(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020112590
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-189658(JP,A)
【文献】特開2014-208166(JP,A)
【文献】特開2018-139993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部から突出する装飾突出部を備える遊技機であって、
前記装飾突出部の外面の少なくとも一部を覆う装飾カバーを備え、
前記装飾カバーは、一部が透過性を有する透過部となっていて、前記装飾突出部の一部が前記透過部を通して視認可能となって
おり、
前記装飾カバーには開口部が設けられ、
前記開口部から前記装飾突出部の一部が露出し、
前記装飾突出部には可動部材が設けられ、
前記可動部材は、前記開口部に対して進退移動可能になっている遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、装飾が施されている遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-209711号公報(
図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機においては、外観の印象を容易に変更することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、ベース部から突出する装飾突出部を備える遊技機であって、前記装飾突出部の外面の少なくとも一部を覆う装飾カバーを備え、前記装飾カバーは、一部が透過性を有する透過部となっていて、前記装飾突出部の一部が前記透過部を通して視認可能となっており、前記装飾カバーには開口部が設けられ、前記開口部から前記装飾突出部の一部が露出し、前記装飾突出部には可動部材が設けられ、前記可動部材は、前記開口部に対して進退移動可能になっている遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、装飾カバーを取り付けることにより外観の印象を容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図11を参照して、本開示のパチンコ遊技機10(以下、「遊技機10」という。)について説明する。以下の説明において遊技機10のうち遊技者に近い側を「前側」、その反対側を「後側」といい、遊技機10のうち、その前側から対峙した遊技者にとっての「右側」及び「左側」を単に「右側」及び「左側」ということとする。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の遊技機10は、遊技盤11と、遊技盤11を支持する支持枠12と、その支持枠12の前面を覆う前面扉13とを有し、前面扉13の窓部13Wを通して遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。
【0010】
遊技領域R1には、図示しない始動入賞口と大入賞口が備えられ、始動入賞口に遊技球が入球すると当否判定が行われる。当否判定の結果は、遊技領域R1に設けられた表示部(図示せず)にて、その結果に基づいた演出と共に表示される。大入賞口は、通常は、可動扉等で閉塞されて遊技球が入球困難な状態になっていて、上記当否判定の結果が当りとなったときに開放されて遊技球が入球可能な状態となる。
【0011】
前面扉13は、前方から見ると支持枠12の前面略全体を覆う縦長の矩形状をなし、支持枠12と左辺部同士をヒンジ結合されている。前面扉13は、通常時は支持枠12に重ねられた状態(閉じた状態)で右下の施錠部10Kにて施錠されている。前面扉13の窓部13Wは、前面扉13に形成された開口13Aに後面側からアクリル板やガラス板などの透光板13Bを重ねて固定することにより構成される。
【0012】
前面扉13のうち窓部13Wより下方には、上皿14及び下皿15が上下に並べて設けられると共に、下皿15の右方に操作ノブ16が設けられている。操作ノブ16を回動操作すると、上皿14に貯留された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。また、上述した始動入賞口及び大入賞口に遊技球が入球すると、賞球が上皿14に払い出される。
【0013】
図1及び
図2に示すように、前面扉13の上部には、前方に突出した上部役物構成部20が備えられている。上部役物構成部20は、上方に開放したケース部材21に1対の可動役物22を収容してなる。1対の可動役物22は、左右横並びに配置され、それらの上端部同士がヒンジ22Hを介して結合されている。1対の可動役物22は、通常状態では、
図2(A)に示すように、ケース部材21の上方開口を閉塞していて、特定の演出条件が成立したとき(例えば、上記当否判定が当りとなったとき等)に、ヒンジ22Hを中心に上方に回転してケース部材21の外側に突出し、
図2(B)に示すように合体する。
【0014】
図1に示すように、前面扉13の右側辺部には、可動役物ユニット30が取り付けられている。
図3に示すように、可動役物ユニット30は、固定ベース31と、第1可動部材40と、第2可動部材50と、を備えている。第1可動部材40と第2可動部材50は共に、上下方向に沿って長くなった形状をなしている。そして、第1可動部材40と第2可動部材50は、その長手方向が鉛直方向に対して前側に若干傾斜するように設けられ、当該傾斜した方向に沿って移動する。
図3(A)に示すように、第1可動部材40は、通常は、可動ストロークの最も下側に配置され、第2可動部材50は、通常は、可動ストロークの最も下側に配置される。以下では、第1可動部材40が最も下側に配置された位置を第1始端位置(
図3(A)に示す第1可動部材40の位置)、最も上側に配置された位置を第1終端位置(
図3(B),
図3(C)に示す第1可動部材40の位置)と称し、第2可動部材50が最も下側に配置された位置を第2始端位置(
図3(A),
図3(B)に示す第2可動部材50の位置)、最も上側に配置された位置を第2終端位置(
図3(C)に示す第2可動部材50の位置)と称する。
【0015】
図1及び
図3に示すように、固定ベース31は、前面扉13に固定され、前面扉13の右側辺部から前側に突出している。具体的には、
図4及び
図5に示すように、固定ベース31は、左右方向で偏平になっていて、前面扉13の右側辺部のうち上部役物構成部20に隣接する位置から窓部13Wの下端部近傍の高さまでに沿って延在する第1ケース部32と、第1ケース部32における下側部分から前側に迫り出した第2ケース部33と、で構成されている。
【0016】
第1ケース部32は、上部役物構成部20に隣接する位置から下方に延びた側縁装飾部32Aと、側縁装飾部32Aの下方に配され、側縁装飾部32Aよりも前方へ突出した突出装飾部32Bと、を備えている。
図3に示すように、突出装飾部32Bは、側縁装飾部32Aの下端部から下りながら前方へ延びた第1外縁部32B1と、第1外縁部32B1の前端から鉛直下方に延びた第2外縁部32B2と、第2外縁部32B2の下端から後方に戻りながら第2ケース部33の上縁部まで下方に延びた第3外縁部32B3と、を有している。この第1ケース部32は、第1可動部材40及び第2可動部材50の後側に配置されて、第1可動部材40及び第2可動部材50を駆動するためのモータ等(図示せず)を収容する。
【0017】
第2ケース部33は、第1ケース部32の第3外縁部32B3の下端部から前方に延びた第1外縁部33Aと、第1外縁部33Aの前端から後方に戻りながら下方に延びた第2外縁部33Bと、を有している。第2外縁部33Bの下端部は、前面扉13のうち窓部13Wより下方部分へ連なっている。第2ケース部33は、上側に開放した開口33Kを上部に有し、第1始端位置に配置された第1可動部材40の下側部分と第2始端位置に配置された第2可動部材50の全体を収容する。なお、第2ケース部33は、剣の鞘を象るように形成されている。
【0018】
図3(B)に示すように、第1可動部材40は、持ち手を上向きにした剣を象った形状をなして、剣の持ち手を象った第1装飾部41と、剣の鍔を象った第2装飾部42と、剣の刃を象った第3装飾部43と、を備え、全体的に、左右方向で偏平になっている。
図3(C)に示すように、第2可動部材50は、第1可動部材40の第3装飾部43を外側から囲む扁平筒状に形成され、外面に剣の刃の一部を象った装飾が施されている。
【0019】
第1可動部材40及び第2可動部材50は、第2可動部材50が第1可動部材40の第3装飾部43を外側から囲んだ状態で、固定ベース31の第2ケース部33に収容されている。
【0020】
これら第1可動部材40及び第2可動部材50は、常には、第1始端位置及び第2始端位置に配されている(
図3(A)参照)。即ち、常には、可動役物ユニット30は、第1可動部材40の第1装飾部41と第2装飾部42とのみが固定ベース31の第2ケース部33の外側に配された待機状態(剣が鞘に収まった状態)になっている。そして、特定の演出条件が成立したとき(例えば、上記当否判定が当りとなったとき等)に、
図3(B)に示すように第1可動部材40のみが第1終端位置に移動して、第1可動部材40の第3装飾部43が固定ベース31の第2ケース部33から飛び出した第1演出状態(剣が抜かれた状態)になったり、
図3(C)に示すように第1可動部材40及び第2可動部材50が第1終端位置及び第2終端位置に移動して、第1可動部材40の第3装飾部43及び第2可動部材50が固定ベース31の第2ケース部33から飛び出した第2演出状態になる。なお、第2演出状態では、第1可動部材40の第3装飾部43が第2可動部材50により囲まれて、第1演出状態よりも太い剣が抜かれた状態となる。
【0021】
また、本実施形態の遊技機10では、第1可動部材40は、モーター(図示せず)の駆動によって可動する可動演出部材としての役割だけでなく、遊技者によって操作される操作部材としての役割も担っている。本実施形態の例では、第1可動部材40に対し、第1始端位置から第1終端位置側へ移動させる「引抜操作」と、第1終端位置から第1始端位置側へ移動させる「押込操作」の2種類の操作が行われる。なお、第1可動部材40は、停止している状態では、モーター(図示せず)の励磁によって位置が固定されていて、第1可動部材40の操作時にその励磁を解除するために第1可動部材40の操作を検出する操作用センサ(図示せず)が設けられている。
【0022】
ここで、
図1及び
図3に示すように、本実施形態の遊技機10では、可動役物ユニット30に、
図6に示される装飾カバー60が取り付けられている。装飾カバー60は、可動役物ユニット30に右側(外側)から重なる外側カバー部61と、可動役物ユニット30に左側(内側)から重なる内側カバー部70と、を有している。外側カバー部61と内側カバー部70とは共に可撓性を有する樹脂成形板であり、本実施形態では、外側カバー部61は着色されている一方、内側カバー部70は透明になっている。
【0023】
図1、
図4及び
図6に示すように、外側カバー部61は、固定ベース31の右側面の全体を覆い、外側第1構成部62と、外側第2構成部63と、外側第3構成部64と、を有している。詳細には、外側第1構成部62は、固定ベース31における第1ケース部32のうち側縁装飾部32Aの右側面を覆い、外側第2構成部63は、固定ベース31の第1ケース部32における突出装飾部32Bのうち第2ケース部33より上方部分の右側面を覆い、外側第3構成部64は、固定ベース31の第2ケース部33と、第1ケース部32のうち第2ケース部33の後方部分と、を覆う。
【0024】
図3、
図5及び
図7に示すように、内側カバー部70は、固定ベース31のうち第1ケース部32の左側面の一部を覆う内側第1構成部71と、第2ケース部33の左側面の大半を覆う内側第2構成部72と、を有している。内側第1構成部71は、第1ケース部32の左側面のうち突出装飾部32Bの第1外縁部32B1の前側部分から第3外縁部32B3に沿って後下方に第1ケース部32の後端部まで延びている。内側第2構成部72は、内側第1構成部71の下側部分の前方に配され、第2ケース部33の第1外縁部33A及び第2外縁部33Bに沿った第1外縁部71A及び第2外縁部71Bを備え、第2ケース部33の左側面のうち下端部以外の全体を覆う。
【0025】
図6及び
図7に示すように、外側カバー部61と内側カバー部70とは、前端同士が互いに近づくように湾曲してネジ止めにより固定されていて、装飾カバー60は、全体的に、後方が開放した「U」字状をなしている。詳細には、装飾カバー60は、外側カバー部61の外側第3構成部64の前端部と、内側カバー部70の内側第2構成部72の前端部と、が連結される下側連結部60Aと、外側カバー部61の外側第2構成部63の前側上端部と内側カバー部70の内側第1構成部71の上端部とが、連結される上側連結部60Bと、を有している。また、装飾カバー60には、下側連結部60Aと上側連結部60Bとの間に、外側カバー部61の外側第2構成部63及び外側第3構成部64の前側外縁と、内側カバー部70の内側第1構成部71及び内側第2構成部72の前側外縁と、に囲まれたカバー開口60Kが形成されている。また、
図8に示すように、装飾カバー60では、内側カバー部70の後端が、外側カバー部61の後端より僅かに前方に配されている。
【0026】
図6及び
図7に示すように、外側カバー部61と内側カバー部70とでは、内側カバー部70の方が外側カバー部61よりも凹凸が多く形成されている。また、
図9~
図11に示すように、外側カバー部61は全体的に比較的平坦になっているのに対し、内側カバー部70は左方へ膨出すると共に後端部が後方へ向かうにつれて右方へ寄るように傾斜していて、装飾カバー60の後端部は先窄みになっている。なお、内側カバー部70の後端部の一部は前後方向に真っ直ぐ延びている。
【0027】
図8に示すように、装飾カバー60のうち外側カバー部61の後端部には、板金からなる固定具65が取り付けられている。固定具65は、外側カバー部61のうち、外側第1構成部62の上端寄り位置と、外側第2構成部63の上下方向の中央部と、外側第3構成部64の下端部と、の3箇所に10cm以上間隔を空けて配されている。固定具65は、前後方向に延びた主板部65Aと、主板部65Aの後端を左方へ曲げてなるフック部65Bと、を有している。フック部65Bの先端は前方へ折り返された返し部65Cとなっている。
【0028】
固定具65は、外側カバー部61の内面に前後方向にスライド可能に支持されている。固定具65の主板部65Aの後端部には、上下方向に延びたスリット65Sが2本前後方向で並んで形成されている。外側カバー部61には、固定具65のスリット65Sに係合可能な係合突部66が設けられている。
図6に示すように、係合突部66は、外側カバー部61の後端部に「コ」の字状のスリット67により3辺が切り離されて形成された弾性片68の先端(後側端部)に配され、固定具65のスリット65Sに係合することで固定具65を位置決めする。固定具65は、前側のスリット65Sが係合突部66と係合する第1位置と、後側のスリット65Sが係合突部66と係合する第2位置と、に位置決めされる。固定具65が第2位置に配されているときより第1位置に配されているときの方が、外側カバー部61の後端から固定具65のフック部65Bまでの距離が長くなる。
【0029】
装飾カバー60は、以下のようにして可動役物ユニット30に取り付けられる。まず、前面扉13を開いた状態(左辺部を中心に回動して支持枠12から離れた状態)にし、装飾カバー60を固定具65の前側のスリット65Sが係合突部66に係合している状態にする。そして、装飾カバー60のカバー開口60Kに、可動役物ユニット30の第1可動部材40の第1及び第2の装飾部41,42を通過させ、装飾カバー60の後端部の開口(外側カバー部61の後端部と内側カバー部70の後端部)を広げながらその開口を可動役物ユニット30の固定ベース31の外面に宛がい、装飾カバー60を後方へ押し込んでいく。すると、装飾カバー60が固定ベース31を抱え込むようにして後方に進んでいく。
【0030】
そして、装飾カバー60の内側カバー部70の後端面が前面扉13の透光板13Bに隣接し、装飾カバー60の外側カバー部61の後端部が固定ベース31の後端部に重なると、装飾カバー60の固定具65のフック部65Bの全体が、前面扉13の後端部より後方に際された状態になる。この状態で、固定具65を前方へスライドさせ、固定具65のフック部65Bを前面扉13の右側縁部に係止させる(
図11参照)。その後、前面扉13を閉じる。これにより装飾カバー60の取り付けが完了する。
【0031】
装飾カバー60が可動役物ユニット30に取り付けられた状態では、第1可動部材40の第1及び第2の装飾部41,42がカバー開口60Kから突出した状態で、装飾カバー60が固定ベース31の外面を覆っている(
図3参照)。第1可動部材40及び第2可動部材50は、カバー開口60Kを通して進退可能となっていて、第1及び第2の始端位置と第1及び第2の終端位置との間の移動は阻害されない。
【0032】
装飾カバー60は、後端部が窄んでいて、固定ベース31を抱え込むように装着されているので(
図11参照)、前方へ抜けにくくなっている。また、装飾カバー60は、3つの固定具65により前面扉13に係止されている。この固定具65は、フック部65Bが前面扉13と支持枠12とに挟持されて、スライド不能になっている。また、内側カバー部70の後端は、窓部13Wの透光板13Bに近接している。
【0033】
また、装飾カバー60は、外側カバー部61が着色されている一方、内側カバー部70が透明になっているので、固定ベース31本体の右側面の装飾は視認不能となる一方、左側面の装飾は内側カバー部70を通して視認可能となっている。
【0034】
このように、本実施形態では、可動役物ユニット30に装飾カバー60を取り付けることで、可動役物ユニット30の印象を容易に変えることが可能である。この装飾カバー60の装着は、例えば、遊技機10の遊技盤11を新規の遊技盤11に交換する、所謂、「盤替え」の際に行うことが考えられる。即ち、本実施形態によれば、遊技盤11を交換する盤替えの際に、既存の前面扉13の可動役物ユニット30に装飾カバー60を取り付けることで、外観の印象を変えることができ、費用をかけずに新鮮味を与えることができる。
【0035】
ここで、装飾カバー60は、可撓性を有し、抱え込むように取り付けることができるので取り付け作業が容易である。また、装飾カバー60は、固定ベース31を抱え込み、凹凸に沿って取り付けられるのでずれにくくなる。しかも、固定具65により前面扉13に係止されるのでより強固に固定される。
【0036】
この装飾カバー60にはカバー開口60Kが設けられていて、このカバー開口60Kから第1可動部材40及び第2可動部材50が進退可能となっているので、装飾カバー60により第1可動部材40及び第2可動部材50の移動が阻害されることが防がれる。また、移動する又は操作される第1可動部材40及び第2可動部材50を有する可動役物ユニット30に装飾カバー60が取り付けられることで、注目される部分の印象が変わり、新鮮味が増す。
【0037】
さらに、内側カバー部70と外側カバー部61とは、カバー開口60Kを挟んで下側連結部60Aと上側連結部60Bとで連結されているので、装飾カバー60が撓みやすくなり、装着が容易になる。
【0038】
ところで、装飾カバー60は、前面扉13の外側に装着されているため、盗難に遭うことも考えられる。しかしながら、前面扉13を閉じた状態では、固定具65のフック部65Bが前面扉13と支持枠12とに挟持されるので固定具65がスライド不能となり、装飾カバー60が取り外されることが防がれる。しかも、固定具65のフック部65Bには返し部65Cが形成されているので、フック部65Bを外方(右方)へ引き抜こうとしても返し部65Cが前面扉13の右縁部に当接して引き抜きを防止する。また、固定具65付近に手をかけ、フック部65Bをねじ曲げるようにして引き抜いて装飾カバー60が外されることも考えられるが、本実施形態では、3つの固定具65が上下方向の3箇所(上端部、中間部、下端部)に分散配置されているので、全ての固定具65を一人で同時に引き抜くことは難しく、装飾カバー60が外されることが防がれる。
【0039】
また、内側カバー部70の後端部が前面扉13の窓部13Wの透光板13Bに近接しているので、内側カバー部70の後端部と透光板13Bとの間に指をかけることが難しく、こちらから装飾カバー60をはぎ取ることも困難である。しかも、内側カバー部70の後端部は、内側に膨出していて内側カバー部70の後端が外側(固定ベース31側)へ寄っているので、内側カバー部70の後端が内側を向いている場合よりも、内側カバー部70の後端部と透光板13Bとの間に指をかけることがさらに難しくなる。
【0040】
また、本実施形態の装飾カバー60は、外側カバー部61が着色されている一方、内側カバー部70が透明になっているので、固定ベース31本体の右側面の装飾は視認不能となる一方、左側面の装飾は内側カバー部70を通して視認可能となっている。つまり、装飾カバー60は、固定ベース31の一部の装飾(左側面の装飾)を流用しつつ他の部分(右側面)の見た目を変えている。
【0041】
[他の実施形態]
(1)固定具65は2つであってもよい。この場合でも、1つよりは取り外し作業が困難になる。
【0042】
(2)上記実施形態では、装飾カバー60が遊技機10の外側(前面扉13の外側)に装着されていたが、遊技機10の内側(例えば、遊技盤11に設けられた装飾部材等)に装着される構成であってもよい。
【0043】
(3)上記実施形態では、外側カバー部61が着色されている一方、内側カバー部70が透明になっていたが、逆であってもよいし、外側カバー部61と内側カバー部70とが共に着色されていたり、透明であってもよい。
【0044】
<付記>
上記実施形態で例示した遊技機には、以下の第1~第3の発明群が含まれていると考えることができる。
【0045】
(第1の発明群)
[発明1]
ベース部から突出する装飾突出部を備える遊技機であって、
前記装飾突出部の外面の少なくとも一部を覆う装飾カバーを備え、
前記装飾カバーは、前記装飾突出部を第1方向の一方側から覆う第1カバー部と、前記装飾突出部を前記第1方向の他方側から覆う第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部とを前記ベース部の反対側で連絡する連絡部と、前記第1カバー部の前記ベース部側端部と前記第2カバー部の前記ベース部側端部との間に設けられた取り付け口と、を有し、
前記装飾カバーは、前記取り付け口が窄んでいて、前記ベース部の反対側から前記ベース部に向けて押し込まれ、弾性変形しながら前記装飾突出部を抱え込むように取り付けられる遊技機。
[発明2]
前記第1カバー部と前記第2カバー部とは別部品であり、それらが前記連結部において連結されている発明1に記載の遊技機。
[発明3]
前記第1カバー部と前記第2カバー部との間は、第1の前記連絡部と、前記第1の連絡部との間に開口部を挟んで配された第2の前記連絡部と、により連絡されている発明1又は2に記載の遊技機。
[発明4]
前記装飾突出部には可動部材が設けられ、
前記可動部材は、前記開口部に対して進退移動可能になっている発明3に記載の遊技機。
[発明5]
前記第1カバー部と前記第2カバー部との一方は、前記第1カバー部と前記第2カバー部との他方よりも凹凸が少なくなっている発明1から4の何れか1の発明に記載の遊技機。
[発明6]
前記ベース部は、遊技領域を視認可能な透明部材からなる窓部を有する前面扉本体であり、
前記装飾突出部は、前記前面扉本体のうち前記窓部より外側の側縁部から突出し、
前記装飾カバーにおける前記第1カバー部の前記取り付け口側端部は、前記前面扉の外縁部に配され、前記第2カバー部の前記取り付け口側端部は、前記前面扉本体の前記窓部に近接する位置に配される発明1から4の何れか1の発明に記載の遊技機。
[発明7]
前記装飾カバーにおける前記第2カバー部の前記取り付け口側端部は、前記遊技領域の前面に沿った内外方向の内側へ膨出した膨出部を有する発明1から5の何れか1の発明に記載の遊技機。
【0046】
(第2の発明群)
[発明1]
ベース部から突出する装飾突出部を備える遊技機であって、
前記装飾突出部の外面の少なくとも一部を覆う装飾カバーを備え、
前記装飾カバーは、一部が透過性を有する透過部となっていて、前記装飾突出部の一部が前記透過部を通して視認可能となっている遊技機。
[発明2]
ベース部は、遊技領域を視認可能な透明部材からなる窓部を有する前面扉本体であり、
前記装飾突出部は、前記前面扉本体のうち前記窓部より外側の側縁部から突出し、
前記透過部は前記遊技領域の前面に沿った内外方向の内側の側面に配され、外側の側面は着色されている発明1に記載の遊技機。
[発明3]
前記装飾カバーには開口部が設けられ、
前記開口部から前記装飾突出部の一部が露出している発明1又は2に記載の遊技機。
[発明4]
前記装飾突出部には可動部材が設けられ、
前記可動部材は、前記開口部に対して進退移動可能になっている発明3に記載の遊技機。
[発明5]
前記可動部材は、遊技者により操作可能に構成されている発明4に記載の遊技機。
【0047】
(第3の発明群)
[発明1]
前面に遊技領域を有する遊技盤を支持する支持枠と、前記支持枠の前面を覆う前面扉と、を備え、
前記前面扉に前方へ突出した装飾突出部が設けられた遊技機において、
前記装飾突出部に装着される装飾カバーを備え、
前記装飾カバーは、前記装飾突出部に装着された状態で、前記前面扉の外縁部に係止され、前記前面扉と前記支持枠との間に挟まれる固定具を複数有する遊技機
[発明2]
前記固定具は前後方向でスライド可能であり、前記前面扉の外縁部に係止する第1位置と、前記第2位置より後方で前記前面扉の外縁部に係止しない第2位置と、に配置可能である発明2に記載の遊技機。
[発明3]
前記固定具は、前記前面扉の外側面に沿って延びる主板部と、前記主板部の後端に配され、前記前面扉の外縁部に係止するフック部と、を備え、
前記フック部は、前記前面扉の外縁部に内側から対向する返し部を有する発明1又は2に記載の遊技機。
[発明4]
前記前面扉は一側辺が前記支持枠にヒンジ結合されていて、前記装飾突出部は、前記前面扉のうち前記一側辺と反対側の側辺に配される発明1から3の何れか1の発明に記載の遊技機。
[発明5]
前記固定具は、互いに10cm以上離れた3位置に配されている発明1から4の何れか1の発明に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0048】
10 遊技機
11 遊技盤
12 支持枠
13 前面扉
13W 窓部
14 上皿
15 下皿
30 可動役物ユニット
31 固定ベース
40 第1可動部材
50 第2可動部材
60 装飾カバー
60A 下側連結部
60B 上側連結部
60K カバー開口
61 外側カバー部
65 固定具
65A 主板部
65B フック部
65C 返し部
70 内側カバー部