(JP,A)
【文献】特開2012-153409(JP,A)
【文献】特開2010-120701(JP,A)
【文献】実開昭49-50283(JP,U)
【文献】実公昭34-19277(JP,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0111562(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 23/00-25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有し、建築作業に用いられる液体を収容する収容部と、
前記収容部の前記開口部に装着され、押圧部を押圧することで前記液体を吐出可能なポンプディスペンサー部と、
前記収容部の上方又は下方に向けて回動するように前記収容部の側面に設けられる一対のリング部と、
を備え、
前記一対のリング部は、前記収容部の上方に向けて回動し、前記押圧部の底部を支えて前記押圧部が押し下がらないように位置することを特徴とする建築用液体収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の建築用液体収容容器において、
前記収容部の下部に装着され、底部に向けて幅が広がる幅広部を備えていることを特徴とする建築用液体収容容器。
【請求項3】
請求項2に記載の建築用液体収容容器において、
前記幅広部の底部は、永久磁石を装着するための凹部が形成されていることを特徴とする建築用液体収容容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションのベランダや屋上などにおいて、ウレタン防水加工がなされている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、d-リモネン、酢酸イソアミル、プロピオン酸ベンジル、酪酸エチル、二塩基酸エステル、即ち、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、琥珀酸ジメチルのいずれか、あるいはそれらの組み合わせから構成されるポリスチレン溶解液を、ポリスチレン製品又は産業廃棄物に接触させることにより、ポリスチレンの気泡を崩壊させてポリスチレン製品又は産業廃棄物を溶解したゲルを得、このゲルを漏水個所及び補修個所に塗布、注入又は導入して防水層の亀裂部、クラック部等をポリスチレン溶解ゲルで被膜防水することを特徴とするポリスチレン溶解液又はポリスチレン溶解ゲルを用いる防水補修工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-100463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ウレタン防水材は、主剤と硬化剤との比率が、例えば1:2で、硬化物密度(Mg/m2)が、例えば1.3~1.4の状態で使用する必要があるが、従来は、必要な量を目分量で図って混合していたが、比率を間違えると、きちんと硬化しないなどの不具合が生じることがある。
【0005】
また、硬化剤などの建築作業に用いられる液体を別容器などに収容して、所定の量を図って取り出すとした場合には、必要時以外は液体を取り出せないようなロック状態にできることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、建築作業に用いられる液体の容量を簡単に計測して吐出しつつ、必要時以外は吐出できないようにすることを可能とする建築用液体収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建築用液体収容容器は、上部に開口部を有し、建築作業に用いられる液体を収容する収容部と、前記収容部の前記開口部に装着され、押圧部を押圧することで前記液体を吐出可能なポンプディスペンサー部と、前記収容部の上方又は下方に向けて回動するように前記収容部の側面に設けられる一対のリング部と、を備え、前記一対のリング部は、前記収容部の上方に向けて回動し、前記押圧部の底部を支えて前記押圧部が押し下がらないように位置することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る建築用液体収容容器において、前記収容部の下部に装着され、底部に向けて幅が広がる幅広部を備えていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る建築用液体収容容器において、前記幅広部の底部は、永久磁石を装着するための凹部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建築作業に用いられる液体の容量を簡単に計測して吐出しつつ、必要時以外は吐出できないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の建築用液体収容容器を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の建築用液体収容容器の上面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、建築用液体収容容器10を示す図である。図1(a)は、建築用液体収容容器10の斜視図であり、図1(b)は、建築用液体収容容器10において一対のリング部22を閉じている状態を示す図である。
【0014】
図1(c)は、建築用液体収容容器10において一対のリング部22を開いている状態を示す図である。図2は、建築用液体収容容器10の上面図及び底面図である。
【0015】
建築用液体収容容器10は、建築作業に用いられる液体を収容し、必要な量を吐出可能な容器である。建築作業に用いられる液体として、ここでは、マンションのベランダや屋上などにおいて、ウレタン防水加工を行うための硬化剤であるものして説明するが、もちろん、その他の液体であってもよい。
【0016】
建築用液体収容容器10は、収容部12と、ポンプディスペンサー部14と、リング部22と、幅広部26とを備える。
【0017】
収容部12は、上部に開口部を有し、建築作業に用いられる液体を収容する。収容部12に用いられる材質として、例えば、アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)からなるABS樹脂を用いることが出来る。ABS樹脂は、着色され不透明なものが多く、軽量であることが特徴である。
【0018】
また、ABS樹脂以外として、アクリロニトリル(A)とスチレン(S)からなるAS樹脂を用いてもよい。AS樹脂は、別名SANプラスチックとも呼ばれ、表面が硬く、耐熱性、透明性に優れている。
【0019】
さらに、収容部12の材質としては、光沢感のある透明度を有するアクリルを用いてもよい。アクリルは、ガラスのような透明感と鏡のような光沢感、光の屈折も楽しむことができる利点がある。
【0020】
また、収容部12は、プラスチック系の材質だけではなく、例えば、土で作った焼きものである陶器や、石を砕いてできた粉末を練って作った焼きものである磁器を含む陶磁器を用いてもよく、他にも耐久性に優れたステンレスを用いて構成してもよい。
【0021】
ポンプディスペンサー部14は、収容部12の開口部に装着され、押圧部16を押圧することで液体を吐出可能な部品である。ポンプディスペンサー部14は、押圧部16を上から押すことによって、上部の穴が解放され、ピストンに押された液体は上部の通路から外に出る構造となっている。
【0022】
また、ポンプディスペンサー部14は、押圧部16から手を離すと、スプリングの力でピストンが上に上がって上部の穴が閉鎖になり、内部の圧力が下がってボトル側から液体が上がってくる構造である。
【0023】
ポンプディスペンサー部14は、下のボールにはボールより上部の圧力が高いときは下に下げる力が働いて穴はふさがり、逆にボールの上部の圧力が低いときは上に上げる力が働き穴は解放される逆止弁(チェックバルブ)を備えている。
【0024】
ポンプディスペンサー部14は、収容部12と同様の材質で構成されてもよいが、異なる材質で構成されるようにしてもよい。
【0025】
一対のリング部22は、収容部12の上方又は下方に向けて回動するように収容部12の側面に設けられる。各リング部22は、適度な強度を有し、かつ、所定の径を有する輪であり、回動可能な状態で固定部23によって収容部12に固定されている。
【0026】
一対のリング部22は、図1(b)に示されるように、収容部12の上方に向けて回動し、押圧部16の底部を支えて押圧部16が押し下がらないように液体の吐出をロックする機能を有している。
【0027】
図1(b)の矢印で示されるように、一対のリング部22を収容部12の下方に向けて回動させると、図1(c)に示されるように、一対のリング部22が垂れ下がるような状態となる。一対のリング部22は、収容部12と同様の材質で構成されてもよいが、異なる材質で構成されるようにしてもよい。
【0028】
幅広部26は、収容部12の下部に装着され、底部に向けて幅が広がる。このように底部の幅を広げることで建築用液体収容容器10を安定して起立させることができるという利点がある。幅広部26は、収容部12と同様の材質で構成されてもよいが、異なる材質で構成されるようにしてもよい。
【0029】
また、幅広部26の底部には、永久磁石24を装着するための凹部が形成されている。ここでは、図1(a)及び図2(b)に示されるように4つの永久磁石24が幅広部26の裏面に装着されることにより、建築用液体収容容器10を配置する対象物が永久磁石24をくっ付ける金属を含む場合にしっかりと接着した状態で起立させることができるという利点がある。
【0030】
さらに、図2(a)に示されるように、収容部12の押圧部16から伸びる吐出部17は、象の鼻のように見立てた場合に、収容部12の上面部に2つ目19の飾りを施し、一対のリング部22を開くことで、象のような可愛らしいキャラクターに変身させることが出来る。
【0031】
続いて、上記構成の建築用液体収容容器10の作用について説明する。マンションのベランダや屋上などにおいて、ウレタン防水加工がなされている。一般的に、ウレタン防水材は、主剤と硬化剤との比率が、例えば1:2で混ぜ合わせる必要がある。このような場合に、建築用液体収容容器10は効果を発揮する。
【0032】
具体的には、硬化剤の液体を保管する収納缶から液体を取り出して収容部12に収容する。そして、例えば、収納缶の上面などに4つの永久磁石24がくっつくように建築用液体収容容器10を立設させる。
【0033】
このように、4つの永久磁石24を用いて起立させると安定した状態で押圧部16を押すことが出来る。ユーザーが押圧部16を用いて押し込むと、吐出部17から所定の量の硬化剤が吐出される。ここで、押圧部16をワンプッシュしたときの吐出量は一定になるため、主剤と硬化剤とを1:2の比率で混ぜ合わせるのに必要な硬化剤の量を的確に測って混ぜ合わせることができる。
【0034】
また、硬化剤の吐出が必要ないときには、一対のリング部22を上方に回動させ、図1(b)に示されるように、リング部22で押圧部16の下部を支持することで吐出しない状態とすることが出来る。
【0035】
さらに、一対のリング部22は、図2(a)に示されるように、象の耳のように見立てて意匠的に楽しむことができる他、リング部22を鞄の取っ手のように利用して建築用液体収容容器10を持ち運びする際に把持する部分として活用することも出来る。
【符号の説明】
【0036】
10 建築用液体収容容器、12 収容部、14 ポンプディスペンサー部、16 押圧部、17 吐出部、19 目、22 リング部、23 固定部、24 永久磁石、26幅広部。
図1
図2