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特許7187131画像生成装置、X線コンピュータ断層撮影装置及び画像生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】画像生成装置、X線コンピュータ断層撮影装置及び画像生成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A61B6/03 350X
A61B6/03 350S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2016077991
(22)【出願日】2016-04-08
(65)【公開番号】P2016198504
(43)【公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-03-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】14/681,797
(32)【優先日】2015-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・シルバー
(72)【発明者】
【氏名】イルマー ハイン
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー・ザミャチン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】福島 浩司
【審判官】樋口 宗彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/105583(WO,A1)
【文献】特開2011-194010(JP,A)
【文献】特開昭61-52859(JP,A)
【文献】特表2012-533081(JP,A)
【文献】特表2009-510400(JP,A)
【文献】特開2005-95329(JP,A)
【文献】特開2005-58760(JP,A)
【文献】国際公開第2006/057304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61B6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体をX線CTスキャンすることにより収集された投影データを取得する取得部と、
前記投影データに逐次近似再構成を施すことにより更新画像を生成する再構成部と、を具備する画像生成装置であって、
前記再構成部は、前記逐次近似再構成における反復毎において、順投影処理前の第1の事前画像に対し、システムオプティクスをモデル化した空間可変フィルタによりフィルタ処理をして前記フィルタ処理後の第2の事前画像を生成し、前記第2の事前画像の順投影データと前記投影データとに基づいて現在画像を生成し、前記現在画像と前記第1の事前画像とを組み合わせることにより前記更新画像を生成し、
前記空間可変フィルタは、ペンシルビームジオメトリの点拡がり関数を低域フィルタで畳み込んだフィルタであり、
前記点拡がり関数は、画像ぼけの測定値に基づいて決定され、
前記低域フィルタは、X線源及びボクセルぼけをモデル化するガウシアン・フィルタと、回転ぼけをモデル化するトップハット・フィルタとを含む、
画像生成装置。
【請求項2】
前記再構成部は、前記現在画像を生成する際、前記投影データから前記第2の事前画像の順投影データを減算する、請求項1記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記再構成部は、前記投影データから前記第2の事前画像の順投影データを減算して減算投影データを生成し、前記減算投影データを逆投影することにより前記現在画像を生成する、請求項記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記再構成部は、前記現在画像と、前回の反復において得られた更新画像である前記第1の事前画像とを組み合わせて前記更新画像を生成する、請求項1記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記再構成部は、所与の場所のボクセルを、1つ又は複数のX線検出器上に所与のビュー角で投影し、前記投影されたボクセルに対する前記点拡がり関数を得る、請求項1記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記再構成部は、前記所与の場所について、前記ボクセルを画像領域において、前記低域フィルタで畳み込む、請求項記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記低域フィルタは、前記トップハット・フィルタのトップハットぼけ関数の1/10値全幅で畳み込まれた、前記ガウシアン・フィルタのガウスぼけ関数の1/10値全幅としてモデル化される、請求項記載の画像生成装置。
【請求項8】
X線を発生するX線源と、
前記被検体に関する投影データを収集するために。前記X線源から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記投影データに逐次近似再構成を施すことにより更新画像を生成する再構成部と、を具備するX線コンピュータ断層撮影装置であって、
前記再構成部は、前記逐次近似再構成における反復毎において、順投影処理前の第1の事前画像に対し、システムオプティクスをモデル化した空間可変フィルタによりフィルタ処理をし前記フィルタ処理後の第2の事前画像を生成し、前記第2の事前画像の順投影データと前記投影データとに基づいて現在画像を生成し、前記現在画像と前記第1の事前画像とを組み合わせることにより前記更新画像を生成し、
前記空間可変フィルタは、ペンシルビームジオメトリの点拡がり関数を低域フィルタで畳み込んだフィルタであり、
前記点拡がり関数は、画像ぼけの測定値に基づいて決定され、
前記低域フィルタは、X線源及びボクセルぼけをモデル化するガウシアン・フィルタと、回転ぼけをモデル化するトップハット・フィルタとを含む、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
被検体をX線CTスキャンすることにより収集された投影データを取得し、
前記投影データに逐次近似再構成を施すことにより更新画像を生成する、
ことを具備する画像生成方法であって、
前記更新画像の生成において、前記逐次近似再構成における反復毎において、順投影処理前の第1の事前画像に対し、システムオプティクスをモデル化した空間可変フィルタによりフィルタ処理をし前記フィルタ処理後の第2の事前画像を生成し、前記第2の事前画像の順投影データと前記投影データとに基づいて現在画像を生成し、前記現在画像と前記第1の事前画像とを組み合わせることにより前記更新画像を生成し、
前記空間可変フィルタは、ペンシルビームジオメトリの点拡がり関数を低域フィルタで畳み込んだフィルタであり、
前記点拡がり関数は、画像ぼけの測定値に基づいて決定され、
前記低域フィルタは、X線源及びボクセルぼけをモデル化するガウシアン・フィルタと、回転ぼけをモデル化するトップハット・フィルタとを含む、
画像生成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像生成装置、X線コンピュータ断層撮影装置及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナから放出されるX線ビームは、一般に、多色である。しかし、第三世代CTスキャナは、検出器のエネルギー積分の性質によるデータに基づいて画像を生成する。これらの検出器は、エネルギー積分検出器と呼ばれ、エネルギー積分X線データを取得する。一方、光子計数検出器は、エネルギー積分の性質ではなく、X線源のスペクトルの性質を取得するように構成される。透過されたX線ビームのスペクトルの性質を得るために、光子計数検出器は、X線ビームをその成分エネルギー又はスペクトルビンに分割し、ビン各々の光子数を計数する。X線源のスペクトルの性質を利用したCTは、スペクトルCTと呼ばれる。スペクトルCTは、2つ以上のエネルギー準位で透過されたX線の検出を含むので、定義上、二重エネルギーCTを含む。
【0003】
スペクトルCTは、X線ビーム全てのスペクトルに含まれる更なる臨床情報を提供するので、スペクトルCTは従来のCTと比較して有利である。例えば、スペクトルCTは、組織を識別すること、カルシウムを含む組織とヨウ素を含む組織を区別すること及びより小さい血管の検出を強化することを容易にする。スペクトルCTは、ビームハードニングアーチファクトを減少させ、スキャナのタイプと無関係にCT値の正確さを向上させる。
【0004】
スペクトルCTを実施する際に積分検出器を使用されても良い。例えば、ガントリが被検体の周りを回転するときにデータを取得するため、互いに対して所定の角度で二個のX線源と二個の検出器とがガントリに配置さる。他の態様としては、kV切替えを実行する単一線源と単一の積分検出器とが組合されても良い。その組合せは、被検体の周りを回転するときにデータを収集するためにガントリに配置される。他の態様としては、被検体の周りを回転するときにデータを取得するために、単一線源と二層の検出器とがガントリに配置される。スペクトルCTのこれら態様の全ては、ビームハードニングや時間分解能、ノイズ、不十分な検出器応答、不十分なエネルギー分離のような、臨床的に利用可能な画像を再構成するうえで必要な課題を実質的に解決するに至っていない。
【0005】
逐次近似再構成(Iterative Reconstruction)は、上述のCTスキャナにおいて使用される。逐次近似再構成は、順投影データを、画像推定を介して測定データと比較し、順投影データと測定データとの差を使用して画像推定を更新する。測定データは、データをぼかす真のシステムオプティクス(system optics)、並びに散乱及びビームハードニング等の物理的効果の影響を受けている。再投影されたデータと測定データとが一致する場合、厳密解に近い良好な推定が再構成画像として得られる。再構成は、ペンシルビーム・ジオメトリ(geometry、幾何学的配置)と呼ばれる、点光源、点検出器、点画像ボクセル及びスナップショットによるデータ収集を仮定している。
【0006】
低線量下においてデータ忠実度は、ノイズと一致することも暗に意味しており、それは望ましくない。それゆえに、ほとんどのシステムは、解剖の特徴を維持しながらノイズを減少させるために反復中に挿入されるコスト関数を使用する。
【0007】
システムオプティクスモデリング(SOM)は、(1)線源の範囲、及び位置変動に伴う放射率の変動の態様、(2)検出器要素のサイズ、(3)線源と検出器要素との相対的ジオメトリ(システム倍率)、(4)画像ボクセルサイズ及び形状、並びに(5)各データサンプリングの間のガントリの回転に関する情報を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
目的は、再構成画像の画質の向上を低計算コストで実現可能な画像生成装置、X線コンピュータ断層撮影装置及び画像生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る画像生成装置は、被検体をX線CTスキャンすることにより収集された投影データを取得する取得部と、前記投影データに逐次近似再構成を施すことにより更新画像を生成する再構成部と、を具備する画像生成装置であって、前記再構成部は、前記逐次近似再構成における逆投影において順投影データにフィルタ処理を施し、前記フィルタ処理後の順投影データと前記投影データとに基づく現在画像を事前画像に組み合わせることにより前記更新画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態によるX線源から放射するX線ビームを示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る、データ領域における低域フィルタ(DLPF)が適用されたSOMを示す図である。
図4図4は、本実施形態によるデータ領域低域フィルタ(DLPF(xν,yν,β))について結果として生じる畳み込まれた曲線を示す図である。
図5図5は、本実施形態によるガウシアン・フィルタ成分を示す図である。
図6図6は、本実施形態によるトップハット・フィルタ成分を示す図である。
図7図7は、本実施形態による最終DLPFフィルタを示す図である。
図8図8は、本実施形態によるガウス幅を説明する図である。
図9図9は、本実施形態によるトップハット幅を説明する図である。
図10図10は、本実施形態による逐次近似再構成の流れを示す図である。
図11図11は、本実施形態によるDLPFを利用した逐次近似再構成の流れを示す図である。
図12図12は、本実施形態による画像領域でのIR-SOM LPFを説明する図である。
図13図13は、本実施形態による画像領域でのIR-SOM LPFの実装態様を説明する図である。
図14図14は、本実施形態による画像領域でのIR-SOM LPFを示す流れ図である。
図15図15は、本実施形態によるデータ領域及び画像領域が等価であることの検証を示す図である。
図16図16は、本実施形態による検証のための投影データの生成で使用されるシミュレートされた点拡がり関数(PSF)ファントムを示す図である。
図17A図17Aは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域及び真のPSFを比較する説明する図である。
図17B図17Bは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域及び真のPSFを比較する説明する図である。
図17C図17Cは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域及び真のPSFを比較する説明する図である。
図17D図17Dは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域、及び真のPSFを比較する説明する図である。
図17E図17Eは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域及び真のPSFを比較する説明する図である。
図17F図17Fは、本実施形態による図16のファントムに対するデータ領域、画像領域及び真のPSFを比較する説明する図である。
図18図18は、本実施形態に係る画像再構成法の流れを示す図である。
図19図19は、本実施形態の再構成部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる画像生成装置、X線コンピュータ断層撮影装置及び画像生成方法を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す。図1に示すように、X線撮影ガントリ100は、側面から見て示され、X線管101と、環状フレーム102と、多列又は2次元アレイタイプX線検出器103とを含む。X線管101及びX線検出器103は、回転軸RAの周りに回転可能に支持される環状フレーム102上の被検体Sを横切って正反対に装着される。回転部107が環状フレーム102を0.4秒/回転などの高速で回転させる。環状フレーム102の回転中、被検体Sは軸RAに沿って移動されても良い。
【0013】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管101がX線を生成するために、スリップリング108を通してX線管101に印加される管電圧を生成する高電圧発生器109をさらに含む。X線は被検体Sに向けて放出される。X線検出器103は、被検体Sを透過したX線を検出するためにX線管101から被検体Sを横切った反対側に配置される。X線検出器103は、個々の検出器要素又はユニットをさらに含む。
【0014】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出器103からの検出信号を処理するための他のデバイスをさらに含む。データ収集回路(DAS:data acquisition system)104は、各チャネルのX線検出器103から出力された信号を電圧信号に変換し、その信号を増幅し、さらに、その信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号は、生データと呼ばれる。X線検出器103及びDAS104は、所定の1回転当たりの総投影数(TPPR)を扱うように構成される。TPPRの例は、限定はしないが、900TPPR、900~1800TPPR、及び900~3600TPPRを含む。
【0015】
生データは、X線撮影ガントリ100の外側のコンソールに収容されている前処理部106に非接触データ伝送部105を介して伝送される。前処理部106は、生データへの感度補正等の前処理を実行する。前処理された生データは、投影データと呼ばれる。記憶部112は、投影データを記憶する。記憶部112は、データ/制御バス111を介してシステム制御部110に、再構成部114、入力部115及び表示部116とともに接続される。
【0016】
X線検出器103は、CTスキャナシステムの様々な世代において被検体に対して回転及び/又は固定される。上述のCTスキャナシステムは、第3世代ジオメトリと第4世代ジオメトリを組み合わせたシステムの一例である。第3世代システムでは、X線管101及びX線検出器103は、環状フレーム102に正反対に装着される。環状フレーム102が回転軸RA周りに回転されるとX線管101及びX線検出器103は、被検体Sの周りに回転される。第4世代ジオメトリシステムでは、検出器は被検体の周りに固定して配置され、X線管は被検体の周りを回転する。
【0017】
なお、X線撮影ガントリ100は、Cアーム及びスタンドによって支持される環状フレーム102に配列された多数の検出器を有しても良い。
【0018】
従来の逐次近似再構成は、上述の如何なる世代のCTスキャナシステムに実装されるとしても、幾つかの典型的な問題を有している。第1は、フィルタ補正逆投影を用いる標準再構成は、低線量データ収集において適応フィルタ処理を必要とする。しかしながら、そのようなシステムは、特に軟組織境界の分解能を維持することが困難である。
【0019】
第2は、逐次近似再構成は、多くの場合、低線量CTで使用されるので、全変動や異方性拡散、双方向フィルタ等に基づくコスト関数が使用される。しかしながら、これらの手法の全ては、CTA(CT Angiography)スキャンにおいて、ノイズドットと第二次及び第三次の血管等の小さい解剖学的特徴とを区別することが困難である。別の問題は、軟組織器官の境界の鮮鋭度の維持である。従来のシステムは、この問題を、画像再構成プロセスに画像システムの真のビーム幅を含むように試みるシステムオプティクスモデル(SOM)を組み込むことによって解決している。しかしながら、そのようなシステムでは、処理時間が長すぎる。
【0020】
第3は、SOMを組み込む標準方法は、アイソセンタの周りの多数の測定値を平均することである。この方法は、アイソセンタの近くの画像領域において利益をもたらし、またアイソセンタから離れたところにおいて妥当な近似を与える。しかしながら、多くのマイクロ・レイ(micro-ray)に亘り計算された平均は、各検出器センサがマイクロセンサの5×5アレイに分割されること、焦点スポットが焦点スポットの7×3アレイに分割される(各々がそれ自体の放射率関数をもつ)こと、及び5つのマイクロ・ビュー(micro-view)が、各記録されたビュー信号に対して回転の間の信号積分の詳細を明らかにするために使用されることが含まれ得る。逐次近似再構成は、計算負荷を一桁だけ既に増加させており、標準SOMは、計算負荷を更に5×5×7×3×5=2625倍増加させている。更にマイクロ・レイの数が減少する場合、SOMを使用する利益は失われることがある。
【0021】
本実施形態は、計算の複雑さをSOMのない逐次近似再構成以上に実質的に増加させることなしに、ノイズ低減のためにコスト関数を使用しながら画像鮮鋭度を維持あるいは改善する。本実施形態においてシステムオプティクスは、空間及びビュー可変の低域フィルタとしてモデル化される。当該低域フィルタは、再投影(すなわち、順投影)工程、又は再投影に先立つ推定画像の画像領域での何れかに適用され得る。このプロセスは、マイクロ・レイ及びマイクロ・ビュー、並びに距離駆動法(distance driven method)を実施することよりも計算コストが大幅に少ない。
【0022】
上記のアイソセンタ周りの測定値を平均する方法においてフィルタは、空間的に不変になり、従って処理が高速である。システムオプティクスモデルは、一連のCT画像におけるぼけの詳細を定義する。本実施形態においてキャリブレーションファントムは、超低密度発泡体又は他の低密度支持デバイスに収容される。キャリブレーションファントムは、アイソセンタの近くに配置され、非常に小さく(直径が1mm以下)、高密度で、高原子番号の球からなる。キャリブレーションファントムをスキャンすることにより、ぼけを測定することができるので、モデル化の必要はない。このアイソセンタ制限は、ぼけがFOV内の位置に依存するため必要である。
【0023】
ぼけやビーム幅、クロストーク等の原因は、測定されるので重要ではない。更にアイソセンタ近似により、アイソセンタの近くの画像領域のSOMの利益と、アイソセンタから離れたところの妥当な近似とを得ることができる。アイソセンタは、多くの場合、画像の診断上最も重要な領域である。
【0024】
点拡がり関数(PSF)が測定値から決定された後、PSFは、逐次再構成の反復過程において順投影の後段に配設された畳み込みカーネルとして使用される。なお、点拡がり関数の決定は、工場で一回だけ行われる必要がある。畳み込み演算は、他の処理ステップと比較して計算上相対的に安価である。
【0025】
上述のアイソセンタ実施形態への幾つかの変更が与えられる。PSFの測定及び使用は、検出器セルの画像ボクセルサイズによって引き起こされる逆投影ぼけを組み込むために距離駆動逆投影に組み合わされる。PSFは、単一の測定値に基づいて生成しても良く、又は、より好適には、測定値が特定の位置に起因して偏らないようにアイソセンタの周りの多数の測定値の平均に基づいて生成しても良い。ここで、試験球は、検出器セルの「特別な」区域上に突き出ている。PSFはマイクロ・レイ手法を使用して推定されても良い。しかしながら、この推定量には、クロストークなどのぼかしのX線源が含まれない。PSFの畳み込みは、対数演算の後に適用される場合、より効率的である。
【0026】
本実施形態によれば、データ領域における逐次近似再構成-システムオプティクスモデリング(IR-SOM)低域フィルタ(DLPF)概念が開示される。図2は、X線源101から放射して、被検体を通り、X線検出器103で検出されるX線ビームを示す。所与のX線源ジオメトリでは、ガントリ回転の間、位置(xν,yν)に配置された半径Rνを有するボクセルVOのX線検出器103へのビュー角βでの投影は、PSF-SOM(xν,yν,β)で与えられる。PSFは、点光源又は点対象物に対する画像化システムの応答を記述する。PSFは、収束光学系(focused optical system)ではシステムのインパルス応答と見なすことができる。図2に示すように、X線源101の右前部の角及び左後部の角は、関数PSF-SOM(xν,yν,β)で表される歪み又はぼけを引き起こす。しかしながら、右前部の角及び左後部の角に限らずぼけを引き起こすことに留意されたい。破線201は、1つのビューを収集する間にX線源101が横断する区域を表す。対象物に交差する破線201内から放射するレイは全てぼけの一因になる。破線203は、PSFの境界を画定する境界レイを表す。図の簡単のため、中間のレイは描かれていない。
【0027】
図3は、図2に対応し、データ領域におけるLPF(DLPF)が適用されたSOMを示す。DLPFモデル化の場合には、点光源101及び点ボクセルVOを使用しており、ガントリ回転ぼけがないペンシルビーム(PB)ジオメトリが逐次近似再構成において仮定されている。点ボクセルVOの投影は、PSF-PB(xν,yν,β)で与えられる。従って、図2に示されたPSF-SOM(xν,yν,β)の現実の場合は、PSF-PB(xν,yν,β)をデジタルフィルタDLPF(xν,yν,β)で畳み込むことによって推定され得る。
【0028】
さらに、DLPFは、図4に示されるように、2つのフィルタ、すなわち、ガウシアン・フィルタ(Gaussian filter)及びトップハット・フィルタ(TopHat filter)の畳み込みとしてモデル化することができる。ガウシアン・フィルタは、X線源及びボクセルぼけをモデル化するために使用され、トップハット・フィルタは、回転ぼけをモデル化するために使用される。回転ぼけは、データ収集回路104による検出信号の積分時間中におけるガントリ運動により生じる。ガウシアン・フィルタの1/10値全幅はDWGSで与えられ、トップハット・フィルタの1/10値全幅はDWTHで与えられる。2つの関数が、フィルタDLPFを作成するために畳み込まれる。図4は、DLPF(xν,yν,β)について、結果として生じる畳み込み曲線を示す。
【0029】
ガウシアン・フィルタ成分の形状は、図5に示される曲線によって示される。曲線の1/10値全幅(FWTM)はDWGS(xν,yν,β)で与えられる。その結果として、ガウシアン・フィルタ成分σは、下記の式により規定される。なお、Pは1/10値全幅であり、具体的には、P=0.1である。
【0030】
【数1】
【0031】
離散ガウシアン・フィルタ(DGS)は、下記の式により規定される。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、Δcはチャネルのチャネル間隔であり、例えば、公称で1.0である。この場合、離散ガウシアン・フィルタ(DGS)は、下記の式により規定される。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで、点の数NPtsGSは、下記の式により規定される。
【0036】
【数4】
【0037】
トップハット・フィルタ成分の形状は、図6に示される曲線によって示される。トップハット・フィルタ(DTH)は、下記の式により規定される。
【0038】
【数5】
【0039】
離散トップハット・フィルタ(DTH)は、下記の式により規定される。
【0040】
【数6】
【0041】
点の数NPtsTHは、下記の式により規定される。
【0042】
【数7】
【0043】
図7は、離散トップハット・フィルタDTHと離散ガウシアン・フィルタDGSとの離散畳み込みである最終DLPFフィルタを示す。DLPFフィルタフィルタは、畳み込みの後、下記の正規化式を使用して正規化される。ここで、DLPF’は、畳み込み直後の非正規化フィルタである。
【0044】
【数8】
【0045】
ガウス幅DWGSの計算は、図8を参照して与えられることになる。ガウス幅DWGSは、下記の式により規定される。
【0046】
【数9】
【0047】
SOMにおけるX線源のフットプリントChFPSOM(xν,yν,β)は、SOMにおけるX線源に起因する、点(xν,yν,β)に位置するボクセルのフットプリントである。GSScaleは、実験的に決定されたパラメータ(例えば、0.67)である。SOMにおけるX線源のフットプリントChFPSOM(xν,yν,β)は、下記の式により規定される。
【0048】
【数10】
【0049】
x-y平面中の矩形X線源は、中心点(xs,ys)と、角点(xs1,ys1)、(xs2,ys2)、(xs3,ys3)とによって定義される。角点(xsn,ysn)ごとに、X線源点から放射するレイは、点(xt,yt)でボクセル(xν,yν)に接することになり、チャネルChでX線検出器103と交差することになる。SOMにおけるX線源のフットプリントは、4つの角点の全てから決定された最大及び最小チャネル位置である。γν≧0では、ChLはレイS1tLにより規定され、ChUはS3tUからのレイにより規定される。γν<0では、ChLはレイS4tLにより規定され、ChUはレイS2tUにより規定される。
【0050】
トップハット幅DWTHの計算は、図9を参照して与えられることになる。トップハット幅DWTHは、下記の式により規定される。
【0051】
【数11】
【0052】
回転フットプリントChFPROT(xν,yν,β)は、積分時間中の点X線源の回転に起因する、点(xν,yν,β)におけるボクセルのフットプリントである。THScaleは、実験的に決定されたパラメータ(例えば、0.9)である。回転フットプリントChFPROT(xν,yν,β)は、下記の式により規定される。
【0053】
【数12】
【0054】
図9において、開始ビューβsでのX線源のボクセルフットプリントは、ChLνs及びChUνsにより規定され、終了ビューβeでのボクセルフットプリントはChLνe及びChUνeにより規定される。回転ぼけフットプリントは、ビューβsでのDAS積分時間の開始及び終了に対応する開始及び終了ビューβs及びβeにより規定される。ChFPSOMと同様に、X線源から放射してボクセルに接するレイは、チャネルChでX線検出器に交差することになる。ChFPROTでは、レイとチャネルとの交差は、単一のX線源について開始及び終了ビューで計算される。
【0055】
図10は、一般的な逐次近似再構成の流れを示す図である。現在の順投影データPDfがオリジナルの投影データ(RawData)から減算され、順投影データPDfとオリジナルの投影データとの差分PDsを逆投影して、現在画像IMGSが生成される。現在画像IMGSが以前の画像IMGnに組み合わされて、更新画像IMGn+1が生成される。
【0056】
図11は、本実施形態に係るDLPFを用いた逐次近似再構成の流れを示す図である。フィルタは、空間的に依存しており、差分PDsではなく順投影データPDfに適用されなければならない。従ってフィルタDLPFは、下記の第1式の右辺の第2項で示されるように、逆投影において適用されなければならない。
【0057】
【数13】
【0058】
図11は、現在の画像IMGS[i,j]が以前に得られた画像IMGn[i,j]と組み合わされ、それにより、更新された画像IMGn+1[i,j]がもたらされることを示している。すなわち、まず、現在の順投影データPDfにフィルタDLPFを適用し、フィルタ処理後の投影データ(上記第1式の右辺の第2項)を生成してオリジナルの投影データ(RawData)からフィルタ処理後の投影データを減算して、差分投影データを生成する(上記第1式の右辺)。その後、差分投影データを逆投影して現在画像IMGSを生成し、現在画像IMGSと以前の画像IMGnとを加算して更新画像IMGn+1を生成する。
【0059】
図12は、画像領域IR-SOM LPFの一実施形態を示す。データ領域フィルタは、画像領域フィルタに変換され、投影データではなく画像データに適用され得る。DWTH及びDWGSの画像領域等価物は、それぞれ、DWTHの画像領域等価物IWTH及DWGSの画像領域等価物IWGSである。IWGSに関するデータ領域から画像領域へのフィルタ長とIWTHに関するデータ領域から画像領域へのフィルタ長とは、下記の式により規定される。
【0060】
【数14】
【0061】
画像領域フィルタILPFは、上述のDLPFと同じ方法で計算され、唯一の違いは、DWTH、DWGS、DTH、DGS、DLPF及びNPtsDLPFが、それらの画像領域等価物、IWTH、IWGS、ITH、IGS、ILPF及びNPtsILPFに入れ替えられることである。ΔcもΔxyに入れ替えられている。Δxyは、mm単位のボクセル間隔である。
【0062】
図13は、画像領域IR-SOM LPFの一実装態様を示す。画像ボクセルは1Dであり、フィルタ処理されるべきボクセル(xν,yν)を通過するX線源-ボクセルレイに垂直である1Dラインに沿ってフィルタ処理される。フィルタ処理ラインに沿った位置(xp,yp)でのボクセル値は、バイリニア補間(BLI)又は最近傍法によってIMGからフィルタ・バッファFBへと計算される。フィルタ・バッファFBは、下記の式により規定されるように、出力ボクセルIMGF[iν,jν]を生成するためにフィルタ処理される。
【0063】
【数15】
【0064】
図14は、本実施形態に係る画像領域でのIR-SOM LPFの流れを示す図である。画像領域フィルタ処理は、順投影に先立って画像に適用される。そのため、順投影(FPJ)及び逆投影(BPJ)は修正される必要がない。
【0065】
図15を参照しながら、データ領域及び画像領域の実装態様が等価であることを検証する。DLPFで畳み込まれたペンシルビーム点拡がり関数(PB-PSF)は、図15の上段のボックスに示されるように、システムオブジェクトモデル点拡がり関数(PSF-SOM)に一致する。ILPFで畳み込まれた順投影点ボクセルは、図15の中段のボックスに示されるように、PSF-SOMに一致する。
【0066】
様々な位置(x,y)に配置された細線についてシミュレートされたPSF投影データが、図16に示されるように、PSF-SOM及びPSF-PBにより生成される。シミュレートされた点ボクセル画像も生成される。
【0067】
図17A、17B、17C、17D、17E及び17Fは、図16に示された異なる6つの点でのPSFについてデータ領域実装態様と画像領域実装態様とを比較している。プロットは、現実の実際の場合を、システムオプティクスモデリング(PSF-SOM)、ペンシルビームの場合(PSF-PB)、PSF-PBで畳み込まれたデータ領域低域フィルタ(PSF-DLPF)及び画像領域低域フィルタ(PSF-ILPF)と比較している。6つの点の各々で示されているように、データ領域PSF-DLPF及び画像領域PSF-ILPFは、互いに非常に類似しており、また、現実の場合のPSF-SOMにも非常に類似している。
【0068】
図18は、本実施形態に係る画像再構成方法1800の流れを示す図である。ステップS1810において被検体のスキャン中に収集された投影データを、前処理部106を介して得ることを含む。スキャンは、X線管101によるX線の発生とX線検出器103によるX線の検出とを行いながら、X線管101とX線検出器103とが配置された環状フレーム102を回転部107が回転させることにより行われる。X線検出器103は、検出されたX線の検出信号を生成し、データ収集回路104は、検出信号に応じた生データを生成する。生データは、非接触データ伝送部105により前処理部106に伝送される。前処理部106は、生データに前処理を施してオリジナルの投影データを生成する。
【0069】
ステップS1820において再構成部114は、システムオプティクスをモデル化するために逆投影の間順投影データをフィルタ処理することによって投影データの逐次近似再構成を実行する。
【0070】
ステップS1830において再構成部114は、現在画像を生成するために投影データからフィルタ補正順投影データを減算する。
【0071】
ステップS1840において再構成部114は、更新された画像を生成するために現在画像を以前に得られた画像と組み合わせる。
【0072】
すなわち、再構成部114は、オリジナルの投影データに逐次近似再構成を実行して更新画像を再構成する。具体的には、逐次近似再構成中の所与の反復において再構成部114は、順投影データに本実施形態に係るフィルタ処理を施しフィルタ処理後の順投影データを生成する。順投影データは、再構成部114により、当該反復の前の反復において生成された更新画像を順投影することにより生成される。次に再構成部114は、オリジナルの投影データからフィルタ処理後の順投影データを減算して差分投影データを生成する。再構成部114は、差分投影データに逆投影処理を施して現在画像を生成する。再構成部114は、現在画像と、当該現在画像の前の反復において生成された前画像とを加算して更新画像を生成する。
【0073】
画像再構成方法1800は、また、所与の場所のボクセルを1つ又は複数のX線検出器上に所与のビュー角で投影することと、投影されたボクセルのPSFを得ることとを含むことができる。画像再構成方法1800は、また、所与の場所について、投影された点ボクセルをデータ領域低域フィルタで畳み込んでも良い。データ領域低域フィルタは、トップハットぼけ関数の1/10値全幅で畳み込まれたガウスぼけ関数の1/10値全幅としてモデル化され得る。
【0074】
コンピュータ実行可能命令が具体化されたコンピュータ可読媒体により、コンピュータは本実施形態に係る画像再構成方法を実行することができる。
【0075】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、逐次近似再構成をシステムオプティクスモデル(SOM)と組み合わせるための処理回路を含む。SOMは、データ領域に空間可変フィルタを有することができる。データ領域の空間可変フィルタは、FOVのアイソセンタでの又はその近くでのキャリブレーション・ピン・ファントムの測定値を有する。データ領域の空間可変フィルタは、X線源、関連するX線検出器、又はボクセル寄与のぼけを表す位置依存ガウス関数を含んでも良い。データ領域の空間可変フィルタは、データサンプリングの間のガントリ回転ぼけを表す位置依存トップハット関数で畳み込まれても良い。畳み込まれた空間可変フィルタは、さらに、画像化逐次近似再構成計算の順投影データで畳み込まれも良い。SOMは、また、画像領域に空間可変フィルタを有することができる。画像領域の空間可変フィルタは、ガウス関数及びトップハット関数の空間依存畳み込みでも良い。
【0076】
本実施形態に係る逐次近似再構成は、低線量下においても、フィルタ補正逆投影と比較してより高品質の画像を再構成することができる。本実施形態に係る逐次近似再構成は、標準の逐次近似再構成と比較して、より良好なエッジ及び解剖学的特徴を保持し、空間分解能を向上することができる。本実施形態に係る逐次近似再構成は、非線形空間可変逆畳み込みを逐次近似再構成に基づくアルゴリズムに組み込むことにより、従来の方法よりも計算効率を向上することができる。
【0077】
上述の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に組み込まれた又は単体の再構成部114により実現することができる。当該再構成部114は、コンピュータ装置に実装される。図19は、コンピュータ装置に実装された再構成部114の構成を示す図である。再構成部114は、コンピューティングシステムのメモリ、プロセッサ及び回路を使用して実現することができる。図19において、再構成部114は、上述の逐次近似再構成を実行するCPU1900を含む。逐次近似再構成に関するプロセスデータ及び命令は、メモリ1902に記憶され得る。これらのプロセスデータ及び命令は、ハードドライブ(HDD)又は携帯用記憶媒体などの記憶媒体ディスク1904に記憶することもでき、又は遠隔に記憶することができる。なお本実施形態は、プロセスの命令が記憶されるコンピュータ可読媒体の形態によって限定されない。例えば、命令は、サーバ又はコンピュータなどのコンピューティングシステムが通信する任意の情報処理デバイスに記憶され得る。このような情報処理デバイスとしては、例えば、CD、DVD、FLASHメモリ、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM(登録商標)及びハードディスク等が挙げられる。
【0078】
さらに再構成部114に含まれるCPU1900は、汎用のオペレーティングシステム及び当業者に知られている他のシステムと協同して実行する、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン又はオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組合せとして提供され得る。
【0079】
CPU1900は、既存の如何なるプロセッサを利用することができる。あるいは当業者によって認識されている他のプロセッサタイプとすることができる。あるいは、CPU1900は、FPGA、ASIC、PLDに、又は当業者が認識しているような個別の論理回路を使用して実装されても良い。さらに、CPU1900は、上述の逐次近似再構成のプロセスの命令を実行するために協同して並列に働く多数のプロセッサとして実装されても良い。
【0080】
図19の再構成部114は、また、ネットワーク19とインターフェース接続するためにネットワーク制御回路1906を含む。ネットワーク19は、インターネットなどの公衆ネットワーク又はLANもしくはWANネットワーク等のプライベートネットワーク、又はそれらの任意の組合せとすることができ、PSTN又はISDNサブネットワークを含むこともできる。ネットワーク19は、有線又は無線でも良い。
【0081】
再構成部114は、汎用のディスプレイ1910と表示制御回路1908とをさらに含む。汎用のI/Oインターフェース1912は、キーボード及び/又はマウス1914、ならびにディスプレイ1910上のもしくはディスプレイ1910から離れているタッチスクリーンパネル1916とインターフェース接続される。I/Oインターフェース1912は、汎用のプリンタ及びスキャナを含む様々な周辺機器1918に接続される。
【0082】
スピーカ/マイクロホン1922とインターフェース接続し、音響や音楽を提供するために音響制御回路1920が再構成部114に実装されても良い。
【0083】
汎用の記憶制御回路1924を介して、記憶媒体ディスク1904は通信バス1926に接続される。通信バス1926は、再構成部114の構成要素の全てを相互接続させる。ディスプレイ1910、キーボード及び/又はマウス1914、表示制御回路1908、記憶制御回路1924、ネットワーク制御回路1906、音響制御回路及び汎用I/Oインターフェース1912は、既存の機器が用いられれば良いので、一般的な特徴及び機能の説明は省略する。
【0084】
かくして、再構成画像の画質の向上を低計算コストで実現することが可能となる。
【0085】
いくつかの実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本開示の範囲を限定するように意図されていない。本明細書で説明された新規の方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。その上に、本明細書で説明された方法及びシステムの形態における様々な省略、置換、及び交換が、本開示の趣旨から逸脱することなくなされ得る。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び趣旨内にあるとしてそのような形態又は変更形態を包含するように意図される。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
19…ネットワーク、100…X線撮影ガントリ、101…X線管、102…環状フレーム、103…X線検出器、104…データ収集回路、105…非接触データ伝送部、106…前処理部、107…回転部、108…スリップリング、109…高電圧発生器、110…システム制御部、111…データ/制御バス、112…記憶部、114…再構成部、115…入力部、116…表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18
図19