(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ワークの搬送装置
(51)【国際特許分類】
B25J 5/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
B25J5/02 B
(21)【出願番号】P 2022008155
(22)【出願日】2022-01-21
【審査請求日】2022-09-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592063397
【氏名又は名称】技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】前波 将
(72)【発明者】
【氏名】橋本 功喜
(72)【発明者】
【氏名】松崎 太郎
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-312385(JP,A)
【文献】特開平01-193138(JP,A)
【文献】特開平06-039774(JP,A)
【文献】特開2013-111718(JP,A)
【文献】実開昭57-166639(JP,U)
【文献】特開2016-107380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 57/00 - 57/32
60/00 - 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、該ガイドレールに沿って往復走行するキャリヤと、該キャリヤに搭載する多関節形のロボットアームとを備えてなり、前記キャリヤは、
該キャリヤの走行方向に直交する方向の片側に突出
させた取付面を
、該走行方向に沿った前後方向に一対設けており、前記ロボットアームは、第1軸フレームを前記
各取付面に回転自在に装着
する前後一対を設け、前記第1軸フレームの回転中心軸を前記ガイドレールと平行にすることを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項2】
前記キャリヤには、該キャリヤを前記ガイドレール上の所定位置に固定する可動ストッパを設けることを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
前記キャリヤには、前記第1軸フレームを0°位置にロックする可動ブロックを設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
前記キャリヤには、前記第1軸フレームの回転角度範囲を規制する固定ブロックを設けることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載のワークの搬送装置。
【請求項5】
前記ロボットアームは、前記ガイドレールの下方に突出しないように折畳み可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載のワークの搬送装置。
【請求項6】
ガイドレールと、該ガイドレールに沿って往復走行するキャリヤと、該キャリヤに搭載する多関節形のロボットアームとを備えてなり、
前記キャリヤは、
該キャリヤの走行方向に直交する方向の片側に突出させた取付面を、該走行方向に沿った前後方向に一対設けており、前記取付面
は、前記キャリヤの片側に突出する箱体の前面側、後面側にそれぞれ形成され、前記ロボットアームは、
該ロボットアームの第1アームを揺動自在に連結する第1軸フレームをいずれか一方の前
記取付面に
回転自在に装着
し、前記第1軸フレームの回転中心軸を前記ガイドレールと平行にすることを特徴とす
るワークの搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば任意のワークを加工機に搬出入して自動加工ラインを構築することができるワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多関節形のロボットアームをガイドレール上のキャリヤに搭載し、キャリヤを移動させることにより、エンドエフェクタを介してロボットアームに把持するワークを搬送するワークの搬送装置が実用されている。
【0003】
従来のワークの搬送装置は、ガイドレール1上のキャリヤ2の上面にロボットアーム3を上向きに搭載する地上走行形(
図12(A))と、ガイドレール1上のキャリヤ2の下面からロボットアーム3を下向きに吊下する天吊り形(同図(B))とに大別される(たとえば特許文献1、2)。前者のガイドレール1は、短い支柱1a、1aを介して地上に近い低い位置に設置され、後者のガイドレール1は、長い支柱1b、1bを介し、たとえば頭上レベル以上の十分高い位置に設置されるのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-212013号公報
【文献】特開2009-12135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術の前者によるときは、ガイドレール1が地上近くに設置されるため、ガイドレール1を横切る方向の人の動線が完全に遮断されてしまうという問題があった。後者によるときは、ロボットアーム3がガイドレール1から下方に垂下して移動するため、ガイドレール1の下方の安全性を確保できず、ガイドレール1の全長に亘って、ガイドレール1を横切る方向の人の動線が確保できないという問題があった。また、このようにして人の動線が制約されると、機械設備の保守点検に支障を来たしたり、工場レイアウトに不必要な制約を生じたりすることが少なくない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、ガイドレール上のキャリヤに対するロボットアームの装着態様を工夫することによって、ガイドレールを横切る方向に人の動線を確保することができるワークの搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、ガイドレールと、ガイドレールに沿って往復走行するキャリヤと、キャリヤに搭載する多関節形のロボットアームとを備えてなり、キャリヤは、キャリヤの走行方向に直交する方向の片側に突出させた取付面を、走行方向に沿った前後方向に一対設けており、ロボットアームは、第1軸フレームを各取付面に回転自在に装着する前後一対を設け、第1軸フレームの回転中心軸をガイドレールと平行にすることをその要旨とする。
【0008】
なお、キャリヤには、キャリヤをガイドレール上の所定位置に固定する可動ストッパを設けることができる。
【0009】
また、キャリヤには、第1軸フレームを0°位置にロックする可動ブロックを設けてもよく、第1軸フレームの回転角度範囲を規制する固定ブロックを設けてもよい。さらに、ロボットアームは、ガイドレールの下方に突出しないように折畳み可能としてもよい。
【0010】
請求項6の発明の構成は、ガイドレールと、ガイドレールに沿って往復走行するキャリヤと、キャリヤに搭載する多関節形のロボットアームとを備えてなり、キャリヤは、キャリヤの走行方向に直交する方向の片側に突出させた取付面を、走行方向に沿った前後方向に一対設けており、取付面は、キャリヤの片側に突出する箱体の前面側、後面側にそれぞれ形成され、ロボットアームは、ロボットアームの第1アームを揺動自在に連結する第1軸フレームをいずれか一方の取付面に回転自在に装着し、第1軸フレームの回転中心軸をガイドレールと平行にすることをその要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
かかる発明の構成によるときは、多関節形のロボットアームは、キャリヤの走行方向に垂直にキャリヤの片側に突出する取付面に対し、第1軸フレームを回転自在に装着するとともに、第1軸フレームの回転中心軸がガイドレールと平行に設定されている。そこで、ロボットアームは、その全体をガイドレールの下面より高くなるように折り畳み、キャリヤを介してガイドレールに沿って移動させることにより、ガイドレールの下方の安全性を確保でき、ガイドレールを横切る方向、すなわちガイドレールの下を通過する方向の人の動線を確保することができる。なお、ロボットアームは、ワークのピッキング動作やストック動作、加工機への搬出入動作などの際には、ガイドレールの下方に伸展させる必要があるが、これらの各動作位置は、ガイドレールの長さ方向の特定範囲に限られており、人の動線から除外することができる。また、ロボットアームは、たとえば6軸の垂直多関節形であって、ワークに適合するエンドエフェクタ(ロボットハンド)を先端に装着して作動させる。
【0012】
キャリヤに設ける可動ストッパは、キャリヤをガイドレール上の所定位置に固定し、たとえばロボットアームを伸展して加工前のワークをパレットから取り出すピッキング動作や、加工済みのワークをストッカにストックするストック動作の際などにおいて、ロボットアームを作動させるときの安全性を向上させることができる。
【0013】
キャリヤに設ける可動ブロックは、ロボットアームの第1軸フレームを0°位置にロックしてロボットアームの自由度を制限することにより、たとえば狭小な開口部を介して加工機にワークを搬出入する際などにおいて、キャリヤを移動させながらロボットアームを作動させるときの安全性を向上させることができる。ただし、0°位置とは、ロボットアームがガイドレールと平行な鉛直平面に沿って動作するときの第1軸フレームの回転角度位置をいう。
【0014】
キャリヤに設ける固定ブロックは、ロボットアームの第1軸フレームの回転角度範囲を規制し、ロボットアームがガイドレールなどの他の部材と不用意に干渉するおそれを排除するとともに、たとえばワークのピッキング動作やストック動作などの際に、ロボットアームの必要な可動範囲を安全に確保することができる。
【0015】
ロボットアームは、ガイドレールの下方に突出しないように、すなわちガイドレールの下面より高くなるように折り畳むことにより、ガイドレールの下方の安全性を確保して人の動線を妨げるおそれがない。
【0016】
キャリヤの前後一対の取付面にそれぞれ装着する前後一対のロボットアームは、それぞれ単独で動作させる他、両者を協働動作させることにより、長物、箱物などの多様なワークを一層安定に把持して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0019】
ワークの搬送装置は、ガイドレール10、キャリヤ20、前後一対のロボットアーム30、30を備えてなる(
図1)。ただし、
図1(A)~(C)は、それぞれ全体正面図、左側面図、右側面図である。なお、以下の説明において、ガイドレール10に平行な方向を前後方向とし、ガイドレール10に直交する方向を左右方向とする。
【0020】
ガイドレール10は、角筒状のレール本体11と、レール本体11の上面、下面にそれぞれ上向き、下向きに突設する板状のレール片12、13と、レール本体11の両端を支持する支柱14、14とを備えて構成されている。各支柱14の下端には、ベース材14aが付設されている。
【0021】
キャリヤ20は、角筒状の主材21と、主材21と一体の箱体22と、前後一対の上のローラ枠23、23と、下のローラ枠24とを備えて構成されている(
図2、
図3)。
【0022】
主材21は、ガイドレール10の上方を横切り、ガイドレール10の片側に突出するようにして配置されており、箱体22は、主材21の先端側の下面に旗状に形成されている。上のローラ枠23、23は、補助枠23a、23aを介して主材21の基部の両側面にそれぞれ前向き、後向きに装着されている(
図3、
図4(A))。各ローラ枠23には、ガイドレール10の上のレール片12の上端面に沿って垂直回転する支持ローラ23bと、レール片12を挟み込んで水平回転する大小のガイドローラ23c、23dとが組み付けられている。
【0023】
下のローラ枠24は、補助枠24aを介して箱体22の下面に連結されている(
図2、
図3)。下のローラ枠24の前後両端部には、それぞれガイドレール10の下のレール片13を挟み込んで水平回転する大小のガイドローラ24b、24cが組み付けられている。
【0024】
上のローラ枠23用の一方の補助枠23aには、キャリヤ20の走行用のモータ25が下向きに搭載されている。モータ25の軸端には、ピニオン25aが固定され、ピニオン25aは、上のレール片12の基部に固定するラック25bに噛合している。そこで、モータ25を正逆に回転駆動すると、キャリヤ20をガイドレール10に沿って往復走行させることができる。なお、キャリヤ20の垂直荷重は、前後の支持ローラ23b、23bによって支持され、主材21、箱体22がキャリヤ20の片側に突出して生じる回転モーメントによる水平荷重は、前後の各上下の大径のガイドローラ23c、23c、24b、24bによって支持されている。
【0025】
モータ25を搭載する補助枠23aには、可動ストッパ26が併せて搭載されている(
図3、
図4(A))。可動ストッパ26は、補助枠23aを上下に貫通するガイドスリーブ26c内を昇降する摺動ピンであり、上端が下向きのソレノイド26aに連結されている。可動ストッパ26は、ソレノイド26aを介して上昇させると、ガイドレール10のレール本体11上に設置する係合ブロック26d、26dから離れ、キャリヤ20をガイドレール10に沿って走行自在に解放することができ、ソレノイド26aを介して下降させると(
図4(B))、下端が係合ブロック26d、26dに係合してキャリヤ20をガイドレール10上の所定位置に固定することができる。
【0026】
箱体22の前面側、後面側には、それぞれロボットアーム30用の取付面22aが形成されている(
図2、
図3)。各取付面22aは、ガイドレール10に沿うキャリヤ20の走行方向に垂直に、キャリヤ20の片側に突出するようにして主材21の前後の側面と一体に形成されている。各ロボットアーム30の第1軸フレーム31は、取付面22aに設置する図示しないロボットベースを介し、取付面22aに回転自在に装着されている。なお、第1軸フレーム31の回転中心軸C1 は、水平面内においてガイドレール10と平行である。各ロボットアーム30は、回転中心軸C1 ~C6 を有する6軸の垂直多関節形であり、互いに背向する同一仕様の前後一対が取付面22a、22aに装着されている。
【0027】
取付面22a、22aには、それぞれ固定ブロック27a、27bが設置されている(
図3、
図5(A))。固定ブロック27a、27bは、ロボットアーム30の第1軸フレーム31の外周に沿う円弧状に形成されており、第1軸フレーム31の下半部の両側に配置されている。また、第1軸フレーム31には、0°位置Po に合わせて、回転中心軸C1 の直下に係合ピン27cが付設されている(
図2、
図5(A))。そこで、固定ブロック27a、27bは、それぞれ第1軸フレーム31の下半部がガイドレール10に近付く方向、遠去かる方向に回転するとき、係合ピン27cと係合してそれぞれの方向の回転角度範囲δ1 、δ2 を規制し、第1軸フレーム31の全体としての回転角度範囲δ=δ1 +δ2 を規制することができる。
【0028】
取付面22a、22aの下部には、それぞれ凹字状の可動ブロック28が昇降自在に組み付けられている。可動ブロック28は、ソレノイド28aを介し、摺動ガイド28bに沿って昇降駆動することができ、第1軸フレーム31が0°位置Po にあるときに上昇させると、係合ピン27cに下側から係合して第1軸フレーム31を0°位置Po にロックすることができ、下降させると(
図5(B))、係合ピン27cとの係合が外れて、第1軸フレーム31のロックを解放することができる。
【0029】
ガイドレール10、キャリヤ20、ロボットアーム30、30の形態を模式的に示すと、
図6のとおりである。
【0030】
ワークの搬送装置は、ロボットアーム30、30をガイドレール10の下方に突出しないように折り畳んだ上、キャリヤ20をガイドレール10に沿って前後に往復走行させることができる(
図1)。すなわち、たとえば人の頭上レベル以上にガイドレール10を設置すれば、各ロボットアーム30を下方に伸展してワークのピッキング動作、ストック動作、加工機への搬出入動作などを実行する特定位置以外の全部について、ガイドレール10の下部空間の安全性を保ち、ガイドレール10を横切る方向の人の動線を確保することができる。なお、キャリヤ20を移動走行させるとき、ロボットアーム30、30は、それぞれ可動ブロック28を介して第1軸フレーム31を0°位置Po にロックし(
図5(A))、キャリヤ20は、可動ストッパ26を上昇させて走行自在に解放するものとする(
図4(A))。
【0031】
ワークの搬送装置を利用する自動加工ラインの基本レイアウトの一例を
図7(A)に示す。なお、
図7(A)において、ガイドレール10は、所定長さごとにユニット化されており、複数の支柱14、14…を介して床F上に設置されている。また、ガイドレール10の両端には、キャリヤ20用の止め部材15、15が立設され、ガイドレール10、ロボットアーム30、30の下側には、ガイドレール10の全長に亘りオイルパン16が付設されている。なお、以降の説明、図面において、ロボットアーム30によりワークWを把持するためのエンドエフェクタについては、その説明、図示が省略されている。
【0032】
ガイドレール10の上流側(後方側)には、加工前のワークW、W…をランダムに投入するかご形のパレット51が台座51a上に設置され、ワークWのピッキング領域R1 が設定されている。ピッキング領域R1 の上方には、ロボットアーム30によるワークWのバラ積みピッキング動作を実現するために、3Dカメラ51bが設置されている。
【0033】
ガイドレール10の中流側には、ワークWを加工する加工機52が設置されており、ロボットアーム30、30による加工前のワークWの搬入動作、加工済みのワークWの搬出動作のために、ワークWの搬出入領域R2 が設定されている。ただし、加工機52は、複数台を直列配置することにより、複数の加工段階を経てワークWを加工してもよく、そのときのワークWは、ロボットアーム30、30により加工機ごとに順に搬出入動作を実行するものとする。
【0034】
ガイドレール10の下流側(前方側)には、加工済みのワークW、W…をストックするワークスタンド53が設置され、ロボットアーム30によるワークWのストック動作のために、ワークWのストック領域R3 が設定されている。
【0035】
なお、オイルパン16の底面には、ピッキング領域R1 、搬出入領域R2 、ストック領域R3 に対応させて、ロボットアーム30、30を動作させるために、図示しない開口部が形成されている。また、各ロボットアーム30は、上方に折り畳むと、エンドエフェクタを介して把持するワークWをオイルパン16の底面より高く引き上げて保持することができる。
【0036】
自動加工ラインの概略動作は、たとえば次のとおりである。
【0037】
まず、キャリヤ20をピッキング領域R1 の直近下流側の所定位置に移動し、可動ストッパ26を介して固定する(
図7(A))。また、上流側のロボットアーム30用の可動ブロック28を操作して、第1軸フレーム31のロックを解放し(
図5(B))、固定ブロック27a、27bにより第1軸フレーム31が回転角度範囲δ=δ1 +δ2 内に回転可能とする。
【0038】
次に、上流側のロボットアーム30を下方に伸展して(
図7(B))、パレット51内の加工前のワークWをバラ積みピッキングして取り出す。すなわち、ロボットアーム30が加工前のワークWを把持したら、そのままロボットアーム30を上方に折り畳み、可動ブロック28により第1軸フレーム31を0°位置Po にロックするとともに(
図5(A))、可動ストッパ26によりキャリヤ20を解放する(
図4(A))。
【0039】
つづいて、キャリヤ20を加工機52の上方の搬出入領域R2 の直近上流側にまで移動して、下流側のロボットアーム30を加工機52内に伸展し(
図8(A))、加工機52内の加工済みのワークWを把持させる。その後、下流側のロボットアーム30を上方に折り畳むことにより加工済みのワークWを加工機52から搬出すると、キャリヤ20を搬出入領域R2 の直近下流側に移動して上流側のロボットアーム30を下方に伸展し(
図8(B))、加工前のワークWを加工機52に搬入する。
【0040】
その後、上流側のロボットアーム30を上方に折り畳み、キャリヤ20をワークスタンド53に対応するストック領域R3 の直近上流側に移動させて所定位置に固定するとともに第1軸フレーム31のロックを解放し、下流側のロボットアーム30を下方に伸展させて(
図9(A))、把持中の加工済みのワークWをワークスタンド53の所定位置に収納する。つづいて、下流側のロボットアーム30を上方に折り畳み、第1軸フレーム31をロックするとともにキャリヤ20の固定を解除してキャリヤ20を元のピッキング領域R1 の直近下流側にまで戻した上(
図9(B))、
図7(A)以下の動作を繰り返せばよい。
【0041】
上流側のロボットアーム30による加工前のワークWのピッキング動作は、可動ストッパ26を介してキャリヤ20を所定位置に固定するとともに(
図10(A))、可動ブロック28によるロックを解放して第1軸フレーム31を回転角度範囲δ=δ1 +δ2 に回転可能とすることにより、ロボットアーム30の可動範囲Mをガイドレール10の上下方向だけでなく、ガイドレール10の直交方向にも拡大し(同図(B))、パレット51内にバラ積みされるワークWのピッキング動作に容易に対応させることができる。なお、固定ブロック27a、27bによる第1軸フレーム31の回転角度範囲δは、たとえばδ1 =10°、δ2 =25°、δ=35°に設定することができる。また、以上のピッキング動作の動作内容は、下流側のロボットアーム30による加工済みのワークWのストック動作に対し、そのまま準用することができる。
【0042】
一方、上流側のロボットアーム30により加工前のワークWを加工機52に搬入するときは、キャリヤ20を所定位置に移動するとともに(
図11(A))、可動ブロック28を介して第1軸フレーム31を0°位置Po にロックしたままロボットアーム30を加工機52のアクセス用の開口部52a内に伸展させる。このとき、ロボットアーム30の先端が開口部52a内に垂直に下降するように(
図11(A)、(B)の各矢印K1 方向)、ロボットアーム30を下降させながらキャリヤ20を上流側に適切な速度で移動させることにより(
図11(A)の矢印K2 方向)、加工機52に設ける開口部52aのサイズS=S1 ・S2 を必要最小に抑えることができる。ただし、S1 、S2 は、それぞれ開口部52aの幅、奥行である。なお、ロボットアーム30は、
図11(A)の図示に拘らず、加工機52や開口部52aとの干渉を生じさせないものとする。
【0043】
加工前のワークWを加工機52に搬入したら、ロボットアーム30の先端を上方に引き上げながらキャリヤ20を下流側に移動させて(
図11(A)、(B)の矢印K1 、K1 、K2 方向の各反対方向)、ロボットアーム30を上方に折り畳む。ただし、
図11(A)において、搬出入領域R2 は、加工機52に設けるアクセス用の開口部52aの幅S1 と同一に設定されている。
【0044】
なお、下流側のロボットアーム30により加工済みのワークWを加工機52から搬出するときも、同様にして、ロボットアーム30、キャリヤ20を協働動作させることができる。
【0045】
以上の説明において、ロボットアーム30、30は、前後一対のいずれか一方のみをキャリヤ20に搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、ガイドレールに沿って往復走行するキャリヤの片側において、第1軸フレームの回転中心軸がガイドレールと平行になるようにして多関節形のロボットアームをキャリヤに搭載することによって、ガイドレールを横切る方向、すなわちガイドレールの下を通過する方向に人の動線を確保することができ、任意のワークの加工処理ラインを構築するときなどに広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
C1 …回転中心軸
Po …0°位置
δ、δ1 、δ2 …回転角度範囲
10…ガイドレール
20…キャリヤ
22a…取付面
26…可動ストッパ
27a、27b…固定ブロック
28…可動ブロック
30…ロボットアーム
31…第1軸フレーム
特許出願人 技研株式会社
【要約】
【課題】ガイドレール10を横切る方向に人の動線を確保する。
【解決手段】ガイドレール10と、ガイドレール10に沿って往復走行するキャリヤ20と、キャリヤ20に搭載する多関節形のロボットアーム30、30とを設ける。
【選択図】
図1