(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ファイバースコープ接続具、及びファイバースコープシステム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20221205BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221205BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G03B17/56 E
G03B17/56 Z
G03B15/00 L
G02B23/26 D
(21)【出願番号】P 2021164832
(22)【出願日】2021-10-06
(62)【分割の表示】P 2017094007の分割
【原出願日】2017-05-10
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】516096313
【氏名又は名称】株式会社OKファイバーテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】皆川 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】松田 伸也
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104713698(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362828(US,A1)
【文献】特開2015-208635(JP,A)
【文献】特表2005-528182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
G03B 15/00
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープを携帯端末に設けられたカメラに接続するためのファイバースコープ接続具であって、
前記携帯端末を保持する保持部と、
前記保持部に取り付けられるとともに前記カメラの光軸に対して直交する第1の方向から前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を備え、
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーから出力される前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送するリレー光学系を備え
、
前記リレー光学系は、前記光学ユニットの外部に突出した摘み部の操作により光学フィルターを前記光学像の経路上と経路外との間で移動可能となるように、前記光学フィルターを保持するフィルター部を有することを特徴とするファイバースコープ接続具。
【請求項2】
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーが前記光学ユニットに接続されたときに前記イメージガイドファイバーの光軸上に位置するように設けられたボールレンズを有していることを特徴とする請求項
1に記載のファイバースコープ接続具。
【請求項3】
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープを携帯端末に設けられたカメラに接続するためのファイバースコープ接続具であって、
前記携帯端末を保持する保持部と、
前記保持部に取り付けられるとともに
前記カメラの光軸に対して直交する第1の方向から前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を備え、
前記光学ユニットは、前記カメラの光軸上に位置するように設けられたボールレンズと、前記イメージガイドファイバーが前記光学ユニットに接続されたときに前記ボールレンズを前記イメージガイドファイバーの光軸上に配置させる連結部材と、
前記イメージガイドファイバーから出力される前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送するリレー光学系と、を備え
、
前記リレー光学系は、前記光学ユニットの外部に突出した摘み部の操作により光学フィルターを前記光学像の経路上と経路外との間で移動可能となるように、前記光学フィルターを保持するフィルター部を有することを特徴とするファイバースコープ接続具。
【請求項4】
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープと、カメラとディスプレイと制御装置とを有する携帯端末と、前記ファイバースコープを前記カメラに接続する接続具と、を備えるファイバースコープシステムであって、
前記接続具は、前記携帯端末を保持する保持部と、前記保持部に取り付けられるとともに
前記カメラの光軸に対して直交する第1の方向から前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を有し、
前記光学ユニットは、前記光学像を前記カメラに伝送することによって、前記ディスプレイに前記光学像の電子画像を表示させ、
前記制御装置は、前記電子画像内における前記光学像の位置を補正する画像補正手段を有
し、
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーから出力される前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送するリレー光学系を備え、
前記リレー光学系は、前記光学ユニットの外部に突出した摘み部の操作により光学フィルターを前記光学像の経路上と経路外との間で移動可能となるように、前記光学フィルターを保持するフィルター部を有することを特徴とするファイバースコープシステム。
【請求項5】
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープと、カメラとディスプレイと制御装置とを有する携帯端末と、前記ファイバースコープを前記カメラに接続する接続具と、を備えるファイバースコープシステムであって、
前記接続具は、前記携帯端末を保持する保持部と、前記保持部に取り付けられるとともに
前記カメラの光軸に対して直交する第1の方向から前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を有し、
前記光学ユニットは、前記光学像を前記カメラに伝送することによって、前記ディスプレイに前記光学像の電子画像を表示させ、
前記制御装置は、前記電子画像内における前記光学像の向きを補正する画像補正手段を有
し、
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーから出力される前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送するリレー光学系を備え、
前記リレー光学系は、前記光学ユニットの外部に突出した摘み部の操作により光学フィルターを前記光学像の経路上と経路外との間で移動可能となるように、前記光学フィルターを保持するフィルター部を有することを特徴とするファイバースコープシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバースコープと携帯端末とを接続する接続具、及びファイバースコープシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野や産業分野において物体の細部や内部を撮影する場合に、ファイバースコープを用いた内視鏡機器(ファイバースコープシステム)が利用されている。これらの内視鏡機器は、一般的に、ファイバースコープと電子画像変換装置と表示装置によって構成されている。ファイバースコープは、イメージガイドファイバーの先端に設けられた対物レンズから取得した撮像対象の光学像をと電子画像変換装置に伝送する。光学像は、電子画像変換装置で電気信号に変換され、電子画像として表示装置に表示される。例えば、特許文献1には、電子画像変換装置と表示装置とを備えた本体ユニットと、前記本体ユニットに取り外し可能なファイバースコープとを備える内視鏡機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、ファイバースコープのみでなく、専用の電子画像変換装置と表示装置とが必要となるため、ファイバースコープシステムを携帯して利用するような場合には不向きであった。
【0005】
本発明は、上記したような従来技術の問題を鑑みて成されたものであり、その目的は、ファイバースコープシステムの携帯性を向上させることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成を採用した。即ち、本発明は、
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープを携帯端末に設けられたカメラに接続するためのファイバースコープ接続具であって、
前記携帯端末を保持する保持部と、
前記保持部に取り付けられるとともに前記カメラの光軸に対して直交する第1の方向から前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を備え、
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーから出力される前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送するリレー光学系を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、接続具は、保持部によってファイバースコープと携帯端末とを接続し、光学ユニットによってイメージガイドファイバーから出力される光学像を携帯端末のカメラに伝送する。これによれば、携帯端末のカメラを電子画像変換装置として利用し、携帯端末のディスプレイを表示装置として利用することができる。その結果、ファイバースコープ専用の電子画像変換装置や表示装置を用意する必要がないため、ファイバースコープシステムの携帯性を向上させることができる。更に、本発明によれば、光学ユニットにイメージガイドファイバーがカメラの光軸と直交する方向から接続されるため、光学像を
カメラに伝送しつつも、イメージガイドファイバーを携帯端末に沿う姿勢とすることができる。その結果、イメージガイドファイバーが携帯端末の法線方向に嵩張ることが抑制され、ファイバースコープシステムの全体のサイズをコンパクトにすることできる。
【0008】
また、本発明は、
前記リレー光学系は、光を屈曲させる屈曲光学部材によって前記光学像の進行方向を変更させることで、前記光学像を前記カメラの光軸と平行な方向から前記カメラに伝送することを特徴としてもよい。
【0009】
また、本発明は、
前記リレー光学系は、前記光学像の進行方向を前記第1の方向から第2の方向に変更させる第1の前記屈曲光学部材と、前記光学像の進行方向を前記第2の方向から前記カメラの光軸方向に変更させる第2の前記屈曲光学部材と、を有することを特徴としてもよい。
これによると、リレー光学系は、第1の屈曲部材と第2の屈曲部材の配置によって、光学像の進行方向を上下左右に自在に制御することができる。これによれば、光学ユニットに設けられた光学部材のレイアウトの自由度を向上させることができる。その結果、光学ユニットのサイズをよりコンパクトにすることが可能となる。なお、屈曲光学部材は、光を反射させることによって光を屈曲させてもよい。
【0010】
また、本発明は、
前記光学ユニットは、前記イメージガイドファイバーが前記光学ユニットに接続されたときに前記イメージガイドファイバーの光軸上に位置するように設けられたボールレンズを有していることを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、
前記光学ユニットは、前記カメラの光軸上に位置するように設けられたボールレンズと、前記イメージガイドファイバーが前記光学ユニットに接続されたときに前記ボールレンズを前記イメージガイドファイバーの光軸上に配置させる連結部材と、を備えることを特徴としてもよい。
【0012】
これらによると、焦点距離の短いボールレンズを用いることによって、光学ユニットとイメージガイドファイバーとの接続部分を短く形成することができる。その結果、光学ユニットをコンパクトにすることでき、ファイバースコープシステムの携帯性を更に向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、システムとして特定してもよい。即ち、本発明は、
対物レンズで取得した撮像対象の光学像をイメージガイドファイバーから出力するファイバースコープと、カメラとディスプレイと制御装置とを有する携帯端末と、前記ファイバースコープを前記カメラに接続する接続具と、を備えるファイバースコープシステムであって、
前記接続具は、前記携帯端末を保持する保持部と、前記保持部に取り付けられるとともに前記イメージガイドファイバーが接続される光学ユニットと、を有し、
前記光学ユニットは、前記光学像を前記カメラに伝送することによって、前記ディスプレイに前記光学像の電子画像を表示させ、
前記制御装置は、前記電子画像内における前記光学像の位置を補正する画像補正手段を有することを特徴とするファイバースコープシステムであってもよい。
【0014】
本発明によれば、携帯端末側の制御装置によって画像内における光学像の位置を補正するため、光軸調整機構を省いて光学ユニットのサイズをコンパクトにすることでき、ファイバースコープシステムの携帯性を向上させることができる。
【0015】
また、前記画像補正手段は、前記電子画像内における前記光学像の向きを補正してもよい。 これによれば、イメージガイドファイバーが光軸回りに回転しても画像内における光学像の向きを一定に保つことができる。
【0016】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ファイバースコープシステムの携帯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係るファイバースコープシステムの全体図である。
【
図2A】カメラ付きタブレット型パソコンを示す図である。
【
図2B】カメラ付きタブレット型パソコンを示す図である。
【
図3】カメラ付きタブレット型パソコンのブロック図である。
【
図4】実施形態1に係るファイバースコープを示す図である。
【
図5】実施形態1に係るファイバースコープ接続具の構成を示す図である。
【
図6】実施形態1に係るファイバースコープ接続具の斜視図である。
【
図7】実施形態1に係るファイバースコープ接続具の側面図である。
【
図8】実施形態1に係るファイバースコープ接続具の側面図であってスタンド片が展開姿勢のときの状態を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る光学ユニットの構成を示す図である。
【
図10】イメージガイドファイバーとコネクタの接続部分を示す図である。
【
図11】実施形態1に係るファイバースコープ接続具をカメラ付きタブレット型パソコンに装着する様子を示す図である。
【
図12A】光軸ずれによって光学像が画像中心からずれて表示されている電子画像を示す図である。
【
図12B】実施形態1に係るプログラムによって光学像が画像中心に位置するように補正された電子画像を示す図である。
【
図13A】実施形態1の変形例1に係る保持具のフック片が離間姿勢の状態を示す図である。
【
図13B】実施形態1の変形例1に係る保持具のフック片が係合姿勢の状態を示す図である。
【
図14A】実施形態1の変形例2に係る保持具の蓋部が開姿勢の状態を示す図である。
【
図14B】実施形態1の変形例2に係る保持具の蓋部が閉姿勢の状態を示す図である。
【
図15】実施形態1の変形例3に係るファイバースコープシステムのブロック図である。
【
図16A】実施形態2に係る光学ユニットにおいて、イメージガイドファイバーとカメラの光軸が一致している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
【0020】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係るファイバースコープシステム(以下、スコープシステム)100を示す図である。
図1に示すように、スコープシステム100は、カメラ11付きタブレット型パソコン(以下、タブレットPC)1と、タブレットPC1を保持するファイバースコープ接続具(以下、接続具)200と、接続具200に接続されたファイバースコープ2とによって構成される。本実施形態に係るスコープシステム100は、ファイバースコープ2が取得した光学像をタブレットPC1に設けられたカメラ11(
図2B参照)に伝送することによって光学像を電子画像に変換し、タブレットPC1に設けられたディスプレイ12に当該電子画像を表示する。以下、スコープシステム100の構成について説明する。
【0021】
[タブレットPC1]
図2は、本実施形態に用いられるタブレットPC1を示す図であって、
図2Aは、タブレットPC1の正面が見えている状態を示し、
図2Bは、タブレットPC1の背面が見えている状態を示す。また、
図3は、タブレットPC1のブロック図である。
図2A,2Bに示すように、タブレットPC1は、全体として板形状を有している。タブレットPC1の一方の面には、電子画像を表示するディスプレイ12が設けられており、他方の面には、撮像を実行するカメラ11が設けられている。以下、特に説明の無い限り、タブレットPC1の前方とは、ディスプレイ12が設けられている側を示し、後方とは、カメラ11が設けられている側を示し、タブレットPC1の厚みとは、前後方向の長さを示す。また、タブレットPC1の上下及び左右とは、図中の矢印で示される上下方向及び左右方向を示す。
【0022】
タブレットPC1は、一般的なパソコンとしての機能の他にデジタルカメラ11としての機能を有する。タブレットPC1は、カメラ11とディスプレイ12の他に、ディスプレイ12に重畳されるとともにユーザによる操作を受け付けるタッチパネル13と、タブレットPC1の全体を制御する制御装置15と、を有する。タブレットPC1は、本発明の「携帯端末」に相当する。本発明の携帯端末は、タブレットPC1に限定されない。携帯端末は、例えば、タブレットPC1と同様の機能を有する、カメラ11付きのスマートフォンであってもよい。また、タブレットPC1は、通信機能を有していてもよい。
【0023】
カメラ11は、いわゆるデジタルカメラであり、可動式のカメラレンズ111と、CCD(charge coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子112と、を有する。カメラ11は、ユーザのタッチパネル13によるタッチ操作を受け付けて起動し、撮像をリアルタイムで実行する。具体的には、カメラ11は、カメラレンズ111から取り込んだ像を撮像素子112によって電気信号に変換する。ここで、カメラ11の光軸は、タブレットPC1の後面の法線方向と平行である。なお、カメラ11による撮像は表示側面に設けられたホームボタン14を押下することによって実行されてもよい。
【0024】
制御装置15は、各種の情報を記憶する記憶部152と、記憶部152に保持されたプログラムに基づいて処理を実行する中央処理部(CPU151)と、を備える。記憶部152には、オペレーティングシステムとともに、画像処理を行うためのアプリケーションプログラムが記憶されている。また、記憶部152は、取得した電子画像データを保持するためのユーザデータエリアが設けられている。
【0025】
[ファイバースコープ2]
図4は、本実施形態に用いられるファイバースコープ2を示す図である。ファイバースコープ2は、医療現場での体内や、工場で装置内の狭い部分等を撮像対象として使用される光学装置である。
図4に示すように、ファイバースコープ2は、撮像対象の光学像を取得する対物レンズ21と、対物レンズ21で取得した光学像を伝送するイメージガイドフ
ァイバー22と、接続具200から供給される光を伝送して被写体に照射するライトガイドファイバー23と、によって構成されている。
【0026】
対物レンズ21は、イメージガイドファイバー22の先端側に設けられ、光を屈折させることによって撮像対象の光学像を取得し、イメージガイドファイバー22に伝送する。イメージガイドファイバー22は、多数の光ファイバーが束ねられることによって構成され、その一端(先端)から他端(末端)まで光学像を伝送可能である。イメージガイドファイバー22は、先端から入力された光学像を反転させて末端から出力する。これにより、対物レンズ21によって倒立した光学像がイメージガイドファイバー22内で反転し、正立像としてイメージガイドファイバー22の末端面221に表示される。
【0027】
ライトガイドファイバー23は、イメージガイドファイバー22と同様に、光ファイバーによって構成される。ライトガイドファイバー23は、末端が接続具200に接続され、接続具200から供給される光を先端から照射する。
【0028】
図4に示すように、イメージガイドファイバー22とライトガイドファイバーは、保護チューブ24に収納されるとともに、先端同士がヘッドに保持されることで一体化している。そして、イメージガイドファイバー22とライトガイドファイバー23は、途中で分岐することによって末端同士が別体となっている。ライトガイドファイバー23の先端はイメージガイドファイバー22の先端に隣接しているため、ライトガイドファイバー23の先端より出射される光は、撮像対象に照射される。その結果、撮像対象から反射した光によって対物レンズ21が光学像を取得することができる。
【0029】
ここで、イメージガイドファイバー22とライトガイドファイバー23を構成する光ファイバーは、通信の分野でも使用され、データを光信号に変換して伝送することが可能なケーブルである。光ファイバーは、屈折率の高い材質で作られたコアを屈折率の低いクラッドで覆う構造となっており、コアとクラッドの境目(境界面)に光を反射させることで光学像を伝送する。このような光ファイバーが大きく屈曲した状態では、境界面に対する光の入射が変化し、光が境界面で反射せずにクラッドに漏えいする虞がある。その結果、光ファイバーの曲がり具合によっては、漏えいによる光の損失が発生する。また、光ファイバーを大きく曲げると、コアが断線する可能性もある。以上の理由から、光ファイバーには、許容曲げ半径が定められており、これ以下に曲げて使用しないことが好ましい。一般に、光ファイバーの許容曲げ半径は、30mm程度とされる。そのため、本実施形態に用いられるファイバースコープ2は、イメージガイドファイバー22とライトガイドファイバー23の部分を保護チューブ24で覆うことによって、光ファイバーの折れ曲がりや破損を防止している。
【0030】
[接続具200]
次に、本実施形態に係る接続具200について説明する。
図5は、本実施形態に係る接続具200の構成を示す図である。
図6は、接続具200を後方から見た図である。
図7は、接続具200を右方向から見た図である。以下、特に説明の無い限り、接続具200の前後方向、上下方向及び左右方向は、図中の矢印で示される上下方向及び左右方向で定義される。
図6に示すように、接続具200は、タブレットPC1を保持する保持部10と、保持部10の後側に取付けられる光学ユニット20と、を有する。光学ユニット20は、タブレットPC1とファイバースコープ2とを光学的に接続することによって、ファイバースコープ2が取得した光学像をカメラ11に伝送する。また、光学ユニット20は、スコープシステム100を起立させるスタンドとしての機能も有する。
【0031】
図5に示すように、保持部10は、タブレットPC1を収容する収容部3と、収容部3の前側に設けられるとともにタブレットPC1の脱落を抑制する蓋部4と、を有する。
【0032】
収容部3は、タブレットPC1よりも一回り大きな板状の外形を有している。収容部3は、前後方向に対向配置された前壁面31と後壁面32と、左右方向に対向配置された右壁面35と左壁面36と、上下方向に対向配置された上壁面33と下壁面34と、を有する。前壁面31には、タブレットPC1を収容可能な窪みである収容ポケット37が形成されている。収容ポケット37は、タブレットPC1の正面視における外形と略同形状を有するとともに前壁面31と略平行なポケット底面371と、ポケット底面371の周縁から立設して前壁面31に連なる側壁面372と、によって形成されている。ポケット底面371は、タブレットPC1が収容されたときにタブレットPC1の背面に当接する面である。側壁面372は、タブレットPC1が収容されたときにタブレットPC1の右側面、左側面、上側面、下側面に当接する面である。側壁面372の高さ、即ち、収容ポケット37の深さは、タブレットPC1の厚みと同程度である。
【0033】
また、収容部3には、ポケット底面371から後壁面32まで貫通する穴であるレンズ穴373が形成されている。レンズ穴373は、カメラレンズ111よりも若干大きい径を有しており、タブレットPC1が収容されたときにカメラレンズ111と重なる位置に配置されている。
【0034】
蓋部4は、収容部3と略同形状となる板状の外形を有し、収容部3の前壁面31を覆うように取付けられる。また、蓋部4には、ユーザが収容部3に収容されたタブレットPC1のタッチパネル13やホームボタン14を操作するための窓部41が形成されている。窓部41は、蓋部4を正面から背面まで貫通する略矩形状の穴であり、ディスプレイ12と略同等の大きさを有している。蓋部4は、収容部3に対して着脱可能に構成されており、例えば、ねじ等によって収容部3の前壁面31に固定される。
【0035】
[光学ユニット20]
光学ユニット20は、収容部3の後壁面32に取付けられ、後述するリレー光学系6と照明部7と、それらを収容する箱体である筐体部5と、を有する。
【0036】
図5、7に示すように、筐体部5は、大まかに、一対の対向する面を湾曲させた直方体の外形を有している。具体的には、筐体部5は、収容部3に取付けられる取付平面51と、取付平面51に対向する操作平面52と、ファイバースコープ2が接続される接続平面53と、接続平面53に対向する平面と、凸に湾曲した一対の対向する湾曲面54,54と、を有する。
【0037】
図6、7に示すように、光学ユニット20は、筐体部5の取付平面51が収容部3の後壁面32に当接し、接続面が左右何れかの方向に向くとともに湾曲面54,54が上下方向に向くようにして保持部10に取付けられる。接続平面53は左右何れの方向に向いてもよいが、本実施形態では例示として接続具200において左方向に向いている。筐体部5は、収容部3に対して着脱可能に構成されている。筐体部5は、例えば、ねじ等によって収容部3の後壁面32に固定される。
【0038】
図6に示すように、筐体部5の操作平面52には光学フィルター623(
図9参照)のオン/オフを切り替えるための摘み部622や、カメラ11に撮像される光学像のピントを調整するための固定ねじ634が設けられている。また、接続面にはイメージガイドファイバー22の末端が接続されるコネクタ611と、ライトガイドファイバー23の末端が接続されるコネクタ71が設けられている。
【0039】
また、下側の湾曲面54には、操作平面52と一対の湾曲面54に沿う形状を有するスタンド片55がヒンジ接続されている。スタンド片55は、
図7に示す操作平面52と当
接した当接姿勢と
図8に示す操作平面52から離間した展開姿勢との間に姿勢を変化させることができる。
図8に示すように、スタンド片55が展開姿勢となることで、スタンド片55と保持部10の下壁面34とで接地して接続具200を起立させることができる。これにより、ユーザは、卓上や作業台の上にタブレットPC1を載置した状態で撮像対象の撮像を行うことができる。また、筐体部5は、スタンド片55が当接姿勢となることで、ユーザに把持されるグリップとして機能する。
【0040】
筐体部5の内部には、ファイバースコープ2のイメージガイドファイバー22から出力された光学像をカメラ11に伝送するリレー光学系6と、ファイバースコープ2のライトガイドファイバー23に光を供給する照明部7が収容されている。
図9は、光学ユニット20の内部構成を説明するための図である。なお、
図9においては、筐体部5と保持部10の図示を省略している。
【0041】
照明部7は、ライトガイドファイバー23の末端が接続されるコネクタ71と、所定の強度で発光する光源72と、を有する。光源72は、例えば、LED(発光ダイオード)光源である。光源72は、筐体部5の外部に設けられたスイッチ(図示なし)をユーザが操作することによって、点消灯することができる。光源72部の光は、コネクタ71を介してライトガイドファイバー23に供給される。
【0042】
図9における実線Pは、イメージガイドファイバー22の光軸上を進行する光の経路を示している。即ち、経路Pは、リレー光学系6において撮像対象の光学像がイメージガイドファイバー22からカメラ11に至るまでの光学像の経路を示している。経路Pにおいてファイバースコープ2側を上流、カメラ11側を下流とする。
【0043】
図9に示すように、リレー光学系6には、経路Pの上流から順に、入力部61と、フィルター部62と、フォーカス調整部63と、第1反射部材64及び第2反射部材65と、カメラレンズ111に接続される出力部66と、が配置されている。
図9の経路Pに示されるように、光学像は、カメラ11の光軸と直交する第1の方向からリレー光学系6に入力され、第1反射部材64によって光軸および第1方向と直交する第2方向へと進行方向を変化させ、第2反射部材65によって光軸と平行な方向に進行方向を変化させ、カメラレンズ111に到達する。以下、リレー光学系6の構成について詳しく説明する。
【0044】
入力部61は、イメージガイドファイバー22の末端が接続されるコネクタ611と、コネクタ611に保持されたリレーレンズ612と、を有する。コネクタ611には、イメージガイドファイバー22の末端が第1方向から接続される。即ち、イメージガイドファイバー22の光軸は第1方向と平行となる。第1方向はカメラ11の光軸と直交する方向であることから、イメージガイドファイバー22はタブレットPC1の後面の法線と直交する方向から接続されることとなる。
【0045】
図10は、入力部61にイメージガイドファイバー22が接続された状態を示す図である。
図10に示すように、リレーレンズ612は、イメージガイドファイバー22の末端が接続されたときに、イメージガイドファイバー22の光軸とリレーレンズ612の光軸とが一致するように配置されている。リレーレンズ612は、イメージガイドファイバー22の末端面221の倒立像を結像する。これにより、末端面221に表示された撮像対象物の光学像が反転する。
【0046】
フィルター部62は、光の特定波長を反射、吸収、透過等することで、光量や色調を調整する各種の光学フィルター623と、光学フィルター623を保持するフィルターホルダー621と、を有している。フィルターホルダー621には、
図6で示した筐体部5の外部に突出する摘み部622が設けられている。フィルターホルダー621は、筐体部5
の外部からユーザが摘み部622を操作することによって、光学フィルター623の位置を、経路P上と経路P外との間で移動させることができる。これにより、ユーザの手動操作による光学フィルター623のON/OFFの切り替えが可能となっている。なお、フィルター部62に用いられる光学フィルター623は、光学像のグレアを低減するための偏光フィルターや、赤外線をカットする赤外線カットフィルターや、R、G、Bの色光を分離して透過させる色分離フィルター等、種々のフィルターを選択することができる。
【0047】
フォーカス調整部63は、光学像のフォーカスを機械的に調整する光学部材である。フォーカス調整部63は、第1方向に平行となるように配置された内筒632と、内筒632の内部に設けられたフォーカスレンズ633と、内筒632をスライド可能に収容する外筒631と、を有している。フォーカスレンズ633は、光軸がリレーレンズ612の光軸と同軸となるように設けられている。また、外筒631の側面には、長手方向が外筒631の軸方向と一致する長穴が貫通している。また、
図6で示した筐体部5の操作面に形成された穴から挿通された固定ねじ634のねじ部が、長穴に挿通されて内筒632の側面に螺合している。
図6に示すように、固定ねじ634のねじ頭は、操作面の外部に露出していることから、ユーザは、固定ねじ634のねじ頭を摘んで内筒632を外筒631に対してスライドさせ、固定ねじ634を締めることによって、内筒632を外筒631に固定することができる。これにより、フォーカスレンズ633を任意の位置に調整可能となり、光学像のピントを調整することが可能となる。フォーカスレンズ633は、リレーレンズ612から伝送される光学像を反転させる。
【0048】
第1反射部材64と第2反射部材65は、光を反射可能な光学部材である。第1反射部材64と第2反射部材65は、本発明の「屈曲光学部材」に相当する。第1反射部材64は、光学像を反射することによって、光学像の進行方向を第1方向から第2方向へと変化させる。第1反射部材64は、略三角柱形状を有する直角プリズムである。第1反射部材64の軸方向における断面は、直角二等辺三角形を形成している。ここで、軸方向視において直交する2面をそれぞれ、第1入射面641、第1出射面とし、斜面を第1反射面643とする。第1反射部材64は、第1入射面641とフォーカスレンズ633の光軸とが直交するとともに、フォーカスレンズ633から出射される光が、第1入射面641に入射する向きで配置される。第1方向から第1入射面641に入射した光は、第1反射面643で全反射されることで第2方向へと進行方向を変化させて、第1出射面から出射される。これにより、光学像の進行方向が第1方向から第2方向へと変化する。このとき、光学像は、光が第1反射面643で反射されることによって像を反転させる。
【0049】
第2反射部材65は、光学像を反射することによって、光学像の進行方向を第2方向からカメラ11の光軸と平行な方向へと変化させる。第2反射部材65は、第1反射部材64と同様に、略三角柱形状を有する直角プリズムである。軸方向視において直交する2面をそれぞれ、第2入射面651、第2出射面652とし、斜面を第2反射面653とする。第2反射部材65は、カメラ11の光軸上に位置するとともに、第1反射部材64から出射される光が第2入射面651に直交する方向から入射するように配置される。第2方向から第2入射面651に入射した光は、第2反射面653で全反射されることでカメラ11の光軸と平行な方向へと進行方向を変化させ、第2出射面652から出射される。これにより、光学像の進行方向が第1方向から第2方向へと変化する。このとき、光学像は、光が第2反射面653に反射されることによって像を反転させる。
【0050】
出力部66は、筐体部5の取付平面51を貫通する筒である案内筒を有している。案内筒は、中心軸がカメラ11の光軸と一致するように設けられ、一部が筐体部5から突出して保持部10のレンズ穴373に挿入される。案内筒は、フォーカスレンズ633から伝送される光学像を、保持部10のレンズ穴373を介してカメラ11のカメラレンズ111に伝送する。また、出力部66は、第2反射部材65から伝送される光学像を所定の倍
率で拡大する接眼レンズを有していてもよい。
【0051】
以上のようなリレー光学系6において、イメージガイドファイバー22の末端面221における光学像は正立像であり、リレーレンズ612とフォーカスレンズ633と第1反射部材64と第2反射部材65とにおいて反転を繰り返し、最後には、正立像としてカメラ11に伝送される。
【0052】
[使用方法]
次に、本実施形態に係るスコープシステム100による撮像対象の撮像方法について説明する。
図11は、システムの組み立て方法を示す図である。まず、ユーザは、接続具200を、収容部3に光学ユニット20が固定され、収容部3と蓋部4とを分離した状態にする。この状態で、収容部3にタブレットPC1を収容し、蓋部4を収容部3に固定することによって、タブレットPC1に接続具200が装着される。そして、イメージガイドファイバー22の末端を光学ユニット20のコネクタ611に接続し、ライトガイドファイバー23の末端をコネクタ611に接続することで、接続具200にファイバースコープ2が接続される。これにより、
図1に示すスコープシステム100が組み立てられる。なお、スコープシステム100は、使用環境に応じてスタンド片55を
図8に示す展開姿勢にしてタブレットPC1を卓上等に起立させてもよいし、スタンド片55を
図6に示す当接姿勢のままにして光学ユニット30をグリップとして把持されてもよい。
【0053】
次に、
図1に示すように、イメージガイドファイバー22の先端に設けられた対物レンズ21を撮像対象に向けた状態で照明部7の光源72を発光させると、光源72からの光がライドガイドファイバーの先端から照射され、撮像対象に反射した光による光学像が対物レンズ21、イメージガイドファイバー22、リレー光学系6を介してカメラ11に伝送される。
【0054】
この状態で、ユーザによるタッチパネル13の指定操作によりカメラ11が起動していると、光学像がカメラレンズ111に取り込まれ、画像処理部によって電子画像に変換されることにより、
図1に示すように、撮像対象の電子画像がリアルタイムにディスプレイ12に表示される。これによりユーザは、ディスプレイ12に表示される電子画像を視認することで、撮像対象を観察することができる。また、タッチパネル13やホームボタン14のシャッター操作によって、任意のタイミングにおける静止画を記録することができる。
【0055】
なお、CPU151は、撮像素子112が捉えた像のコントラストに基づいてカメラレンズ111を可動させることにより、ピントの自動調整(オートフォーカス)を実行している。オートフォーカスによる電子画像のピント調整のみではピントの調整が不十分である場合は、
図6に示す固定ねじ634を操作してフォーカス調整部63のフォーカスレンズ633の位置を手動で調整することによってピントを調整してもよい。
【0056】
ここで、カメラ11が取得する電子画像は、撮像対象の光学像を表示したイメージガイドファイバー22の末端面221を撮像したものである。このようなスコープシステム100においては、イメージガイドファイバー22とリレーレンズ612の光軸ずれ等、光学部材同士の光軸ずれが生じる場合がある。その場合、
図12Aに示すように、イメージガイドファイバー22の末端面221が電子画像の中心Cからずれて表示され、それにより、電子画像内における撮像対象の光学像の位置が画像中心Cからずれて表示される可能性がある。本実施形態に係るシステムは、記憶部152に記憶された画像補正アプリケーションプログラム(以下、画像補正プログラム)を使用することによって、上述した光軸ずれによる電子画像のずれを補正してもよい。画像補正プログラムは、CPU151を、本発明の画像補正手段として機能させる。画像補正プログラムがユーザによるタッチパネ
ル13の指定操作によって起動されると、CPU151が画像補正プログラムに基づいて末端面221の中心位置がずれているか否かを判定する。この判定は、画像内のエッジ検出によって末端面221の中心位置を検出することによって行われる。末端面221の中心位置が画像中心Cからずれている場合は、画像中心Cに位置するように電子画像を補正する。これにより、
図12Bに示すように、撮像対象の光学像を画像中心Cに表示させることができる。
【0057】
また、照明部7は、タブレットPC1に備え付けられているライトを光源72として利用してもよい。その場合、照明部7は、直角プリズムや光ファイバー等の任意の光学部材を用いてライトから照射される光をライトガイドファイバー23に伝送する。
【0058】
[作用・効果]
以上のように、実施形態1に係る接続具200によれば、保持部10によってタブレットPC1を保持し、光学ユニット20によってイメージガイドファイバー22から出力される光学像をタブレットPC1のカメラに伝送することができる。これにより、タブレットPC1のカメラ11によって光学像を撮像し、のディスプレイ12に電子画像を表示することができる。その結果、ファイバースコープ専用のカメラやディスプレイを用意する必要がないため、スコープシステム100の携帯性を向上させることができる。
【0059】
ここで、上述したように、光ファイバーには許容曲げ半径が定められている。そのため、イメージガイドファイバー22をカメラ11の光軸と平行に、即ち、タブレットPC1の後面の法線方向と平行に光学ユニット20に接続すると、イメージガイドファイバー22を許容曲げ半径以下に曲げることができないことから、イメージガイドファイバー22が後面の法線方向に嵩張る可能性がある。
【0060】
一方で、実施形態1に係る光学ユニット20は、イメージガイドファイバー22がカメラ11の光軸と直交する方向から接続されるため、イメージガイドファイバー22をタブレットPC1の後面に沿う姿勢とすることができる。その結果、イメージガイドファイバー22がタブレットPC1の後面の法線方向に嵩張ることが抑制され、スコープシステム100の全体のサイズをコンパクトにすることできる。
【0061】
また、リレー光学系6は、第1反射部材64によって光学像の進行方向を第1方向から第2方向に変更させ、第2反射部材65によって光学像の進行方向を第2方向からカメラ11の光軸方向に変更させることによって、カメラ11に光学像を伝送する。即ち、リレー光学系6は、第1反射部材64と第2反射部材65の配置によって、光学像の進行方向を上下左右に自在に制御することができる。これによれば、光学ユニット20に設けられた光学部材のレイアウトの自由度を向上させることができる。その結果、光学ユニット20のサイズをよりコンパクトにすることが可能となる。なお、第1方向と第2方向は、必ずしも直交しなくてもよい。
【0062】
また、実施形態1に係る光学ユニット20は、リレー光学系6においてイメージガイドファイバー22から出力される光学像を正立像としてカメラ11に伝送することができる。その結果、正立像を得るためにタブレットPC1によって電子画像を反転処理する必要がない。
【0063】
ここで、リレー光学系6において光学像が反転する回数をNとすると、Nはカメラ11に伝送される光学像が正立像となる数であればよい。例えば、イメージガイドファイバー22から出力される光学像が正立像である場合は、Nを偶数とすることで、正立像を出力することができる。反対に、イメージガイドファイバー22から出力される光学像が倒立像である場合は、Nを奇数とすればよい。これにより、撮像対象の光学像を正立像として
カメラ11で撮像することができる。Nの大きさは、反射部材の数量を変える等して反射回数を変化させることによって調節することができる。
【0064】
なお、第1反射部材64および第2反射部材65は、例えば、表面に形成された金属膜によって光学像を反射する平面ミラーや、ビームスプリッタであってもよい。
【0065】
また、実施形態1に係るスコープシステム100は、タブレットPC1の制御装置15によって画像内における光学像の位置を補正することができるため、光学ユニット20に別途、光軸を調整する機構を設ける必要がなく、光学ユニット20をコンパクトにすることできる。その結果、スコープシステム100の携帯性が向上している。
【0066】
また、画像補正プログラムは、観察中における光学像の向きを一定に保つように電子画像を回転補正してもよい。具体的には、CPU151は、画像補正プログラムに基づいて、撮像対象の観察中に電子画像内の光学像が回転したことを検出すると、電子画像を回転させて光学像の向きを補正する。これにより、撮像対象の観察中にイメージガイドファイバー22が光軸回りに回転しても、画像内の光学像の天地を一定に保つことができる。
【0067】
なお、画像補正プログラムは、上述した位置補正や回転補正の他にも、イメージガイドファイバー22を構成する各光ファイバーのクラッドが表示されることによる電子画像のノイズを除去するノイズ除去補正を行ってもよい。画像補正プログラムは、シャッター操作によって静止画を取得するときのみ、ノイズ除去補正を実行してもよい。観察時にはノイズ除去補正を実行しないことによって、CPU151の処理負担を軽減することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る接続具200は、保持部10と光学ユニット20とが互いに着脱可能な別体として構成されているが、保持部10と光学ユニット20は一体成形されていてもよい。
【0069】
[変形例1]
図13A,13Bは、変形例1に係る保持部10Aを示す図である。変形例に係る保持部10Aは、蓋部4Aに形成された窓部41Aが広く形成されている。窓部41Aは、タブレットPC1の前面の下縁付近のみに当接するように形成されている。また、収容部3の後壁面32の上縁付近には、断面が略コ形状のフック片7Aがヒンジ接続されている。フック片7Aは、
図13Aに示す上壁面33から離れた離間姿勢と
図13Bに示す上壁面33に当接する係合姿勢との間で姿勢を変化可能となっており、係合姿勢の状態で、タブレットPC1の前面における上縁付近に当接するように形成されている。この保持部10Aにおいては、フック片7Aを離間姿勢にしてタブレットPC1を収容ポケット37に収容してからフック片7Aを係合姿勢とすることによって、タブレットPC1の前面の下縁付近が蓋部4によって抑えられ、上縁付近がフック片7Aによって抑えられる。これにより、収容されたタブレットPC1の脱落が抑制される。
【0070】
[変形例2]
図14A,14Bは、変形例2に係る保持部10Bを示す図である。
図14A,Bに示すように、保持部10Bの収容部3Bと蓋部4Bとがヒンジ接続されて蓋部4Bを開閉可能としてもよい。変形例に係る収容部3Bは、前壁面31の下縁に蓋部4Bの下縁がヒンジ接続されている。これにより、蓋部4Bは、
図14Aに示す前壁面31から離れた開姿勢と、
図14Bに示す前壁面31を覆う閉姿勢との間で姿勢を変化可能となっている。また、収容部3Bの後壁面32の上縁付近には、断面が略半円状のフック片7Bがヒンジ接続されている。フック片7Bは、蓋部4Bが閉姿勢の状態で蓋部4Bの上縁と係合することで、蓋部4Bの閉姿勢を維持する。これにより、収容されたタブレットPC1の脱落が
抑制される。
【0071】
[変形例3]
図15は、変形例3に係るスコープシステム100Cのブロック図である。一般に、ファイバースコープ2は、人体に用いられることから、使用回数の上限(以下、許容使用回数)が設定されている。
図15に示すように、変形例3に係る接続具200Cの光学ユニット20Cは、イメージガイドファイバー22の末端に設けられた識別素子25を認識する識別素子認識部8と、識別素子25から読み取った識別情報をタブレットPC1に送信する通信部9と、を有する。識別素子25には、そのファイバースコープ2に固有のID(識別情報)が記録されている。識別素子25は、例えば、RFID(radio frequency identifier)タグであり、識別素子認識部8は、例えば、RFIDタグを検出可能なRFIDリーダである。識別素子認識部8は、イメージガイドファイバー22がコネクタ611に接続されるとRFIDタグを検出する。タブレットPC1の制御装置15は、プログラムに基づいて通信部9と無線通信を実行することで、識別素子認識部8が取得した識別情報を取得する。制御装置15と通信部9の無線通信は、例えば、IEEE802.11規格に準拠したものである。制御装置15のCPU151は、取得した識別情報と当該識別情報を取得した回数に基づいて、当該ファイバースコープ2が使用された回数を算出する。CPU151は、当該ファイバースコープ2が使用された回数が許容使用回数を超えた場合、ディゼーブル(使用不可)であることをディスプレイ12に表示させる。
【0072】
<実施形態2>
図16Aは、実施形態2に係る光学ユニット30とファイバースコープ2Dのイメージガイドファイバー22Dとの接続部分を示す図である。実施形態2では、2つのボールレンズによってタブレットPC1とファイバースコープ2Dとを光学的に接続する。
【0073】
実施形態2で用いられるボールレンズは、球形状を有し、焦点位置から出射される光をコリメイトする機能を有する。また、ボールレンズは、曲率半径が小さいため、同径の非球体レンズと比較して焦点距離が短いという特徴を有する。2つのボールレンズは、それぞれ、光学ユニット30に設けられた第1ボールレンズ301と、イメージガイドファイバー22Dの末端に設けられた第2ボールレンズ220である。
【0074】
実施形態2に係る光学ユニット30は、保持部10に設けられる連結筒302と、連結筒302の内部に配置される第1ボールレンズ301と、を有する。連結筒302は、保持部10のレンズ穴373と同軸となるように設けられている。第1ボールレンズ301は、光軸がカメラ11の光軸と一致するように設けられている。連結筒302は、本発明の「連結部材」に相当する。
【0075】
第2ボールレンズ220は、光軸がイメージガイドファイバー22Dの光軸と一致するとともに中心位置とイメージガイドファイバー22Dの末端との距離が焦点距離となるように設けられている。このようなイメージガイドファイバー22Dと光学ユニット30との接続は、イメージガイドファイバー22Dの末端を連結筒302に挿入することによってなされる。
【0076】
図16Aに示すように、イメージガイドファイバー22Dと光学ユニット30とが接続された状態では、第1ボールレンズ301の光軸と第2ボールレンズ220の光軸が一致し、イメージガイドファイバー22Dの末端面221からの光線が第2ボールレンズ220にコリメイトされて第1ボールレンズ301に入射することで、カメラレンズ111に光学像が伝送される。
【0077】
ここで、
図16Bは、比較例に係る光学ユニット30Eとファイバースコープ2Eのイ
メージガイドファイバー22Eとの接続部分を示す図である。比較例では、第1ボールレンズ301と第2ボールレンズ220に代えて、第1非球体レンズ301Eと第2非球体レンズ220Eとが設けられている。第1非球体レンズ301Eと第2非球体レンズ220Eは、非球形状を有する一般的な対物レンズである。第1非球体レンズ301Eと第2非球体レンズ220Eの焦点距離は、第1ボールレンズ301と第2ボールレンズ220の焦点距離よりも長い。そのため、
図16Bに示すように、連結筒302Eは、連結筒302よりも長くなる。即ち、光学ユニット30Eとイメージガイドファイバー22Eとの接続部分は、光学ユニット30とイメージガイドファイバー22Dとの接続部分よりもカメラ11の光軸方向に長尺となる。
【0078】
以上のように、実施形態2に係る光学ユニット30によれば、第1非球体レンズ301Eと第2非球体レンズ220Eよりも焦点距離の短い第1ボールレンズ301と第2ボールレンズ220を用いることによって、光学ユニットとイメージガイドファイバーとの接続部分を比較例よりも短く形成することができる。その結果、光学ユニット30をコンパクトにすることでき、スコープシステム100の携帯性を更に向上させることができる。更に、ボールレンズは球体であることから、ボールレンズが傾くことによる光軸の傾きが抑制される。その結果、通常の対物レンズを用いるよりもレンズの保持機構を簡素に構成することができ、保持機構における設計上の許容差を大きくすることができる。
【0079】
なお、実施形態2では、2つのボールレンズによってタブレットPC1とファイバースコープ2Dとを光学的に接続したが、本発明は上述した態様に限定されない。
図16Cの変形例に示されるように、ボールレンズは、光学ユニット側のみに設けられていてもよい。
図16Cでは、光学ユニット30側に設けられた第1ボールレンズ301と、イメージガイドファイバー22E側に設けられた第2非球体レンズ220Eとによって光学ユニット30とイメージガイドファイバー22Eとを光学的に接続している。こうすることによっても、一般的な対物レンズを2つ用いて接続する比較例よりも、光学ユニット30をコンパクトに構成することができる。
【0080】
なお、第2ボールレンズ220は、実施形態1における入力部61のコネクタ611内に、リレーレンズ612に代えて配置されていてもよい。
【0081】
<その他>
上述の実施形態及び変形例に記載した内容は、可能な限り組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・カメラ付きタブレット型パソコン
11・・・カメラ
12・・・ディスプレイ
13・・・タッチパネル
14・・・ホームボタン
15・・・制御装置
2・・・ファイバースコープ
21・・・対物レンズ
22・・・イメージガイドファイバー
23・・・ライトガイドファイバー
3・・・収容部
4・・・蓋部
5・・・筐体部
6・・・リレー光学系
61・・・入力部
62・・・フィルター部
63・・・フォーカス調整部
64・・・第1反射部材
65・・・第2反射部材
66・・・出力部
67・・・照明部
10・・・保持部
20・・・光学ユニット
100・・・ファイバースコープシステム
200・・・ファイバースコープ接続具
301・・・第1ボールレンズ
220・・・第2ボールレンズ