(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】養鶏方法、養鶏用ウルトラファインバブル製造器及び養鶏用飲用水製造装置
(51)【国際特許分類】
A01K 39/02 20060101AFI20221205BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20221205BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20221205BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20221205BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20221205BHJP
B01F 25/20 20220101ALI20221205BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20221205BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20221205BHJP
C02F 1/68 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
A01K39/02 Z
B01F23/20
B01F23/2326
B01F23/40
B01F25/10
B01F25/20
B01F25/50
B01F35/71
C02F1/68 510A
C02F1/68 510B
(21)【出願番号】P 2020563392
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019051034
(87)【国際公開番号】W WO2020138246
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2018241808
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】林 政秀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝治
(72)【発明者】
【氏名】石井 悦男
(72)【発明者】
【氏名】清水 矩宏
(72)【発明者】
【氏名】五味 和喜
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195869(JP,A)
【文献】特開2002-027920(JP,A)
【文献】特開2011-115674(JP,A)
【文献】マイクロバブル/ナノバブル/ファインバブル発生装置メーカーのリビングエナジー Manufacturer of Microbu,2018年09月04日,https://web.archive.org/web/20180904030721/https://www.livingenergies.biz/畜産-マイクロバブル-ナノバブル-ファインバブル/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 39/02
B01F 23/20
B01F 23/2326
B01F 23/40
B01F 25/10
B01F 25/20
B01F 25/50
B01F 35/71
C02F 1/68
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採卵用の鶏に、
空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与え
、かつ、上記鶏にCP16%の飼料を給与することにより、Mサイズ以上の鶏卵の産出数を全産卵数の95%以上とすることを特徴とする養鶏方法。
【請求項2】
請求項1に記載の養鶏方法において、
上記鶏の産卵の開始時期が、気体のウルトラファインバブルを含有しない飲用水を給与した場合よりも早いことを特徴とする養鶏方法。
【請求項3】
請求項1に記載の養鶏方法において、
上記飲用水が、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液の発酵液が添加されていることを特徴とする養鶏方法。
【請求項4】
採卵用の鶏に給与される飲用水に含有される気体のウルトラファインバブルを製造するための養鶏用ウルトラファインバブル製造器であって、
円形断面を有するケーシングと
、
上記ケーシングの一端に接続され、上記ケーシングと同軸上に延在し、気体と水の混合流体を供給する供給管と、
上記ケーシング内に少なくとも一部が収容され、上記供給管からケーシング内に供給された上記混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、上記混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックと
、
上記ケーシングの他端側に配置され、上記微細化ブロックで生成されたウルトラファインバブル水を上記ケーシングの外に排出する排出管と
を備え、
上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含み、
上記排出管は、上記排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、上記微細化ブロックを上記ケーシング内に支持していることを特徴とする養鶏用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項5】
請求項
4に記載の養鶏用ウルトラファインバブル製造器において、
上記微細化ブロックが、
上記第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する第1ブロック部品と、
上記第1ブロック部品に結合され、上記第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔と、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成され、上記衝突室のウルトラファインバブル水を上記排出通路に流入させる流入口と、上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成され、上記排出通路を流れたウルトラファインバブル水を排出する排出口とを有する第2ブロック部品と
を含んで形成されていることを特徴とする養鶏用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項6】
請求項
5に記載の養鶏用ウルトラファインバブル製造器において、
上記第1導入路と第2導入路は、上記微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜して形成されていることを特徴とする養鶏用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項7】
請求項
4に記載の養鶏用ウルトラファインバブル製造器において、
上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路と、この処理流路の上流端に上記混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1偏心供給路と、上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に上記混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入し、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させる上記旋回流形成部としての第2偏心供給路とを含み、
上記排出管は、上記微細化ブロックの処理流路の下流端に連結されている
ことを特徴とする養鶏用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項8】
請求項
4に記載の養鶏用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養鶏用飲用水製造装置であって、
原料水を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプから圧送された原料水に気体を混合して混合流体を形成する混合器と、
上記混合器の下流側に設けられた第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側で混合流体を2つの経路に分岐する分岐部と、
上記分岐部に接続され、流量調整弁と、第1の上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器とが介設され、この第1養鶏用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を上記混合器と第2ポンプの間に戻す戻し経路と、
上記分岐部に接続され、第2の上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器が介設され、この第2養鶏用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を排出する排出経路と
を備えることを特徴とする養鶏用飲用水製造装置。
【請求項9】
請求項
4に記載の養鶏用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養鶏用飲用水製造装置であって、
気体が原料水に混合されてなる混合流体を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続され、上記第1ポンプから吐出された混合流体に気体を混合して上記第1ポンプの吸入側に戻す混合器と、
上記第1ポンプの下流側に設けられた上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器と、
上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側に接続された気液分離器と、
上記気液分離器で分離された液体を排出する排出経路と
を備えることを特徴とする養鶏用飲用水製造装置。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載の養鶏用飲用水製造装置において、
上記第2ポンプが、カスケードポンプであることを特徴とする養鶏用飲用水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採卵用の鶏の養育方法と、これに用いられる養鶏用ウルトラファインバブル製造器及び養鶏用飲用水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、採卵用鶏を養育して鶏卵を採取する鶏舎では、鶏を収容するケージに沿って配置した給餌樋を介して給餌すると共に、ケージに沿って給水管を配置し、この給水管に設けたウォーターピックを介して給水をしている。
【0003】
一般的に、ボリスブラウン品種の鶏を養育する場合、120日齢の鶏を鶏舎に導入し、導入した鶏に給餌と給水を開始して養育を開始する。鶏舎に導入された鶏は、徐々に産卵を開始し、150日齢前後で産卵率が50%に達した後、200日齢前後で最大の90%程度に達する。この後、産卵率が徐々に低下し、産卵率が70%以下となる600日齢前後で鶏舎から排除し、新たな鶏に入れ替えている。
【0004】
鶏卵の生産性を高めるには、1日齢から28日齢までの幼雛期の鶏の体重を増加させるのが有効であることが知られており、幼雛期の鶏の体重を増加させるため、種々の飼料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の養鶏方法は、幼雛期の鶏の体重を増加させるために、通常とは異なる特殊な飼料を給与するので、飼料コストが増加する問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、飼料コストを増加させることなく、鶏卵の生産性を向上できる養鶏方法と、これに用いられる養鶏用ウルトラファインバブル製造器及び養鶏用飲用水製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の養鶏方法は、採卵用の鶏に、気体のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、鶏卵を上記鶏から得ることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、採卵用鶏に、気体のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、特殊な飼料を用いることなく、従来の飼料を用いて、鶏の産卵の開始時期を従来よりも早めることができる。これにより、従来よりも早く産卵率を高めることができるので、鶏卵の生産性を向上することができる。ここで、気体のウルトラファインバブルを含有する飲用水の給与を開始する時期は特に限定されず、例えば幼雛期から給与を開始してもよく、あるいは、採卵用の鶏舎に導入した後に給与を開始してもよい。ウルトラファインバブルとは、1μm以下の直径を有する微細な気泡を意味する。ウルトラファインバブルの径は、例えばレーザー回析・散乱法や、粒子軌跡解析法や、動的光散乱法等で測定することができる。
【0010】
一実施形態の養鶏方法は、上記気体は空気である。
【0011】
上記実施形態によれば、採卵用の鶏に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、従来の飼料を用いて、鶏の産卵の開始時期を従来よりも早めることができる。
【0012】
一実施形態の養鶏方法は、上記気体は酸素である。
【0013】
上記実施形態によれば、採卵用の鶏に、酸素のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、従来の飼料を用いて、鶏の産卵の開始時期を従来よりも早めることができる。
【0014】
一実施形態の養鶏方法は、上記鶏の産卵の開始時期が、気体のウルトラファインバブルを含有しない飲用水を給与した場合よりも早いものである。
【0015】
上記実施形態によれば、採卵用の鶏に、気体のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、鶏の産卵の開始時期を、気体のウルトラファインバブルを含有しない飲用水を給与した場合よりも早めることができる。したがって、従来よりも早く産卵数を増加でき、鶏卵の生産性を高めることができる。
【0016】
一実施形態の養鶏方法は、上記鶏にCP16%の飼料を給与することにより、Mサイズ以上の鶏卵の産出数を全産卵数の95%以上とするものである。
【0017】
上記実施形態によれば、採卵用鶏に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、CP(crude protein:粗蛋白質)の割合が16%の飼料を与えても、Mサイズ以上の産卵数を全産卵数の95%以上とすることができる。したがって、高価なCP18%の飼料や、特殊な飼料を用いることなく、鶏卵の生産性を向上することができる。特に、CP18%の飼料をCP16%の飼料に変更しても、鶏卵の生産性を維持又は向上できるので、飼料費の削減を行うことができる。ここで、Mサイズとは、日本国農林水産省により定められた鶏卵規格取引要綱別紙の鶏卵の取引規格において、鶏卵の重量が58g以上64g未満であることをいう。
【0018】
一実施形態の養鶏方法は、上記飲用水が、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液の発酵液が添加されている。
【0019】
上記実施形態によれば、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液の発酵液が添加された飲用水を給与することにより、鶏の産卵数を更に増加させることができる。
【0020】
本発明の他の側面によれば、採卵用の鶏に給与される飲用水に含有される気体のウルトラファインバブルを製造するための養鶏用ウルトラファインバブル製造器であって、
円形断面を有するケーシングと、
上記ケーシングの一端に接続され、上記ケーシングと同軸上に延在し、気体と水の混合流体を供給する供給管と、
上記ケーシング内に少なくとも一部が収容され、上記供給管からケーシング内に供給された上記混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、上記混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックと、
上記ケーシングの他端側に配置され、上記微細化ブロックで生成されたウルトラファインバブル水を上記ケーシングの外に排出する排出管と
を備えることを特徴としている。
【0021】
上記構成によれば、ケーシングと、供給管と、排出管と、上記ケーシング内に収容された微細化ブロックとで構成された養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、容易に小型化が可能である。また、この養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックを用いて構成されるので、気体のウルトラファインバブルを効率的に生成することができる。
【0022】
一実施形態の養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含み、
上記排出管は、上記排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、上記微細化ブロックを上記ケーシング内に支持している。
【0023】
上記実施形態によれば、ケーシング内の微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含んで形成されるので、養鶏用ウルトラファインバブル製造器を小型にできる。また、上記排出管は、上記微細化ブロックの排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、この微細化ブロックを上記ケーシング内に支持するので、簡易な構造でケーシング内に微細化ブロックを収容できる。
【0024】
一実施形態の養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、
上記第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する第1ブロック部品と、
上記第1ブロック部品に結合され、上記第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔と、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成され、上記衝突室のウルトラファインバブル水を上記排出通路に流入させる流入口と、上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成され、上記排出通路を流れたウルトラファインバブル水を排出する排出口とを有する第2ブロック部品と
を含んで形成されている。
【0025】
上記実施形態によれば、微細化ブロックが、第1ブロック部品と第2ブロック部品が結合されて形成される。上記第1ブロック部品は、第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する。また、上記第2ブロック部品は、第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔とを有する。更に、上記第2ブロック部品が、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成された流入口と上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成された排出口との間に延在する排出通路とを有する。このように形成された第1ブロック部品と第2ブロック部品により、小型の微細化ブロックを構成することができる。
【0026】
一実施形態の養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、上記第1導入路と第2導入路は、上記微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜して形成されている。
【0027】
上記実施形態によれば、微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜した第1導入路を通して混合流体を第1旋回室に導入することにより、第1旋回室内に、第1吐出孔に向かって旋回する旋回流を効果的に生成することができる。また、微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜した第2導入路を通して混合流体を第2旋回室に導入することにより、第2旋回室内に、第2吐出孔に向かって旋回する旋回流を効果的に生成することができる。これにより、第1旋回室の第1吐出口と第2旋回室の第2吐出口との間に位置する衝突室で、第1旋回室からの旋回流と、第2旋回室からの旋回流を、強く衝突させることができ、その結果、各旋回流に含まれる気体のバブルを効果的に微細化して、気体のウルトラファインバブルを効率的に生成することができる。
【0028】
一実施形態の養鶏用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路と、この処理流路の上流端に上記混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1偏心供給路と、上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に上記混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入し、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させる上記旋回流形成部としての第2偏心供給路とを含み、
上記排出管は、上記微細化ブロックの処理流路の下流端に連結されている。
【0029】
上記実施形態によれば、微細化ブロックが、ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路を含む。この処理流路の上流端に、混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する旋回流形成部としての第1偏心供給路が連通している。上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に、混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入する旋回流形成部としての第2偏心供給路が連通している。この第2偏心供給路により、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させることにより、混合流体に含まれる気体のバブルを効果的に微細化して、気体のウルトラファインバブルが生成される。このように、微細化ブロックが、処理流路と、第1偏心供給路と、第2偏心供給路を含んで構成されるので、養鶏用ウルトラファインバブル製造器を小型にできる。
【0030】
本発明の他の側面によれば、上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養鶏用飲用水製造装置であって、
原料水を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプから圧送された原料水に気体を混合して混合流体を形成する混合器と、
上記混合器の下流側に設けられた第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側で混合流体を2つの経路に分岐する分岐部と、
上記分岐部に接続され、流量調整弁と、第1の上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器とが介設され、この第1養鶏用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を上記混合器と第2ポンプの間に戻す戻し経路と、
上記分岐部に接続され、第2の上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器が介設され、この第2養鶏用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を排出する排出経路と
を備えることを特徴としている。
【0031】
上記構成によれば、原料水が第1ポンプで圧送され、混合器によって原料水に気体が混合される。この混合器の下流側の第2ポンプにより圧送された混合流体が、分岐部で2つの経路に分岐される。分岐部に接続された戻し経路では、流量調整弁が開いているとき、第2ポンプから圧送された混合流体の一部が第1養鶏用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。この気体のウルトラファインバブルを含有する水は、混合器と第2ポンプの間に戻され、混合器からの混合流体と合流して第2ポンプに吸引される。一方、分岐部に接続された排出経路では、第2ポンプから圧送された混合流体の一部が第2養鶏用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。この気体のウルトラファインバブルを含有する水は、排出経路の下流側から排出され、採卵用鶏の飲用水として用いられる。また、戻し経路の流量調整弁が閉じているとき、第2ポンプから圧送された混合流体の全部が第2養鶏用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、気体のウルトラファインバブルが形成され、この気体のウルトラファインバブルを含有する水が排出経路の下流側から排出される。流量調整弁の開度を調節することにより、第1養鶏用ウルトラファインバブル製造器で形成されて第2ポンプに戻される気体のウルトラファインバブルを含む水の量を調節できる。したがって、排出経路から排出される水における気体のウルトラファインバブルの粒径や濃度を、効果的に調節することができる。
【0032】
一実施形態の養鶏用飲用水製造装置は、上記ウルトラファインバブル製造器を用いて形成されたウルトラファインバブル水製造装置であって、
気体が原料水に混合されてなる混合流体を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続され、上記第1ポンプから吐出された混合流体に気体を混合して上記第1ポンプの吸入側に戻す混合器と、
上記第1ポンプの下流側に設けられた上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器と、
上記養鶏用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側に接続された気液分離器と、
上記気液分離器で分離された液体を排出する排出経路と
を備える。
【0033】
上記実施形態によれば、気体が原料水に混合されてなる混合流体が第1ポンプで圧送される。この第1ポンプから吐出された混合流体の一部は、上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続された混合器に導かれ、この混合器により、混合流体に気体が混合される。混合器で気体が混合された混合流体は、上記第1ポンプの吸入側に戻される。上記第1ポンプから吐出された混合流体の他の部分は、下流側に設けられた養鶏用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。このウルトラファインバブルを含有する水は、養鶏用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプに吸引され、この第2ポンプの下流側に接続された気液分離器に向かって吐出される。気液分離器に導かれたウルトラファインバブルを含有する水は、この水と共に導かれた気体が分離さる。気液分離器で気体が分離されて残った液体であるウルトラファインバブルを含有する水が、排出経路を通って排出される。第1ポンプと第2ポンプの間に養鶏用ウルトラファインバブル製造器を介設し、主に第2ポンプの動作を調節することにより、ウルトラファインバブルを含有する水の生成量を安定させることができる。
【0034】
一実施形態の養鶏用飲用水製造装置は、上記第2ポンプが、カスケードポンプである。
【0035】
上記実施形態によれば、第2ポンプとしてカスケードポンプを用いることにより、気体のウルトラファインバブルを含有する水を、安定して生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施形態の養鶏方法が適用される鶏舎を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の養鶏用飲用水製造装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態の養鶏用ウルトラファインバブル製造器の縦断面図である。
【
図4】
図3の矢視Bによる養鶏用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図5】
図3の矢視Cによる養鶏用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図6】養鶏用ウルトラファインバブル製造器の第1ブロックを示す断面図である。
【
図7】養鶏用ウルトラファインバブル製造器の第2ブロックを示す断面図である。
【
図8】他の養鶏用ウルトラファインバブル製造器を示す縦断面図である。
【
図9】
図8の矢視Dによる養鶏用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図10】
図8の矢視Eによる養鶏用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図11】他の養鶏用飲用水製造装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
本発明の実施形態の養鶏方法は、採卵用鶏に、気体としての空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、鶏卵を上記鶏から得るものである。
【0039】
ウルトラファインバブルは、直径が1μm以下の気泡であり、可視光の波長よりも小さいものは、液体中に形成されても視認できない。また、ウルトラファインバブルは、直径が1μm以上の気泡であるマイクロバブルと比較して、浮上速度が小さく、液体中に長時間滞在することができる。また、ウルトラファインバブルは、マイクロバブルと比較して、表面積が大きく、自己加圧効果を有し、マイナス電荷の帯電作用を有する。このような特徴に基づき、空気のウルトラファインバブルを添加した水を飲用水として採卵用鶏に給与することにより、鶏の卵の生産効率を高めることが可能となる。
【0040】
採卵用鶏は、例えばボリスブラウン種の場合、一般的に150日齢前後で産卵を開始する。ここで、空気のウルトラファインバブルを添加した飲用水を、未産卵の鶏に給与して養育することにより、産卵の開始を10日乃至20日程度早めることができる。
【0041】
また、空気のウルトラファインバブルを添加した飲用水を採卵用鶏に給与することにより、空気のウルトラファインバブルを添加しない飲用水を給与した場合と比較して、76g以上の大玉の鶏卵が採取される割合を、1.5倍から2倍程度に増大することができる。
【0042】
また、空気のウルトラファインバブルを添加した飲用水を採卵用鶏に給与することにより、CP(crude protein:粗蛋白質)の割合が16%の飼料を与えても、Mサイズ(58g以上64g未満)以上の産卵数を全産卵数の95%以上とすることができる。したがって、飼料費を効果的に削減できる。
【0043】
本実施形態で飲用水として用いる空気のウルトラファインバブル含有水は、空気のウルトラファインバブルの直径が1nm以上1000nm以下であれば、特に限定されない。空気のウルトラファインバブルの直径が1000nmを超えると、卵の生産効率の向上が不十分となる可能性がある。好ましくは、飲用水に含まれる空気のウルトラファインバブルの直径は10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは20nm以上300nm以下である。飲用水に含まれる空気のウルトラファインバブルの直径が20nm以上300nm以下であることにより、鶏の卵の生産効率を効果的に高めることができる。また、産出される卵の重さを効果的に増大させることができる。本実施形態では、ウルトラファインバブルの径は、レーザー回析・散乱法により測定した。
【0044】
本実施形態の飲用水として用いる空気のウルトラファインバブル含有水は、空気のウルトラファインバブルの濃度が、1×107個/mL以上であり、上限は特に限定されないが、作製の容易性から、1012個/mL以下である。空気のウルトラファインバブルの濃度が1×107個/mLを下回ると、卵の生産効率の向上が不十分となる可能性がある。好ましくは、空気のウルトラファインバブルの濃度は、1×107個/mL以上3×108個/mL以下であり、特に好ましくは1×108個/mL以上2×108個/mL以下である。飲用水の空気のウルトラファインバブルの濃度を1×108個/mL以上2×108個/mL以下にすることにより、鶏の卵の生産効率を効果的に高めることができる。また、産出される卵の重さを効果的に増大させることができる。
【0045】
空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水は、採卵用鶏に、何時の段階で給与してもよい。好ましくは、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水は、採卵のための鶏舎に鶏が導入された時点から給与を開始することができる。例えば、鶏舎に導入された120日齢の大雛に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲料水の給与を開始することができる。鶏舎に導入された鶏に、飼料と飲用水を提供して養育を行うことにより、時間の経過と共に鶏の産卵率が増大し、採卵量が増大する。この鶏舎で給与する飲用水に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を採用することにより、鶏が産卵を開始する時期を効果的に早めることができる。
【0046】
空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水は、鶏がふ化してから採卵用の鶏舎に導入されるまでの間の何時の時点から給与してもよい。幼雛、中雛又は大雛の時期に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を給与することにより、雛の成長を促進することができる。
【0047】
また、採卵用の鶏舎に導入された鶏に、何時の時点から空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を給与してもよい。また、採卵用の鶏舎に導入された鶏に、一定の期間に空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を給与してもよい。
【0048】
採卵用鶏に給与する飲用水は、空気のウルトラファインバブルに加えて、植物抽出物混合発酵液を添加してもよい。植物抽出物混合発酵液は、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、米ぬか液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液にミネラル分と灰分を加えた液の発酵液である。
【0049】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液は、(a)少なくともアロエと糖分とミネラル分とを含む第1液と、(b)少なくともアロエと糖分と塩分とを含む第2液と、(c)アロエを含む複数種類の植物のアルコール抽出液と、アロエを含む複数種類の植物の糖抽出液と、複数種類の植物を混合して煮沸抽出した液と複数種類の植物エキスのアルコール抽出液とを含む第3液とを含むことが好ましい。
【0050】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第1液としては、第1の黒糖アロエ液を採用できる。第1の黒糖アロエ液は、次のようにして作成することができる。まず、キダチアロエ15kgに対し、黒糖15kg、はちみつ7kg、梅エキス500cc、濃縮ミネラル液100ccの割合で混合し、1週間熟成し、液を搾取して、搾りとった液を第1液とする。上記濃縮ミネラル液は、海水を50倍に濃縮して作成した。アロエは100万分の1mmの大きさまで微粒子化処理して使用する。以下、アロエ及びアロエベラをはじめとする植物は同様に処理する。これによりイオン化されやすくなる。
【0051】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第2液としては、次のようにして作成される第2の黒糖アロエ液を採用できる。アロエエキス30リットルに対し、ブラウンシュガー15kg、黒糖15kg、自然塩200gの割合で混合し、混合した液を煮溶かして得た液を第2液とする。
【0052】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第3液としては、次のようにして作成される抽出液A、抽出液B、抽出液C及び抽出液Dを混合してなる野菜エキス液を採用できる。まず、長茄子、キュウリ、マッシュルーム、かぼちゃ、絹さや、いんげん、まいたけ、しめじ、小松菜、オレンジ、竹の子、ショウガ、フキ葉、梨、ふきのとう、にがうり、ほうれん草、紅玉、アロエベラ、青リンゴ、いちじく、セロリ、洋梨、はこべ、米ぬか、はぶ茶、ハスの葉、ウコン、黒豆、シイタケ、黄粉、まつたけ、ゴマ、クマザサ、しいの実、伊予柑、ザボン、プルーン、枝豆、エノキ茸、ピーマン、かぶ、柿葉、マンゴー、いちご、バジリコ、パイナップル、トマト、シシトウ、里芋、春菊、エシャレット葡萄、柿、月桂樹、洋梨、メロン、赤じそ、ほうじ茶、はと麦、人参、キウイ、クワイ、山うど、柚子、ライム、キンカン、ハス、レモン、とうがん、ジャスミン、ニンニク、松葉、玉葱、ターサ、芋がら、ブロッコリー、クレソン、みかん、グレープフルーツ、パパイヤ、パセリ、京みぶな、おおばこ、梅エキス、ワラビ、どくだみ、山芋、カリフラワー、アスパラ、銀杏葉、セリ、ザクロ、ツルムラサキ、菜の花、プ―アール、山クラゲ、そばの実、ペパーミント、花梨、ムラベツ、キャベツ、グリーンリーフ、根三ツ葉、サラダ菜、レタス、京菜、小豆、大根、タンポポ、ルイボス、からしな、空豆、なめこ、たらの芽、紅だて、ラディッシュ、棄玉葱、ニラ、ポンカン、水仙、わかめ、スペアミント、落花生、ピスタチオ、じゃが芋、枇杷薫、杏、ハイビスカス、くるみ、レモンバーベナ、レモンパーム、レモングラス、カモマイルジャーマン、レモンディライト、赤とさか、青とさか、伊勢海老キチンキトサンの137種の各材料を、それぞれが少なくとも重量比で0.2%以上の割合になるような任意の割合で、皮や殻など全て丸ごと混合し、混合材Aを作成する。この混合材A1kgに対し、1.5リットルのアルコールの割合で抽出を行い、抽出液A(アルコール抽出液)を得る。
【0053】
次に、にんにく、青梅、キダチアロエの各材料を、それぞれが少なくとも重量比で10%以上の割合になるような任意の割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Bを得る。混合材B1kgに対して1kgの黒糖の割合で抽出を行い、抽出液B(糖抽出液)を得る。抽出液Bの抽出法は、糖抽出すなわち糖による浸透圧を利用した抽出である。
【0054】
さらに、ウコン、大根、人参、メシマコブ、レイシ、アガリスク、牛蒡、米ぬか、スギナの各材料を、それぞれが少なくとも重量比で5%以上の割合になるような任意の割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Cを得る。混合材Cを煮沸して抽出を行い、抽出液C(煮沸抽出液)を得る。
【0055】
さらに、ウコンエキス、クマザサ液、クレソン液、スギナ液、ゴボウエキス、にんにくエキス、ワラビエキス、赤シソエキス、マイタケエキス、メシマコブエキス、レイシエキス、アガリスクエキス、大根エキス、人参エキス、羅漢花エキス、オオバエキス、シシトウエキス、昆布エキスの各材料を、大根エキスのみ2倍量で他は全て同じ重量ずつの割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Dを得る。混合材D1kgに対し1.5リットルのアルコールの割合で抽出を行い、抽出液D(アルコール抽出液)を得る。
【0056】
上記抽出液A、抽出液B、抽出液C及び抽出液Dを、それぞれが少なくとも重量比で10%以上の割合になるような任意の割合で、混合し、第3液を得る。
【0057】
第4液としてのキダチアロエのアルコール漬け液は、次のようにして作成することができる。まず、みじん切りにしたキダチアロエ13kgを20リットルのポリタンクにいれて、35度の焼酎をポリタンクが満杯になるまで注ぐ。1週間放置した後、これを搾取して第4液を得る。第4液はキダチアロエのアルコール漬け液である。第4液の原料は、アロエの中でも特に、薬効の高いキダチアロエが適する。
【0058】
第5液としてのアロエベラのアルコール漬け液は、次のようにして作成することができる。まず、みじん切りにしたアロエベラ13kgを20リットルのポリタンクにいれて、35度の焼酎をポリタンクが満杯になるまで注ぐ。1週間放置した後、これを搾取して第5液が得られる。第5液はアロエベラのアルコール漬け液である。第5液は、食用可能であるアロエベラを用いることが好ましい。
【0059】
上記第1液、第2液、第3液、第4液及び第5液、はちみつ、上記濃縮ミネラル液、プロポリス液、キチンキトサンエキスを、それぞれが少なくとも重量比で5%以上の割合になるような任意の割合で、混合し、第6液を得る。
【0060】
上記第1液~第5液を作成する過程で排出された搾りカス1kgに対し黒糖500g、はちみつ500gの割合で混合し、1週間熟成して、液を搾取する。搾取した液を第7液とする。
【0061】
上記第6液に、ミネラル分としての上記濃縮ミネラル液を、第6液が少なくとも60%以上、その他がそれぞれ重量比で1%以上20%以内の割合になるような任意の割合で混合する。この混合液に、第6液のもとである第1液、第4液及び第5液と、第7液とを、それぞれ全体量の10%以下となる範囲で加えて全体量を調整し、2週間程度常温にて保管して発酵させ、酸味がでてきたら、煮沸殺菌を行い、植物抽出物混合発酵液が得られる。上記草木灰は、草木を焼いてつくった灰である。また、上記糖分として黒糖を用いたが、ブドウ糖等、他の糖でもよい。
【0062】
上記植物抽出物混合発酵液を、空気のウルトラファインバブルを含有する水に添加して、採卵鶏の飲用水を作成する。植物抽出物混合発酵液の添加量は、空気のウルトラファインバブルを含有する水の0.01%以上0.5%以下である。この飲用水を、採卵用鶏に給与することにより、採卵量を更に増やすことができる。
【0063】
本実施形態の養鶏方法を適用する採卵用の鶏は、採卵を目的として飼育される鶏であれば特に限定されず、採卵用実用種のほか、卵肉兼用種であってもよいが、採卵用実用鶏が好ましい。また、採卵用実用種の鶏の種類は、特に限定されず、白玉鶏又は赤玉鶏のいずれでもよく、例えば、ジュリア、ジュリアライト、マリア等の白色レグホーン鶏や、ボリスブラウン等の褐色鶏が好ましい。
【0064】
また、採卵用の鶏の飼育形態としては、特に限定されず、平飼い、ケージ飼育、放し飼いのいずれもよい。
【0065】
図1は、本発明の実施形態の養鶏方法が行われる鶏舎に設けられた飲用水供給装置を示す模式図である。この鶏舎は、大雛期の鶏を導入し、導入した鶏に飼料と飲用水を給与して養育し、産卵させて、採卵を行うものである。この鶏舎は、採卵用鶏9を収容するケージと、ケージの中の鶏に餌を供給する図示しない給餌装置と、ケージの中の採卵用鶏9のために飲用水を供給する飲用水供給装置1を備える。
【0066】
飲用水供給装置1は、水道水に空気のウルトラファインバブルを含有させて、採卵用鶏の飲用水を製造すると共に、この飲用水を採卵用鶏9に供給するものである。なお、水道水のほか、地下水を用いてもよい。この飲用水供給装置1は、
図1に示すように、空気のウルトラファインバブルを含有する水を貯留するバブル水タンク2と、このバブル水タンク2の水が供給されて空気のウルトラファインバブルを添加してウルトラファインバブル水を製造する養鶏用飲用水製造装置としてのバブル水製造装置3と、バブル水タンク2から供給されるウルトラファインバブル水を貯留する貯水タンク4を備える。また、飲用水供給装置1は、貯水タンク4から採卵用鶏9の飲用水を導く供給管5と、供給管5に連なって分岐する複数の分岐管6と、分岐管6の夫々に設けられて飲用水を採卵用鶏9に与えるための給水器7を備える。上記複数の分岐管6の下流側は、互いに合流して戻り管8に接続され、この戻り管8の下流側が貯水タンク4に接続されている。
【0067】
バブル水タンク2は、ボールタップ11により水道水が供給され、水位が一定に保たれる。ボールタップ11は、バブル水タンク2の水位に応じて昇降する浮体と、この浮体に連結された流量調整弁を有し、水位が低下すると流量調整弁が開いてバブル水タンク2内の水位を一定に保持する。なお、ボールタップ11以外に、種々の構成の定水位弁を用いることができ、例えば、バブル水タンク2の水位を測定する水位センサと、この水位センサの測定値に基づいて弁開度が制御される流量調整弁を有するもの等を用いることができる。
【0068】
バブル水製造装置3は、バブル水タンク2から、原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水が供給され、この供給された水に空気のウルトラファインバブルを添加してバブル水タンク2へ戻すように形成されている。
【0069】
供給管5はバブル水バルブ13が介設され、このバブル水バルブ13により、貯水タンク4から分岐管6へ流す飲用水の流量が調節される。また、供給管5は、第2水道水バルブ12を介して水道に接続されており、この第2水道水バルブ12により、供給管5へ流れる水道水の流量が調節される。
【0070】
給水器7はニップル給水器であり、飲用水の吐出管と、この吐出管に連結された開閉弁を有し、上記吐出管に採卵用鶏9の嘴が接触すると開閉弁が開いて吐出管から飲用水が流出するように形成されている。なお、採卵用鶏9に飲用水を供給するものであれば、他の給水器を用いてもよい。
【0071】
バブル水製造装置3は、
図2に示すように、バブル水タンク2から原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水を吸引する第1ポンプとしての水中ポンプ21を備える。水中ポンプ21の流量が調整されることにより、このバブル水製造装置3によるウルトラファインバブル水の製造量が調整される。この水中ポンプ21の下流側には、水中ポンプ21から吐出される原料水に、矢印Aで示すように空気を吸引して混合して水と空気の混合流体を形成する混合器としてのエジェクタ22が設けられている。エジェクタ22には、空気を取り入れる吸気管に、混合流体に混合する空気の量を調整するための流量調整弁で形成された混合エア量調整弁29が連結されている。エジェクタ22の下流側には、混合流体を吸引する第2ポンプとしてのカスケードポンプ23が設けられている。カスケードポンプ23の下流側は、分岐部で戻し経路24と排出経路25に分岐されている。戻し経路24は、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する第1ウルトラファインバブル製造器26Aと、この戻し経路24を流れる混合流体の流量を調節する流量調整弁27が設けられている。この流量調整弁27で混合流体の流量が調節されるに伴い、戻し経路24の下流側の圧力も調節されるようになっている。この戻し経路24は、下流側が、エジェクタ22とカスケードポンプ23の間に接続されている。排出経路25には、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する第2ウルトラファインバブル製造器26Bが設けられている。排出経路25は、下流側がバブル水タンク2に連なっている。ここで、バブル水製造装置3の第1ポンプとしては、水中ポンプ以外に、陸上ポンプ等の容積ポンプを用いてもよい。また、第2ポンプとしては、カスケードポンプ以外のポンプを用いてもよいが、遠心ポンプを用いるのが好ましい。
【0072】
図3は、バブル水製造装置3に内蔵された養鶏用ウルトラファインバブル製造器としてのウルトラファインバブル製造器26を示す模式縦断面図である。
図4は、
図3の矢視Bにおける断面図であり、
図5は、
図3の矢視Cにおける断面図である。このウルトラファインバブル製造器26は、供給管41で供給される水と空気の混合流体を微細化し、空気のウルトラファインバブルを含有するウルトラファインバブル水を形成して、このウルトラファインバブル水を排出管42から排出するものである。
【0073】
ウルトラファインバブル製造器26は、概ね円筒形状のケーシング40と、このケーシング40の一端に接続されてケーシング40の内部に連通する供給管41と、上記ケーシング40の他端に接続された排出管42と、上記ケーシング40内に収容されて排出管42の端部に連結された微細化ブロック28を有する。上記排出管42は、上記ケーシング40の他端部を貫通して端部が内部に挿入されており、この排出管42の先端に連結された微細化ブロック28をケーシング40内に支持している。
【0074】
微細化ブロック28は円筒形状を有し、内部に、水と空気の混合流体が導かれる旋回流形成部としての第1旋回室31と第2旋回室33が形成されている。第1旋回室31と第2旋回室33は、扁平の円筒と半回転楕円を組み合わせた形状を有し、半回転楕円部分の頂点を対向させて、互いに同軸かつ対称に形成されている。微細化ブロック28と、この微細化ブロック28内の第1旋回室31と第2旋回室33は、ケーシング40と同軸に配置される。微細化ブロック28は、第1旋回室31が内部に形成された第1ブロック部品281と、第2旋回室33が内部に形成された第2ブロック部品282とで構成されている。
【0075】
図6は、第1ブロック部品281を示す断面図である。第1ブロック部品281は、微細化ブロック28の一端面を構成する円盤部分281aと、この円盤部分281aの中央部から微細化ブロック28の内側に向かって突出した突出部分281bとを有する。突出部分281bは、円盤部分281aに近い部分が円筒形状に形成されている一方、円盤部分から遠い先端部分は円錐台形状に形成されている。この第1ブロック部品281の内側に、第1旋回室31が形成されている。
【0076】
第1旋回室31は、一端側部分の壁面31aが円筒形状を有する一方、他端側部分の壁面31bが半回転楕円形状を有する。第1旋回室31の一端側部分の壁面31aが第1ブロック部品281の円盤部分の内側に概ね形成され、半回転楕円形状の他端側部分の壁面31bが第1ブロック部品281の突出部分の内側に概ね形成されている。第1ブロック部品281には、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第1旋回室31に導入する第1導入路35が形成されている。第1導入路35は、
図4に示すように、第1旋回室31の接線方向に形成されている。第1導入路35で導かれた混合流体を吐出する吐出開口35aが第1旋回室31の壁面に形成されている。また、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第1導入路35へ流入させる流入開口35bが、第1ブロック部品281の円盤部分281aの側面に形成されている。第1導入路35は、
図6に示すように、第1旋回室31の一端から他端に向けて、第1旋回室31の中心軸の直角面に対して角度θを成すように形成されている。第1導入路35の第1旋回室31の中心軸直角面に対する角度θは、1°以上20°以下に形成することができる。この角度θは、好ましくは5°以上15°以下であり、更に好ましくは8°以上12°である。第1ブロック部品281の突出部分281bの先端部には第1吐出孔32が形成されており、この第1吐出孔32から、第1旋回室31で形成された混合流体の旋回流が吐出されるように形成されている。
【0077】
図7は、第2ブロック部品282を示す断面図である。第2ブロック部品282は、一端側に厚い底が形成されて他端が開口した有底の円筒形状を有する。この第2ブロック部品282の開口から上記第1ブロック部品281の突出部分281bが挿入されて、他端面282aに第1ブロック部品281の円盤部分281aが連結されるようになっている。この第2ブロック部品282の内側面と、第1ブロック部品281の突出部分281bの外側面との間に、第1旋回室31からの旋回流と第2旋回室33からの旋回流が衝突する衝突室38が形成されている。第2ブロック部品282の内部には、第2旋回室33が形成されている。
【0078】
第2旋回室33は、一端側部分の壁面33aが円筒形状を有する一方、他端側部分の壁面33bが半回転楕円形状を有する。第2ブロック部品282には、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第2旋回室33に導入する第2導入路36が形成されている。第2導入路36は、
図5に示すように、第2旋回室33の接線方向に形成されている。第2導入路36で導かれた混合流体を吐出する吐出開口36aが第2旋回室33の壁面に形成されている。また、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第2導入路36へ流入させる流入開口36bが、第2ブロック部品282の一端側の側面に形成されている。第2導入路36は、
図7に示すように、第2旋回室33の一端から他端に向けて、第2旋回室33の中心軸の直角面に対して角度θを成すように形成されている。第2導入路36の第2旋回室33の中心軸直角面に対する角度θは、1°以上20°以下に形成することができる。この角度θは、好ましくは5°以上15°以下であり、更に好ましくは8°以上12°である。第2ブロック部品282の他端には第2吐出孔34が形成されており、この第2吐出孔34から、第2旋回室33で形成された混合流体の旋回流が吐出されるように形成されている。第2旋回室33で形成される旋回流は、第1旋回室31で形成される旋回流と、反対回りに旋回するように形成されている。このように、第1旋回室31と第2旋回室33は、中心軸の直角面に関して対称に形成され、第1吐出孔32と第2吐出孔34を対向して配置され、互いに反対回りに旋回する旋回流を生成するように形成されている。
【0079】
第2ブロック部品282の底部の外径側部分には、第2ブロック部品282の中心軸と平行に延在する複数の排出通路39,39,・・・が形成されている。これらの排出通路39,39,・・・は、第2旋回室33の外径側に、この第2旋回室33を取り囲むように配置されている。第2ブロック部品282の底面282bには、外径側部分に、衝突室38の流体を排出通路39,39,・・・に流入させる複数の流入口としての流入開口39a,39a,・・・が形成されている。この流入開口39aが形成された底面282bは、衝突室38に面する衝突室表面に該当する。第2ブロック部品282の一端面には、排出通路39,39,・・・で導かれた流体を吐出する複数の排出口としての吐出開口39b,39b,・・・が形成されている。第2ブロック部品282の一端は、排出管42に連結されており、上記排出通路39,39,・・・の吐出開口39b,39b,・・・から吐出された流体が、排出管42に流れるようになっている。
【0080】
上記ウルトラファインバブル製造器26は、カスケードポンプ23により水と空気の混合流体が圧送され、戻し経路24や排出経路25のウルトラファインバブル製造器26の上流側の部分である供給管41から、ケーシング40内に混合流体が流入する。ケーシング40内に流入した混合流体は、微細化ブロック28の外側面の流入開口35b,36bから第1及び第2導入路35,36に導かれる。第1導入路35に導かれた混合流体は、吐出開口35aから第1旋回室31内に吐出され、第1旋回室31内に旋回流を形成する。第1導入路35が第1旋回室31の接線方向に延在すると共に他端に向けて傾斜角度θを成すことにより、第1旋回室31内に、安定した旋回流が形成される。また、第2導入路36に導かれた混合流体は、吐出開口36aから第2旋回室33内に吐出され、第2旋回室33内に旋回流を形成する。第2導入路36が第2旋回室33の接線方向に延在すると共に他端に向けて傾斜角度θを成すことにより、第2旋回室33内に、安定した旋回流が形成される。上記第1旋回室31内の混合流体の旋回流は、第1吐出孔32から衝突室38へ吐出され、上記第2旋回室33内の旋回流は、第2吐出孔34から衝突室38へ吐出される。これらの第1吐出孔32と第2吐出孔34から吐出された旋回流は、互いに反対方向に旋回しており、これにより大きな衝撃力を伴って衝突室38内で衝突する。その結果、互いの混合流体の気体が効果的に微細化され、ウルトラナノバブルが生成される。こうして生成された空気のウルトラナノバブルを含有する水は、衝突室38から流入開口39a,39a,・・・を経て排出通路39,39,・・・に導かれ、吐出開口39b,39b,・・・から排出管42に排出される。この排出管42は、戻し経路24や排出経路25のウルトラファインバブル製造器26の下流側である。こうしてウルトラファインバブル製造器26で生成された空気のウルトラファインバブルを含有する水は、戻し経路24や排出経路25の下流側に導かれる。すなわち、第1ウルトラファインバブル製造器26Aから戻し経路24の下流側に空気のウルトラファインバブルを含有する水が流れ、第2ウルトラファインバブル製造器26Bから排出経路25の下流側に空気のウルトラファインバブルを含有する水が流れる。なお、ウルトラファインバブル製造器26で製造されるバブルは、ウルトラファインバブルのみに限られず、運転条件に応じてマイクロバブルも含まれ、また、マイクロバブルのみが製造される場合もある。
【0081】
このバブル水製造装置3は、混合エア量調整弁29の開度と、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23による混合水の吐出流量又は吐出圧力と、流量調整弁27の開度を調節することにより、排出経路25からのウルトラファインバブル及びマイクロバブルの粒径と濃度を調節することができる。
【0082】
例えば、流量調整弁27の開度が増大すれば、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小し、また、排出経路25からの排出量が減少する。これと共に、生成されるバブルの径の標準偏差が縮小して分布の幅が縮小し、バブルの径が比較的小さい値の狭い範囲に集中する。一方、流量調整弁27の開度が減少すれば、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が減少すると共に、バブルの径が拡大し、また、排出経路25からの排出量が増大する。これと共に、生成されるバブルの径の標準偏差が拡大して分布の幅が拡大し、バブルの径が比較的小さい値から大きい値にわたって広い範囲に拡散するようになる。
【0083】
また、カスケードポンプ23の吐出圧力が増大すると、この吐出圧力が1MPaよりも低い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小し、また、排出経路25からの排出量が増大する。吐出圧力が1MPaよりも高い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が低下すると共に、バブルの径が拡大する。一方、カスケードポンプ23の吐出圧力が減少すると、この吐出圧力が1MPaよりも低い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が減少すると共に、バブルの径が拡大し、また、排出経路25からの排出量が減少する。吐出圧力が1MPaよりも高い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小する。
【0084】
また、エジェクタ22の混合エア量調整弁29の開度を増大することにより、排出経路25から排出されるバブルのうち、1μm以上のバブルの割合が増加する一方、混合エア量調整弁29の開度を減少することにより、排出経路25から排出されるバブルの粒径のうち、1μm以上のバブルの割合が減少する。例えば、混合エア量調整弁29により、エジェクタ22の空気混合量を0.4L/minとすると、排出経路25から排出されるバブルの直径は、1μmを超えるものの割合が増大し、ウルトラファインバブルとマイクロバブルが生成される。一方、混合エア量調整弁29により、エジェクタ22の空気混合量を0.1L/minとすると、排出経路25から排出されるバブルの直径は1μmを下回るものが大半となり、実質的にウルトラファインバブルのみが生成される。
【0085】
また、このバブル水製造装置3は、排出経路25から排出される水のウルトラファインバブルの濃度を測定し、この測定値に基づいて、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力と、戻し経路24の流量を調節して、排出経路25のウルトラファインバブルの濃度を調節することができる。例えば、排出経路25のウルトラファインバブルの濃度が目標値よりも低い場合、流量調整弁27の開度を上げて戻し経路24の流量を増大させることにより、排出経路25から排出されるウルトラファインバブルの濃度が増大する。
【0086】
また、このバブル水製造装置3は、排出経路25の第2ウルトラファインバブル製造器26Bの上流側に第2流量調整弁を設け、この第2流量調整弁の開度と、混合エア量調整弁29の開度と、戻し経路24の流量調整弁27の開度と、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力を調節することにより、排出経路25から排出されるウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節してもよい。
【0087】
上記バブル水製造装置3は、図示しない制御装置を設け、この制御装置により、上記混合エア量調整弁29の開度と、上記流量調整弁27の開度と、上記第2流量調整弁の開度と、上記水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力を制御して、排出経路25からのウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節してもよい。
【0088】
このようにして、上記バブル水製造装置3により、安定して50~70nmのウルトラファインバブルを形成することができる。なお、戻し経路24と流量調整弁27と第1ウルトラファインバブル製造器26Aは、設けなくてもよい。すなわち、カスケードポンプ23の下流側に、排出経路25を第2ウルトラファインバブル製造器26Bのみを設け、第2ウルトラファインバブル製造器26Bのみによりウルトラファインバブルを生成してもよい。
【0089】
上記実施形態において、ウルトラファインバブル製造器26は、同軸上に中心軸の直角面に対して対称に形成された第1旋回室31と第2旋回室33を含む微細化ブロック28を含んでいたが、他の養鶏用ウルトラファインバブル製造器を用いてもよい。
図8は、変形例の養鶏用ウルトラファインバブル製造器を示す縦断面図である。
図9は、
図8の矢視Dにおける断面図であり、
図10は、
図8の矢視Eにおける断面図である。このウルトラファインバブル製造器126は、供給管41で供給される水と空気の混合流体を、微細化ブロック128で微細化し、空気のウルトラファインバブルを含有するウルトラファインバブル水を形成して、このウルトラファインバブル水を排出管42から排出するものである。
【0090】
このウルトラファインバブル製造器126は、一端が供給管41に連結され、他端が微細化ブロック128に連結された概ね円筒形状のケーシング140を有する。微細化ブロック128は、ケーシング140よりも小径の概ね円筒形状を有し、他端部分が他の部分よりも大きい径に形成されてケーシング140の他端部の内側面に嵌合している。この微細化ブロック128は、水と気体の混合流体が導かれる処理流路130と、この処理流路130の上流端に連通する旋回流形成部としての第1偏心供給路131と、上記処理流路130の長さ方向の略中央に連通する旋回流形成部としての第2偏心供給路132が内部に形成されている。処理流路130の中心軸を通る断面において、第1偏心供給路131の中心軸と、第2偏心供給路132の中心軸は、処理流路130の中心軸に対して直角に延在している。
【0091】
微細化ブロック128の処理流路130は、微細化ブロック128の中心軸に沿って、微細化ブロック128の一端面の近傍から、微細化ブロック128の他端面に至るまで形成されている。処理流路130の一端は、微細化ブロック128の一端面に貫通することなく微細化ブロック128内に留まっている一方、処理流路130の他端は、微細化ブロック128の他端面に開口を形成している。この処理流路130は、円形断面を有し、一端から他端に向かうにつれて径が増大するように形成されている。処理流路130の他端の開口には、排出管42が挿入されて、処理流路130が排出管42に連通している。
【0092】
微細化ブロック128の第1偏心供給路131は、微細化ブロック128の中心軸と直角の断面図である
図9に示すように、処理流路130の一端に連通するように2本形成されている。これらの2つの第1偏心供給路131は、処理流路130の中心に関して点対称に配置されている。これらの第1偏心供給路131は、微細化ブロック128の概ね径方向に延在し、微細化ブロック128の外周面に流入開口131aを形成し、処理流路130の内周面に吐出開口131bを形成している。これらの第1偏心供給路131は、円形断面を有し、流入開口131aから吐出開口131bに向かうにつれて径が小さくなるように形成されている。第1偏心供給路131の吐出開口131bは、処理流路130の軸方向視において、処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されている。ここで、
図8において、第2偏心供給路132は、この第2偏心供給路132の中心軸に沿った縦断面の形状を示しており、微細化ブロック128の中心軸を通る面で第2偏心供給路132を切断した様子を示していない。
【0093】
微細化ブロック128の第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の中心軸と直角の断面図である
図10に示すように、処理流路130の長さ方向の略中央に連通するように2本形成されている。これらの2つの第2偏心供給路132は、処理流路130の中心に関して点対称に配置されている。これらの第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の概ね径方向に延在し、微細化ブロック128の外周面に流入開口132aを形成し、処理流路130の内周面に吐出開口132bを形成している。これらの第2偏心供給路132は、円形断面を有し、流入開口132aから吐出開口132bに向かうにつれて径が小さくなるように形成されている。第2偏心供給路132の吐出開口132bは、処理流路130の軸方向視において、処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されている。この第2偏心供給路132の吐出開口132bは、第1偏心供給路131の吐出開口131bと、処理流路130の中心軸に関して反対側に偏心している。上記微細化ブロック128の第1偏心供給路131と第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の軸方向視において、互いに90°の角度を成すように配置されている。
【0094】
上記構成のウルトラファインバブル製造器126は、次のように動作する。まず、水と空気の混合流体が供給管41を通してケーシング140内に導かれる。ケーシング140内に流入した混合流体は、微細化ブロック128の外側面の流入開口131a,132aから第1及び第2偏心供給路131,132に導かれる。第1偏心供給路131に導かれた混合流体は、吐出開口131bから処理流路130内に吐出され、この処理流路130内に旋回流を形成する。第1偏心供給路131の吐出開口131bが処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されていることにより、処理流路130内に、安定した旋回流が形成される。こうして第1偏心供給路131から処理流路130内に導かれた混合流体は、旋回流となって処理流路130の一端から他端に向かって流れる。また、第2偏心供給路132に導かれた混合流体は、吐出開口132bから処理流路130内に吐出される。上記第2偏心供給路132の吐出開口132bは、処理流路130の中心軸に関して偏芯した位置に配置されていると共に、第1偏心供給路131の吐出開口131bと反対側に偏心していることにより、処理流路130を流れた旋回流に対して反対向きの旋回流を形成する。この第2偏心供給路132の吐出開口132bから吐出された混合流体の旋回流が、第1偏心供給路131から流れて来た旋回流と衝突する。その結果、互いの混合流体の気体が効果的に微細化され、ウルトラナノバブルが生成される。こうして生成された空気のウルトラナノバブルを含有する水は、処理流路130の他端に向かって流れ、排出管42を通ってウルトラファインバブル製造器126から排出される。
【0095】
上記変形例のウルトラファインバブル製造器126は、微細化ブロック128を製造する際、単一の金属材料に対する切削加工により、処理流路130、第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132を形成できる。したがって、少ない工数により容易に微細化ブロック128を製造できる。
【0096】
上記変形例のウルトラファインバブル製造器126において、微細化ブロック128の第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132は、処理流路130の軸方向視において互いに90°の角度を成すように配置されたが、互いに0度の角度を成すように配置されてもよい。また、微細化ブロック128の第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132は、いずれも2個ずつ設けたが、いずれか一方又は両方を1個ずつ設けてもよい。
【0097】
また、上記実施形態において、バブル水製造装置3は、他の構成のバブル水製造装置を採用してもよい。
図11は、変形例のバブル水製造装置103を示す模式図である。このバブル水製造装置103は、バブル水タンク2から原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水を吸引する第1ポンプとしての吸引ポンプ121を備える。
【0098】
上記吸引ポンプ121と並列に、吸引ポンプ121から吐出される原料水に、空気を混合して水と空気の混合流体を形成する混合器としてのエジェクタ122が設けられている。すなわち、吸引ポンプ121の吸入側と吐出側の間に、エジェクタ122が介設されている。エジェクタ122には、空気を取り入れる吸気管に、混合流体に混合する空気の量を調整するための流量調整弁で形成された混合エア量調整弁127が連結されている。混合エア量調整弁127の上流側には、空気を貯留する気体タンク124が接続されている。この気体タンク124は、大気から吸入した空気を浄化する清浄装置を設けるのが好ましい。
【0099】
上記吸引ポンプ121の下流側には、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する上記ウルトラファインバブル製造器26が接続されている。ウルトラファインバブル製造器26に替えて、変形例のウルトラファインバブル製造器126を接続してもよい。上記吸引ポンプ121とウルトラファインバブル製造器26との間には、ウルトラファインバブル製造器26に導かれる流体のうちの液体の圧力を測定する第1液圧センサ141が設けられている。ウルトラファインバブル製造器26の下流側には、流体を吸引する第2ポンプとしてのカスケードポンプ123が設けられている。ウルトラファインバブル製造器26とカスケードポンプ123との間には、ウルトラファインバブル製造器26から吐出される流体のうちの液体の圧力を測定する第2液圧センサ142が設けられている。この第2液圧センサ142の測定値に基づいて、制御装置143によりカスケードポンプ123の動作を制御するように構成されている。
【0100】
カスケードポンプ123の下流側には、ウルトラファインバブルを含有する水から、水に添加されずに残留した余剰の空気を分離する気液分離器125が接続されている。気液分離器125で分離された空気は、気体タンク124に戻される一方、ウルトラファインバブルを含有する水は、水タンク2に戻されるようになっている。ここで、バブル水製造装置103の第1ポンプとしては、水中ポンプ以外に、陸上ポンプ等の容積ポンプを用いてもよい。また、第2ポンプとしては、カスケードポンプ以外のポンプを用いてもよいが、遠心ポンプを用いるのが好ましい。
【0101】
この変形例のバブル水製造装置103は、混合エア量調整弁127の開度と、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の流体の吐出流量又は吐出圧力を調節することにより、バブル水タンク2へ導かれるウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節することができる。
【0102】
また、このバブル水製造装置103は、バブル水タンク2の水のウルトラファインバブルの濃度を測定し、この測定値に基づいて、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の吐出量と、混合エア量調整弁127の開度を調節して、バブル水タンク2のウルトラファインバブルの濃度を調節することができる。
【0103】
上記バブル水製造装置103は、第2の制御装置を設け、この第2の制御装置により、上記混合エア量調整弁127の開度と、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123による流体の吐出流量又は吐出圧力を制御して、バブル水タンク2のウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節してもよい。
【0104】
例えば、バブル水タンク2の流体に含まれる気泡の径を小さくするためには、混合エア量調整弁127の開度を下げてエジェクタ122への空気の供給量を低減し、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の運転を継続する。バブル水タンク2の流体が、吸引ポンプ121で吸引されてウルトラファインバブル製造器26に導かれ、含有する気泡が微細化されてカスケードポンプ123に吸引され、バブル水タンク2に戻される。バブル水タンク2の流体を、吸引ポンプ121、ウルトラファインバブル製造器26及びカスケードポンプ123に循環させることにより、この流体に含まれる気泡の径を効果的に小さくすることができる。
【0105】
また、例えば、バブル水タンク2の流体に含まれる気泡の濃度を増加させるためには、混合エア量調整弁127の開度を上げてエジェクタ122への空気の供給量を増やし、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の運転を継続する。バブル水タンク2の流体が、吸引ポンプ121で吸引されて一部がエジェクタ122に導かれて空気が添加される。また、他の部分は吸引ポンプ121からウルトラファインバブル製造器26に導かれる。流体の気泡がウルトラファインバブル製造器26で微細化され、カスケードポンプ123に吸引されて、バブル水タンク2に戻される。バブル水タンク2の流体を、吸引ポンプ121、エジェクタ122、ウルトラファインバブル製造器26及びカスケードポンプ123に循環させることにより、この流体に含まれる気泡の濃度を効果的に増大させることができる。
【0106】
上記バブル水製造装置103のウルトラファインバブル製造器26には、上流側と下流側の間、すなわち、供給管41の流体の圧力と排出管42の流体の圧力との間に、4MPa以上6MPa以下の圧力差が生じるように、吸引ポンプ121の吐出量とカスケードポンプ123の吸入量を調節するのが好ましい。この場合、供給管41における流体の圧力を、排出管42における流体の圧力よりも高く調節する。このように、ウルトラファインバブル製造器26の上流側と下流側の間に、4MPa以上6MPa以下の圧力差を生じさせることにより、ウルトラファインバブル製造器26により安定してウルトラファインバブルを含有する水を製造することができる。
【0107】
このようにして、変形例のバブル水製造装置103により、安定して50~70nmのウルトラファインバブルを形成することができる。また、このバブル水製造装置103は、空気以外に、酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造してもよい。酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造する場合、水に添加されなかった余剰の酸素や水素を、気液分離器125で分離して、気体タンク124に戻すことにより、酸素や水素がバブル水製造装置103の外部に漏洩する不都合を防止できる。したがって、酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造する場合に、酸素や水素の漏洩に起因する火災などの不都合を効果的に防止できる。
【0108】
上記実施形態において、ウルトラファインバブル製造器26の微細化ブロック28は、旋回流形成部としての第1旋回室31と第2旋回室33を有したが、2個に限られず、3個以上の旋回流形成部を有してもよい。また、ウルトラファインバブル製造器126の微細化ブロック128は、旋回流形成部としての第1偏心供給路131と第2偏心供給路132を有したが、2個に限られず、3個以上の旋回流形成部を有してもよい。
【0109】
また、上記実施形態において、採卵用鶏に、空気のウルトラファインバブルを含有する水を給与したが、空気以外に、水素や酸素等の他の気体のウルトラファインバブルを含有する水を給与してもよい。また、水以外に、微酸性電解水や、その他の各種の成分を含有する水にウルトラファインバブルを含有させた飲用水を給与してもよい。水素のウルトラファインバブルを含有する水を用いた場合と、酸素のウルトラファインバブルを含有する水を用いた場合においても、鶏の産卵の開始時期を早める効果や、鶏卵の生産性を向上できる効果が確認された。また、微酸性電解水を用いた場合においても、鶏の産卵の開始時期を早める効果や、鶏卵の生産性を向上できる効果が確認された。
【実施例】
【0110】
本発明の実施例では、採卵用鶏の飲用水として、上述のバブル水製造装置3により、次のような空気のウルトラファインバブルを含有する水を作成した。
算術個数平均径:89.8nm
最大頻出径:60.3nm
標準偏差:44.2nm
10%径:54.5nm
50%径:74.5nm
90%径:140.7nm
個数濃度:1.75×108個/mL
これらの値の測定は、日本カンタム・デザイン社製の名の粒子解析装置NANOSIGHT NS500にて行った。
【0111】
(試験1)
試験1では、採卵個数と産卵開始日について試験を行った。試験対象として、120日齢のボリスブラウン種の採卵鶏40羽を、10羽ずつ4群に分け、次の飲用水を給与して平飼により養育した。
試験群(1):地下水
試験群(2):空気のウルトラファインバブル水
試験群(3):植物抽出物混合発酵液の希釈水
試験群(4):試験群(2)と植物抽出物混合発酵液の混合水
上記試験群(3)及び(4)の植物抽出物混合発酵液として、株式会社T.Sエコファーム社製のT.Sミネターゼを用いた。試験群(3)は、ミネターゼの原液を、500倍の地下水で希釈して作製した。試験群(4)は、ミネターゼの原液を、500倍の空気のウルトラファインバブル水で希釈して作成した。
【0112】
図12は、飲用水の給与を開始した120日齢から148日齢までの間の産卵個数の累積を示したグラフである。120日齢から産卵を開始するまでに要した日数は、慣行区である試験群(1)が25日であったのに対し、試験群(2)及び(4)では11日であった。このように、空気のウルトラファインバブル水と、空気のウルトラファインバブル水と植物抽出物混合発酵液との混合水を、飲用水として用いることにより、採卵鶏の産卵の開始が14日早まることが確認された。飲用水の給与開始から39日目であって、159日齢の時点での鶏卵の総生産量は、試験群(1)と比較して、試験群(2)は1.63倍であり、試験群(3)は0.97倍であり、試験群(4)は1.68倍であった。このように、空気のウルトラファインバブル水と、空気のウルトラファインバブル水と植物抽出物混合発酵液との混合水を、飲用水として用いることにより、産卵の時期を早めることができ、その結果、採卵期間の全体における採卵量を増加させることができるといえる。
【0113】
(試験2)
試験2では、空気のウルトラファインバブル水を給与したときの飼料による産卵量と卵の大きさの影響について試験を行った。試験対象として、120日齢から600日齢までの間のボリスブラウン種の採卵鶏8000羽に、上記空気のウルトラファインバブル水を給与すると共に、CP16%の飼料を与える期間と、CP18%の飼料を与える期間を交互に設定し、産卵個数と卵のサイズの影響を確認した。採卵鶏8000羽のうち、2000羽が120~240日齢であり、2000羽が240~360日齢であり、2000羽が360~480日齢であり、2000羽が480~600日齢である。採卵鶏の飼育は高床鶏舎にて行った。
【表1】
【0114】
表1は、試験2の結果である。期間の第1期は、試験の開始から第1~10日であり、第2期は第131~138日であり、第3期は第139~179日であり、第4期は第180~204日である。表1において、MSは重量が52g以上58g未満の鶏卵であり、Mは58g以上64g未満の鶏卵であり、Lは64g以上70g未満の鶏卵であり、2Lは70g以上76g未満の鶏卵であり、大玉は76g以上の鶏卵である。第1期及び第2期は、120日齢の鶏のうち、未産卵の鶏が含まれる割合が多いため、検討の対象から除外する。第3期は、飼料がCP16%であるにもかかわらず、全ての卵のうち、Mサイズ以上の卵が95.2%であった。したがって、CP18%よりも安価なCP16%の飼料を用いて、流通可能な大きさの卵を高い割合で生産することができるので、飼料費を効果的に削減できる。また、第3期では、他のサイズよりも需要の多いMサイズとLサイズの卵を、第4期よりも多く生産できた。したがって、安価なCP16%の飼料を用いて、需要の多いM及びLサイズの卵を、CP18%の飼料を用いるよりも多く生産できるので、卵の生産効率を効果的に高めることができる。
【0115】
(試験3)
試験3では、飲用水の空気のウルトラファインバブルの有無による卵のサイズの違いについて試験を行った。試験対象として、150日齢のボリスブラウン種の採卵鶏に、上記空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を給与した試験群(5)と、空気のウルトラファインバブルを含有しない飲用水を給与した試験群(6)を設定し、同一のCP18%の飼料を給与した。試験群(5)と試験群(6)のいずれも、採卵鶏を8000羽ずつ養育した。その結果、試験群(5)については、1日の総産卵量5700個のうち、大玉が200個であった。試験群(6)については、1日の総産卵量5000個のうち、大玉が100個であった。このように、ウルトラファインバブルを含有する飲用水を給与することにより、大玉の卵を、効果的に生産することができる。
【0116】
本発明は、以上説明した実施の形態又は実施例に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 飲用水供給装置
2 バブル水タンク
3,103 バブル水製造装置
4 貯水タンク
5 供給管
6 分岐管
7 給水器
8 戻り管
9 採卵用鶏
11 第1水道水バルブ
12 第2水道水バルブ
13 バブル水バルブ
21 水中ポンプ
22 エジェクタ
23 カスケードポンプ
24 戻し経路
25 排出経路
26,126 ウルトラファインバブル製造器
27 流量調整弁
28 微細化ブロック
29 混合エア量調整弁
31 第1旋回室
33 第2旋回室
38 衝突室
40 ケーシング
41 供給管
42 排出管