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特許7187133映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2668 20110101AFI20221205BHJP
   H04L 67/02 20220101ALI20221205BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221205BHJP
   H04N 21/24 20110101ALI20221205BHJP
【FI】
H04N21/2668
H04L67/02
H04N7/18 D
H04N21/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017007947
(22)【出願日】2017-01-19
(65)【公開番号】P2018117295
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】509104034
【氏名又は名称】パナソニック ネットソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪原 正敏
(72)【発明者】
【氏名】吉原 淳二
【合議体】
【審判長】五十嵐 努
【審判官】千葉 輝久
【審判官】國分 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-074527(JP,A)
【文献】特開2015-049626(JP,A)
【文献】特開2012-235321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集する収集部と、
複数の施設のそれぞれに設置される複数台のカメラの映像の配信制御を行う配信制御部と、を備え、
前記配信制御部は、前記収集部によって収集された前記ソーシャルメディア情報を解析し、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記複数の施設とは別の場所にある監視センタに設置された監視端末に、ネットワーク経由で映像を配信し、
前記配信制御部は、前記監視端末とは異なる配信サーバに設けられており、
前記事象が発生していない平常時は、前記配信制御部は、前記複数の施設の各々に設置された前記複数台のカメラのうち前記平常時にアクセス可能な一部の前記カメラの映像を前記監視端末に配信し、
前記事象が発生した状態では、前記配信制御部は、前記ソーシャルメディア情報に基づいて前記事象の発生場所を解析し、前記事象の発生場所に対応する前記施設に設置された前記複数台のカメラの映像に前記監視端末がアクセスするアクセス制限を解除又は緩和し、前記事象の発生時にアクセス可能な前記カメラの映像を前記監視端末に配信する、
映像配信システム。
【請求項2】
前記映像には撮影場所に関する撮影場所情報が対応付けられており、
前記配信制御部は、前記撮影場所情報に基づいて前記映像の配信制御を行う、
請求項1に記載の映像配信システム。
【請求項3】
前記配信制御部は、前記複数台のカメラの映像の配信制御を行っており、
前記複数台のカメラの映像の各々には前記撮影場所情報が対応付けられており、
前記配信制御部は、前記撮影場所情報に基づいて、前記複数台のカメラの映像から前記事象の発生場所に対応する1以上の映像を選択して、ネットワーク経由で配信する、
請求項2に記載の映像配信システム。
【請求項4】
前記配信制御部は、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記映像を撮影する前記カメラの撮影状態を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の映像配信システム。
【請求項5】
前記ソーシャルメディア情報には複数種類の情報があり、
前記複数種類の情報にはそれぞれ優先度が設定されており、
前記配信制御部は、前記複数種類の情報のうち前記優先度が高い種類の情報を前記優先度が低い種類の情報よりも優先的に使用して解析する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の映像配信システム。
【請求項6】
ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集する収集処理と、
複数の施設のそれぞれに設置される複数台のカメラの映像の配信制御を行う配信処理と、を含み、
前記配信処理では、前記収集処理によって収集された前記ソーシャルメディア情報を解析し、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記複数の施設とは別の場所にある監視センタに設置された監視端末に、ネットワーク経由で映像を配信し、
前記事象が発生していない平常時は、前記配信処理により、前記複数の施設の各々に設置された前記複数台のカメラのうち前記平常時にアクセス可能な一部の前記カメラの映像を前記監視端末に配信し、
前記事象が発生した状態では、前記配信処理により、前記ソーシャルメディア情報に基づいて前記事象の発生場所を解析し、前記事象の発生場所に対応する前記施設に設置された前記複数台のカメラの映像に前記監視端末がアクセスするアクセス制限を解除又は緩和し、前記事象の発生時にアクセス可能な前記カメラの映像を前記監視端末に配信し、
前記収集処理及び前記配信処理は、前記監視端末とは異なる配信サーバによって実行される、
映像配信方法。
【請求項7】
コンピュータシステムに、
請求項6に記載の映像配信方法を実行させるための、
映像配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラムに関し、特に、映像をネットワーク経由で配信する映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ装置と、表示装置と、携帯無線端末と、通信手段と、カメラ制御手段とを備えて、緊急事態の発生時にカメラ装置を制御する監視カメラ制御装置があった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
携帯無線端末は緊急ボタンと位置情報取得手段とを備えている。携帯無線端末を携帯するユーザが緊急ボタンを押すと、携帯無線端末は、位置情報取得手段が取得した位置情報と、緊急事態を知らせるメッセージを含む緊急信号とを送信する。通信手段は、携帯無線端末から受信した位置情報及び緊急信号を、カメラ制御手段に伝送する。カメラ制御手段は、通信手段から伝送された位置情報と緊急信号とを受信し、緊急信号を受信した場合には位置情報をもとにカメラ装置の撮影方向を制御する。表示装置は、カメラ装置からの映像信号を受信し、表示画面上に映像信号を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-14206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の監視カメラ制御装置では、携帯無線端末を携帯するユーザによって緊急ボタンが押されなければ、携帯無線端末から緊急信号が送信されず、表示装置に、カメラ装置からの映像信号が表示されない。そのため、表示装置をモニタしている人が、緊急事態(所定の事象)によって発生した状況に気付くことができない可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、所定の事象によって発生した状況を把握しやすくできる映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の映像配信システムは、収集部と、配信制御部とを備える。前記収集部は、ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集する。前記配信制御部は、複数の施設のそれぞれに設置される複数台のカメラの映像の配信制御を行う。前記配信制御部は、前記収集部によって収集された前記ソーシャルメディア情報を解析し、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記複数の施設とは別の場所にある監視センタに設置された監視端末に、ネットワーク経由で映像を配信する。前記配信制御部は、前記監視端末とは異なる配信サーバに設けられている。前記事象が発生していない平常時は、前記配信制御部は、前記複数の施設の各々に設置された前記複数台のカメラのうち前記平常時にアクセス可能な一部の前記カメラの映像を前記監視端末に配信する。前記事象が発生した状態では、前記配信制御部は、前記ソーシャルメディア情報に基づいて前記事象の発生場所を解析し、前記事象の発生場所に対応する前記施設に設置された前記複数台のカメラの映像に前記監視端末がアクセスするアクセス制限を解除又は緩和し、前記事象の発生時にアクセス可能な前記カメラの映像を前記監視端末に配信する。
【0009】
の態様の映像配信システムでは、第1の態様において、前記映像には撮影場所に関する撮影場所情報が対応付けられており、前記配信制御部は、前記撮影場所情報に基づいて前記映像の配信制御を行う。
【0010】
の態様の映像配信システムでは、第の態様において、前記配信制御部は、前記複数のカメラの映像の配信制御を行っている。前記複数台のカメラの映像の各々には前記撮影場所情報が対応付けられている。前記配信制御部は、前記撮影場所情報に基づいて、前記複数台のカメラの映像から前記事象の発生場所に対応する1以上の映像を選択して、ネットワーク経由で配信する。
【0011】
の態様の映像配信システムでは、第1~第のいずれか1つの態様において、前記配信制御部は、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記映像を撮影する前記カメラの撮影状態を制御する。
【0012】
の態様の映像配信システムでは、第1~第のいずれか1つの態様において、前記ソーシャルメディア情報には複数種類の情報がある。前記複数種類の情報にはそれぞれ優先度が設定されている。前記配信制御部は、前記複数種類の情報のうち前記優先度が高い種類の情報を前記優先度が低い種類の情報よりも優先的に使用して解析する。
【0014】
の態様の映像配信方法は、ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集する収集処理と、複数の施設のそれぞれに設置される複数台のカメラの映像の配信制御を行う配信処理と、を含む。前記配信処理では、前記収集処理によって収集された前記ソーシャルメディア情報を解析し、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、前記複数の施設とは別の場所にある監視センタに設置された監視端末に、ネットワーク経由で映像を配信する。前記事象が発生していない平常時は、前記配信処理により、前記複数の施設の各々に設置された前記複数台のカメラのうち前記平常時にアクセス可能な一部の前記カメラの映像を前記監視端末に配信する。前記事象が発生した状態では、前記配信処理により、前記ソーシャルメディア情報に基づいて前記事象の発生場所を解析し、前記事象の発生場所に対応する前記施設に設置された前記複数台のカメラの映像に前記監視端末がアクセスするアクセス制限を解除又は緩和し、前記事象の発生時にアクセス可能な前記カメラの映像を前記監視端末に配信する。前記収集処理及び前記配信処理は、前記監視端末とは異なる配信サーバによって実行される。
【0015】
の態様の映像配信プログラムは、コンピュータシステムに、第の態様の映像配信方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の事象によって発生した状況を把握しやすくできる映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る映像配信システムの構成図である。
図2図2は、同上の映像配信システムの動作を説明するフローチャートである。
図3図3Aは、同上の映像配信システムの監視端末に表示される地震発生前の表示画面の説明図である。図3Bは、同上の映像配信システムの監視端末に表示される地震発生時の表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明する実施形態は、本発明の種々の実施形態の一つに過ぎない。本発明の実施形態は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外も含み得る。また、下記の実施形態は、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0019】
(1)概要
本実施形態の映像配信システムは、図1に示すように、複数の施設1A,1B,…,1Nにそれぞれ設置された複数台のカメラ11と、配信サーバ20と、監視端末30と、を備えている。複数の施設1A,1B,…,1Nは例えばスーパーマーケットやショッピングモールのような店舗である。複数の施設1A,1B,…,1Nは同じグループのチェーン店である。配信サーバ20と監視端末30とは監視センタ2に設置されている。監視センタ2は複数の施設1A,1B,…,1Nが属するグループの本部施設にあり、監視センタ2の監視端末30で、複数の施設1A,1B,…,1Nに設置された複数のカメラ11の映像を見ることができる。なお、配信サーバ20は監視端末30と同じ場所に設置されていなくてもよく、配信サーバ20は監視センタ2以外の場所に設置されてもよい。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る各部の構成を図1に基づいて説明する。
【0021】
先ず、複数の施設1A,1B,…,1Nにそれぞれ設置された監視カメラシステム10A,10B,…,10Nについて説明する。複数の施設1A,1B,…,1Nでは施設の規模によってカメラ11の設置台数などが異なるが、複数の施設1A,1B,…,1Nには同様の監視カメラシステム10A,10B,…,10Nが設置されている。したがって、施設1Aに設置された監視カメラシステム10Aについて説明し、施設1B,…,1Nに設置された監視カメラシステム10B,…,10Nについては説明を省略する。
【0022】
施設1Aの監視カメラシステム10Aは、複数台のカメラ11と、録画サーバ12と、監視端末13とを備える。
【0023】
複数台のカメラ11は、インターネットのようなネットワークN1に接続される通信機能を備えている。複数台のカメラ11は施設1A内の複数の監視エリア(例えば売り場、出入口、通路、階段、エレベーター、エスカレーター、バックヤード、駐車場など)に設置され、対応する監視エリアの映像を撮影する。複数台のカメラ11の各々には個別の識別情報が割り当てられており、カメラ11から出力される映像ファイルには当該カメラ11の識別情報が対応付けられている。
【0024】
録画サーバ12は、ネットワークN1に接続される通信機能を備えている。録画サーバ12には、施設1A内に設置された複数台のカメラ11が対応付けられている。録画サーバ12は、施設1A内の複数台のカメラ11から出力される映像ファイルを受信し、映像ファイルを識別情報と対応付けて保存する。録画サーバ12は、保存している映像ファイルをネットワークN1経由で監視端末13,30に出力する。
【0025】
監視端末13は施設1A内の管理室に設置されており、施設1Aの管理者は監視端末13を用いて施設1Aに設置された複数台のカメラ11の映像を見ることができる。監視端末13は、通信部131と、制御部132と、表示部133と、入力部134とを備えている。
【0026】
通信部131は、ネットワークN1を介して通信を行う機能を備えている。
【0027】
制御部132は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを備えている。コンピュータのプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって、制御部132の機能が実現される。コンピュータが実行するプログラムはメモリに予め記憶されているが、メモリカード等の記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0028】
表示部133は、例えば液晶ディスプレイのようなディスプレイ装置であり、カメラ11で撮影された映像を表示する。
【0029】
入力部134は、キーボード、マウス、ディスプレイ装置に設けられたタッチセンサのうちの少なくとも1つである。
【0030】
制御部132は、表示部133にカメラ11の映像を表示する機能を備えている。監視端末13の使用者が入力部134を用いて所望の監視エリアを撮影するカメラ11を選択すると、制御部132は、選択されたカメラ11の映像ファイルを要求する要求信号を通信部131から配信サーバ20に送信する。配信サーバ20は、監視端末13からの要求信号を受信すると、要求されたカメラ11の映像ファイルを録画サーバ12から監視端末13に配信させる。監視端末13の通信部131が録画サーバ12から配信された映像ファイルを受信すると、制御部132は表示部133に映像ファイルを表示させており、監視端末13の使用者は所望の監視エリアの映像を確認できる。なお、監視端末13は配信サーバ20を介さず録画サーバ12から映像ファイルを直接受信して、表示部133に表示してもよい。
【0031】
施設1Aの監視端末13には、施設1Aのカメラ11の映像ファイルにアクセスできるアクセス権限は付与されているが、他の施設1B,…,1Nのカメラ11の映像ファイルにアクセスできるアクセス権限は付与されておらず、アクセス権限が制限されている。すなわち、各施設1A,1B,…,1Nの監視端末13には、別の施設にあるカメラ11の映像ファイルにアクセスできるアクセス権限が付与されておらず、別の施設にあるカメラ11の映像をモニタできないように構成されている。
【0032】
次に、監視センタ2に設置された配信サーバ20及び監視端末30について説明する。
【0033】
監視端末30は、通信部31と、制御部32と、表示部33と、入力部34とを備えている。監視端末30は監視センタ2に設置されており、監視センタ2の担当者は監視端末30を用いて施設1A,1B,…,1Nに設置された複数台のカメラ11の映像をモニタすることができる。
【0034】
通信部31は、ネットワークN1を介して通信を行う機能を備えている。
【0035】
表示部33は例えば液晶ディスプレイのようなディスプレイ装置であり、表示部33は録画サーバ12から配信された映像を表示する。
【0036】
入力部34は、キーボード、マウス、ディスプレイ装置に設けられたタッチセンサのうちの少なくとも1つである。
【0037】
制御部32は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを備えている。コンピュータのプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって、制御部32の機能が実現される。コンピュータが実行するプログラムはメモリに予め記憶されているが、メモリカード等の記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0038】
制御部32は、録画サーバ12から配信された映像ファイルを通信部31が受信すると、通信部31が受信した映像ファイルを表示部33に出力し、表示部33が録画サーバ12から配信された映像を表示する。
【0039】
配信サーバ20は、通信部21と、信号処理部22とを備えている。
【0040】
通信部21は、インターネットのようなネットワークN1を介して通信を行う。
【0041】
信号処理部22は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータを備えている。コンピュータのプロセッサがメモリに格納されたプログラム(映像配信プログラムを含む)を実行することによって、収集部221、配信制御部222などの機能が実現される。コンピュータが実行するプログラム(映像配信プログラムを含む)はメモリに予め記憶されているが、メモリカード等の記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0042】
収集部221は、通信部21を用いて、ソーシャルメディアが発信する所定の事象(本実施形態では地震)に関連するソーシャルメディア情報を収集する。
【0043】
ソーシャルメディアとは、参加するユーザの情報発信によって成り立つメディアであり、例えばツイッター(登録商標)、フェイスブック(登録商標)などがある。ソーシャルメディア情報には、例えば気象庁のような公的機関のサーバ40が発信する第1情報と、一般のユーザがスマートフォン、タブレット端末などの情報端末50A,50B,…,50Nを用いて発信する第2情報とがある。第1情報には、例えば気象庁のサーバ40から発信される地震速報のツイート、緊急地震速報のツイートなどがある。このように、ソーシャルメディア情報には複数種類の情報(第1情報、第2情報)がある。第1情報と第2情報とにそれぞれ優先度が設定されている。公的機関の情報である第1情報は、一般のユーザの情報である第2情報に比べて信頼性が高いため、第1情報の優先度は、第2情報の優先度よりも高く設定されている。
【0044】
地震速報は地震発生後にサーバ40から発信されるツイートである。地震速報には、震源の位置(経度及び緯度)、深さ、地震の規模(例えばマグニチュード)の情報が含まれている。地震速報には、地震の発生場所に関する発生場所情報として、震源の位置に関する情報が含まれている。
【0045】
緊急地震速報は、マグニチュード5.7以上又は最大震度5弱以上と推定した地震の発生時に、震度が一定値(例えば震度4)以上であると予想される地域の名称を、地震波が到達する前に通知するためのツイートである。緊急地震速報には、地震の発生場所に関する発生場所情報として、震度が一定値以上であると予想される地域の情報が含まれている。
【0046】
配信制御部222は、収集部221によって収集されたソーシャルメディア情報を解析し、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、ネットワークN1経由で映像の配信制御を行う。
【0047】
配信制御部222は、ソーシャルメディア情報を解析することによって、施設1A,1B,…,1Nの所在地での震度を解析する。信号処理部22のメモリには、施設1A,1B,…,1Nの所在地の位置(緯度及び経度)の情報、気象庁が各地に設置した震度計の位置(緯度及び経度)の情報などが登録されている。また、信号処理部22のメモリは、施設1A,1B,…,1Nに設置された複数台のカメラ11の識別情報と、各カメラ11の設置場所を示す設置場所情報とを対応付けて記憶している。
【0048】
配信制御部222は、ソーシャルメディア情報が地震速報である場合、地震速報に含まれる震源の位置(発生場所情報)、深さ、地震の規模の情報と、震源から施設1A,1B,…,1Nまでの距離とを用いて、施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。また、配信制御部222は、ソーシャルメディア情報が緊急地震速報である場合、予想震度が一定値以上である地域の名称(発生場所情報)及びその予想震度と、予想震度が一定値以上である地域(例えば当該地域の中心地)から施設1A,1B,…,1Nまでの距離などを用いて、施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。また、配信制御部222は、ソーシャルメディア情報が一般のユーザのツイート(第2情報)である場合、ツイートに含まれる地震関連の文言を解析することで、施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。例えば地震が発生した場合、地震に関するツイートが増加すると予想され、これらのツイートは大きな揺れが発生している場所や揺れの大きさなどに関する内容が含まれていると予想される。したがって、配信制御部222は、これらのツイートから揺れが発生している場所(発生場所情報)や揺れの大きさなどに関連する文言を抽出し、分析することで、施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。
【0049】
本実施形態では、ソーシャルメディア情報には複数種類の情報があり、配信制御部222は、優先度が高い種類の情報(第1情報)を、優先度が低い種類の情報(第2情報)よりも優先的に利用して解析を行う。したがって、収集部221によって第1情報と第2情報とが収集された場合、配信制御部222は、第1情報を優先的に利用して施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。収集部221によって第2情報しか収集されなかった場合、配信制御部222は、第2情報を利用して施設1A,1B,…,1Nでの震度を推定する。
【0050】
配信制御部222は、複数の監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの複数の録画サーバ12に保存されている映像の配信を制御する。
【0051】
配信制御部222は、監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの監視端末13に対しては、監視端末13からの要求に応じて又は予め設定された配信ルールにしたがって、録画サーバ12から監視端末13に映像ファイルを送信させる。これにより、監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの監視端末13は、同じ施設内のカメラ11の映像を表示部133に表示することができる。
【0052】
また、配信制御部222は、監視センタ2の監視端末30に、施設1A,1B,…,1Nの複数台のカメラ11の映像ファイルを配信する配信制御を行う。監視センタ2の監視端末30には、施設1A,1B,…,1Nにある全てのカメラ11の映像ファイルにアクセス可能なアクセス権限は付与されていない。配信制御部222は、地震発生時には、地震が発生していない平常時に比べて、監視端末30のアクセス制限を緩和している。換言すれば、配信制御部222は、平常時には、地震発生時に比べて、監視端末30のアクセス制限を厳しくしている。
【0053】
平常時には、配信制御部222は、施設1A,1B,…,1Nの複数台のカメラ11のうち、アクセスが許可されたカメラ11の映像ファイルを監視センタ2の監視端末30に配信する。平常時には、監視センタ2の監視端末30は、施設1A,1B,…,1Nの複数台のカメラ11のうち、最小限のカメラ11の映像ファイルのみにアクセス可能なようにアクセス権限が制限されており、最小源のカメラ11の映像ファイルのみアクセスが可能になっている。
【0054】
地震発生時には、配信制御部222は、震度が所定のしきい値(例えば震度4)を超えると推定された施設にあるカメラ11の映像ファイルを監視端末30に配信する。配信制御部222は、地震発生時には平常時に比べて監視端末30のアクセス制限を緩和しており、震度が所定のしきい値を超えると推定された施設について、地震発生時にアクセスが可能な映像ファイルを監視端末30に配信する。地震発生時には平常時に比べてアクセス制限が緩和されるので、監視端末30は、平常時にアクセスできないカメラ11であっても、地震発生時にアクセスを許可されていれば、当該カメラ11の映像ファイルにアクセスすることができる。
【0055】
(3)動作説明
本実施形態の映像配信システムの動作を、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0056】
施設1A,1B,…,1Nの監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの各々では、録画サーバ12に、当該施設に設置された複数台のカメラ11の映像ファイルが保存される。なお、録画サーバ12は、所定時間の映像ファイルを保存可能であり、映像ファイルの保存期間が所定時間を超えると、この映像ファイルを破棄して、新しい映像ファイルを保存する。
【0057】
図2は配信サーバ20の動作を説明するフローチャートである。
【0058】
配信サーバ20の収集部221は、通信部21を用いてネットワークN1にアクセスすることによって、ソーシャルメディアが発信するソーシャルメディア情報のうち、地震に関連するソーシャルメディア情報を収集する(ステップS1)。収集部221は、地震関連の発信元のソーシャルメディア情報を収集したり、地震に関連した文言が含まれるソーシャルメディア情報を収集したりすることで、地震に関連するソーシャルメディア情報を収集する。
【0059】
配信制御部222は、収集部221によって収集されたソーシャルメディア情報をもとに、地震が発生しているか否かを解析する。また、配信制御部222は、地震が発生しているとの解析結果が出た場合、ソーシャルメディア情報をもとに施設1A,1B,…,1Nの所在地での震度を解析する(ステップS2)。
【0060】
ステップS2の解析処理によって、地震が発生していない平常時であるとの解析結果が出た場合(ステップS3のNo)、ステップS1に戻って収集部221がソーシャルメディア情報を収集する。
【0061】
平常時には、配信サーバ20の配信制御部222は、複数の監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの各々で、録画サーバ12から監視端末13に映像ファイルを配信する。監視端末13の制御部132は、通信部131が受信した映像ファイルを表示部133に出力し、表示部133はカメラ11で撮影された映像をリアルタイムで表示する。
【0062】
ここで、制御部132は、表示部133の画面を複数に分割して、一画面に複数台のカメラ11の映像を同時に表示することができる。また、カメラ11の台数が多く、表示部133の1画面に全てのカメラ11の映像を表示できない場合、制御部132は、所定の時間が経過するごとに、表示部133に映像を表示させるカメラ11を切り替えればよい。これにより、制御部132は、複数台のカメラ11の映像を所定の周期ごとに表示部133も表示させることができる。このように、監視端末13の表示部133には、同じ施設内のカメラ11の映像が表示されるので、監視端末13の使用者は、表示部133に表示される映像を見ることで、当該施設の状況を映像で把握することができる。
【0063】
また、配信サーバ20の配信制御部222は、平常時において、監視端末30のアクセス権限が最も制限された状態で、監視端末30に映像の配信を行う。配信サーバ20の配信制御部222は、施設1A,1B,…,1Nに設置された複数のカメラ11の映像にアクセス権を予め設定しており、平常時及び地震発生時において監視端末30がアクセス可能なカメラ11を制限するアクセス制限を行っている。例えば監視端末30は、平常時において、施設1A,1B,…,1Nにある複数台のカメラ11のうち、各施設の出入口や駐車場にあるカメラ11の映像のみアクセスを許可されている。配信サーバ20の配信制御部222は、監視端末30にアクセス権限があるカメラ11の映像ファイルを配信する。
【0064】
監視端末30では、通信部31が、複数の監視カメラシステム10A,10B,…,10Nの複数の録画サーバ12から配信された映像ファイルを受信すると、制御部32がこの映像ファイルを表示部33に出力し、表示部33が映像を表示する。監視端末30の表示部33には、施設1A,1B,…,1Nに設置された複数台のカメラ11のうち、平常時にアクセスを許可されたカメラ11の映像が表示される。図3Aは、平常時に表示部33に表示される表示画面の一例である。表示部33にはカメラ11の映像を表示する矩形の表示領域100が設けられている。図3Aの例では、表示領域100が16分割されており、平常時にアクセスを許可されたカメラ11の映像が16個の小領域101にそれぞれ表示される。監視端末30の利用者は、これらの映像から施設1A,1B,…,1Nの大まかな状態を把握することができる。
【0065】
一方、ステップS2の解析処理によって、地震が発生したとの解析結果が出た場合(ステップS3のYes)、配信制御部222は、地震発生時における映像の配信制御を行う(ステップS4)。
【0066】
配信制御部222は、ソーシャルメディア情報から求めた発生場所情報と、映像ファイルに対応付けられた撮影場所情報とに基づいて、映像の配信制御を行う。配信制御部222は、撮影場所情報に基づいて、録画サーバ12に保存された複数の映像ファイルから地震の発生場所に対応する1以上の映像ファイルを選択して、ネットワークN1経由で監視端末30に配信する。具体的には、配信制御部222は、複数の施設1A,1B,…,1Nのうち、所在地の震度がしきい値を超えると推定された施設にあるカメラ11の映像ファイルを録画サーバ12から監視端末30に配信する。
【0067】
ここで、配信制御部222は、地震発生時には、平常時よりもアクセス制限を緩和した状態で監視端末30に映像ファイルを配信する。例えば施設1Aの所在地での震度がしきい値を超えると推定された場合、配信制御部222は、平常時では施設1Aの出入口及び駐車場の映像ファイルにアクセス可能なアクセス権限しか監視端末30に付与していないが、地震発生時には店舗内の売り場の映像ファイルにもアクセス可能なアクセス権限を監視端末30に付与する。また、配信制御部222は、監視端末30に地震の発生を通知する文字データを通信部21から監視端末30に送信する。
【0068】
監視端末30では、通信部31が、監視カメラシステム10Aの録画サーバ12から送信された映像ファイルと、配信サーバ20から送信された文字データを受信すると、制御部32が、表示部33に録画サーバ12から送信された映像を表示する。図3Bは、地震発生時に表示部33が表示する表示画面の一例である。表示部33の表示画面の上側には、例えば「♯♯で地震発生!」(♯♯は店舗名)のような文字データを表示する表示領域110が設けられている。表示部33において表示領域110の下側には、カメラ11の映像を表示する矩形の表示領域111が設けられている。図3Bの例では、表示領域111が4分割されており、4分割された小領域112にはそれぞれ施設1Aのカメラ11の映像が表示される。このように、地震発生時には平常時よりも大きいサイズでカメラ11の映像が表示されるため、カメラ11の映像から施設1Aの状態をより詳細に把握することができる。また、地震発生時に複数の店舗で震度がしきい値を超えると予想された場合、監視端末30の使用者が入力部34を用いて表示する店舗を切り替えればよく、制御部32は、入力部34を用いて選択された店舗の映像を表示部33に表示させればよい。
【0069】
ここで、監視端末30の利用者が、入力部34を用いて地震発生時の映像配信を終了する操作を行うと、通信部31から配信サーバ20に地震発生時の映像配信を終了する終了信号を送信する。配信サーバ20の配信制御部222は、通信部21が監視端末30から送信された終了信号を受信すると、地震発生時の映像配信を終了し、平常時の映像配信を行う。
【0070】
(4)変形例
以下に、上記実施形態の変形例に係る映像配信システム、映像配信方法、及び映像配信プログラムを列記する。なお、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0071】
上記実施形態では、配信制御部222は、ソーシャルメディア情報のうち第1情報をもとに事象の発生場所、つまり地震の場合は震源を特定し、施設1A,1B,…,1Nにおける震度を推定しているが、第1情報と第2情報を組み合わせて施設1A,1B,…,1Nにおける震度を推定してもよい。気象庁が発表する震度の情報は、気象庁の震度計が設置された場所での震度であり、施設1A,1B,…,1Nにおける震度とは異なる。本実施形態では、震源から施設1A,1B,…,1Nまでの距離をもとに施設1A,1B,…,1Nにおける震度を推定しているが、第2情報を用いて施設1A,1B,…,1Nにおける震度を推定してもよい。第2情報に、施設1A,1B,…,1Nやその周辺地域での揺れの大きさに関する情報が含まれていれば、配信制御部222は、このような情報を用いて施設1A,1B,…,1Nにおける震度を推定すればよい。
【0072】
上記実施形態では、配信制御部222は、地震が発生したときは、地震が発生する前に比べて、映像の配信先を制限するアクセス制限、つまり監視端末30の映像ファイルへのアクセスを制限するアクセス制限を緩和しているが、アクセス制限を解除してもよい。この場合、配信制御部222は、所在地の震度がしきい値を超えると推定された施設にある全てのカメラ11の映像ファイルを録画サーバ12から監視端末30に配信することができる。これにより、監視端末30の利用者は、当該施設の状況を、当該施設に設置された全てのカメラ11の映像に基づいて、より詳細に把握することができる。
【0073】
上記実施形態では、配信制御部222は、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて配信する映像を選択しているが、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて地震の発生場所に近い位置にあるカメラ11の撮影状態を制御してもよい。例えば、配信制御部222は、カメラ11の撮影方向を、地震発生時には平常時とは異なる向きに制御してもよい。例えば、配信制御部222は、店舗1Aの出入口を撮影するカメラ11が平常時は店舗1Aの外側を撮影している場合、地震発生時には店舗1Aの内側を撮影するように、カメラ11の撮影方向を制御してもよい。このように、配信制御部222が、地震発生時において平常時と異なるようにカメラ11の撮影状態を制御することで、地震発生時の状況を把握しやすい映像を撮影することができる。カメラ11の撮影状態とは撮影方向に限定されず、配信制御部222は、地震発生時においてカメラ11の撮影方向、露出、感度、画質などのうちの1つ又は複数を制御してもよい。
【0074】
上記実施形態では、配信制御部22が、録画サーバ12から監視端末30にカメラ11で撮影されたリアルタイムの映像を配信しているが、過去に撮影されて録画サーバ12に保存されている映像を配信してもよい。また、配信制御部22が、録画サーバ12を介さず、カメラ11から出力された映像ファイルを監視端末30に直接配信してもよい。
【0075】
上記実施形態では、所定の事象が地震であったが、所定の事象は地震に限定されない。所定の事象は、地震、津波、河川氾濫、水害、火災、強盗などの事件のうちの1つ又は複数でもよい。
【0076】
上記実施形態において、複数台のカメラ11が、例えば複数の競技が並行して行われる陸上競技場に設置され、配信サーバ20が、陸上競技場に設置された大画面のディスプレイ装置に映像を配信する配信制御を行ってもよい。配信サーバ20には、複数のカメラ11がそれぞれ撮影している競技の種目が登録されており、ソーシャルメディア情報に基づいて注目が集まっている競技の映像をディスプレイ装置に配信してもよい。
【0077】
また、複数台のカメラ11が複数の競技施設に分散して設置されていてもよい。この場合、配信サーバ20には複数のカメラ11が設置された競技施設で行われる競技の種目が登録されており、ソーシャルメディア情報に基づいて注目が集まっている競技の映像を、対応する表示装置に配信すればよい。
【0078】
上記実施形態において、映像配信システムの収集部221と配信制御部222とが1つの装置(配信サーバ20)に備えられているが、複数の装置に分散して備えられてもよい。また、映像配信システムは、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0079】
(5)効果
以上説明したように、第1の態様の映像配信システムは、収集部221と、配信制御部222とを備える。収集部221は、ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集する。配信制御部222は、収集部221によって収集されたソーシャルメディア情報を解析し、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、ネットワークN1経由で映像の配信制御を行う。配信制御部222は、特定の発信元から発信される情報ではなく、多数の発信元から発信されるソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、映像の配信制御を行っているので、所定の事象によって発生した状況を把握しやすくできる。
【0080】
例えば、所定の事象が地震であり、複数の施設(例えばチェーン店)にカメラが設置されている場合に、各施設に感震器を設置して各施設の震度を計測し、震度がしきい値を超える施設の映像を監視センタに配信しようとすると、各施設に感震器を設置する費用や、感震器を運用するための費用が発生する。また、各施設に設置された感震器が故障する可能性もあり、その場合は、震度がしきい値を超えている施設の映像が配信されない可能性もある。第1の態様の映像配信システムでは、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、映像の配信制御を行っているので、感震器の設置に伴う費用がかからず、感震器の故障などで映像が配信されなくなる可能性を回避できる。
【0081】
第2の態様の映像配信システムでは、第1の態様において、ソーシャルメディア情報は、事象の発生場所に関する発生場所情報を含み、配信制御部222は、発生場所情報に基づいて映像の配信制御を行う。配信制御部222は、発生場所情報に基づいて事象の発生場所に対応した映像の配信制御を行うことができ、所定の事象によって発生した状況を映像から把握しやすくなる。
【0082】
第3の態様の映像配信システムでは、第1又は第2の態様において、映像には撮影場所に関する撮影場所情報が対応付けられており、配信制御部222は、撮影場所情報に基づいて映像の配信制御を行う。配信制御部222は、撮影場所情報に基づいて所定の事象に対応した撮影場所で撮影された映像を配信することができ、所定の事象によって発生した状況を映像から把握しやすくなる。
【0083】
第4の態様の映像配信システムでは、第3の態様において、配信制御部222は、複数のカメラ11の映像の配信制御を行っている。複数の映像の各々には撮影場所情報が対応付けられている。配信制御部222は、撮影場所情報に基づいて、複数の映像から事象の発生場所に対応する1以上の映像を選択して、ネットワークN1経由で配信する。配信制御部222は、所定の事象の発生場所に対応する1以上の映像を配信しているので、所定の事象によって発生した状況を映像から把握しやすくなる。
【0084】
第5の態様の映像配信システムでは、第1~第4のいずれか1つの態様において、配信制御部222は、ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、映像を撮影するカメラ11の撮影状態を制御する。配信制御部222がカメラ11の撮影状態を制御しているので、カメラ11の映像をもとに、所定の事象によって発生した状況を映像から把握しやすくなる。
【0085】
第6の態様の映像配信システムでは、第1~第5のいずれか1つの態様において、ソーシャルメディア情報には複数種類の情報がある。複数種類の情報にはそれぞれ優先度が設定されている。配信制御部222は、優先度が高い種類の情報を、優先度が低い種類の情報よりも優先的に使用して解析する。配信制御部222は、優先度が高い種類の情報を、優先度が低い種類の情報よりも優先的に使用して解析を行うので、解析結果の信頼性が向上する。
【0086】
第7の態様の映像配信システムでは、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記配信制御部は、前記事象が発生したときは、前記事象が発生する前に比べて、前記映像の配信先を制限するアクセス制限を緩和又は解除する。所定の事象が発生した場合には、平常時には配信できない映像を配信できるので、所定の事象によって発生した状況を映像から把握しやすくなる。
【0087】
第8の態様の映像配信方法では、ソーシャルメディアが発信する所定の事象に関連するソーシャルメディア情報を収集し、収集された前記ソーシャルメディア情報を解析し、前記ソーシャルメディア情報の解析結果に基づいてネットワーク経由で映像の配信制御を行う。特定の発信元から発信される情報ではなく、多数の発信元から発信されるソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、映像の配信制御を行っているので、所定の事象によって発生した状況を把握しやすくできる。
【0088】
第9の態様の映像配信プログラムは、コンピュータシステムに、第8の態様に記載の映像配信方法を実行させるためのプログラムである。特定の発信元から発信される情報ではなく、多数の発信元から発信されるソーシャルメディア情報の解析結果に基づいて、映像の配信制御を行っているので、所定の事象によって発生した状況を把握しやすくできる。
【符号の説明】
【0089】
1A,1B,…,1N 施設
2 監視センタ
10A,10B,…,10N 監視カメラシステム
11 カメラ
12 録画サーバ
20 配信サーバ(映像配信システム)
30 監視端末
221 収集部
222 配信制御部
40 サーバ
50A,50B,…,50N 情報端末
図1
図2
図3