(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ハニカム体、およびハニカム体を含むパティキュレートフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 39/20 20060101AFI20221205BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20221205BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20221205BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01D46/00 302
F01N3/022 C
F01N3/24 E
(21)【出願番号】P 2020544354
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 US2018058525
(87)【国際公開番号】W WO2019089806
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ダグラス モンロー
(72)【発明者】
【氏名】ボーガー,トルステン ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブックバインダー,ダナ クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】グラッソン,トーマス ジャン
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ,デール ロバート
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエングオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホイチン
(72)【発明者】
【氏名】シン,シンフォン
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/075328(WO,A1)
【文献】特表2018-533471(JP,A)
【文献】国際公開第2003/086579(WO,A1)
【文献】特表2012-501286(JP,A)
【文献】特開2005-296935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/00-39/20
B01D46/00-46/90
B01D61/00-71/82
F01N3/02-3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm
3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記
パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子が300nmのメジアン粒径
と、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm
3
のすす粒子濃度とを有し、
前記濾過材堆積物は、熱焼結または融着により前記ベース壁部分に結合されている、
パティキュレートフィルタ。
【請求項2】
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、請求項1記載のパティキュレートフィルタ。
【請求項3】
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、請求項2記載のパティキュレートフィルタ。
【請求項4】
前記濾過材堆積物が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【請求項5】
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【請求項6】
前記濾過材堆積物が、90%超の多孔度を有する濾過材堆積物をもたらすように、前記ベース壁部分上に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【請求項7】
前記濾過材堆積物が、アルミナ及びシリカを含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年10月31日に出願された米国特許仮出願第62/579601号および2018年8月31日に出願された米国特許仮出願第62/725978号の優先権の利益を主張するものであり、それらの内容に依拠し、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、ハニカム体と、ハニカム体を含むパティキュレートフィルタと、かかるハニカム体およびパティキュレートフィルタの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
セラミックウォールフローフィルタは、流体状の排気流から、例えば燃焼機関の排気から微粒子を除去するために用いられる。例としては、ディーゼルエンジン排気ガスから微粒子を除去するために使用されるセラミックスートフィルタ、およびガソリンエンジン排気ガスからの微粒子を除去するために使用されるガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)が挙げられる。ウォールフローフィルタの場合、濾過すべき排ガスは、入口のセルに入り、セル壁を通過し、出口チャネルを介してフィルタから出て、微粒子は、ガスが横切ってフィルタを出たら、入口のセル壁上またはその内部で捕捉される。これらの微粒子は、すすおよび/または灰から構成され得る。灰および/またはすすは、一般的に、エンジン排気ガスに長時間曝された後にフィルタ内部に蓄積され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、ハニカム体およびパティキュレートフィルタなどのセラミック物品、それらの製造方法および使用に関する。幾つかの実施形態において、パティキュレートフィルタは、壁表面を含む多孔質壁の多孔質セラミックハニカム構造体から構成されるハニカム体を含み、壁表面は、濾過材堆積物を含み、かつ複数の内部チャネル(チャネル)を画定する。多孔質壁は、多孔質ベース壁と、1つ以上のベース壁上に配置された濾過材堆積物とから構成され、多孔質壁は、チャネルを形成する。濾過材堆積物は、1つ以上の無機材料、例えば、1つ以上のセラミックまたは耐火性材料から構成されている。濾過材堆積物は、ハニカム体による濾過効率を向上させるように壁上に配置されている。幾つかの実施形態において、例えば、ハニカム体が、ハニカム体の内部に存在する灰またはすすの蓄積を有しないか、または実質的に有しない場合、例えば、ハニカム体が、新しいか、またはすべてもしくは実質的にすべての灰および/もしくはすすを除去すべく再生されている場合、クリーンな状態または再生された状態のハニカム体を使用すると、少なくとも濾過効率は向上する。一般的に、エンジン排気ガスに長時間曝された後、例えば、フィルタとしてハニカム体が長時間使用された後、ハニカム体のチャネル内部では、かなりの灰および/またはすすが蓄積され得る。1つ以上の実施形態において、濾過材堆積物は、耐久性があり、例えば、パティキュレートフィルタを通過する高ガスまたは空気流に対する耐性などの耐久性を有し、濾過性能の低下がほとんどないかまったくない。
【0005】
1つ以上の実施形態において、濾過材堆積物は、ハニカム構造体の1つ以上の壁の表面に、実質的に全体に存在するか、または全体にさえ存在する。したがって、幾つかの実施形態において、チャネルに面し、そのためこれを画定する壁の外面は、堆積物を含む。幾つかの実施形態において、幾つかの壁の表面の幾つかの部分は、堆積物を含まず、したがって、幾つかの壁は、堆積物のない表面部分を含み得る。幾つかの実施形態において、濾過材堆積物の一部は、例えば、部分的にベース壁部分に延在する指または根の形態で、多孔質ベース壁部分内に配置されている。幾つかの実施形態において、濾過材堆積物は、多孔質ベース壁の細孔内にも存在しているが、ベース壁の厚さ全体を貫いてはいないため、ベース壁の少なくとも幾つかの内部部分には堆積物がない。幾つかの実施形態において、堆積物は、壁の表面に統合された膜または層として、一実施形態では統合された連続層として存在しており、そのため、ハニカム構造体の壁の少なくとも幾つかの表面は膜または層から構成され、これらの実施形態のうちの幾つかにおいて、堆積物は、1つ以上のチャネルを画定するすべての壁のすべての表面にわたり存在し、例えば、これらのベース壁は、濾過材堆積物により完全または実質的に完全に覆われており、これらの実施形態のうちの他のものにおいて、濾過材堆積物は、1つ以上のチャネルを画定する壁のベース壁の表面の一部にのみ存在している。層または膜は、ガス流を層に通すことができるように多孔質、好ましくは非常に多孔質であり、ベース壁も、ガスが多孔質壁を流れることができるように多孔質である。幾つかの実施形態において、層または膜は、1つ以上の壁の表面の少なくとも一部または全体にわたる連続コーティングとして存在する。幾つかの好ましい実施形態では、パティキュレートフィルタのハニカム体のセル壁の一部にのみ、例えば、目封止ハニカム体の入口フローチャネルに相応するセルにのみ、濾過材堆積物が設けられる。
【0006】
一態様において、濾過材堆積物は、火炎堆積された濾過材から構成される。幾つかの実施形態において、ハニカム構造体の多孔質壁は、1つ以上のチャネルの壁の表面の少なくとも一部を構成する統合された層または膜として存在する堆積物を含み、これらの実施形態のうちの幾つかにおいて、1つ以上の壁の表面の少なくとも一部または全体は、連続層から構成される。
【0007】
幾つかの実施形態において、ハニカム構造体の1つ以上の壁の表面は、濾過材堆積物の複数の個別領域から構成される。
【0008】
幾つかの実施形態において、濾過材堆積物は、多孔質ベース壁の幾つかの細孔の一部を部分的に閉塞させ、その一方でガス流が壁を通ることをなおも可能にしている。
【0009】
本明細書に開示されている一組の実施形態において、ハニカム体は、第一の端部と、第二の端部と、第一の端部から第二の端部に延在する複数の壁とを含むハニカム構造体を含む。複数の壁は、複数の多孔質壁を含む。多孔質壁は、多孔質ベース壁を含む。少なくとも幾つかの多孔質壁の表面は、濾過材堆積物をさらに含む。複数の壁は、第一の端部から第二の端部に延在する複数のチャネルを画定する。幾つかのチャネルは、第一の端部にてまたはその近くにて目封止されており、その一方で、残りのチャネルの幾つかは、第二の端部にてまたはその近くにて目封止されており、それにより、ガスが、第一の端部から多孔質壁の一部を通って入口チャネル内に流れ、出口チャネルを通って出て、第二の端部から出ることを構成するウォールフローフィルタ流路が形成される。幾つかの実施形態において、濾過材堆積物は、1つ以上の入口チャネルを画定する壁上に存在しており、これらの実施形態のうちの幾つかにおいて、濾過材堆積物は、出口チャネルを画定する壁上に存在していない。
【0010】
幾つかの実施形態において、濾過材堆積物は、薄い非常に多孔質な層の形態で存在する。幾つかの実施形態において、多孔質壁は、90%超の多孔度と、0.5μm以上10μm以下の平均厚さとを有する多孔質無機層を含む。
【0011】
別の態様において、ハニカム体の製造方法は、濾過材を気体状のキャリア流体によってセラミックハニカム体に流すことによりセラミックハニカム体のベース壁に濾過材を堆積させるステップと、濾過材をセラミックハニカム体の多孔質ベース壁に結合させるステップとを含む。特定の実施形態において、濾過材堆積物は、熱焼結または融着によりベース壁部分または事前に置かれた濾過材に結合される。例えば、堆積物は、90%超の多孔度と、0.5μm以上10μm以下の平均厚さとを有する多孔質無機層を形成する。
【0012】
さらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部は、明細書から当業者に容易に明らかとなるか、または以下の詳細な説明を含む本明細書に記載の実施形態、クレーム、ならびに添付の図面を実践することにより認識されるであろう。
【0013】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明のどちらも、様々な実施形態について説明しており、特許請求される対象の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していると理解されたい。添付の図面は、様々な実施形態のさらなる理解をもたらすために付属されており、組み込まれて、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を図示しており、その説明とともに、特許請求される対象の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体を概略的に示す。
【
図2】本明細書に開示および記載されている実施形態による、スートフィルタを有するハニカム体を概略的に示す。
【
図3A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図3B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図3C】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図3D】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図4A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に様々な層前駆体流量で堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図4B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に様々な層前駆体流量で堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図4C】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に様々な層前駆体流量で堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図4D】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に様々な層前駆体流量で堆積されたアモルファス相の分解および気化した層前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図5A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5C】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5D】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図6】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の濾過効率をグラフで示す。
【
図7A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の流量に対する背圧をグラフで示す。
【
図7B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のすす充填量に対する背圧をグラフで示す。
【
図8A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のSEM写真である。
【
図8B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のSEM写真である。
【
図9】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の濾過効率をグラフで示す。
【
図10A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の流量に対する背圧をグラフで示す。
【
図10B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のすす充填量に対する背圧をグラフで示す。
【
図11A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のSEM写真である。
【
図11B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のSEM写真である。
【
図12】アモルファス相の分解した層前駆体(焼結前の堆積直後のもの)および結晶相のセラミック層(焼結後)のXRD分析である。
【
図13A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解した層前駆体の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。
【
図13B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解した層前駆体の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。
【
図13C】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のセラミック層の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。
【
図13D】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体上に堆積された結晶相のセラミック層の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。
【
図14】堆積直後、6時間にわたり850℃に曝された後、12時間にわたり850℃に曝された後、および0.5時間にわたり1150℃で焼結された後についての分解した層前駆体のXRDスキャンを示す。
【
図15】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の濾過効率をグラフで示す。
【
図16A】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体の流量に対する背圧をグラフで示す。
【
図16B】本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体のすす充填量に対する背圧をグラフで示す。
【
図17】本明細書に開示および記載されている実施形態によるパティキュレートフィルタを概略的に示す。
【
図18】
図17に示されるパティキュレートフィルタの断面図である。
【
図19】一実施形態による火炎熱分解プロセスのフローチャートである。
【
図20】1つ以上の実施形態によるパティキュレートフィルタを試験するための実験構成を示す概略図である。
【
図21】本開示の実施形態に準拠して製造した2つの例について、時間(秒)に対する濾過効率を比較例と比較したグラフである。
【
図22】本開示の実施形態に準拠して製造した2つの例について、すす充填量(g/L)に対する濾過効率を比較例と比較したグラフである。
【
図23】本開示の実施形態に準拠して製造した2つの例について、体積流量(m
3/h)に対する圧力降下を比較例と比較したグラフである。
【
図24】実験室での圧力降下(kPA)に対する実験室での濾過効率/濾過面積(%/m
2)のグラフである。
【
図25】本開示の実施形態により製造された試料について、パラメータNMFVに対するパラメータNPVを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、高多孔度層をその上に有する多孔質ハニカム体を含むハニカム体の実施形態が詳細に参照され、その実施形態は、添付の図面に示されている。可能な限り、図面全体で同じ参照番号を使用して、同じまたは類似した部分を指す。実施形態において、ハニカム体は、第一の端部と、第二の端部と、複数の内部チャネルを画定する壁表面を有する複数の壁とを含む多孔質セラミックハニカム体を含む。多孔質無機層は、ハニカム体の1つ以上の壁表面上に配置されている。無機層は、90%超の多孔度を有し、無機層は、0.5μm以上10μm以下の平均厚さを有する。ハニカム体およびかかるハニカム体の製造方法の様々な実施形態について、添付の図面を特に参照して、本明細書で説明する。幾つかの実施形態において、ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、多孔質壁表面が、構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、複数のチャネルが、出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、入口チャネルおよび出口チャネルが、濾過面積を画定し、入口チャネルを画定する1つ以上の多孔質壁表面が、ベース壁部分と、ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、濾過材堆積物がベース壁部分上に配置されており、パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、濾過効率の変化が、高流動条件に曝される前後での、パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、51Nm3/hの流量、室温、および1.7m/sの速度でパティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により(例えば、Lighthouse Worldwide Solutionsから入手可能なLighthouse Handheld30160.1CFM粒子計数器を、30秒にわたりパティキュレートフィルタの上流および30秒にわたりパティキュレートフィルタの下流で使用することにより)測定して、粒子500,000個/cm3である、パティキュレートフィルタが提供される。幾つかの実施形態において、パティキュレートフィルタは、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された前後で、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満でさえある濾過効率の変化を示す。
【0016】
幾つかの実施形態において、濾過材堆積物は、例えばパティキュレートフィルタの目封止されたハニカム構造体を通るガス流が多いことを理由とした、および/または例えば機械的振動を理由とした払落しまたは再配置に耐えるなど、機械的に安定していることが好ましい。1つ以上の実施形態において、濾過材堆積物は、水に曝された際に、堆積物がセル壁上でのそれらの場所または位置を維持するように安定している。言い換えれば、幾つかの実施形態によると、濾過材堆積物は、多孔質セラミックベース壁に結合されている。幾つかの実施形態において、堆積物は、化学的に結合されており、単に物理的な結合により結合されているのではない。例えば、幾つかの実施形態において、火炎熱分解濾過材堆積物は、多孔質セラミックベース壁に融着または焼結されている。さらに、幾つかの実施形態において、火炎熱分解濾過材堆積物は、互いに融着または焼結されて、多孔質無機材料層を形成する。
【0017】
本明細書および添付のクレームで使用されるように、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、内容から明らかに他のことが指示されない限り、複数の指示物を有する実施形態を包含する。本明細書および添付のクレームで使用されるように、「または」という用語は、内容から明らかに他のことが指示されない限り、通常「および/または」を含むその意味合いで用いられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「有する(have、having)」、「含む(include、including、comprise、comprising)」などは、それらの非限定的な意味合いで使用され、通常、「を含むが、これらに限定されることはない」を意味する。
【0019】
本明細書で言及されるハニカム体は、チャネルを画定するセルを形成するように壁が交差した成形セラミックハニカム構造体である。セラミックハニカム構造体は、形成されても、押出成形されても、または鋳込みされてもよく、また任意の形状またはサイズであってもよい。例えば、セラミックハニカム構造体は、コーディエライトまたは他の適切なセラミック材料から形成されてもよい。
【0020】
本明細書で言及されるハニカム体は、微粒子状物質をガス流から濾過するように構成されるハニカム構造体の壁表面に施与された少なくとも1つの層を有する成形セラミックハニカム構造体として定義することも可能である。ハニカム構造体の同じ場所に1つより多くの層が施与されていてもよい。この層は、無機であっても、有機であっても、またはその双方であってもよい。例えば、ハニカム体は、1つ以上の実施形態において、コーディエライトまたは他のセラミック材料から形成されていてもよく、コーディエライトハニカム構造体の表面に施与された高多孔度層を有していてもよい。この層は、壁を通しておよび壁において局所的に、またハニカム体を通して全体的に濾過効率の増加をもたらす「濾過材」であってもよい。濾過材は、排気流の気体状混合物の成分と反応しないことから、触媒活性であるとは考えられない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「グリーン」または「グリーンセラミック」は、互換的に使用され、特に記載のない限り、焼結されていない材料を指す。
【0022】
1つ以上の実施形態のハニカム体は、ハニカム構造体と、ハニカム構造体の1つ以上の壁上に配置された層とを含み得る。幾つかの実施形態において、この層は、ハニカム構造体内部に存在する壁の表面に施与され、これらの壁は、複数の内部チャネルを画定する表面を有する。内部チャネルは、存在する場合、様々な断面形状、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、五角形、六角形、もしくはモザイク状の組み合わせ、またはそれらのうちのいずれかを有していてもよく、例えば、任意の適切な幾何学的構成で配置されていてもよい。内部チャネルは、存在する場合、分離していても、または交差していてもよく、またハニカム体全体に、その第一の端部から、第一の端部の反対側にあるその第二の端部に延在していてもよい。
【0023】
ここで
図1を参照すると、本明細書に示され記載される、1つ以上の実施形態によるハニカム体100が示されている。ハニカム体100は、実施形態において、複数の内部チャネル110を画定する複数の壁115を含み得る。複数の内部チャネル110および交差チャネル壁115は、ハニカム体の第一の端部105と第二の端部135との間に延在する。
【0024】
1つ以上の実施形態において、ハニカム体は、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、エンスタタイト、ムライト、フォルステライト、コランダム(SiC)、スピネル、サフィリン、およびペリクレースから形成されていてもよい。一般的に、コーディエライトは、式(Mg,Fe)2Al3(Si5AlO18)による組成を有する固溶体である。幾つかの実施形態では、例えばセラミック原材料の粒径を変えることにより、セラミック材料の細孔径を制御することができ、セラミック材料の多孔度を制御することができ、セラミック材料の細孔径分布を制御することができる。さらに、細孔形成剤が、ハニカム体を形成するために使用されるセラミックバッチに含まれていてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁は、25μm以上250μm以下、例えば、45μm以上230μm以下、65μm以上210μm以下、65μm以上190μm以下、または85μm以上170μm以下の平均厚さを有し得る。ハニカム体の壁は、バルク部分(本明細書ではバルクと称される)と表面部分(本明細書では表面と称される)とから構成されるベース壁部分を有すると説明することができる。壁の表面部分は、ハニカム体の壁の表面から、ハニカム体のバルク部分に向かって壁内部に延在する。この表面部分は、0(ゼロ)から約10μmの深さで、ハニカム体の壁のベース壁部分に延在していてもよい。幾つかの実施形態において、この表面部分は、約5μm、約7μm、または約9μm(すなわち、0(ゼロ)の深さ)にわたり、壁のベース壁部分に延在していてもよい。ハニカム体のバルク部分は、壁の厚さから表面部分を引いたものである。したがって、ハニカム体のバルク部分は、以下の等式:
t合計-2t表面
[式中、t合計は壁の合計厚さであり、t表面は壁表面の厚さである]
により求められる。
【0026】
1つ以上の実施形態において、ハニカム体のバルクは、7μm以上25μm以下、例えば、12μm以上22μm以下または12μm以上18μm以下のバルク平均細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態において、ハニカム体のバルクは、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、または約20μmのバルク平均細孔径を有し得る。通常、所定の材料の細孔径は、統計的分布で存在する。したがって、「メジアン細孔径」または「D50」という用語は、すべての細孔の統計的分布に基づいて、細孔のうちの50%の細孔径が存在し、残りの50%の細孔の細孔径がそれよりも下にあることを指す。セラミック体中の細孔は、(1)無機バッチ材料の粒径および径分布、(2)炉/熱処理の焼成時間および温度スケジュール、(3)炉の雰囲気(例えば、少ないまたは多い酸素および/または水の含量)、ならびに(4)例えば、ポリマーおよびポリマー粒子、デンプン、木粉、中空無機粒子および/またはグラファイト/炭素粒子のような細孔形成剤のうちの少なくとも1つにより作製することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、ハニカム体のバルクは、コーティングを数えずに、水銀圧入多孔度測定法により測定して、50%以上70%以下のバルク多孔度を有し得る。表面多孔度を測定するための方法としては、走査型電子顕微鏡法(SEM)が挙げられ、この方法は特に、表面多孔度およびバルク多孔度を互いに独立して測定するのに役立つ。1つ以上の実施形態において、ハニカム体のバルク多孔度は、例えば、70%未満、65%未満、60%未満、58%未満、56%未満、54%未満、または52%未満である。
【0028】
1つ以上の実施形態において、ハニカム体の表面部分は、7μm以上20μm以下、例えば、8μm以上15μm以下、または10μm以上14μm以下の表面メジアン細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態において、ハニカム体の表面は、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmの表面メジアン細孔径を有し得る。
【0029】
幾つかの実施形態において、ハニカム体の表面は、層の施与前に、SEMで測定して、35%以上50%以下の表面多孔度を有し得る。1つ以上の実施形態において、ハニカム体の表面多孔度は、例えば、65%未満、例えば、60%未満、55%未満、50%未満、48%未満、46%未満、44%未満、42%未満、40%未満、48%未満、または36%未満であり得る。
【0030】
ここで
図17および18を参照すると、パティキュレートフィルタ300の形態のハニカム体が概略的に示されている。パティキュレートフィルタ300は、ガソリンエンジンから放出される排ガス流のような排ガス流350から微粒子状物質を濾過するためのウォールフローフィルタとして使用することができ、この場合、パティキュレートフィルタ300は、ガソリンパティキュレートフィルタである。パティキュレートフィルタ300は、通常、全長L
aを画定する複数のチャネル301または入口端部302と出口端部404との間に延在するセルを有するハニカム体を含む。パティキュレートフィルタ300のチャネル301は、入口端部302から出口端部304に延在する複数の交差チャネル壁306により形成されており、これにより少なくとも部分的に画定されている。パティキュレートフィルタ300は、複数のチャネル301を囲むスキン層305も含み得る。このスキン層305は、チャネル壁306の形成の間に押出成形されても、または後の加工において、例えばスキニングセメント(skinning cement)をチャネルの外周部分に施与することにより後から施与されたスキン層として形成されてもよい。
【0031】
図17のパティキュレートフィルタ300の軸方向断面が、
図18に示されている。幾つかの実施形態において、特定のチャネルが入口チャネル308として指定され、特定の他のチャネルが、出口チャネル310として指定されている。パティキュレートフィルタ300の幾つかの実施形態において、少なくとも一組目のチャネルが、栓312で目封止され得る。通常、栓312は、チャネル301の端部(すなわち、入口端部または出口端部)に近接して配置されている。これらの栓は、通常、予め定められたパターン、例えば
図17に示される市松模様で配置されており、1つおきにチャネルが端部にて目封止されている。
図3に示されるように、入口チャネル308は、出口端部304にてまたはその近くにて目封止されていてもよく、出口チャネル310は、入口チャネルに相応しないチャネル上の入口端部302にてまたはその近くにて目封止されていてもよい。よって、各セルは、パティキュレートフィルタの一方の端部にてまたはその近くにてのみ目封止され得る。
【0032】
図17は、通常、市松模様の目封止パターンを示すが、代替的な目封止パターンを多孔質セラミックハニカム物品に使用してもよいと理解されるべきである。本明細書に記載の実施形態において、パティキュレートフィルタ300は、約600チャネル毎平方インチ(cpsi)(約93チャネル毎平方センチメートル)までのチャネル密度で形成され得る。例えば、幾つかの実施形態において、パティキュレートフィルタ100は、約100cpsi(約15.5チャネル毎平方センチメートル)~約600cpsi(約93チャネル毎平方センチメートル)の範囲のチャネル密度を有し得る。幾つかの他の実施形態において、パティキュレートフィルタ100は、約100cpsi(約15.5チャネル毎平方センチメートル)~約400cpsi(約62チャネル毎平方センチメートル)の範囲または約200cpsi(約31チャネル毎平方センチメートル)~約300cpsi(約46.5チャネル毎平方センチメートル)の範囲でさえあるチャネル密度を有し得る。
【0033】
本明細書に記載の実施形態において、パティキュレートフィルタ300のチャネル壁306は、約4ミル(101.6マイクロメートル)超の厚さを有し得る。例えば、幾つかの実施形態において、チャネル壁306の厚さは、約4ミル(101.6マイクロメートル)~約30ミル(762マイクロメートル)までの範囲にあり得る。幾つかの他の実施形態において、チャネル壁306の厚さは、約7ミル(177.8マイクロメートル)~約20ミル(508マイクロメートル)の範囲にあり得る。
【0034】
様々な実施形態において、ハニカム体は、微粒子状物質をガス流から濾過するように構成されている。よって、ハニカム体のバルクおよび表面の双方のメジアン細孔径、多孔度、形状、および他の設計態様は、ハニカム体のこれらの濾過要件を考慮して選択される。一例として、また
図2の実施形態に示されるように、ハニカム体200の壁210には、好ましくは焼結されたまたは別の形で熱処理により結合された層220がその上に配置されている。層220は、ハニカム体200の壁210上に配置されており、かつすすおよび灰のような微粒子状物質がガス流230とともにハニカム体から出ることを防止するのに役立ち、かつ微粒子状物質がハニカム体200の壁210のベース壁部分を詰まらせることを防止するのに役立つ粒子225を含んでいてもよい。このように、また実施形態によると、層220は、主要濾過要素として機能することができ、その一方で、ハニカム体のベース壁部分は、例えばそのような層なしの従来のハニカム体と比較して圧力降下を別の形で最小限に抑えるように構成されていてもよい。本明細書で使用される場合、圧力降下は、フィルタの軸長にわたる圧力の低下を測定するための差圧センサを使用して測定される。層220の細孔径はベース壁部分の細孔径よりも小さいため、この層は、比較的小さなサイズの微粒子状物質の大部分を濾過するが、ハニカム体フィルタの壁のベース壁部分は、比較的大きなサイズの微粒子状物質をいくらか濾過する効果を示すことが期待されている。本明細書でさらに詳細に記載されるように、ハニカム体は、例えば火炎堆積法などの適切な方法により形成することが可能であり、これにより、薄い非常に多孔質な層が、ハニカム体の壁の少なくとも幾つかの表面上に形成される。
【0035】
1つ以上の実施形態において、ハニカム体の壁上に配置された層の多孔度は、SEMにより測定して、80%以上、例えば90%超である。他の実施形態において、ハニカム体の壁上に配置された層の多孔度は、92%以上、例えば、93%以上または94%以上である。さらなる他の実施形態において、ハニカム体の壁上に配置された層の多孔度は、95%以上、例えば、96%以上または97%以上である。様々な実施形態において、ハニカム体の壁上に配置された層の多孔度は、99%以下、例えば、97%以下、95%以下、94%以下、または93%以下である。ハニカム体の壁の層の多孔度が高いことにより、その上に層を含まない同じハニカム体の圧力降下と比較して、ハニカム体の圧力降下に著しく影響を与えることなく、ハニカム体に層を施与することが可能になる。SEMおよびX線トモグラフィーは、表面およびバルクの多孔度を互いに独立して測定するのに有用である。密度計算による多孔度の取得には、無機層の重量およびその厚さを測定して層密度を得て、等式:層の多孔度=1-層密度/無機材料密度により層の多孔度を計算することが含まれる。一例として、ムライトを含む層の場合、「無機材料密度」はムライトの密度である。
【0036】
先に言及したように、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の壁のベース壁部分の厚さと比較して非常に薄く、この層は、非常に高い多孔度および透過度も有する。以下でさらに詳細に論じるように、ハニカム体上の層は、非常に薄い層でハニカム体の壁の表面に層を施与することを可能にする方法により形成することが可能である。実施形態において、ハニカム体の壁のベース壁部分上の層の平均厚さは、0.5μm以上30μm以下、例えば、0.5μm以上20μm以下、0.5μm以上10μm以下、例えば、0.5μm以上5μm以下、1μm以上4.5μm以下、1.5μm以上4μm以下、または2μm以上3.5μm以下である。
【0037】
先に論じたように、この層は、無機層が小さなメジアン細孔径を有することを可能にする方法により、ハニカム体の壁に施与可能である。先で
図2を参照して記載したように、この小さなメジアン細孔径により、層が高割合の微粒子を濾過することが可能になり、微粒子がハニカムに浸透してハニカムの細孔に沈降することが防止される。実施形態による層のメジアン細孔径が小さいことにより、ハニカム体の濾過効率が増加する。1つ以上の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、0.1μm以上5μm以下、例えば、0.5μm以上4μm以下または0.6μm以上3μm以下のメジアン細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1μm、約2μm、約3μm、または約4μmのメジアン細孔径を有し得る。
【0038】
実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の実質的に100%を覆っているが、他の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の実質的に100%未満を覆っている。例えば、1つ以上の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも70%を覆っており、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも75%を覆っており、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも80%を覆っており、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも85%を覆っており、ハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも90%を覆っており、またはハニカム体の内部チャネルを画定する壁表面の少なくとも85%を覆っている。
【0039】
図1を参照して先に記載したように、ハニカム体は、第一の端部および第二の端部を有し得る。第一の端部および第二の端部は、軸長により分離されている。幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の全軸長に延在し得る(すなわち、軸長の100%に沿って延在する)。しかしながら、他の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、軸長の少なくとも60%に沿って延在し、例えば、軸長の少なくとも65%に沿って延在し、軸長の少なくとも70%に沿って延在し、軸長の少なくとも75%に沿って延在し、軸長の少なくとも80%に沿って延在し、軸長の少なくとも85%に沿って延在し、軸長の少なくとも90%に沿って延在し、または軸長の少なくとも95%に沿って延在する。
【0040】
実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の第一の端部からハニカム体の第二の端部に延在する。幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の第一の表面からハニカム体の第二の表面の距離全体に延在する(すなわち、ハニカム体の第一の表面からハニカム体の第二の表面の距離の100%に沿って延在する)。しかしながら、1つ以上の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の60%に沿って延在し、例えば、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の65%に沿って延在し、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の70%に沿って延在し、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の75%に沿って延在し、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の80%に沿って延在し、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の85%に沿って延在し、ハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の90%に沿って延在し、またはハニカム体の第一の表面とハニカム体の第二の表面との間の距離の95%に沿って延在する。
【0041】
1つ以上の実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、壁表面上に連続コーティングとして配置されている。本明細書で使用される場合、「連続コーティング」とは、どの部分の領域も実質的に露出されていないまたは層材料不含ではない領域である。1つ以上の実施形態において、層の少なくとも50%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、例えば、層の少なくとも60%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも70%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも80%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも90%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも92%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも94%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、層の少なくとも96%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されており、または層の少なくとも98%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されている。他の実施形態において、層の100%は、ハニカム体の壁表面上に連続層として配置されている。
【0042】
上述のように、また特定の理論に縛られるものではないが、少ない圧力降下が実施形態のハニカム体により達成されると考えられている。なぜなら、ハニカム体上の層は、ハニカム体の主要な濾過要素であり、これにより、ハニカム体をより柔軟性に設計することが可能になるからである。実施形態によるハニカム体上の層の小さな厚さと高い多孔度との組み合わせで少ない圧力降下を有するハニカム体を選択することにより、実施形態のハニカム体は、従来のハニカム体と比較して少ない圧力降下を有することが可能になる。実施形態において、この層は、ハニカム体上で0.1~30g/Lの範囲にある。実施形態において、この層は、0.2~20g/L、0.3~25g/L、0.4~20g/L、1~10g/Lの範囲で存在し得る。幾つかの実施形態において、薄い高多孔度無機層なしのハニカムと比較したハニカム体にわたる圧力降下(すなわち、すすまたは灰のないクリーン時の圧力降下)は、10%以下、例えば、9%以下または8%以下である。他の実施形態において、ハニカム体にわたる圧力降下は、7%以下、例えば6%以下である。さらなる他の実施形態において、ハニカム体にわたる圧力降下は、5%以下、例えば、4%以下または3%以下である。
【0043】
上述のように、また特定の理論に縛られるものではないが、ハニカム体の壁上の層における細孔径が小さいことにより、ハニカム体は、灰またはすすの蓄積がハニカム体において生じる前でも良好な濾過効率を有することが可能になる。本明細書において、ハニカム体の濾過効率は、Tandon等、65 Chemical engineering Science 4751~60(2010)に概説される手順を使用して測定される。本明細書で使用される場合、ハニカム体の初期時の濾過効率は、測定可能なすすまたは灰の充填量を含まないクリーンな状態のハニカム体、例えば、新しいまたは再生されたハニカム体を指す。実施形態において、ハニカム体の初期時の濾過効率(すなわち、クリーン時の濾過効率)は、70%以上、例えば、80%以上または85%以上である。さらなる他の実施形態において、ハニカム体の初期時の濾過効率は、90%超、例えば、93%以上または95%以上または98%以上である。
【0044】
実施形態によるハニカム体の壁上の層は、薄く、高い多孔度を有し、幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、良好な耐薬品性および物理的安定性も有する。層材料がハニカム体の壁に施与された後に、特に、凝固、焼結、または別の形でハニカム体の表面に結合される場合、以下でより詳細に論じられる。ハニカム体上の層の耐薬品性および物理的安定性は、実施形態において、ハニカム体を、焼却サイクルと老化試験とを含む試験サイクルにかけ、試験サイクルの前後で初期時の濾過効率を測定することにより決定することができる。例えば、ハニカム体の耐薬品性および物理的安定性を測定するための1つの例示的な方法は、ハニカム体の初期時の濾過効率を測定すること、疑似動作条件下ですすをハニカム体に充填すること、蓄積したすすを約650℃で焼却すること、ハニカム体を1050℃および10%の湿度で12時間にわたり老化試験にかけること、およびハニカム体の濾過効率を測定することを含む。複数のすす蓄積および焼却サイクルが実施されてもよい。試験サイクル前から試験サイクル後の濾過効率の変化(ΔFE)が小さいことは、ハニカム体上の層の耐薬品性および物理的安定性がより良好であることを示す。幾つかの実施形態において、ΔFEは、5%以下、例えば、4%以下または3%以下である。他の実施形態において、ΔFEは、2%以下または1%以下である。
【0045】
幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Ni、およびそれらの混合物から成る群より選択されるセラミック成分のようなセラミック成分のうちの1つまたは混合物から構成されていてもよい。したがって、ハニカム体の壁上の層は、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含み得る。以下でより詳細に論じるように、実施形態によるハニカム体上の層の製造方法により、所定の用途のための層組成をカスタマイズすることが可能になる。これは、セラミック成分を組み合わせて、例示的には、例えば熱膨張係数(CTE)およびヤング率などのようなハニカム体の物理特性を適合させることができ、これによりハニカム体の物理的安定性を改善することができるため、有益であり得る。幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層は、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、エンスタタイト、ムライト、フォルステライト、コランダム(SiC)、スピネル、サフィリン、およびペリクレースを含み得る。幾つかの実施形態において、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、エンスタタイト、ムライト、フォルステライト、コランダム(SiC)、スピネル、サフィリン、および/またはペリクレースは、合成物である。1つ以上の実施形態において、無機層は合成ムライトを含む。ムライトは、希少なケイ酸アルミニウム鉱物であり、一般構造xAl2O3・ySiO2に準拠して、2つの化学量論的形態3Al2O3・2SiO2または2Al2O3・SiO2を形成し得る。合成ムライトの製造は、1.5≦x/y≦2を目標とする、または2.9~3.8の範囲のAl/Si質量比を目標とするプロセス制御を含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、ハニカム体の壁上の層の組成は、ハニカム体の組成と同じである。しかしながら、他の実施形態において、層の組成は、ハニカム体の組成とは異なる。
【0047】
1つ以上の実施形態によると、この層は、10-15m2以上の透過度を有する。幾つかの実施形態において、この層は、10-14m2以上、例えば、10-13m2以上または10-12m2以上の透過度を有する。
【0048】
幾つかの実施形態において、この層は、ムライトから構成されており、5nm以上3μm以下の平均粒径を有する。そのような実施形態において、この層の厚さおよび多孔度は、ハニカム体の所望の特性に応じた厚さであり得る。
【0049】
幾つかの実施形態において、この層は、アルミナから構成されており、10nm以上3μm以下の平均粒径を有する。幾つかの実施形態において、平均粒径は、100nm以上3μm以下、例えば、500nm以上3μm以下または500nm以上2μm以下である。そのような実施形態において、ハニカム体上の層の厚さおよび多孔度は、ハニカム体の所望の特性に応じた厚さであり得る。
【0050】
層、ひいてはハニカム体全体の特性は、小さなメジアン細孔径を有する薄い高多孔度層をハニカム体に施与する能力に起因する。
【0051】
本明細書に開示および記載されている幾つかの実施形態によるハニカム体の製造方法は、層前駆体を気体状のキャリア流体により運ぶことができるように、層前駆体を、噴霧、気化、または霧化するステップと、噴霧、気化、または霧化された層前駆体をセラミックハニカム構造体上に堆積させるステップと、噴霧、気化、または霧化された層前駆体をセラミックハニカム構造体に結合させてセラミックハニカム構造体上に層を形成するステップとを含む。実施形態において、気体状のキャリア流体は、例えば、空気、酸素、または窒素であり得る。幾つかの実施形態において、層前駆体を、溶媒、例えば、メトキシエタノール、エタノール、水、およびそれらの混合物から成る群より選択される溶媒と合してもよく、それから、層前駆体を、噴霧、気化、または霧化する。層前駆体は、1つ以上の実施形態において、セラミックハニカム構造体の内部チャネル内にブローされる。層前駆体をセラミックハニカム構造体上に堆積させた後に、例えば蒸気もしくは湿気などの水分、熱、または例えばマイクロ波などの放射線を層前駆体に適用するステップを含む適切な方法により、層前駆体粒子をセラミックハニカム構造体に結合させることができる。
【0052】
本明細書に開示および記載されている幾つかの実施形態によるハニカム体の製造方法は、セラミックハニカム構造体への層の火炎熱分解堆積を含み、これにより、高い多孔度および小さなメジアン細孔径を有する非常に薄い層が堆積される。実施形態において、ハニカム体の製造方法は、層前駆体を、層前駆体と気化ガスとを接触させることにより気化させて、気化した層前駆体を形成するステップ(層前駆体は、前駆体材料および溶媒を含み得る)と、気化した層前駆体を、気化した層前駆体と火炎とを接触させることにより分解するステップと、気化した層前駆体をセラミックハニカム構造体上に堆積させるステップと、気化した層前駆体を焼結してハニカム体を形成するステップとを含み、ハニカム体は、セラミックハニカム構造体の少なくとも一部の壁をコーティングする層を含む。1つ以上の実施形態において、層前駆体は、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される。
【0053】
幾つかの実施形態において、ハニカム体を形成する方法は、セラミック前駆体材料と溶媒とを含む層前駆体を形成または得るステップを含む。層前駆体のセラミック前駆体材料は、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、MgO、ZrO2、CaO、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Niなどの供給源として機能する従来の粗セラミック材料を含む。例えば、幾つかの実施形態において、セラミック前駆体材料は、テトラエチルオルトシリケート、マグネシウムエトキシド、およびアルミニウム(III)トリ-sec-ブトキシド、トリメチルアルミニウム、AlCl3、SiCl4、Al(NO3)3、アルミニウムイソプロポキシド、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびそれらの混合物から成る群より選択される。層前駆体中で使用される溶媒は、これが溶媒内でセラミック前駆体材料の懸濁液を維持することができ、溶媒が200℃未満の温度で気化することができる限り、特に限定されていない。実施形態において、溶媒は、メトキシエタノール、エタノール、水、キシレン、メタノール、エチルアセテート、ベンゼン、およびそれらの混合物から成る群より選択される。
【0054】
幾つかの実施形態では、層前駆体を、層前駆体と気化流体とを接触させることにより気化させ、気化した層前駆体を形成する。1つ以上の実施形態において、気化流体は、酸素(O2)、水(蒸気、H2O)、窒素(N2)、およびそれらの混合物から成る群より選択される。気化流体は、層前駆体の流量に対して多い流量で流されるため、気化流体が層前駆体と接触すると、層前駆体は気化流体により分子レベルに気化させられる。例えば、実施形態において、気化流体は、3L/分以上100L/分以下、例えば、4L/分以上6.5L/分以下、または25L/分以上35L/分以下の流量で流されるガスである。他の実施形態において、気化ガスは、60L/分以上70L/分以下の流量で流される。
【0055】
気体状の気化流体の流量は、実施形態において、層前駆体の流量よりも多い。よって、1つ以上の実施形態において、層前駆体は、1.0mL/分以上50mL/分以下、例えば、3mL/分以上5mL/分以下または25mL/分以上35mL/分以下の流量で流される。気化流体の流量および層前駆体の流量は、前駆体が気化流体と接触すると気化するように制御可能である。
【0056】
幾つかの実施形態によると、層前駆体が気化流体と接触して、気化した層前駆体を形成すると、気化した層前駆体は、気化した層前駆体と火炎との接触により分解される。火炎は、例えば、酸素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、またはそれらの混合物などの適切な燃焼ガスを燃焼させることにより形成することが可能である。気化した層前駆体が火炎と接触したら、火炎からのエネルギーにより、気化した層前駆体が分子レベルの成分に分解され、溶媒が燃焼されて、例えば、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、および一酸化炭素(CO)のようなガスになる。この燃焼により、ガス中に十分に分散したセラミック前駆体材料の元素成分がもたらされる。1つ以上の実施形態において、火炎温度は、800K以上2500K以下である。これにより、気化した層前駆体を、ハニカム体に容易に送り、堆積させることが可能になる。実施形態では、1つの火炎を使用して層前駆体を分解してもよいが、他の実施形態では、2つ以上の火炎を使用して層前駆体を分解してもよいと理解されるべきである。さらなる他の実施形態において、気化した層前駆体は、火炎によっては分解されない。
【0057】
1つ以上の実施形態において、流体中に十分に分散した気化した層前駆体は、例えば風洞または差圧を使用して、気化した層前駆体をハニカム体に導くことにより、ハニカム体に送られる。それにより、気化した層前駆体は、ハニカム体上に堆積される。幾つかの実施形態において、ハニカム体は、気化した層前駆体をハニカム体に堆積させる間に、例えばハニカム体の第一の端部105のような一方の端部にて目封止された1つ以上のチャネルを有し得る。目封止されたチャネルは、幾つかの実施形態において、層前駆体の堆積後に除去され得る。しかしながら、他の実施形態において、チャネルは、層前駆体の堆積後でさえ目封止されたままであってもよい。ハニカム体の目封止チャネルのパターンは、限定されておらず、幾つかの実施形態において、ハニカム体のすべてのチャネルは、一方の端部にて目封止されていてもよい。他の実施形態において、ハニカム体のチャネルの一部のみが、一方の端部にて目封止されていてもよい。そのような実施形態において、ハニカム体の一方の端部の目封止されたチャネルおよび目封止されていないチャネルのパターンは、限定されておらず、例えば、ハニカム体の一方の端部のチャネルが交互に目封止されている市松模様であってもよい。気化した層前駆体を堆積させる間にハニカム体の一方の端部にてすべてまたは一部のチャネルを目封止することにより、気化した層前駆体を、ハニカム体100のチャネル110内部に均等に分布させることができる。
【0058】
気化した層前駆体は、幾つかの実施形態において、アモルファス相としてハニカム体上に堆積される。例えば、先に論じたように、セラミック前駆体材料は、分解した層前駆体において、元素レベルまで分けることが可能である。元素成分は、ハニカム体に堆積される際に、元素レベルでまとめて混合されてもよい。例えば、
図3Aは、ハニカム体の表面上に堆積されたアモルファス相の分解した5SiO
2・2Al
2O
3・2MgO層前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である;
図3Bは、ハニカム体の表面上に堆積されたアモルファス相の分解した2SiO
2・3Al
2O
3層前駆体のSEM画像である;
図3Cは、ハニカム体の表面上に堆積されたアモルファス相の分解した2SiO
2・5Al
2O
3・4MgO層前駆体のSEM画像である;および
図3Dは、ハニカム体の表面上に堆積されたアモルファス相の分解したAl
2O
3・MgO層前駆体のSEM画像である。
図3A~3Dそれぞれに見られるように、元素レベルの粒子が、ハニカム体上にアモルファス相で分散している。このアモルファス相において、ハニカム体上に堆積された分解した層前駆体は、例えば層の無機材料の密度に対する層の密度に基づいて計算される多孔度が、95%以上、例えば、96%以上または97%以上である。他の実施形態において、アモルファス相の分解した層前駆体は、98%以上または99%以上の多孔度を有する。
【0059】
アモルファスの気化した層前駆体および最終的にはハニカム体上の層の多孔度および細孔径は、幾つかの実施形態において、気化した層の平均粒径により修正することが可能である。気化した層の平均粒径は、層前駆体の流量により制御することが可能である。例えば、
図4A~4Dに示されるように、気化した層前駆体の平均粒径は、層前駆体の流量が増加するほど大きくなる。
図4Aは、3mL/分の層前駆体流量で堆積されたアモルファスの分解した5SiO
2・2Al
2O
3・2MgO層前駆体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である;
図4Bは、1mL/分の層前駆体流量で堆積されたアモルファスの分解した5SiO
2・2Al
2O
3・2MgO層前駆体のTEM画像である;
図4Cは、1mL/分の層前駆体流量で堆積されたアモルファスの分解した2SiO
2・3Al
2O
3層前駆体のTEM画像である;および
図4Dは、1mL/分の層前駆体流量を有する2つの火炎を用いた二重火炎プロセスを使用して堆積されたアモルファスの分解した5SiO
2・2Al
2O
3・2MgO層前駆体およびアモルファスの分解した2SiO
2・3Al
2O
3層前駆体のTEM画像である。
図4A~4Dに示されるように、分解した層前駆体の元素を原子レベルで混合し、層前駆体の流量に応じて変化する粒径を有する均質な相を形成した。しかしながら、実施形態において、気化した層前駆体の平均粒径は、5nm以上3μm以下、例えば、100nm以上3μm以下または200nm以上1μm以下である。他の実施形態において、気化した層前駆体の平均粒径は、15nm以上500nm以下、例えば、20nm以上200nm以下または25nm以上100nm以下である。
【0060】
先に言及したように、耐薬品性および物理的安定性を、本明細書に開示および記載されている幾つかの実施形態によるハニカム体の壁上の層に付与することができる。1つ以上の実施形態において、これらの特性を改善するために、気化した層前駆体は、これがハニカム体上に堆積された後に、ハニカム体に焼結されるか、または別の形で結合されて、ハニカム体の少なくとも一部をコーティングする結晶相としての層を形成することができる。実施形態によると、気化した層前駆体の焼結は、気化した層前駆体を、これがハニカム体上に堆積された後に、950℃以上1150℃以下、例えば、1000℃以上1100℃以下、1025℃以上1075℃以下、または約1050℃の温度に加熱することを含む。焼結の時間は、幾つかの実施形態において、20分以上2.0時間以下、例えば、30分以上1.5時間以下または45分以上1.0時間以下である。気化した層前駆体を焼結してハニカム体を形成した後、この層は結晶相である。例えば、
図5Aは、ハニカム体上に堆積された焼結された結晶相の5SiO
2・2Al
2O
3・2MgOセラミック層のSEM画像である;
図5Bは、ハニカム体上に堆積された焼結された結晶相の2SiO
2・3Al
2O
3セラミック層のSEM画像である;
図5Cは、ハニカム体上に堆積された焼結された結晶相の2SiO
2・5Al
2O
3・4MgOセラミック層のSEM画像である;および
図5Dは、ハニカム体上に堆積された焼結された結晶相のAl
2O
3・MgOセラミック層のSEM画像である。実施形態によると、焼結された結晶相層は、多孔度が、SEMにより測定して、90%超、例えば、91%以上または92%以上である。他の実施形態において、焼結された結晶相層は、93%以上、例えば、94%以上または95%以上の多孔度を有する。さらなる他の実施形態において、焼結された結晶相層は、96%以上、例えば、97%以上または98%以上の多孔度を有する。
【0061】
本開示の1つ以上の実施形態によると、パティキュレートフィルタは、流入するガス流から特定の画分の微粒子を除去するそれらの能力を表す濾過効率により特徴付けられる。微粒子は、それらの質量濃度またはそれらの個数濃度により特徴付けることが可能である。どちらの値も、一般的に密接に相関する。一般的に、濾過効率FEは、単位体積あたりの微粒子質量または数の単位による一般的な濃度C微粒子を使用して、等式:
【0062】
【0063】
から得られる。
【0064】
濾過効率の実験的測定については様々な手段がある。一般的な実験室の構成についての概略図を、
図20に示す。一般的な実験室の構成は、ガス、例えば、特定の流量に調整された空気の供給部と、微粒子生成器、例えば、すす粒子を特定の速度および濃度で生成するものと、試験すべきフィルタ試料と、フィルタ試料の入口および出口にある2個の微粒子分析器とを含む。
【0065】
実験は、制御された温度、例えば室温で実施される。本明細書で使用される場合、「室温」とは、20℃の温度を指す。実験の間、ガス流は、一定の流量に調整される。その後、微粒子は、ガスに添加される。フィルタ試料にわたり、微粒子の特定の部分を濾過により除去し、これを、入口および出口の粒子濃度の差として測定する。そのような実験の例を、本明細書に記載の実施形態に準拠して製造された2つの実験試料AおよびBが従来の試料(比較)に対してプロットされた
図21に示す。示される例において、粒子は、すす生成器で生成されたすす粒子であり、体積流量は、21m
3/hであった。試験を室温および大気圧で実施した。実験時間に対して等式(1)による入口および出口の濃度から計算された濾過効率がプロットされている。t=0秒の時間で、粒子の計量供給が開始し、濾過効率が記録される。フィルタ試料が異なる場合、異なる値の濾過効率が観察される。
【0066】
図21に示されるように、濾過効率は、すべての場合で経時的に上昇する。これは、蓄積された粒子自体、この場合、すすが濾過媒体として機能し、全体的な効率を向上させるためである。これをより効果的に説明するためには、時間の代わりに、蓄積されたすすの質量に応じて濾過をプロットすることが役立つ。すすの質量は、フィルタに入るすすとフィルタから出るすすの質量との間の差を時間で積分したものとして得られる。この形式での
図21からのデータは、
図22に記載されている。
【0067】
開始時の濾過効率であるt=0秒の時間または0g/Lのすす充填量は、通常、「クリーン時」または「未使用時(fresh)」の濾過効率と称され、フィルタ試料の特性によってのみ決定される。濾過理論に基づいて、濾過プロセスは、主に粒径に応じて、様々なメカニズムに基づき行われる。濾過媒体を説明する一般的なモデルは、ユニットコレクターのアッセンブリの概念である。上記の実験のすす生成器により生成されたすすの場合、主要な濾過メカニズムは、小さなすす粒子のブラウン運動に基づくものである。ブラウン運動のメカニズムηBMに基づくユニットコレクターの収集効率は、
【0068】
【0069】
により説明することができる。
【0070】
Asは、パラメータであり、主に多孔度εに応じ、Peiは、ペクレ数である。ペクレ数は、細孔空間内の流体速度uw/εと、ブラウン運動DBMについてのコレクター直径dcおよび拡散係数の比に比例する。
【0071】
【0072】
収集メカニズムの粒径dsおよび温度Tの依存関係は、ブラウン拡散係数DBM~(T/ds
2)を介して導入される。濾過媒体の微細構造に依存するすべてのパラメータを単一変数K微細構造に組み込むと、等式(2)を等式(4):
【0073】
【0074】
として書き換えることができる。
【0075】
流体速度uwは、体積流量を断面積または濾過面積で割ることにより求められる。したがって、微細構造特性に加えて、所定の流量および粒径での濾過性能は、フィルタの濾過面積に比例する。よって、微細構造の異なる材料と比較するために、濾過効率を濾過面積により正規化する。チャネルが交互に目封止されたハニカムウォールフローフィルタの場合、濾過表面積FSA(m2)は、等式(5):
【0076】
【0077】
から得ることができる。
【0078】
等式(5)において、GSAは、フィルタの体積あたりの幾何学表面積であり、Vフィルタは、フィルタ試料の体積である。係数1/2は、チャネルの半分のみが入口チャネルを表し、この入口チャネルを通ってガスが多孔質フィルタ壁に入り、その後、これを通って流れることを表すことに由来する。濾過面積(または合計濾過)は、入口セル面積の合計+出口セル面積の合計=合計面積であろう。言い換えれば、等式(5)において、入口セル面積の合計は、入口セル面積の合計=出口セル面積の合計である場合、合計面積を2で割ることにより計算することができる。しかしながら、入口セル面積の合計が出口セル面積の合計に等しくない場合、これを反映させるために、等式中の分母を修正する必要があるだろう。
【0079】
濾過性能に加えて、フィルタは、通常所定の体積流量での試料にわたる圧力降下として表される、流に対するそれらの耐久性により特徴付けられることが一般的である。多くの場合、濾過性能の上昇は、圧力降下の増加または流に対する耐久性の増加に合致する。圧力降下は通常ポンプ損失を意味するため、適用の観点から、通常、圧力降下をできるだけ低くすることが望ましい。自動車用途において、これは、乗り物を推進するのに利用可能な力の低減、または燃料効率の低減をもたらす。
【0080】
フィルタ試料の圧力降下挙動は、通常、所定の体積流量でフィルタ試料の上流および下流の差を測定することにより評価される。実験室での測定において、これは、室温および様々な流量で行うことが可能である。
図24には、圧力降下測定の例が示されている。様々な体積流量でのフィルタ試料にわたる圧力差がプロットされており、本開示に記載の例により製造された幾つかの実験例が、市販で入手可能なウォールフローハニカムパティキュレートフィルタに対してプロットされており、どちらも、露出されており、触媒コーティングを含む。試験を室温で実施した。特性値としては、調べた最大流量357m
3/hで通常条件にてこれらの試験で決定された圧力降下を使用した。
【0081】
上記の濾過効率および圧力降下性能を、従来技術から利用可能な幅広い範囲のフィルタ試料について、また複合微細構造を有する多くの本発明の試料について試験した。濾過の場合、%での初期時またはクリーン時の濾過効率が考慮され(21m3/hの流量)、各試料の濾過表面積により正規化される。圧力降下を357m3/hの最大流量で評価した。
【0082】
図24には、市販で入手可能なウォールフローハニカムパティキュレートフィルタ(比較)および本明細書に記載の例により製造された試料から得られたデータが要約されている。市販で入手可能なウォールフローハニカムパティキュレートフィルタ(比較)は、異なる微細構造および組成を有する多くのコーティングされていないフィルタ試料と、異なる触媒ウォッシュコートでコーティングされたフィルタとを含んでいた。
図24に示されるように、本開示により製造された例は、グラフの濾過-圧力降下性能空間の異なる領域、すなわち
図24に示される点線の上方に位置している。等式(6)により説明される点線は、以下のように定義することが可能である:
【0083】
【0084】
濾過効率は、21m3/hおよび室温でのクリーン時または初期時の濾過効率を%で表し、m2の濾過面積およびクリーン時の圧力降下は、室温にて357m3/hで測定される。定数AおよびBは、以下のように定義される:
A=35%/m2;B=9%/(m2kPa)
1つ以上の実施形態によると、本明細書に記載の実施形態により製造されるパティキュレートフィルタは、入口チャネルの濾過面積に対して正規化された有利な高い濾過効率を示す。したがって、1つ以上の実施形態によると、本明細書に記載のパティキュレートフィルタは、自動車メーカー工場で乗り物に取り付けたらすぐに、未使用時の(新しい)状態において高い濾過効率をもたらす。幾つかの実施形態において、この高い濾過効率は、低い圧力降下とともにもたらされる。
【0085】
本開示のクレームは特定の理論により限定されるべきではないが、パティキュレートフィルタの圧力降下は、5つの主要な要因から成ると考えられる。これらの要因としては、フィルタの入口および出口でのガス流の収縮および膨張と、入口および出口チャネルに沿ったガス流の摩擦損失と、多孔質チャネル壁にわたるガス流の圧力降下とが挙げられる。
【0086】
一般的に、フィルタにわたる圧力降下は、部分直径、長さ、チャネルの水力直径、および開口前面面積などの巨視的な幾何学的パラメータにより、また多孔質フィルタ壁の透過度により影響を受ける。後者は、唯一の材料特性であり、微細構造、例えば、多孔度、有効細孔径、および細孔の連結性により定められる。細孔を通るガス流は層状であるため、壁にわたる摩擦損失は、多孔質壁にわたる経路全体により決定される。
【0087】
圧力降下の入口および出口の寄与率は、
【0088】
【0089】
により説明することができる。
【0090】
式中、Δpは圧力降下であり、ρgはガスの密度であり、Qは体積流量であり、Vフィルタはフィルタ体積であり、Lはフィルタの長さであり、OFAはフィルタの開口前面面積であり、ζinおよびζoutは、それぞれ経験的な収縮率および膨張係数である。
【0091】
フィルタの内部の圧力降下の場合、SAE Technical Paper 2003-01-0842では等式(26)として記載されており、本明細書では等式(8)として示されている等式を使用することができる。
【0092】
【0093】
式中、新たな変数μは動的粘度であり、Qeffは有効体積流量であり、dhはチャネル水力直径であり、twは壁厚であり、Fは摩擦係数(正方形のチャネルの場合、F=28.45)、κ有効は壁の有効透過度である。有効体積流量は、入口および出口チャネルに沿った流量分布を考慮する係数により、合計流量とは異なる。経験的に、Qeff=1.32*Qにより実験結果がより良好に説明されることが分かった。
【0094】
実験で測定される圧力降下の合計は、等式(7)および等式(8)により説明される寄与率の総計であろう。等式(7)および(8)において、壁材料の有効透過度を除いて、すべてのパラメータが知られており、容易に決定することが可能である。
【0095】
有効透過度κ有効は、等式(7)および(8)を使用して実験データから抽出することが可能である。この目的のために、入口収縮および出口膨張による圧力降下の寄与率である等式(7)を実験の圧力降下値から引くと、等式(9):
【0096】
【0097】
がもたらされる。
【0098】
等式(9)と等式(8)とを組み合わせ、有効壁透過度κ有効について解くと、
【0099】
【0100】
が得られる。
【0101】
押出成形されたハニカム体の多孔質壁の透過度κ0は、通常、どちらも水銀圧入法により決定される多孔度εと有効メジアン細孔径D50の2乗との積を66.7で割ることにより合理的に十分に説明することが可能である。:
【0102】
【0103】
コーティングまたは他の変形形態が、透過度κ0を有する多孔質壁の「押出成形直後の」ベース壁部分に施与される場合、透過度は、例えば実験の圧力降下値から等式(10)を使用して決定可能な新しい有効透過度値κ有効に変化する。ハニカム壁の押出成形直後のベース壁部分の透過度に対する透過度におけるこの変化は、修正されていない元々の微細構造の透過度に対する有効透過度の比を表す「正規化透過度値(NPV)」によっても説明することができる:
【0104】
【0105】
フィルタ試料のΔp
実験を決定するための実験的圧力降下測定は、所定の体積流量でフィルタ試料の上流および下流の圧力差を測定することにより評価することが可能である。実験室での測定において、これは、室温および様々な流量で行うことが可能である。
図23には、圧力降下測定の例が示されている。様々な体積流量でのフィルタ試料にわたる圧力差がプロットされている。試験は室温で実施された。特性値としては、調べた最大流量357m
3/hで通常条件にてこれらの試験で決定された圧力降下を使用した。
【0106】
先に論じたように、パティキュレートフィルタは、流入するガス流から特定の画分の微粒子を除去するそれらの能力を表す濾過効率により特徴付けられる。微粒子は、それらの質量濃度またはそれらの個数濃度により特徴付けることが可能である。どちらの値も、一般的に密接に相関する。一般的に、濾過効率FEは、単位体積あたりの微粒子質量または数の単位による一般的な濃度C微粒子を使用して、先の等式(1)から得られる。
【0107】
一般的な実験室の構成の概略図の使用が
図20に示されており、パティキュレートフィルタは、室温、一定の流量で試験され、その後、微粒子がガスに加えられる。フィルタ試料にわたり、微粒子の特定の部分を濾過により除去し、これを、入口および出口の粒子濃度の差として測定する。そのような実験の例を、本明細書に記載の実施形態に準拠して製造された2つの実験試料AおよびBが従来の試料(比較)に対してプロットされた
図21に示す。示される例において、粒子は、すす生成器で生成されたすす粒子であり、体積流量は、通常条件にて21m
3/hであった。試験は室温で行われた。実験時間に対して等式(1)による入口および出口の濃度から計算された濾過効率がプロットされている。t=0秒の時間で、粒子の計量供給が開始し、濾過効率が記録される。フィルタ試料が異なる場合、異なる値の濾過効率が観察される。
【0108】
図21に示されるように、濾過効率は、すべての場合で経時的に上昇する。これは、蓄積された粒子自体、この場合、すすが濾過媒体として機能し、全体的な効率を向上させるためである。これをより効果的に説明するためには、時間の代わりに、蓄積されたすすの質量に応じて濾過をプロットすることが役立つ。すすの質量は、フィルタに入るすすとフィルタから出るすすの質量との間の差を時間で積分したものとして得られる。この形式での
図21からのデータは、
図22に記載されている。
【0109】
先に論じたように、開始時の濾過効率であるt=0秒の時間または0g/Lのすす充填量は、通常、「クリーン時」または「未使用時」の濾過効率と称され、フィルタ試料の特性によってのみ決定される。濾過理論に基づいて、濾過プロセスは、主に粒径に応じて、様々なメカニズムに基づき行われる。濾過媒体を説明する一般的なモデルは、ユニットコレクターのアッセンブリの概念である。上記の実験のすす生成器により生成されたすすの場合、主要な濾過メカニズムは、小さなすす粒子のブラウン運動に基づくものである。ブラウン運動のメカニズムηBMに基づくユニットコレクターの収集効率は、等式(2)により説明することができる。先に論じたように、ペクレ数は、細孔空間内の流体速度uw/εと、上記の等式(3)に示されるブラウン運動DBMについてのコレクター直径dcおよび拡散係数の比に比例する。
【0110】
SAE Technical Paper 2012-01-0363では、「ランダム」多孔質微細構造を有するコーティングされていない押出成形されたフィルタの場合、クリーン時の濾過効率が、微細構造および巨視的フィルタ特性に比例する濾過特性パラメータAFiltに相関し得ると説明されている。
【0111】
【0112】
新たな変数として、等式(13)は、フィルタ構造のセル密度としてCPSIを有する。クリーン時の濾過効率とこの濾過特性パラメータ(AFILT)との間の相関関係を、y軸にクリーン時の濾過効率、x軸に濾過特性パラメータ(AFILT)を有するグラフにプロットすることができる。
【0113】
微細構造パラメータ、多孔度、およびメジアン細孔径からの寄与率を組み合わせて、有効微細構造係数EMFにすることができる。有効多孔度およびメジアン細孔径が不明な材料の場合、この新たなパラメータを使用して、微細構造の有効特性を特徴付けることができる。この変数により、実際の微細構造において、濾過が必ずしもフィルタ壁にわたる細孔の長さ全体に沿って行われるのではなく、粒子の収集および堆積に好ましい条件が存在する場所、例えば狭い開口部を有する通路(「細孔ネック」)でより大きな程度で行われることも考慮することができる。幾つかの粒子は、収集されたらすぐに、この細孔ネックをさらに狭め、濾過プロセスをさらに促進する。したがって、新たなパラメータにより、不均一であり、かつランダム細孔設計を有しない微細構造を考慮することが可能になる。
【0114】
圧力降下について行ったのと同様に、新たな微細構造パラメータEMFを考慮することのみならず、これを、ランダム微細構造を有する押出成形直後のフィルタ本体のベース壁部分のベース微細構造の特性について正規化することも有用である。後者の場合、EMFは、多孔度ε0.43をメジアン細孔径D50の5/3乗で割った比として得られる。この正規化により、微細構造の濾過特性を説明するための新たな正規化微細構造濾過値NMFVが得られる:
【0115】
【0116】
1つ以上の実施形態によると、好ましい(例えば高い)正規化透過度値(NPV)をもたらし、同時に正規化微細構造濾過値(NMFV)の増加をもたらすパティキュレートフィルタ、例えば、少ない(変化の)圧力降下を向上したクリーン時の濾過と組み合わせてもたらす材料が提供される。
【0117】
上記の濾過効率および圧力降下性能を、従来技術から利用可能な幅広い範囲のフィルタ試料について、また入口チャネルを画定する多孔質壁表面の複合微細構造を有する本開示に準拠して製造された多くの試料について試験し、すなわち、入口チャネルは、本明細書の1つ以上の実施形態に記載の濾過材堆積物から構成されていた。濾過の場合、%での初期時またはクリーン時の濾過効率が、21m3/hの流量で考慮される。圧力降下を室温および357m3/hの最大流量で評価した。
【0118】
参照例(例えば、市販の既存のフィルタ)および本開示の実施形態に準拠して製造された例の性能特性をプロットすることができる。データを調べるために、正規化微細構造濾過値(NMFV)をy軸にプロットし、クリーン時の濾過をx軸にプロットすることができる。市販で入手可能なガソリンパティキュレートフィルタおよび本開示の例により製造されたパティキュレートフィルタ(ブラックダイヤモンド)について、x軸の正規化微細構造濾過値(NMFV)に対するy軸の正規化透過度値(NPV)のより有用なプロットを、
図25に示す。
図25は、本開示により製造されたパティキュレートフィルタの例が、(1)0.2超のNPV値および(2)2超のNMFV値の双方を示すことを表す。試験された市販で入手可能なガソリンパティキュレートフィルタのいずれも、これらの基準の双方を満たさなかった。2以上の正規化微細構造濾過値NMFV=EMF/(ε
0.43/D
50
5/3)
ベース壁特性および0.2以上の正規化透過度値NPV=κ
有効/(εD
50
2/66.7)
ベース壁特性の領域は、本発明のパティキュレートフィルタに対して明らかに新規性があり、独自性がある。(1)NPV値が0.2超であり、(2)NMFV値が2超であるこの領域を占めるパティキュレートフィルタは、有利に高い濾過効率を示す。したがって、1つ以上の実施形態によると、本明細書に記載のパティキュレートフィルタは、自動車メーカー工場で乗り物に取り付けたらすぐに、未使用時の(新しい)状態において高い濾過効率をもたらす。幾つかの実施形態において、この高い濾過効率は、低い圧力降下とともにもたらされる。
【0119】
ハニカム体およびハニカム体の製造方法を、本明細書に記載した。実施形態において、ハニカム体は、ハニカム体の少なくとも1つの表面上に層を含む。この層は、実施形態において、結晶構造、例えば90%超の高い多孔度を有し、この層は、例えば0.5μm以上10μm以下の厚さを有する薄層として施与される。上記の様々な実施形態において、「ハニカム体」とは、セラミックの「ハニカム体」であり得、「層」とは、セラミックの「層」であり得ると理解されるべきである。
【0120】
ここで、本明細書で開示および説明される番号付与した実施形態が提供される。
【0121】
実施形態1
第一の端部と、第二の端部と、複数の内部チャネルを画定する壁表面を有する複数の壁とを含む多孔質セラミックハニカム構造体と、
1つ以上の前記壁表面上に配置された多孔質無機層と
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
ハニカム体。
【0122】
実施形態2
前記多孔質無機層が、20μm以下の平均厚さを有する、実施形態1記載のハニカム体。
【0123】
実施形態3
前記多孔質無機層が、10μm以下の平均厚さを有する、実施形態1または2記載のハニカム体。
【0124】
実施形態4
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態1から3までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0125】
実施形態5
前記多孔質無機層が、前記壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態1から4までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0126】
実施形態6
前記多孔質無機層が、前記壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態1から5までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0127】
実施形態7
前記第一の端部および前記第二の端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態1記載のハニカム体。
【0128】
実施形態8
前記多孔質無機層が、前記第一の端部と前記第二の端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態1から7までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0129】
実施形態9
前記多孔質無機層の90%超が、前記壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態1から8までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0130】
実施形態10
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上の多孔度を有する、実施形態1から9までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0131】
実施形態11
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、55%以上の多孔度を有する、実施形態1から10までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0132】
実施形態12
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態1から11までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0133】
実施形態13
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から12までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0134】
実施形態14
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から13までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0135】
実施形態15
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から14までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0136】
実施形態16
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、35%以上の多孔度を有する、実施形態1から15までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0137】
実施形態17
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、40%以上の多孔度を有する、実施形態1から16までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0138】
実施形態18
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、35%以上60%以下の多孔度を有する、実施形態1から15までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0139】
実施形態19
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から18までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0140】
実施形態20
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から19までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0141】
実施形態21
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上20μm以下の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から19までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0142】
実施形態22
前記多孔質無機層の多孔度が、95%超である、実施形態1から21までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0143】
実施形態23
前記多孔質無機層の多孔度が、98%以下である、実施形態1から22までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0144】
実施形態24
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上20μm以下である、実施形態1から23までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0145】
実施形態25
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上10μm以下である、実施形態1から24までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0146】
実施形態26
前記多孔質無機層が、0.1μm以上5μm以下のメジアン細孔径を有する、実施形態1から25までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0147】
実施形態27
前記多孔質無機層が、0.1μm以上4μm以下のメジアン細孔径を有する、実施形態1から26までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0148】
実施形態28
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0149】
実施形態29
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0150】
実施形態30
前記多孔質無機層が、200nm以上1μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0151】
実施形態31
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有する、アルミナ、ムライト、または(Al2O3)x(SiO2)y[式中、xは2または3であり、yは1または2である]のうちの少なくとも1つから構成されている、実施形態1から29までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0152】
実施形態32
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有する、実施形態31記載のハニカム体。
【0153】
実施形態33
前記多孔質無機層が、200nm以上1μm以下の平均粒径を有する、実施形態31記載のハニカム体。
【0154】
実施形態34
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0155】
実施形態35
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態34記載のハニカム体。
【0156】
実施形態36
前記多孔質無機層が、200nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態34記載のハニカム体。
【0157】
実施形態37
前記多孔質無機層が、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Ni、およびそれらの混合物から成る群より選択される部材を含む、実施形態1から30までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0158】
実施形態38
前記多孔質無機層が、アモルファス構造を有する、実施形態37記載のハニカム体。
【0159】
実施形態39
前記多孔質無機層が結晶構造を有する、実施形態37記載のハニカム体。
【0160】
実施形態40
前記多孔質無機層が、10-15m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0161】
実施形態41
前記多孔質無機層が、10-14m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0162】
実施形態42
前記多孔質無機層が、10-13m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0163】
実施形態43
前記多孔質無機層が、10-12m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0164】
実施形態44
前記多孔質無機層が、5μm超の幅および1mm超の長さを有するクラックを含まない、実施形態1から43までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0165】
実施形態45
前記内部チャネルの少なくとも一部が、前記多孔質セラミックハニカム体の前記第一の端部にて目封止されている、実施形態1から44までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0166】
実施形態46
前記内部チャネルの少なくとも一部が、前記多孔質セラミックハニカム体の前記第二の端部にて目封止されている、実施形態1から45までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0167】
実施形態47
前記ハニカム体が、21Nm3/hで120nmの微粒子を用いて測定して、75%以上の初期時の濾過効率を有する、実施形態1から46までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0168】
実施形態48
前記ハニカム体が、90%以上の初期時の濾過効率を有する、実施形態1から47までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0169】
実施形態49
前記ハニカム体の濾過効率が、1.7メートル/秒の速度および0.01g/Lのすす充填量で120nmの微粒子を用いて測定して、70%以上である、実施形態1から45までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0170】
実施形態50
前記ハニカム体の濾過効率が、80%以上である、実施形態49記載のハニカム体。
【0171】
実施形態51
前記ハニカム体の濾過効率が、90%以上である、実施形態50記載のハニカム体。
【0172】
実施形態52
前記ハニカム体の濾過効率が、95%以上であると測定される、実施形態51記載のハニカム体。
【0173】
実施形態53
前記ハニカム体にわたる最大圧力降下が、20%以下である、実施形態45記載のハニカム体。
【0174】
実施形態54
前記ハニカム体にわたる最大圧力降下が、10%以下である、実施形態45記載のハニカム体。
【0175】
実施形態55
前記多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態1から54までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0176】
実施形態56
前記多孔質無機層が、1つ以上の前記壁表面に焼結されている、実施形態1から55までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0177】
実施形態57
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、前記壁がそれぞれ、多孔質セラミックベース壁部分を含み、第一のグループの壁が存在し、前記第一のグループの壁がそれぞれ、最外壁層を形成する代用保持層(surrogate retentate layer)をさらに含み、前記最外壁層が、第一のグループのチャネルを画定し、前記代用保持層が、90%超の多孔度および0.5μm以上30μ以下の平均厚さを有する、セラミックフィルタ物品。
【0178】
実施形態58
前記代用保持層が、第一の多孔質無機層から構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0179】
実施形態59
前記代用保持層が、第一の多孔質有機層から構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0180】
実施形態60
前記多孔質セラミックベース壁部分が、ベースセラミック相から主に構成されており、前記第一の多孔質無機層が、前記ベースセラミック相とは異なる第一のセラミック相から主に構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0181】
実施形態61
前記ベースセラミック相が、コーディエライトを含む、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0182】
実施形態62
前記第一のセラミック相が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0183】
実施形態63
前記第一のセラミック相が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0184】
実施形態64
前記第一の多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態58から63までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0185】
実施形態65
前記第一の多孔質無機層が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態58から63までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0186】
実施形態66
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数のチャネルを画定する複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、各壁が、多孔質セラミックベース壁部分から構成され、少なくとも幾つかの前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分上に配置された第一の多孔質無機外層を含み、前記第一の多孔質無機外層が第一の最外壁表面を形成し、前記複数の壁が交差して、前記第一の最外壁表面により囲まれた第一のチャネルを画定し、
前記第一の多孔質無機層が、90%超の多孔度および0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
セラミックフィルタ物品。
【0187】
実施形態67
前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分により形成される第二の最外壁表面をさらに含み、前記第二の最外壁表面が、前記第二の最外壁表面により囲まれた複数の第二のチャネルを画定する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0188】
実施形態68
前記第一のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて塞がれており、前記第二のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて塞がれている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0189】
実施形態69
少なくとも幾つかの前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分上に配置された第二の多孔質無機外層を含み、前記第二の多孔質無機外層が第二の最外壁表面を形成し、前記複数の壁が交差して、前記第二の最外壁表面により囲まれた第二のチャネルを画定する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0190】
実施形態70
前記第一のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて塞がれており、前記第二のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて塞がれている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0191】
実施形態71
前記多孔質セラミックベース壁部分が、30%~70%の範囲の多孔度を有する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0192】
実施形態72
前記多孔質セラミックベース壁部分が、30%~70%の範囲の多孔度を有する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0193】
実施形態73
前記第一の多孔質無機外層が、火炎堆積粒子から構成されている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0194】
実施形態74
前記第一の多孔質無機外層が、CVD粒子から構成されている、実施形態62記載のセラミックフィルタ物品。
【0195】
実施形態75
前記第一の多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態66から74までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0196】
実施形態76
前記第一の多孔質無機層が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態66から75までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0197】
実施形態77
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、少なくとも幾つかの前記壁が、対向した第一および第二の表面と、前記第一および第二の表面の間に配置されたベース壁部分とを含み、前記複数の壁が交差して、第一のチャネルを前記第一の表面により、第二のチャネルを前記第二の表面により画定し、少なくとも前記第一の表面または前記第二の表面が、前記ベース壁部分上に配置された多孔質無機層により少なくとも部分的に形成されており、前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、セラミックフィルタ物品。
【0198】
実施形態78
前記第一および第二の表面の双方が、前記ベース壁部分上に配置された多孔質無機層により少なくとも部分的に形成されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0199】
実施形態79
前記多孔質無機層が、少なくとも幾つかの前記壁の前記入口表面上に配置されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0200】
実施形態80
前記多孔質無機層が、少なくとも幾つかの前記壁の前記入口表面上にのみ配置されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0201】
実施形態81
前記出口表面が、多孔質無機層を含まない、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0202】
実施形態82
前記多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態77から81までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0203】
実施形態83
前記多孔質無機層が、前記ベース壁部分に焼結されている、実施形態77から82までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0204】
実施形態84
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、セルのマトリックス中に配置された複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定する多孔質壁表面を含み、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、
前記ハニカム体が、前記入口チャネルを画定するすべての前記多孔質壁の前記表面積の総計である合計入口表面積(SATOT)を含み、
前記パティキュレートフィルタが、空気温度(AIRTEMP)で前記パティキュレートフィルタ(AIRSCFM)を通る空気流について圧力降下(DP)を引き起こし、前記空気流が、100nmの平均径を有する微粒子を含み、
前記パティキュレートフィルタが、前記ハニカム構造体の体積1リットルあたり前記微粒子を0.01グラム未満(g/L)含み、前記パティキュレートフィルタが、FE/SATOTが%/m2の単位で(9*DP+35)超になるようにAIRTEMP=室温および21m3/hの流量で測定された濾過効率(FE)を有する前記パティキュレートフィルタに前記空気流で運ばれる前記微粒子を捕捉し、kPaの単位のDPが、357m3/hの流量で測定され、かつAIRTEMP=室温で測定され、
前記ベース壁部分が、第一のセラミック組成物から構成されており、前記濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、
パティキュレートフィルタ。
【0205】
実施形態85
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0206】
実施形態86
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0207】
実施形態87
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0208】
実施形態88
前記第二のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0209】
実施形態89
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態76または77記載のパティキュレートフィルタ。
【0210】
実施形態90
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0211】
実施形態91
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態76から81までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0212】
実施形態92
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0213】
実施形態93
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0214】
実施形態94
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0215】
実施形態95
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態84から94までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0216】
実施形態96
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0217】
実施形態97
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0218】
実施形態98
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0219】
実施形態99
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0220】
実施形態100
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0221】
実施形態101
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、
前記パティキュレートフィルタが、(A+B*クリーン時の圧力降下)の値以上である、濾過面積1m2あたりのクリーン時の濾過効率%を示し、AおよびBが、A=35%/m2およびB=9%/(m2kPa)と定義され、前記クリーン時の濾過効率が、室温および21m3/hの流量で、0.01g/L未満のすす充填量を有するパティキュレートフィルタにおいて測定され、前記クリーン時の圧力降下が、357m3/hの流量で、すす不含フィルタにおいて測定される、
パティキュレートフィルタ。
【0222】
実施形態102
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0223】
実施形態103
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0224】
実施形態104
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0225】
実施形態105
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0226】
実施形態106
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0227】
実施形態107
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0228】
実施形態108
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0229】
実施形態109
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0230】
実施形態110
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0231】
実施形態111
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態106記載のパティキュレートフィルタ。
【0232】
実施形態112
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0233】
実施形態113
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0234】
実施形態114
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態106記載のパティキュレートフィルタ。
【0235】
実施形態115
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0236】
実施形態116
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0237】
実施形態117
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0238】
実施形態118
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0239】
実施形態119
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記多孔質セラミックハニカム構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、複合微細構造をもたらすように、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、前記複合微細構造が、水銀圧入法により測定される多孔度(ε)と、水銀圧入法により測定されるメジアン細孔径(D50)と、透過度(κ)と、測定される有効微細構造係数(EMF)とを有し、
前記複合微細構造が、2以上の正規化微細構造濾過値NMFV=EMF/(ε0.43/D50
5/3)ベース壁特性および0.2以上の正規化透過度値NPV=κ有効/(εD50
2/66.7)ベース壁特性を特徴とする、
パティキュレートフィルタ。
【0240】
実施形態120
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0241】
実施形態121
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0242】
実施形態122
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0243】
実施形態123
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0244】
実施形態124
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0245】
実施形態125
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0246】
実施形態126
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0247】
実施形態127
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0248】
実施形態128
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0249】
実施形態129
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0250】
実施形態130
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態122記載のパティキュレートフィルタ。
【0251】
実施形態131
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0252】
実施形態132
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0253】
実施形態133
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0254】
実施形態134
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0255】
実施形態135
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0256】
実施形態136
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0257】
実施形態137
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0258】
実施形態138
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、
前記濾過材堆積物が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層をもたらすように、前記ベース壁部分上に配置され、
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、
パティキュレートフィルタ。
【0259】
実施形態139
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0260】
実施形態140
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0261】
実施形態141
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0262】
実施形態142
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0263】
実施形態143
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0264】
実施形態144
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0265】
実施形態145
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0266】
実施形態146
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0267】
実施形態147
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0268】
実施形態148
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0269】
実施形態149
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態122記載のパティキュレートフィルタ。
【0270】
実施形態150
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0271】
実施形態151
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0272】
実施形態152
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0273】
実施形態153
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0274】
実施形態154
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0275】
実施形態155
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0276】
実施形態156
前記濾過材堆積物が、前記多孔質壁表面に焼結されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0277】
実施形態157
ハニカム体の製造方法であって、前記方法が、
無機層前駆体と気体状のキャリア流体とを接触させるステップと、
前記無機層前駆体を、前記気体状のキャリア流体を多孔質セラミックハニカム構造体に流すことにより、前記多孔質セラミックハニカム構造体上に堆積させるステップであって、前記多孔質セラミックハニカム構造体が、セルのマトリックス中に配置された複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定する多孔質壁表面を含み、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含む、ステップと、
前記無機層前駆体を前記多孔質セラミックハニカム構造体に結合させて、多孔質無機層を形成するステップと
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
方法。
【0278】
実施形態158
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上20μm以下である、実施形態157記載の、ハニカム体の製造方法。
【0279】
実施形態159
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上10μm以下である、実施形態157記載の、ハニカム体の製造方法。
【0280】
実施形態160
前記無機層前駆体が、セラミック前駆体材料を含む、実施形態157から159までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0281】
実施形態161
前記無機層前駆体が、溶媒を含む、実施形態160記載の、ハニカム体の製造方法。
【0282】
実施形態162
前記溶媒が、メトキシエタノール、エタノール、水、キシレン、メタノール、酢酸エチル、ベンゼン、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態161記載の、ハニカム体の製造方法。
【0283】
実施形態163
前記無機層前駆体を、前記無機層前駆体と火炎とを接触させることにより分解させるステップをさらに含む、実施形態160記載の、ハニカム体の製造方法。
【0284】
実施形態164
前記無機層前駆体を前記セラミックハニカム体に結合させるステップが、前記無機層前駆体を焼結するステップを含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0285】
実施形態165
前記無機層前駆体を焼結するステップが、450℃以上1150℃以下の温度で、20分以上12時間以下の時間にわたり実施される、実施形態164記載の、ハニカム体の製造方法。
【0286】
実施形態166
前記無機層前駆体が、前記セラミックハニカム体に、98%以上の多孔度を有するアモルファス相として堆積させられ、
前記無機層前駆体を焼結した後に、結晶相および95%以上の多孔度を有する無機層が、前記セラミックハニカム体上に存在する、
実施形態165記載の、ハニカム体の製造方法。
【0287】
実施形態167
前記無機層前駆体を前記セラミックハニカム体に結合させるステップが、前記セラミック層前駆体に水分を施与するステップを含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0288】
実施形態168
前記セラミック層前駆体が、テトラエチルオルトシリケート、マグネシウムエトキシド、およびアルミニウム(III)トリ-sec-ブトキシド、トリメチルアルミニウム、AlCl3、SiCl4、Al(NO3)3、アルミニウムイソプロポキシド、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびそれらの混合物から成る群より選択される部材を含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0289】
実施形態169
ハニカム体の製造方法であって、前記方法が、
無機層前駆体と気体状のキャリア流体とを接触させるステップと、
前記無機層前駆体を気化させて、気体状の無機層前駆体を形成するステップと、
前記気体状の無機層前駆体を火炎に曝して、層前駆体粒子を生成するステップと、
前記層前駆体粒子を、前記気体状のキャリア流体をセラミックハニカム構造体に流すことにより、前記セラミックハニカム構造体上に堆積させるステップと、
前記無機層前駆体粒子を前記セラミックハニカム体に焼結して、多孔質無機層を形成するステップと
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
方法。
【0290】
実施形態170
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態169記載の、ハニカム体の製造方法。
【0291】
実施形態171
前記酸化物セラミックが、合成ムライトを含む、実施形態170記載の、ハニカム体の製造方法。
【実施例】
【0292】
実施形態について、以下の実施例によりさらに明確にする。
【0293】
例1
液体前駆体を用いた火炎熱分解。この例では、コーディエライトハニカム体上に堆積されたセラミック層の耐薬品性および物理的安定性を試験する。層前駆体を、2部のテトラエチルオルトシリケートおよび3部のアルミニウム(III)トリ-secブトキシドをメトキシエタノール/エタノール(1:1の体積比)溶媒に入れたものから形成した。層前駆体を、1mL/分の流量で供給し、層前駆体を気化させる5L/分の流量で供給される酸素気化ガスと接触させた。気化した層前駆体を、火炎中で分解させ、その後、アモルファス相層として堆積させた。コーディエライトハニカム体の特性を、以下の表1に挙げる:
【0294】
【0295】
続いて、分解した層前駆体を、30分にわたり1150℃に加熱することにより焼結し、結晶相セラミック層をコーディエライトハニカム体(すなわち、ハニカム体)上に形成した。試験目的のために、すす生成装置(CAST2)を使用して、350L/分(21Nm3/h)の空気流量の存在下で、120nmの平均粒径を有する粒子を生成した。無機コーティングなしのハニカム体である比較例1および無機コーティングありのハニカム体である例1の濾過効率は、以下の表2に記載される。
【0296】
【0297】
表2に示されるように、すす充填量が少ない場合、例1の濾過効率は、比較例1の濾過効率よりもはるかに高い。したがって、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機コーティングを有するDPFまたはGPFは、フィルタが例えば90%超の濾過効率のような高い濾過効率を達成することができる前に、すす層を蓄積する時間のかかるプロセスにかける必要がないだろう。
図6は、すす充填量に対する濾過効率をグラフで表したものであり、本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に無機層を加えることにより濾過効率の増加がもたらされることを示す。
【0298】
図7Aおよび7Bは、例1および比較例1の背圧をグラフで示す。
図7Aは、例1および比較例1について、流量(Nm
3/h)に対する背圧(kPa)をグラフで示したものである。
図7Aに示されるように、流量に対する背圧は、例1および比較例1の双方について、非常に類似している。したがって、
図7Aに示されるように、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機層がハニカム体に施与されている場合、流量に対する背圧の著しい損失はない。
図7Bは、例1および比較例1について、すす充填レベル(g/L)に対する背圧(kPa)をグラフで示したものである。
図7Bに示されるように、測定された各すす充填量における背圧は、比較例1よりも例1の方が、背圧が低いことを示す。したがって、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機層を様々なすす充填量で使用することについて、背圧の損失はない。
【0299】
以下の表3は、例1の無機層の様々な特性を示し、
図8Aおよび8Bは、それぞれ5μmおよび1μmの倍率で撮影された例1の無機層のSEM写真である。
【0300】
【0301】
例2
蒸気前駆体を用いた火炎熱分解。アルミニウムイソプロポキシドおよびオクタメチルシクロテトラシロキサンを、xAl2O3・ySiO2の前駆体として使用した。前駆体を加熱し、生成された蒸気をN2により運んだ。堆積直後の層の組成を1.5≦x/y≦2の窓で制御した。気化した層前駆体を、火炎中で分解させ、その後、アモルファス相の分解した層前駆体として、表4に挙げた特性を有するコーディエライトハニカム体上に堆積させた。
【0302】
【0303】
表4において、CPSIは、1平方インチ(約6.5cm2)あたりのセル数であり、多孔度は、水銀圧入多孔度測定法により測定される。
【0304】
続いて、分解した層前駆体を、30分にわたり1150℃に加熱することにより焼結し、結晶相セラミック層をコーディエライトハニカム体(すなわち、ハニカム体)上に形成した。すす生成を、例1に準拠して実施した。無機コーティングなしのハニカム体である比較例2および無機コーティングありのハニカム体である例2の濾過効率(FE)は、以下の表5に記載される。
【0305】
【0306】
表5に示されるように、すす充填量が少ない場合、例2の濾過効率は、比較例2の濾過効率よりもはるかに高い。したがって、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機コーティングを有するDPFまたはGPFは、フィルタが例えば90%超の濾過効率のような高い濾過効率を達成することができる前に、すす層を蓄積する時間のかかるプロセスにかける必要がないだろう。
図9は、すす充填量に対する濾過効率をグラフで表したものであり、本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に無機層を加えることにより濾過効率の増加がもたらされることを示す。
【0307】
図10Aおよび10Bは、例2および比較例2の背圧をグラフで示す。
図10Aは、例2および比較例2について、流量(Nm
3/h)に対する背圧(kPa)をグラフで示したものである。
図10Aに示されるように、流量に対する背圧は、例2および比較例2の双方について、非常に類似している。したがって、
図10Aに示されるように、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機層がハニカム体に施与されている場合、流量に対する背圧の著しい損失はない。
図10Bは、例2および比較例2について、すす充填レベル(g/L)に対する背圧(kPa)をグラフで示したものである。
図10Bに示されるように、測定された各すす充填量における背圧は、比較例2よりも例2の方が、背圧が低いことを示す。したがって、本明細書に開示および記載されている実施形態による無機層を様々なすす充填量で使用することについて、背圧の損失はない。
【0308】
以下の表6は、例2の無機層の様々な特性を示し、
図11Aおよび11Bは、それぞれ5μmおよび1μmの倍率で撮影された例2の無機層のSEM写真である。
【0309】
【0310】
図12は、アモルファス相を示す堆積直後の無機層(分解した層前駆体)のXRDスキャン、およびムライト標準のパターンと一致するピークを有する結晶相セラミック層を示す焼結後の無機層のXRDスキャンを示す。
【0311】
例3
蒸気前駆体を用いた火炎熱分解。この例では、コーディエライトハニカム体上に堆積されたセラミック層の耐薬品性および物理的安定性を試験する。
図19は、この例で使用される火炎熱分解プロセスのフローチャートである。合成ムライトのセラミック前駆体は、固体状の塩化アルミニウム(AlCl
3)および液体状の四塩化ケイ素(SiCl
4)であった。窒素(N
2)を、AlCl
3については2.0L/分、SiCl
4については0.3L/分で、キャリアガスとして使用した。固体AlCl
3およびそのキャリアガスを、加熱された昇華器(165℃)に通過させ、気体状のAlCl
3を形成した。液体SiCl
4およびそのキャリアガスを、加熱されたバブラー(35℃)に通過させ、気体状のSiCl
4を形成した。目標とするAl/Si質量比は、2.9~3.8の範囲にあった。加熱された容器および管をすべて、Tタイプの熱電対により監視し、断熱した。Tタイプの熱電対は、-270~400℃の温度範囲内で感度が高く正確である。すべてのガス流を、流の精度のために、較正されたマスフローコントローラー(MFC)により管理した。2.9~3.8Aの範囲のAl/Si質量比のプロセス制御が、長期運転(14~21.5時間)の間に、ムライト組成物の安定な収率とともに達成された。
【0312】
加熱された窒素中に飛沫同伴された気体状のAlCl3およびSiCl4を含む層前駆体をバーナーに移した。バーナーは、内部に4つの機能ガスラインを有していた。1.25の最適な比を有するメタン/酸素予混合火炎により、層前駆体を燃焼させるための反応域を用意した。内側シールドのO2ガス(190℃および2.0L/分)を使用して、燃焼領域を上げ、反応域をクリーンに保つように形成直後の粒子を火炎から遠ざけた。補足的なO2ガス(1.5L/分)により余剰な酸素を供給して燃焼反応を完了し、補助して火炎を安定化させた。必要に応じて、さらなるO2ガス(8L/分まで)を供給してもよい。中央のチューブにより、層前駆体は、火炎を通過して、これに入り、粒子を生成することができた。4つの異なるチャネルは、互いに働き合って、非常に柔軟に火炎を制御することができるだろう。一般的に、セラミック前駆体気化設備およびバーナーのすべての要素(例えば、容器および管)を断熱し、120℃超~190℃に予熱することで、蒸気の凝縮およびチャネルの閉塞を回避した。加熱温度およびキャリアガス流量を制御することにより、最終生成物の組成を制御した。バーナーを約175℃~190℃の範囲で操作して、中央のチューブにおける凝縮および/または過熱によるシーリングの損傷を回避することを補助してもよい。
【0313】
バーナーにおいて、層前駆体は、メタン(CH4)(5.0L/分)と酸素(O2)(4.0L/分)との混合物により形成される火炎に曝され、これにより、高温反応域と、CH4燃焼に基づく湿った雰囲気とがもたらされた。層前駆体が火炎中でH2Oと接触すると、塩化物が加水分解され、酸化物粒子が形成されて、分解した層前駆体が生じた。一次粒子間の激しい衝突により、凝集および集合(coalescence)が高温下で生じた。それらのうちの一部は、大きな粒子に成長し、それらのうちの多くは、部分的に一緒に焼結してアグリゲートを形成し、残りの粒子は、物理的結合によりアグロメレートになった。火炎の急な温度勾配および速いガス流速を理由に、数ミリ秒以内にすべての粒子および粒子グループを火炎から逃がした。別の加熱されたN2が存在して、火炎に入る前にセラミック前駆体の蒸気をさらに希釈することで、生成物の形態、特に粒径を調整することができた点に言及したい。
【0314】
分解した層前駆体の形成直後の粒子を、火炎の上方に取り付けられたシリンダー上に配置されたステンレス鋼メッシュ(316L、2000DPSI)およびセラミッククーポン(GPFハニカムから切り取ったもの)上に堆積させた。濾過効率および圧力降下の分析のために、形成直後の粒子を、堆積の均一性および収集効率を高めるために用いた風洞内で、フルサイズのセラミックハニカム((GC4.055’’-200/8)上に堆積させた。すべての堆積プロセスを、真空ポンプを使用することにより補助した。
【0315】
分解した層前駆体の粒子が構造体(例えば、ステンレス鋼メッシュ、セラミッククーポン、またはフルサイズのセラミックハニカム)上に堆積したら、構造体を、1150℃に設定した炉内で30分にわたり焼結した。焼結したら、結晶相セラミック層が形成された。
【0316】
図13Aおよび13Bは、ハニカム体上に堆積されたアモルファス相の分解した層前駆体の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。堆積直後の分解した層前駆体は多孔質であり、すべての粒子が緩く充填されて連続構造体を形成していた。
図13Cおよび13Dは、アモルファス相の分解した層前駆体の焼結後の結晶相セラミック層の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像である。熱処理により層の形態が変化し、層は、粒子が約20~40nm(
図13A~B)から約60~80nm(
図13C~D)に成長する一方で、十分に接続された構造体になった。
【0317】
図14は、堆積直後、6時間にわたり850℃に曝した後、12時間にわたり850℃に曝した後、および0.5時間にわたり1150℃で焼結した後の分解した層前駆体のXRDスキャンを示す。堆積直後の層はアモルファスであり、1150℃の焼結層の主なピークは、ムライト標準のパターンに相応する。堆積直後の粒子は、低温、例えば850℃の場合、12時間まででさえ、結晶化することができなかった。この蒸気前駆体に基づく粒子は、それらの初期時の粒径において明確な差があったとしても、結晶化において液体前駆体を使用したものと同様に挙動した。
【0318】
BET技術を実施して粒径を調べた。これらの結果を、表7に示す。
【0319】
【0320】
表7において、堆積直後の粒子の表面積は61.1m2/gであり、これは、1150℃での焼結後に、47.6m2/gに低下した。850℃で焼結すると、粒径が僅かに変化した。これらの結果は、XRDスキャンと一致していた。焼結プロセスは、結晶化された相を導入するのに有効であり、ムライト層の多孔度を著しく犠牲にすることなく構造完全性を改善した。上記の結果は、蒸気前駆体プロセスが、組成、焼結粒径、さらには焼結無機層の形態を含む、ムライト製造における液体前駆体と同じ結果を達成できたことを示す。
【0321】
ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)の濾過効率を、この例の合成ムライトをフルサイズのGPF(GC4.055’’-200/8)上に堆積させることにより分析した。疑似エンジン微粒子濾過試験(120nmの粒径の場合、流量は21Nm3/h)を使用して濾過効率を評価し、その一方で、クリーン時の背圧試験を使用して圧力降下損失を決定した。
【0322】
図15は、すす充填量に対する濾過効率(FE)をグラフで表したものであり、本明細書に開示および記載されている実施形態によるハニカム体に無機層を加えることにより濾過効率の増加がもたらされることを示す。
図15において、比較例3は、無機層なしのハニカム体であり、例3は、この例のムライト層を有する。例3について、初期時のFEは増加した。すす充填量0.01g/Lの場合の比較例3は、97.4%のFEに達した。それとは対照的に、例3は、それよりもはるかに少ないすすの蓄積で、100%のFEに達することができた。
【0323】
表8は、例3の試料の評価である。
【0324】
【0325】
表8によると、ムライトの無機層により、低い圧力降下損失(約5.7%のみ)とともに、高い濾過効率(97%超)がもたらされる。層を通過した粒子数は5*1010#/Kmであり、2g/Lでのすす充填時のdPは-5.4%であった。性能のみならず、無機層の強度および耐久性も、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)における適用に関連する。層の熱堅牢性は、熱衝撃、操作窓、および水熱試験により実証されたが、その一方で、機械的完全性試験は、表8において振動および高流量を含んでいた。よって、層を加えることで、始めのハニカム体の既存の特性は、変化しないままだった(または変化は無視できる程度だった)。熱的および機械的信頼性試験の後に、複合材のハニカムおよび無機層についての濾過効率(FE)は、ほとんど~まったく低下しなかった。
【0326】
図16Aおよび16Bは、例3および比較例3の背圧をグラフで示す。
図16Aは、例3および比較例3について、流量(Nm
3/h)に対する背圧(kPa)をグラフで示したものである。例3の場合、膜試料の初期時のFEは90.1%までであり(
図15)、DP損失は、
図16Aによると5.7%だけであり、これは、従来のディップコーティングフィルタよりもはるかに低かった。
図16Bにおいて、背圧は、すす充填量が増加するほど上昇した。例3は、すす充填量が0.5g/Lよりも高い場合、比較例3よりも少ない圧力降下損失を示した。このことは、この層により、共通部分に生じる「インウォール」の代わりに「オンウォール」のコーティングモードがフィルタにもたらされたと説明され得る。
【0327】
例3により製造されたパティキュレートフィルタを、以下のように濾過効率の変化について試験した。例3のパティキュレートフィルタを、850Nm3/hの空気の高流動条件に、室温で1分にわたり曝した。高流動条件に曝す前後で、パティキュレートフィルタに導入されるすす粒子の数と、パティキュレートフィルタから出るすす粒子の数との差を測定することにより、濾過効率の変化を決定した。すす粒子は、51Nm3/hの流量、室温、および1.7m/秒の速度で1分にわたりで例3のパティキュレートフィルタを通して流された、すす粒子濃度が粒子500,000個/cm3の空気流中における300nmのメジアン粒径を有するタバコの煙からの粒子であった。Lighthouse Worldwide Solutionsから入手可能な0.1CFM Lighthouse Handheld3016粒子計数器を使用して粒子数を測定することにより、濾過効率を決定した。測定は、製造され、その後に室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された例3のパティキュレートフィルタで実施された。例3のパティキュレートフィルタは、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に、1%未満の濾過効率の変化を示した。この結果は、濾過材堆積物が定位置に留まり、パティキュレートフィルタの濾過効率を高めるのに有効であり続ける点で、濾過材堆積物が優れた耐久性を示したことを表す。
【0328】
当業者にとって、特許請求される対象の思想および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。したがって、本明細書は、そのような修正および変更が付随の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある限り、本明細書に記載の様々な実施形態の修正および変更を包含することが意図される。
【0329】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0330】
実施形態1
第一の端部と、第二の端部と、複数の内部チャネルを画定する壁表面を有する複数の壁とを含む多孔質セラミックハニカム構造体と、
1つ以上の前記壁表面上に配置された多孔質無機層と
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
ハニカム体。
【0331】
実施形態2
前記多孔質無機層が、20μm以下の平均厚さを有する、実施形態1記載のハニカム体。
【0332】
実施形態3
前記多孔質無機層が、10μm以下の平均厚さを有する、実施形態1または2記載のハニカム体。
【0333】
実施形態4
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態1から3までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0334】
実施形態5
前記多孔質無機層が、前記壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態1から4までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0335】
実施形態6
前記多孔質無機層が、前記壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態1から5までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0336】
実施形態7
前記第一の端部および前記第二の端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態1記載のハニカム体。
【0337】
実施形態8
前記多孔質無機層が、前記第一の端部と前記第二の端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態1から7までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0338】
実施形態9
前記多孔質無機層の90%超が、前記壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態1から8までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0339】
実施形態10
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上の多孔度を有する、実施形態1から9までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0340】
実施形態11
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、55%以上の多孔度を有する、実施形態1から10までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0341】
実施形態12
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態1から11までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0342】
実施形態13
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から12までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0343】
実施形態14
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から13までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0344】
実施形態15
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態1から14までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0345】
実施形態16
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、35%以上の多孔度を有する、実施形態1から15までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0346】
実施形態17
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、40%以上の多孔度を有する、実施形態1から16までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0347】
実施形態18
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、35%以上60%以下の多孔度を有する、実施形態1から15までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0348】
実施形態19
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から18までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0349】
実施形態20
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から19までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0350】
実施形態21
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上20μm以下の表面メジアン細孔径を有する、実施形態1から19までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0351】
実施形態22
前記多孔質無機層の多孔度が、95%超である、実施形態1から21までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0352】
実施形態23
前記多孔質無機層の多孔度が、98%以下である、実施形態1から22までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0353】
実施形態24
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上20μm以下である、実施形態1から23までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0354】
実施形態25
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上10μm以下である、実施形態1から24までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0355】
実施形態26
前記多孔質無機層が、0.1μm以上5μm以下のメジアン細孔径を有する、実施形態1から25までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0356】
実施形態27
前記多孔質無機層が、0.1μm以上4μm以下のメジアン細孔径を有する、実施形態1から26までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0357】
実施形態28
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0358】
実施形態29
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0359】
実施形態30
前記多孔質無機層が、200nm以上1μm以下の平均粒径を有する粒子から構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0360】
実施形態31
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有する、アルミナ、ムライト、または(Al2O3)x(SiO2)y[式中、xは2または3であり、yは1または2である]のうちの少なくとも1つから構成されている、実施形態1から29までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0361】
実施形態32
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有する、実施形態31記載のハニカム体。
【0362】
実施形態33
前記多孔質無機層が、200nm以上1μm以下の平均粒径を有する、実施形態31記載のハニカム体。
【0363】
実施形態34
前記多孔質無機層が、5nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態1から27までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0364】
実施形態35
前記多孔質無機層が、100nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態34記載のハニカム体。
【0365】
実施形態36
前記多孔質無機層が、200nm以上3μm以下の平均粒径を有するアルミナから構成されている、実施形態34記載のハニカム体。
【0366】
実施形態37
前記多孔質無機層が、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Ni、およびそれらの混合物から成る群より選択される部材を含む、実施形態1から30までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0367】
実施形態38
前記多孔質無機層が、アモルファス構造を有する、実施形態37記載のハニカム体。
【0368】
実施形態39
前記多孔質無機層が結晶構造を有する、実施形態37記載のハニカム体。
【0369】
実施形態40
前記多孔質無機層が、10-15m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0370】
実施形態41
前記多孔質無機層が、10-14m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0371】
実施形態42
前記多孔質無機層が、10-13m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0372】
実施形態43
前記多孔質無機層が、10-12m2以上の透過度を有する、実施形態1から39までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0373】
実施形態44
前記多孔質無機層が、5μm超の幅および1mm超の長さを有するクラックを含まない、実施形態1から43までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0374】
実施形態45
前記内部チャネルの少なくとも一部が、前記多孔質セラミックハニカム体の前記第一の端部にて目封止されている、実施形態1から44までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0375】
実施形態46
前記内部チャネルの少なくとも一部が、前記多孔質セラミックハニカム体の前記第二の端部にて目封止されている、実施形態1から45までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0376】
実施形態47
前記ハニカム体が、21Nm3/hで120nmの微粒子を用いて測定して、75%以上の初期時の濾過効率を有する、実施形態1から46までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0377】
実施形態48
前記ハニカム体が、90%以上の初期時の濾過効率を有する、実施形態1から47までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0378】
実施形態49
前記ハニカム体の濾過効率が、1.7メートル/秒の速度および0.01g/Lのすす充填量で120nmの微粒子を用いて測定して、70%以上である、実施形態1から45までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0379】
実施形態50
前記ハニカム体の濾過効率が、80%以上である、実施形態49記載のハニカム体。
【0380】
実施形態51
前記ハニカム体の濾過効率が、90%以上である、実施形態50記載のハニカム体。
【0381】
実施形態52
前記ハニカム体の濾過効率が、95%以上であると測定される、実施形態51記載のハニカム体。
【0382】
実施形態53
前記ハニカム体にわたる最大圧力降下が、20%以下である、実施形態45記載のハニカム体。
【0383】
実施形態54
前記ハニカム体にわたる最大圧力降下が、10%以下である、実施形態45記載のハニカム体。
【0384】
実施形態55
前記多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態1から54までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0385】
実施形態56
前記多孔質無機層が、1つ以上の前記壁表面に焼結されている、実施形態1から55までのいずれか1項記載のハニカム体。
【0386】
実施形態57
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、前記壁がそれぞれ、多孔質セラミックベース壁部分を含み、第一のグループの壁が存在し、前記第一のグループの壁がそれぞれ、最外壁層を形成する代用保持層(surrogate retentate layer)をさらに含み、前記最外壁層が、第一のグループのチャネルを画定し、前記代用保持層が、90%超の多孔度および0.5μm以上30μ以下の平均厚さを有する、セラミックフィルタ物品。
【0387】
実施形態58
前記代用保持層が、第一の多孔質無機層から構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0388】
実施形態59
前記代用保持層が、第一の多孔質有機層から構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0389】
実施形態60
前記多孔質セラミックベース壁部分が、ベースセラミック相から主に構成されており、前記第一の多孔質無機層が、前記ベースセラミック相とは異なる第一のセラミック相から主に構成されている、実施形態57記載のセラミックフィルタ物品。
【0390】
実施形態61
前記ベースセラミック相が、コーディエライトを含む、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0391】
実施形態62
前記第一のセラミック相が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0392】
実施形態63
前記第一のセラミック相が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態60記載のセラミックフィルタ物品。
【0393】
実施形態64
前記第一の多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態58から63までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0394】
実施形態65
前記第一の多孔質無機層が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態58から63までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0395】
実施形態66
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数のチャネルを画定する複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、各壁が、多孔質セラミックベース壁部分から構成され、少なくとも幾つかの前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分上に配置された第一の多孔質無機外層を含み、前記第一の多孔質無機外層が第一の最外壁表面を形成し、前記複数の壁が交差して、前記第一の最外壁表面により囲まれた第一のチャネルを画定し、
前記第一の多孔質無機層が、90%超の多孔度および0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
セラミックフィルタ物品。
【0396】
実施形態67
前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分により形成される第二の最外壁表面をさらに含み、前記第二の最外壁表面が、前記第二の最外壁表面により囲まれた複数の第二のチャネルを画定する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0397】
実施形態68
前記第一のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて塞がれており、前記第二のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて塞がれている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0398】
実施形態69
少なくとも幾つかの前記壁が、前記多孔質セラミックベース壁部分上に配置された第二の多孔質無機外層を含み、前記第二の多孔質無機外層が第二の最外壁表面を形成し、前記複数の壁が交差して、前記第二の最外壁表面により囲まれた第二のチャネルを画定する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0399】
実施形態70
前記第一のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて塞がれており、前記第二のチャネルの少なくとも大部分が、前記多孔質セラミック体の第二の端部にて開口しており、前記多孔質セラミック体の第一の端部にて塞がれている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0400】
実施形態71
前記多孔質セラミックベース壁部分が、30%~70%の範囲の多孔度を有する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0401】
実施形態72
前記多孔質セラミックベース壁部分が、30%~70%の範囲の多孔度を有する、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0402】
実施形態73
前記第一の多孔質無機外層が、火炎堆積粒子から構成されている、実施形態66記載のセラミックフィルタ物品。
【0403】
実施形態74
前記第一の多孔質無機外層が、CVD粒子から構成されている、実施形態62記載のセラミックフィルタ物品。
【0404】
実施形態75
前記第一の多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態66から74までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0405】
実施形態76
前記第一の多孔質無機層が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態66から75までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0406】
実施形態77
多孔質セラミック体を含むセラミックフィルタ物品であって、前記多孔質セラミック体が、複数の壁から構成されるハニカム構造体を含み、少なくとも幾つかの前記壁が、対向した第一および第二の表面と、前記第一および第二の表面の間に配置されたベース壁部分とを含み、前記複数の壁が交差して、第一のチャネルを前記第一の表面により、第二のチャネルを前記第二の表面により画定し、少なくとも前記第一の表面または前記第二の表面が、前記ベース壁部分上に配置された多孔質無機層により少なくとも部分的に形成されており、前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、セラミックフィルタ物品。
【0407】
実施形態78
前記第一および第二の表面の双方が、前記ベース壁部分上に配置された多孔質無機層により少なくとも部分的に形成されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0408】
実施形態79
前記多孔質無機層が、少なくとも幾つかの前記壁の前記入口表面上に配置されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0409】
実施形態80
前記多孔質無機層が、少なくとも幾つかの前記壁の前記入口表面上にのみ配置されている、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0410】
実施形態81
前記出口表面が、多孔質無機層を含まない、実施形態77記載のセラミックフィルタ物品。
【0411】
実施形態82
前記多孔質無機層が、合成ムライトを含む、実施形態77から81までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0412】
実施形態83
前記多孔質無機層が、前記ベース壁部分に焼結されている、実施形態77から82までのいずれか1項記載のセラミックフィルタ。
【0413】
実施形態84
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、セルのマトリックス中に配置された複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定する多孔質壁表面を含み、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、
前記ハニカム体が、前記入口チャネルを画定するすべての前記多孔質壁の前記表面積の総計である合計入口表面積(SATOT)を含み、
前記パティキュレートフィルタが、空気温度(AIRTEMP)で前記パティキュレートフィルタ(AIRSCFM)を通る空気流について圧力降下(DP)を引き起こし、前記空気流が、100nmの平均径を有する微粒子を含み、
前記パティキュレートフィルタが、前記ハニカム構造体の体積1リットルあたり前記微粒子を0.01グラム未満(g/L)含み、前記パティキュレートフィルタが、FE/SATOTが%/m2の単位で(9*DP+35)超になるようにAIRTEMP=室温および21m3/hの流量で測定された濾過効率(FE)を有する前記パティキュレートフィルタに前記空気流で運ばれる前記微粒子を捕捉し、kPaの単位のDPが、357m3/hの流量で測定され、かつAIRTEMP=室温で測定され、
前記ベース壁部分が、第一のセラミック組成物から構成されており、前記濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、
パティキュレートフィルタ。
【0414】
実施形態85
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0415】
実施形態86
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0416】
実施形態87
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0417】
実施形態88
前記第二のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態84または85記載のパティキュレートフィルタ。
【0418】
実施形態89
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態76または77記載のパティキュレートフィルタ。
【0419】
実施形態90
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0420】
実施形態91
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態76から81までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0421】
実施形態92
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0422】
実施形態93
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0423】
実施形態94
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態84から89までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0424】
実施形態95
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態84から94までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0425】
実施形態96
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0426】
実施形態97
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0427】
実施形態98
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態84から95までのいずれか1項記載のパティキュレートフィルタ。
【0428】
実施形態99
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0429】
実施形態100
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0430】
実施形態101
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、
前記パティキュレートフィルタが、(A+B*クリーン時の圧力降下)の値以上である、濾過面積1m2あたりのクリーン時の濾過効率%を示し、AおよびBが、A=35%/m2およびB=9%/(m2kPa)と定義され、前記クリーン時の濾過効率が、室温および21m3/hの流量で、0.01g/L未満のすす充填量を有するパティキュレートフィルタにおいて測定され、前記クリーン時の圧力降下が、357m3/hの流量で、すす不含フィルタにおいて測定される、
パティキュレートフィルタ。
【0431】
実施形態102
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0432】
実施形態103
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0433】
実施形態104
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0434】
実施形態105
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0435】
実施形態106
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0436】
実施形態107
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0437】
実施形態108
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0438】
実施形態109
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0439】
実施形態110
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0440】
実施形態111
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態106記載のパティキュレートフィルタ。
【0441】
実施形態112
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0442】
実施形態113
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0443】
実施形態114
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態106記載のパティキュレートフィルタ。
【0444】
実施形態115
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0445】
実施形態116
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0446】
実施形態117
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態101記載のパティキュレートフィルタ。
【0447】
実施形態118
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態84記載のパティキュレートフィルタ。
【0448】
実施形態119
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記多孔質セラミックハニカム構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、複合微細構造をもたらすように、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、それにより、前記入口チャネルを画定する少なくとも一部の前記多孔質壁表面が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層を形成する前記濾過材堆積物から構成されており、前記複合微細構造が、水銀圧入法により測定される多孔度(ε)と、水銀圧入法により測定されるメジアン細孔径(D50)と、透過度(κ)と、測定される有効微細構造係数(EMF)とを有し、
前記複合微細構造が、2以上の正規化微細構造濾過値NMFV=EMF/(ε0.43/D50
5/3)ベース壁特性および0.2以上の正規化透過度値NPV=κ有効/(εD50
2/66.7)ベース壁特性を特徴とする、
パティキュレートフィルタ。
【0449】
実施形態120
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0450】
実施形態121
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0451】
実施形態122
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0452】
実施形態123
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0453】
実施形態124
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0454】
実施形態125
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0455】
実施形態126
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0456】
実施形態127
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0457】
実施形態128
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0458】
実施形態129
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0459】
実施形態130
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態122記載のパティキュレートフィルタ。
【0460】
実施形態131
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0461】
実施形態132
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0462】
実施形態133
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0463】
実施形態134
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0464】
実施形態135
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0465】
実施形態136
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0466】
実施形態137
前記濾過材堆積物が、前記多孔質セラミックベース壁部分に焼結されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0467】
実施形態138
ハニカム体を含むパティキュレートフィルタであって、前記ハニカム体が、目封止された多孔質セラミックハニカム構造体を含み、前記構造体が、多孔質壁表面を含む複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁表面が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含み、前記入口チャネルおよび前記出口チャネルが、濾過面積を画定し、
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、ベース壁部分と、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物とを含み、
前記濾過材堆積物が、90%超の多孔度を有する多孔質無機層をもたらすように、前記ベース壁部分上に配置され、
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、
パティキュレートフィルタ。
【0468】
実施形態139
前記入口チャネルを画定する1つ以上の前記多孔質壁表面が、第一のセラミック組成物から構成されるベース壁部分を含み、前記ベース壁部分上に配置された濾過材堆積物が、第二のセラミック組成物から構成されており、前記第一および第二のセラミック組成物が異なる、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0469】
実施形態140
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0470】
実施形態141
前記第二のセラミック組成物が、アルミナ、またはシリカ、またはそれらの組み合わせから構成されている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0471】
実施形態142
前記第二のセラミック組成物が、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0472】
実施形態143
前記第一のセラミック組成物がコーディエライトであり、前記第二のセラミック組成物がアルミナである、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0473】
実施形態144
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0474】
実施形態145
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも70%を覆っている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0475】
実施形態146
前記多孔質無機層が、前記多孔質壁表面の少なくとも90%を覆っている、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0476】
実施形態147
前記入口端部および前記出口端部が、軸長の分だけ離間されており、前記多孔質無機層が、前記軸長に沿って少なくとも60%にわたり延在している、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0477】
実施形態148
前記多孔質無機層が、前記入口端部と前記出口端部との間の距離の少なくとも60%にわたり延在している、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0478】
実施形態149
前記多孔質無機層の90%超が、前記多孔質壁表面上に連続コーティングとして配置されている、実施形態122記載のパティキュレートフィルタ。
【0479】
実施形態150
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、50%以上70%以下の多孔度を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0480】
実施形態151
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、10μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0481】
実施形態152
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、15μm以上のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0482】
実施形態153
前記多孔質セラミックハニカム構造体が、8μm以上25μm以下のバルクメジアン細孔径を有する、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0483】
実施形態154
前記パティキュレートフィルタが、室温で1分にわたり850Nm3/hの空気の高流動条件に曝された後に5%未満の濾過効率の変化を示し、前記濾過効率の変化が、前記高流動条件に曝される前後での、前記パティキュレートフィルタに導入されたすす粒子の数と、前記パティキュレートフィルタを出るすす粒子の数との差を測定することにより求められ、前記すす粒子が300nmのメジアン粒径を有し、すす粒子濃度が、室温および1.7m/秒の速度で前記パティキュレートフィルタを通って流れる空気流において粒子計数器により測定して、粒子500,000個/cm3である、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0484】
実施形態155
前記濾過材堆積物が、合成ムライトを含む、実施形態138記載のパティキュレートフィルタ。
【0485】
実施形態156
前記濾過材堆積物が、前記多孔質壁表面に焼結されている、実施形態119記載のパティキュレートフィルタ。
【0486】
実施形態157
ハニカム体の製造方法であって、前記方法が、
無機層前駆体と気体状のキャリア流体とを接触させるステップと、
前記無機層前駆体を、前記気体状のキャリア流体を多孔質セラミックハニカム構造体に流すことにより、前記多孔質セラミックハニカム構造体上に堆積させるステップであって、前記多孔質セラミックハニカム構造体が、セルのマトリックス中に配置された複数の交差した多孔質壁を含み、前記多孔質壁が、前記構造体の入口端部から出口端部に延在する複数のチャネルを画定する多孔質壁表面を含み、前記複数のチャネルが、前記出口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する入口チャネルと、前記入口端部にてまたはその近くにて塞がれており、かつある表面積を有する出口チャネルとを含む、ステップと、
前記無機層前駆体を前記多孔質セラミックハニカム構造体に結合させて、多孔質無機層を形成するステップと
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
方法。
【0487】
実施形態158
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上20μm以下である、実施形態157記載の、ハニカム体の製造方法。
【0488】
実施形態159
前記多孔質無機層の平均厚さが、1μm以上10μm以下である、実施形態157記載の、ハニカム体の製造方法。
【0489】
実施形態160
前記無機層前駆体が、セラミック前駆体材料を含む、実施形態157から159までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0490】
実施形態161
前記無機層前駆体が、溶媒を含む、実施形態160記載の、ハニカム体の製造方法。
【0491】
実施形態162
前記溶媒が、メトキシエタノール、エタノール、水、キシレン、メタノール、酢酸エチル、ベンゼン、およびそれらの混合物から成る群より選択される、実施形態161記載の、ハニカム体の製造方法。
【0492】
実施形態163
前記無機層前駆体を、前記無機層前駆体と火炎とを接触させることにより分解させるステップをさらに含む、実施形態160記載の、ハニカム体の製造方法。
【0493】
実施形態164
前記無機層前駆体を前記セラミックハニカム体に結合させるステップが、前記無機層前駆体を焼結するステップを含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0494】
実施形態165
前記無機層前駆体を焼結するステップが、450℃以上1150℃以下の温度で、20分以上12時間以下の時間にわたり実施される、実施形態164記載の、ハニカム体の製造方法。
【0495】
実施形態166
前記無機層前駆体が、前記セラミックハニカム体に、98%以上の多孔度を有するアモルファス相として堆積させられ、
前記無機層前駆体を焼結した後に、結晶相および95%以上の多孔度を有する無機層が、前記セラミックハニカム体上に存在する、
実施形態165記載の、ハニカム体の製造方法。
【0496】
実施形態167
前記無機層前駆体を前記セラミックハニカム体に結合させるステップが、前記セラミック層前駆体に水分を施与するステップを含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0497】
実施形態168
前記セラミック層前駆体が、テトラエチルオルトシリケート、マグネシウムエトキシド、およびアルミニウム(III)トリ-sec-ブトキシド、トリメチルアルミニウム、AlCl3、SiCl4、Al(NO3)3、アルミニウムイソプロポキシド、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびそれらの混合物から成る群より選択される部材を含む、実施形態157から163までのいずれか1項記載の、ハニカム体の製造方法。
【0498】
実施形態169
ハニカム体の製造方法であって、前記方法が、
無機層前駆体と気体状のキャリア流体とを接触させるステップと、
前記無機層前駆体を気化させて、気体状の無機層前駆体を形成するステップと、
前記気体状の無機層前駆体を火炎に曝して、層前駆体粒子を生成するステップと、
前記層前駆体粒子を、前記気体状のキャリア流体をセラミックハニカム構造体に流すことにより、前記セラミックハニカム構造体上に堆積させるステップと、
前記無機層前駆体粒子を前記セラミックハニカム体に焼結して、多孔質無機層を形成するステップと
を含み、
前記多孔質無機層が、90%超の多孔度を有し、
前記多孔質無機層が、0.5μm以上30μm以下の平均厚さを有する、
方法。
【0499】
実施形態170
前記多孔質無機層が、酸化物セラミックまたはケイ酸アルミニウムを含む、実施形態169記載の、ハニカム体の製造方法。
【0500】
実施形態171
前記酸化物セラミックが、合成ムライトを含む、実施形態170記載の、ハニカム体の製造方法。