(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
G01N1/02 D
(21)【出願番号】P 2019544012
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2018052710
(87)【国際公開番号】W WO2018149670
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517328011
【氏名又は名称】スタット ピール アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クシシュトフ クラスノポルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ブルジュ チェリッコル ザイルストラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアンナ ブレク―ドンテン
(72)【発明者】
【氏名】リューディ ビエリ
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-168035(JP,A)
【文献】国際公開第2016/150991(WO,A1)
【文献】特表2005-509170(JP,A)
【文献】特開平04-354554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G10N 33/48-33/98
G01N 35-00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ装置(1)のナノ粒子への曝露を測定するために、流体(F)中を運ばれた粒子をろ過するためのフィルタ装置(1)であって、前記フィルタ装置(1)は、
上面(3)、底面(4)、外側面(5)、及び流体入口(13)と流体出口(14)とを有する少なくとも1つの流体ダクト(6)を有し、前記上面(3)及び前記底面(4)が、互いに平行に延在している、サポート素子(2)と、
前記粒子が堆積する捕集面(8)を有し、前記流体(F)中を運ばれたナノ粒子の捕集のために前記流体ダクト(6)に配置されている、少なくとも1つのフィルタ素子(7)と、を含み、
前記少なくとも1つのフィルタ素子(7)の前記捕集面(8)は、前記上面(3)及び前記底面(4)に対して平行に配され、
前記流体入口(13)が前記外側面(5)に配置され、前記流体出口(14)が前記底面(4)に配置され
たので、前記流体ダクト(6)が、角度
を付けた転換路(15)によって方向が転換され、
少なくとも前記流体ダクトを画定している一部の面又は少なくとも前記流体ダクトを画定している前記サポート素子
(2)の表面に対して、少なくとも一部に導電性が付与されている
ことを特徴とする、フィルタ装置(1)。
【請求項2】
前記フィルタ素子(7)が、前記流体ダクト(6)の一部であり、側壁(10)と、前記フィルタ素子(7)が配置される支持面(11)とによって画定される、フィルタ室(9)に配置され、前記支持面(11)が、前記上面(3)及び/又は前記底面(4)に対して平行に配されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項3】
前記フィルタ素子(7)が、接着剤接合又は機械的接合又はクランプ接合によって前記フィルタ室(9)内に保持されることを特徴とする、請求項2に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項4】
前記支持面(11)が、流体の流れに対して垂直であり、前記支持面(11)が、前記流体の流れの方向において前記流体ダクト(6)側を向いている、又は前記支持面(11)が、遠ざかる前記流体の流れを見送る側に配置されている、又は前記支持面(11)が前記流体の流れに対して平行であることを特徴とする、請求項2又は3記載のフィルタ装置(1)。
【請求項5】
前記フィルタ素子(7)が、前記流体が前記捕集面(8)を通り抜けて流れるように配置され、前記流体ダクト(6)が、前記フィルタ室(9)の側壁(10)を介して前記フィルタ室(9)中に開口している、又は前記流体ダクト(6)が、前記支持面(11)を横切る開口(12)を介して前記フィルタ室(9)中に開口している、又は
前記フィルタ素子(7)が、前記流体が前記捕集面(8)をオーバーフローするように配置され、前記流体ダクト(6)が、前記流体が前記フィルタ室(9)及び前記フィルタ室(9)に配置されている前記フィルタ素子(7)をオーバーフローするように前記フィルタ室(9)に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項6】
前記フィルタ素子(7)が、前記転換路(15)と前記流体出口(14)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項7】
少なくとも前記フィルタ素子(7)の領域に、透明素子(16)が前記フィルタ素子(7)の上方の前記領域が透明になるように提供されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項8】
前記流体ダクト(6)は、前記上面(3)から前記サポート素子(2)中に延在している溝(17)によって提供され、前記溝(17)が、透明素子(16)によって覆われており、前記透明素子(16)が前記上面(3)全体にわたって又は前記上面(3)の要部にわたって延在している
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項9】
前記流体ダクトが、前記サポート素子
(2)によって提供された側壁(10)によって画定され、フィルタ室(9)の上方に、ポケット(35)が前記上面(3)から前記サポート素子(2)中に延在しており、前記ポケット(35)に透明素子(16)が配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項10】
前記透明素子(16)が、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、サイクロレフィンポリマー(COP)、サイクロオレフィンコポリマー(COC)からなり、及び/又は前記透明素子が、前記上面(3)に接着剤接合によって搭載され、及び/又は前記透明素子(16)が、前記上面(3)に液密接合で搭載されていることを特徴とする、請求項7又は8又は9に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項11】
前記フィルタ装置(1)が、側面の長さが100×40×5mm又は側面の長さが75×25×1.5mmの立方体よりも小さいサイズを有する、及び/又は前記流体ダクトの断面積が、0.2mm
2~0.8mm
2又は0.3mm
2~0.7mm
2又は0.3mm
2~0.4mm
2であることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項12】
前記フィルタ装置(1)が、前記上面(3)に対して垂直に見て、長辺と短辺とを有する長方形であり、
前記長方形の縁部(17)が、面取りされており、及び/又は
前記長辺の少なくとも1つが、受入ベイ
(21)に前記フィルタ装置(1)を位置決めする凹部(18)を有し、及び/又は
前記長辺のうち少なくとも1つが、前記フィルタ装置(1)を貫いて延在している三角形状に切り欠かれた、少なくとも1つの傾斜した位置決め縁部(19)、好ましくは少なくとも2つの前記傾斜した位置決め縁部(19)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のフィルタ装置(1)用の受入ユニット(20)であって、前記受入ユニット(20)が、底壁(22)、前記底壁(22)から延在している位置決め壁(23)、及び前記底壁(22)に対して前記フィルタ装置(1)を押圧するように構成されているバネ素子(24)を有する、受入ベイ(21)を含むことを特徴とする、フィルタ装置(1)用の受入ユニット(20)。
【請求項14】
前記位置決め壁(23)が、前記フィルタ装置(1)がそれを通して前記受入ベイ(21)中に載置できる受入開口部(25)を含み、及び/又は
少なくとも1つの止め具素子(26)が、配置され、それによって、前記止め具素子(26)が前記受入ベイ
(21)の外への移動に抗する前記フィルタ装置の止め具として機能する、及び/又は
前記受入ベイ(21)が、前記受入ベイ(21)に前記フィルタ装置(1)を位置決めする働きをする位置決め素子(27)を含み、及び/又は
前記底壁(22)が、少なくとも1つの開口部(28)を含み、前記開口部(28)が、1つの流体出口(14)と、それらの位置が一致すると、密封構造(34)によって取り囲まれるように配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の受入ユニット(20)。
【請求項15】
捕集装置(1)のナノ粒子(N)への曝露を測定するために流体(F)中を運ばれたナノ粒子を捕集するための捕集装置(29)であって、前記捕集装置(1)は、請求項1~12のいずれかに記載のフィルタ装置と、請求項13~14のいずれかに記載の受入ユニットとを有し、前記捕集装置が、前記フィルタ装置(1)の前記流体ダクト(6)を通して前記流体(F)を推進するように構成された流体推進素子(5)を更に含む、捕集装置(29)。
【請求項16】
請求項15に記載の捕集装置と把持具(30)とを含むシステムであって、前記把持具(30)は、前記受入ベイ(21)に前記フィルタ装置(1)を挿入する及び/又は前記受入ベイ(21)から前記フィルタ装置(1)を取り外すために、前記フィルタ装置(1)の部分を把捉するように構成されている少なくとも1つの把持アーム(31)を含む、システム。
【請求項17】
前記把持具(30)が、前記受入ユニットから前記フィルタ装置(1)を取り外し可能であるように、前記フィルタ装置(1)を持ち上げるように構成されたことを特徴とする、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記粒子は、ナノ粒子であることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項19】
前記角度は、90度の角度であることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載のフィルタ装置(1)。
【請求項20】
前記止め具素子(26)が、前記受入開口部(25)の近傍に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の受入ユニット(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のフィルタ装置のナノ粒子への曝露を測定するために流体中を運ばれた粒子、特にナノ粒子をろ過するためのフィルタ装置と、請求項13に記載の当該フィルタ装置用の受入ユニットと、請求項15に記載の受入ユニットを有する捕集装置と、請求項16に記載のシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人のWO2016/150991は、ナノ粒子への曝露を測定するために流体中を運ばれたナノ粒子を捕集するための捕集装置を開示する。WO2016/150991に記載の装置は、例えば、ナノ粒子が存在する環境下で働くユーザーが装着できる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、サイズ的にコンパクトなフィルタ装置を提供することである。特に、本発明の目的は、WO2016/150991に記載の捕集装置用のフィルタ装置を提供することである。
【0004】
本発明の目的は、請求項1に記載のフィルタ装置によって解決される。したがって、フィルタ装置のナノ粒子への曝露を測定するために流体中を運ばれたナノ粒子をろ過するためのフィルタ装置は、
上面、底面、外側面及び流体入口と流体出口とを有する少なくとも1つの流体ダクトを有し、上面及び底面が、実質的に互いに平行に延在している、サポート素子と、
ナノ粒子が堆積する捕集面を有し、前記流体中を運ばれたナノ粒子の捕集のために前記流体ダクトに配置されている、少なくとも1つのフィルタ素子と、を含む。
【0005】
その少なくとも1つのフィルタ素子の捕集面は、上面及び/又は底面に対して平行に配されている。また、その配置は、捕集されたナノ粒子の量を分析する際、捕集面の走査プロセスの点でも有利である。
【0006】
上面及び底面に対して平行にフィルタ素子を配することにより、サポート素子をより平坦な構造とすることができる。これは、上面と底面との間に延在している外側面に対して、上面及び底面に対して垂直に見て小さい寸法を付与できることを意味する。
【0007】
ナノ粒子という用語には、1nm~20nmの粒径を有する粒子を含むものと理解されるべきである。
【0008】
ナノ粒子という用語には、これらに限定されないが、以下の少なくとも1つ又はその組み合わせが含まれる:カーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノファイバー及び/又はカーボンナノプレートレット及び/又はPM2.5並びに他のナノチューブ及びナノファイバー。流体という用語は、好ましくは、空気又は任意の他の流体のことである。
【0009】
好ましくは、フィルタ素子は、流体ダクトの一部であり、側壁と、フィルタ素子がその上に配置される支持面とによって画定されるフィルタ室に配置されている。支持面は、上面及び/又は底面に対して平行に配されている。
【0010】
フィルタは、支持面上に置かれ、側壁は、支持面に対して横方向のフィルタ素子の移動に抗する止め具を提供する。側壁は、支持面の周囲を、好ましくは完全に取り囲むことが好ましく、支持面に対して垂直に配されていることが好ましい。
【0011】
好ましくは、フィルタ素子は、接着剤接合又は機械的接合又はクランプ接合によってフィルタ室内に保持される。
【0012】
フィルタ素子又は捕集面は、それぞれ、好ましくは、捕集面に対して垂直に見て長方形又は方形の形状を有する。それによって、長方形又は正方形の辺長は、フィルタ素子の肉厚よりもかなり大きい。
【0013】
第1の好ましい実施形態では、支持面は、流体の流れに対して垂直であり、流体の流れ方向において流体ダクト側を向いている、又は遠ざかる流体の流れを見送る側に配置されている。それによって、流体は、支持面内の開口を通って流れ、その開口はフィルタ素子によって覆われている。
【0014】
第2の好ましい実施形態では、支持面は、流体の流れに対して平行である。それによって、流体は、オーバーフロー状態でフィルタ素子を通る。
【0015】
両実施形態は、ナノ粒子のフィルタ素子上への堆積に関して良好な結果を与える点で有利である。
【0016】
第1の好ましい実施形態では、フィルタ素子は、流体が捕集面を通り抜けて流れるように配置されている。これは、流体が、実際にフィルタ素子を横切ることを意味する。
【0017】
第1の実施形態の第1の変形例では、流体ダクトは、フィルタ室の側壁を介してフィルタ室中に開口している。それによって、支持面は、フィルタ素子が支持面上に載置できるように、流体ダクトに対して少し離れて配置されている。この場合の支持面は、流体ダクトが流体出口まで続くように開口を含む。
【0018】
第1の実施形態の第2の変形例では、流体ダクトは、支持面を横切る開口を介してフィルタ室中に開口している。この開口を介して、フィルタ素子に流体が供給される。この場合の支持面は、流体開口部の方に向けられる。
【0019】
第2の好ましい実施形態では、フィルタ素子は、流体が捕集面をオーバーフローするように配置され、流体ダクトは、流体がフィルタ室と、フィルタ室に配置されているフィルタ素子とをオーバーフローするように、フィルタ室に隣接して配置されている。特に、フィルタ室は、流体ダクトの拡張部を提供している。
【0020】
すべての上述の実施形態において、フィルタ室の側壁に沿った深さは、好ましくは、フィルタ室の幅又は長さよりもかなり小さく、その深さが上面及び底面に対して垂直な方向であるように規定される。
【0021】
第1の実施形態では、フィルタ室の幅、長さ及び深さは、好ましくは、フィルタ素子がフィルタ室内に優に載置できるように設計される。
【0022】
第2の実施形態では、フィルタ室の幅、長さ及び深さは、好ましくは、フィルタ素子が、少なくとも一部がフィルタ室から流体ダクトの断面中に延在できるように設計される。特に、捕集面又は捕集面の一部が、流体ダクト中に延在している。
【0023】
第1の実施形態では、流体入口が外側面に配置され、流体出口が底面に配置され、そのため、流体ダクトが、好ましくは90度の角度で転換路によって方向が転換され、フィルタ素子が、好ましくは、転換路と流体出口との間に配置されている。この配置によって、上面と底面との間の距離を最小にでき、更に、それによって、フィルタ素子を通り抜ける流体の良好な流れが維持される。
【0024】
第2の実施形態では、流体入口が外側面に配置され、流体出口が底面に配置され、そのため、流体ダクトが、好ましくは90度の角度で転換路によって方向が転換され、フィルタ素子が、好ましくは、流体入口と転換路との間に配置されている。第1の実施形態と同様に、この配置によって、上面と底面との間の距離を最小にでき、更にそれによって、フィルタ素子の捕集面にわたる流体の良好な流れが維持される。
【0025】
好ましくは、実施形態のすべてにおいて、少なくとも流体ダクトを画定している一部の面又は少なくとも流体ダクトを画定しているサポート素子の表面には、少なくとも一部に導電特性が付与される。
【0026】
特に、サポート素子は、例えば、アルミニウムなどの金属素材から作られている。あるいは、流体ダクトを画定しているサポート素子の表面に、それぞれ、導電性のコーティングを加えることが可能である。
【0027】
導電性のコーティングが有利であるのは、流体によりサポート素子が帯電し、流路においてナノ粒子の流れに影響を与えることを防止できることがあり得るからである。
【0028】
好ましくは、実施形態のすべてにおいて、少なくともフィルタ素子の領域に、フィルタ素子の上方の領域が透明になるように、透明素子が提供される。前記領域の透明性によって、捕集面に堆積したナノ粒子の量を測定するために捕集面の可視分析ができる。
【0029】
あるいは、流体ダクトは、サポート素子によって提供された側壁によって画定され、フィルタ室の上方には、ポケットが上面からサポート素子中に延在し、前記ポケットに前記透明素子が配置されている。換言すれば、透明素子は、フィルタ室の上方で、上面からサポート素子中に延在しているポケットに配置されている挿入部材として提供される。好ましくは、前記ポケットは、上面から見て少なくともフィルタ室と同じ断面積を有する、又は前記ポケットは、上面から見てフィルタ室よりもわずかに大きい断面積を有する。この変形例では、好ましくは、フィルタ素子ごとに1つの透明素子が配置されている。
【0030】
好ましくは、流体ダクトは、上面からサポート素子中に延在している溝によって提供され、その溝は、透明素子によって覆われ、その透明素子は、実質的に上面全体又は上面の要部にわたって延在している。流体ダクトは、これによって、サポート素子の溝によって提供された側壁及び透明素子の表面によって一部が画定されている。
【0031】
好ましくは、透明素子は、サポート素子の上面に面接触している。
【0032】
特に好ましい実施形態では、上面には、上面及び上面の周囲の少なくとも一部から延びているリムが設けられており、かかるリムが、透明素子を載置できるポケットを画定している。
【0033】
好ましくは、透明素子は、溶融シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、環状オレフィン重合体(COP)又は環状オレフィン共重合体(COC)から作られている。
【0034】
好ましくは、透明素子は、特に、514~785nm、特に532及び638nmの範囲の波長を有するレーザー光に関して、透明である。前記透明素子を通して、前記フィルタ素子上又は前記フィルタ素子中に堆積したナノ粒子を分析できる。
【0035】
好ましくは、透明素子は、接着剤接合、グリース接合又はクランプ接合によって上面に搭載される。
【0036】
特に、透明素子は、上面に液密に搭載される。
【0037】
好ましくは、フィルタ素子は、側面の長さが100×40×5mm又は側面の長さが75×25×1.5mmの直方体よりも小さいサイズを有する。
【0038】
好ましくは、流体ダクトの断面積は、0.2mm2~0.8mm2又は0.3mm2~0.7mm2又は0.3mm2~0.4mm2である。
【0039】
好ましくは、上面に対して垂直に見たフィルタ装置は、実質的に、長辺と短辺とを有する長方形である。
【0040】
以下は、任意ではあるが、長方形のフィルタ装置の好ましい構造要素は、次の通りである。
長方形の縁部が、面取りされている、及び/又は
長辺の少なくとも1つが、受入ベイにフィルタ装置を位置決めする凹部を含む、及び/又は
長辺の少なくとも1つが、フィルタ装置を貫いて延在している三角形状に切り欠かれた、少なくとも1つの傾斜した位置決め縁部、好ましくは、少なくとも2つの傾斜した位置決め縁部を含む。
【0041】
以下は、それぞれ、フィルタ装置又はフィルタ素子の更なる任意の特徴である。
【0042】
上述したように、フィルタ素子は、捕集面を含む。さらに、フィルタ素子は、増強構造を含んでもよく、その増強構造は、前記捕集面に接続して配置される。捕集面が存在する場合には、前記ナノ粒子は、前記捕集面及び前記増強構造の領域に堆積する。増強構造を有する捕集面は、捕集されたナノ粒子の量の容易な分析を可能にするように、前記ナノ粒子のスペクトル特性を増強する。
【0043】
この増強構造によって、特に重要なナノ粒子と他の粒子との間の区別が更に容易になることから、捕集されたナノ粒子の量の分析が、更に容易になる。
【0044】
増強構造は、好ましくは、捕集面の一部である。捕集面は、幾何学的に規定された表面として又はランダムな構造による幾何学的に規定されていない表面として提供できる。
【0045】
前記捕集面及び前記増強構造の領域内という用語は、好ましくは、粒子が捕集素子の表面上又は捕集素子の近傍に堆積できること、又は粒子が、少なくとも一部がフィルタ装置内に堆積できることと理解されるべきである。
【0046】
好ましくは、前記捕集面及び前記増強構造は、ラマン分光法によってナノ粒子を検出できるように、表面増強ラマン散乱用に設計される。増強構造は、好ましくは、そこでは、SERS活性である。
【0047】
第1の実施形態では、増強構造は、前記捕集素子の表面又は前記捕集面によって提供された平面内に配置される縁部を含む。縁部及び平面が、幾何学的に規定された構造を提供する。
【0048】
好ましくは、前記第1の実施形態では、フィルタ素子は、複数のフィルタ細孔を有するフィルタプレートであり、前記開口のへりが前記縁部を提供する。したがって、縁部には、前記フィルタプレート内のフィルタ細孔がそのまま提供される。
【0049】
フィルタ細孔は、フィルタプレートの前面からフィルタプレートの背面に延在している円筒状の開口部とすることができる。それによって、前面の円筒状の開口の周縁が、前記縁部を提供する。
【0050】
好ましくは、前記フィルタ細孔は、流体ダクトの断面にわたって延在している前記フィルタプレートの領域にわたって均等に分布している。好ましくは、前記領域は、フィルタプレートにつながる流体ダクトの断面と一致する。
【0051】
好ましくは、前記フィルタ細孔の幅は、20~900nmの範囲内にあり、特に30~200nmの範囲内にある。
【0052】
好ましくは、前記フィルタ細孔の密度は、1平方センチメートルあたり細孔数108~1010の範囲内にある。細孔は、好ましくは、互いに規則正しい間隔で配置されている。
【0053】
好ましくは、フィルタ素子は、白金又は銀又は金又はパラジウムなどの貴金属のコーティングを含む。前記コーティングは、そのコーティングされた領域上の少なくとも一部に前記ナノ粒子が堆積するように配置されている。コーティングされた領域は、好ましくは、
フィルタ素子の全表面、又は
少なくともフィルタ素子の捕集面、又は
少なくともフィルタ細孔の縁部である。
【0054】
コーティングは、ナノ粒子と他の粒子との間の分光学的差異が増強されるという利点を有する。
【0055】
好ましくは、フィルタプレートの材質は、窒化ケイ素(SiN)又はシリコン(Si)又はアルミナ又は多孔質シリコンである。
【0056】
第2の実施形態では、フィルタ素子は、前記増強構造を含むメンブレンフィルタである。メンブレンフィルタは、ランダムな構造による幾何学的に規定されていない表面として提供される。メンブレンフィルタには、不織構造又は織り構造が提供できる。
【0057】
好ましくは、第2の実施形態による前記増強構造は、メンブレンフィルタの表面上に配置される。あるいは、増強構造は、前記メンブレンフィルタに埋め込むこともできる。
【0058】
好ましくは、前記メンブレンフィルタは、白金又は銀又は金又はパラジウムなどの貴金属のナノ粒子により、少なくとも一部がコーティングされている。貴金属粒子コーティングは、第1の実施形態に関して述べたと同じ効果を有する。コーティングは、好ましくは、貴金属の粒子がメンブレンフィルタ上に噴霧、浸漬又は堆積されて、提供される。それによって、コーティングが、メンブレンフィルタの表面上に提供される。
【0059】
好ましくは、メンブレンフィルタの材質は、ポリカーボネート及び/又は混合セルロースエステル及び/又はポリテトラフルオロエチレン等である。
【0060】
好ましくは、すべての実施形態によるフィルタ装置は、定められた基準又は較正情報が載置された基準部を更に含む。この情報は、ナノ粒子の量を測定する際に使用できる。
【0061】
上述の説明によるフィルタ装置用の受入ユニットは、前記受入ユニットが、底壁、前記底壁から延在している位置決め壁、及び前記底壁に対してフィルタ装置を押圧するように構成されているバネ素子を有する、受入ベイを含むことを特徴とする。
【0062】
好ましくは、前記受入ユニットは、更に以下を特徴とする。
前記位置決め壁が、それを通してフィルタ装置が受入ベイ中に載置できる受入開口部を含むこと、及び/又は
少なくとも1つの止め具素子が、好ましくは、受入開口部の近傍に配置され、それによって、止め具素子が、受入ベイ外への移動に抗するフィルタ装置の止め具として機能すること、及び/又は
前記受入ベイが、受入ベイにフィルタ装置を位置決めする働きをする位置決め素子を含むこと、及び/又は
前記底壁が、少なくとも1つの開口部を含み、かかる開口部が、少なくとも1つの流体出口と、それらの位置が一致すると、密封構造によって取り囲まれるように配置されていること。
【0063】
捕集装置のナノ粒子への曝露を測定するために流体中を運ばれたナノ粒子を捕集するための捕集装置であって、前記捕集装置は、上述のフィルタ装置と、上述の受入ユニットとを含み、前記捕集装置は、フィルタ装置の流体ダクトを通して前記流体を推進する流体推進素子を更に含む、捕集装置。
【0064】
好ましくは、捕集装置は、ナノ粒子を捕集するためにのみ提供されるが、捕集されたナノ粒子の量を測定するためには提供されない。これは、捕集装置が、ナノ粒子を捕集する手段を含むが、ナノ粒子を分析する手段を含まないことを意味する。さらに詳細には、捕集装置は、ナノ粒子の量を測定するための分光計などを含んではいない。分光計などは、捕集装置から切り離されている。
【0065】
換言すれば、捕集装置は、好ましくは、汚染された又は汚染された可能性のある区域内に、ユーザーが携行できる持ち込み装置として提供される。それによって、捕集装置は、特に、ユーザーがそのような区域に留まる間、ナノ粒子を連続して捕集する。さらに好ましくは、捕集装置は、個人用持ち込み装置として提供される。
【0066】
本明細書の記載から明らかなように、捕集装置は、好ましくは、システムの一部である。前記システムは、捕集装置と、捕集装置から切り離されている分光計とを含む。捕集装置は、ナノ粒子を捕集する働きをし、分光計は、捕集装置によって捕集されたナノ粒子の量を測定する働きをする。
【0067】
捕集装置は、ナノ粒子を分析する手段を備えないが、ナノ粒子を捕集する手段を備えることが利点であるのは、捕集されたナノ粒子の量を分析又は測定する工程は、以下に概説するように、切り離されている分光計によって分析できるからである。これは、一方で、内蔵型分光計を有する装置と比較して、増強された分光計を使用できるので、結果が更に正確になり、他方で、内蔵型分光計を備える必要がないので、捕集装置のコストを低減できることを意味する。
【0068】
流体推進素子は、好ましくは、ポンプである。ポンプの体積流量は、好ましくは、1~1100mL/分である。
【0069】
捕集装置は、好ましくは、汚染された環境に曝露される際、ユーザーが携行できるように提供される。したがって、捕集装置は、好ましくは、軽量で比較的小さいサイズである。サイズ的には、好ましくは、その最大寸法よりも15センチメートル以上小さい。
【0070】
好ましくは、捕集装置は、その流体ダクト中に、前記流体の流れ方向に見て前記フィルタ素子の手前に配置されている前置フィルタ機構を含む。前置フィルタ機構によって、ナノ粒子ではない粒子が捕集素子上に堆積することを防止できる。
【0071】
フィルタ装置は、捕集装置から切り離されてはいるが、捕集装置と接続可能である又は捕集装置中に挿入可能である。フィルタ装置は、ナノ粒子の捕集後、新規フィルタ素子と交換でき、使用済みフィルタ装置を処分できる。流体ダクトインターフェースを介して、フィルタ装置の流体ダクトの部分は、捕集装置の流体ダクトの部分に接続されている。
【0072】
好ましくは、捕集装置は、少なくとも前記流体推進素子に電力を供給するバッテリを更に含む。
【0073】
好ましくは、捕集装置に関して本明細書に記載されたすべての構成要素は、共通の支持プレート上に配置される。支持プレートは、好ましくは、上述したように、窓も含むハウジングの一部である。
【0074】
さらにまた、上記ハウジングには、データの保存、捕集時間又は使用時間の計測、ポンプの制御等の更なる機能のためのチップなどの追加の素子を配置することも可能である。
【0075】
さらにまた、捕集装置は、更なるデータを監視するために加速度計及び/又は温度計及び/又は比重計を含んでもよい。さらにまた、通信の点で、捕集装置は、通信機能を提供する及び/又は捕集装置の位置を特定することができる無線チップを含んでもよい。無線チップは、WLAN又はブルートゥースモジュールとすることができる。
【0076】
加速度計は、例えば、ユーザーの身体活動を検出し、それに応じてポンプを制御するために使用できる。これは、ユーザーの身体活動が高い場合には、体積流量も高く、ユーザーの身体活動が低い場合には、体積流量も低いことを意味する。したがって、捕集装置への空気の吸入量は、捕集装置の携行者の肺への吸入量とほぼ同じである。
【0077】
温度計及び/又は比重計によって、捕集装置の位置又は使用についての更なる情報を得ることも可能である。例えば、ユーザーが職場にいるか、外で休憩しているかを検出することが可能である。
【0078】
好ましくは、捕集装置は、ガス検出器を含む。ガス検出器によって、捕集装置の周囲のガスの特性を特定することが可能である。例えば、捕集装置が、ナノ粒子が発生している環境にあるか、又は捕集装置が、別の環境にあるかを特定することが可能になる。
【0079】
上述したように、センサーによって提供されたデータを用いて特定できる捕集装置の位置に基づいて、流体推進素子を制御できる及び/又は捕集装置に電源を入れたり切ったりすることができる。例えば、捕集装置が、ナノ粒子が存在する部屋にある場合には、捕集装置の電源を入れるかポンプの体積流量を増加させる。
捕集装置が、前記部屋を離れて臨界値以下の量のナノ粒子のみが存在する環境に移動した場合には、捕集装置の電源を切るかポンプの体積流量を減少させる。
【0080】
上述の説明による捕集装置と、把持具とを含むシステムであって、それによって、前記把持具は、受入ベイにフィルタ装置を挿入する及び/又は受入ベイからフィルタ装置を取り外すために、前記フィルタ装置の部分を把捉するように構成されている少なくとも1つの把持アームを含む、システム。
【0081】
好ましくは、前記受入ベイ内には、前記流体ダクトインターフェースが配置され、それを介してフィルタ装置の流体ダクトの部分が捕集素子の流体ダクトの部分と接続されている。
【0082】
好ましくは、前記システムは、分光計を更に含む。フィルタ装置は、前記分光計に載置でき、それにより、前記表面上に存在するナノ粒子の量に関して捕集素子を分析する。あるいは、透過型電子顕微鏡も使用できる。
【0083】
好ましくは、ラマン分光法を用いて分光計を動作する。これは、増強された表面構造と組み合わせて特に有利である。
【0084】
上述したように、フィルタ装置は、分光計から切り離されているが、捕集されたナノ粒子の量を分析するために分光計に挿入可能である。
【0085】
好ましくは、把持具は、受入ユニットからフィルタ装置を取り外し可能であるように、前記フィルタ装置を持ち上げる。
【0086】
本発明の更なる実施形態は、従属請求項に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図5】第1の実施形態の第1の変形例によるフィルタ装置を通るフィルタダクトに対して垂直な断面図を示す。
【
図6】第1の実施形態の第1の変形例によるフィルタ装置を通るフィルタダクトに沿った断面図を示す。
【
図7】第1の実施形態の第2の変形例によるフィルタ装置を通るフィルタダクトに対して垂直な断面図を示す。
【
図8】第1の実施形態の第2の変形例によるフィルタ装置を通るフィルタダクトに沿った断面図を示す。
【
図9】第2の実施形態によるフィルタ装置を通るフィルタダクトに沿った断面図を示す。
【
図10】フィルタ装置を受け入れる受入ユニットを有する捕集装置の斜視図であって、本図にはフィルタ装置は挿入されていない。
【
図12】捕集装置にフィルタ装置を挿入する及び/又は捕集装置からフィルタ装置を取り外すための把持具の側面図を示す。
【
図13】捕集装置にフィルタ装置を挿入する及び/又は捕集装置からフィルタ装置を取り外すための把持具の上面図を示す。
【
図14】本発明によるフィルタ装置の追加の変形例を示す。
【
図15】C-C線に沿った追加の変形例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明するが、図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0089】
図1は、フィルタ装置1のナノ粒子への曝露を測定するために、流体中を運ばれたナノ粒子をろ過するためのフィルタ装置1の底面図を示す。このようなフィルタ装置1は、例えば、WO2016/150991に記載の捕集装置において使用できる。
【0090】
図2は、フィルタ装置1の側面図を示す。
図3は、フィルタ装置1の上面図を示し、
図4は、上方からの斜視図を示す。
【0091】
図示された本実施形態によるフィルタ装置1は、上面3、底面4及び外側面5を有するサポート素子2を含む。上面3は、底面4に対して平行に配される。外側面5は、上面3と底面4とを連結する。また、サポート素子2は、流体入口13及び流体出口14を有する少なくとも1つの流体ダクト6を含む。流体ダクト6内において、ナノ粒子を含む流体Fが運ばれる。
【0092】
さらに、フィルタ装置1は、捕集面8を有する少なくとも1つのフィルタ素子7を含む。この捕集面8上に、ナノ粒子が堆積する。フィルタ素子7は、流体ダクト6内に配置されているので、流体F中を運ばれたナノ粒子を捕集する。その少なくとも1つのフィルタ素子7の捕集面8は、上面3及び/又は底面4に対して平行に配される。
【0093】
本事例では、3つのフィルタ素子7が配置され、その各々が流体ダクト6に供されており、流体ダクト6には、ある部分にわたって、流体ダクト6の一部又はすべてが結合(統合)された共通の区間がある。ただし、流体ダクト6は、3つのフィルタ素子7の各々が、流体ダクトの個別の部分に供されるように配置されている。
【0094】
上述したように、流体ダクト6は、互いに結合された幾つかの区間を含む。さらに、流体ダクト6中を運ばれた粒子が、流体ダクト6のそれぞれの区間で分離されるように、分離手段として機能する幾つかの湾曲部32が配置されている。
本事例では、2つの流体入口13と3つの流体出口14があり、流体ダクトの区間に応じて、流体ダクト6の進行方向が転換される。前記湾曲部の半径は、捕集される粒子が、対象ではない他の粒子から分離可能であり、前記出口の少なくとも1つが、捕集素子の方に向かっていくように設計される。
【0095】
【0096】
図5及び
図6は、フィルタ装置1の第1の実施形態の第1の変形例を示す。
図5は、ナノ粒子をろ過するためのフィルタ装置1の流体ダクト6に直交する断面図を示す。
図6は、流体ダクト6に沿った断面図を示す。
【0097】
図7及び
図8は、フィルタ装置1の第1の実施形態の第2の変形例を示す。
図7は、ナノ粒子をろ過するためのフィルタ装置1の流体ダクト6に直交する断面図を示す。
図8は、流体ダクト6に沿った断面図を示す。
【0098】
図9は、本発明によるフィルタ装置1の第2の実施形態を示す。
【0099】
以下に、
図5~
図9を参照して、それぞれの特徴を説明する。
【0100】
実施形態のすべてにおいて、フィルタ素子7は、流体ダクト6の一部であるフィルタ室9内に配置されている。フィルタ室9は、側壁10及び支持面11によって画定されている。フィルタ素子7は、支持面11上に載置又は配置されている。支持面11は、それによって、上面3及び/又は底面4に対して平行に配されている。すべての実施形態において、支持面は、上面3と底面4との間でサポート素子2内に配置されている。
【0101】
好ましくは、フィルタ素子7は、接着剤接合によってフィルタ室9内に保持される。他の接合も可能である。
【0102】
フィルタ素子7は、フィルタ素子7が厚みに直交して拡延しているよりも、はるかに薄い膜厚の方形又は矩形のメンブレンフィルタを有しているのが好ましい。
【0103】
図5及び
図6による第1の実施形態の第1の変形例では、支持面11は、流体の流れの方向において流体ダクト6側を向いている。これは、支持面11上にフィルタ素子7が位置し、流体がフィルタ素子7を通り抜けてフィルタ素子7を通過し、その後、支持面11を通過することを意味する。支持面11は、それを通して流体が流れることができる開口12を含む。
【0104】
図5及び
図6では、流体の流れは、矢印Fによって表示されている。
【0105】
図7及び
図8に示す第1の実施形態の第2の変形例では、支持面11は、遠ざかる流体の流れを見送る側に配置されている。これは、流体がフィルタ素子中に実際に入る前に、開口12を通過することを意味する。
【0106】
図9による第2の実施形態では、支持面11は、流体の流れFに対して平行に配置されている。これは、流体の流れFが、支持面11を横切らずに、支持面11上を少し離れて、支持面11に対して平行な方向に流れていくことを意味する。
【0107】
図5~
図8による第1の実施形態では、フィルタ素子7は、流体が捕集面8を通り抜けて流れるように配置されている。
図5及び
図6による第1の変形例では、流体ダクト6は、フィルタ室9の側壁を介してフィルタ室9中に開口している。
図7及び
図8による第2の変形例では、流体ダクト6は、支持面11を横切る開口を介してフィルタ室中に開口している。
【0108】
図9による第2の実施形態では、フィルタ素子7は、流体がフィルタ素子7の捕集面8をオーバーフローするように配置されている。そのため、フィルタ素子7は、フィルタ室9からわずかに流体ダクト6中に延在するように配置されている。流体ダクト6は、それに関連して、流体がフィルタ室9をオーバーフローするように、フィルタ室9に対して配置されている。また、流体は、フィルタ室9内に配置されているフィルタ素子7をオーバーフローする。
【0109】
実施形態のすべてにおいて、フィルタ室9の側壁に沿った深さは、フィルタ室の幅又は長さよりもかなり小さく、その深さは、上面及び流れ面に対して垂直な方向にあるものと規定される。
【0110】
第1の実施形態では、流体入口13が外側面5に配置され、流体出口14が底面4に配置されている。流体ダクトは、好ましくは90度の角度で転換路15によって方向が転換されていることがわかる。フィルタ素子7は、好ましくは、転換路15と流体出口14との間に配置されている。
【0111】
図9による第2の実施形態では、流体入口13が外側面5にも配置され、流体出口14が底面4に配置されている。そのため、流体ダクトも、好ましくは90度の角度で転換路15によって方向が転換されている。ただし、フィルタ素子7は、流体入口13と転換路15との間に配置されている。
【0112】
実施形態のすべてにおいて、フィルタ素子7の大きな面が上面及び底面に対して平行であるように、フィルタ素子7は全体的に拡延されている。
【0113】
好ましくは、少なくとも流体ダクト6を画定している一部の面に対して、少なくとも一部に導電性が付与されている。これは、流体ダクト6の側壁上に導電性コーティングを施すか、又は金属材料からなるサポート素子2を備えることのいずれかによって達成できる。
【0114】
フィルタ素子7上に堆積したナノ粒子を分析するために、透明素子16が、これらの領域が透明になるように、フィルタ素子7の上方の領域に提供されている。それによって、レーザーによって捕集面8を分析することが可能である。このことは、矢印33で示される。
【0115】
本事例では、透明素子16が実質的に上面3全体にわたって延在していることが最も好ましい。そのような変形例が、
図1~
図9に示されている。それによって、透明素子16は、流体ダクトに対する画定素子として機能する。本事例では、流体ダクト6は、上面3からサポート素子2中へと延在している溝によって設けられている。そして、溝は、透明素子16によって覆われる。透明素子16は、上述のように、実質的に上面3全体にわたって延在している。他の実施形態では、透明素子16は、上面3の要部にわたって延在している。
【0116】
図14及び
図15は、透明素子16の配置の追加の変形例を示す。同じ特徴が同じ符号で示されており、前記の説明を参照されたい。特に、フィルタ素子が、
図7及び
図8に示すように配置できることもあり得る。この追加の変形例では、フィルタ素子7ごとに1つの透明素子16が配置されている。本事例では、3つのフィルタ素子7、従って、3つの透明素子16が配置されている。透明素子16は、それによって、サポート素子2の上面3からサポート素子2中に延在しているポケット35に配置されている。ポケット35は、フィルタ室9の上方に配置され、少なくともフィルタ室9と同様に拡延されている。ポケットのコーナーの各々には、ポケット35内への透明素子16の位置決め工程を良好ならしめるための空隙が配置されている。フィルタ素子7は、それによって、接着剤接合又は機械的接合によって前記ポケット35内に配置されている。本変形例では、流体ダクト6はそれ自体、サポート素子2の一部である側壁10によって提供される。フィルタ室9の領域では、流体ダクト6は前記透明素子16によって更に画定されている。
【0117】
好ましくは、透明素子16は、溶融シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、COP、COC等から作られている。
【0118】
透明素子は、好ましくは、接着剤接合によって上面3に搭載されている。
【0119】
特に、透明素子16は、上面3に対し液密接合で配置されている。
【0120】
フィルタ装置1は、側面の長さが100×40×5mm又は側面の長さが75×25×1.5mmの立方体よりも小さいサイズを有し、及び/又は流体ダクトの断面積は、0.2mm2~0.8mm2又は0.3mm2~0.7mm2又は0.3mm2~0.4mm2である。
【0121】
フィルタ装置1は、上面3に対して垂直に見て、実質的に、長辺と短辺とを有する長方形である。好ましくは、長方形の縁部17は、面取りされている。好ましくは、長辺の少なくとも1つは、受入ベイにフィルタ装置1を位置決めするために凹部18を含み、及び/又は長辺の少なくとも1つは、フィルタ装置1を貫いて延在している三角形状に切り欠かれた、少なくとも1つの傾斜した位置決め縁部19、好ましくは、少なくとも2つの傾斜した位置決め縁部19を含む。
【0122】
図10及び
図11は、前記説明によるフィルタ装置1用の受入ユニット20を示す。受入ユニット20は、好ましくは、
図10及び
図11の部分に示された捕集装置29の一部である。
【0123】
受入ユニット20は、底壁22、底壁22から延在している位置決め壁23、及び底壁22に対してフィルタ装置1を押圧するように構成されているバネ素子24を有する、受入ベイ21を含む。
図10では、底壁22は、その少なくとも1つの流体出口14が、開口部28とその位置が整合され、それによって、開口部28の各々が密封構造34によって取り囲まれるように配置されている、幾つかの開口部28を含むことが示される。密封構造34は、それぞれの開口部28の周りに延在している密封リングとすることができる。
【0124】
フィルタ装置1を設置せずに受入ベイ21が示された
図10から、受入ベイは、少なくとも1つの止め具素子26、ここでは、受入開口部25の近傍に配置されている2つの止め具素子26を含むことがわかる。それによって、止め具素子26は、受入ベイ21外への移動に抗するフィルタ装置1用の止め具として機能する。バネ素子24が底壁22に向かって下方にフィルタ装置1を押圧するので、フィルタ装置1は外側面5によって止め具素子26に接触している。
【0125】
さらに、受入ベイ21は、受入ベイ21にフィルタ装置1を位置決めする働きをする位置決め素子27を含む。本事例では、位置決め素子27は、底壁22からの細長い突起物の形状を有する。この細長い突起物は、フィルタ装置1に配置されている凹部18中に延在している。
【0126】
図12及び
図13に、把持具30が示される。把持具30は、把持アーム31とともに
図10及び
図11にも模式的に示される。把持具30は、受入ベイ21にフィルタ装置1を挿入する及び/又は受入ベイ21からフィルタ装置1を取り外すために、部分又はそのフィルタ装置1を把捉するように構成されている少なくとも1つの把持アーム31を含む。把持具30が
図12及び
図13に示され、それによって、フィルタ装置1をその両側で把捉する2つの把持アーム31が配置されていることがわかる。
【0127】
把持具30及びその把持アーム31は、把持アームが、バネ素子24によって供給されたバネ圧に対して受入ベイにあるフィルタ装置を持ち上げるように提供される。それによって、把持具は、受入ベイ及び受入ユニットからフィルタ装置1を取り外し可能であるように、そのフィルタ装置1を持ち上げる。
【符号の説明】
【0128】
1 フィルタ装置
2 サポート素子
3 上面
4 底面
5 外側面
6 流体ダクト
7 フィルタ素子
8 捕集面
9 フィルタ室
10 側壁
11 支持面
12 開口
13 流体入口
14 流体出口
15 転換路
16 透明素子
17 斜縁部
18 凹部
19 位置決め縁部
20 受入ユニット
21 受入ベイ
22 底壁
23 位置決め壁
24 バネ素子
25 受入開口部
26 止め具素子
27 位置決め素子
28 開口部
29 捕集装置
30 把持具
31 把持アーム
32 湾曲部
33 矢印
34 密封構造
35 ポケット